JP4087150B2 - 線材の巻取り方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、線材の巻取り方法に関する。特に、銅などのメタル線をダイスにより細線に線引きした線材やその線材に絶縁被覆を施した被覆線材、または光ファイバ母材を加熱紡糸して光ファイバとし、その光ファイバに樹脂を被覆した被覆ファイバからなる被覆線材等の線材をボビンに巻取る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銅などのメタル線をダイスにより細線に線引きした線材やその線材にポリエチレン等の絶縁被覆を施した被覆線材を巻取る巻取り方法としては、ダイスや押出機から出た線材をダンサーに導き、該ダンサーより最終ガイドプーリーとしてのトラバース用ガイドプーリーを通り、プーリートラバース方式で巻取りボビンに巻き取る方法が用いられている。
【0003】
この巻取り方法では、巻取りボビンはライン速度とダンサー位置信号により回転速度が制御され、該巻取りボビンの巻き太りやライン線速の変動に追従するようになっている。また、トラバース用ガイドプーリーにより線材のパスラインを変えて、巻取りボビンの一方の鍔から他方の鍔まで整列して巻き取れるようにトラバース用ガイドプーリーの反転位置や該トラバース用ガイドプーリーとその前段の固定形ガイドプーリーとのなす最大角度等を調整していた。
【0004】
光ファイバの場合は、光ファイバ母材を炉にて溶融紡糸して,紫外線硬化樹脂を被覆して紫外線ランプ等の硬化装置にて硬化させた後、引取り機にて引取り、次にガイドプーリーとダンサーを経て巻取りボビンに巻き取っている。
【0005】
この場合の巻取り方法は、前述したメタル線とは異なり、巻取りボビンをトラバースするボビントラバース方式が広く用いられている。このボビントラバース方式では、最終ガイドプーリーとしてのガイドプーリーはトラバースせず、巻取りボビンがトラバースするため、線材のパスラインはほとんど変化せずに巻取られることになり、該線材に余分な力が作用しなくて済む利点がある。
【0006】
従来のボビントラバース方式の線材巻取り装置としては、例えば、図7に示すものが挙げられる。1は光ファイバ心線等の線材、3aは両側にそれぞれ鍔3b,3cを有する巻取りボビン、4は巻取り動作中に線材1の巻取り速度の変動を調節するダンサー、5はダンサー4より巻取りボビン3aまで線材1をガイドするガイドプーリー、6は巻取りボビン3aを回転させる巻取り用モーター、7は巻取りボビン3a及び巻取り用モーター6をトラバースさせるトラバース用モーター、8はトラバース位置を検出するロータリーエンコーダー、19は巻取りモーター6及びトラバース用モーター7の速度を制御する制御部である。このうち、巻取りボビン3a、巻取りモーター6、トラバース用モーター7、及び、ロータリーエンコーダー8は巻取り機に含まれるものである。巻取り機は、この機構により、パスラインに対し直交する方向に巻取りボビン3aがトラバースする作用を有するものである。
【0007】
図2は線材1を巻取る一般的な工程を説明するもので、2は引取りキャプスタンである。線材1は、矢印方向に引き取りキャプスタン2から巻取り機3まで送られる。詳しくは、線材1は、送出し部(図示しない)より送出され、引取りキャプスタン2により引取られ、ダンサー4、ガイドプーリー5を介し、巻取り機3にて巻取りボビン3aに巻き取られる。
【0008】
巻取りボビン3aでの巻取り機の速度変動は引取りキャプスタン2と巻取りボビン3a間での貯線量の増減となり、ダンサー4の上下変動となる。図7に示すように、ダンサー4の変動データは、検出器により破線Fで示すように制御部19に送られ、制御部19は巻取り用モーター6に破線Gで示すように回転速度指令を与え、巻取り用モーター6の回転速度を調節しながら、巻取りを行う。一方、巻取り機3は、ロータリーエンコーダー8によりトラバース位置を常に検出し、トラバース位置データを破線Iで示すように制御部19に送り、決められた反転位置にて反転するようトラバース用モーター7に制御部19は破線Hに示すように回転速度指令を与え、巻取りボビン3aに線材1を均一に巻き取るようにしている。
