JP4091827B2 - 無線送信装置および無線受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、MIMO(Multi-Input/Multi-Output)通信のように複数のアンテナから異なるデータを並列送信する無線送信装置、およびこれを受信する無線受信装置に適用し得る。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像等の大容量のデータ通信を可能にする技術としてMIMO(Multi-Input/ Multi-Output)通信が注目されている。MIMO通信では送信側の複数のアンテナからそれぞれ異なる送信データ(サブストリーム)を送信し、受信側では伝搬路上で混ざり合った複数の送信データを伝搬路推定値を用いて元の送信データに分離する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
実際上、MIMO通信では、送信装置から送信された信号を、送信装置の数と同数又はそれよりも多いアンテナ数で受信し、当該各アンテナによって受信された信号にそれぞれ挿入されているパイロット信号に基づいてアンテナ間の伝搬路特性を推定する。この推定された伝搬路特性Hは、例えば送信側アンテナが2つであり、受信アンテナが2つである場合には、2行×2列の行列によって表される。MIMO通信では、求めた伝搬路特性Hの4つの成分と、各受信アンテナで得られた受信信号とに基づいて、各送信アンテナから送信された送信信号を求める。
【0004】
このようにMIMO通信においては、複数の送信アンテナから同一タイミング・同一周波数で送られた信号を受信側で各サブストリームごとに分離することができるので、送信アンテナ数に比例した分のデータ量を伝送することができ、高速大容量の通信が可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−44051号公報(第4図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、MIMO通信は、確かに複数のデータを並列に伝送することができるので、その分だけ時間当たりの伝送データも増大する。しかし、アンテナ数に見合った伝送データ量の増大を見込むことができるのは、全てのアンテナ間の伝搬路特性が良い場合であって、実際は、全ての伝搬路特性が良いことは少なく、中には伝搬路特性の悪い伝搬路も存在する。かかる場合には、その伝搬路を介して送信されたデータは他チャネル干渉の補償をする際に雑音等により干渉補償誤差が生じ、受信データを復調する際の誤り率特性が低下することになる。このとき、例えば再送制御を行っていれば受信データが誤りと判定されるため、データの再送を繰り返すこととなり、全体として実質的な伝送データ量が低下する。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、複数の送信アンテナからそれぞれ異なるデータを伝送する場合に、周波数利用効率を維持しつつ、受信データの誤り率特性を向上させることができる無線送信装置および無線受信装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の無線送信装置は、互いに異なる信号の変調処理をそれぞれ行う第1および第2の変調手段と、変調後の信号をそれぞれ無線送信する送信手段であって前記第1および第2の変調手段にそれぞれ対応する第1および第2の送信手段と、前記第1および第2の変調手段における変調多値数を互いに独立に設定する設定手段と、を具備し、前記第1の変調手段で使用される変調多値数は、前記第2の変調手段で使用される変調多値数よりも小さく設定される構成を採る。
【0009】
本発明の無線送信装置は、互いに異なる信号の符号化処理をそれぞれ行う第1および第2の符号化手段と、符号化された信号をそれぞれ無線送信する送信手段であって前記第1および第2の符号化手段にそれぞれ対応する第1および第2の送信手段と、前記第1および第2の符号化手段における符号化率を互いに独立に設定する設定手段と、を具備し、前記第1の符号化手段で使用される符号化率は、前記第2の符号化手段で使用される符号化率よりも小さく設定される構成を採る。
【0010】
これらの構成によれば、MIMO通信のように複数のアンテナ(送信系統)からそれぞれ異なるデータを並列送信する場合に、各送信系統の状況に応じ変調多値数または符号化率を変えて送信を行うことができるので、周波数利用効率を維持しつつ、受信データの誤り率特性を向上させることができる。また、例えば、受信品質の良くない回線に対し受信側での誤り率特性を向上させるような変調多値数または符号化率を設定することができる。
【0011】
本発明の無線送信装置は、上記の構成において、前記設定は、前記第1および第2の送信手段から無線送信される各信号の回線品質、重要度、または再送回数に基づいてされる構成を採る。
【0012】
