JP4086438B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収体の湿潤状態においても良好なフィット性を発揮し、漏れ防止性が高く、しかも着用者の肌を過度に締め付けることがない、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に、使い捨ておむつ等の吸収性物品においては、脚廻りやウエスト廻りに糸状の弾性体を伸長させた状態で固定し、該弾性体の収縮力を利用して脚廻りやウエスト廻りを締め付け、あるいは吸収性物品を着用者にフィットする形態に保持することにより、漏れを防止している。
【0003】
しかし、このような従来の吸収性物品は、吸収体に多量の尿等が吸収された状態においては、着用者にフィットする形態を保持できず、漏れ易くなる。
このような漏れを防止するには、弾性体の応力を高めて、おむつの保型性を高めることが考えられるが、それでは、締め付けがきつくなり、着用者、特に乳幼児の肌に締め付け跡が残る等の不都合が生じる。
【0004】
従って、本発明の目的は、吸収体の湿潤状態においても良好なフィット性を発揮し、漏れ防止性が高く、しかも着用者の肌を過度に締め付けることがない、使い捨ておむつ等の吸収性物品を提供することにある
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート及び液保持性の吸収体を具備する吸収性物品において、前記吸収体中又は該吸収体の非肌当接面側に、収縮材と非収縮材とからなる収縮シート材が配設固定されており、前記吸収性物品における吸収部が、肌当接面側に湾曲している吸収性物品を提供することにより、上記の目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、その好ましい一実施形態に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の吸収性物品としての使い捨ておむつ1は、液透過性の表面シート2、液不透過性の防漏シート3、及び液保持性の吸収体4を備え、実質的に縦長に形成されている、いわゆる展開型の使い捨ておむつである。
【0007】
本使い捨ておむつ1における表面シート2及び防漏シート3は、それぞれ吸収体4よりも大きい外形寸法を有し、これら両シート2,3間に、略矩形状をなす縦長の吸収体4が挟持固定されている。防漏シート3は、長手方向の両側端部が吸収体4の両側端部4a,4aよりも左右外方に位置するように延出し、使い捨ておむつ1の両側部に一対のレッグ部5を形成している。尚、吸収体4は、吸水性ポリマーを含有保持する繊維集合体41と、これらを包装する台紙42とからなる。
【0008】
また、おむつ1の長手方向の両側には、吸収体4の左右の両側部を覆うように、左右一対の立体ガード6,6が形成されている。立体ガード6は、複数本の弾性部材61が略平行に配されたシート材62を配して形成されており、該シート材62は、立体ガード6を形成する側縁部とは反対側の側縁部が、吸収体4の両側端部4a,4aよりも左右外方に位置するように延出し、その延出部分は、防漏シート3に接合されて該防漏シート3と共にレッグ部5を形成している。
【0009】
また、おむつの長手方向の両端部には、それぞれ、ウエスト部弾性部材71,71が配されて、一対のウエストギャザー7,7が形成されており、また、背側部における左右両側縁部には、おむつ止着用のファスニングテープ8が設けられている。このような構造は、従来の使い捨ておむつにおけるのと同様であり、表面シート2、防漏シート3、吸収体4、立体ガード形成用のシート材62及び弾性部材61、ウエスト部弾性部材71及びファスニングテープ8の形成材料としては、通常公知の材料を特に制限なく用いることができる。尚、レッグ部5には、レッグギャザー形成用の弾性部材が配されていないが、着用者の肌を過度に締め付けることのない範囲内では、脚廻りからの漏れ防止効果の観点から、レッグギャザー形成用の弾性部材が配されていても良い。
【0010】
而して、本実施形態の使い捨ておむつ1においては、前記吸収体4の非肌当接面Q側に、収縮材11と非収縮材12とからなる収縮シート材10が配設固定されており、使い捨ておむつ1における吸収部1Aが、使い捨ておむつの長手方向及び幅方向に沿って肌当接面P側に凹状に湾曲している。
