JP4087485B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に用いられ、被定着材に形成される現像剤像を定着して定着像を得る定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成装置を構成する定着装置は、加熱ローラと加圧とを備えたタイプのものがある。上記加熱ローラは、粉体現像剤からなる現像剤像を担持した用紙である被定着材を加熱する。上記加圧ローラは、この加熱ローラに被定着材を介して転接し、被定着材を加圧しつつ搬送する。
【0003】
これら加熱ローラと加圧ローラとの転接部(ニップ部と呼ばれる)である定着ポイントを被定着材が通過することで、この被定着材上の現像剤が融着圧着されて定着するようになっている。
【0004】
従来、このような定着装置では、加熱源としてハロゲンランプ等が用いられ、これを金属ローラの内側に設置して加熱ローラを構成している。このほか、フラッシュランプを備え、このランプを点灯し被定着材に対して非接触で加熱するものもある。
【0005】
しかるに、加熱源としてのランプは、一旦、電気エネルギを光と熱に変換して輻射作用で金属ローラに伝えているため効率が悪く、熱効率が約70%という限界値がある。
【0006】
また、現状では定着立ち上げに多くの時間を必要とするので、短縮化を図る要望が大である。そのため、加熱源としてのランプを1本から2本に増やすという考えがあるが、装置が大型化するばかりでなく、消費電力のアップとなる。
【0007】
そこで、立ち上がり時間を短縮するため、誘導加熱を用いて定着する技術が開示されている。たとえば、特開平8−76620号公報には、磁場発生手段によって導電フィルムを加熱し、ここに密着させた記録媒体を定着する装置が開示されている。また、特開昭59−33476号公報には、円筒状のセラミックスの外周に薄厚金属層を持つローラを備え、ローラの薄厚金属層に導電コイルを用いて誘導電流を流して加熱する技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら技術では立ち上げ時間を短縮できるが、蓄熱の要素がないため低速機にしか利用できない欠点がある。また、フィルム駆動を行うため、蛇行制御など複雑な制御をなす必要があり、コストアップしてしまう。
【0009】
このような誘導加熱方式の定着装置の場合は、効率よく渦電流を発生させて加熱する部材として、強磁性材料を用いることが好ましいところから、一般的に鉄材が用いられる。
【0010】
鉄材は、アルミニウム材や銅材などに比べて熱伝導率が低いため、熱の履歴が残りやすく、加熱手段の発熱特性が直接現れ易い。したがって、薄肉の鉄製ローラを用いると、上記加熱手段の位置精度あるいは発熱特性などの条件によって、温度ムラを生じてしまう。
【0011】
また、加熱ローラの中央部と端部とで発生する磁束形状は若干異なる。そのために温度差が生じたり、ローラ端部の熱の逃げがローラ中央部よりも大きく、それによってローラに温度差が発生する場合もある。
【0012】
さらに、定着ニップ幅に対して小さい被定着材が通紙された場合には、通紙部分と非通紙部分との間で温度差が生じてしまい、これが温度履歴として残ったまま定着ムラが生じてしまうという問題も発生していた。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、立ち上げ時間の短縮化と、誘導加熱によって発生する熱がローラに均一に供給され、定着ニップ部において温度ムラが発生せず、省電力化と、複写スピードの速いマシンでも定着可能な定着装置を提供しようとするものである。
【0021】
【課題を解決する手段】
上記目的を満足するため本発明は、回転駆動される加熱ローラと、加圧ローラおよび誘導加熱手段を備えた定着装置において、誘導加熱手段に投入する電力量を、定着稼働時と比べて定着立ち上げ時を大きくするよう制御する制御手段と、加熱ローラから加圧ローラを接離させる離反機構とからなり、定着立ち上げ時に離反機構は加熱ローラから加圧ローラを離間させ、加熱ローラが回転したあと誘導加熱手段は加熱ローラの加熱を開始し、加熱ローラが第1の所定温度に上昇したとき、上記離反機構は加圧ローラと加熱ローラを転接させ、上記誘導加熱手段は加圧ローラが加熱ローラに転接したあと、加熱ローラが第2の所定温度に上昇するまで誘導加熱を継続する。
さらに、上記目的を満足するため本発明は、回転駆動される加熱ローラと、加圧ローラおよび誘導加熱手段を備えた定着装置において、加熱ローラから加圧ローラを接離させる離反機構を備え、定着立ち上げ時に離反機構は加熱ローラから加圧ローラを離間させ、加熱ローラが回転したあと誘導加熱手段は加熱ローラの加熱を開始し、加熱ローラが第1の所定温度に上昇したとき、上記離反機構は加圧ローラと加熱ローラを転接させ、上記誘導加熱手段は加圧ローラが加熱ローラに転接したあと、加熱ローラが第2の所定温度に上昇するまで誘導加熱を継続する。
【0023】
以上のごとき課題を解決する手段を備えることにより、定着立ち上げ時間の短縮化と、誘導加熱によって発生する熱がローラに均一に供給され、定着ニップ部において温度ムラが発生せず、省電力化と、複写スピードの速いマシンでも定着可能な定着装置を提供できる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0033】
図1は、定着装置の概略構成を示す。
【0034】
装置本体1内に、内部に誘導加熱装置2が収容された第1の転接部材である加熱ローラ(φ30mm)3が配置される。この加熱ローラ3は図示しない駆動機構に連結されていて、図の矢印方向に回転駆動される。
【0035】
上記加熱ローラ3に対して、図示しない加圧機構によって押圧付勢される第2の転接部材である加圧ローラ(φ30mm)4が、加圧状態で一定のニップ(接触)幅を持つように転接している。したがって、加圧ローラ4は加熱ローラ3に従動して図の矢印方向に回転する。
【0036】
上記加熱ローラ3の材質は鉄であり、肉厚0.6mmとしている。このローラ3の表面には、テフロン等の離型層が被覆される。上記加圧ローラ4は、芯金の周囲にシリコンゴム、フッ素ゴム等を被覆して構成される。
【0037】
加熱ローラ3と加圧ローラ4とのニップ部である定着ポイントを用紙である被定着材Pが通過することで、被定着材上の現像剤を融着圧着して定着するようになっている。
【0038】
加熱ローラ3の周面上には、加熱ローラ3と加圧ローラ4との転接部よりも回転方向下流側に、被定着材Pを加熱ローラ3から剥離する剥離爪5と、加熱ローラ3上にオフセットされたトナーや紙屑等のごみを除去するクリーニング部材6と、オフセット防止用離型剤を塗布する離型剤塗布装置7、および加熱ローラ2の温度検出をなすサーミスタ8が設けられている。
【0039】
図2に、上記誘導加熱装置2を拡大して示す。
【0040】
この誘導加熱装置2は、高透磁率材料であるフェライト材からなり、断面がE字状に形成され開放端が下方に向くコア10と、線径0.5mmの銅線材を用いてリッツ線として構成され、コア2の長手方向に沿って複数回巻回されるコイル11とを備えている。
【0041】
なお説明すれば、上記コア10の長手方向は上記加熱ローラ3の軸方向全長にほぼ亘って対向している。再び図1に示すように、この開放端が下方に向くことにより、ここでは中央突起部10aおよび両側突起部10bとの3か所の対向部を有する。
【0042】
