JP4087934B2 - 測距装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オートフォーカス(AF)カメラ等に搭載され、周囲の温度変化に対して安定して測距を行う測距装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、カメラは真夏の海辺から真冬のスキー場まで温度差にすれば、数十度も変化するような様々環境下で使用されているため、搭載されている測距装置には大きな温度変化に対しても、安定した測距が得られることが要求される。
【0003】
従来技術としては、例えば特開昭58−27004号公報に記載されているような回路構成上でコンパレータの基準電圧を絶対温度に比例して変化させて周囲温度の影響を受けない測距装置が開示されている。
【0004】
また、特開昭60−235110号公報においては、測距装置にプラスチックにより一体成形された一対の結像レンズを使用し、その結像レンズの温度変化に関する種々のデータを内蔵して、回路から求めた絶対温度に従う電圧と、温度変化による抵抗値の変化に従う温度に依存した電圧とを比較し、記憶するデータに照らし合わせて、ピントずれ量分を補正し、周囲の温度による影響をキャンセルする技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した特開昭58−27004号公報に記載された技術は、カメラの電気回路部品の温度特性に対する発明であるため、回路部品以外の例えばレンズ系などの光学部品の温度変化などについては対応されてない。従って、近年多用されるようになった樹脂で結像レンズを成形した場合や枠を樹脂で成形した場合には、周囲の温度変化による変形に対して、何等補正することはできなかった。
【0006】
また、特開昭60−235110号公報においては、本来検出すべき温度変化は、測距装置の一対の結像レンズの温度であるが、この技術では、回路素子の温度変化に基づいて補正値を決定しているため、温度変化の検出を行う箇所により補正自体が不適当な場合も発生し、必ずしも正確に補正された測距が行われているとは限らなかった。
【0007】
そこで本発明は、簡単な構成により所望する構成部位の温度変化を直接的に検出し、正確な温度補償を可能とし、小型及び低コストで正確に被写体に焦点合せができる測距装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、被写体からの像信号を受光するための一対の受光レンズ及びイメージセンサと、該イメージセンサの出力信号を処理して測距データを出力する処理回路とからなる測距装置において、上記一対の受光レンズと上記イメージセンサとを保持する保持部を具備し、上記保持部の周辺の異なる位置に複数の温度検出素子を配すると共に、上記処理回路は、上記複数の温度検出素子の検出温度を、上記複数の温度検出素子と上記一対の受光レンズとの間のそれぞれの距離に応じて加重平均した結果に基づいて上記一対の受光レンズの温度を演算し、演算した温度に基づき出力を補正する測距装置測距装置を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1には、本発明によるカメラに搭載される測距装置の概念的な構成を示し説明する。
【0013】
この測距装置の測距ユニット4は、透明なプラスチック素材等の樹脂材から成形された1対の受光レンズ1a,1bを備え、それぞれの光路による視差をもって、被写体8の像の明暗に従った光電変換信号を出力する例えばイメージセンサと称されるセンサアレイ2a,2b上に結像させるように配置される。この視差による受像位置の相対位置差xが、距離Lを求める情報となる。
【0014】
これらのセンサアレイ2a,2bから出力された1対の像信号に基づき、CPUやA/D変換部を有するワンチップマイクロコンピュータからなる演算部10で上記相対像位置差xを求める。
【0015】
上記演算部10が2つの像信号を処理して、それらのパターンの一致度を調べることにより、相対像位置差xが求められるが、それらの関係は受光レンズの視差をB、受光レンズの焦点距離をfとする時、距離Lは、三角測距の原理による次(1)式
【0016】
【数1】
を用いて、演算部10により算出する。
【0017】
