JP4086508B2 - 石炭の酸化発熱性の評価方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭の酸化による石炭層内の温度上昇の度合いを、わずかの量の試料でかつ精度良く推定することのできる石炭の酸化発熱性の評価方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
〈石炭層の蓄熱と自然発火〉
コークス製造現場においては、ヤード(貯炭場)に各種銘柄の石炭を野積みしておき、コークス製造に際しては、所定の配合処方に従って必要な銘柄を選択し、コークス炉に装入して乾留を行う。野積みされた石炭は、使用に供されるまでに長期間貯蔵されることになるが、採掘後の石炭は貯炭中に空気中の酸素により酸化されて発熱し、場合によっては発火に至ることもあるので、防災上の観点から、各銘柄の発熱性の傾向を管理把握しておくことが必要となる。また、ヤードに野積みされた石炭に限らず、坑内の石炭層やサイロ中の石炭層も、空気と接触すると、蓄熱、発火のおそれがある。
【0003】
「日本鉱業会誌/85 969(’69−1)」(1969年)の15〜20頁には、「石炭の自然発火初期現象と空気中の酸素濃度との関係」と題する論文が掲載されており、(a) 酸素濃度と自然発火性との関係、(b) 酸素消費量、CO2 、CO発生量、CO/O2 、CO2 /O2 と酸素濃度との関係、(c) 自然発火所要日数と酸素濃度との関係などを調べている。
【0004】
「技ダイ、昭和57年12月号」の13〜22頁には、「貯炭の酸化昇温−石炭の自然発火に関する研究(その1)−」と題する論文が掲載されており、酸化と蓄熱に関する現象としては、堆積圧密作用、酸化発熱作用、熱伝導作用、通風作用、水分の蒸発と凝縮作用、大気環境、石炭の性質(石炭化度、微細組織構造等)が関係すること、酸化反応熱測定装置についての実験(試料をマホービンに装入して、酸素ガスを通気したときの上昇温度の測定)などにつき、基礎的な研究が示されている。
【0005】
「四国総合研究所研究期報 第54号」(1989年)の48〜65頁には、「サイロ内に貯蔵した石炭の昇温特性の評価」と題する論文が掲載されており、石炭自然発火装置を用いる実験的手法や、コンピュータを活用して数値計算を行うシミュレーション手法により、石炭の昇温特性を評価している。
【0006】
「日本エネルギー学会誌、第75巻第11号(1996)」の963〜969頁には、「石炭の貯蔵およびハンドリング技術」と題する総説が掲載されており、その964〜965頁の「自然発熱」の項の図3および図4には、自然発熱性測定装置と結果についての例が示されている。
【0007】
〈自然発火性の評価〉
特開平11−344456号公報には、微粉炭を充填する空間を有するケースと、該ケースの下端側に装着された加熱装置と、これらを収納する密閉容器と、該密閉容器内の雰囲気を加熱するヒータとを具備した微粉炭の自然発火性評価装置が示されている。
【0008】
市販の自然発火評価装置(たとえば、株式会社島津製作所製の「島津自然発火試験装置SIT−2」)を用いて、発火性を測定することも可能である。
【0009】
「日立造船技報、第43巻第1号」(昭和57年3月)」の13〜19頁には、市販の自然発火試験装置(株式会社島津製作所製の「島津自然発火試験装置SIT−1」)を用い、41種の石炭を対象に20〜200℃の温度域での昇温特性について実験検討した結果についての報告があり、酸素濃度の影響、石炭の粒径の影響、炭種の影響、石炭の物性(O/C比、揮発分)との関係などが示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、石炭の酸化による石炭層内の温度上昇の度合いを銘柄ごとに短時間で評価する方法として、種々の方法が提案されているものの、
・石炭を5mm以下に粉砕して石炭と酸素との反応表面を増加させることにより、温度上昇を速くする方法、
・加速条件で温度上昇の程度を評価するために、石炭試料を所定の温度にまで予熱しておく方法
が実際的であると考えられる。
【0011】
しかしながら、石炭の銘柄によっては、石炭の表面および付着水分のみならず、石炭に包蔵された水分を有するものもあり、乾燥機で乾燥させる程度の条件では、そのような石炭に包蔵された水分を取り除くことは困難である。従って、石炭の発熱性の試験を行う場合、この包蔵された水分が残ったままで評価すれば、温度を上昇させるためのエネルギーが水分を温度上昇させる熱エネルギーにも使用されることで、温度上昇速度の程度を短時間で評価する妨げとなる。