加熱原理は、図示しない高周波回路からコイル11に高周波電流が印加され、それによりコア10に磁束が発生する。コア10の形状から、加熱ローラ3と加圧ローラ4との転接部である定着ニップ付近に磁束が集中して、加熱ローラ3に磁束と渦電流を発生させる。
【0043】
この渦電流と加熱ローラ3自体の抵抗によって、加熱ローラ3にいわゆるジュール熱が発生する。すなわち、加熱ローラ3と加圧ローラ4相互の転接部であるニップ部分だけが局部的に加熱される。
【0044】
上記コイル11には、高周波回路から周波数20kHz、出力900Wの高周波電流が供給される。その結果、加熱ローラ3の表面温度は180℃になる。そして、この表面温度をサーミスタ8によって検知し、フィードバック制御によって加熱ローラ3の温度制御を行っている。
【0045】
つぎに、図3にもとづいて、定着装置における誘導加熱装置に関わる第1の実施の形態を説明する。
【0046】
なお、同図で誘導加熱装置2Aは説明の便宜上、使用時の状態と上下反転して示している。そして、上記コイル11は、コア10の中央突起部10aに沿って巻回されている。
【0047】
また、コア10Aを構成する中央突起部10aと両側突起部10bとのそれぞれ長手方向の両端部が傾斜するテーパ部aとなっている。これらのテーパ部aは、端縁側の高さがテーパ部a,aの相互間部分bに比べて高くなっている。
【0048】
したがって、上記加熱ローラ3と、コア10Aの中央突起部10aと両側突起部10bとの対向面との距離が、テーパ部a側の距離より、テーパ部相互間部分である中央部bの距離が遠くなっている。
【0049】
図4に、このようにして構成される上記コア10Aを備えることによって発生する磁束の線図を示す。すなわち、コア開口面の中央突起部10aと、両側突起部10b,10bとの間でコイル11を横切っている。
【0050】
図5に示すように、磁束の発生形状によって加熱ローラ3には、渦電流Sが流れる。この渦電流Sは閉ループを描いて流れており、加熱ローラ3の中央部で流れる渦電流Sはローラの軸方向に沿うよう直状であるのに対して、両端部では渦電流が回り込んだ状態で流れる。
【0051】
この結果、加熱ローラ3に発生する熱量が、ローラ中央部と両端部とで変化しており、両端部の方が中央部よりも発生熱量が少なくなる。しかも、両端部の方が中央部と比較して外部へ逃げる熱量が多いため、両端部の温度が中央部よりも低くなる。
【0052】
そこで、上記実施の形態ではコア10Aの両端部にテーパ部aを形成して、加熱ローラ3とコア10A対向面との距離を端部に行くほど接近させる。したがって、加熱ローラ3を横切る磁束は中央部よりも両端部の方が多くなり、発生する熱量を増加せしめる。
【0053】
このようにして、加熱ローラ3における部分的な渦電流の流れ方の違いと、外部への熱の逃げを補う熱量を供給することが可能となり、加熱ローラ3の表面温度が一定になる。
【0054】
図6にもとづいて、第2の実施の形態を説明する。
【0055】
なお、定着装置の全体構成は、先に図1で示したものと同様なので、ここでは同図を適用して新たな説明は省略する。
【0056】
誘導加熱装置2Bを構成するコア10Bは、その断面形状がこれまで説明したものと同様、中央突起部10aと両側突起部10bとを有している。ここでは、中央突起部10aと両側突起部10bのそれぞれ先端部は、長手方向の両端に段差部c,cが形成される。
【0057】
したがって、上記加熱ローラ3と、コア10Aの中央突起部10aと両側突起部10bとの対向面との距離が、段差部c側の距離より、段差部相互間部分である中央部bの距離が遠くなっている。
【0058】
これらの段差部cの存在により、加熱ローラ3における部分的な渦電流の流れ方の違いと、外部への熱の逃げを補う熱量を供給することが可能となり、加熱ローラ3の表面温度が一定になる。
【0059】
図7にもとづいて、第3の実施の形態を説明する。
【0060】
なお、定着装置の全体構成は、先に図1で示したものと同様なので、ここでは同図を適用して新たな説明は省略する。
【0061】
誘導加熱装置2Cを構成するコア10Cは、その断面形状がこれまで説明したものと同様、中央突起部10aと両側突起部10bとを有している。ここでは、中央突起部10aと両側突起部10bのそれぞれ先端部は、長手方向の両端部相互間に段差部dが形成され、両端部e,eよりも突出形成される。
【0062】
上記段差部dの幅寸法は、印字画像領域の中心位置を対称として、たとえばA4縦サイズのところまで形成される。この場合は、A4縦サイズの被定着材が連続で通紙された場合の、通紙部と非通紙部との間の温度差を軽減できる。
【0063】
なお説明すれば、段差部cが突出しているので、ここと対向する加熱ローラ部位が集中して加熱される。A4縦サイズの被定着材が連続して通紙された場合は段差部dによって集中して加熱される部位に被定着材が導かれ、被定着材に対する効果的な加熱定着がなされる。
【0064】
また、被定着材の通紙がない場合にも,段差部dと対向する加熱ローラ3部位が集中して加熱され温度上昇する。この温度が所定温度(いわゆるキューリ点)を越えると、磁性材特有の減少としてコア10cに流れる磁束が少なくなり、コイル11に生じる渦電流が減少する。
【0065】
したがって、加熱ローラ3の段差部dと対向する部位の温度は自動的に低下することとなり、両端部eとの温度差が小さくなって、コア10Cの長手方向に亘って均一化する。
【0066】
この現象は、被定着材の通紙がない場合のみならず、A4縦サイズよりも小さい被定着材が通紙してきた状態でも同様であり、また、このサイズよりも大きな被定着材が通紙してきた場合も同様である。
【0067】
図8にもとづいて、第4の実施の形態を説明する。
【0068】
なお、定着装置の全体構成は、先に図1で示したものと同様なので、ここでは同図を適用して新たな説明は省略する。
【0069】
誘導加熱装置2Dを構成するコア10Dは、その断面形状がこれまで説明したものと同様、中央突起部10aと両側突起部10bとを有している。ここでは、中央突起部10aと両側突起部10bのそれぞれ先端部は、長手方向の所定部位に複数の段差部da ,db が形成され、両端部および段差部相互間e,eよりも突出形成される。
【0070】
各段差部da ,db の幅寸法は、所定サイズの被定着材と同一に形成され、よって、そのサイズの被定着材が連続で通紙された場合の、通紙部と非通紙部との間の温度差を軽減して確実な定着をなす。
【0071】
図9にもとづいて、第5の実施の形態を説明する。
【0072】
なお、定着装置の全体構成は、先に図1で示したものと同様なので、ここでは同図を適用して新たな説明は省略する。
【0073】
誘導加熱装置2Eを構成するコア10Eは、その断面形状がこれまで説明したものと同様、中央突起部10aと両側突起部10bとを有している。そして、中央突起部10aと両側突起部10bのそれぞれ先端部は、長手方向の両端部が傾斜するテーパ部a,aとなっていて、これらのテーパ部a相互間には段差部dが突出形成される。
【0074】
この段差部dの幅寸法は、印字画像領域の中心位置を対称として、たとえばA4縦サイズと同一である。したがって、A4縦サイズの被定着材が連続で通紙された場合の、通紙部と非通紙部との間の温度差を軽減できる。
【0075】
また、両端部にテーパ部aを設けたので、加熱ローラ3の初期時の温度均一性を得るとともに、特に小さいサイズの被定着材が通紙した場合の加熱ローラの温度ムラを緩和するなど、双方の効果を得ることができる。
【0076】
なお、先に説明した図8においては、以下に述べるような特徴もある。
【0077】
