JP4090090B2 - 選択マーカー遺伝子を持たない形質転換体の作製方法 - Google Patents

選択マーカー遺伝子を持たない形質転換体の作製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵母の部位特異的組換えを用いて、選択マーカー遺伝子が欠失した形質転換体を作製する方法に関する。この方法を利用することにより、目的とする遺伝子を酵母に導入した後に、選択マーカー遺伝子を有しない酵母の形質転換体を得ることができる。
【0002】
【従来の技術】
現在までに多くの遺伝子導入方法が報告されているが、遺伝子導入効率が低いため、それらのいずれの方法も組換え体を選択するマーカーが必要である。選択マーカーとしては酵母などで用いられている栄養要求性の回復などがあるが、一般的には抗生物質などの薬剤に対する抵抗性遺伝子が用いられる。しかしながら、形質転換体を選択した後は組換え体の実用化における安全性の面などから、選択マーカー遺伝子を取り除くことが望ましい。また、効率良く利用できる選択マーカー遺伝子の種類が少ないことから同一個体を繰り返し形質転換するためにはマーカー遺伝子の再利用を行うことが望まれる。
【0003】
これらの問題を解決するために形質転換体から選択マーカー遺伝子を除くいくつかの方法が開発されている。例えば、コトランスフォーメーションの様に導入したい遺伝子と選択マーカー遺伝子を別のプラスミドまたはDNA断片上にのせ、別々の構成物として同時に細胞に導入する方法がある。この方法ではそれぞれの遺伝子が独立して存在するために、後代をとることにより、導入目的遺伝子を持つが選択マーカー遺伝子を持たない個体を得ることが可能である。また、トランスポゾンを利用する方法も開発されている。
【0004】
これらは遺伝子導入後、トランスポゾンを働かせることにより、導入目的遺伝子と選択マーカー遺伝子の連鎖をなくし、その後に先ほどの例と同じく後代をとることにより、導入目的遺伝子を持つが選択マーカー遺伝子を持たない個体を得ることが可能である。しかしながらこれらの方法は後代をとる必要があり、操作が煩雑で時間がかかる。また、後代をとることによるばらつきが生じ、実用的ではない。
【0005】
一方、部位特異的な組換えを利用した方法も開発されている。部位特異的組換えは組換えを行う酵素とその酵素が認識する特異的な塩基配列の2つの要素からなっており、組換え酵素は2個の認識配列間で組換えを引き起こすことが知られている。これらの組換えは認識配列の配置により、欠失、挿入、逆位などの現象を引き起こす。部位特異的な組換えとしてバクテリオファージP1由来のCre/lox、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のFLP/FRT、醤油酵母(Zygosaccharomyces rouxii)由来のR/RS、そして、バクテリオファージMu由来のGin/gixの4つが知られている。
【0006】
これらの系を用いた部位特異的組換えは数多く報告されている(Odell, J. T. and Russell, S. H., In : Paszkowski ( ed.) Homologous Recombination and Gene Silencing in Plants, pp 219-270, 1994 、Kluwer Academic Publishers, Netherlands 、Yoder, J. I. and Goldsbrough A. P., Bio/Technology , 12, 263- 267, 1994 )。例えば、出芽酵母のFLP/FRTの系を用いてメタノール酵母(Pichia pastoris )でマーカー遺伝子の切り出しが行われている(Cregg, J. M. and Madden, K. R. , Mol. Gen. Genet. 219, 320- 323, 1989 )。
【0007】
彼らはARG4遺伝子を選択マーカーとし、同方向に繰り返し配置したFRTの間にARG4遺伝子を組み込み、arg4変異株のメタノール酵母を形質転換した。その後、組換え酵素の遺伝子であるFLPを持つプラスミドを同じメタノール酵母に導入し、部位特異的な組換えを誘発し、選択マーカー遺伝子であるARG4の切り出しに成功している。この様に部位特異的な組換えをマーカーの切り出しに利用できることは既に報告されているが、Cregg らの例にもみられるように、部位特異的な組換えを誘発するために最初の形質転換体が得られた後、組換え酵素の遺伝子を導入し、部位特異的組換えを誘導するという方法が採られている。
【0008】
つまり、誘導には2回の形質転換が必要であり、さらにはそのための別の選択マーカーが必要となる。その他に報告されている部位特異的な組換えも組換え酵素遺伝子の導入は最初の形質転換体を得た後に行われており、再度の形質転換か、交雑による組換え酵素遺伝子の導入が必須である。
また、Araki らにより醤油酵母のプラスミドpSR1に部位特異的組換えの機構が存在することが明らかになっている(Araki, H., et al J. Mol. Biol., 182, 191-203, 1985)。
【0009】
プラスミドpSR1は、6251bpからなる環状プラスミドで、分子中に959bpからなる一対の逆向き反復配列を持ち、この逆向き反復配列間で部位特異的組換えを起こすことが知られている。この逆向き反復配列内の組換え部位は、7bpのスペーサー配列を挟む12bpの短い逆向き反復配列から構成され、さらに、片側には、4個の同じ12bp配列の繰り返しが続く。部位特異的組換えは、プラスミド自身にコードされた組換えを行う酵素(R蛋白質)が、逆向き反復配列内の組換え部位に存在する特異的な塩基配列であるR認識配列に結合することによって起こる。
【0010】
なお、R認識配列(RS配列)としては、7bpのスペーサー部分と12bpの逆向き反復配列からなる31bpの配列が知られている(Matsuzaki, H., et al. Biosci. Biotech. Biochem., 58, 1632-1637, 1994)。この配列を配列表・配列番号1に示す。しかしながら、31bpのR認識配列を用いて部位特異的組換えを行うと、組換え後の構造として、染色体あるいはプラスミドDNA中に部位特異的酵素の認識配列が残り、目的としない組換えを誘導する可能性があることから実用的ではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、部位特異的組換えにより選択マーカー遺伝子を除去した後に残存する配列が、R遺伝子産物により認識されにくい配列となるDNA構成物を作製し、該DNA構成物を用いて形質転換を行うことにより、選択マーカー遺伝子を欠失した形質転換体を作製する方法を提供することを課題とした。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、誘導性プロモーターの制御下に配置されたR遺伝子と発現可能な選択マーカー遺伝子とを挟む、同方向に配置された1対のR認識配列を含んで成るDNA断片の両端に、酵母染色体DNAとの間で組換えが可能なDNA断片が連結されているDNA構成物において、前記R認識配列が次の塩基配列:
【0013】
【化2】
Figure 0004090090
【0014】
を含んで成るか又はこれと実質的に同一な配列を含んで成り、但し前記R遺伝子の近傍に位置するR認識配列は該R遺伝子に近接する側とは反対側に存在する逆向き反復配列のスペーサー配列から遠位の側の10個以下の塩基が欠けており、そして選択マーカー遺伝子の近傍に位置するR認識配列は該選択マーカー遺伝子に近接する側とは反対側に存在する逆向き反復配列のスペーサー配列から遠位の側の10個以下の塩基配列が欠けていることを特徴とするDNA構成物を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明においては、1対のR認識配列の内、R遺伝子(例えば図7におけるRgene)の近傍に位置するR認識配列(例えば図7におけるRS4)は、該R遺伝子に近接する側とは反対側に存在する逆向き反復配列(例えば化1における逆向き反復配列(2);ちなみに図7におけるRS4は左側が3′−末端であり、右側が5′−末端である)において、スペーサー配列から遠位の側の10個以下の塩基配列が欠けている。
【0016】
また、他方のR認識配列は、選択マーカー遺伝子(例えば、図7における Geneticin耐性遺伝子)の近傍に位置し(例えば、図7においてRS304)、該選択マーカー遺伝子に近接する側とは反対側に存在する逆向き反復配列(例えば化1に示す逆向き反復配列(1);ちなみに、図7におけるRS304は左側が3′−末端であり、右側が5′−末端である)において、スペーサー配列から遠位の側の10個以下の塩基配列が欠けている。
【0017】
1例として、配列番号:4に示すRS4は、化1(配列番号:1)に示す配列の内、12個の塩基から成る逆向き反復配列(2)の内の6塩基が欠けている。また、配列番号:16中の5′−末端の5塩基及び3′−末端の5塩基(これらは制限酵素認識部位であってR認識配列の部分ではない)を除く中央の3ブロックの配列が図7におけるRS304配列であり、この配列においては、化1(配列番号:1)に示す逆向き反復配列(1)を構成する12個の塩基の内6個が欠けている。本発明のR認識配列において、上記の意味における欠けることができる塩基数は、スペーサー配列に隣接する反復配列を構成する塩基(計12個)の内の10個以下であり、例えば8個まで、好ましくは6個までである。塩基が10個より多く欠けると、DNA組換えの可能性が極めて低くなり好ましくない。
【0018】
上記のごとく、本発明のR認識配列は、化1(配列番号:1)に示す配列を含んで成るが、その一方の側の逆向き反復配列において、上記のごとく短縮されている。しかしながら、短縮された逆向き反復配列とは反対側の逆向き反復配列では12個の塩基がそのまま維持されていることが望ましく、さらに1〜4個の反復配列が連結されて延長されていてもよい。ちなみに、前記のごとく、天然のR認識配列においては、化1(配列番号:1)に示す配列の各端が、さらに4個づつの反復配列により延長された構造を有しており、本発明のR認識配列においても、前記のごとく短縮された反復配列の側とは反対の反復配列は、天然配列と同様に複数回反復していてもよい。
【0019】
本発明のR認識配列は、上に定義した配列を有するものの他に、それと実質的に同じ塩基配列を有するものも含まれる。ここで「実質的に同じ配列とは、上記に定義した配列に対して、スペーサー配列以外の部分において、およそ1個の塩基の置換、欠失又は付加により修飾されている塩基配列を意味する。
上記のごとき一対のR認識配列を有するDNA構成物に対して、R遺伝子産物が作用すれば、例えば図10に示すようにDNAの組換えが生ずる。すなわち、1対のR認識配列(例えば図7におけるRS4とRS304は図9に示すごとく配置され、図10の(A)に示すごとく、RS4配列とRS304配列がオーバーラップする領域内(例えば、図10(A)において2本の交線で示す位置)において組換えが生ずる。
【0020】
その結果、R遺伝子及び選択マーカー遺伝子が除去されると共に、一方のR認識配列(例えばRS4)の短縮された側の部分と、他方のR認識配列(例えば、RS304)の短縮された側の部分とが融合した配列が再構成される。この再構成された配列は、スペーサー配列の両端に短縮された逆向き反復配列を有しており、例えばRS4配列とRS304配列とからは、図10(B)(配列番号:5)に示すRS4W配列が生ずる。
【0021】
実施例1に示すごとく、スペーサー配列を中心にして、一方の側の逆向き反復配列のみが短縮されたR認識配列はR遺伝子産物の作用によって組換えを生ずるが、両側の逆向き反復配列が短縮された場合(例えば、RS4W配列)にはR遺伝子産物の作用による組換が生じにくくなる。
R遺伝子を発現させるための誘導性プロモーターとしては、酵母細胞中で機能する任意の誘導性プロモーターを使用することができ、例えばガラクトースにより誘導されるGAL1プロモーター、銅により誘導されるCUP2プロモーター、熱ショックにより誘導される熱ショック蛋白質遺伝子のプロモーター、低リン酸濃度により誘導されるPHO5プロモーター等が使用可能である。
【0022】
また、選択マーカー遺伝子としては、酵母において使用される任意の選択マーカー遺伝子を用いることができ、例えばゲネチシン含有培地で選択可能なゲネチシン耐性遺伝子、セルレニン耐性遺伝子等を使用することができる。
酵母の染色体との間で組換えが可能なDNA断片は、酵母染色体上の遺伝子の一部分と相同性を有するDNA断片であり、酵母染色体上の遺伝子としては、その遺伝子が破壊されても酵母の増殖が阻害されない遺伝子であって、例えばプロテアーゼA遺伝子、リボソームDNA遺伝子、CYC7遺伝子等、が挙げられる。
【0023】
本発明はまた、上記のDNA構成物を用いる、酵母の形質転換方法を提供する。この方法においては、
【0024】
(1)前記のDNA構成物を酵母細胞に導入し、該DNA構成物の両端に存在する酵母の染色体との間で組換え可能なDNA配列と酵母染色体DNAとの間の組換えにより、該DNA構成物を酵母染色体に組み込み、
(2)前記発現可能な選択マーカー遺伝子の発現により、前記DNA構成物が酵母染色体に導入された酵母細胞を選択し、