この構成によれば、送信信号の回線品質、重要度、または再送回数に基づいて各送信系統において変調多値数または符号化率を変えて送信を行うことができるので、回線品質の劣悪な送信系統の変調多値数または符号化率を的確に設定することができ、この送信系統の送信相手の受信信号の誤り率特性を向上させることができる。
【0016】
本発明の無線送信装置は、上記の構成において、前記第1の送信手段から無線送信される信号の回線品質が前記第2の送信手段から無線送信される信号の回線品質よりも悪い場合、前記第1の送信手段から無線送信される信号の重要度が前記第2の送信手段から無線送信される信号の重要度よりも高い場合、または前記第1の送信手段から無線送信される信号の再送回数が前記第2の送信手段から無線送信される信号の再送回数よりも多い場合、前記設定がされる構成を採る。
【0017】
この構成によれば、回線品質が劣悪なため回線品質を改善したい場合、送信信号の重要度が高いため良好な受信品質を確保したい場合、または特定のデータの再送回数が多いためすぐに再送を完了させたい場合に、この送信系統に対し受信側での誤り率特性を向上させるような変調多値数または符号化率を設定することができる。
【0018】
本発明の無線送信装置は、上記の構成において、前記第1の送信手段から無線送信される信号の重要度が前記第2の送信手段から無線送信される信号の重要度よりも高い場合の前記第1の送信手段から無線送信される信号とは、制御情報または再送情報である構成を採る。
【0019】
この構成によれば、重要度の高い情報である制御情報または再送情報に対し、受信側での誤り率特性を向上させた回線を割り当てることができる。
【0020】
本発明の無線送信装置は、上記の構成において、前記設定は、一定期間だけされる構成を採る。
【0021】
この構成によれば、上記の変調多値数または符号化率を小さくする設定は、例えば回線品質の悪い送信相手の数が少ない場合には一方の送信系統の伝送効率を常に犠牲にするのであまり効率的ではないが、一定期間のみ上記設定を行うことにより、この期間内において回線品質の悪い送信相手の受信側での誤り率特性を向上させ、他の期間内においては従来の通信方法を採ることにより、伝送効率および受信側での誤り率特性の両立を図ることができる。
【0022】
本発明の無線送信装置は、上記の構成において、前記第1の送信手段に再送回数が多い送信相手が割り当てられる構成を採る。
【0023】
この構成によれば、再送回数が多い送信相手に対し、受信側での誤り率特性を向上させた回線を割り当てることができ、データの再送を迅速に完了させることができる。
【0024】
本発明の無線送信装置は、上記の構成において、前記第1の送信手段の送信電力は、前記第2の送信手段の送信電力よりも高く設定される構成を採る。
【0025】
この構成によれば、受信側の誤り率特性が向上した回線に対し、さらに送信電力をアップする動作を行うため、送信電力増の効果がさらに重畳され、より受信側の誤り率特性を向上させることができる。
【0026】
本発明の無線送信装置は、上記の構成において、前記第1および第2の送信手段から無線送信される信号の誤り訂正符号がターボ符号である場合、前記第1の送信手段から無線送信される信号は、システマティックビットである構成を採る。
【0027】
この構成によれば、誤り訂正符号としてターボ符号を使用している場合に、システマティックビットの受信品質を向上させることができるので、システマティックビットおよびパリティビットを用いてターボ復号を行った後のデータの誤り率特性を向上させることができる。
【0028】
本発明の無線送信装置は、上記の構成において、前記第1および第2の送信手段から無線送信される信号は、マルチキャリア化されている構成を採る。
【0029】
この構成によれば、本発明をOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)等のマルチキャリア送信に適用することができる。
【0030】
本発明の無線受信装置は、異なる信号が多重された信号をそれぞれ無線受信する第1および第2の受信手段と、無線受信された信号を多重前の異なる信号に分離する分離手段と、分離された信号の復調処理を行う復調手段であって前記第1および第2の受信手段にそれぞれ対応する第1および第2の復調手段と、を具備し、前記第1および第2の復調手段における変調多値数は、前記無線受信された信号の受信品質、重要度、または再送回数に基づいて互いに独立に設定されるとともに、前記第1の復調手段で使用される変調多値数は、前記第2の復調手段で使用される変調多値数よりも小さく設定される構成を採る。
【0031】
本発明の無線受信装置は、異なる信号が多重された信号をそれぞれ無線受信する第1および第2の受信手段と、無線受信された信号を多重前の異なる信号に分離する分離手段と、分離された信号の復号化を行う復号化手段であって前記第1および第2の受信手段にそれぞれ対応する第1および第2の復号化手段と、を具備し、前記第1および第2の復号化手段における符号化率は、前記無線受信された信号の受信品質、重要度、または再送回数に基づいて互いに独立に設定されるとともに、前記第1の復号化手段で使用される符号化率は、前記第2の復号化手段で使用される符号化率よりも小さく設定される構成を採る。