【0009】
しかしながら、前述したプーリートラバース方式、又は、ボビントラバース方式では、線材の線速が遅い場合には特に問題ないが、線速が速くなると、該巻取りボビン3aの両側の鍔際3b、3cで巻き姿が悪くなるという問題が発生しやすくなる。
【0010】
従来、トラバースの反転位置は線材1が均一な巻き形状に巻取られるよう、実験により得られたデータをもとに決定してきた。しかし、光ファイバ心線のような細物線材を均一に巻取る場合、巻取りボビン3aのわずかな精度不良や鍔の歪みや撓み、或いは、巻取り機3への巻取りボビン固定時のずれ等により鍔付近においての巻き形状が巻き太ったり巻き細ったりと、巻きが不均一な状態となる「巻き不良」が発生していた。また線速が高速になるにつれ、巻取り回転速度、トラバース速度も高速となり、わずかな反転位置のずれでも巻き不良の原因となり、装置線速の速度アップの妨げともなっていた。
【0011】
また、巻取り運転中に巻取りボビンの鍔際において巻き太ってくれば鍔際にて線材1が適切な量に比べ、より多く巻かれているということであり、逆に鍔際にて巻き細ってくれば鍔際にて線材1が適切な量に比べ、より少なく巻かれているということである。これに対しては、作業者が目視により巻き不良を確認し、巻き太っていれば反転位置を内側に変更し、巻き細っていれば反転位置を外側に変更することで、巻き形状を均一にするよう試みられた。しかし、作業性が大幅に落ちることと、目視での確認および作業者による手入力での反転位置変更であるため、誤った判定、誤った操作をする場合があり、その場合には、よけいに巻き不良が発生する結果となった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の従来の問題点を解消し、線材を巻取りボビンに巻取る際に巻取りボビンの精度不良や鍔の変形、ボビン固定時のずれ等がある場合の巻取りボビンの鍔際であっても巻き状態を均一にする巻取り方法を提供することを目的とする。また、前記巻取り方法を提供することにより装置線速の速度アップを達成することも目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の手段により、上記課題を達成するものである。
すなわち、
(1)巻取りボビンを備え、線材が供給されるパスラインに対し直交する前記巻取りボビンの軸方向に相対的にトラバースしながら線材を巻取る巻取り機、前記巻取りボビンに線材を供給するガイドプーリー、並びに、前記巻取り機および前記ガイドプーリーの前段に線材の巻取り速度の変動を調節するダンサーを用いた線材の巻取り方法であって、前記ダンサーの基準となる位置からの変位をモニタし、前記線材と前記ボビンとのトラバース反転位置の決定にフィードバックさせるに当り、
(i)トラバース反転時の前記ダンサーの変移を移動平均化し、この移動平均値が所定のしきい値を越えたか否かを第1のモニタ条件とし、かつ、
(ii)前記移動平均値が設定回数だけ連続して前記しきい値を越えたか否かを第2のモニタ条件とし、
前記第1のモニタ条件と前記第2のモニタ条件とにより、前記線材の巻取り状態を判定した結果をフィードバックさせて前記トラバース反転位置を変更することを特徴とする線材の巻取り方法、
(2)前記しきい値を1回越えた場合にトラバース反転位置を変更することを特徴とする(1)項に記載の線材の巻取り方法、
(3)前記移動平均値の判定を前記トラバース反転位置近傍における前記ダンサー位置の変移データにより行うことを特徴とする(1)または(2)項に記載の線材の巻取り方法、
(4)トラバース反転位置の変更後、所定回数の巻取りを行うまでは更なる反転位置の変更を行わないことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の線材の巻取り方法、
(5)前記所定回数の巻取りの間にしきい値を越えなくなった場合、トラバース反転位置の変更を取り消すことを特徴とする(4)項に記載の線材の巻取り方法、