各段差部da ,db に上記コイル11の一部が所定巻き数だけ巻回される。したがって、コイル11から発生する磁束によって、加熱ローラ3上に生じる渦電流が段差部da ,db と対向する加熱ローラ3部分に多く流れる。これにより任意の部位における渦電流量を増加することができる。
【0078】
すなわち、加熱ローラ3形状やコア10形状などの問題で、加熱ローラ3に部分的に温度ムラが発生し、さらにその温度ムラに再現性がある場合には、その部分に対向して段差部da ,db を設けて所定量のコイル11を巻回し、加熱ローラ3表面温度を均一化するよう対応できる。
【0079】
この場合は、実際に加熱ローラ3の温度分布を測定したあとに、適応する部位に段差部da ,db を設けて温度の均一化をなす。段差部da ,db は、接着により容易に形成できる。当然、段差部da ,db に巻回するコイル11aの巻き数は、温度分布を均一化する最適な巻き数とする。
【0080】
また、先に図6,図7および図9で示した各段差部にコイル11の一部を巻回するようにしても、少しの支障もないことは勿論である。
【0081】
なお、上記各実施の形態ではA4縦サイズの被定着材に対応するよう説明したが、これに限定されるものではなく、レターサイズやB4サイズほかのサイズの被定着材に対応する構成でもよいことは言うまでもない。
【0082】
図10にもとづいて、第6の実施の形態を説明する。
【0083】
なお、定着装置の全体構成は、先に図1で示したものと同様なので、ここでは同図を適用して新たな説明は省略する。
【0084】
誘導加熱装置2Fを構成するコア10Fは、その断面形状がこれまで説明したものと同様、中央突起部10aと両側突起部10bとを有している。中央突起部10aと両側突起部10bの各先端部において、長手方向に所定間隔を存して一対の凹溝部12,12が形成される。
【0085】
上記中央突起部10aの長手方向に沿って先に説明したコイル11が巻回される一方、上記凹溝部12,12間に位置する中央突起部10a先端に補助コイル11aが所定巻き数だけ巻回されている。
【0086】
補助コイル11aが巻回される中央突起部10a先端である凹溝部12,12相互間寸法は、印字画像領域中心を対称として、たとえばA4縦サイズの被定着材が通過する位置(領域幅210mm)に形成される。
【0087】
上記コイル11は主高周波回路13Aに電気的に接続され、補助コイル11aは補助高周波回路13Bに接続されており、互いのコイル11,11aはそれぞれ独立して駆動されるようになっている。
【0088】
たとえば、主高周波回路13Aはコイル11に周波数20kHzで、出力800Wの電力量を供給し、補助高周波回路13Bは補助コイル11aに周波数20kHzで、出力100Wの電力量を供給する。
【0089】
各高周波回路13Aは図示しない制御手段の制御信号を受けて、定着されるべき像を備えた被定着材のサイズに応じて選択的に制御され、誘導加熱装置2Fに渦電流を発生させるようになっている。
【0090】
たとえば図11に示すように、被定着材のサイズがA4横、もしくはA3縦の場合は、加熱ローラ3の軸方向全体が被定着材と転接して定着を行うため、加熱ローラ3全体を加熱する必要がある。
【0091】
この場合は、上記制御手段の制御により、主高周波回路13Aから高周波電流がコイル11に印加される。したがって、加熱ローラ3全体が加熱されることになり、被定着材に対する定着作用が少しの不具合もなくなされる。
【0092】
一方、被定着材サイズがA4縦の場合は、加熱ローラ3の通紙領域のみから熱が奪われるようになるので、主高周波回路13Aからコイル11へ高周波電流を印加するとともに、補助高周波回路13Bから補助コイル11aへ高周波電流を印加して、加熱ローラ3の通紙領域を加熱する。
【0093】
このような制御によって、加熱ローラ3の表面温度の均一性を維持し、良好な定着性を維持することができるし、加熱ローラ3の薄肉化が可能となる。
【0094】
図12にもとづいて、第7の実施の形態を説明する。
【0095】
先に図1で説明したように、誘導加熱装置2はコア10とコイル11とを備えて加熱ローラ3のニップ部のみを局部的に加熱するため、定着立ち上げ(ウォームアップ)時およびレディ(待機)時には、加熱ローラ3を回転させて表面温度を均一に保持する必要がある。
【0096】
ただし、加熱ローラ3に加圧ローラ4を転接させた状態のまま加熱ローラ3を加熱しても、加圧ローラ4側に熱が逃げてしまう。そこで、定着立ち上げ(ウォームアップ)時およびレディ(待機)時に、加熱ローラ3から加圧ローラ4側に熱が逃げるのを防止し、加熱ローラ3の表面温度を設定温度に早急に上昇させるため、同図に示すような加熱ローラ3と加圧ローラ4を離反させる離反機構15を備える。
【0097】
図12(A)は、離反機構15が解除され、加熱ローラ3に対して加圧ローラ4が離反していない(転接)状態を示す。同図(B)は、離反機構15が作用して、加熱ローラ3に対して加圧ローラ4が離反している状態を示している。
【0098】
同図(A)の、離反機構15が作用していない状態では、加圧ローラ4は加圧機構16によって加熱ローラ3に対して圧接されていて、一定のニップ幅を持つように保持される。
【0099】
上記離反機構15は、一端部が枢支ピン17を介して図示しない装置本体に回動自在に枢支されるリンク機構18と、このリンク機構の自由端側に設けられる長孔に挿入されるピン19と、このピン19が突設される作動杆20aを備えたソレノイド20とから構成される。
【0100】
上記リンク機構18の中途部は、上記加圧ローラ4の支軸4a上面部に当接している。この支軸4aの下面部には上記加圧機構16が当接して、支軸4aとともに加圧ローラ4を押し上げているところから、リンク機構18は加圧機構16の弾性力に抗して支軸4aの位置を設定することになる。
【0101】
したがって、同図(A)では、ソレノイド20に励磁されておらず保持力が解除され、リンク機構18は自由状態となっている。加圧ローラ4は加圧機構16の加圧力をそのまま受けて、加熱ローラ3に転接する。
【0102】
同図(B)では、ソレノイド20に通電して励磁させ、作動杆20aを引き込んでリンク機構18の自由端を強制的に下部側に回動変位させる。ソレノイド20の付勢力が加圧機構16の弾性力に打ち勝って、加圧ローラ4は加熱ローラ3から離反する。
【0103】
このあと、加熱ローラ3を回転するとともに加熱することにより、加熱ローラ3の表面を均一に加熱することができる。このとき加圧ローラ4側に熱が逃げないので、定着立ち上げ時間を短縮することができる。
【0104】
図13に、定着立ち上げ時(ウォームアップ時)のフローチャートを示す。
【0105】
ステップS1のウォームアップ時スタートからステップS2において、先に図1で説明したサーミスタ8が加熱ローラ3の表面温度を検出し、図示しない制御回路にその検出温度信号を送る。
【0106】
加熱ローラ3の表面温度が180°C以下の場合はステップS3に移って、先に図12(B)で説明したように、離反機構15を構成するソレノイド20を励磁してリンク機構18を回動保持し、よって加圧ローラ4を加熱ローラ3から離反状態となす。
【0107】
つぎに、ステップS4に移って加熱ローラ3を所定の速度で回転駆動し、ステップS5に移って誘導加熱作用をスタートさせ、加熱ローラ3を加熱する。ここから先のステップS2に移って、上述のステップを繰り返すので、加熱ローラ3は表面が均一な状態で加熱される。
【0108】
