JP4093661B2 - 動物用麻酔装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主として実験動物又は動物病院における麻酔に使用する動物用麻酔装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の麻酔装置としては、図2に示すような、いわゆる半閉鎖式のものが使用されている。
すなわち、図2において、生命を維持するための酸素ガス52と麻酔の効きを良くすると共に鎮痛効果をもたらす笑気ガス51を混合させてキャリアガスとし、これを流量計53を経て麻酔薬導入用の気化器54に導入し、バッグ55を一定のリズムで握る手法又は機械的な手法で、麻酔薬を含んだガスを動物に供給するようにしてある。そして、動物からの排気は回路内を循環するようになっている。図2中符号56はキャニスター、57はポップ弁、58は呼気弁、59は吸気弁である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の装置においては、キャリアガスに笑気ガスを混合しているので、笑気ガスの混合率が高すぎると酸素不足になり、生命に危険を及ぼすおそれがある。また、笑気ガスは高価であるから経済的な負担ともなっている。
また、半閉鎖式の回路構成であるために、患者の呼気が回路を循環し再度吸気として供給される。そのために、長時間使用すると高炭酸ガス症になるおそれがあり、炭酸ガス吸収剤を収納したキャニスターを使用して炭酸ガスを除去している。
しかも、従来の装置は回路が複雑であるから装置の小型化が難しい。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の動物用麻酔装置は、酸素供給管に接続される酸素流量調整弁に、麻酔薬導入用気化器、麻酔ガス供給用の吸気弁、麻酔ガス供給管を順次配設し、前記麻酔ガス供給菅から余剰ガスの排気管を分岐し、これを呼気弁に接続する。更に、前記酸素流量調整弁の上流側に弁を介して蘇生器を接続して構成する。
請求項2の発明は、前記酸素流量調整弁、麻酔ガス供給用の吸気弁及び呼気弁を、マイクロコンピュータにより制御するようにしたものである。
【0005】
【作用】
この発明において、酸素は流量調整弁の働きによって動物の条件に適した流量に調整されて気化器に導入される。気化器において、所定量の麻酔薬が酸素と混合されて気化し、麻酔ガス供給用の吸気弁の働きによって、間欠的に一定のリズムで動物に供給される。そして、動物からの排気は余剰ガスとして呼気弁を経て回路外へ放出される。
また、蘇生器を付設したので、万一流量調整弁、間欠弁やマイクロコンピュータに故障が発生し、所定量のガスが供給されない場合には、蘇生器への回路を開くことにより、蘇生器から酸素が供給されるので、動物の生命が危険にさらされることはない。
さらに、請求項2の発明においては弁をマイクロコンピュータで制御するものとしてあるので、動物の体重などを入力すれば酸素流量などが自動的に設定され、標準的な麻酔が行なわれる。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1において、酸素ボンベ1に減圧弁2、複数の電磁弁で構成された流量調整弁3が接続してあり、流量調整弁3の下流側に気化器4が接続してある。前記気化器4の下流側には吸気弁5を介して麻酔ガスの供給管6が接続してある。
前記供給管6の先端部で排気管7が分岐しており、排気管7に呼気弁8が接続してある。
一方、前記減圧弁2と流量調整弁3との間にコック弁9を介して蘇生器10が接続してある。
【0007】
前記流量調整弁3は流量の異なる複数の電磁弁で構成してあり、開放する電磁弁の組み合わせを選択することによって、気化器へ導入される酸素量を多段階に調整できるようにしてある。
また、前記吸気弁5と呼気弁8とは、吸気弁5が開放されると呼気弁8が閉鎖され、呼気弁8が開放すると吸気弁5が閉鎖されるようにしてあり、これら二つの弁の開閉によって患者への換気をサポートするようになっている。呼気は前記呼気弁8から余剰ガスとして回路外へ排出され、循環はしない。
【0008】
前記流量調整弁3、吸気弁5、呼気弁8はマイクロコンピュータ11によって制御される。
すなわち、マイクロコンピュータ11に、毎分当りの酸素の流量、呼吸の数、最大吸気圧、など麻酔に必要な換気条件を算出するプログラムが記録されており、動物の体重を入力することによって標準的な換気条件が設定できるようにしてある。
そして、前記算出された換気条件によって、流量調整弁3を通過する酸素量、吸気弁5、呼気弁8の開閉ピッチ、時間を制御する。
【0009】
前記供給管には圧力センサが配設してあり、圧力センサにおいて気道内圧が測定されると共に、初期設定で定められた最大吸気圧に達するまでの吸気時間が算出され、マイクロコンピュータ11へ入力される。マイクロコンピュータ11において、前記吸気時間に基づき、体重1Kg当りの毎分呼吸量、一回換気量が演算、出力され、換気の状況、装置の故障状況等がモニター12に表示されるようになっている。そして、万一電気的又は機械的な故障が発生し患者の生命に危機が及ぶおそれのある場合は、アラーム13が鳴動するようにしてある。