(6)前記ダンサーの変位はポテンショメータにて連続的に測定することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に項に記載の線材の巻取り方法、
(7)前記線材は被覆された光ファイバであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の線材の巻取り方法、及び、
(8)前記トラバース反転位置を変更するに当り、反転位置補正量分だけ内側もしくは外側にずらして変更し、この効果を連続確認しながら自動的に補正を完了させつつ、巻き取り運転を継続することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の線材の巻取り方法
である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の方法は、ダンサーの基準となる位置からの変位をモニタし、線材とボビンとのトラバース反転位置の決定にフィードバックさせることを特徴とするものである。そこでは、ダンサーの位置情報により線材が巻取りボビンに巻かれている巻き状態の判断が行われる。また、フィードバックには、トラバース反転位置を変更させることを含むことができる。
【0015】
従来の方法では、運転開始時のトラバース反転位置は、巻取り作業中に自動的に変更されるものではなかったが、本発明では、巻取り作業中においても、線材の巻き状態に対応して、トラバース反転位置を自動的に変更されるものである。
【0016】
特に巻き状態が悪化し易い鍔際で線材が巻き取られている時のダンサーの動きを例にとると、トラバースの反転位置が適切な位置より外側にずれていた場合、鍔際ではより多くの線材が巻き取られ巻き太った形状が形成され、ダンサーにて貯線されていた線材は放出される方向となり、ダンサーは上方へと移動する。逆にトラバースの反転位置が適切な位置より内側にずれていた場合、鍔際ではより少なく線材が巻き取られ巻き細った形状が形成され、ダンサーにて線材が貯線される方向となり、ダンサーは下方へと移動することとなる。
【0017】
本発明では、好ましくは、適切な巻き状態にて巻き取られている時のダンサーの位置を基準とし、ダンサーの基準よりの偏差量を数値化し、制御部であるPLCに取り込む。但し、ダンサー位置情報の取り込みは鍔際付近の限定された領域のみとし、外乱を取り込むことを防止する。ダンサーの位置情報は複数回取り込み平均化処理、連続判断等を行い、その位置情報がある設定したしきい値を超えた時、上限を超えていれば巻き太りと判断、下限を下回っていれば巻き細りと判断するものとする。
【0018】
上記判断に基づき、巻き太りと判断された場合、前述した通り反転位置が適切な位置より外側になっているので、ある設定量だけ反転位置を内側へと変更し、同じように、巻き細りと判断された場合、ある設定量だけ反転位置を外側へと変更する。
【0019】
前述した反転位置のそれぞれ変更は、巻取り運転の中で不均一となっていった巻き状態の補正を目的とするものであり、前述した巻き状態の判断にて巻き状態が良好となったこと、すなわち補正が完了したことが確認できた場合には、速やかに新たな反転位置(運転開始時の反転位置及び巻き状態の補正のために変更した反転位置に限られない)に変更するものである。
【0020】
また、本発明は、トラバース反転位置は前記しきい値を1回越えた場合に変更するものであっても良い。また、前記しきい値を数種類設けるものであっても良い。
また、前記しきい値を連続して所定回数越えた場合にトラバース反転位置を変えることとしても良い。
また、前記ダンサーの変位データの移動平均値が所定のしきい値を越えた場合にトラバース反転位置を変えるものとしても良い。
また、好ましくは、トラバース反転位置の変更後、所定回数の巻取りを行うまでは更なる反転位置の変更を行わないものである。さらに好ましくは、その所定回数の巻取りの間にしきい値を越えなくなった場合、トラバース反転位置の変更を取り消すものである。
