JP4091274B2 - 止水部分離型逆止弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、揚水機場等に設置されるポンプの吐出口側に設けられる止水部分離型逆止弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、揚水機場には揚水のためのポンプが設置される。即ち揚水機場は、例えば図3に示すように、ポンプPの原動機Eを駆動して羽根車81を回転駆動することによって水槽80内の流体(雨水や下水処理水等)をケーシング83を介して水槽85内に揚水し、これを例えば河川等に放流するように構成される。また揚水機場は例えば河川等の水を農業用水や工業用水用の水路などに揚水して放流するような場合にも設置される。
【0003】
ところで上記揚水を目的とするポンプ機場において、ポンプPの停止方法は、電動弁87による常用停止と逆止弁89による非常停止の何れかによる。常用停止はポンプPの運転中にポンプ吐出口側に取り付けた電動弁87を閉じ、流れを完全に止めた後にポンプPを停止することによって行なわれる、いわゆる電気的制御システムによる停止方法である。一方非常停止は、不慮の災害や落雷などで停電になったとき、ポンプPの揚水能力と前記電動バルブ87の閉鎖能力が失われることによって生じる逆流をポンプ吐出口側に取り付けた逆止弁89によって防止する、いわゆる流体力による機械的停止方法である。
【0004】
ここで図4は従来の逆止弁89の一例を示す図であり、同図(a)は横断面図(同図(b)のA−A断面図)、同図(b)は側断面図である。同図に示すようにこの逆止弁89は、ケーシング91内に止水部93を設けて構成されている。即ちケーシング91内に止水部93を構成する二本の軸95,95を取り付け、これら軸95,95にそれぞれ止水部93を構成する弁体97,97を回動自在に固定し、ケーシング91内部に設けた開口101,101を前記弁体97,97によって塞ぐように構成している。なお開口101,101の弁体97,97が当接する面にはこの面を平面状にするためのシート部103,103が取り付けられている。
【0005】
そして従来の逆止弁89は、ケーシング91と止水部93とを一体物として製造するのが常で、鋳物製の場合、木型製作、鋳物鋳造、機械加工、組立、試験の工程を経て製品化されていた。
【0006】
しかしながら従来のケーシング91と止水部93とが一体型の逆止弁89は、内部が複雑な形状を呈しているため、木型が作りにくく、鋳造もしにくい。また内部の機械加工もケーシング91内部に機械をもぐり込ませ、狭い場所で困難な作業を強いられていた。そのため経済的にもコスト高になる傾向にあった。
【0007】
一方、この逆止弁89が経年してオーバーホールするときは、配管から逆止弁89全体を取り外して工場に搬入し、分解点検し、部品交換して、再組立を行ない、試験と性能チェックを行なって現地に戻して取り付けるのが常であった。またオーバーホールは相当の時間がかかり、その間この配管系統は通水できなくなることから、やむを得ず一部部品の交換や応急修理で済ませ、根本的な補修ができないまま放置する例もあった。一方あえて現地でオーバーホールを行なうと、錆などで嵌合部などが簡単に分解できなかったり、また、機械加工を要するシート部103(ケーシング91の開口部101に打ち込まれている)などの交換が不可能であったりして、機能回復に至らぬ場合が多かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、製造が容易で低コスト化が図れ、また現地で簡単に部品交換でき且つ機能回復が容易に行なえる止水部分離型逆止弁を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため本発明は、ポンプ吐出側の配管途中に取り付けられる逆止弁において、前記逆止弁は、流体の逆流を防止する止水部と、止水部を囲むケーシングとを具備し、ケーシングは、第一ケーシングと第二ケーシングとをボルト結合した構造であり、止水部は、弁体と、弁体を揺動自在に軸支する軸と、軸を取り付けるとともに弁体によって開閉される開口部と第一ケーシングに接続されるフランジとを有する胴体とを有し、第一ケーシングは、配管に接続されるフランジと止水部及び第二ケーシングに接続されるフランジとを具備し、第二ケーシングは、止水部全体を覆う形状であり、第一ケーシングに