このような測距装置の小型化を図ろうとすると、視差B、焦点距離fも縮小されていくこととなるが、例えば、温度変化で受光レンズ1a,1bを構成する樹脂材が僅かに延び縮みするものと考えると、視差Bが正しい値から変化し、視差B1 となることが想定され、相対像位置差xは、次式のように変化する。
【0018】
【数2】
従って(1)式に、この相対像位置差x1 を代入すると、
【0019】
【数3】
となる。つまり、距離の誤差ΔLは視差Bの変化をΔBとする時、
【0020】
【数4】
となる。つまり、視差Bが小さい程、誤差が大きくなる。これは測距装置が小型になる程、温度変化に影響を受けやすいこと意味する。
【0021】
このように光学系等の変化によって、正しい測距ができなくなることを対策するために、本実施形態では、この光学系に接し、若しくは隣接して温度検出部6を設け、光学系の温度変化を検出し、演算部10の演算の際に測距結果を補正するものである。
【0022】
図1に示した測距ユニット4をAFカメラに搭載する場合、モータやドライバ回路からなるレンズ制御部7bを演算部10が制御して、撮影レンズ鏡胴7aを駆動して焦点調整するように構成する。また、サーミスタ等からなる温度検出部6の特性を予め調べておき、バラつきがある時には、電気的に書き換え可能なEEPROM等からなるメモリ9に、そのバラつき特性をデータとして記憶させておき、カメラで撮影した毎に、検出温度に基づくバラつきを焦点距離の演算に補正をかける。
【0023】
図2には、前述した測距ユニットをカメラに搭載したレイアウトの一例を示し説明する。図2(a)は、図1に示した測距ユニット4及びその周辺機器を示し、図2(b)は、カメラに搭載した場合の外観を示す。
【0024】
図2(a)においては、撮影レンズ鏡胴7aと、チップ化された演算部10と、受光レンズ1と、その保持部4aとセンサアレイ2を含むIC部3の配置関係を示している。これらの構成部位をカメラに組み付けた場合には、図2(b)に示すように、カメラ外装11aの内側にそれぞれ収納され、ファインダ対物レンズ13の隣に測距ユニットの受光レンズ1、その下方に撮影レンズ銅鏡7aが配置されている。また上面にはシャッタボタン12が配置されている。
【0025】
図2(b)に示したように、一般的には、測距ユニット4はカメラの最上部に配置される場合が多く、この最上部は日差し等に直接晒されており、温度変化の影響を受けやすい。
【0026】
従って、従来のように単に温度検出部をカメラ内部側に配置すると、実際の温度とは差が生じてくるため、測距誤差の発生を防止できない。そのため、温度検出部6は測距ユニットに近接させて配置しなければならない。
【0027】
図3及び図4には、本実施形態のより具体的な配置構成例を示す。
図3は、一体的に構成された測距ユニット4と温度検出部6をカメラ本体に組付ける際の外観を示し、図4は組み付け後の断面構造を示す。
【0028】
この構成では、測距ユニット4のIC部3をフレキシブル基板14に実装してある。このフレキシブル基板14は、コネクタ部15が設けられ、カメラ本体11に取り付けられた硬質な基板17のコネクタ部16に接続可能である。これらの接続によって、基板17に配置された演算部10に像信号が入力され、ピント合せ距離の演算を行うことができる。この基板17には、演算部10の他、カメラの測距機能以外の機能を制御するための回路や前述したEEPROMからなるメモリ9が実装される。
【0029】
図4に示すように、温度検出部6は、両面テープ18a,18bによって測距ユニット4の上面に密着させ、重なり合った上記コネクタ部15,16は、圧力が均一にかかるようにワッシャ19bを挟んでビス19aで留めてもよい。
【0030】
ここでは、カメラ本体11に、測距ユニット4と、ファインダ13が組みつけられる構造を示しているが測距ユニットの光学系の温度特性を測定するためのサーミスタ等の温度検出部6が、測距ユニットと同じフレキシブル基板上の非常にユニットに近接若しくは接触して実装されている。この構成により、測距ユニットに作用を及ぼす温度を正確に測定することができる。
【0031】
このように本実施形態では、フレキシブル基板の自由に曲げられる特徴を生かし、測距ユニット上面に回り込むように形成された延長部分に温度検出部6を実装して、測距ユニットに密着させることにより、測距ユニット自体の温度を直接的に検出し、温度変化による補正を行うための正確な温度を検出することが容易にできる。
【0032】
