JP4086917B2 - ガラス封止形サーミスタ及びその製造方法 - Google Patents

ガラス封止形サーミスタ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家電機器、住設機器、自動車機器などの温度センサとして用いられ、高耐熱性が要求される分野に有用なガラス封止形サーミスタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス封止形サーミスタの製造技術としては、例えば特公昭61ー38601号公報に開示されるように、相対する面に電極を形成したサーミスタ素体を、2本のジュメット線の間に挟み込み、ジュメット線からサーミスタ素体に対して、垂直方向に荷重をかけながら、ガラスを溶融し、封止を行う技術が知られている。
【0003】
このようにして得られたガラス封止形サーミスタは、ガラスの溶融固化時の圧縮応力と、組立時の荷重による機械的応力により、サーミスタ素体の電極と、ジュメット線との接触導通を確保している。
【0004】
上述のようにして得られたガラス封止形サーミスタの問題点の一つは、外部から機械的ストレスや熱的ストレスが加わった場合、サーミスタ素体の電極とジュメット線との間に間隙が生じ、電気的にオープンとなり、センサーとしての品質の低下を招くことである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、外部から機械的、熱的ストレスが加わっても、不導通を生じにくい高品質のガラス封止形サーミスタを提供することである。
【0006】
本発明のもう一つの課題は、高度の封止構造を形成すると共に、リード導体及びサーミスタ素子の電極との間に、金属結合を確実に生じさせた高品質のガラス封止形サーミスタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明に係るガラス封止形サーミスタは、サーミスタ素子と、2本のリード導体と、封止ガラスとを含む。前記サーミスタ素子は、サーミスタ素体の相対向する両端面に電極を有し、2本のリード導体の間に挟み込まれている。前記リード導体と、前記サーミスタ素子の前記電極との間に、結合層があり前記結合層は、前記リード導体と一体化されていて、前記サーミスタ素子の前記電極との間で、金属拡散による金属結合を構成している。
前記封止ガラスは、前記サーミスタ及び前記リード導体の組立体を封止している。
【0008】
上記構造のガラス封止形サーミスタは、リード導体と、サーミスタ素子の電極との間に、結合層があり、結合層はリード導体と一体化されていて、サーミスタ素子の電極に対して、金属拡散によって金属結合しているので、サーミスタ素体の電極とリード導体との間に、耐熱性に優れ、機械的結合強度の高い結合を実現できる。このため、外部から機械的、熱的ストレスが加わったても、サーミスタ素体の電極とリード導体との間に間隙が発生することがく、両者間に不導通を生じにくい高品質のガラス封止形サーミスタが得られる。金属結合とは、金属状態での原子間の結合によって生じた結合をいう。
【0009】
結合層は、好ましくは、封止ガラスの溶融温度領域において、金属結合を生じ得る特性を有する。従って、封止ガラスを溶融させ、高度の封止構造を形成すると共に、リード導体上に一体化して設けた結合層と、サーミスタ素子の電極との間に、金属結合を確実に生じさせることができる。
【0010】
サーミスタ素子は、一般には、負の抵抗温度係数を有するサーミスタ素子(以下NTCサーミスタ素子と称する)であるが、正の抵抗温度特性を有するサーミスタ素子(以下PTCサーミスタ素子と称する)であってもよい。
【0011】
結合層は、一般には、リード導体の表面に被着された膜、例えばメッキ膜である。結合層の材質は、サーミスタ素子の電極の組成等に応じて選択される。結合層は、金属のみならず、金属酸化物によっても構成できる。
【0012】
本発明に係る製造方法において、サーミスタ素子の両端面に、結合層を有するリード導体を押し付ける。前記結合層は、封止ガラスの溶融温度領域において、前記電極に対して金属結合し得る特性を有する。
【0013】
次に、前記サーミスタ素子及び前記リード導体を含む組立体を、ガラス管によって覆う。
【0014】
次に、前記サーミスタ素子、前記リード導体及び前記ガラス管を含む組立体を中性ガス雰囲気中で加熱し、それによって、ガラス管を溶融させ、かつ、前記電極とリード導体に設けられた前記結合層との間に、金属拡散による金属結合を生じさせる。
【0015】
この製造方法により、サーミスタ特性を損なわず、いかなる熱膨張係数のサーミスタ素体も用いることが可能であり、サーミスタ素体の気密封止も完全であり、外部からの機械的、熱的ストレスで不導通(オープン)にならない高品質で低価格のガラス封止形サーミスタの提供が出来る。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るガラス封止形サーミスタの部分断面図である。図示は、NTCサーミスタ素子を用いたガラス封止形サーミスタ(以下ガラス封止型NTCサーミスタと称する)を示している。但し、PTCサーミスタ素子を用いたガラス封止形サーミスタ(以下ガラス封止型PTCサーミスタと称する)であってもよい。
【0017】