また、ステップ2で加熱ローラ3が180°C以上に加熱されたことを制御回路が確認したら、ステップ6に移って誘導加熱作用が停止される。そして、ステップ7に移ってレディ状態となる。
【0109】
つぎに、図14において、レディ時のフローチャートについて説明する。
【0110】
ステップT1でレディスタートからステップT2に移り、コピー動作ONか否かが判断される。コピー動作がOFFであれば、ステップT3に移って加熱ローラ3が180°C以上を保持しているか否かが検出される。
【0111】
加熱ローラ3が同温度以下に低下していたら、ステップT4に移って誘導加熱装置2をONし、加熱ローラ3を加熱する。そして、再びステップT2に戻って上述のフローを繰り返す。
【0112】
一方、ステップT2において、コピー動作がON状態になったことを確認したらステップT5に移り、上記離反機構15をOFFにする。加圧ローラ4に対する付勢力が解除され、加熱ローラ3に転接する。したがって、ステップT6のコピー動作が開始される。
【0113】
また、ステップT3において加熱ローラ3が180°C以上あることを確認したら、ステップT7に移って誘導加熱作用をOFFし、さらにステップT2に戻って上述のフローを繰り返すこととなる。
【0114】
図15にもとづいて、第8の実施の形態を説明する。
【0115】
なお、定着装置の全体構成は、先に図1で示したものと同様なので、ここでは同部品に同番号を付して新たな説明は省略する。
【0116】
ここでは、加熱ローラ3Aとして、先の加熱ローラよりも肉厚を増やし、たとえば2mmに設定する。すると、複写スピードの速い装置にも充分対応できるようになる。
【0117】
すなわち、単純に加熱ローラ3の肉厚を増やすと、当然、熱容量が増える。加熱ローラ3に蓄熱される熱量が図1の加熱ローラに比べて大きくなり、複写スピードが増しても定着可能な熱量を供給できる。
【0118】
ただし、さらに複写スピードを上げて使用すると、加熱ローラ3からの熱量の供給だけでは不足するようになる。
【0119】
そこで、ウォームアップ中に加熱ローラ3から加圧ローラ4へ熱を与えておき、実際の定着作用では加圧ローラ4側からも被定着材Pに熱を与えて定着可能温度とすることで解決できる。
【0120】
このウォームアップ時間を短縮するためには、上記肉厚の厚い加熱ローラ3Aと先に説明した離反機構15とを併用する。すなわち、所定温度に上昇するまでは離反機構15によって加圧ローラ4を加熱ローラ3Aから離反させ、加熱ローラ3Aだけを回転させるウォームアップをなす。
【0121】
そして、所定温度に到達した時点で離反機構15を解除し、加圧ローラ4を加熱ローラ3Aに転接させて回転駆動する。この状態は、定着可能温度に上昇するまで継続される。
【0122】
なお、加圧ローラ4を加熱ローラ3Aから離反させたときの加熱ローラ3Aの表面温度の設定は、装置のスペックによって変更される。複写スピードが速くなるほど、加圧ローラ4の離反時間を短縮する必要がある。たとえば、35枚/分の複写スピードの装置に適用するとよい。
【0123】
具体的な制御として、加熱ローラ3Aの表面温度が150℃になるまで、離反機構15によって加圧ローラ4を加熱ローラ3Aから離反させ、150℃に上昇した時点で離反機構15を解除してローラ4,3A相互を転接状態に戻す。
【0124】
最終的に、加熱ローラ3Aの表面温度が180℃になった時点でウォームアップが終了する。このような制御を行うことで、最初から加熱ローラ3Aと加圧ローラ4相互を接触させた状態で加熱する場合よりも、30%以上のウォームアップ時間の短縮化を得る。
【0125】
図16にもとづいて、第9の実施の形態を説明する。
【0126】
なお、定着装置の全体構成は、先に図1で示したものと同様なので、同部品に同番号を付して新たな説明は省略する。
【0127】
ここでは、加熱ローラ3Bとして、先の加熱ローラよりも肉厚の薄い、たとえば0.4mmのローラを用いることとする。
【0128】
このような加熱ローラ3Bを用いた定着装置においてウォームアップ時の制御として、コピー動作開始(スタートボタンをON)したあと、離反機構15を作用させて加熱ローラ3Bに対して加圧ローラ4を離反する。
【0129】
そして、加熱ローラ3Bを回転駆動するとともに、誘導加熱装置2を作用させて高周波電流を印加し、加熱ローラ3Bを加熱する。この状態を継続し、被定着材が加熱ローラ3Bと加圧ローラ4との転接部に進入する直前に離反機構15を解除する。
【0130】
すなわち、加熱ローラ3Bを薄肉化することによって、コピー動作を開始(スタートボタンを押す)した直後に定着動作をなしても、被定着材が定着装置に進入してくる時間内で加熱ローラ3Bの表面温度を定着可能温度まで到達させることができる。
【0131】
また、図16においては、以下に述べるような特徴もある。
【0132】
すなわち、立ち上げ時は勿論のことレディ時においても、通常は、離反機構15を作用して加熱ローラ3Bから加圧ローラ4を離反させる一方、加熱ローラ3Bの回転を継続するとともに誘導加熱装置2によってこのローラを加熱する。
【0133】
そして、被定着材が定着装置に進入することを検知したら、ただちに離反機構15を解除する制御をなす。したがって、加圧ローラ4に熱が逃げることがなくニップ部分を集中的に加熱でき、熱効率の向上を得る。
【0134】
つぎに、図17と図18にもとづいて、第10の実施の形態を説明する。
【0135】
この発明は、定着装置の電気制御手段に特徴がある。図17は制御手段のブロック図であり、順変換部21、逆変換部22、駆動回路部23、周波数制御部24および出力制御部25から構成される。
【0136】
上記逆変換部21はインバータ方式を採用している。この方式は直流電圧から交流電圧を得るものであり、受電した50/60Hzの商用交流電圧を順変換部22で直流電圧に変換し、逆変換部22によって高周波電流に再変換する。
【0137】
逆変換をする高周波の周波数は周波数制御部24で決められ、駆動回路部23によって逆変換部22に備えられるスイッチング素子のゲートにパルスを供給する。
【0138】
高周波電流は上記誘導加熱装置2を構成するコイル11に印加され、ここで高周波の磁界を作る。この高周波磁界の中に導電材料である加熱ローラ3の一部を介在させることで、渦電流が発生し加熱ローラ3が加熱されることとなる。
【0139】
図18に、このような定着装置における、定着ウォームアップ時と、定着稼働時の加熱制御システムに関するブロック図を示す。
【0140】
すなわち、マシンの電源を入れた時点でウォームアップ(定着立ち上げ)が開始される。このウォームアップ時は、ウォームアップ時間を短縮するために制御手段によって1100Wの電力量を投入する。
【0141】
高周波回路から高周波電流が誘導加熱装置2のコイル11に印加され、加熱ローラ3を局部的に加熱する。このとき熱量として1100Wが発生するように制御している。
【0142】
ウォームアップ時においては、定着装置以外で用いられる電力量が複写動作時よりも少ないため、定格電力1500W中、1100Wの電力量を定着装置で用いても、マシン全体として定格電力内に収まる。
【0143】
このように、投入できる最大限の電力量をコイル11に与えて加熱ローラ3を加熱するので、ウォーミングアップ時間を大幅に短縮できる。加熱ローラ3の表面温度が定着可能温度になるまで、1100Wの電力量供給を保持する。
【0144】
このウォームアップ時は、先に示したように、離反機構15が作用して加圧ローラ4が加熱ローラ3から離反した状態で回転させることは変わりがない。
【0145】