【0032】
これらの構成によれば、送信側と同じアルゴリズムを用いることにより、送信側から変調多値数または符号化率の設定を通知されることなく、上記いずれかに記載の無線送信装置から送信された信号を受信することができる。
【0033】
本発明の通信端末装置は、上記いずれかに記載の無線送信装置または無線受信装置を具備する構成を採る。
【0034】
この構成によれば、上記と同様の作用効果を有する通信端末装置を提供することができる。
【0035】
本発明の基地局装置は、上記いずれかに記載の無線送信装置または無線受信装置を具備する構成を採る。
【0036】
この構成によれば、上記と同様の作用効果を有する基地局装置を提供することができる。
【0037】
本発明の無線送信方法は、互いに異なる信号の変調処理をそれぞれ行う第1および第2の変調ステップと、変調後の信号をそれぞれ無線送信する送信ステップであって前記第1および第2の変調ステップにそれぞれ対応する第1および第2の送信ステップと、前記第1および第2の変調ステップにおける変調多値数を互いに独立に設定する設定ステップと、を具備し、前記第1の変調ステップで使用される変調多値数は、前記第2の変調ステップで使用される変調多値数よりも小さく設定されるようにした。
【0038】
本発明の無線送信方法は、互いに異なる信号の符号化処理をそれぞれ行う第1および第2の符号化ステップと、符号化された信号をそれぞれ無線送信する送信ステップであって前記第1および第2の符号化ステップにそれぞれ対応する第1および第2の送信ステップと、前記第1および第2の符号化ステップにおける符号化率を互いに独立に設定する設定ステップと、を具備し、前記第1の符号化ステップで使用される符号化率は、前記第2の符号化ステップで使用される符号化率よりも小さく設定されるようにした。
【0039】
これらの方法によれば、MIMO通信のように複数のアンテナ(送信系統)からそれぞれ異なるデータを並列送信する場合に、各送信系統の状況に応じ変調多値数または符号化率を変えて送信を行うことができるので、周波数利用効率を維持しつつ、受信データの誤り率特性を向上させることができる。
【0040】
本発明の無線送信システムは、互いに異なる信号の変調処理をそれぞれ行う第1および第2の変調手段と、変調後の信号をそれぞれ無線送信する送信手段であって前記第1および第2の変調手段にそれぞれ対応する第1および第2の送信手段と、前記第1および第2の変調手段における変調多値数を互いに独立に設定する設定手段と、を具備し、前記第1の変調手段で使用される変調多値数は、前記第2の変調手段で使用される変調多値数よりも小さく設定される構成を採る。
【0041】
本発明の無線送信システムは、互いに異なる信号の符号化処理をそれぞれ行う第1および第2の符号化手段と、符号化された信号をそれぞれ無線送信する送信手段であって前記第1および第2の符号化手段にそれぞれ対応する第1および第2の送信手段と、前記第1および第2の符号化手段における符号化率を互いに独立に設定する設定手段と、を具備し、前記第1の符号化手段で使用される符号化率は、前記第2の符号化手段で使用される符号化率よりも小さく設定される構成を採る。
【0042】
これらの構成によれば、MIMO通信のように複数のアンテナ(送信系統)からそれぞれ異なるデータを並列送信する場合に、各送信系統の状況に応じ変調多値数または符号化率を変えて送信を行うことができるので、周波数利用効率を維持しつつ、受信データの誤り率特性を向上させることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
MIMO送信装置の複数のアンテナから送信される搬送波が経由する伝搬路環境は均一ではなく、中には伝搬路特性の悪い伝搬路が存在する。かかる場合、その伝搬路を介して送信されたデータは他チャネル干渉の補償をする際に雑音等により干渉補償誤差が生じ、受信データを復調する際の誤り率特性が低下してしまう。しかし、誤り率特性を向上させようとして、送信電力を大きくしたり、変調多値数を小さくしたり、符号分割多重数を少なくすると、今度は周波数利用効率または伝送効率が低下するためにシステム全体で見るとチャネル容量が減少するという結果となり好ましくない。
【0044】
本発明者は、この点に着目し、MIMO通信装置において送信系統ごとに変調方法または符号化方法を変えれば、周波数利用効率を犠牲にすることなく、受信信号の誤り率特性を改善することができることを見出して本発明をするに至った。
【0045】
すなわち、本発明の骨子は、MIMO通信のように複数のアンテナ(送信系統)からそれぞれ異なるデータを並列送信する場合に、受信側の回線品質等に応じて各送信系統において異なる変調方法または符号化方法を使用することである。これにより、例えば、回線品質(伝搬路環境)の悪い送信系統において使用されている変調多値数を小さくすることにより、回線品質を向上させることができるようになる。また、変調多値数の小さい送信系統から重要なデータを送信することで重要なデータの誤り率特性を向上させることができる。