接続されるフランジと配管に接続されるフランジとを具備し、第一ケーシングを止水部の胴体に第二ケーシングの内部においてボルト結合することで、これら止水部と第一,第二ケーシングとを着脱自在に一体化したことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、第二ケーシングは、所定の数に分割できる構造に構成されていることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、第二ケーシングの内部には、止水部の弁体の背面に当接してその揺動量を制限するストッパーが設けられていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる止水部分離型逆止弁1を示す図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は側断面図、同図(c)は同図(b)の止水部10を矢印B方向から見た止水部矢視図である。この止水部分離型逆止弁1は、図3に示す逆止弁89と同様に、揚水機場等に設置されるポンプPのケーシング83の吐出口側に取り付けられるものであり、流体の逆流を防止する止水部10と、止水部10を囲むケーシング50(第一ケーシング51と第二ケーシング61)とを着脱自在に一体化して構成されている。以下各構成部材について説明する。
【0013】
ここで図2は止水部分離型逆止弁1の分解側断面図である。同図に示すように止水部10は略筒状であり、中央を横切る軸支持部材27の上下にそれぞれ開口部21,23を設けてなる胴体20と、胴体20の開口部21,23のそれぞれの上部に取り付けられる軸30,31(軸31は軸支持部材27に取り付けられる)と、軸30,31に揺動自在に軸支される弁体40,45とを具備して構成されている。
【0014】
なお胴体20の弁体40,45を取り付けない側の面には、胴体20をケーシング51に着脱自在に固定するためのフランジ25が設けられている。また開口部21,23は弁体40,45による閉鎖時の漏れ防止のため弁体40,45に密着するように傾斜した平面に形成されている。
【0015】
また両弁体40,45はそれぞれ胴体20の開口部21,23を覆う形状に形成され、その上部に2つずつの軸支持部33,35(図1(c)参照)を設け、これら軸支持部33,35において軸30,31に軸支されている。これら弁体40,45は平板状であって、補強のためにリブrを設けている。リブrの数と厚さは弁体40,45の閉鎖時の圧力に応じて容易に増減することができ、製造の自由度がある。
【0016】
そしてこの止水部10は、流体が図1(b)に示す矢印C方向から流れてくると両弁体40,45が軸30,31を中心に点線で示す位置まで回動して開口部21,23を開いて流体を流し、流体の流れが停止したり、矢印C方向とは逆方向に流れようとすると、両弁体40,45が開口部21,23を閉じ、これを阻止する。
【0017】
一方ケーシング50は、第一ケーシング51と第二ケーシング61とによって構成されている。第一ケーシング51は円筒状であって前記胴体20と同一の内径を有し、その両側にフランジ53,55を設けて構成されている。第二ケーシング61は円筒状であって前記止水部10の外径よりも大きい内径を有し、止水部10全体を覆う形状に構成されている。
【0018】
第二ケーシング61の両端もそれぞれフランジ63,65となっており、また第二ケーシング61の内部には上側の弁体40の背面に当接してその揺動量を制限する板状のストッパー67と、下側の弁体45の背面に当接してその揺動量を制限する棒状のストッパー69とを設置している。第一,第二ケーシング51,61は弁体40,45の閉鎖時の圧力上昇に耐え得る肉厚と形状に構成されている。
【0019】
そして図2に示す止水部10のフランジ25を第一ケーシング51のフランジ55に当接してボルトによって固定し、第二ケーシング61のフランジ63を第一ケーシング51のフランジ55に当接してボルト・ナットによって固定すれば、図1に示す止水部分離型逆止弁1が完成する。
【0020】
そしてこの止水部分離型逆止弁1は第一ケーシング51のフランジ53と第二ケーシング61のフランジ65とを、揚水機場等に設置されるポンプの吐出口側のパイプラインにボルト・ナットを用いて接続して使用される。
【0021】