【0021】
また、本発明においては、好ましくは、巻取りダンサーの変位はポテンショメータあるいはエンコーダー、シンクロ発信器等で連続的に測定するものである。また、好ましくは、変位の判定を反転位置近傍で行うものである。また、好ましくは、巻取りダンサーの変位がしきい値を越えたことを近接スイッチのようなスイッチで検出するものである。
【0022】
また、本発明において、一つの好ましい線材は被覆された光ファイバである。
【0023】
以上の巻取り方法により、線材の巻取りボビンへの巻取り時、ダンサーの上下変動量の数値化処理により、その鍔際における巻き状態を判断し、反転位置を自動的に変更することで、速やかに悪化した巻き状態を良好なものに改善するものである。また、改善後は新たな反転位置への変更を行うことで、そのボビンでの巻き状態悪化の再発防止を実現するものである。
【0024】
また、本発明の方法を実施する装置の実施形態としては、巻取りボビンを備え、線材が供給されるパスラインに対し直交する前記巻取りボビンの軸方向に相対的にトラバースしながら線材を巻取る巻取り機、巻取りボビンに線材を供給するガイドプーリー、前記巻取り機および前記ガイドプーリーの前段に置かれた線材の巻取り速度の変動を調節するダンサー、並びに、制御部を備えた線材巻取り装置であって、前記制御部が、前記ダンサーの基準となる位置からの変位の情報により線材の巻き状態を判断し、線材とボビンとのトラバース反転位置の決定にフィードバックさせること特徴とする線材巻取り装置が挙げられる。この装置は、上記の線材の巻取り方法に用いることができるものである。
【0025】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明する。
本実施例で用いられた装置の概略は、図1で示されるものである。巻取り装置は、巻取り機、並びに、巻取り動作中に線材1の巻取り速度の変動を調節するダンサー4、ダンサー4より巻取りボビン3aまで線材1をガイドするガイドプーリー5、プログラマブルコントローラー(PLC)である制御部9を備えている。巻取り機は、両側に鍔3bと3cを有する巻取りボビン3a、巻取りボビン3aを回転させる巻取り用モーター6、巻取りボビン3a及び巻取り用モーター6をトラバースさせるトラバース用モーター7、トラバース位置を検出するロータリーエンコーダー8を備え、パスラインに対し直交する巻取りボビンの軸方向にトラバースする機能を有するものである。この巻取り装置では、図2で示される一般的な工程と同様に、線材1を巻き取る。すなわち、線材1は送出し部より送出され、引取りキャプスタン2により引取られ、ダンサー4、ガイドプーリー5を介し、巻取り機3にて巻取りボビン3aに巻き取られる。
【0026】
制御部9からは、巻取り用モーター6に対する破線Bに示すように回転速度指令Bが与えられる。一方、ロータリーエンコーダー8は、トラバース位置データDを常に検出し、破線Dに示すように制御部9に与えている。
【0027】
ここで、引取りキャプスタン2での引取り速度は、巻取り運転中ほぼ一定である。したがって、線材1の貯線量が変動するのは巻取りボビン3aにおける巻き形状が均一な部分と比較して、巻き太ったり巻き細ったりした場合であり、巻き形状が巻き太ると貯線が減少し、ダンサー4は上方へと移動する。反対に巻き形状が巻き細ると貯線が増加しり、ダンサー4は下方へと移動する。巻き形状が悪化するのは殆どがトラバースの反転位置となるボビンの鍔際付近であるため、制御部9に与えられたトラバース位置データがボビンの鍔際から3〜5mmまでの範囲内にある場合のみダンサーの位置情報を破線Aで示すように制御部9へと取り込むようにする。尚、この取り込み範囲は巻取りボビンの巻き幅、巻き取っている線材の線径により適宜変更した。
【0028】