【0046】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態1は、送信系統ごとに変調方法を変える場合であり、実施の形態2は、送信系統ごとに符号化方法を変える場合である。ここでは、本発明に係る無線送信装置および無線受信装置のアンテナがそれぞれ2本の場合を例にとって説明するが、本発明はアンテナ数が任意の場合に適用できる。
【0047】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線送信装置の構成を示すブロック図である。
【0048】
図1に示す無線送信装置は、符号化部101、S/P変換部102、変調部103、送信部104、アンテナ105、および変調制御部106を有する。このうち、変調部103−1からアンテナ105−1までを第1送信系統、変調部103−2からアンテナ105−2までを第2送信系統と呼ぶこととする。
【0049】
図1において、シリアルデータである送信信号1、2は、符号化部101に入力され、所定の符号化処理が施され、S/P変換部102に出力される。ここで、送信信号1は第1送信系統用のデータを示し、送信信号2は第2送信系統用のデータを示している。
【0050】
S/P変換部102は、符号化部101から出力されたシリアルデータを各送信系統に対応した並列化データ(サブストリーム)に変換し、変調部103−1および変調部103−2に出力する。
【0051】
変調部103−1は、S/P変換部102から出力されたサブストリームに対し変調制御部106から指定された変調方法で変調処理を施し、送信部104−1に出力する。同様に、変調部103−2は、S/P変換部102から出力されたサブストリームに対し変調制御部106から指定された変調方法で変調処理を施し、送信部104−2に出力する。
【0052】
送信部104−1、104−2は、変調部103−1、103−2から出力されたサブストリームに対しアップコンバート等の所定の無線送信処理を施し、アンテナ105−1、105−2を介してこのデータを無線送信する。また、変調制御部106から送信電力に関する制御信号が送られてきたときには、この制御信号に従い各送信系統における送信信号の電力を変化させる。
【0053】
変調制御部106は、回線品質に基づいて変調部103−1、103−2における変調方法を制御する。例えば、第1送信系統における変調方法が16QAMだった場合に、この送信系統から送信された信号が受信側において所定の誤り率特性を満たさないときは、第1送信系統における変調方法をQPSKとし、受信側の誤り率特性を向上させる。すなわち、本実施の形態においては、回線品質の悪い送信系統における変調多値数を小さくするような制御を行う。ここで、回線品質は、受信側から通知しても良いし、送信側で送信電力制御を行っている場合には、この送信電力を代わりに使用しても良い。
【0054】
図2は、上記の無線送信装置のアンテナ105−1、105−2から無線送信された信号を受信する無線受信装置の構成を示すブロック図である。この無線受信装置は、アンテナ151、受信部152、干渉補償部153、復調部154、選択部155、復号化部156、および復調制御部157を有する。
【0055】
図2において、受信部152−1、152−2は、2本のアンテナ151−1、151−2で受信した信号に対してダウンコンバート等の所定の無線受信処理を施した後、干渉補償部153に出力する。
【0056】
干渉補償部153は、まず、各アンテナで受信された信号に含まれるパイロット信号を用いてアンテナ105−1、105−2とアンテナ151−1、151−2間の伝搬路特性を推定(チャネル推定)する。すなわち、本実施の形態では送信側および受信側で共に2本のアンテナを用いているので、2×2=4個の伝搬路特性を推定することになる。次に、干渉補償部153は、推定された伝搬路特性情報に基づいて、受信部152−1、152−2から出力された信号を送信側の2本のアンテナ105−1、105−2から送信された元のサブストリームに分離する。つまり、受信された信号は送信側の2本のアンテナ105−1、105−2から送信されたデータが混ざり合ったものとなっているので、上記チャネル推定により得られた伝搬路特性を用いてこれら2つのデータを、例えば、2行×2列の伝搬路特性情報からなる行列の逆行列を受信信号に乗算することにより、互いに混ざり合ったデータを送信側から送られてきた2つのサブストリームに分離する。なお、サブストリームの分離方法としては、上記の逆行列演算による方法のみでなく、例えば、等化器の逐次判定を用いる方法、MLSE(Maximum Likelihood Sequence Estimation)法等もある。
【0057】
復調部154−1、154−2は、復調制御部157から指定された復調方法で干渉補償部153から出力された信号に対し復調処理を施し、復調後の信号を選択部155に出力する。
