以下、図面を参照してこの出願の光通信装置の節電方法の発明、光通信装置の発明、光通信装置の使用方法の発明および、光通信システムの発明それぞれの実施の形態について併せて説明する。なお説明に用いる各図はこれら発明を理解することが出来る程度に概略的に示してあるにすぎない。また各図において同様の構成成分については同一の番号を付してある。また同様な構成成分については重複する説明を省略することもある。
1.第1の実施の形態
図1は第1の実施の形態の光通信装置の構成を示したブロック図である。この第1の実施の形態の光通信装置は、受光素子11と、光通信回路13と、第1の回路15と、第2の回路17と、第3の回路19と、第4の回路21と、ローパスフィルタ23と、発光素子25とを具えている。
各構成成分11〜25の詳細は後述するが、これら構成成分の接続関係を以下の通りとしてある。
受光素子11のバイアス端子を、ローパスフィルタ23を介し第1の回路15のセット入力端子Sに接続し、他端を光通信回路13の端子Ii に接続してある。
第1の回路15のスイッチ端子Gを光通信回路用の電源としての第1の電源29に接続し、第1の回路15のスイッチ端子Oを光通信回路13の電源端子VCCに接続してある。
光通信回路13の終了信号出力端子TRIを第4の回路21の入力端子I1 に接続してあり、この第4の回路21の出力端子Oを第2の回路17の入力端子Iに接続してある。
第2の回路17の出力端子Oを第1の回路15のリセット信号入力端子Rに接続してある。
第3の回路19を第1の回路のセット入力端子Sと光通信装置のグランドとの間に接続してある。発光素子25は光通信回路15の発光素子接続用の端子Io と接続してある。
ここで受光素子11は、例えばフォトダイオードで構成する。ただし、後の他の実施の形態にて説明するようにAGC動作を行う場合は受光素子11をアバランシェフォトダイオードで構成する。もちろん目的によっては光電管など任意好適な受光素子を用いることができる。
受光素子11は光信号を受光する。受光素子11が受光する光信号は通信開始要求光信号を含む信号とする。受光素子11が受光する光信号は例えば光ファイバ27aにより外部から送られてくる。
また光通信回路13は、所定の光通信を可能にするために、受光素子11で生じる光電流を増幅する増幅回路を含むハード回路部分と、光通信手順等を制御するソフト部分とを持つ回路とする。この光通信回路13は、電源が供給されると、パワーオンリセット機能により、ハード回路部分およびソフト部分を立ち上げて光通信が可能な状態になる様に設定されている。しかも、光通信が終了した際に通信終了信号SE を出力する。
この場合の光通信回路13は、受光素子11の一端を受光素子用増幅回路の入力端子に接続する入力端子Ii と、発光素子25を接続するための端子Io と、通信終了信号SE を出力する端子TRIと、受信データ、再生クロック、制御出力等のデータを出力する端子群Do と、送信データ、クロック入力、制御入力等を入力する端子群Di と、光通信回路13に電源を接続する(実際は第1の回路15を介し接続する)ための電源端子VCCと、光通信回路13のグランドを光通信装置のグランドに接続するGND端子とを具える。
光通信回路13の内部構成例を図2に示す。図2に示したこの光通信回路13は、受光アンプ13aと、3R再生回路13bと、制御部13cと、発光素子駆動回路13dとを具える。
受光アンプ13aは受光素子11で生じる光電流を増幅する。3R再生回路13bは、受光アンプ13aの出力の波形整形(Resharping)、リタイミング(Retiming:正しいパルス幅タイミングの再生)および識別再生(Regenerating)をする。制御部13cは、コーダ(CODER)、デコーダ(DECODER) 、データ処理回路および制御回路を含む回路であり、通信における一連の処理を行なう。発光素子駆動回路13dは送信データに応じ発光素子を発光させる。これら構成成分13a〜13dは、電源端子VCCに光通信回路用の電源としての第1の電源29が接続されると、動作する。電源端子VCCと第1の電源29との接続/非接続の制御は、第1の回路15により行なわれる(詳細は後述する)。
次に第1の回路15について説明する。第1の回路15は、受光素子11にバイアス電圧を常時供給する。しかも、光通信回路13からの通信終了信号SE が出力された場合光通信回路13の電源をオフ状態とする。すなわちここでは、上記電源端子VCCと第1の電源29との間を非接続状態とする。しかも、第1の回路15は受光素子11が通信開始要求光信号を受光した際に前記受光素子11に生じる光電流を利用して前記電源をオン状態としかつ該オン状態を通信終了信号が光通信回路13から出力されるまで保持する。すなわちここでは、上記電源端子VCCと第1の電源29との間を接続状態としこれを保持する。
この第1の回路15は上記機能を持つなら任意好適な回路で構成することができる。この第1の実施の形態では第1の回路15を以下に説明するスイッチ回路15aで構成する。
このスイッチ回路15aは、少なくとも第1〜第4の端子を持つ。ここではスイッチ端子G、セット入力端子S、スイッチ端子Oおよびリセット入力端子Rを持つ。そして、スイッチ端子Gを第1の電源(図示例では+電源29)に接続し、セット入力端子Sをフィルタ23を介し受光素子11のバイアス端子(ここではカソード)に接続し、スイッチ端子Oを光通信回路13の電源端子VCCに接続し、リセット入力端子Rを第2の回路17の出力端子Oと接続してある。