そして、複写動作時は、定着装置以外で使用する電力量(たとえば、露光、駆動、現像、転写などの作用)がウォームアップ時に比べて多くなるので、定着装置で使える電力量として800Wを定着装置に投入するように制御する。
【0146】
すなわち、定着可能な最小限の電力量を定着装置に与える制御を行うことにより、ウォームアップ時間を短縮でき、熱効率の向上に寄与する。しかもコストアップもなく、小型化が可能となる。
【0147】
図19にもとづいて、第11の実施の形態を説明する。
【0148】
制御手段についての基本的な考え方は、先に説明した第10の実施の形態と共通しているが、一部の相違点についてのみ以下に述べる。
【0149】
ウォームアップ時に投入する電力量の最大値を1100W上限として、電力量をリニアに変化させた制御を行う。同様に、定着動作時にも投入する電力量の最大値を800W上限として、電力量をリニアに変化させた制御を行う。
【0150】
たとえば、加熱ローラ3の肉厚を薄くしていくと、この表面温度のリップルが大きくなる傾向があるが、上記制御をなすことによりウォームアップ時間の短縮化を得るとともに、表面温度のリップルを減少させることができる。
【0151】
図19に、その制御回路を示す。
【0152】
商用交流電源から商用交流電源が供給されると、電力調整器30においてサイリスタのゲート電流の点孤制御角をCPU31で変化させることにより、出力電圧を制御する。
【0153】
すなわち、サーミスタの抵抗値変化(温度変化)に応じてサイリスタのゲートに制御パルスが与えられることによって、サイリスタが通電して平滑回路を通して直流出力が発生する。
【0154】
このように電力調整されたあと、整流回路32において交流が直流に変換される。電力量最大値は、ウォームアップ時、定着動作時で切り替えて制御を行う。この制御方法によってウォームアップ時間を短縮した状態で、加熱ローラ3の熱容量が小さくても、加熱ローラがオーバシュートせず、リップルを減らすことができる。
【0155】
図20および図19にもとづいて、第12の実施の形態を説明する。
【0156】
図20は、定着装置を表し、先に図1で説明した構成部品と同一の部品については同番号を付して新たな説明は省略する。
【0157】
ここでは、被定着材Pが加熱ローラ3と加圧ローラ4とのニップ部に導かれる以前の位置に、この侵入を検知する検出手段であるフォトカプラ33が配置されることが特徴である。
【0158】
このフォトカプラ33は、発光素子33aと受光素子33bとから構成され、被定着材Pの搬送を検知するとともに、被定着材に対する光の透過量から、その被定着材の種類を識別するようになっている。
【0159】
一般に、定着装置に導かれる被定着材として、普通紙、OHP用紙、厚紙、ほかの種類があって、その被定着材の素材と特性により必要な熱エネルギが相違する。
【0160】
この被定着材Pの種類に対応した熱エネルギを投入することで、無駄を防いで熱効率を上げられるとともに、被定着材Pの種類に関わらず良好な定着性が維持できる。
【0161】
実際の制御を、先の図19の制御回路から説明する。
【0162】
上記フォトカプラ33が被定着材の種類を認識して、CPU31にその検出信号を送る。このCPU31は、RAM34に予め記憶された被定着材Pの種類に対応する熱量データから、フォトカプラ33が認識した被定着材Pの熱量データを特定して呼び出す。
【0163】
CPU31は呼び出した熱量データにもとづいて電力量の最大値を決定し、発振回路35を介しインバータ回路36を構成するスイッチング素子37に与えるバルス数を制御する。
【0164】
このスイッチング素子37は、与えられたパルス数の時間だけ電流をコイル11に供給する。したがって、導電性材料からなる加熱ローラ3に渦電流が生じて発熱する。
【0165】
図21にもとづいて、第13の実施の形態を説明する。
【0166】
定着装置本体を構成するフレーム40に、軸受具41を介して加熱ローラ3が回転自在に枢支される。この加熱ローラ3には、加圧機構16によって弾性的に支持される加圧ローラ4が転接状態にあり、加熱ローラ3の回転にともなって従動回転するようになっている。
【0167】
また、上記加熱ローラ3の一側端部はフレーム40より外側へ突出し、この突出外周部に従動ギヤ42が嵌着される。この従動ギヤ42は、ここでは図示しない駆動モータに連結される駆動ギヤと噛合状態にある。
【0168】
また、加熱ローラ3内部には誘導加熱装置2を構成するフェライト材のコア10が収容される。このコア10には図示しないコイルが巻回されることは言うまでもない。
【0169】
上記コア10は、その両側端部をコア支持手段である一対の支持部材43,43によって支持されていて、先端部は加熱ローラ3の内周壁と所定の間隙を存して配置され、接触していないことは勿論である。
【0170】
上記支持部材43は、上記フレーム40の外面に固定具44を介して取付けられる鍔部43aと、コア10の端面を支持し両側面から挟み込む支持部43bとを備えている。
【0171】
このような発熱部分を加熱ローラ3と被定着材との接触部分に集中させる方式の定着装置では、コア10から発生する磁束を効果的に加熱ローラ3に作用させなければならない。
【0172】
コア10の加熱ローラ3対向部分から発生した磁束が、加熱ローラ3に作用せずに収まことがないよう、コア10と加熱ローラ3間のギャップの管理およびコア10の取付角度の設定は大変重要な課題となる。
【0173】
また、誘導加熱装置2として、重量の重いフェライト材のコア10にコイル11を巻回する構成は、従来のハロゲンランプヒータと比較すると重量および断面積が大になるため、加熱ローラ3とは別にコア11を支持する必要がある。
【0174】
ただし、コア支持手段として剛性が高く安価な、たとえば鉄材を用いると誘導加熱装置2から発生する磁束の分布を乱すとともに、支持手段自らが発熱してエネルギの損失を招いてしまう。
【0175】
そこで、同図に示すようなコア10を支持する支持部材43を備える。この支持部材43の素材は、コア10を構成するフェライト材よりも透磁率が低い材料を用いる。
【0176】
上記支持部材43として、たとえばアルミニウム材を用いることにより、コア10を支持するのに必要な剛性を保持したうえで、支持部材自らの発熱を抑制して誘導加熱装置2から発生する磁束の分布を乱すことがない。
【0177】
換言すれば、コア10を支持する支持部材43は、コア10を構成するフェライト材よりも透磁率が低いアルミニウム材を用いることにより、ニップ部分のみを集中して加熱することができ、クイックな定着立ち上がりが可能となる。
【0178】
図21は、同実施の形態の変形例も兼用する。
【0179】
すなわち、定着装置の構成は支持部材43も含めて、同図で説明したものと同一でよい。ただし、支持部材43の素材として合成樹脂材、たとえばポリイミド樹脂材を用いることとする。
【0180】
上記コイル10には、通常、10A程度の大きな電流が流れており、安全上、絶縁対策を施す必要がある。さらに、加熱ローラ3の発熱による輻射熱で誘導加熱装置2を構成するコア10とコイル11自体が加熱され、支持部材43に伝熱する。
【0181】
支持部材43として、この熱に耐える必要があり、それにはコア10を構成するフェライト材よりも透磁率が低く、電気絶縁性があって、かつ耐熱性を有する素材を用いなければならない。
【0182】
その点、支持部材43の素材として、先に説明した合成樹脂材、たとえばポリイミド樹脂材を用いれば、渦電流の発生がなく、電気的な絶縁が確実になされ、しかも発熱を防止するので、最適である。