図示されたガラス封止型NTCサーミスタは、NTCサーミスタ素子1と、2つのジュメット線21、22と、封止ガラス3とを含む。NTCサーミスタ素子1は、サーミスタ素体11の相対向する両端面に電極12、13を有し、2本のジュメット線21ー22の間に挟み込まれている。ジュメット線21、22は、NTCサーミスタ素子1の電極12、13と接触する端面に、結合層41、42が一体に形成されている。このような結合層41、42は、例えば、メッキによって形成できる。結合層41、42は、NTCサーミスタ素子1の電極12、13との間で金属拡散による金属結合を生じている。封止ガラス3は、NTCサーミスタ素子1及びジュメット線21、22の組立体を封止している。
【0018】
結合層41、42は、封止ガラス3の溶融温度領域において、NTCサーミスタ素子1の電極12、13との間で、金属拡散による金属結合を生じる得る特性を有する。金属拡散は、結合層41、42と、NTCサーミスタ素子1の電極12、13との間で、相互的に行なわれる。
【0019】
上記構造のガラス封止形サーミスタは、ジュメット線21、22と、NTCサーミスタ素子1の電極12、13との間に結合層41、42があり、結合層41、42は、リード導体21、22と一体化されていて、サーミスタ素子1の電極12、13との間で、金属拡散による金属結合を構成している。金属拡散結合によれば、耐熱性に優れ、機械的結合強度の高い結合を実現できる。このため、外部から機械的、熱的ストレスが加わっても、サーミスタ素体11の電極12、13とジュメット線21、22との間に間隙が発生することがく、両者間に不導通を生じにくい高品質のガラス封止形サーミスタが得られる。
【0020】
しかも、結合層41、42は、封止ガラス3の溶融温度領域において、NTCサーミスタ素子1の電極12、13との間で、金属拡散による金属結合を生じ得る特性を有する。従って、封止ガラス3を適切に溶融させ、NTCサーミスタ素子1及びジュメット線21、22の組立体を確実に封止しつつ、ジュメット線21、22と一体化された結合層41、42と、NTCサーミスタ素子1の電極12、13との間に、金属結合を確実に生じさせることができる。
【0021】
図示された結合層41、42は、薄板で構成されている。この結合層41、42は、金属または金属酸化物によって構成できる。結合層41、42の材質は、NTCサーミスタ素子1の電極12、13の組成等に応じて選択される。
【0022】
NTCサーミスタ素子1の電極12、13は、通常、Ag、 Ag-Pd、 AuまたはAu-Cuの少なくとも1種を主成分とする。ジュメット線21、22はFe、 Niを主成分とする合金である。ジュメット線21、22の外端面には、リード線51、52がそれぞれ接続されている。
【0023】
上述したNTCサーミスタ素子1に最適な結合層41、42は、CuまたはCu2Oを主成分とするものである。完成した状態では、NTCサーミスタ素子1の電極12、13と結合層41、42との間に、金属拡散による相互的な金属原子移動が発生するので、NTCサーミスタ素子1の電極12、13に、結合層41、42の主成分であるCuまたはCu2Oが、また、結合層41、42には、電極12、13の成分が、微量ではあるが含まれることになる。
【0024】
結合層41、42がCuまたはCu2Oによって構成された場合、電極12、13として、AgとPdとを含む組成が好ましい。AgとPdの好ましい組成比は、Ag含有量が100〜5(wt%)で、残りがPdの組成比である。
【0025】
CuまたはCu2Oでなる結合層41、42との組み合わせにおいて有効な電極12、13の組成の別の例として、AuとCuとを含む場合もある。AuとCuの好ましい組成比は、Au含有量が100〜35(wt%)で、残りがCuの組成比である。
【0026】
上記組成の電極12、13及び結合層41、42との組み合わせにおいて、好ましい封止ガラス3の例は、K2O・Pb0・SiO2、 Na2O・Pb0・SiO2、 Na2O・BaO・SiO2、 K2O・BaO・SiO2、 Na2O・B2O3・SiO2、 Na2O・Pb0・B2O3・SiO2またはK2O・B2O3・SiO2から選択された少なくとも1種を主成分とするガラスである。上記組成になる封止ガラス3は、過不足ない溶融状態で、上述した組成の結合層41、42による金属結合を、確実に生じさせることができる。
【0027】
図2は本発明に係るガラス封止形サーミスタの別の実施例を示す部分断面図である。図において、図1と同一の構成部分は同一の参照符号を付し、詳細な説明は省略する。この実施例の特徴は、結合層41、42が、サーミスタ素子1の電極12、13と対向するジュメット線21、22の一端面のみならず、外周面にも被着されていることである。この実施例においても、図1に示した実施例と同様の作用効果を奏する。
次に、実施例を参照して、本発明に係るガラス封止形サーミスタの製造方法について説明する。
【0028】
実施例1
Agを主成分とした電極材料をウエハー状NTCサーミスタ板(直径D=50mm、厚みt=0.25 mm)の両主面に、スパッタ(薄膜法)で電極12、13となる電極膜を形成した。但し、電極形成方法として印刷方法(厚膜法)または、蒸着等(薄膜法)でも容易である。次に、ダイシングソーを用いて、0.4 mm角のチップ状に切断した。
【0029】
次に、チップ状に切断して得られたNTCサーミスタ素子を、結合層として、CuまたはCu2Oでコートしたジュメット線で圧接固定し、NTCサーミスタ素子及びジュメット線21、22に種々の材質のガラス管をかぶせた。そして、NTCサーミスタ素子の電極面に垂直に荷重(10g/mm2)が加わるようにジュメット線21、22に力を加え、この状態で中性ガス(N2)雰囲気中で610〜1250℃の温度条件で、5分間加熱し、ガラス管を溶融させると共に、電極12、13及びジュメット線21、22を、ジュメット線21、22にコートされたCuまたはCu2Oでなる結合層によって金属結合させた。