【0012】
また、従来提案されている方法においては、一般に発熱性の評価に長時間を要したり、評価のために多量の試料量を要したりすることが多く、あるいはまた、発熱性の評価の精度や、繰り返し測定を行ったときの再現性の点で、必ずしも満足できないことがあった。
【0013】
〈発明の目的〉
本発明は、このような背景下において、対象石炭の顕微鏡分析結果に基くだけで、その石炭の酸化発熱性の度合いを精度良く推定することのできる石炭の酸化発熱性の評価方法を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の石炭の酸化発熱性の評価方法は、
多種の石炭試料について、発熱性に関する指標HRと、顕微鏡によるビトリニット平均反射率R0 と、顕微鏡による活性成分量または不活性成分量Xとを測定して、統計的手法によりそれらの間の相関関係
HR=f(R0 ,X)
を予め求めておき、
対象とする石炭試料の顕微鏡によるビトリニット平均反射率R0 と活性成分量または不活性成分量Xとの測定値から、その石炭試料の発熱性を上記関係に基いて評価すること
を特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。なお、ビトリニット平均反射率を表わす符号R0 は、正確には符号の上に平均を意味するバーを付すべきであるが、本明細書においてはバーの記載を省略してある。
【0016】
〈発熱性に関する指標HR〉
本発明においては、多種の石炭試料について、発熱性に関する指標HRと、顕微鏡によるビトリニット平均反射率R0 と、顕微鏡による活性成分量または不活性成分量Xとを測定して、統計的手法によりそれらの間の相関関係
HR=f(R0 ,X)
を予め求めておく。
【0017】
発熱性に関する指標HRとは、典型的には、石炭試料に空気のような酸化性ガスを供給したときの石炭試料の温度や温度変化や昇温速度などである。この場合、石炭試料を包蔵された水分が残ったままで評価すると、温度を上昇させるためのエネルギーが水分を温度上昇させる熱エネルギーにも使用されることで、温度上昇速度の程度を短時間で評価する妨げとなるので、次のような条件下に発熱性に関する指標HRを求めることが特に望ましい。
【0018】
すなわち、発熱性に関する指標HRを、石炭の銘柄ごとに、
(イ)ガス導入チューブ(9) およびガス排出チューブ(10)を付設した断熱容器(14)を収容してある加熱機(15)を予熱して、試験装置系内の温度を試験開始温度Tに見合う温度T1 に保持しておくこと、
(ロ)一方、所定の粒度以下に粉砕した石炭試料を、開放容器(16)に装填した状態で、真空手段と加熱手段とを備えた真空乾燥機(19)を用いて真空下に温度T' で乾燥することにより、その石炭試料の表面水分および包蔵水分を除去し、ついでその開放容器(16)内の石炭試料を前記の試験開始温度Tに見合う温度T2 にまで温度調節しておくこと、
(ハ)水分が除去されかつ温度調節された前記の石炭試料を、前記加熱機(15)内の断熱容器(14)に移し替え、その断熱容器(14)内の雰囲気を不活性ガスに置換すると共に、試験開始温度Tに温度調節してから、その断熱容器(14)内に酸化性ガスを供給し、断熱容器(14)内の石炭試料の温度または温度変化を温度データ収集装置(12)により追跡すること
により求めるのである。
【0019】
この試験方法による石炭の酸化による石炭層内の温度上昇の程度は、石炭の銘柄ごとに評価する。貯炭中の石炭の蓄熱性は銘柄によって大きく相違するので、各種銘柄につき評価を行っておくのである。
【0020】
要件(イ):
この方法においては、ガス導入チューブ(9) およびガス排出チューブ(10)を付設した断熱容器(14)を収容してある加熱機(15)を予熱して、試験装置系内の温度を試験開始温度Tに見合う温度T1 に保持しておく。
【0021】
ガス導入チューブ(9) は、窒素のような不活性ガス、空気のような酸化性ガスを導入するためのものであるが、たとえば窒素用切替バルブ(1) 、空気用切替バルブ(2) からの配管を合して、ガス供給共通チューブとし、そのガス供給共通チューブに加熱用ヒーター(3) を付設すると共に、それを断熱容器(14)内に導くように配管することが好ましい。