なおここでスイッチ端子Gはセット入力のグランドも兼ねている。またここでセットとは、スイッチ回路15aにおいてスイッチ端子Gとスイッチ端子Oとが導通状態(オン状態ともいう)となることをいい、リセットとは、スイッチ回路15aにおいてスイッチ端子Gとスイッチ端子Oとが非導通状態(オフ状態ともいう)となることをいう。
さらにこのスイッチ回路15aは、セット入力端子Sを介し受光素子11に前記第1の電源29に基づく電圧をバイアス電圧として常時供給する機能を持つ。しかも、受光素子11が通信開始要求光信号を受光した際にセット入力端子Sを流れる光電流Ip をトリガとしてオン状態となる機能を持つ。しかもこの導通状態を通信終了信号SE またはこれに関連する信号SE1が出力されるまで維持する機能を持つ。これらの機能の詳細は後に図3(A)等を用い説明する。スイッチ回路15aがオン状態となっている間、光通信回路13に第1の電源29から電源が供給される。
このスイッチ回路15aは、上記機能が得られるならば任意好適な回路で構成することができる。しかし好ましくは、以下に図3〜図5を参照して説明する各回路15a1 〜15a5 (以下、スイッチ回路15a1 〜15a5 )のいずれかで構成するのが良い。詳細は後述するが、これらスイッチ回路15a1 〜15a5 それぞれが、スイッチ回路としての上記機能を持ち、かつ、節電効果も高い回路だからである。
なお、図3〜図5において、「×j」、「×k」、「×m」、「×n」の意味は、それを付したトランジスタにおけるエミッタサイズが、そのような表示のないトランジスタのエミッタサイズに比べj倍、k倍、m倍、n倍となっていることを示している。このトランジスタにより電流増幅を図っている。
さらに、図3〜図5のリセット入力端子Rやセット入力端子Sでの矢印は、該当端子でこの矢印の向きに電流が流れるとそれをトリガとしてスイッチ回路がオフ状態(リセット状態)とされ、或はオン状態(セット状態)とされることを示している。
さらに、図3〜図5においてリセット入力端子Rが複数示されている回路例では、論理の組み方に応じて図示の電流方向の端子をリセット入力端子Rとして使用できることを示している。
図3〜図5に示した各スイッチ回路例のうちの図3(A)に示したスイッチ回路15a1 は、定電流回路15aaと、この定電流回路15aaの電流ループ中に設けられセット入力端子Sおよびリセット入力端子Rを有したサイリスタ15abと、定電流回路15aaを流れる電流を増幅する電流増幅部15acとで構成した回路である。
ここでサイリスタは、PNP(またはNPN)トランジスタで構成された線形電流ミラー回路16aと、NPN(またはPNP)トランジスタで構成され入力電流ゼロ付近に最小電流増幅率があり電流増大と共に電流増幅率が増大する非線形電流増幅回路16bとで構成してある。詳細には、上記電流ミラー回路16aの入力端子と上記非線形電流増幅回路16bの出力端子とを接続し、かつ、上記電流ミラー回路16aの出力端子と上記非線形電流増幅回路16bの入力端子とを接続することにより構成(電流ミラー回路16aと非線形電流増幅回路16bの両コモン端子間がオン/オフする)してある(以下、他のサイリスタにおいても基本的に同じ)。
また定電流回路15aaは、PNP(またはNPN)トランジスタで構成された線形電流ミラー回路16cと、NPN(またはPNP)トランジスタで構成され入力電流ゼロ付近に最大電流増幅率があり電流増大と共に電流増幅率が減少する非線形電流増幅回路16dとで構成してある。詳細には、上記電流ミラー回路16cの入力端子と上記非線形電流増幅回路16dの出力端子とを接続し、かつ、上記電流ミラー回路16cの出力端子と上記非線形電流増幅回路16dの入力端子とを接続することにより構成(電流ミラー回路16cと非線形電流増幅回路16dの両コモン端子間に定電流が流れる)してある(以下、他の定電流回路においても基本的に同じ。)。ただし、図3(A)の回路例の場合では、電流ミラー回路16cの入力端子と非線形電流増幅回路16dの出力端子との間にサイリスタ15abが挿入してある。
ただし、この発明で用いるサイリスタおよび定電流回路は図3(A)を用いて説明した例に限定されることなく多くの変形または変更を加えることができる。例えば、図32(A)〜(D)にそれぞれ例示した各種の電流ミラー回路、例えば図33(A)〜(D)にそれぞれ例示した各種の非線形電流増幅回路(入力電流ゼロ近辺に最小電流増幅率がある回路)、および、例えば図34(A)〜(D)にそれぞれ例示した各種の非線形電流増幅回路(入力電流ゼロ近辺に最大電流増幅率がある回路)を組み合わせて構成される種々のサイリスタや定電流回路も、この発明で用いることができる。ただし、図32〜図34にはPNPトランジスタを用いた回路例のみ示してあるので、サイリスタや定電流回路を構成するためには、各回路中のトランジスタをNPNトランジスタに変更した回路も必要になる。その回路例は図32〜図34から容易に類推できるのでここでは省略する。
図3(A)に示したこのスイッチ回路15a1 では、スイッチ端子Gに接続してある第1の電源29(図1参照)の電圧に対しトランジスタQ1、Q2におけるダイオード部分の順方向電圧分だけレベルダウンした電圧を、セット入力端子Sを介し受光素子11にバイアス電圧として常時供給することができる。
さらに、このスイッチ回路15a1 では、光通信回路13から通信終了信号SE が出力されると、第2の回路17から終了信号SE に関連する信号SE1(詳細は後述する)がリセット入力端子Rに入力されるので、サイリスタ15abはオフする。そのためスイッチ回路15a1 のスイッチ端子Gおよびスイッチ端子O間が非接続状態になる(光通信装置が待機状態になる。)。