次に図5には、温度補正を行うために温度を測定する回路の一例を示す。AFユニットのIC部3が実装された基板14上に、温度に対して変化する抵抗6aと変化しない抵抗6bを実装する。これらの両端に電源電圧を加え、抵抗両端の電圧V1 ,V2 をコネクタを介して、演算部10に内蔵されたA/D変換部10aによって検出する。
【0033】
この時、抵抗6aの抵抗値が設計値からの温度変化ΔTに対し、ΔT・γ1 +γ2 という関係で変化し、抵抗6bの抵抗値が温度にかかわらず、γ3 であるとすると、
【0034】
【数5】
となる。従って、
【0035】
【数6】
を計算することによって、CPU10bは、ΔTを求めることができる。この構成において、コネクタ部の接触抵抗の影響を受けることなく、正しいΔTを求めることができる。
【0036】
また上記温度係数γ1 ,γ2 ,γ3 は、抵抗6a,6bの精度によって、バラつきを生じるので、この正確な値を予めメモリ9に記憶させておけば、図6に示すフローチャートで、常に正しい距離Lの算出が可能となる。
【0037】
つまり、測距する毎に像信号入力と共に電圧V1 ,V2 を測定し(ステップS1)、像信号を入力し(ステップS2)、像ずれ量xを算出し(ステップS3)、さらにメモリ9から読み出された温度係数γ1 ,γ2 ,γ3 を演算部10に出力し、演算部10では(6)式によりΔTを算出し(ステップS5)、このΔTによって、変化する上記視差Bの変化率βを加味して距離算出を行う(ステップS6,S7)。ΔTが測定された時、Bは
【0038】
【数7】
となるので、(2)式より、
【0039】
【数8】
を計算すれば、正しい測距結果Lが得られる。
【0040】
図7,図8参照して、このような温度補正システムを加えたカメラの製造工程について説明する。図7は、カメラを調整するための調整装置の外観を示している。
【0041】
カメラ11は固定台29上に固定され、その上方には、ヒータ24をとりつけた移動機構25が固定台29に対して鉛直方向(矢印A)に移動可能に設けられている。また固定されたカメラの測距ユニットに近接して、温度検出用センサ27が取り付けられている。
【0042】
また、カメラの側面には、カメラ内部の演算部等の回路と通信するためのコネクタ28が接続され、インターフェース部23を介して、パーソナルコンピュータ22と通信可能となっている。
【0043】
作業者20は、まず固定台29にカメラ11をセットし、パーソナルコンピュータ22を操作して、所定のプログラムに基づき自動的に調整を行い、その状態をモニタ21に表示させて、カメラ内のメモリ(EEPROM)9に正しくデータが書きこまれたか及び、測定された温度係数γ1 ,γ2 ,γ3 が正常な値であるか等を確認する。
【0044】
図8は、この調整工程をフローチャートとして表したものである。
本実施形態では、カメラを調整装置にセットすることは作業者が行うが、その後の処理はパーソナルコンピュータ22の制御によって自動的に行われる。
【0045】
まず、カメラを調整装置にセットし(ステップS11)、ヒータ24を上昇させた状態、つまり室温の時の温度検出部6の検出温度T1 の測定を行ない(ステップS12)、この時、カメラ内部の温度測定部を構成する抵抗の電圧V11,V21をカメラ11内部の演算部10で検出し、パーソナルコンピュータ22に入力する(ステップS1)。
【0046】
次に、ヒータ24による加熱を行なうが、これは、ヒータ24に流れる電流を多くしてもよいし、ヒータ24の上下動機構25を駆動して、下方に移動させてヒータ24をカメラ11に近づけてもよい(ステップS14)。
【0047】
これによって、温度モニタ27がT1 から10℃の温度上昇を観測すると(ステップS15)、この状態で再度、カメラ11内部の温度測定抵抗の電圧V12,V22を検出する(ステップS16)。
【0048】
このようにして、求められたV11,V21,V12,V22から、γ1 ,γ2 ,γ3 を求め(ステップS17)、記憶する(ステップS18)。その後、ヒータ24への通電を停止若しくは上昇退避を行う(ステップS19)。
【0049】
ここで求められた温度係数γ2 ,γ3 は通常変化せず、γ1 のみが変化するため、V11がV12に、V21がV22に変化したのは、このγ1 の変化によるものである。検出温度T1 が設計温度であるとすると、
【0050】
【数9】