(3)前記誘導性プロモーターを誘導することによりR遺伝子を発現せしめ、これによって前記1対のRS配列間において組換えを起こし、前記誘導性プロモーターの制御下に配置されたR遺伝子と発現可能な選択マーカー遺伝子とを切除する。
【0025】
この形質転換操作は複数回反復することができ、これにより、下記に説明するように、同一の選択マーカーを用いて多数の目的遺伝子を酵母の染色体に導入することができる。
上記の方法において、DNA構成物はそれ自体からなる、もしくはそれ自体を含むDNA断片として、又は該DNA構成物が挿入されたプラスミドの形で酵母細胞中に導入することができる。この導入は、すでに知られている任意の方法、例えば酢酸リチウム法、塩化リチウム法、プロトプラスト法等により行うことができる。
【0026】
同方向に配置したR認識配列の間にR遺伝子と発現可能な選択マーカー遺伝子を配置したDNA構成物、例えばDNA断片、プラスミド、その他のベクター等を用いて形質転換を行うが、その際、前記のごとく定義される1対のR認識配列を用いることにより、組換え後に残存する配列がR遺伝子により認識されにくい配列になり、目的としない組換えを誘導する可能性が低減し、形質転換体から選択マーカー遺伝子を特異的に除去し、目的とする形質転換体を得ることができる。さらに詳しくは、R認識配列として、5’側のR認識配列の5’側を1bpないし10bp欠失させたもの及び/又は3’側のR認識配列の3’側を1bpないし10bp欠失させたものを用いることにより、組換え後に残存する配列が、R遺伝子により認識されにくい配列になり、目的とする形質転換体を得ることができる。
【0027】
本発明の方法を用いることにより、後代をとったり、再度の形質転換や交配などの操作を伴うことなく、選択マーカー遺伝子の除去が可能となった。また、選択マーカー遺伝子に関する安全性評価を省略することも可能となった。さらに、選択マーカー遺伝子が欠失した形質転換個体を用いて、再び同じ選択マーカー遺伝子を用いた形質転換が可能となり、複数の遺伝子を繰り返し導入することも可能となる。
本発明の方法は、例えば有用な蛋白質をコードする目的遺伝子Aを酵母の染色体に導入する場合に、次のようにして用いることができる。
【0028】
本発明のDNA構成物においては、前記のごとく配列された1対のR認識配列(RS配列)を含んで成るDNA断片の両端に、1対のR認識配列を挟むように、酵母の染色体DNAとの間で組換えが可能なDNA断片(酵母染色体組換え領域と称する場合がある)が直接に又は間接に連結されている。R認識配列と右又は左ボーダーとが間接的に連結されている場合には、それらの間に酵母の染色体に組み込むべき目的とする遺伝子が挿入されている(図11を参照のこと)。
このDNA構成物が酵母に導入されれば、このDNA構成物の酵母染色体組換え領域と酵母の対応する染色体遺伝子との間で組換えが生じ、DNA構成物が全体として酵母染色体DNAに組み込まれる。
【0029】
次に、この酵母を、R遺伝子のプロモーターを誘導する条件下で培養すればR遺伝子産物が生産され、これがR認識配列(RS配列)に作用して、1対のR認識配列間で前記のごとき組換えが生じ、これら1対のR認識配列に挟まれた領域(R遺伝子及びマーカー遺伝子を含む)が除去され、組換えにより融合した(両端が短縮された)R認識配列と酵母染色体組換え領域との間の目的遺伝子が酵母染色体遺伝子に組み込まれたまま残る。そして、上記の両端が短縮されたR認識配列はもはや組換えを生じないから、挿入された目的遺伝子は酵母染色体中に安定に維持される。
【0030】
すなわち、本発明によれば、目的遺伝子が酵母染色体に挿入された後マーカー遺伝子(及びR遺伝子)が除去され、且つR認識配列が機能できなくなる。従って、目的遺伝子を1回導入した後、同じマーカー遺伝子を含有する遺伝子導入用ベクター(本発明のDNA構成物)を用いて、さらなる目的遺伝子の導入を行うことができる。
【0031】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、それらの実施例は例示を目的として提供されているだけであって本発明の範囲を限定することを意図しているものではない。実験の手順は特に記述しない限り、SambrookらのMolecular Cloning (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989 )に従った。
実施例1. 部位特異的組換え酵素認識配列の解析
(1)プラスミドの構築
R遺伝子発現用プラスミドとして、pHM153(Matsuzaki, H., et al., J. Bacteriol., 172, 610-618, 1990)のR遺伝子とGAL1プロモーターを含む HindIII−Sal I 断片を、YEplac195(Gietz, R. D. and Sugino, A., Gene, 74, 527-534, 1988)のマルチクローニングサイトのHindIII ーSal I 間に挿入し、Ura+ 形質でR遺伝子の上流にGAL1プロモーターを持つR蛋白質生産プラスミドpHM999を作製した。これを図1に示す。
【0032】
次に、組換え検出用のプラスミドとして、LEU2遺伝子の両端に2個のRS配列(おのおのRS−A、RS−Bと称する)部位を持つプラスミドpSRT117(Araki, H., et al., J Mol. Biol., 225, 25-37, 1992 )のLEU2遺伝子を含むHindIII −BglII 断片を、YCplac22(Gietz, R. D. and Sugino, A., Gene, 74, 527-534, 1988)のTRP1遺伝子を含むHindIII −BamHI 断片に連結し、Trp+ Leu+ 形質のpODA2を作製した。これを図2に示す。
【0033】
このプラスミドはR遺伝子の働きにより2個のRS間で組換えが起こるとLEU2遺伝子を含む5.7kbのプラスミドとTRP1遺伝子を含む4.5kbのプラスミドに分かれる。LEU2遺伝子を含むプラスミドは、選択圧をかけない状態においては自己複製能を持たないので細胞から脱落し、細胞はLeu- の表現型を示す。つまり、R遺伝子による組換えはこれら細胞のロイシンの要求性を調べることによってわかる。
【0034】
次に、pODA2のRS−Aの野生型RSを、制限酵素部位HindIII と、XbaIまたはBamHI とを利用し、合成DNAにより作製された種々のRSに置き換えたプラスミドを作製した。用いた合成DNAの配列は以下に示す通りであるが、4個の繰り返し配列を欠失させたRS1を基にして、RS1の逆向き反復配列の一方を徐々に欠失させた種々のRS、その合成段階においてできたと考えられる点突然変異を持つRS1M、RS2M、RS4MおよびRS1の逆向き反復配列の両方の一部を欠失させたRS4Wである。