さらに待機状態におけるこのスイッチ回路15a1 では、該回路中に存在するpn接合でのリーク電流程度の電流しか流れないので、節電効果も高い(以下の各例示のスイッチ回路15a2 〜15a4 において同じ)。
さらに光通信装置が待機状態となっても、上記のごとく受光素子11にはスイッチ回路15a1 のトランジスタQ1,Q2を介し第1の電源29に基づくバイアス電圧が常時供給される。したがって光通信装置が待機状態となっても、通信開始要求光信号が受光素子11に到来すると受光素子11に光電流Ip が生じる。また光通信回路13がオフ状態であっても光電流Ip の流れる経路が光通信装置には存在する。この例を図6〜図8に示す。
図6〜図8いずれの図も受光素子11と受光アンプ13aとからなる回路部分に着目した図である。図6〜図8において、HVは受光素子にバイアス電圧が供給されていることを示し、VCC(0V)は受光アンプ13aへの電源供給がないことを示している。
また特に図7および図8には受光アンプ13aのいくつかの具体的な回路例も示してある。しかし、受光アンプの構成は本発明の本質ではないのでその説明は省略する。
図6(A)に示した回路例の場合、受光アンプ13aに電源供給がなくても光電流Ip は入力抵抗Ri を通してグランドに流れる。図6(B)に示した回路例の場合、受光アンプ13aに電源供給がなくても光電流Ip は帰還抵抗Rf を通して流れる。図7(A)に示した回路例の場合、受光アンプ13aに電源供給がなくても光電流Ip は帰還抵抗Rf およびエミッタ抵抗RE を通してグランドに流れる。
図7(B)に示した回路例の場合、受光アンプ13aに電源供給がなくても光電流Ip は受光アンプ13aに備わるトランジスタQ1のpn接合を流れる。
図8に示した回路例の場合、受光アンプ13aに電源供給がなくても光電流Ip は入力保護ダイオードDP を流れる。
光通信回路13への電源供給がない場合でも上記のように光電流Ip の電流経路があるため、光通信装置が待機状態であっても通信開始要求光信号を受光素子が受けると、図3(A)に示したスイッチ回路15a1 におけるサイリスタ15abのセット入力端子Sでは電流流出が生じる。
このため、定電流回路15aaおよびサイリスタ15abがそれぞれオンする。そのため、スイッチ回路15a1 のスイッチ端子Gとスイッチ端子Oとが導通状態になるので、第1の電源29から光通信回路13に電源が供給される。これにより光通信装置は通信可能状態になる。そして、第2の回路17から通信終了信号SE に関連する信号SE1がサイリスタ15aaのリセット入力端子Rに入力されるまで、上記のスイッチ端子Gとスイッチ端子Oとの間の導通状態は保持される。
スイッチ回路15a1 の様に、定電流回路15aaの電流増幅ループ内にサイリスタ15abを挿入し、かつ、両回路を同時にオンさせる入力端子よりセットトリガを入力する回路の場合は、そのオン/オフスレッショルド電流値はサイリスタ15abで決定され、しかも、オン時は定電流回路15aaで決定される定電流が流れる。当然のことながら、オン/オフスレッショルド電流値は、オン時定電流値より小さく設定する(以下の図3(B)、図4(A)および図5に示した各回路において同じ。)。
このスイッチ回路15a1 における上記の定電流特性は、スイッチ回路15a1 によりオン/オフされる負荷の電流を一定値化する目的、または、該負荷の過電流防止用(設定定電流値以下の負荷電流)として使用できる。
なお、スイッチ回路15a1 の様な回路を構成する場合、特に、図33(A)または(C)の非線形電流増幅回路(詳細は後述する)と電流ミラー回路とによりサイリスタ15abを構成し、かつ、図34(A)または(C)の非線形電流増幅回路(詳細は後述する)と電流ミラー回路とにより定電流回路15aaを構成し、これら15aa,15abによりスイッチ回路15a1 を構成するのが良い。こうすると、環境温度の変化に応じ、定電流回路による設定電流とサイリスタによるオン/オフスレッショルド電流とが同じ様に変化するので、オン/オフスレッショルド電流値とオン時の定電流値との比が温度変化に対して安定な回路が、実現する。すなわち、雑音に起因する誤動作が生じにくいスイッチ回路が実現する。その理由は次の通りである。
スイッチ回路15a1 等において雑音に起因する回路誤動作を論ずるとき、設定定電流値とオン/オフスレッショルド電流値との比、および、オン/オフスレッショルド電流値と雑音レベルとの比が重要になる。そして温度に対して設定定電流値とオン/オフスレッショルド電流値とが同様に変化しない場合、すなわち両電流値の比が温度に対し変化する場合は、誤動作を防止する意味で、両電流値の比を大きくとる必要がある。ところが、設定定電流値とオン/オフスレッショルド電流値との比、オン/オフスレッショルド電流値と雑音レベルとの比は、一方を大きくすると他方が小さくなる関係にある。すると、設定定電流値とオン/オフスレッショルド電流値との比を大きくとる必要がある場合は、その分、オン/オフスレッショルド電流値と雑音レベルとの比が小さくなるので、雑音に起因する誤動作が生じ易くなる。これに対し、この実施の形態の好適例では、温度に対して設定定電流値とオン/オフスレッショルド電流値とが同様に変化するのでこれら電流値の比は安定である。するとその分、設定定電流値とオン/オフスレッショルド電流値との比を小さくできる。その結果、オン/オフスレッショルド電流値と雑音レベルとの比を大きくできるので、雑音に起因する誤動作が生じにくいスイッチ回路が実現する。