【0058】
選択部155は、復調部154−1、154−2から出力される受信信号のうち自機に対する受信信号を選択し、復号化部156に出力する。なお、復調部154−1、154−2から出力された受信信号が共に自機に対する信号であった場合は、選択部155は時分割で出力を行う。本実施の形態に係る無線受信装置は、基本的に2つの受信系統を必要とするが、選択部155を介することにより以降の処理を1系統で行うことができる。
【0059】
復号化部156は、選択部155から出力された信号に対し、所定の復号化処理を施し、所望の受信信号を得る。
【0060】
復調制御部157は、送信側の変調制御部106と同一のアルゴリズムを使用することにより、変調部103−1、103−2において使用された変調方法を求め、復調部154−1、154−2に通知する。
【0061】
以上の構成において、送信側では、変調部103−1で使用される変調方法と変調部103−2において使用される変調方法は互いに独立に設定される。これにより、例えば、第1送信系統で使用する変調多値数を第2送信系統で使用する変調多値数より小さく設定した場合、第1送信系統から送信される信号の受信側での誤り率特性を第2送信系統から送信される信号よりも向上させることができる。このとき、第1送信系統から重要なデータを送信することで重要データの誤り率特性を向上させることもできる。
【0062】
なお、第1送信系統で使用する変調多値数を第2送信系統で使用する変調多値数より小さく設定するのは、バースト的に一定期間のみ行っても良い。例えば、回線品質の悪い送信相手の数が少ない場合に、第1送信系統で使用する変調多値数を第2送信系統で使用する変調多値数より小さくする設定を常時行うのは、一方の送信系統の伝送効率を常に犠牲にしているということもでき、あまり効率的ではない。しかし、一定期間のみ上記の設定を行うことにより、この期間内において回線品質の悪い送信相手の受信側での誤り率特性を向上させ、他の期間内においては従来の通信方法を採ることにより、伝送効率および受信側での誤り率特性の両立を図ることができる。
【0063】
また、以上の構成において、変調制御部106は、回線品質に応じて変調部103−1、103−2で使用される変調方法を制御する。これにより、回線品質の劣悪な送信系統の変調多値数を小さく設定することができる。
【0064】
なお、ここでは、回線品質に応じて変調部103−1、103−2で使用される変調方法を制御する場合を例にとって説明したが、送信する元のデータの重要度に応じて変調部103−1、103−2で使用される変調方法を制御しても良い。例えば、通信システムの制御情報や再送情報等は重要なデータと考えられるので、変調多値数を小さく設定した送信系統から送信するように設定することができる。
【0065】
また、回線品質の代わりに、送信電力を使用しても良い。送信電力制御を行っている場合には、回線品質が劣悪な場合、送信電力は品質に応じ増加しているはずだからである。
【0066】
また、回線品質の代わりに、データの再送回数を使用しても良い。ARQ(Automatic Repeat reQuest)のような再送制御を行っている通信システムにおいては、回線品質が劣悪な場合、データの再送回数が増加しているはずだからである。
【0067】
また、以上の構成において、変調制御部106は、変調部103−1で使用される変調多値数よりも変調部103−2で使用される変調多値数を小さく設定した場合には、同時に送信部104−1に対し送信電力をアップする旨の制御信号を出力する。これにより、変調多値数を小さく設定することにより受信側の誤り率特性が向上された信号の送信電力をアップするため、変調多値数減および送信電力増の両方の効果が重畳されるので、より受信側の誤り率特性を向上させることができる。
【0068】
このように、本実施の形態によれば、複数の送信系統からそれぞれ異なるデータを伝送する場合に、送信系統ごとに異なる変調方法により変調処理を行うため、周波数利用効率を維持しつつ、受信装置において受信信号の誤り率特性を向上させることができる。
【0069】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係る無線送信装置の構成を示すブロック図である。なお、この無線送信装置は、図1に示した無線送信装置と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
本実施の形態の特徴は、回線品質に基づいて各送信系統の符号化方法(符号化率)を変化させることである。
【0071】
図3において、送信信号1、2は、符号化処理を施されることなく、S/P変換部102に入力され、各送信系統ごとのサブストリームに分離され、符号化部201−1、201−2に出力される。
【0072】
符号化部201−1は、S/P変換部102から出力されたサブストリームに対し符号化制御部202から指定された符号化率で符号化を行い、変調部103−1に出力する。同様に、符号化部201−2は、S/P変換部102から出力されたサブストリームに対し符号化制御部202から指定された符号化率で符号化を行い、変調部103−2に出力する。