【0022】
ガス排出チューブ(10)は、断熱容器(14)内に供給した不活性ガスや酸化性ガスを系外に排出するための配管である。
【0023】
加熱機(15)としては、加熱手段とファンとを備えた通常の乾燥機を用いることができる。他のタイプの加熱機を用いることも可能である。
【0024】
断熱容器(14)としては、断熱瓶のような断熱性を有する容器が用いられる。その断熱容器(14)には、たとえば、ガス導入チューブ(9) 、ガス排出チューブ(10)、石炭層内温度測定用手段(11)を挿通した密栓(13)を装着できるようにしておく。石炭層内温度測定用手段(11)としては、たとえば熱電対を用いることができる。
【0025】
そして、これらのガス導入チューブ(9) 、ガス排出チューブ(10)、石炭層内温度測定用手段(11)、密栓(13)、断熱容器(14)を含めて、加熱機(15)を予熱して、試験装置系内の温度を試験開始温度Tに見合う温度T1 に保持する。
【0026】
要件(ロ):
一方、この方法においては、所定の粒度以下に粉砕した石炭試料を、開放容器(16)に装填した状態で、真空手段と加熱手段とを備えた真空乾燥機(19)を用いて真空下に温度T' で乾燥することにより、その石炭試料の表面水分および包蔵水分を除去し、ついでその開放容器(16)内の石炭試料を前記の試験開始温度Tに見合う温度T2 にまで温度調節しておく。
【0027】
石炭試料としては、石炭を銘柄ごとに所定の粒度以下に粉砕したものを用いる。所定の粒度とは、石炭と酸化性ガスとの反応表面を増加させるために、たとえば10mm篩下、殊に5mm篩下のものが適当である。なお、試料中の微粉部分をカットする必要はないが、微粉がガス導入チューブ(9) に詰まってガスの流れに支障を来たすおそれがあるときは、試料粒子の最小径がそのガス導入チューブ(9) の内径よりも小さくならないようにするなどして、試料粒子がガス導入チューブ(9) に詰まらないような工夫を講じることができる(たとえば、ガス導入チューブ(9) の内径が3mmであれば、試料粒子を3mm篩上とするというように)。
【0028】
開放容器(16)としては、たとえば硬質ガラス製パイプのようなものが用いられる。容器を開放容器とするのは、石炭試料の表面水分および包蔵水分の除去路を確保するためである。
【0029】
真空乾燥機(19)は、真空手段と加熱手段とを備えた乾燥機である。加熱だけでは石炭試料の表面水分は除去できても包蔵水分を除去することが難しいため、真空手段を併用することが必要である。
【0030】
真空乾燥機(19)による真空度は、たとえば系内が−700mmHg以下、殊に−750mmHg以下となるように設定する(なお、1mmHgは国際単位で表わせば 1.3×102 Paである)。真空下での乾燥温度T' は、真空下において石炭試料の全水分を 0.5%以下、好ましくは 0.1%以下にまで低減することができる温度、たとえば100〜107℃程度、殊に100〜102℃程度に設定することが望ましい。
【0031】
石炭試料の表面水分および包蔵水分を除去した後は、開放容器(16)内の石炭試料を、先に述べた試験開始温度Tに見合う温度T2 にまで温度調節しておく。
【0032】
要件(ハ):
上記で準備が整ったので、さらに本発明においては、水分が除去されかつ温度調節された前記の石炭試料を、前記加熱機(15)内の断熱容器(14)に移し替える。そして、その断熱容器(14)内の雰囲気を不活性ガスに置換すると共に、試験開始温度Tに温度調節してから、その断熱容器(14)内に酸化性ガスを供給し、断熱容器(14)内の石炭試料の温度または温度変化を温度データ収集装置(12)により追跡する。
【0033】
不活性ガスとしてはたとえば窒素ガスが用いられ、酸化性ガスとしてはたとえば空気が用いられる。不活性ガス、酸化性ガスは、加熱機(15)内の断熱容器(14)に供給する前に、加熱用ヒーター(3) で試験開始温度Tに見合う温度にまで加熱しておくことが好ましい。
【0034】
温度データ収集装置(12)においては、石炭試料の温度を測定するか、石炭試料の試験開始温度Tからの温度差を測定する。
【0035】
上述の試験開始温度Tは、50〜70℃の範囲内の所定の温度(たとえば60℃)が適当である。温度T1 および温度T2 は、実質的に試験開始温度Tと同一にすることが望ましい。
【0036】
その他:
開放容器(16)と断熱容器(14)とは、各1セットによるシングルタイプとしてもよいが、それらを複数セット設けることによってマルチシステムとすることにより、試験を実施することもできる。
【0037】
〈ビトリニット平均反射率R0
ビトリニット平均反射率R0 は、JIS M 8816に準拠して、顕微鏡を用いて測定される。ビトリニット平均反射率R0 は、石炭の石炭化度を示す指標である。本発明においては、このビトリニット平均反射率R0 を発熱性に関する指標HRを求める一つの指標として用いる。なお、本発明は、酸化による発熱、発火を評価することを目的としており、一般に低石炭化度炭の方が高石炭化度炭よりも酸化発熱が大きいとされているため、本発明における対象石炭は、ビトリニット平均反射率R0 が 0.8より小さい領域のものの方が適している。
【0038】
〈活性成分量または不活性成分量X〉
活性成分量または不活性成分量Xは、同じくJIS M 8816に準拠して、顕微鏡測定により測定される。本発明においては、石炭の微細組織成分を活性成分(ビトリニットおよびエクジニット)と不活性成分(イナーチニット)とに分け、その活性成分量または不活性成分量を指標Xとして用いる(「不活性成分量=(100−活性成分量)」の関係があるので、どちらを指標に用いてもよい)。
【0039】
〈HR、R0 、Xとの間の関係〉
そして、多種の石炭試料について、発熱性に関する指標HRと、顕微鏡によるビトリニット平均反射率R0 と、顕微鏡による活性成分量または不活性成分量Xとを測定して、重回帰分析やその他の統計的手法によりそれらの間の相関関係
HR=f(R0 ,X)
を予め求めておく。このときの関係は、たとえば、
HR=a・R0 +b・X+c
で表わされる(a,b,cは定数)。なお、この関係を用いるときは、関係式、関係図のいずれを用いてもよい。
【0040】
ビトリニット平均反射率R0 と、顕微鏡による活性成分量または不活性成分量Xとを合わせて、発熱性に関する指標HRとの相関関係を求めるのは、ビトリニット平均反射率R0 だけでは発熱性に関する指標HRとの間の相関関係が悪く、また石炭化度に関係するビトリニット平均反射率R0 が同じ場合でも微細組織成分量が異なりかつ組織成分間でも微細組織成分量が異なることを考慮して、より相関関係の大きい関係を得ようとするためである。
【0041】
〈対象とする石炭試料の発熱性の評価〉
上記のようにして、多種の石炭試料について、統計的手法により
HR=f(R0 ,X)
を予め求めておいた後は、対象とする石炭試料の顕微鏡によるビトリニット平均反射率R0 および活性成分量または不活性成分量Xを測定することにより、上記関係に基いて、その石炭試料の発熱性に関する指標HRを容易に求めることができる。各銘柄の石炭の受け入れ時の検査でビトリニット平均反射率R0 および活性成分量または不活性成分量Xが判明しているときは、それらの指標R0 ,Xのみでその銘柄の石炭の発熱性に関する指標HRを知ることができる。
【0042】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0043】
〈発熱性に関する指標HRの測定装置〉
図1は、石炭の発熱性に関する指標HRの測定を行うために用いる装置の一例を示した説明図である。
【0044】
(1) は窒素用切替バルブ、(2) は空気用切替バルブ、(3) は加熱用ヒーター、(4) は制御信号線、(5) はガス供給共通チューブ、(6) はチューブジョイント、(7) は制御ユニットである。これらは、加熱機の外部に配置してある。
【0045】
(8) は供給ガスの温度制御手段(制御用熱電対)、(9) はガス導入チューブ(ガス供給共通チューブ)、(10)はガス排出チューブ、(11)は石炭層内温度測定用手段(熱電対)、(13)は密栓、(14)は断熱容器(断熱瓶)である。これらは、加熱機(15)内に装備してある(ただし、(8), (9), (10), (11)は、系外にも一部が出ている)。(12)は温度データ収集装置である。
【0046】
(16)は開放容器(硬質ガラス製パイプ)、(17)は水トラップ装置、(18)は真空ポンプ、(19)は真空乾燥機である。開放容器(16)は、真空乾燥機(19)内に収容してある。
【0047】
〈指標HRの測定手順〉
指標HRの測定手順は次の通りである。