一つの電流増幅ループでも、オン/オフスレッショルド機能とオン時の定電流機能とを実現している公知の回路(例えば図35に示したような回路)もある。しかし、図35に示したような回路では、設定定電流値とオン/オフスレッショルド電流値とが温度に対し同様に変化しない。そのため、上述した理由から、オン/オフスレッショルド電流値とオン時の定電流値との比を大きくする必要が生じ、その結果、オン/オフスレッショルド電流値と雑音レベルとの比が小さくなるので、雑音耐性が確保できない。この図35の回路と比較すると、上記の好適例の利点が理解出来る。
ここで、上述の好適例で説明した図33(A)または(C)の回路とは、エミッタがコモン端子とされかつベース同士が接続された2つのトランジスタを含む非線形電流増幅回路であって、該2つのトランジスタのうちの入力側トランジスタのエミッタサイズが出力側のそれのm倍とされ、しかも、入力側トランジスタのエミッタには抵抗が直列に挿入されている非線形電流増幅回路である。この非線形電流増幅回路は、入力電流ゼロ付近に最小電流増幅率を持つ回路である。また、図34(A)または(C)の回路とは、エミッタがコモン端子とされかつベース同士が接続された2つのトランジスタを含む非線形電流増幅回路であって、該2つのトランジスタのうちの出力側トランジスタのエミッタサイズが入力側のそれのn倍とされ、しかも、出力側トランジスタのエミッタには抵抗が挿入されている非線形電流増幅回路である。この非線形電流増幅回路は、入力電流ゼロ付近に最大電流増幅率を持つ回路である。
この非線形電流増幅回路と例えば電流増幅率1倍の線形電流ミラーとを組み合わせて、定電流回路あるいはサイリスタを構成すると、定電流回路の設定定電流値Ionとサイリスタのオン/オフスレッショルド電流値Ithとが、
Ion=(2kT/qRon)ln(n)
Ith=(2kT/qRth)ln(m)
となり、Ion/Ith=一定、となる。ただし、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子の電荷量、Ronは定電流ループ側のエミッタ抵抗、Rthはサイリスタ側のエミッタ抵抗、nは定電流ループ側のエミッタサイズ比、mはサイリスタ側のエミッタサイズ比である。
また図3(B)に示したスイッチ回路15a2 は、サイリスタ15adと、このサイリスタ15adの電流ループ中に設けられセット入力端子Sおよびリセット入力端子Rを有した定電流回路15aeと、定電流回路15aeを流れる電流を増幅する電流増幅部15acとで構成してある。
このスイッチ回路15a2 の場合も、セットおよびリセット動作はサイリスタ15adで、また定電流動作は定電流回路15aeで制御されるが、受光素子11へのバイアス電圧の供給原理や、スイッチ回路のオン/オフ動作原理は、図3(A)を用い説明したスイッチ回路と同じである。
また図4(A)に示したスイッチ回路15a3 は、図3(B)を用いて説明したスイッチ回路15a2 の構成において、サイリスタ15adおよび定電流回路15aeそれぞれの一部のトランジスタをトランジスタQaで兼用した回路である。このスイッチ回路15a3 はスイッチ回路15a2 に比べ素子数を削減することができ、また、最小動作電圧を小さくすることができる。
このスイッチ回路15a3 での、受光素子11へのバイアス電圧の供給原理や、スイッチ回路のオン/オフ動作原理は、図3(A)を用い説明したスイッチ回路15a1 と同じである。
また図4(B)に示したスイッチ回路15a4 は、サイリスタ15abと、その電流を増幅する電流増幅部15acとで構成した回路である。ちょうど図3(A)に示したスイッチ回路15a1 の構成から定電流回路15abを省略した回路である。このスイッチ回路15a4 は、端子Gおよび端子O間のスイッチ機能のみを持ち、定電流機能を持たない。
このスイッチ回路15a4 の場合、(1):このスイッチ回路15a4 の電流流出端子(図中O(G2))に駆動負荷(ここでは光通信回路13)を接続し、このスイッチ回路15a4 の電流流入端子(図中G(O2))に+電源を接続し、かつ、図中のセット入力端子S1またはS2をセット入力端子として用いる使い方と、(2):このスイッチ回路15a4 の電流流出端子(図中O(G2))に−電源を接続し、このスイッチ回路15a4 の電流流入端子(図中G(O2))に駆動負荷を接続し、かつ、図中のセット入力端子S1またはS2をセット入力端子として用いる使い方との、2通りの使い方が可能である。
上記(1)の使い方でかつセット入力端子S1をセット入力端子Sとする場合は、受光素子11を、そのカソードがスイッチ回路側となり、アノードが光通信回路13側になるように接続する。すなわち、上記(1)の使い方は図1に示した光通信装置に適応した使い方である。
一方、上記の(2)の使い方でかつセット入力端子S2をセット入力端子Sとする場合は、受光素子11を、そのアノードがスイッチ回路側となり、カソードが光通信回路13側になるように接続する。すなわち上記(2)の使い方は−電源を第1の電源29として用いた光通信装置、例えば図9に示したような光通信装置に適応した使い方である。
光通信装置を構築する際、光通信回路用の電源は+電源とは限られず−電源とされる場合もある。上記の図4(B)のスイッチ回路15a4 は+電源、−電源いずれにも対応することができるのである。なお、この図4(B)のスイッチ回路15a4 の場合も、セット入力端子S1(S2)からスイッチ端子G(G2)までの間に在るトランジスタでの、順方向となるpn接合を利用して、受光素子11にバイアス電圧を常時供給することができる。