【0073】
変調部103−1、103−2は、符号化部201−1、201−2から出力された信号に対し所定の変調処理を施し、送信部104−1、104−2に出力する。なお、本実施の形態では、変調部103−1、103−2は実施の形態1で示した変調制御部106の制御下にないが、変調方法は固定である必要はなく、例えばAMC(Adaptive Modulation and Coding)方式を採用する場合には適応変調をしていても良い。
【0074】
符号化制御部202は、回線品質に基づいて符号化部201−1、201−2における符号化率を決定し、制御信号を出力する。例えば、第1送信系統における当初の符号化率が1/2だった場合に、この送信系統から送信された信号が受信側において所定の誤り率特性を満たさないときは、第1送信系統における符号化率を1/3とし、受信側の誤り率特性を向上させる。すなわち、本実施の形態においては、回線品質の悪い送信系統における符号化率を小さくするような制御を行う。ここで、回線品質は、受信側から通知しても良いし、送信側で送信電力制御を行っている場合には、この送信電力を代わりに使用しても良い。
【0075】
図4は、本実施の形態に係る無線送信装置から無線送信された信号を受信する無線受信装置の構成を示すブロック図である。なお、この無線受信装置は、図2に示した無線受信装置と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
図4において、復調部154−1、154−2は、干渉補償部153から出力された信号に対し所定の復調処理を施し、復調後の信号を復号化部251−1、251−2に出力する。
【0077】
復号化部251−1、251−2は、復号化制御部252から指定された符号化率で、復調部154−1、154−2から出力された信号を復号化し、選択部155に出力する。以降の処理は実施の形態1と同様である。
【0078】
復号化制御部252は、送信側の符号化制御部202と同一のアルゴリズムを使用することにより、符号化部201−1、201−2において使用された符号化率を求め、復号化部251−1、251−2に通知する。
【0079】
以上の構成において、符号化部201−1、201−2において使用される符号化率は互いに独立に設定される。これにより、例えば、符号化部201−1において使用される符号化率を符号化部201−2において使用される符号化率より小さく設定した場合、第1送信系統から送信される信号の受信側での誤り率特性を第2送信系統から送信される信号よりも向上させることができる。このとき、第1送信系統から重要なデータを送信することで重要データの誤り率特性を向上させることもできる。
【0080】
また、以上の構成において、符号化制御部202は、回線品質に応じて符号化部201−1、201−2において使用される符号化率を制御する。これにより、回線品質の劣悪な送信系統の符号化率を小さく設定することができる。
【0081】
なお、ここでは、回線品質に応じて符号化部201−1、201−2において使用される符号化率を制御する場合を例にとって説明したが、送信する元のデータの重要度に応じて制御を行っても良い。例えば、通信システムの制御情報や再送情報等は重要なデータと考えられるので、符号化率を小さく設定した送信系統から送信するように設定することができる。
【0082】
また、符号化部201−1において使用される符号化率を符号化部201−2において使用される符号化率より小さくする設定は、バースト的に一定期間のみ行っても良い。これにより、例えば回線品質の悪い送信相手の数が少ない場合は常に上記設定を行うのは一方の送信系統の伝送効率を常に犠牲にしているのであまり効率的ではないが、一定期間のみ上記設定を行うことにより、この期間内において回線品質の悪い送信相手の受信側での誤り率特性を向上させ、他の期間内においては従来の通信方法を採ることにより、伝送効率および受信側での誤り率特性の両立を図ることができる。
【0083】
このように、本実施の形態によれば、複数の送信系統からそれぞれ異なるデータを伝送する場合に、送信系統ごとに異なる符号化率を使用するため、周波数利用効率を維持しつつ、受信装置において受信信号の誤り率特性を向上させることができる。
【0084】
なお、実施の形態1および実施の形態2は組み合わせて使用することも可能である。これにより、さらなる受信側での誤り率特性の向上を期待できる。
【0085】
本発明に係る無線送信装置および無線受信装置は、移動体通信システムにおける通信端末装置および基地局装置に搭載することが可能であり、これにより上記と同様の作用効果を有する通信端末装置および基地局装置を提供することができる。
【0086】
なお、ここでは、本発明に係る変調制御部または符号化制御部が無線送信装置に搭載され、送信側が各種設定を行う場合を例にとって説明したが、変調制御部または符号化制御部が無線受信装置に搭載され、受信側が各種設定を行い、この設定を送信側に通知する形態でも良い。