【0035】
RS1 TTGATGAAAGAA TACGTTA TTCTTTCATCAA (配列番号:1)
RS2 TTGATGAAAGAA TACGTTA TTCTTTCATC (配列番号:2)
RS3 TTGATGAAAGAA TACGTTA TTCTTTCA (配列番号:3)
RS4 TTGATGAAAGAA TACGTTA TTCTTT (配列番号:4)
RS4W AAAGAA TACGTTA TTCTTT (配列番号:5)
RS5 TTGATGAAAGAA TACGTTA TTCT (配列番号:6)
RS6 TTGATGAAAGAA TACGTTA TT (配列番号:7)
RS7 TTGATGAAAGAA TACGTTA (配列番号:8)
RS1M TTGATGAAAGAA TACGTTA T CTTTCATCAA (配列番号:9)
RS2M TTGATGAAAGAA TA GTTA TTCTTTCATC (配列番号:10)
RS4M TTGATGAAATAA TACGTTA TTCTTT (配列番号:11)
【0036】
以上の配列は合成DNA作製時に5′側にHindIII 認識部位を、3′側にXbaIまたはBamHI 認識部位とを導入し、同時に合成した逆鎖の配列とアニーリング後、pODA2 のHindIII 部位と、XbaIまたはBamHI 部位との間に導入した。RS1、RS2、RS3、RS4、RS4W、RS5、RS6、RS7、RS1M、RS2M又はRS4Mを導入したプラスミドをそれぞれpODA21、pODA22、pODA23、pODA24、pODA24W、pODA25、pODA26、pODA27、pODA21M、pODA22M又はpODA24Mと名付けた。 また、同様に、pODA2のRS−Bの野生型RSを合成DNAにより作製された次のRSに置き換えたプラスミドを作製した。
【0037】
RS201 TTGATGAAAGAA TACGTTA TTCTTTCATCAA (配列番号:12)
RS201配列は合成DNAの作製時に5′側にSalI認識部位を、3′側にSacI認識部位を導入し、同時に合成した逆鎖の配列とアニーリング後、pODA2のRS−Bの野性型RSに置き換えた。
RS−AをRS1で置き換え且つRS−BをRS201で置き換えたプラスミドをpODA21201と名付け、そしてRS−AをRS4で置き換え且つRS−BをRS201で置き換えたプラスミドをpODA24201と名付けた。
【0038】
(2)In vivoにおける組換え頻度の検討
まず、pHM999によりKA311A株(MAT a trp1 leu2ura3 his3)をUra+ に形質転換し、この株に225bpの野生型組換え部位を持つpODA2を導入し、Ura+ Trp+ Leu+ 株を選択した。この株をUra- Trp- の選択圧をかけた50g/L濃度のガラクトースまたはグルコース液体培地で30℃で一晩培養し、pHM999上のR遺伝子を発現させて、pODA2内の2個のRS間で組換えを誘導した。
【0039】
培養液を希釈しUra- Trp- 選択培地に塗布し、28℃で2日間静置培養した。これをLeu- 選択培地にレプリカしコロニーを数えた。Ura- Trp- 選択培地で増殖し、Leu- 選択培地で増殖しない細胞が組換えが起こった細胞である。
また、同様に、実施例1(1)において作製した種々のプラスミドを、pHM999を持つ株に導入し、ガラクトース培地及びグルコース培地における組換え頻度を調べた。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0004090090
【0041】
表1に示す通り、pODA2では、ガラクトース培地においては100%の効率で切り出しが起こった。また、グルコース培地においても26%の効率で切り出しが起こった。
さらに、pODA2を持つ株とpODA21を持つ株との間ではガラクトース培地、グルコース培地ともに切り出し頻度に差は見られなかった。従って4個の繰り返し配列は、少なくとも切り出しにおいては必要でないと考えられる。
【0042】
また、ガラクトース培地では、pODA21、pODA22、pODA23及びpODA24においてはほぼ100%の頻度で切り出しが起こったが、pODA25でその頻度が急激に低下し、pODA26及びpODA27ではほとんど切り出しが起こらなかった。グルコース培地では、pODA21及びpODA22はpODA2と同程度の切り出し頻度であった。これらのことより、組換えには、逆向き反復配列の一方は2bp以上存在することが望ましいことがわかった。
【0043】
一方、RSに点突然変異を持つプラスミドで、スペーサー部分に変異点を持つpODA22Mとスペーサー部分近くに変異点をもつpODA21Mは切り出しはほとんど起こらず、pODA24Mでガラクトース培地において48%の頻度で切り出しが起こった。従って、効率のよい組換えにはスペーサー部分が保存されていることが必須であると言える。
pODA24Wを持つ株ではガラクトース培地において37%の頻度で切り出しが起こり、pODA24を持つ株との間で組換えの頻度に大きな差が見られた。このことは、両方の反復配列の欠失が一方のみと比べ組換え能が大きく低下することを示している。
【0044】
(3)In vitroにおける組換え頻度の検討
一方、大腸菌で生産し部分精製したR蛋白質を用いて、in vitroにおける変異RSを持つプラスミドでの組換え頻度を調べた。in vitroにおける組換え効率の測定は以下の方法に従った。50mM Tris−HCl(pH7.4)10mM MgCl2 からなる反応液100μl中にDNAと1μlの大腸菌で生産し部分精製したR蛋白質(Biore x 70 画分:Araki, H., et al., J Mol. Biol., 225, 25-37, 1992 )を加え、30℃で30分間反応させた。エタノール沈殿を行った後、適当な制限酵素で切断し、アガロース電気泳動で確認した。結果を前記の表1に示す。
【0045】
pODA2、pODA21、pODA22及びpODA21201では組換え頻度は高く、pODA23ではごく僅かではあるが切り出しが検知できる。pODA24ではR蛋白質量を2〜6倍に増加させると切り出しが検知できる。pODA24W、pODA25、pODA26、pODA27、pODA21M、pODA22M、pODA24M及びpODA24201では切り出しは検知されなかった。
【0046】
実施例2. 出芽酵母のプロテアーゼA遺伝子の破壊
(1)R認識配列を含むプラスミドpRS304−4の構築