また図5のスイッチ回路15a5 も、図9の光通信装置に適応したスイッチ回路である。すなわち、光通信装置の第1の電源29として−電源を用い、かつ、受光素子11の接続方向を図1の場合と逆にした場合に使用できるスイッチ回路例であり、スイッチ機能と、定電流機能とを持つ回路の例である。
この図5に示したスイッチ回路15a5 は、定電流回路15afと、この定電流回路15afの電流ループ中に設けられセット入力端子Sおよびリセット入力端子Rを有したサイリスタ15agと、定電流回路15afを流れる電流を増幅する電流増幅部15acとで構成してある。図5に示したこのスイッチ回路15a5 の場合サイリスタ15agの電流流入ノードすなわちNPNトランジスタのベースを、セット入力端子Sとして用いる。またこのスイッチ回路15a5 の場合、セット入力端子Sからスイッチ端子G2までの間に在るNPNトランジスタでの、順方向となるpn接合を利用して、受光素子11にバイアス電圧を常時供給することができる。
次に第2の回路について説明する。第2の回路17は、光通信回路13から出力される通信終了信号SE を第1の回路15の回路形式に整合した信号に変換し前記終了信号SE に関連する信号SE1として第1の回路15のリセット入力端子Rに出力する回路である。
一般に光通信回路13の制御部はディジタル回路で構成される。一方、第1の回路15は上記のように電源供給をオン/オフしたり、受光素子にバイアス電圧を供給する回路であるのでグランド電位や動作に必要な入力電圧レベルの異なる回路で構成される。これらのことから両者の整合性は悪いことが多い。そのため両者のインターフェース回路として第2の回路17を設けるのが好適である。ここで第1の回路15の回路形式に整合した信号とは、具体的には、第1の回路15を確実にリセット状態にすることができる信号である。
この第2の回路17は、上記機能が得られるならば任意好適な回路で構成することができる。しかし好ましくは、サイリスタまたは以下に説明する単安定マルチバイブレータで構成するのが良い。これら各回路は、詳細は後述するが、第2の回路としての上記機能を持ち、かつ、節電効果も高いからである。
図10は第2の回路17を構成するサイリスタの一例である。ただし、第4の回路21としてのOR回路も併せて示してある。このサイリスタ17は、図3(A)を用い説明したと同様、線形電流ミラー回路と、入力電流ゼロ付近に最小電流増幅率がある非線形電流増幅回路とで構成することができる。
このサイリスタ17は入力端子Iに通信終了信号SE が入力されこれがトリガとなってオンすると、スイッチ回路15a自体がオフとなるまで、スイッチ回路15aのリセット端子に信号SE1を出力する。そのため、第1の回路をオフ状態にしたい場合にそれを確実に行なうことができる。また、サイリスタ17では、オフ状態時は、pn接合部のリーク電流程度の電流しか流れないので、節電効果も得られる。
図11は第2の回路17の他の例として用いて好適な単安定マルチバイブレータの回路例である。ただし、第4の回路21としてのOR回路も併せて示してある。
第2の回路17としてのこの単安定マルチバイブレータは、通信終了信号SE によりオンされる定電流回路17aと、この定電流回路17aにより充電されるコンデンサCt と、前記定電流回路17aの出力を入力とする電流ミラー回路17bと、この電流ミラー回路17bの出力を負荷として動作し前記コンデンサCt の端子間電圧を入力とするシュミットリガ回路17cと、前記電流ミラー回路の出力から反転出力をつくる電流折り返し回路17e(詳細は後述)と、前記シュミットトリガ回路17cの出力によってオンするサイリスタを含み該オンの際前記定電流回路17aをオフさせかつ前記コンデンサCt を放電させるサイリスタ内蔵回路部17dとを具える。なお、ここではサイリスタ内蔵回路部17dを、サイリスタと、該サイリスタがオンした際にオンして定電流回路17aをオフするトランジスタQxとで構成してある。
この単安定マルチバイブレータを+電源に接続して用いる場合は、図11に+Vと示したノードに+電源を接続しかつ図11にGNDと示したノードを光通信装置のグランドに接続する。また、この単安定マルチバイブレータを−電源に接続して用いる場合は、図11に(−V)と示したノードに−電源を接続しかつ図11に(GND)と示したノードを光通信装置のグランドに接続する。ただし、この単安定マルチバイブレータを−電源に接続する場合、図11の回路を、各トランジスタのPN極性と各部の電流方向とを反転して構成し、+Vと示したノードに−電源を接続し、GNDと示したノードに光通信装置のグランドを接続しても、動作させることができる。なお、電流折り返し回路17eは、電流流入出力(バーO)をつくるための回路であり、第1の回路15との関係で不要の場合は削除して良い。
この単安定マルチバイブレータは次のように動作する。
通信終了信号SE が入力端子Iにトリガとして入力されると定電流回路17aがオンする。定電流回路17aがオンすると電流ミラー回路17bがオンし、および、コンデンサCt の充電も開始される。また電流ミラー回路17bがオンするので出力電流IOUT が出力端子Oおよびバ−Oから出力される。出力バーOは、電流折り返し回路17eを、線形電流ミラーで構成するか非線形電流ミラーで構成するかによって特性が異なる。図11は非線形電流増幅回路の例である。ここで出力端子OおよびバーOは、第1の回路15に電流流出の形式の信号SE1を出力するか、電流流入の形式の信号SE1を出力するかに応じて、何れかを第1の回路15に接続しておく。すると出力電流Iout が第1の回路15のリセット入力端子Rに入力される。