【0087】
また、本発明に係る無線送信装置および無線受信装置には、誤り訂正符号としてターボ符号を用いても良い。かかる場合、システマティックビットおよびパリティビットを用いてターボ復号を行った場合のターボ復号後のデータの誤り率特性に大きな影響を及ぼすシステマティクビットに対し、変調多値数を小さく設定した送信系統または符号化率を小さく設定した送信系統を割り当てる。これにより、システマティクビットの受信品質を向上させることができるので、ターボ復号後のデータの誤り率特性を向上させることができる。
【0088】
さらに、本発明に係る無線送信装置および無線受信装置は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)等のマルチキャリア方式を用いた移動体通信システムにおいても利用可能であり、これにより、上記と同様の作用効果を有する移動体通信システムを提供することができる。マルチキャリアを用いた伝送方式は、シンボルレートが低く(シンボル長が長く)設定されるため、マルチパス環境下においてマルチパスによる符号間干渉を低減する効果がある。また、ガードインターバルを挿入することにより、マルチパスによる符号間干渉を除去することもできる。
【0089】
さらに、ここでは、本発明を構成する各要素が1つの無線送信装置に装備されている場合を例にとって説明したが、本発明は、各送信系統および制御部がそれぞれ別の装置に装備され、全体として1つの通信システムを構成しているような場合においても適用可能である。
【0090】
さらに、ここでは、MIMO通信を例にとって説明したが、本発明はMIMO通信に限定されず、複数のアンテナ(送信系統)からそれぞれ異なるデータを並列送信する場合に適用し得る。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数のアンテナからそれぞれ異なるデータを伝送する場合に、周波数利用効率を維持しつつ、受信データの誤り率特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る無線送信装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1に係る無線受信装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態2に係る無線送信装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態2に係る無線受信装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
101、201 符号化部
102 S/P変換部
103 変調部
104 送信部
105、151 アンテナ
106 変調制御部
152 受信部
153 干渉補償部
154 復調部
155 選択部
156、251 復号化部
157 復調制御部
202 符号化制御部
252 復号化制御部
Claims (18)
- 互いに異なる信号の変調処理をそれぞれ行う第1および第2の変調手段と、
変調後の信号をそれぞれ無線送信する送信手段であって前記第1および第2の変調手段にそれぞれ対応する第1および第2の送信手段と、
前記第1および第2の変調手段における変調多値数を互いに独立に設定する設定手段と、
を具備し、
前記第1の変調手段で使用される変調多値数は、前記第2の変調手段で使用される変調多値数よりも小さく設定されることを特徴とする無線送信装置。 - 互いに異なる信号の符号化処理をそれぞれ行う第1および第2の符号化手段と、
符号化された信号をそれぞれ無線送信する送信手段であって前記第1および第2の符号化手段にそれぞれ対応する第1および第2の送信手段と、
前記第1および第2の符号化手段における符号化率を互いに独立に設定する設定手段と、
を具備し、
前記第1の符号化手段で使用される符号化率は、前記第2の符号化手段で使用される符号化率よりも小さく設定されることを特徴とする無線送信装置。 - 前記設定は、前記第1および第2の送信手段から無線送信される各信号の回線品質、重要度、または再送回数に基づいてされることを特徴とする請求項1または請求項2記載の無線送信装置。
- 前記第1の送信手段から無線送信される信号の回線品質が前記第2の送信手段から無線送信される信号の回線品質よりも悪い場合、前記第1の送信手段から無線送信される信号の重要度が前記第2の送信手段から無線送信される信号の重要度よりも高い場合、または前記第1の送信手段から無線送信される信号の再送回数が前記第2の送信手段から無線送信される信号の再送回数よりも多い場合、前記設定がされることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線送信装置。
- 前記第1の送信手段から無線送信される信号の重要度が前記第2の送信手段から無線送信される信号の重要度よりも高い場合の前記第1の送信手段から無線送信される信号とは、制御情報または再送情報であることを特徴とする請求項4記載の無線送信装置。