図3はダンサー位置情報の取り込みの様子と反転動作をグラフで示すものである。10が反転位置、11がダンサーの基準位置、15がトラバース位置データとなる。ダンサー位置情報14はデータ取り込み区間において基準位置11より下方にある。すなわち、トラバースの反転の時ダンサー4が下方へと移動していることがわかる。取り込み区間において制御部9へ取り込まれたダンサー位置情報14は、基準位置11より大きければその最大値を、基準位置より小さければその最小値をそのトラバース反転時のダンサーデータEとして記憶する。
【0029】
図4は、図3の位置情報の取り込みを連続的に示すもので、EA1〜EA5は巻取りボビン鍔3bでのトラバース反転時のダンサーデータ、EB1〜EB6は巻取りボビン鍔3cでのトラバース反転時のダンサーデータ、12は巻き太り判定しきい値、13は巻き細り判定しきい値を示す。巻き形状の悪化をより早い段階で判定できれば、巻き形状の改善も容易に行える。そのためにはしきい値をより基準位置11に近いものとしたいが、安易に巻き太り状態又は巻き細り状態と判定してしまうと巻き形状の誤判定をまねき、適切な補正が行えない。そこで以下に述べる2つの条件を用いて「巻き太り」又は「巻き細り」を判定した。
【0030】
1つ目の条件として、制御部9に記憶された各鍔でのダンサーデータEA,EBをそれぞれ移動平均化し、この移動平均値がある設定したしきい値を超えたか否かを条件とした。2つ目の条件として、同じく各鍔でのダンサーデータEA,EBがそれぞれある設定回数だけ連続してある設定したしきい値を超えたか否かを条件とした。尚、2つの条件中にあるしきい値は各々設定可能とした。以上の2つの条件が同時に満たされた場合、各鍔での巻き状態を「巻き太り」又は「巻き細り」と判定した。
【0031】
制御部9は、上記の判定により「巻き太り」あるいは「巻き細り」といった巻き不良と判断された場合、トラバース速度指令Cにより、線材とボビンとのトラバース反転位置の決定にフィードバックさせ、当初設定された運転開始時のトラバース反転位置を適宜変更する。ある片側のボビン鍔3d付近においての線材1の巻き太り状態を示している図5のような場合、恐らくはトラバース反転位置が(イ)の状態にて線材が巻き取られたことが予想され、これを改善すべく、巻き太り時反転位置補正量である設定値xmmだけ内側へ変更され、反転位置(ロ)となる。しかし、反転位置(ロ)での巻取りを継続すると、今度は反対に「巻き細り」の状態に至ることが分かった。そこで上記反転位置(ロ)に変更後、その効果をある巻き層数だけ行った。効果確認の間に、前述した2つの判定条件が両方とも継続して成立していれば「効果なし」とし、一方でも不成立となると「効果有り」とし、「効果なし」の場合、反転位置(ロ)よりさらに設定値xmmだけ内側へ変更、反転位置(ハ)とし、再度効果確認を行う。一方「効果有り」の場合、反転位置(イ)に戻してしまうと、また「巻き太り」の状態が再発する可能性が高いため、もとの反転位置(イ)より巻き太り補正完了後反転位置変更量である設定値ymmだけ内側へ変更、反転位置(ニ)とし、巻取り運転を継続する。尚、効果確認巻き層数,巻き太り時補正量xmm,補正完了後変更量ymmは任意に設定可能とした。
【0032】
同様に巻き細り状態の対処について説明する。図6は、片側のボビン鍔3d近辺においての線材1の巻き細り状態を示している。この場合、恐らくはトラバース反転位置が(ホ)の状態にて線材が巻き取られたことが予想され、これを改善すべく、巻き細り時反転位置補正量である設定値x'mmだけ外側へ変更され、反転位置(ヘ)となる。しかし、反転位置(ヘ)での巻取りを継続すると、今度は反対に「巻き太り」の状態に至ることが分かった。そこで上記反転位置(ヘ)に変更後、同じく効果確認を行った。「効果なし」の場合、反転位置(ヘ)よりさらに設定値x'mmだけ外側へ変更、反転位置(ト)とし、再度効果確認を行う。一方「効果有り」の場合、反転位置(ホ)に戻してしまうと、また「巻き細り」の状態が再発する可能性が高いため、もとの反転位置(ホ)より巻き細り補正完了後反転位置変更量である設定値y’mmだけ外側へ変更、反転位置(チ)とし、巻取り運転を継続する。尚、ここでも効果確認巻き層数,巻き細り時補正量x'mm,補正完了後変更量y'mmは任意に設定可能とした。
【0033】