また、定電流回路17aおよび電流ミラー回路17bがオンするとシュミットトリガ回路17cもオンする。ただし、この段階ではシュミットトリガ回路17cの入力(図中P)はLレベルであるのでシュミットトリガ回路17cの出力もLレベル(出力電流ゼロ)である。
ところがコンデンサCt の充電が進んでいってシュミットトリガ回路17cの入力が該回路の閾値を越えるレベル(Hレベル)になると、シュミットトリガ回路17cの出力もHレベルになる。シュミットトリガ回路17cの出力がHレベル(電流ミラー17bで決定される電流を出力する)になるとサイリスタ内蔵回路部17d中のサイリスタがオンする。するとサイリスタ内蔵回路部17d中のトランジスタQxがオンするので定電流回路17aがオフするから、出力電流Iout もオフする。
このようにこの単安定マルチバイブレータは、通信終了信号SE をトリガーとして信号SE1である出力電流Iout を所定時間第1の回路15に出力する。ここで、出力電流Iout がオンした後のこのオン状態の維持時間すなわち信号SE1のパルス幅は、定電流回路17aに備わる抵抗RonおよびコンデンサCt により決まるコンデンサCt の充電速度と、シュミットリガ回路17d内の閾値を決める抵抗Rt とにより決めることができる。信号SE のパルス幅を第1の回路15を確実にオフ状態にすることができるように上記コンデンサCt の容量、抵抗Ron、Rt の抵抗値などを選択する。
定電流回路17aがオフすると電流ミラー回路17bもオフするのでシュミットトリガ回路17cに負荷電流が供給されなくなり、そのためシュミットリガ回路17cもオフする。また、サイリスタ17dがオンするのでコンデンサCt が放電され、それが終了するとこの単安定マルチバイブレータ自体も待機状態になる。待機状態にあるこの単安定マルチバイブレータでは、回路を流れる電流は実質的にゼロであるので、節電効果も高い。
なお、光通信回路13から出力される通信終了信号SE が、第1の回路15をオフ状態にすることができる信号形式である場合は第2の回路17を省略することができる。
次に第3の回路19について説明する。第3の回路19は、第1の電源29と光通信回路13の電源端子VCCとの間を通信開始要求光信号の有無にかかわらず外部制御により接続状態とする回路である。光通信装置を常時受信可能状態にする際や、光通信装置が送信機能を有している場合(この実施の形態ではその例を示している)において送信を行なう際に、第3の回路19を用いる。
この第3の回路19は任意好適な回路で構成することが出来る。図1に示した第3の回路19は、ノーマリオフ型のスイッチSETと、電流制限抵抗RSET との直列回路で構成した例である。この直列回路の一端を第1の回路15のセット入力端子Sと接続し、他端を光通信装置のグランドに接続してある。
スイッチSETをオンすると、第1の回路15のセット入力端子Sで電流流出が生じる。すなわち、通信開始要求光信号が受光素子11に到来したときと同様な状態になる。したがって、第1の回路15はオン状態となるので、光通信装置は通信可能状態になる。このオン状態は、通信終了信号SE に関連する信号SE1が第1の回路15のリセット入力端子Rに入力されるまで保持される。
また、ノーマリオフ型のスイッチSETと、電流制限抵抗RSET との直列回路により第3の回路19を構成する代わりに、図12に示したように、第1の電源29と光通信回路13の電源端子VCCとの間に、第1の回路15をバイパスさせる手動スイッチを設け、この手動スイッチにより第3の回路19を構成しても良い。ただし、この場合は通信終了後に上記手動スイッチを手動でオフする必要がある。そうしないと光通信装置を待機状態にすることができない。
以上、第3の回路内のスイッチを手動で動作させる様に説明してきたが、前記光通信回路周辺の装置の制御出力を用いて該スイッチを動作させれば、周辺装置から前記光通信装置の電源オンの制御が可能になる。
次に、第4の回路21について説明する。第4の回路21は、通信終了信号の有無にかかわらず外部制御により、第1の回路15による光通信回路13と第1の電源29との接続を解除させる回路である。
この第4の回路21は、任意好適な回路により構成することができる。例えば第1の回路15のリセット端子Rと+電源(或はグランド)との間に電流制限抵抗と手動スイッチとの直列回路を設け、これにより第4の回路を構成しても良い。第1の回路15をオフ状態とするに充分な時間、この手動スイッチをオンにしておくと、第1の回路15をオフ状態にすることができる。
第1の回路15と第1の電源29との間に、ノーマリーオンの手動スイッチを接続しておき、該スイッチを必要時にオフすることで第1の回路の電流を一旦ゼロとすることによっても、該第1の回路15をオフさせることができる。
より現実的な第4の回路の一例として、例えば図1や図11に示したOR回路を挙げることができる。すなわち、図11に示したように、互いに並列接続された2個のNPNトランジスタQa,Qbを含み、いずれか一方のトランジスタのベースに光通信回路13からの通信終了信号SE を、また他方のトランジスタのベースに通信終了信号に相当する信号(外部リセット信号Srst という)を入力できるOR回路である。このOR回路の場合トランジスタQa,Qbそれぞれのコレクタを第2の回路17の入力Iに接続する。
また、第4の回路21を複数個所に設けても良い。第4の回路21を4つ設けた例を図12に示した。この場合、単独で使用しても良く、或は、前記第3の回路との間で優先度を持たせるために複数回路を使用しても良い。