図中、符号15はバッテリーである。
【0010】
上記実施形態の装置の作動は以下のとおりである。
まず、供給管6の先端を指で塞いで電源スイッチ14をONし、回路内に圧を加えてガスの漏れをチェックする。チェック結果はモニター12に表示される。正常であることを確認した後、患者の体重をマイクロコンピュータ11へ入力すると、マイクロコンピュータに記録された計算式にしたがい、標準的な麻酔条件が設定され、モニター12に表示される。なお、任意の換気条件に設定を変更することもできる。
適当な設定値を得た後に供給管6の先端を患者に咥えさせ、運転スイッチ(図示しない)をONすると酸素ボンベ1から酸素が流出し、減圧弁2、流量調整弁3を経て気化器4へ送り込まれる。このとき、減圧弁2、流量調整弁3はマイクロコンピュータ11によって制御されており、適正な量の酸素が気化器4へ供給される。
【0011】
気化器4において、麻酔薬が気化され、酸素に混合される(一般に0.5%ないし5.0%(重量比)の範囲で調節する)。
麻酔薬が混合された酸素は、吸気弁5の開閉にしたがって間欠的に供給管6から患者へ供給される。そして、患者の呼気は排気管7を経て呼気弁8が開放されたときに回路外へ余剰ガスとして排出される。
前記における吸気弁5、呼気弁8の開閉のピッチ、時間は前記マイクロコンピュータ11によって制御されている。
【0012】
前記における吸気弁5及び呼気弁8は、補助呼吸モードによって患者の自力呼吸を感知して作動するようにすることもできる。すなわち、補助呼吸モードにおいては、患者の自力呼吸開始時に発生する負圧によって自力呼吸を感知し、その信号がマイクロコンピュータへ入力されて吸気弁5、呼気弁8が開閉するようにしてある。そして、自力呼吸あり、と検知する負圧の絶対値(アシスト値)を小さく設定すると、僅かな負圧の存在によっても自発呼吸と検知するので、自力呼吸を優先した換気となる。
このような、自力呼吸を優先した換気は、強制換気を嫌う動物に対する麻酔や、麻酔からさます際の人工呼吸に特に有益である。
逆に、患者の自力呼吸が弱いか機械的に呼吸をさせるときは、アシスト値を大きくするか補助呼吸モードをOFFにして機械的に調節呼吸を行うように吸気弁5と呼気弁8とが作動するように、マイクロコンピュータ11にプログラムしておく。
【0013】
前記マイクロコンピュータ11や弁などに故障が発生したときは、モニター12にその旨が表示され、アラーム13が鳴動する。
そこで、コック弁9を操作し、酸素ボンベ1から酸素を蘇生器10へ導く。併せて、供給管6の先端を患者の口から外し、蘇生器10の給気管を患者の口に咥えさせると、患者に酸素が供給されるので、生命の危機は回避される。
【0014】
【発明の効果】
この発明によれば、以下の効果を得ることができる。
1.患者の呼気は余剰ガスとして排出する、非再呼吸式の回路としたので、常に新しいガスが患者に供給される。したがって、高炭酸ガス症になるおそれがなく、麻酔薬の量も変動がなく、回路が単純になり装置を小型化できる効果がある。
2.従来のものと異なり笑気ガスを使用せずに酸素のみを使用するので、笑気ガスの混合割合が過剰であることによる酸素不足が発生するおそれがなく、かつコストも下げることができる
3.蘇生器を繋げたので、回路に電気的又は機械的な故障が発生し、患者の適正な酸素量が供給されない事態となった場合、弁の操作のみで蘇生器を稼働させることができ、患者に酸素を供給することができる。このとき、酸素ボンベは麻酔に使用するものと同じものを共用することができるので、簡便であり、省スペースともなる。
また、請求項2の発明によれば、マイクロコンピュータで制御することとしたので、諸条件の設定をコンピュータに委ねることができ、操作がとても簡便である他、誤設定が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明実施形態の回路図である。
【図2】 従来例の回路図である。
【符号の説明】
1 酸素ボンベ
2 減圧弁
3 流量調整弁
4 気化器
5 吸気弁
6 供給管
7 排気管
8 呼気弁
9 コック弁
10 蘇生器
11 マイクロコンピュータ
12 モニター
13 アラーム
14 電源スイッチ

Claims (2)

  1. 酸素供給管に接続される酸素流量調整弁に、麻酔薬導入用気化器、麻酔ガス供給用吸気弁、麻酔ガス供給管が順次配設され、前記麻酔ガス供給菅から余剰ガスの排気管が分岐され、この排気管に呼気弁が接続され、前記酸素流量調整弁の上流側に蘇生器が弁を介して接続された、動物用麻酔装置
  2. 酸素流量調整弁、麻酔ガス供給用吸気弁及び呼気弁は、マイクロコンピュータにより制御されるものとした、請求項1記載の動物用麻酔装置
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