であり、
【0051】
【数10】
である。つまり、
【0052】
【数11】
となり、γ2 に設計値を代入すると、γ3 ,γ1 が、上記(9)式、(11)式によって求められる。これをカメラ毎に書き込めば、温度補正用の値がそのカメラ1台毎にきめ細かく入力されることとなる。
【0053】
このような調整工程と、同時に測距を行なって、正しく補正が行われているかを確認したり、AFユニットの持つ誤差をメモリ9に入力させるようにすればより効率的である。
【0054】
次に図9、図10には、前述した実施形態の変形例を示し、説明する。
図9(a),(b)は、測距ユニット4の側面にくるフレキシブル基板14a上にサーミスタ等の温度検出部6を配置した例である。このような配置の場合には、その横側に配置されるファインダ対物レンズ13に切り欠き部を設け、温度検出部6が収納できるスペースを確保している。
【0055】
図10(a),(b)は、温度検出部6を測距ユニット4の下側に配置した例を示している。
ここではフレキシブル基板14aの延長部分14aを測距ユニット4の下側に密着するように回り込ませて、その延長部分14aに温度検出部6を取り付けて、カメラ11側に切り欠き部を設け、温度検出部6が収納できるスペースを確保している。
【0056】
いずれの変形例においても、測距ユニット4のIC部3と演算部10をつなぐためのフレキシブル基板14を延長した部分14aを折り曲げて、これらの素子を実装し、かつ、測距ユニット4に密着させている。
【0057】
従って、測距ユニット4が影響をうけている温度をそのままモニタできるので、正確な補正が可能となる。また、フレキシブル基板を延長させて単に折り曲げた部分を利用しているため、コストアップがなく、簡易な構成になる。
【0058】
前述したようにこれらの変形例では、ファインダ13の一部または、カメラ本体11の一部に切り欠き部を設け、温度検出部6が収納できるスペースを確保した。この工夫によって、カメラの小型化を実現している。
【0059】
次に図11には、本発明による第2の実施形態として、カメラに搭載される測距装置の概略的な構成を示し説明する。
本実施形態は、演算部10と測距ユニット4を1つの硬質基板の表裏に実装したものである。
【0060】
この構成例は、硬質基板14bの表面側に測距ユニット4及びIC部3を実装し、その裏面側に演算部10を実装する。
そして、測距ユニット4の温度変化を測定するため、測距ユニット4の下方で保持部4aに近接させて、リード部を硬質基板14bに差込み実装するサーミスタからなる温度検出部6を配置する。
【0061】
本実施形態では、硬質基板14bから測距ユニットの下方で、カメラ本体11に切り欠き部を設けて、ユニットの保持部と並行して配置しているが、下方に限定されるものではなく、両側面及び上面であってもよい。
【0062】
本実施形態では、第1の実施形態で使用したフレキシブル基板に比べて、安価な硬質基板を用いて、正確な温度検出を可能ているため、より低コストで測距が温度変化に影響を受けないAFカメラが提供できる。
【0063】
次に図12には、本発明による第3実施形態として、カメラに搭載される測距装置の概略的な構成を示し説明する。
図12(a)は、カメラ本体11と、カメラに組み付けるべき、測距ユニット4が実装されたフレキシブル基板14との様子を示し、同図(b)は、組み付けられた状態を示している。
【0064】
この構成において、カメラ本体11には、演算部10と、例えばEEPROMからなるメモリ9、さらに温度検出部6が実装されたフレキシブル基板17が取り付けられて、測距ユニット4が取り付けられたフレキシブル基板14が組み付けられ、コネクタ部15とコレクタ部16によって接続される。
【0065】
図12(b)に示すように、温度検出部6は、測距ユニット4の保持部下方に近接して配置されるため、測距ユニット4の温度変化を検出することが可能である。
【0066】
この構成によれば、演算部10と同一基板上に、温度検出部6を実装ているため、そのバラつきをカメラに組み付ける前の基板17だけの状態で検査し、補正することが可能である。つまり、基板17だけを図7で示したような温度補正システムを用いた温度補正工程により補正することができる。
【0067】
従って、温度検出部6に不良な箇所があった場合など、カメラに組み付ける前に、チェックできるので修理や部品交換の作業性が高まる。