なお図11に示したOR回路21は、第2の回路17としての単安定マルチバイブレータ17に+電源を接続する場合に好適な回路である。第2の回路17としての単安定マルチバイブレータ17に−電源を接続する場合は、例えば図13に示したようなOR回路21を用いる。すなわち互いに並列接続された2個のPNPトランジスタQx,Qyと、これらトランジスタに直列接続された定電圧ダイオードD0 と、このダイオードD0 のカソード端子にベースが接続されたNPNトランジスタQzとを含むOR回路21である。この場合、2個のPNPトランジスタQx,Qyのいずれか一方のトランジスタのベースに光通信回路13からの通信終了信号SE を、また他方のトランジスタのベースに外部リセット信号Srst を入力する。しかも、トランジスタQzのコレクタを第2の回路17の入力Iに接続する。
雑音などにより第1の回路15が誤動作してオン状態になった場合等は、図11または図13に示した第4の回路21に外部リセット信号Srst を入力する。するとこれが第2の回路17のトリガとなるので第2の回路17は通信終了信号に関連する信号SE1を第1の回路15のリセット入力端子Rに出力する。そのため第1の回路15を通信終了信号SE にかかわらずオフ状態にすることができる。
前記光通信装置に接続される周辺の装置の制御出力を、該第4の回路の外部リセット信号Srst として入力するようにすれば、周辺装置から前記光通信装置の電源オフの制御が可能になる。周辺装置から前記光通信装置の電源オフの制御を行なう別の方法として、図2の光通信回路13の入力端子群Di 中の制御信号を用い、制御部13cより通信終了信号SE を端子TRIより出力(仲介出力)させてもよい。
次にローパスフィルタ23について説明する。ローパスフィルタ23を設ける目的は次の通りである。受光素子11としてフォトダイオードやアバランシェフォトダイオードを用いた場合、光通信中に受光素子11のバイアス電圧が急激に変動すると、フォトダイオードのpn接合容量の充放電電流が生じこれが光電流(受光電流)に重畳する雑音電流となる。ローパスフィルタ23はこの雑音電流の発生を防止する。
このローパスフィルタ23は受光素子11と入力端子Ii とスイッチ回路15のセット入力端子Sとの間に設ける。ここでは、受光素子11とスイッチ回路15のセット入力端子Sとの間にコンデンサCFおよび抵抗RFからなる一次形ローパスフィルタを設けている。なお、一次形ローパスフィルタの代わりに高次のローパスフィルタを用いて、雑音減衰特性をさらに高めても良い。また、雑音電流に比べ光電流が充分に大きい場合等、雑音電流を問題としない場合は、ローパスフィルタ23を省略しても良い。
また、発光素子25は光信号を送信するための素子である。発光素子25は発光ダイオードまたは半導体レーザ等任意好適な素子で構成することができる。発光素子25は光通信回路13に備わる発光素子駆動回路13dにより駆動される。発光素子25で生じた光信号は例えば光ファイバ27bを介して外部に送られる。
なお、送信と受信それぞれの光信号の波長を異ならせたり、送信/受信のタイミングを制御する等して、送信と受信の光信号を区別できるようにして、送信と受信とを1本の光ファイバで行なうようにしても良い。また、光通信装置を受信専用とする場合は、発光素子25およびそれに関連する回路部分を省略することができる。
2.第2の実施の形態
次に第2の実施の形態として、スイッチ回路15bと電流折り返し回路15cとを含む回路により第1の回路15を構成する例(請求項1に記載の発明)を説明する。
図14はそのような構成の光通信装置の1例を示した図である。特にこの場合は、光通信回路13用の電源として+電源29を用い、かつ、受光素子11のバイアス供給源として−電源31を用いることを可能にするために、電流折り返し回路15cを用いた光通信装置を示している。
この図14に示した光通信装置では、受光素子11を電流折り返し回路15cを介しスイッチ回路15bに接続したこと、受光素子11の接続極性関係を図1の場合と逆にしたこと、および、受光素子11のバイアス供給源として−電源31を用いたことを除いて、各構成成分の接続関係は第1の実施の形態と同じとしてある。以下、第1の実施の形態と相違する点について主に説明する。
まずスイッチ回路15bは、第1の実施の形態と同様に、少なくとも第1〜第4の端子を持つ。ここではスイッチ端子G、セット入力端子S、スイッチ端子Oおよびリセット入力端子Rを持つ。そして、スイッチ端子Gを第1の電源(図示例では+電源29)に接続し、セット入力端子Sを電流折り返し回路15cの出力端子Oに接続し、スイッチ端子Oを光通信回路13の電源端子VCCに接続し、リセット入力端子Rを第2の回路17の出力端子Oと接続してある。
さらにこのスイッチ回路15bは、受光素子11が通信開始要求光信号を受光した際に電流折り返し回路15cを流れる光電流Ip をトリガとしてスイッチ端子G,O間を導通状態にする機能を持つ。しかもこの導通状態を通信終了信号SE またはこれに関連する信号SE1がリセット入力端子Rに入力されるまで維持する機能を持つ。
このスイッチ回路15bを、例えば図3〜図4(B)を参照して説明した各スイッチ回路15a1 〜15a4 のいずれかで構成することができる。
電流折り返し回路15cは、入力端子Iと、出力端子Oと、入力端子、出力端それぞれを流れる電流の和の電流が流れるコモン端子COMとを持つ回路であり、入力端子Iを流れる電流により出力端子Oに電流が流れる回路である。
この電流折り返し回路15cの入力端子Iを受光素子11のバイアス端子(ここではアノード)に接続してある。ただし、この場合はローパスフィルタ23を介し入力端子Iを受光素子11のアノードに接続している。もちろん既に説明したようにローパスフィルタ23を省略する場合があっても良い。