【0030】
上述のプロセスによって得られたガラス封止形NTCサーミスタの試料のそれぞれについて、金属結合状態を熱衝撃試験により評価した。
【0031】
試験条件は
(A)ー40℃のシリコンオイル中に30分放置
(B)ー40℃のシリコンオイル中から取り出した後、直ちに、200℃の
シリコンオイル中に入れ、30分放置
条件(A)、(B)を1サイクルとして、10,000サイクルで評価した。
試料母数は各1000個とし、断線のあったものは不良とし、1個以上発生した試料については不良(×)とし、断線の生じないものを良品(○)とした。
電極組成、ガラス管材質、ガラス溶融温度別を組み合わせた試料No.1〜28の評価結果を表1ー1及び表1ー2に示す。
Figure 0004086917
Figure 0004086917
【0032】
<表1ー1、1ー2の説明>
試料No.1〜4
ガラス管材質としてK2O・PbO・SiO2を用いた試料NO.1〜4のうち、Agの含有量を80wt%以上、Pdの含有量を20wt%以下とした試料NO.1〜3は、620℃〜960℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
610℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分となり、熱衝撃試験に於いて断線不良が生じた。980℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0033】
Pdの含有量を95wt%、Agの含有量を5wt%以下とした試料NO.3は、650℃〜960℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
640℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分となり、熱衝撃試験に於いて断線不良が生じた。980℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0034】
試料No.5〜8
ガラス管材質としてNa2O・PbO・SiO2を用いた試料NO.5〜8のうち、Agの含有量を80wt%以上、Pdの含有量を20wt%以下とした試料No.5〜7は、625℃〜960℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
620℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分となり、熱衝撃試験に於いて断線不良が生じた。980℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0035】
Pdの含有量を95wt%、Agの含有量を5wt%以下とした試料No.8は、650℃〜960℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
640℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分となり、熱衝撃試験に於いて断線不良が生じた。980℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0036】
試料No.9〜12
ガラス管材質としてNa2O・BaO・SiO2を用いた試料No.9〜12は、650℃〜960℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
640℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分となり、熱衝撃試験に於いて断線不良が生じた。980℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0037】
試料No.13〜16
ガラス管材質としてK2O・BaO・SiO2を用いた試料No.13〜16は、650℃〜960℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
640℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分となり、熱衝撃試験に於いて断線不良が生じた。980℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0038】
試料No.17〜20
ガラス管材質としてNa2O・B2O3・SiO2を用いた試料No.17〜20のうち、Agの含有量を97wt%以上、Pdの含有量を3wt%以下とした試料No.17、18は、800℃〜960℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
700℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分であり、980℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0039】
Pdの含有量を20wt%以上、Agの含有量を80wt%以下とした試料No.19、20は、800℃〜1100℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
700℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分であり、1150℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0040】
試料No.21〜24
ガラス管材質としてNa2O・PbO・B2O3・SiO2を用いた試料No.21〜24のうち、Agの含有量を97wt%以上、Pdの含有量を3wt%以下とした試料No.21、22は、900℃〜960℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
800℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分であり、980℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0041】
Pdの含有量を20wt%以上、Agの含有量を80wt%以下とした試料No.23、24は、900℃〜1100℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
800℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分であり、1150℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0042】
試料No.25〜28
ガラス管材質としてK2O・B2O3・SiO2を用いた試料No.25〜28のうち、Agの含有量を97wt%以上、Pdの含有量を3wt%以下とした試料No.25、26は、800℃〜960℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。但し、700℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分であり、980℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0043】
Pdの含有量を20wt%以上、Agの含有量を80wt%以下とした試料No.27、28は、800℃〜1100℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
700℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分であり、1150℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0044】
表1の結果をまとめると、CuまたはCu2Oでなる結合層と、表1に示された電極材料との関係において、適したガラス管材質の溶融温度は次の通りである。
Figure 0004086917
【0045】
実施例2
Auを主成分とした電極材料をウエハー状NTCサーミスタ板(直径D=50 mm、厚みt=0.25 mm)の両主面に、スパッタ(薄膜法)で電極を形成する。但し、電極形成方法として印刷方法(厚膜法)または、蒸着等(薄膜法)でも容易である。次に、ダイシングソーを用いて、0.4 mm角のチップ状に切断した。
【0046】
得られたチップ状のNTCサーミスタ素子を、結合層として、CuまたはCu2Oをコートしたジュメット線で圧接固定し、NTCサーミスタ素子及びおジュメット線に種々の材質のガラス管をかぶせ、NTCサーミスタ素子の電極面に垂直に荷重(10g/mm2)が加わるようにジュメット線に力を加え、この状態で中性ガス(N2)雰囲気中で850〜1100℃の温度条件で5分間加熱し、ガラス管のガラス溶融と、NTCサーミスタ素子の電極及びジュメット線を、CuまたはCu2Oでなる結合層によって、金属結合させた。
製造したガラス封止形NTCサーミスタ試料の金属結合状態を実施例1と同様に評価した。電極組成、ガラス管材質、ガラス溶融温度別を組み合わせた試料No.29〜42の評価結果を表2に示す。
Figure 0004086917
【0047】
<表2の説明>
試料No.29、30
ガラス管材質としてK2O・PbO・SiO2を用いた試料No.29、30は、890℃〜965℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
850℃以下では、ガラス溶融または金属結合が不十分となり、熱衝撃試験に於いて断線不良が生じた。980℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0048】
試料No.31、32
ガラス管材質としてNa2O・PbO・SiO2を用いた試料No.31、32は、890℃〜965℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
850℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分となり、熱衝撃試験に於いて断線不良が生じた。980℃以上では電極材の蒸発が観察された。
【0049】
試料No.33〜36
ガラス管材質として、Na2O・BaO・SiO2を用いた試料No.33、34及びK2O・BaO・SiO2を用いた試料No.35、36は、890℃〜980℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
850℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分となり、熱衝撃試験に於いて断線不良が生じた。1000℃以上では電極材の蒸発が観察された。また、ガラス管が融けすぎ商品価値の無い物となった。