【0183】
図22にもとづいて、第14の実施の形態を説明する。
【0184】
定着装置としての基本的な構成は先に図1で説明したものと同一であるので、ここでは同部品については同番号を付して新たな説明は省略する。
【0185】
誘導加熱装置2Gとして、コア10Gはニップ部を対象として加熱する加熱分布Kaを形成するばかりでなく、加熱ローラ3の回転方向の上流部をも対象とする加熱分布Kbを形成する。
【0186】
したがって、被定着材は加熱ローラ3と加圧ローラ4との転接部間である加熱分布Kaで加熱される以前に、加熱分布Kbで予備加熱されることとなり、見かけ上、定着時間を増加することと同様の効果を有する。換言すれば、定着温度を5〜10°C下げることが可能となり、高温オフセット等に有効である。
【0187】
図23にもとづいて、同実施の形態の変形例を説明する。
【0188】
駆動ローラ45と従動ローラ46との間に肉厚の薄い導電性ベルト47を掛け渡し、かつこの導電性ベルト47に近接した位置に誘導加熱装置2Lを配置してもよい。加圧ローラ4は導電性ベルト3Cの一部に転接するよう配置される。
【0189】
すなわち、上記効果は熱容量が小さい方が有効であるので、加熱ローラ3を肉厚の薄い導電性ベルト3Cに換えることとする。誘導加熱装置2Lとして、コア10Lは加圧ローラ4との接触部(ニップ部)に加熱分布Kaを形成するばかりでなく、被定着材Pの進入上流側にも加熱分布Kbを形成するので、上記実施の形態と同様、より効果的な加熱特性を得る。
【0190】
図24にもとづいて、第15の実施の形態を説明する。
【0191】
定着装置として、基本的な構成は先に図21で説明したものと同一(加圧機構については省略した)であるので、同部品には同番号を付して新たな説明は省略する。
【0192】
加熱ローラ3Dは、一部のみ厚肉に形成した磁気遮蔽部47を備えており、この磁気遮蔽部47に摺接する状態で、加熱ローラ3Dの温度を検出する手段としての温度検出センサ48が配置される。
【0193】
すなわち、この定着装置のように発熱部分を加熱ローラ3Dと被定着材との接触部分に集中させる方式では、発生する磁束を集中させて加熱するため、磁界の影響で温度検知センサ48が正常な動作を行わない恐れがある。
【0194】
この影響を回避するために、加熱ローラ3Dの一部の肉厚を増し、磁束を加熱ローラ3D内部で止めて磁気遮蔽をなす。肉厚変化部分は内側あるいは外側に突出させてもよい。ただし、画像領域外であることが望ましく、誘導加熱装置2もその分画像領域外へ延長させる必要がある。
【0195】
上記加熱ローラ3Dでは、温度検出センサ48の対向部のみ肉厚を2倍として外側へ突出させた磁気遮蔽部47を備えている。温度検出センサ48は、ニップ部を形成する加圧ローラ4の画像領域外でニップ部の温度を検出する。
【0196】
このように加熱ローラ3Dの一部を厚肉としたことにより、部分的に熱容量の差が生じて、画像領域とは温度の立ち上がり等が異なる。そのため、校正したデータテーブルを制御用として備えるとよい。
【0197】
図25にもとづいて、第16の実施の形態を説明する。
【0198】
定着装置として基本的な構成は先に説明したものと同一であるので、主要部以外は省略する。
【0199】
誘導加熱装置2Mを構成するコア10Mは、断面略E字状をなすとともに、中央突起部10aは加熱ローラ3の内周壁と対向し、この中央突起部10aの両側に設けられた突起部10b1 ,10b2 の先端面は曲面加工される。
【0200】
ところで、このコア10Mに巻き付けられているコイルに通電した場合、磁束は中央突起部10aからそれぞれ隣り合う突起部(この例では両側突起部10b1 ,10b2 )に向かって発生する。
【0201】
そのため、加熱ローラ3の表面上に渦電流が発生する範囲も、このコア10Mから磁束が出ている範囲に限られる。同図中の加熱ローラ3に斜線を付けて示したように、加熱ローラ3のコア10Mに対向する部分r(すなわち、一方側の突起部10b1 から他方側の突起部位10b2 までの範囲に対向する加熱ローラ3の部分)が発熱することになる。
【0202】
そして、誘導加熱を行なう際に、コア10Mの中央突起部10a先端から出た磁束は、加熱ローラ3内部を通って両側突起部10b1 ,10b2 に戻っていくので、ここで加熱ローラ3内部に渦電流が発生して、発熱を生じる。
【0203】
しかしながら、この中央突起部10aの先端と、この先端と対向する加熱ローラ3内周面までの距離L2 が、中央突起部10a先端から隣り合う両側突起部10b1 、10b2 先端までの距離L1 より大きい場合(L2 >L1 )は、中央突起部10aから発生した磁束は加熱ローラ3に達する前に全て隣接した両側突起部10b1 、10b2 の方へ流れ込んでしまう。
【0204】
これは、空気層による絶縁作用によるもので、L1 よりもL2 が大きくなることによって、中央突起部10aから加熱ローラ裏面に流れるよりも、隣接した両側突起部10b1 、10b2 の方に流れ易くなってしまうからである。
【0205】
そのため、効率のよい加熱を行なうには、コア10Mの中央突起部10aと両側突起部10b1 ,10b2 のうち、最も加熱ローラ3内周面から離れた突起部(ここでは中央突起部10a)の先端と、加熱ローラ3内周面までの距離をu、互いに隣接する突起部の間隔のうち最も短いもの(ここでは中央突起部10aと突起部10b1 もしくは10b2 )の距離をvとしたときに、 u < v であることが必須の条件となる。
【0206】
また、上記の実施の形態では、コア10Mに設けられている突起部10a,10b1 ,10b2 の数を3つとしたが、これに限定されるものではない。複数の突起部がコアに設けられているものにおいては、互いに隣り合うコア突起部の間隔のうち最も短い間隔vに対して、コアの突起部の先端と加熱ローラ内周面との距離uが短ければよい。
【0207】
また、複数の突起部を有するコアについては、磁束は必ず隣り合う突起部同志で発生するため、全体として突起部の数より1つ少ない数の磁束が発生することになる。
【0208】
ここで、加熱ローラ3の発熱する範囲はコア10Mが対向している範囲であるところから、加熱ローラ3の発熱範囲の長さをqとし、突起部の数をxとしたとき、加熱ローラ3上に発生する磁束の間隔は最大でも、q/(x−1)ということになる。
【0209】
上述した理由により、コアの突起部先端と加熱ローラ内周面との距離mが、加熱ローラ表面上に発生する最大の磁束の間隔q/(x−1)よりも大きい場合、コア10Mに発生する磁束は互いに突起部のみしか流れ込まなくなり、加熱ローラ3表面に到達しなくなってしまう。
【0210】
そこで、コア材の突起部先端と加熱ローラ内周面との距離をu、コアの突起部の数をx、加熱ローラの加熱領域の長さをqとしたとき、
u < q/(x−1) と設定する必要がある。
【0211】
図26(A)に、上記条件を満足したコア10Mの磁束分布の変化を示す。図に示されるように、コア10Mと加熱ローラ3との間の磁気抵抗が下って、密度の高い磁力線が流れることが分かる。
【0212】
したがって、発生する磁束を効果的に加熱ローラ3に作用させることができ、特にコア10Mの両側突起部10b先端面mから発生した磁束が別の部分へ拡散することがなく、加熱ローラ3における渦電流の発生が大で加熱効率がよい。
【0213】
同図(B)に、通常形状のコア10の磁束分布の変化を示す。各突起部10a,10bの先端面に対する何らの工夫もないところから、コア10と加熱ローラ3との間の磁気抵抗が大きく、磁極線の密度が疎である。したがって、加熱ローラ3における渦電流の発生が小さく、加熱効率が低い。