図13には、この基板17単体での調整作業の様子を示す。
【0068】
固定台29上に演算部10やメモリ9等が実装された基板17が固定され、その上方には、ヒータ24をとりつけた移動機構25がカメラに対して鉛直方向(矢印A)に移動可能に取り付けられている。また基板17に近接して、温度検出用センサ27が取り付けれている。
【0069】
また、演算部10と通信するためのコネクタ28が接続され、インターフェース部23を介して、パーソナルコンピュータ22と通信可能となっている。
この構成において、作業者20は、基板17をセットし、所定のプログラムに基づき調整し、その状態をパーソナルコンピュータ22のモニタにて表示し、メモリ9に正しくデータが書きこまれたか及び、測定された温度係数γ1 ,γ2 ,γ3 が正常な値であるか等を確認できる。
【0070】
この基板17は平面となるため、作業者20は、簡単に基板17をセッティングしてコネクタを接続することができ、工程における作業性も図7の形式に比べて向上する。
【0071】
そして、パーソナルコンピュータ22の操作により、図8に示したようなフローチャートにて、各機能を制御して、メモリ9に、温度検出部6のバラつきを記憶させる。
【0072】
つまり、温度検出用センサ27の出力結果を正しい温度として、基板17上の温度検出部6の出力値より、上記(9),(11)式を用いて、図5で説明した温度係数γ1 ,γ2 ,γ3 等を求めて、メモリ9に記憶させればよい。
【0073】
また、基板状態で測定するため、実装部品に直接接触でき、抵抗両端にチェック端子をあてて抵抗値を検出してもよい。この場合、コネクタ部16ではなく、抵抗両端の電極部にチェック端子をあてるものとする。
【0074】
また前述した図5では、コネクタ部の接触抵抗を考慮して、温度検出部の抵抗6a,6bの両端の電圧を3本の端子でモニタしたが、この実施例の場合温度検出部と演算部10が同一の基板上に実装されているので、このような要因は排除した設計が可能となる。
【0075】
つまり、抵抗6a,6bの高い方の電圧のみをA/D変換部10a(図5)に入力すればよく、配線の単純化が可能となる。
図14には、第3の実施形態の変形例を示す。
【0076】
この変形例では、演算部10及びメモリ9が実装された基板17に温度検出部6用の延長部17aを設け、AFユニット用基板14とコネクタ部15にて接続した後、上記延長部17aをAFユニット上面に温度検出部6が配置されるようにして折り曲げるている。
【0077】
このような構成により、本来、AFユニット用基板14とはコネクタ部15にて接続されるだけの基板であった演算部10及びメモリ9用の基板17上に設けられた温度検出部6をAFユニット4に近接させて配置させることができ、測距の温度誤差の主要因となるユニット光学系の温度変化を正確に検出することができる。
【0078】
本変形例によれば、温度検出部用の配線材を必要とせず、ハンダづけも不要なので、低コストで実施可能である。
次に図15には、本発明による第4の実施形態として、カメラに搭載される測距装置の概略的な構成を示し説明する。
【0079】
本実施形態は、前述した測距ユニット4の上方で近接し且つ、カメラの外装側に設けられた第1の温度検出部6aと、測距ユニット4に対し、温度検出部6aとは反対側、つまり内部側に設けられた第2の温度検出部6bとを有する構成である。
【0080】
この構成は、測距ユニット4の上方に設けられた第1の温度検出部6aだけでは、温度検出部と測距ユニットを構成するモールド部材の位置関係によって、生じた空間的な温度の勾配の影響をモニタすることができない。カメラ内部が、アクチュエータ等の駆動によって熱を発生する時、さらにこの温度勾配が影響する。そこで本実施形態では、カメラ内部に熱源が存在し、温度変化がカメラ内部の場所によって異なる場合にも正確な温度補正による測距を可能としている。
【0081】
図16には、本実施形態におけるカメラの測距時のフローチャートを示し説明する。
まず、2つの温度検出部6a,6bの検出信号より、2ケ所の検出温度T1 ,T2 を測定する(ステップS21,S22)。
【0082】