1.5mm未満(5mm篩下)で3mm以上(3mm篩上)の大きさに粉砕した各銘柄の石炭試料の約340g(乾燥基準重量)を、内径40mmの開放容器(硬質ガラス製パイプ)(16)に均一に装填する。
2.真空ポンプ(18)により、真空乾燥機(19)内の圧力を10mmHg(−750mmHg)まで負圧としながら、真空乾燥機(19)内の温度をT' (100℃)まで上昇させる。
3.石炭試料の表面水分および包蔵水分を気化させ、水トラップ装置(17)でその水分を捕獲、除去する。
4.上記操作を水トラップ装置(17)で捕獲する水分がなくなるまで(石炭試料の全水分が 0.1%以下になるまで)継続し、その後、真空乾燥機(19)を試験開始温度T(60℃)に設定し、試料温度T2 をTに調節する。
5.上記4の真空乾燥機(19)を試験開始温度T(60℃)に設定するタイミングと並行して、供給ガスの温度制御手段(制御用熱電対)(8) 、ガス導入チューブ(ガス供給共通チューブ)(9) 、ガス排出チューブ(10)、石炭層内温度測定用手段(熱電対)(11)、密栓(13)および断熱容器(断熱瓶)(14)を、加熱機(15)を用いて予熱し、試験装置系内の温度T1 を試験開始温度T(60℃)に保持する。
6.試料温度が試験開始温度Tに到達したところで、上記4で準備した開放容器(硬質ガラス製パイプ)(16)を真空乾燥機(19)から取り出して、その内部の試料を、加熱機(15)から取り出した断熱容器(断熱瓶)(14)内に素早く装填し、その断熱容器(断熱瓶)(14)に、供給ガスの温度制御手段(制御用熱電対)(8) 、ガス導入チューブ(ガス供給共通チューブ)(9) 、ガス排出チューブ(10)および石炭層内温度測定用手段(熱電対)(11)が挿通された密栓(13)をする。
7.供給ガスの温度制御手段(制御用熱電対)(8) を制御ユニット(7) に、石炭層内温度測定用手段(熱電対)(11)を温度データ収集装置(12)に、ガス導入チューブ(ガス供給共通チューブ)(9) をチューブジョイント(6) に、それぞれつなぎ込む。
8.窒素用切替バルブ(1) を開き、窒素を供給する。このとき、供給ガス温度が供給ガスの温度制御手段(制御用熱電対)(8) で60℃になるように制御ユニット(7) で調整する。
9.石炭層内温度測定用手段(熱電対)(11)の表示が試験開始温度Tの60℃になった時点で窒素用切替バルブ(1) を閉じ、空気用切替バルブ(2) を開いて酸化用の空気を10〜100ml/minの範囲の速度(この実施例では25ml/min)で供給する。なお、供給ガス温度が供給ガスの温度制御手段(制御用熱電対)(8) で60℃になるように制御ユニット(7) で調整する。
10.石炭を酸化させ始めた後は、加熱機(15)および供給ガス温度は、一定の値(60℃)に保持する。
11.酸化用の空気を供給している間、石炭層内の温度上昇の程度(温度または温度変化)を温度データ収集装置(12)を用いて記録する。
12.約3時間酸化用の空気を導入すれば、温度上昇の程度が確認できるので、その後、試験を完了する。
【0048】
〈測定結果〉
上述の測定手順に従い、微細組織構造の異なるA〜Hの下記表1の8銘柄の石炭について、樹脂バインダーと混合して110℃で加圧成形することによりブリケットを作成し、発熱性に関する指標HR(石炭層温度)を測定する試験を行った。
【0049】
このうち、代表例として、C、E、Fの3銘柄の結果を図2に示す。図2において、横軸は「空気用切替バルブ(2) を開き酸化用の空気を供給開始してからの経過時間」、縦軸は「温度データ収集装置(12)で1秒間隔で収集した石炭層内の温度(熱電対(11))」である。
【0050】
図2から経過時間3時間で試料間の差が確認できることがわかったので、以降においては、8銘柄についての3時間までの昇温速度「HR3 」を評価に使用した。石炭試料の微細組織分析結果と昇温速度HR3 の測定結果とを表1に示す。また、表1に基き、ビトリニット平均反射率R0 と昇温速度HR3 との関係を図3に示した。
【0051】
【表1】
Figure 0004086508
【0052】
図3および表1から、ビトリニット平均反射率R0 と昇温速度HR3 との単相関係数がr= 0.8263 であることがわかったので、今度はそのときの発熱性の実測値と推定値との差と、表1の不活性成分量Xとの間の関係を求め、図4にプロットした。このときの単相関係数はr= 0.7086 であった。
【0053】