【0214】
図27に、先に説明したコア10Mの変形例を示す。
【0215】
同図(A)に示すコア10M1 は断面杆状をなし、加熱ローラ3内周壁と対向する先端面m1 のみ加熱ローラ3中心と同一中心の曲率でローラ内周壁と均一な間隙をなし、かつ近接する曲面に形成される。
【0216】
そして、コア10M1 の先端と加熱ローラ3内周面までの距離をu、加熱幅であるコア10M1 の幅をvとしたときに、u<vに設定される。
【0217】
同図(B)に示すコア10M2 は断面略逆U字状をなし、両側突起部10b2 の加熱ローラ3内周壁と対向する先端面m2 が加熱ローラ3中心と同一中心の曲率でローラ内周壁と均一な間隙をなし、かつ近接する曲面に形成される。
【0218】
そして、コア10M2 の先端曲面と加熱ローラ3内周面までの距離をu、加熱幅である両側突起部10b2 ,10b2 の幅をvとしたときに、u<vに設定される。
【0219】
同図(C)に示すコア10M3 は断面略逆U字状をなし、その両側突起部10b3 は中途部から折曲される。折曲部分の外周面m3 は、加熱ローラ3中心と同一中心の曲率でローラ内周壁と均一な間隙をなし、かつ近接する曲面に形成される。
【0220】
そして、突起部10b3 の先端曲面と加熱ローラ3内周面までの距離をu、加熱幅である両側突起部10b3 ,10b3 の幅をvとしたときに、u<vに設定される。
【0221】
同図(D)に示すコア10M4 は断面略E字状をなし、両側突起部10b4 は中途部から先端部に亘って折曲される。中央突起部10a4 の先端面と、両側突起部10b4 の折曲部の外周面m4 は、加熱ローラ3中心と同一中心の曲率でローラ内周壁と均一な間隙をなし、かつ近接する曲面に形成される。
【0222】
そして、コア10M4 の先端曲面と加熱ローラ3内周面までの距離をu、中央突起部10a4 と両側突起部10b4 との幅をvとしたときに、u<vに設定される。
【0223】
同図(E)に示すコア10M5 は断面略E字状をなし、中央突起部10a5 の先端面と両側突起部10b5 の先端面m5 は、加熱ローラ3中心と同一中心の曲率でローラ内周壁と均一な間隙をなし、かつ近接する曲面に形成される。
【0224】
そして、中央突起部10a5 の先端曲面と加熱ローラ3内周面までの距離をu、中央突起部10a5 と両側突起部10b5 との幅をvとしたときに、u<vに設定される。
【0225】
同図(F)に示すコア10M6 は断面略T字状をなし、その中央突起部10a6 と水平突起部10b6 の先端面m6 は、加熱ローラ3中心と同一中心の曲率でローラ内周壁と均一な間隙をなし、かつ近接する曲面に形成される。
【0226】
そして、中央突起部10a6 の先端曲面と加熱ローラ3内周面までの距離をu、中央突起部10a6 と水平突起部10b6 との幅をvとしたときに、u<vに設定される。
【0227】
同図に示すいずれの形態においても、先に図26(A)で説明したような作用効果が得られることは言うまでもない。
【0228】
図28にもとづいて、第17の実施の形態を説明する。
【0229】
定着装置として基本的な構成は先に説明したものと同一であるので、主要部以外は省略する。
【0230】
誘導加熱装置2Nを構成するコア10Nが断面略E字状をなすとともに、加熱ローラ3の内周壁と対向する中央突起部10aと両側突起部10bの先端面nが直状の平面に形成される。
【0231】
なお説明すれば、中央突起部10aの先端面nは、先に図2で説明したコア10と同様、この長手方向に対して直交する方向の面であるのに対して、両側突起部10bの先端面nは、この長手方向に対して斜めで、内側端部が尖鋭状に形成される。
【0232】
そして、両側突起部10b,10bそれぞれの先端面n,nの形状に沿って直線を延長すると、これら延長線は突起部10b,10b相互間で互いに交わる。この交点Xの位置は、必ず両側突起部10b,10bの内側にあって、決してこれらから外側に位置することがない。
【0233】
このような構成のコア10Nであれば、先に図26(A)で示すコア10Mと同様、コア10Nと加熱ローラ3との間の磁気抵抗が下って、密度の高い磁力線が流れる。
【0234】
したがって、発生する磁束を効果的に加熱ローラ3に作用させることができ、特にコア10Nの両側突起部10b先端面nから発生した磁束が別の部分へ拡散することがなく、加熱ローラ3における渦電流の発生が大で加熱効率がよい。
【0235】
図29に、先に説明したコア10Nの変形例を示す。
【0236】
同図(A)に示すコア10N1 は断面略U字状をなし、両側突起部10b2 の加熱ローラ3内周壁と対向する先端面n1 は斜め直状に形成されて、これら平面の延長線は突起部相互間において交わる。
【0237】
同図(B)に示すコア10N2 は断面略U字状をなし、その両側突起部10b2 は中途部から折曲される。そして、折曲部分の外周面n2 は斜め直状に形成されて、これら平面の延長線は突起部相互間において交わる。
【0238】
同図(C)に示すコア10N3 は断面略E字状をなし、両側突起部10b3 は中途部から先端部に亘って折曲される。そして、折曲部の外周面n3 は斜め直状に形成されて、これら平面の延長線は突起部相互間において交わる。
【0239】
同図(D)に示すコア10N4 は断面略E字状をなし、両側突起部10b4 の先端面n4 は斜め直状に形成されて、これら平面の延長線は突起部相互間において交わる。
【0240】
同図(E)に示すコア10N5 は断面略T字状をなし、その水平突起部10b5 の先端面n5 は斜め直状に形成されて、これら平面の延長線は突起部相互間において交わる。
【0241】
同図に示すいずれの形態においても、先に図28で説明したような作用効果が得られることは言うまでもない。
【0242】
図30(A)(B)にもとづいて、第18の実施の形態を説明する。
【0243】
定着装置として基本的な構成は先に説明したものと同一であるので、同部品には同番号を付して新たな説明は省略する。
【0244】
誘導加熱装置2Pを構成するコア10Pは高透磁率材であるフェライト材が用いられ、断面略E字状に形成される。したがって、このコア10Pは中央突起部10aと両側突起部10bとの、それぞれの先端部が加熱ローラ3の内周壁と対向して、3か所の加熱ローラ対向部が形成されることになる。
【0245】
本来、加熱部分を集中させるという意味では、同図(C)に示す誘導加熱装置2Qのように、断面略U字状に形成され加熱ローラ3と対向する部分が両側突起部10bの2か所であるコア10Qが最適である。
【0246】
この場合、コア10Qの両側突起部10b間と対向する部位に渦電流の閉ループSb一側が形成される。ただし、この部分を通過すると渦電流は左右に大きく広がってしまい密度が疎になる。
【0247】
これに対して、同図(A)に示す断面E字状で加熱ローラ3に対向する部分が3か所形成されるコア10Pでは、中央突起部10aと両側突起部10b間と対向する部位に渦電流の閉ループSaが形成される。
【0248】
すなわち、中央突起部10aと両側突起部10b間と対向する部位が2条あり、これらに形成される閉ループSaが拡散することなく集中する。したがって、熱エネルギが効率よく集中して、熱効率の向上を得られる。
【0249】
また、このコア10Pにおいても発生した磁束が加熱ローラ3に作用せずに収まってしまうことがないよう、コアにおける中央突起部10aと両側突起部10bとの対向間隔よりも、コア10Pと加熱ローラ3との間の磁気抵抗を下げる必要がある。