本実施例では、ボビントラバース方式に用いた場合を説明したが、本発明は、ダンサーの基準となる位置からの変位の情報により制御部が、トラバース用ガイドプーリーの反転位置や該トラバース用ガイドプーリーとその前段の固定形ガイドプーリーとのなす最大角度等を調整するように指令を与えるようにすることで、プーリートラバース方式においても用いることができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の線材の巻取り方法により、巻取り運転中に巻取りボビン鍔際での巻き太り或いは巻き細り等で巻き状態が不均一なものになった場合でも、速やかにこれを改善し、均一な巻き状態を保つことが可能となった。それにより、装置線速の速度アップも可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いられる線材巻取り装置の説明図である。
【図2】線材巻取り装置における線材の巻取り工程の説明図である。
【図3】ダンサー位置情報の取り込みの様子を示すグラフである。
【図4】ダンサー位置情報の連続的な取り込みとそれぞれ巻き形状の判定に用いられるしきい値を示す図である。
【図5】巻取りボビンの鍔近辺で巻き太りが発生している状態とトラバース反転位置の遷移を示す図である。
【図6】巻取りボビンの鍔近辺で巻き細りが発生している状態とトラバース反転位置の遷移を示す図である。
【図7】従来の線材巻取り装置の説明図である。
Claims (8)
- 巻取りボビンを備え、線材が供給されるパスラインに対し直交する前記巻取りボビンの軸方向に相対的にトラバースしながら線材を巻取る巻取り機、前記巻取りボビンに線材を供給するガイドプーリー、並びに、前記巻取り機および前記ガイドプーリーの前段に線材の巻取り速度の変動を調節するダンサーを用いた線材の巻取り方法であって、
前記ダンサーの基準となる位置からの変位をモニタし、前記線材と前記ボビンとのトラバース反転位置の決定にフィードバックさせるに当り、
(i)トラバース反転時の前記ダンサーの変移を移動平均化し、この移動平均値が所定のしきい値を越えたか否かを第1のモニタ条件とし、かつ、
(ii)前記移動平均値が設定回数だけ連続して前記しきい値を越えたか否かを第2のモニタ条件とし、
前記第1のモニタ条件と前記第2のモニタ条件とにより、前記線材の巻取り状態を判定した結果をフィードバックさせて前記トラバース反転位置を変更することを特徴とする線材の巻取り方法。 - 前記しきい値を1回越えた場合にトラバース反転位置を変更することを特徴とする請求項1記載の線材の巻取り方法。
- 前記移動平均値の判定を前記トラバース反転位置近傍における前記ダンサー位置の変移データにより行うことを特徴とする請求項1または2記載の線材の巻取り方法。
- トラバース反転位置の変更後、所定回数の巻取りを行うまでは更なる反転位置の変更を行わないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の線材の巻取り方法。
- 前記所定回数の巻取りの間にしきい値を越えなくなった場合、トラバース反転位置の変更を取り消すことを特徴とする請求項4記載の線材の巻取り方法。
- 前記ダンサーの変位はポテンショメータにて連続的に測定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の線材の巻取り方法。
- 前記線材は被覆された光ファイバであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の線材の巻取り方法。
- 前記トラバース反転位置を変更するに当り、反転位置補正量分だけ内側もしくは外側にずらして変更し、この効果を連続確認しながら自動的に補正を完了させつつ、巻き取り運転を継続することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の線材の巻取り方法。
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