これらの温度検出部6a,6bによる温度測定位置と、測距ユニット4との位置関係から、測距ユニット4の温度を割り出す演算を行う(ステップS23)。ここでは、温度検出部と測距ユニット間の距離を考慮して、検出温度T1 ,T2 の加重平均をとり、これを測距ユニットの温度T3 として求め、この温度T3 より求められた視差の変化を加味し、測距ユニット4により求められた像の相対位置xから(ステップS25)、上記(1)式に基づく距離Lの算出を行う(ステップS26)。
【0083】
以上説明したように本実施例によれば、カメラ内に熱源がある場合においても、カメラ内の温度勾配にかかわらず、正しい測距が可能となる。
図17には、第4の実施形態の変形例を示す。
【0084】
この変形例では、温度検出部6a,6bを測距ユニット4の両側に近接して配置し、その近傍には、ランプ30及び投光レンズ31からなる補助光装置を設けられている。
【0085】
このようなパッシブ型の測距装置では、通常暗い被写体を撮影する場合には、被写体像が低輝度であるため測距ができない。しかし、この補助光装置からの光によって、被写体に濃淡の陰影ができ、このパターンによって測距を行うことができる。
【0086】
このような補助光装置の光発生源にランプ等を用いると、点灯時にはランプが発熱し、近接する測距センサに悪影響を与えることがある。
本実施形態では、この対策として、2つの温度検出部6a,6bを熱源となるランプ30と、測距ユニットの並び方向に並べ、ランプの発熱によるカメラ内の温度変化を検出できるようにした。
【0087】
このような温度検出部6a,6bにより得られた温度勾配から、測距ユニット4に影響する温度と推測して補正をかければ、補助光による発熱の影響をなくした測距装置を提供することができる。
【0088】
このような応用は補助光には限らず、モータやドライバ等、熱を発する構成部位がカメラ内にある場合の温度補正に有効である。
以上のような構成の測距装置は、測距時に大きな温度特性の原因となる測距ユニットの光学系等の材質に作用する温度を正確に測定するために、測距ユニットに接し若しくは近接して温度検出部を配置することにより、確実に温度をモニタする。
【0089】
このセンサの信号ラインを測距ユニット用の信号ラインを扱う回路基板を有効に活用して配線したので、余分な接続作業や配線材を必要とせず、製造コストや原価の上積みをする必要がなく、低コストでの提供を可能としている。
【0090】
以上の実施形態について説明したが、本明細書には以下のような発明も含まれている。
(1) 被写体からの像信号を受光するための受光レンズ及びイメージセンサと、該イメージセンサの出力信号を処理する処理回路とからなる測距装置において、
上記イメージセンサの端子部と上記処理回路端子部とを接続するための電気回路基板と、
上記受光レンズと上記イメージセンサとを保持する保持部と、を具備し、
上記電気回路基板に延長部を設け、この延長部に温度検出素子を配すると供に、上記保持部に沿った形で上記延長部を配置することを特徴とする測距ユニット。
(2) 上記温度検出素子はチップ形状であり、この温度検出素子を上記保持部に密着保持させたことを特徴とする上記(1)項に記載の測距ユニット。
(3) 上記温度検出素子は、サーミスタと抵抗とからなり、両者の直列体にバイアス電圧を印加し、サーミスタの両端電圧をディジタル変換するAD変換手段と、
上記ディジタル変換された電圧値に基づいて温度を演算する手段と、をさらに具備したことを特徴とする上記(1)項に記載の測距ユニット。
(4) 上記温度検出手段の特性ばらつきを補償するための調整データを上記測距装置の製造過程において記憶させる記憶手段を具備することを特徴とする上記(1)項に記載の測距ユニット。
(5) 被写体からの像信号を受光するための受光レンズ、及びイメージセンサと、該イメージセンサの出力信号を処理する処理回路とからなる測距装置において、
上記イメージセンサの端子部を上記処理回路用のコネクタに導く第1の基板と、
上記コネクタからの像信号を上記処理回路用の端子部に導く第2の基板と、を具備し、
上記第2の基板上に温度検出素子を実装し、上記測距装置の製造過程において上記温度検出素子を上記イメージセンサの近傍に配するための延長部が上記第2の基板に設けられていることを特徴とする測距ユニット。
(6) 上記第2の基板にはさらに調整データを記憶するための記憶手段を実装していることを特徴とする上記(5)項に記載の測距ユニット。
(7) 上記測距装置の製造課程における上記第2の基板の実装検査工程において、
上記温度検出素子の特性を測定し、ばらつきを補償するための調整データを上記記載手段に記憶することを特徴とする上記(5)項に記載の測距ユニット。