R認識配列をプラスミドに導入するために4種類のオリゴヌクレオチドを合成した。
(RS4-S )5'-C TTGATGAAAGAA TACGTTA TTCTTT G-3' (配列番号:13)
(RS4-L )5'-AATTC AAAGAA TAACGTA TTCTTTCATCAA GAGCT-3' (配列番号:14)
(RS304-S )5'-C TTGATGAAAGAA TAACGTA TTCTTT A-3' (配列番号:15)
(RS304-L )5'-AGCTT AAAGAA TACGTTA TTCTTTCATCAA GCATG-3' (配列番号:16)
【0047】
まず、市販のプラスミドであるpUC19を制限酵素EcoR I及びSac I で切断した。合成DNAであるRS4−S及びRS4−Lをアニーリングし、pUC19のEcoR IーSac I 断片とライゲーションすることにより、pRS4を構築した。さらにpRS4を制限酵素Sph I 及びHind IIIで切断し、合成DNARS304−S及びRS304−LとライゲーションすることによりプラスミドpRS304−4−4を構築した。これを図3に示す。
【0048】
(2)形質転換用プラスミドの構築
(2−1)プラスミド pRS153dB1の作製
R遺伝子発現用プラスミドpHM153中において、R遺伝子はガラクトースで発現が誘導されるプロモーター(GAL1プロモーター)で発現が制御されている。pHM153をBamHI で消化した後、DNA Blunting kit(宝酒造社製)を用いて平滑末端処理を行った。
【0049】
得られたDNA断片をセルフライゲーションすることにより得られたプラスミドをpHM153dBとした。また、実施例2(1)において得られたプラスミドpRS304−4−4をSmaIとSacIで消化した後、同様に平滑末端処理を行った。得られた約2.9kbのDNA断片に、pHM153dBをEcoR IとSalIで処理した後、同じく平滑末端処理を行って得られた約2.8kbのDNA断片を組み込んで得られたプラスミドをpRS153dB1とした。これを図4に示す。
【0050】
(2−2)プラスミドpPRA153dB1の作製
プラスミドpRS153dB1をEcoR IとHind IIIで消化して得られる約2.8kbのDNA断片と酵母(Saccharomyces cerevisiae )のプロテアーゼA遺伝子の全長を含むプラスミドpPRA1−2(Woodford, C.A., et al., Mol. Cell. Biol., 6, 2500-2510, 1988)をEcoR IとHind IIIで消化して得られる約4.2kbのDNA断片とを連結して得られるプラスミドをpPRA153dB1とした。これを図5に示す。なお、プラスミドpPRA1−2をEcoR IとHind IIIで消化して得られる約4.2kbのDNA断片には、プロテアーゼAの5’上流領域82bpおよび開始コドンであるATGを含むN末端アミノ酸残基136残基が欠けている。
【0051】
(2−3)プラスミドpPRAG418の作製
プラスミドpPRA153dB1をBamHI で消化した後、大腸菌(E.coli A19)のアルカリホスファターゼで脱リン酸化し得られたDNA断片に、プラスミドpIGZ2(Nakazawa, N., et al., J. Ferment. Bioeng., 73, 265-270, 1992)をBamHI で消化して得られる約2.4kbのDNA断片を連結し、プラスミドpPRAG418を作製した。これを図6に示す。このBamHI 断片には、酵母の構成的なプロモーターの一つであるグリセロアルデヒド 3リン酸脱水素酵素のプロモーターの下流に連結されたG418耐性を付与する遺伝子が含まれている。
【0052】
(3)研究室株を用いたマーカー遺伝子の除去
一倍体の酵母としてR27−7C−1C(MAT α trp1 leu2 his3 ura3)を用いた。酵母の形質転換はリチュウムクロライドを用いた方法(Kodama, Y., et al. , J. Am. Soc. Brew. Chem., 53, 24-29, 1995 )により行うことが可能である。実施例2(2−3) において得られたpPRAG418をSacIとNcoIで処理して得られた約5.8kbのDNA断片(約10μg)を酵母への組換えに使用し、形質転換体のゲネチシン耐性により選択した。すなわち、300μg/mlの濃度のゲネチシンを含むYPD寒天プレート(ペプトン2%、グルコース2%、酵母エキス1%、寒天2%)に上記形質転換操作をした酵母をまき、30℃で72時間インキュベートする。
【0053】
G418遺伝子を含む形質転換株のみがこの寒天培地で生育可能であるため、出現したコロニーを形質転換株として選択した。得られた形質転換体はガラクトースを含む培地で培養することにより、R蛋白質をコードする遺伝子が発現し酵母細胞内でR蛋白質が誘導生産される。生産されたR蛋白質はG418薬剤耐性遺伝子の両端に挿入された認識配列を認識し、この認識配列にはさまれた領域を切断除去することが可能である。そこで、得られた形質転換体のコロニーを10mlのYPGal(ペプトン2%、ガラクトース5%、酵母エキス1%)液体培地にて30℃、48時間培養し認識配列の組換えを誘導した。
【0054】
培養液を無菌水で10万倍に希釈した後、そのうちの20μlをYPD寒天培地にまき、30℃で48時間培養した。得られた約1万コロニーのうち11株を無作為に選択し、600μg/mlの濃度でゲネチシンを含むYPD寒天培地とゲネチシンを含まない同培地で、30℃、48時間それぞれ培養した。選択した11株は全てゲネチシンを含まない培地のみで生育が可能であり、選択マーカー遺伝子が除去されたと考えられる。
なお、ここで行われたプロテアーゼA遺伝子の破壊及び部位特異的組換えによる選択マーカーの除去について、図7にその概略を示す。
【0055】
(4)醸造用酵母を用いたマーカー遺伝子の除去
(4−1)1回目の形質転換
形質転換体の作出は研究室株を用いた場合と同じ方法で行った。宿主としては高次倍数体の醸造用株BH84(Kodama, Y., et al. , J. Am. Soc. Brew. Chem., 53, 24-29, 1995 )を用いたが、二倍以上の倍数性を持つ酵母であればいずれの酵母を用いても良い。得られた形質転換体のコロニーを、5%のガラクトースを含む10mlのYNB液体培地にて30℃、48時間培養した。
【0056】