【0250】
すなわち、同図(B)に示すように、コア10Pの中央突起部10aと両側突起部10bとの対向間隔寸法pb よりも、コア10Pの中央突起部10aと両側突起部10bの先端と加熱ローラ3とのギャップpa を小さくした寸法設定をなす。
【0251】
具体的には、コア10Pの中央突起部10aと両側突起部10bとの対向間隔寸法pb は5mmであり、コア10Pの中央突起部10aと両側突起部10bの先端と加熱ローラ3とのギャップpa は0.5mmに設定される。
【0252】
図31にもとづいて、第19の実施の形態を説明する。
【0253】
定着装置として基本的な構成は先に説明したものと同一であるので、同部品には同番号を付して新たな説明は省略する。
【0254】
誘導加熱装置2Rを構成するコア10Rは、加熱ローラ3の内周壁と対向する部分を少なくとも3か所持つE字状断面をしており、このうちの中央突起部10ra にコイル11が巻回される。
【0255】
そして、コア10Rの中央突起部10ra の厚さt1 は両側突起部の厚さt2 の2倍としてある。このようにして中央突起部10ra と両側突起部10rb とで厚さを変えることにより、単純に飽和磁束が中央突起部10ra が高くなるのみならず、加熱ローラ3内部へコア10Rを挿入するためサイズを小型化できる。
【0256】
すなわち、コア10R内部での磁束の分布は、その断面形状に大きく左右されるので、飽和磁束密度のみで最適設計値を決定できず、特にコーナ部分やコア10Rの外に磁束を発生させる部分での特性に大きく影響する。
【0257】
発熱部分を加熱ローラ3と被定着材との接触部分に集中させる方式では、磁束の効果を十分に発揮させて効率を上げるために、コア10Rから発生する磁束を加熱ローラ3に集中する必要がある。
【0258】
上述の構成によれば、コア10Rの加熱ローラ3との対向部分から発生した磁束が、コア10Rの別の対向部分や加熱ローラ3に作用せずに収まってしまうことがなく、効率のよい発熱をなす。
【0259】
なお以上説明した定着装置を構成する加熱ローラ3の表面に、離型層やオフセット防止オイルを塗布することは何ら支障がない。
【0260】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、定着立ち揚げ時間の短縮化と、誘導加熱によって発生する熱が加熱ローラに均一に供給され、定着ニップ部において温度ムラが発生せず、省電力化を得られるとともに、複写スピードの速いマシンでも定着可能となるなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す、定着装置の断面図。
【図2】 同実施の形態の、誘導加熱装置の断面図。
【図3】 本発明の第1の実施の形態を示す、定着装置における誘導加熱装置の斜視図。
【図4】 同実施の形態の、磁力線の発生状態を示す図。
【図5】 同実施の形態の、加熱ローラに発生する磁力線の閉ループを説明する図。
【図6】 第2の実施の形態を示す、誘導加熱装置の斜視図。
【図7】 第3の実施の形態を示す、誘導加熱装置の斜視図。
【図8】 第4の実施の形態を示す、誘導加熱装置の斜視図。
【図9】 第5の実施の形態を示す、誘導加熱装置の斜視図。
【図10】 第6の実施の形態を示す、誘導加熱装置の斜視図。
【図11】 同実施の形態の、誘導加熱装置に対する加熱ローラの構成を示す斜視図。
【図12】 第7の実施の形態を示す、離反機構の作用を説明する図。
【図13】 同実施の形態の、ウォームアップ時のフローチャート図。
【図14】 同実施の形態の、レディ時のフローチャート図。
【図15】 第8の実施の形態を示す、定着装置の断面図。
【図16】 第9の実施の形態を示す、離反機構の作用を説明する図。
【図17】 第10の実施の形態を示す、定着装置の電気ブロック図。
【図18】 同実施の形態の、電気制御を説明するブロック図。
【図19】 第11、第12の実施の形態を示す、定着装置の電気制御回路の構成図。
【図20】 第12の実施の形態を示す、定着装置の断面図。
【図21】 第13の実施の形態を示す、定着装置の一部省略した横断面図。
【図22】 第14の実施の形態を示す、定着装置の断面図。
【図23】 同実施の形態の変形例を示す、定着装置の断面図。
【図24】 第15の実施の形態を示す、定着装置の一部省略した横断面図。
【図25】 第16の実施の形態を示す、定着装置の断面図。
【図26】 同実施の形態と、通常構造の定着装置における磁力線の発生状況の相違を示す図。
【図27】 同実施の形態の変形例で、互いに異なるコアの構成を説明する図。
【図28】 第17の実施の形態を示す、定着装置の断面図。
【図29】 同実施の形態の変形例で、互いに異なるコアの構成を説明する図。
【図30】 第18の実施の形態を示す、定着装置の斜視図と、寸法設定を表す図および、変形例の定着装置の斜視図。
【図31】 第19の実施の形態を示す、定着装置の断面図。
【符号の説明】
3…加熱ローラ(第1の転接部材)、
4…加圧ローラ(第2の転接部材)、
2…誘導加熱装置(誘導加熱手段)、
10…コア、
11…コイル、
a…テーパ部、
c,d…段差部、
15…離反機構(離反手段)、
43…支持部材(コア支持手段)、
48…温度検出センサ(温度検出手段)、
47…磁気遮蔽部、
10a…中央突起部、
10b1 ,10b2 …両側突起部。
Claims (2)
- 導電性材料から構成され、回転駆動される加熱ローラと、
この加熱ローラに対して加圧状態で転接され、これらの転接部間に現像剤像が形成された被定着材を介在して通過させる加圧ローラと、
上記加熱ローラ側に配置され、加熱ローラの上記転接部を集中して誘導加熱する誘導加熱手段を備え、上記被定着材の現像剤像を被定着材に定着させる定着装置において、
上記誘導加熱手段に投入する電力量を、定着稼働時と比べて定着立ち上げ時を大きくするよう制御する制御手段と、
上記加熱ローラから上記加圧ローラを接離させる離反機構とからなり、
定着立ち上げ時に、上記離反機構は上記加熱ローラから上記加圧ローラを離間させ、上記加熱ローラが回転したあと、上記誘導加熱手段は上記加熱ローラの加熱を開始し、
上記加熱ローラが第1の所定温度に上昇したとき、上記離反機構は、加圧ローラと加熱ローラを転接させ、
上記誘導加熱手段は、上記加圧ローラが加熱ローラに転接したあと、上記加熱ローラが第2の所定温度に上昇するまで誘導加熱を継続することを特徴とする定着装置。 - 導電性材料から構成され、回転駆動される加熱ローラと、
この加熱ローラに対して加圧状態で転接され、これらの転接部間に現像剤像が形成された被定着材を介在して通過させる加圧ローラと、
上記加熱ローラ側に配置され、加熱ローラの上記転接部を集中して誘導加熱する誘導加熱手段とを備え、上記被定着材の現像剤像を被定着材に定着させる定着装置において、
上記加熱ローラから上記加圧ローラを接離させる離反機構を備え、
定着立ち上げ時に、上記離反機構は上記加熱ローラから上記加圧ローラを離間させ、上記加熱ローラが回転したあと、上記誘導加熱手段は上記加熱ローラの加熱を開始し、
上記加熱ローラが第1の所定温度に上昇したとき、上記離反機構は、加圧ローラと加熱ローラとを転接させ、上記誘導加熱手段は、上記加圧ローラが加熱ローラに転接したあと、上記加熱ローラが第2の所定温度に上昇するまで誘導加熱を継続することを特徴とする定着装置。
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