次に、ビトリニット平均反射率R0 と不活性成分量Xとの双方を加味したものと、昇温速度HR3 との相関関係を
HR3 =a・R0 +b・X+c
により求めた結果を図5に示す。図5中、横軸は実測昇温速度、縦軸は推定昇温速度である。このときの重相関係数はr= 0.9159 であり、相関関係が充分に高いことがわかる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、対象石炭の微細組織の顕微鏡分析結果に基くだけでその石炭の酸化発熱性の度合いを精度良く推定することができる。従って、発熱性に関する指標HR(たとえばHR3 )において発熱性しやすい銘柄の石炭を貯蔵するときは、その銘柄が発熱しやすいということに留意して、安全な貯炭管理を行うことができる。
【0055】
また、本発明によれば、石炭の酸化による石炭層内の温度上昇の度合いを、わずかの量(数グラムで足りる)の試料で推定することができること、測定のためのブリケット作成と顕微鏡分析とを含めて2日程度で評価が可能となること、測定、評価に要する費用が低廉であることなどの点でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の石炭の発熱性の試験方法を実施するために用いる装置の一例を示した説明図である。
【図2】測定8銘柄のうち、代表的な3銘柄についての発熱性の試験結果を示したグラフである。
【図3】ビトリニット平均反射率R0 と昇温速度HR3 との関係を示したグラフである。
【図4】不活性成分量Xと、ビトリニット平均反射率R0 による実測値と推定値との差(昇温速度推定差)との関係を示したグラフである。
【図5】ビトリニット平均反射率R0 と不活性成分量Xとの双方を加味した顕微鏡分析値による発熱性の推定結果を示したグラフである。
【符号の説明】
(1) …窒素用切替バルブ、
(2) …空気用切替バルブ、
(3) …加熱用ヒーター、
(4) …制御信号線、
(5) …ガス供給共通チューブ、
(6) …チューブジョイント、
(7) …制御ユニット、
(8) …供給ガスの温度制御手段(制御用熱電対)、
(9) …ガス導入チューブ(ガス供給共通チューブ)、
(10)…ガス排出チューブ、
(11)…石炭層内温度測定用手段(熱電対)、
(12)…温度データ収集装置、
(13)…密栓、
(14)…断熱容器(断熱瓶)、
(15)…加熱機、
(16)…開放容器(硬質ガラス製パイプ)、
(17)…水トラップ装置、
(18)…真空ポンプ、
(19)…真空乾燥機

Claims (2)

  1. 多種の石炭試料について、発熱性に関する指標HRと、顕微鏡によるビトリニット平均反射率R0 と、顕微鏡による活性成分量または不活性成分量Xとを測定して、統計的手法によりそれらの間の相関関係
    HR=f(R0 ,X)
    を予め求めておき、
    対象とする石炭試料の顕微鏡によるビトリニット平均反射率R0 と活性成分量または不活性成分量Xとの測定値から、その石炭試料の発熱性を上記関係に基いて評価すること
    を特徴とする石炭の酸化発熱性の評価方法。
  2. 発熱性に関する指標HRを測定するにあたり、石炭の銘柄ごとに、
    (イ)ガス導入チューブ(9) およびガス排出チューブ(10)を付設した断熱容器(14)を収容してある加熱機(15)を予熱して、試験装置系内の温度を試験開始温度Tに見合う温度T1 に保持しておくこと、
    (ロ)一方、所定の粒度以下に粉砕した石炭試料を、開放容器(16)に装填した状態で、真空手段と加熱手段とを備えた真空乾燥機(19)を用いて真空下に温度T' で乾燥することにより、その石炭試料の表面水分および包蔵水分を除去し、ついでその開放容器(16)内の石炭試料を前記の試験開始温度Tに見合う温度T2 にまで温度調節しておくこと、
    (ハ)水分が除去されかつ温度調節された前記の石炭試料を、前記加熱機(15)内の断熱容器(14)に移し替え、その断熱容器(14)内の雰囲気を不活性ガスに置換すると共に、試験開始温度Tに温度調節してから、その断熱容器(14)内に酸化性ガスを供給し、断熱容器(14)内の石炭試料の温度または温度変化を温度データ収集装置(12)により追跡すること
    により求めることを特徴とする請求項1記載の石炭の酸化発熱性の評価方法。
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