【0050】
試料No.37〜42
ガラス管材質として、Na2O・B2O3・SiO2を用いた試料No.37、38、Na2O・PbO・B2O3・SiO2を用いた試料No.39、40及びK2O・B2O3・SiO2を用いた試料No.41、42は、890℃〜1060℃のガラス溶融温度であれば、ガラス溶融状態が適切であり、かつ、十分な金属結合を生じさせることができる。
850℃以下ではガラス溶融または金属結合が不十分となり、熱衝撃試験に於いて断線不良が生じた。1100℃以上では電極材の蒸発が観察された。また、ガラス管が融けすぎ商品価値の無い物となった。
【0051】
表2の結果をまとめると、CuまたはCu2Oでなる結合層と、表2に示された電極材料との関係において、適したガラス管材質の溶融温度は次の通りである。
Figure 0004086917
【0052】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(a)外部から機械的、熱的ストレスが加わったても、不導通を生じにくい高品質のガラス封止形サーミスタの提供をすることができる。
(b)高度の封止構造を形成すると共に、リード導体及びサーミスタ素子の電極との間に、金属結合を確実に生じさせた高品質のガラス封止形サーミスタの提供をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガラス封止型NTCサーミスタの部分断面図である。
【図2】本発明に係るガラス封止型NTCサーミスタの別の実施例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 NTCサーミスタ素子
11 サーミスタ素体
12、13 電極
21、22 ジュメット線
3 封止ガラス
41、42 結合層

Claims (8)

  1. サーミスタ素子と、2本のリード導体と、封止ガラスとを含むガラス封止形サーミスタであって、
    前記サーミスタ素子は、サーミスタ素体の相対向する両端面に、Ag Ag-Pd Au または Au-Cu の少なくとも1種を主成分とする電極を有し、2本のリード導体の端面間に挟み込まれており、
    前記リード導体は、ジュメット線であり、
    前記リード導体の前記端面と、前記サーミスタ素子の前記電極との間に、結合層があり、
    前記結合層は、Cu 2 O を主成分とし、前記リード導体と一体化されていて、前記サーミスタ素子の前記電極との間で、金属拡散による金属結合を構成しており、
    前記封止ガラスは、前記サーミスタ素子及び前記リード導体の組立体を封止している、
    ガラス封止形サーミスタ。
  2. 請求項1に記載されたガラス封止形サーミスタであって、前記サーミスタ素子は、負の抵抗温度係数を有する、ガラス封止形サーミスタ。
  3. 請求項2に記載されたガラス封止形サーミスタであって、前記封止ガラスは、 K 2 O PbO SiO 2 Na 2 O PbO SiO 2 Na 2 O BaO SiO 2 K 2 O BaO SiO 2 Na 2 O B 2 O 3 SiO 2 Na 2 O PbO B 2 O 3 SiO 2 または K 2 O B 2 O 3 SiO 2 から選択された少なくとも1種を主成分とするガラスでなるガラス封止形サーミスタ。
  4. 少なくとも、サーミスタ素子及びそのリード導体接続部をガラスによって封止したガラス封止形サーミスタを製造する方法であって、
    前記サーミスタ素子は、サーミスタ素体の相対向する両端面に、 Ag Ag-Pd Au または Au-Cu の少なくとも1種を主成分とする電極を有しており、
    前記リード導体は、ジュメット線であり、
    前記サーミスタ素子の両端面の前記電極に、 Cu 2 O を主成分とする結合層を有する前記リード導体の端面を押し付け、
    前記サーミスタ素子及び前記リード導体を含む組立体を、ガラス管によって覆い、前記サーミスタ素子、前記リード導体及び前記ガラス管を含む組立体を、 620 ℃〜 1100 ℃の温度範囲から選択された温度条件で、中性ガス雰囲気中で加熱し、それによって、前記ガラス管を溶融させ、かつ、前記電極及びリード導体の間に前記結合層の金属拡散による金属結合を生じさせる、
    ガラス封止形サーミスタの製造方法。
  5. 請求項4に記載されたガラス封止形サーミスタの製造方法であって、前記サーミスタ素子、前記リード導体及び前記ガラス管を含む組立体を 890 ℃〜 1060 ℃の温度範囲から選択された温度条件で加熱するガラス封止形サーミスタの製造方法。
  6. 請求項4に記載されたガラス封止形サーミスタの製造方法であって、前記結合層は、前記リード導体の表面に被着された膜でなるガラス封止形サーミスタの製造方法。
  7. 請求項4に記載されたガラス封止形サーミスタの製造方法であって、前記サーミスタ素子は、負の抵抗温度係数を有する、ガラス封止形サーミスタの製造方法。
  8. 請求項7に記載されたガラス封止形サーミスタの製造方法であって、前記ガラス管は、 K 2 O PbO SiO 2 Na 2 O PbO SiO 2 Na 2 O BaO SiO 2 K 2 O BaO SiO 2 Na 2 O B 2 O 3 SiO 2 Na 2 O PbO B 2 O 3 SiO 2 または K 2 O B 2 O 3 SiO 2 から選択された少なくとも1種を主成 分とするガラスでなるガラス封止形サーミスタの製造方法。
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