ここで、使い捨ておむつ1における吸収部1Aとは、内部に吸収体4を含み、その表面から着用者の体液を吸収し得る部分であり、本使い捨ておむつ1における吸収部1Aは、吸収体4と、該吸収体4の肌当接面P側を覆う表面シート2の一部と、該吸収体4の非肌当接面Q側に存する収縮シート10及び防漏シート3それぞれの一部とからなる。尚、図2には、吸収部1Aが使い捨ておむつ1の幅方向に沿って肌当接面P側に湾曲している状態が示されており、図3には、吸収部1Aが使い捨ておむつ1の長手方向に沿って肌当接面P側に湾曲している状態が示されている。
【0011】
収縮シート材10は、図2及び3に示されるように、それぞれシート状の収縮材11と非収縮材12とが貼り合わされてなる積層シートである。
収縮材11は、非収縮材12と貼り合わされた状態において収縮し、該収縮シート材10を該収縮材11側に湾曲させるもので、シート状であることが好ましく、該収縮材11としては、▲1▼天然ゴム、合成ゴム、合成樹脂フィルム、合成樹脂ネット、フォーム材又はそれらの組合せ等の弾性材料からなる弾性シート、▲2▼ポリエチレン、ポリプロピエン等の熱収縮性材料からなる熱収縮性シート、▲3▼エンボス等の機械的処理により収縮するシート、▲4▼溶剤による溶解等の化学的処理により収縮するシート、▲5▼上記▲1▼〜▲4▼のシートを任意に組み合わせた複合シート等を挙げることができ、これらの中でも、湾曲形状の高い保持性の観点から、上記▲1▼の弾性材料からなる弾性シートが好ましい。尚、上記▲1▼の弾性シートは、伸長状態において非収縮材12と貼り合わせることにより、収縮シート材10を湾曲させることができる。
【0012】
非収縮材12は、収縮材11が収縮する際に、該収縮材11よりも収縮率の小さいシート材であり、収縮シート材10を収縮材11側に湾曲させ得るものであれば、その形成材料等には特に制限はなく、収縮材11の収縮に伴って、ある程度収縮するものであっても良い。非収縮材12の形成材料としては、不織布、織布、合成樹脂製のフィルム、フォーム材又はそれらの組合せ等を挙げることができる。尚、非収縮材12は、上記防漏シート3であっても良い。
【0013】
また、収縮材11と非収縮材12とを貼り合わせる方法としては、接着剤による接着、熱融着、縫着等、収縮材11と非収縮材12とを貼り合わせることができる限り特に制限されないが、製造ライン中における貼り合わせ処理の容易、低コスト、貼り合わせパターンの多様性等の観点から、接着及び熱融着が好ましく、特に熱融着が好ましい。尚、収縮材11と非収縮材12とを接着する際の接着剤の塗工パターンとしては、べた、スパイラル状、線状、散点状等が挙げられ、熱溶着等の溶着パターンも同様のパターンとすることができる。
【0014】
本実施形態における収縮シート材10は、収縮材11側を肌当接面P側に向けて、吸収体4と防漏シート3との間に配設固定されている。より具体的には、収縮シート材10は、吸収体4と防漏シート3との両者にホットメルト型粘着剤等の接着剤を介して固定されており、吸収体4に固定された収縮材11側に凹状となるように湾曲し、おむつ1全体に凹状の形状を付与している。
【0015】
また、収縮シート材10は、吸収体4の長手方向の両端部4b,4b間及び長手方向の両側端部4a,4a間に亘るように配されており、より具体的には、吸収体4の非肌当接面に沿って、該吸収体4の全体に亘るように配されている。収縮シート材10がこのように配されることにより、吸収部1Aの全体、延いては使い捨ておむつ1のほぼ全体が、使い捨ておむつ1の長手方向及び幅方向に湾曲し、その湾曲状態が特に安定に保持されるようになっている。
【0016】
吸収部1Aの圧縮回復率は、吸収体4の湿潤状態においても、吸収部1Aの湾曲形状が安定に保持されるようにする観点から、20〜100%であることが好ましく、40〜100%がより好ましく、特に60〜100%が好ましい。
ここで、吸収部1Aの圧縮回復率は、以下のようにして測定される。即ち、吸収性物品から吸収部1Aを切り出し、その吸収面を上方に向けて、水平面上に載置する。そして、その水平面と吸収部1Aの最上端部との間の距離Lを測定した後、押圧板にて上方から吸収部1A全体に50cN/cm2 の圧力を加え、その状態のまま1分間放置する。1分間の放置後、圧力を除き、再び前記水平面と吸収部1Aの最上端部との間の距離L’を測定する。圧縮回復率は次式により算出される。尚、測定サンプルは、5枚用意し、各サンプルの平均値を圧縮回復率とする。
圧縮回復率(%)=(L’/L)×100
【0017】