ガラクトースを含む培地で培養することにより、R蛋白質をコードする遺伝子を発現させ酵母細胞内でR蛋白質を生産させる。R蛋白質はG418薬剤耐性遺伝子の両端に挿入されたR認識配列を認識し、このR認識配列部分を切断除去することが可能である。よって、5%ガラクトースを含む酵母最少培地(Yeast Nitrogen Base w/o amino acid (DIFCO 社))液体培地で48時間培養した後の培養液を純水で10万倍に希釈し、そのうちの20μlを5%ガラクトースを含むYNB寒天培地にまき、30℃で48時間培養した。
【0057】
得られた約1 万コロニーのうち125株を選択し、2%グルコースと600μg/mlのゲネチシンを含む酵母最少寒天培地とゲネチシンを含まない同培地で、30℃、48時間それぞれ培養した。そのうち、ゲネチシンを含む培地では生育できないが、ゲネチシンを含まない培地には生育可能な株が1株得られた。
【0058】
(4−2)2回目の形質転換
上記操作によって得られたプロテアーゼA遺伝子が1遺伝子破壊され、さらに耐性マーカーが欠失した株を基に2回目の形質転換を行った。コンピテント細胞の調製ならびにプラスミドpPRAG418を用いた形質転換はすべて1回目の形質転換と同条件にて行った。1回目の形質転換の時に用いたものと同じゲネチシンを含むYPD寒天培地で形質転換株の選択を行ったところ、5株のゲネチシン耐性を持つ形質転換株が得られた。
【0059】
上記操作により得られた5株の形質転換株から1株を選び、選択マーカー遺伝子の切断除去を行った。R蛋白質の誘導と選択マーカー遺伝子の除去は全て1回目の場合と同様に行った。その結果、600μg/mlのゲネチシンを含む培地では生育できないが、ゲネチシンを含まない培地では生育可能な株が3株得られた。
【0060】
(4−3)プロテアーゼA遺伝子の破壊
形質転換が成功し、プロテアーゼAをコードする染色体上の遺伝子が破壊されたことは、次のようなサザンブロット解析をすることにより確認することができる。R遺伝子を発現した後の形質転換株の染色体DNAを常法に従い抽出し、制限酵素Hind IIIで切断する。アガロースゲルにて泳動した後ニトロセルロースにブロッティングし、プロテアーゼAをコードするプラスミド(pPRA1−2)を制限酵素SacI-XhoI で切断した1.9kbpの断片をプローブとしてサザンブロットを行う。
【0061】
その結果、野性株では4.2及び1.2kbのバンドが検出され(図8のレーン1及び2)、一回目の形質転換では7.9及び1.2kbのバンドが検出され(図8のレーン3)、そしてR遺伝子を発現した後の形質転換体では3.7及び1.2kbのバンドが検出される(図8のレーン4)。バンドの濃淡から遺伝子破壊された染色体数が推定できる。このようにして、プロテアーゼA遺伝子の1遺伝子破壊株、2遺伝子破壊株を確認した。この結果を図8に示す。
【0062】
実施例3. リゾパス属由来グルコアミラーゼ遺伝子の野生型酵母への導入及 びその発現
酵母(Saccharomyces cerevisiae) AY-01株は2倍体である。グルコアミラーゼ遺伝子を導入する際、形質転換と部位特異的組換え配列でのマーカー遺伝子の切り出しを2回繰り返えすことにより、対立する両方の染色体の同じ位置にグルコアミラーゼ遺伝子のみを導入することが出来る。
【0063】
(1)形質転換用のプラスミド pUPRGA3 の構築
R認識配列をプラスミドに導入するために4種類のオリゴヌクレオチドを合成した。
(RS3-S) 5'-C TTGATGAAAGAA TACGTTA TTCTTTCA-3'(配列番号:17)
(RS3-L) 5'-AATTC TGAAAGAA TAACGTA TTCTTTCATCAA GAGCT-3'(配列番号:18)
(RS303-S) 5'-C TTGATGAAAGAA TAACGTA TTCTTTCA-3'(配列番号:19)
(RS303-L) 5'-AGCT TGAAAGAA TACGTTA TTCTTTCATCAA GCATG-3' (配列番号:20)
これらの合成DNAの5'末端をリン酸化したのち、RS3-S とRS3-L 、RS303-S とRS303-L をそれぞれアニーリングし、前者をpUC19 の制限酵素EcoRI-SacIサイトに、つづいて後者を制限酵素SphI-HindIIIサイトに挿入し、プラスミドpRS303-3を構築した。
【0064】
次に、pRS303-3を制限酵素SacI消化後Bulunting Kit (宝酒造( 株) 製)で末端を平滑化したのち制限酵素SphIで消化して得た2.7kb の断片と、プラスミドpPRACer11 (図12)を制限酵素SalIで消化後Bulunting Kit で末端を平滑化したのち制限酵素SphIで消化して得た2.7kb の断片とを連結し、プラスミドpRS303-3-Cerを得た。
pRS303-3-Cerの制限酵素SalIサイトに、pPRACer11 を制限酵素SalIで消化して得られる2.7kb 断片を挿入し、プラスミドpRCer303-3-1を構築した。
【0065】
pRCer303-3-1をHindIII で消化後、Bulunting Kit で末端を平滑化し、pSmaI linker(宝酒造( 株) 製)を挿入してpRCer303-3-2を構築した。
pUC19 を制限酵素EcoRI-HindIII で消化し、pRCer303-3-2を制限酵素SmaI-EcoRIで消化して得られる5.5kb 断片と、YEp24(Botstein, D., et al. Gene, 8,17,1979) のURA3遺伝子を含む1.1kb の制限酵素HindIII-SmaI断片とを連結して挿入し、pU5'RCerRS3 を構築した。
【0066】
pUC18 を制限酵素EcoRI 及びSphIで消化し、Bulunting Kit (宝酒造)で末端を平滑化したあと連結し、pUC18HSpを構築した。この制限酵素HindIII サイトにYEp24 のURA3遺伝子を含む1.2kb の制限酵素HindIII 断片を挿入し、pURA34を構築した。
pURA34のSmaIサイトにpEcoRI linker (宝酒造)を挿入してpURA35を構築し、これを制限酵素EcoRI で消化し、制限酵素HindIII で部分消化した2.8kb の断片とpU5'RCerRS3 の6.6kb の制限酵素HindIII-EcoRI 断片を連結し、プラスミドpUPRRS3 を構築した。
【0067】
pUPRRS3 の制限酵素SmaIサイトに、PYGA2269(Ashikari,T.,et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 30,535,1989 )の3.2kb の制限酵素HindIII 断片をBulunting Kit (宝酒造)で末端を平滑化したのち挿入しプラスミドpUPRGA3 を構築した(図13)。