(8) 測距装置を搭載したカメラにおいて、
上記測距装置を中央に挟んで配置した複数の温度検出部と、
上記複数の温度検出部の出力に基づいて上記測距装置の出力の温度特性を補償する補正手段と、を具備したことを特徴とする測距ユニット。
(9) 被写体からの像信号を受光するための受光レンズ、およびイメージセンサと、該イメージセンサの出力信号を処理する処理回路とからなる測距装置において、
上記イメージセンサの端子部と上記処理回路の端子部とを接続するフレキシブル基板と、
上記受光レンズとイメージセンサとを保持する保持部と、を具備し、
上記フレキシブル基板はサーミスタを搭載した延長部を有し、この延長部を上記保持部の外形に沿って張り付けたことを特徴とする測距ユニット。
(10) 受光光学系及び受光素子と、
この受光光学系及び受光素子を所定の位置関係に保持する保持部材と、
この保持部材の外形に可及的に近接させて配された温度検出部と、を備え、
上記受光光学系、保持部材の少なくともいずれか一方が樹脂材料で形成されていることを特徴とする測距ユニット。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、単純な構成で、小型、低コストで測距装置の持つ温度特性をきめ細かく補正し、環境変化に強い高精度の測距装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカメラに搭載される測距装置の概念的な構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態として、図1に示した測距ユニットをカメラに搭載した構成例を示す図である。
【図3】第1の実施形態において、カメラに組付ける状態の外観を示す図である。
【図4】第1の実施形態において、カメラに組付けた状態の断面構成を示す図である。
【図5】第1の実施形態における温度補正を行うために温度を測定する回路の一例を示す図である。
【図6】第1の実施形態における距離Lの算出について説明するためのフローチャートである。
【図7】カメラの測距装置を調整するための調整装置の外観を示す図である。
【図8】図7に示した調整装置による調整工程を説明するためのフローチャートである。
【図9】第1の実施形態の変形例を示し、測距ユニットの側面にくるフレキシブル基板上に温度検出部を配置した例である。
【図10】第1の実施形態の変形例を示し、温度検出部を測距ユニットの下側に配置した例である。
【図11】本発明による第2の実施形態として、カメラに搭載される測距装置の概略的な構成を示す図である。
【図12】本発明による第3の実施形態として、カメラに搭載される測距装置の概略的な構成を示す図である。
【図13】第3の実施形態における測距装置の補正について説明するための図である。
【図14】第3の実施形態の変形例を示す図である。
【図15】本発明による第4の実施形態として、カメラに搭載される測距装置の概略的な構成を示す図である。
【図16】第4の実施形態におけるカメラの測距について説明するためのフローチャートである。
【図17】第4の実施形態の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1a,1b…受光レンズ
2a,2b…センサアレイ
3…IC部
4…測距ユニット
4a…保持部
6…温度検出部
7a…撮影レンズ鏡胴
7b…レンズ制御部
8…被写体
9…メモリ
10…演算部
11a…カメラ本体
12…シャッタボタン
13…ファインダ対物レンズ
Claims (1)
- 被写体からの像信号を受光するための一対の受光レンズ及びイメージセンサと、該イメージセンサの出力信号を処理して測距データを出力する処理回路とからなる測距装置において、
上記一対の受光レンズと上記イメージセンサとを保持する保持部を具備し、
上記保持部の周辺の異なる位置に複数の温度検出素子を配すると共に、
上記処理回路は、上記複数の温度検出素子の検出温度を、上記複数の温度検出素子と上記一対の受光レンズとの間のそれぞれの距離に応じて加重平均した結果に基づいて上記一対の受光レンズの温度を演算し、演算した温度に基づき出力を補正することを特徴とする測距装置。
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