- 前記設定は、一定期間だけされることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線送信装置。
- 前記第1の送信手段に再送回数が多い送信相手が割り当てられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線送信装置。
- 前記第1の送信手段の送信電力は、前記第2の送信手段の送信電力よりも高く設定されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線送信装置。
- 前記第1および第2の送信手段から無線送信される信号の誤り訂正符号がターボ符号である場合、前記第1の送信手段から無線送信される信号は、システマティックビットであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線送信装置。
- 前記第1および第2の送信手段から無線送信される信号は、マルチキャリア化されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の無線送信装置。
- 異なる信号が多重された信号をそれぞれ無線受信する第1および第2の受信手段と、
無線受信された信号を多重前の異なる信号に分離する分離手段と、
分離された信号の復調処理を行う復調手段であって前記第1および第2の受信手段にそれぞれ対応する第1および第2の復調手段と、を具備し、
前記第1および第2の復調手段における変調多値数は、前記無線受信された信号の受信品質、重要度、または再送回数に基づいて互いに独立に設定されるとともに、前記第1の復調手段で使用される変調多値数は、前記第2の復調手段で使用される変調多値数よりも小さく設定されることを特徴とする無線受信装置。 - 異なる信号が多重された信号をそれぞれ無線受信する第1および第2の受信手段と、
無線受信された信号を多重前の異なる信号に分離する分離手段と、
分離された信号の復号化を行う復号化手段であって前記第1および第2の受信手段にそれぞれ対応する第1および第2の復号化手段と、を具備し、
前記第1および第2の復号化手段における符号化率は、前記無線受信された信号の受信品質、重要度、または再送回数に基づいて互いに独立に設定されるとともに、前記第1の復号化手段で使用される符号化率は、前記第2の復号化手段で使用される符号化率よりも小さく設定されることを特徴とする無線受信装置。 - 請求項1から請求項10のいずれかに記載の無線送信装置または請求項11もしくは請求項12記載の無線受信装置を具備することを特徴とする通信端末装置。
- 請求項1から請求項10のいずれかに記載の無線送信装置または請求項11もしくは請求項12記載の無線受信装置を具備することを特徴とする基地局装置。
- 互いに異なる信号の変調処理をそれぞれ行う第1および第2の変調ステップと、
変調後の信号をそれぞれ無線送信する送信ステップであって前記第1および第2の変調ステップにそれぞれ対応する第1および第2の送信ステップと、
前記第1および第2の変調ステップにおける変調多値数を互いに独立に設定する設定ステップと、
を具備し、
前記第1の変調ステップで使用される変調多値数は、前記第2の変調ステップで使用される変調多値数よりも小さく設定されることを特徴とする無線送信方法。 - 互いに異なる信号の符号化処理をそれぞれ行う第1および第2の符号化ステップと、
符号化された信号をそれぞれ無線送信する送信ステップであって前記第1および第2の符号化ステップにそれぞれ対応する第1および第2の送信ステップと、
前記第1および第2の符号化ステップにおける符号化率を互いに独立に設定する設定ステップと、
を具備し、
前記第1の符号化ステップで使用される符号化率は、前記第2の符号化ステップで使用される符号化率よりも小さく設定されることを特徴とする無線送信方法。 - 互いに異なる信号の変調処理をそれぞれ行う第1および第2の変調手段と、
変調後の信号をそれぞれ無線送信する送信手段であって前記第1および第2の変調手段にそれぞれ対応する第1および第2の送信手段と、
前記第1および第2の変調手段における変調多値数を互いに独立に設定する設定手段と、
を具備し、
前記第1の変調手段で使用される変調多値数は、前記第2の変調手段で使用される変調多値数よりも小さく設定されることを特徴とする無線送信システム。 - 互いに異なる信号の符号化処理をそれぞれ行う第1および第2の符号化手段と、
符号化された信号をそれぞれ無線送信する送信手段であって前記第1および第2の符号化手段にそれぞれ対応する第1および第2の送信手段と、
前記第1および第2の符号化手段における符号化率を互いに独立に設定する設定手段と、
を具備し、
前記第1の符号化手段で使用される符号化率は、前記第2の符号化手段で使用される符号化率よりも小さく設定されることを特徴とする無線送信システム。
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