このプラスミドでは、図13に示すとおり、URA3遺伝子のコード領域の下流に以下の遺伝子が挿入されている。
【0068】
A .構成的に発現される酵母グリセルアルデヒド3−リン酸脱水素酵素遺伝子(GAP) プロモーターにつないだグルコアミラーゼ遺伝子。これが本実施例において導入したい遺伝子である。
B .部位特異的組換え配列(RS303,RS3 )で挟まれた、マーカー遺伝子(PDR4;セルレニン及びシクロヘキシミド耐性遺伝子)および部位特異的組換え配列間の組換えを触媒する酵素のR遺伝子。R遺伝子はガラクトースで発現誘導されるようにGAL1プロモーターにつないでいる。これらの遺伝子は、形質転換株の選択の後、部位特異的組換え配列での組換えにより除去されるように設計した。
【0069】
(2)形質転換(その1)
形質転換には5μgのプラスミドpUPRGA3 を制限酵素HindIII で消化し、エタノール沈殿後、10μlのTE緩衝液に溶解してその全量を使用した。宿主として酵母(Saccharomyces cerevisiae)AY-01 株(a/α野生型)を用い、プラスミドpUPRGA3 の制限酵素HindIII 消化物でリチウム法により形質転換した。その後、1.0 %シクロヘキシミドを含むYPDプレートにひろげ、30℃で3日間培養してシクロヘキシミド耐性株を選択した。
【0070】
得られた約400 株の形質転換株のうち、4株(GA3-PDR4- #1 、#2 、#3 及び#4 )をサザンブロッティングで解析した。染色体は制限酵素HindIII で消化しURA3遺伝子をプローブとした。その結果、4株とも1.2kb と9.7kb の断片が検出された。これは親株のAY-01 株と比較すると、染色体の一方のURA3遺伝子の位置に8.5kb の挿入があることを示しており、上記のA 、B 両方が挿入されているものと考えられた。
【0071】
(3)マーカー遺伝子の切り出し(その1)
マーカー遺伝子を切り出すために、前記形質転換(その1)で得られた形質転換株(GA3-PDR4- #1 、#2 、#3 及び#4)1白金耳を合成培地(yeast nitrogen base w/o amino acid 6.7g 、ガラクトース2g /1L)10mlに植菌し、30℃で一晩振とう培養してR 遺伝子を誘導した。適当に希釈しYPD プレートにひろげて3日間30℃で培養した。これらのコロニーを各形質転換株由来のものから200 個ずつ計800 個選択し、YPD プレートおよび1.0mg/mlのシクロヘキシミドを含むYPDプレートにレプリカし、30℃で3 日間培養し、シクロヘキシミド耐性を調べた。
【0072】
その結果、3株(GA3-#1028、#1151及び#1171)のシクロヘキシミド感受性の株が得られた。これらの株をサザンブロッティングで解析した結果、GA3-#1028、#1151及び#1171の3 株では4.2kb と1.2kb の断片が検出され、一方の染色体のURA3領域に約3kb の挿入があることを示していた。これは形質転換株のマーカーが部位特異的組換えにより切り出され、グルコアミラーゼ遺伝子のみが挿入されていることを示している。
【0073】
(4)形質転換(その2)
GA3-#1028及び#1171を、前記形質転換(その1)と同様に形質転換した。形質転換株として前者由来のものが6株、後者由来のものが3株得られた。これらをサザンブロッティングで解析した。その結果、1株(GA3-PDR4-#135)は4.2kb と9.7kb の断片が検出された。これは一方の染色体のURA3遺伝子の位置にはA のみ、他方はA とB の両方が挿入されていることを示しており、すでに遺伝子が挿入されている染色体とはちがう染色体に新たに遺伝子が挿入されたものと考えられる。
【0074】
(5)マーカー遺伝子の切り出し(その2)
マーカー遺伝子の切り出し(その1)と同様にして、GA3-PDR4- #135 株を1日間ガラクトースを含む培地で培養し、R遺伝子を誘導した。800 個のコロニーを選択しシクロヘキシミド耐性を調べたが、シクロヘキシミド感受性の株はなかった。
そこでR遺伝子を誘導期間を2日間にし、そのうち400 株を選択してシクロヘキシミド耐性を調べた。その結果、7株(GA3-#5197、#5198、#5199、#5200、#6198、#6199及び#6200 )がシクロヘキシミド感受性になった。これらの株は誘導後まいたYPDプレート上で若干大きめのコロニーを形成していた。サザンブロッティングで解析したところ、4.2kb の断片が検出され、両方の染色体のURA3領域に約3kbの挿入があることを示しており、グルコアミラーゼ遺伝子のみが挿入されていると考えられた。
【0075】
(6)グルコアミラーゼ遺伝子の発現
親株AY-01 株とグルコアミラーゼ遺伝子導入株3株(GA3-PDR4- #1 、GA3-#1028及びGA3-#5197)をYPD培地に1白金耳植菌し、30℃で18時間培養した。培養液の一部を取り、遠心分離後の上清を用いてグルコアミラーゼ活性を測定した。測定は熱により糊化させた可溶性澱粉を用い40℃で反応させた後に遊離したグルコースの量を定量することにより測定した。
【0076】
グルコアミラーゼの酵素活性は40℃で1分間に1μmoleのグルコースを遊離する活性を1単位とした。その結果、親株であるAY-01 株ではグルコアミラーゼ活性を全く示さなかったが、グルコアミラーゼ遺伝子導入株3株、GA3-PDR4- #1 、GA3-#1028及びGA3-#5197では、培溶液上清1ml当たりそれぞれ0.173 、0.179 及び0.389 ユニットのグルコアミラーゼを分泌生産していた。
【0077】
【発明の効果】
以上のように酵母の部位特異的組換え機構を用いて形質転換体から選択マーカー遺伝子を除く技術が確立された。その結果、後代をとったり、再度の形質転換や交配などの操作を伴うことなく、選択マーカー遺伝子の除去が可能となった。また、本発明において定義する1対のR認識配列を用いることにより、組換え後に残存する配列がもはやR蛋白質により認識されにくい配列になることから、選択マーカー遺伝子除去後の形質転換個体を用いて再び、同じ選択マーカーを用いた形質転換が可能となった。
【0078】
このことは理論的には同じ選択マーカーをもちいて無限の遺伝子を同一個体に導入する技術が可能となったことを意味する。また、我々が発明した方法を用いることにより、形質転換体から選択マーカー遺伝子を特異的に除去できることから、組換え体の安全性評価においても選択マーカー遺伝子に関する評価を省略することが可能であり、育種された個体の産業利用において非常に有用な技術を提供することができる。
【0079】
【配列表】
Figure 0004090090
【0080】