本実施形態の使い捨ておむつ1は、収縮シート10を配する以外は、通常の展開型の使い捨ておむつと同様にして製造でき、通常の展開型のおむつと同様にして使用することができる。
本実施形態の使い捨ておむつ1においては、収縮シート10が吸収体4の非肌当接面Q側に配設固定されているため、肌当接面P側に凹状に湾曲した形態が安定に保持され、吸収体4が多量の尿等を吸収した湿潤状態においても、その湾曲状態が安定に保持され、優れた漏れ防止効果が発揮される。
また、収縮シート10が配されているため、優れたフィット性を損なうことなく、立体ガード等の伸長応力を低減等することができ、そのため、着用者の脚廻りや胴回りと過度に締め付けることを防止することができる。
【0018】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の吸収性物品は、上述の形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、吸収部1Aは、使い捨ておむつの長手方向及び幅方向の何れか一方向に沿ってのみ湾曲していても良い。また、収縮シート材10は、吸収体4中に配されていても良い。例えば、収縮シート材10は、繊維集合体41中に配されていても良いし、繊維集合体41の非肌当接面Q側において台紙42に固定されていても良い。
【0019】
また、使い捨ておむつ1は、吸収部1Aのみが、長手方向及び/又は幅方向に沿って湾曲していても良いが、上記の実施形態におけるように、使い捨ておむつ1の全体が、収縮シート材10により、長手方向及び/又は幅方向に沿って肌当接面P側に湾曲していることが好ましい。また、吸収体4の非肌当接面側に収縮シート材10を配設固定する場合、上記実施形態におけるように収縮シート材10を吸収体4に非肌当接面側の面に面接させて配設することが好ましいが、該吸収体4との間に他のシート材等が介在していても良い。また、おむつの長手方向の両側部には、レッグギャザーが形成されていても良く、おむつの長手方向の両端部の何れか一方にのみウエストギャザー7が形成されていても良い。また、長手方向の一端部又は両端部には、ウエストギャザー7に代え、又はウエストギャザー7と共にウエスト立体ガードが形成されていても良い。
また、本発明は、乳幼児や成人用の展開型又はパンツ型の使い捨ておむつの他、失禁パットや生理用ナプキン等に適用することもできる。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、吸収体の湿潤状態においても良好なフィット性を発揮し、漏れ防止性が高く、しかも着用者の肌を過度に締め付けることがない、使い捨ておむつ等の吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態としての使い捨ておむつを、自然状態において表面シート側から視た斜視図である。
【図2】図2は、図1のX−X線断面図である。
【図3】図3は、図1のY−Y線断面を一部省略して示す断面図である。
【符号の説明】
1 吸収性物品(使い捨ておむつ)
1A 吸収部
2 表面シート
3 防漏シート
4 吸収体
10 収縮シート
11 収縮材
12 非収縮材

Claims (4)

  1. 液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート及び液保持性の吸収体を具備する吸収性物品において、
    前記吸収体中又は該吸収体の非肌当接面側に、収縮材と非収縮材とからなる収縮シート材が配設固定されており、
    自然状態において、前記収縮シート材は、前記非収縮材に貼り合わされた前記収縮材の収縮により該収縮材側に湾曲しており、前記吸収性物品における吸収部が、肌当接面側に湾曲している吸収性物品。
  2. 前記吸収性物品は、実質的に縦長に形成されており、前記収縮シート材は、前記吸収体の長手方向の両端部間及び/又は長手方向の両側端部間に亘るように配されている請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記収縮シート材は、前記吸収体の非肌当接面に沿って、該吸収体の全体に亘るように配されている請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記吸収部の圧縮回復率が、20〜100%である請求項1〜の何れかに記載の吸収性物品。
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