なお第二ケーシング61は中央に設けたフランジ71,73によって二分割できるように構成されている。即ちケーシング50は包括内蔵する止水部10の組立分解を容易にするため機場に応じて所定の数に分割可能に構成されている。
【0022】
以上のように本発明にかかる止水部分離型逆止弁1は、止水部10とケーシング50の二構造物に分け、両者を個々に製造した後にボルト結合して一体化する構造としたので、逆止弁の製造時にケーシング内で従来行なっていた作業、例えば弁体が当接するシート面の加工作業や、弁体取り付けなどの組立作業及び塗装作業などが大幅に削減され、煩雑さが解消され、加工時間も短縮される。また経年後、止水部分離型逆止弁1のオーバーホールや交換時期を迎えても、心臓部の止水部10のみを現地で交換するだけでよいので、短時間に容易に元の機能を取り戻すことができる。
【0023】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、弁体の枚数が1枚あるいは3枚以上にも適用される。
【0024】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば以下のような優れた効果を有する。▲1▼止水部とケーシングの二構造物に分け、これらを着脱自在に一体化するように構成したので、製造時にケーシング内で従来行なっていた作業、例えばシート面の加工作業や、弁体取り付けなどの組立作業及び塗装作業などが大幅に削減され、煩雑さが解消されると同時に、加工時間も短縮される。加えて加工作業の単純化や均一化が図られ、量産して予めストックすることもできるので、大幅に製造時間やコストが短縮される。
【0025】
▲2▼経年後、止水部分離型逆止弁の痛みが激しくなってオーバーホールや交換時期を迎えても、心臓部の止水部のみを現地で交換するだけでよく、短時間に容易に元の機能を取り戻すことができ、且つ従来のように長時間工場に持ち帰る必要もないため、送水中止などの機場の機能停止状態を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる止水部分離型逆止弁1を示す図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は側断面図、同図(c)は同図(b)を矢印B方向から見た止水部矢視図である。
【図2】止水部分離型逆止弁1の分解側断面図である。
【図3】揚水機場のポンプPの周辺部分の状態を示す図である。
【図4】従来の逆止弁89の一例を示す図であり、同図(a)は横断面図(同図(b)のA−A断面図)、同図(b)は側断面図である。
【符号の説明】
1 止水部分離型逆止弁
10 止水部
20 胴体
21,23 開口部
25 フランジ
27 軸支持部材
30,31 軸
33,35 軸支持部
40,45 弁体
50 ケーシング
51 第一ケーシング
53,55 フランジ
61 第二ケーシング
63,65 フランジ
67,69 ストッパー
71,73 フランジ
Claims (3)
- ポンプ吐出側の配管途中に取り付けられる逆止弁において、
前記逆止弁は、流体の逆流を防止する止水部と、止水部を囲むケーシングとを具備し、
ケーシングは、第一ケーシングと第二ケーシングとをボルト結合した構造であり、
止水部は、弁体と、弁体を揺動自在に軸支する軸と、軸を取り付けるとともに弁体によって開閉される開口部と第一ケーシングに接続されるフランジとを有する胴体とを有し、
第一ケーシングは、配管に接続されるフランジと止水部及び第二ケーシングに接続されるフランジとを具備し、
第二ケーシングは、止水部全体を覆う形状であり、第一ケーシングに接続されるフランジと配管に接続されるフランジとを具備し、
第一ケーシングを止水部の胴体に第二ケーシングの内部においてボルト結合することで、これら止水部と第一,第二ケーシングとを着脱自在に一体化したことを特徴とする止水部分離型逆止弁。 - 第二ケーシングは、所定の数に分割できる構造に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の止水部分離型逆止弁。
- 第二ケーシングの内部には、止水部の弁体の背面に当接してその揺動量を制限するストッパーが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の止水部分離型逆止弁。
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