Figure 0004090090
【0081】
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【0082】
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【0083】
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【0084】
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【0085】
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【0086】
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【0087】
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【0088】
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【0089】
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【0090】
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【0091】
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【0092】
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【0093】
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【0094】
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【0095】
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【0096】
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【0097】
Figure 0004090090
【0098】
Figure 0004090090

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、プラスミドpHM999の構造を示す図である。
【図2】図2は、プラスミドpODA2の構造を示す図である。
【図3】図3は、プラスミドpRS304−4−4の構造を示す図である。
【図4】図4は、プラスミドpRS153dB1の構築の概略を示す図である。
【図5】図5は、プラスミドpPRA153dB1の構築の概略を示す図である。
【図6】図6は、プラスミドpPRAG418の構築の概略を示す図である。
【図7】図7は、プロテアーゼA遺伝子の破壊及び部位特異的組換えによる選択マーカー遺伝子の除去についての概略を示す図である。
【図8】図8は、サザンブロット解析の結果を示し、電気泳動の結果を示す図面代用写真である。
【図9】図9は、1対のR認識配列内で組換えが生ずる際の1対のR認識配列の配置を示す。2本の交線(X記号)は組換えが生ずる部位を示す。
【図10】図10において、(A)は1対のR認識配列間で組換えが生ずる際のR認識配列の塩基配列の配置を様式的に示す図である。(B)は、Aに示す1対のR認識配列間で組換えが生じた際に生成するR認識配列の融合体の塩基配列を示す図である。
【図11】図11は、本発明の方法を用いて酵母の染色体に目的遺伝子を組み込む場合の方法を示す模式図である。
【図12】図12は、プラスミドpPRACerllの構造を示す図である。
【図13】図13は、プラスミドpUPRGA3の構造を示す図である。

Claims (6)

  1. 誘導性プロモーターの制御下に配置された醤油酵母( Zygosaccharomyces rouxii )由来のR遺伝子と発現可能な選択マーカー遺伝子とを挟む、同方向に配置された1対のR認識配列を含んで成るDNA断片の両端に、酵母の染色体DNAとの間で組換えが可能なDNA断片が直接又は間接に連結されているDNA構成物において、前記R認識配列が次の塩基配列:
    Figure 0004090090
    を含んで成り、但し前記R遺伝子の近傍に位置するR認識配列は該R遺伝子に近接する側とは反対側に存在する逆向き反復配列においてスペーサー配列から遠位の側の4個〜8個の塩基が欠けており、そして選択マーカー遺伝子の近傍に位置するR認識配列は該選択マーカー遺伝子に近接する側とは反対側に存在する逆向き反復配列においてスペーサー配列から遠位の側の4〜8個の塩基配列が欠けていることを特徴とするDNA構成物。
  2. 前記酵母の染色体DNAとの間で組換え可能なDNA断片と、その近傍にあるR認識配列との間に、酵母染色体に組み込むべき目的遺伝子が挿入されている、請求項1に記載のDNA構成物。
  3. プラスミド中に挿入されている請求項1又は2項に記載のDNA構成物。
  4. 酵母の形質転換方法において、
    (1)請求項1〜3のいずれか1項に記載のDNA構成物を酵母細胞に導入し、該DNA構成物の両端に存在する酵母の染色体との間で組換可能なDNA断片と酵母染色体DNAとの間の組換により、該DNA構成物を酵母染色体に組み込み、
    (2)前記発現可能な選択マーカー遺伝子の発現により、前記DNA構成物が酵母染色体に導入された酵母細胞を選択し、
    (3)前記誘導性プロモーターを誘導することにより醤油酵母( Zygosaccharomyces rouxii )由来のR遺伝子を発現せしめ、これによって前記1対のR認識配列間において組換えを起こし、前記誘導性プロモーターの制御下に配置された醤油酵母( Zygosaccharomyces rouxii )由来のR遺伝子と発現可能な選択マーカー遺伝子とを切除する、
    ことを特徴とする方法。
  5. 前記酵母の染色体DNAとの間で組換え可能なDNA配列と、その近傍にあるR認識配列との間に、酵母染色体に組み込むべき目的遺伝子が挿入されているDNA構成物を用い、該目的遺伝子を酵母染色体に挿入することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 請求項4に記載の工程(1)〜(3)を複数回反復することを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
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