さらに電流折り返し回路15cの出力端子Oをスイッチ回路15bのセット入力端子Sに接続してある。さらに、電流折り返し回路15cのコモン端子COMをバイアス供給源である−電源31に接続してある。
この電流折り返し回路15cの具体的な回路例を図15(A)〜(C)にそれぞれ示す。図15(A)の電流折り返し回路は、入力端子Iと、該入力端子電流を線形増幅した電流を出力する出力端子Oと、入出力端子の和の電流が流れるコモン端子COMとを持つ線形電流増幅回路で構成した回路である。図15(B)、(C)それぞれの電流折り返し回路15cは、入力電流がゼロ付近で最小電流増幅率を示し、かつ、入力電流増大と共に電流増幅率が増大する非線形電流増幅回路と、出力電流の最大値を制限する抵抗RC (図15(B))または定電流回路IC (図15(C))とで構成した電流折り返し回路である。もちろん、この回路の場合も入力端子Iと、出力端子Oと、入出力端子I,Oを流れる電流の和の電流が流れるコモン端子COMとを有している。
図15(A)〜(C)いずれの回路も、ベース同士を接続してある2個のNPNトランジスタQA 、QB を含む回路である。入力端子I側のNPNトランジスタQA はベース・コレクタ間を短絡した状態になっている。そのため、トランジスタQA において入力端子Iとコモン端子COMとの間に順方向のpn接合が生じるので、受光素子11にバイアス電圧を常時供給することができる。しかも、受光素子11で光電流Ip が生じると、トランジスタQB がオンするので、スイッチ回路15bのセット入力端子Sで電流流出が生じる。そのため、これをトリガとしてスイッチ回路15bはオン状態になるので、光通信回路13と+電源29とを接続することができる。
ここで電流折り返し回路15cとして特に入力電流ゼロ付近で最小電流増幅率を示す非線形電流増幅回路を有した回路(図15(B)、(C))を用いると、微小電流は抑圧されかつあるレベル以上の電流は強調増幅されるという非線形電流増幅回路の特性により、受光素子11の通信開始要求光信号受信部のS/N比が向上する。すなわち、微小電流領域にある受光雑音電流は抑圧され、通信開始要求光信号に起因して生じる光電流は強調増幅されるので、受光素子11の通信開始要求光信号受信部のS/N比が向上する。
また図16は電流折り返し回路を用いた光通信装置の他の例を示した図である。詳細には、光通信回路13用の電源として+電源29を用い、かつ、受光素子11のバイアス供給源として別の+電源33を用いることを可能にするために、第1の回路15をスイッチ回路15bと電流折り返し回路15dとを含む回路で構成した例を示している。
ここでいう別の+電源33は任意好適なものとできる。この図16の場合は、別の+電源33として、光通信回路13により出力電圧が制御されかつ前記光通信回路13への電源供給がオフのとき(すなわち光通信回路13がオフのとき)は固定の直流電圧を出力する被制御型電源33、具体的にはAGCを可能にする高電圧発生回路(HV回路)を用いる例を示している。なおこの第2の実施の形態の主たる目的は電流折り返し回路15dの効果を述べることにあるので、被制御型電源33についての説明は後の第4の実施の形態において説明する。
また受光素子11のバイアス供給源として上記のような被制御型電源33を用いる場合は、光通信回路13として、被制御電源33を制御する信号を出力できるAGCアンプを内蔵しかつ制御信号出力端子VC を持つ光通信回路を用いる。図16では、そのため制御信号出力端子VC を有した光通信回路13を示してある。ただしこの第2の実施の形態の主たる目的は電流折り返し回路15dの効果を述べることにあるので、AGCアンプ内蔵の光通信回路についての説明は後の第4の実施の形態において説明する。
また図16に示した光通信装置の場合は、スイッチ回路15bとして、例えば図4(B)を用い説明した回路15a4 であって上記(1)の使い方で、セット入力S2を使用する回路、或は図5を用いて説明した回路15a5 を用いる。図16に示した光通信装置では、光電流が生じるとセット入力端子Sに電流流入の形で電流が流れるので、それに応じたスイッチ回路15a4 や15a5 を用いる必要があるからである。
また図16に示した光通信装置の場合に用いることができる電流折り返し回路15dの具体的な回路例を図17(A),(B)にそれぞれ示す。図17(A)の回路は図15(A)を用い説明した回路の構成においてNPNトランジスタをPNPトランジスタに変えた回路、図17(B)の回路は図15(B)を用い説明した回路の構成においてNPNトランジスタをPNPトランジスタに変えた回路である。しかも出力端子OにダイオードDを接続した回路である。
この図17(A),(B)いずれの回路も受光素子11に+電源によりバイアス電圧を供給する関係上から、用いるトランジスタがPNPトランジスタとなっている。またダイオードDは、+電源29の電位に比べ被制御型電源33の電位が低くなった場合の電流逆流を防止するものである。
この図17(A)、(B)いずれの回路も、入力端子I側のPNPトランジQ1 は、ベース・コレクタ間を短絡した状態になっている。そのため、トランジスタQ1 においてコモン端子COMと入力端子Iとの間に順方向のpn接合が生じるので、受光素子11にバイアス電圧を常時供給することができる。しかも、受光素子11で光電流Ip が生じると、トランジスタQ1 、Q2 に電流が流れ、スイッチ回路15bのセット入力端子S2で電流流入が生じる。そのため、スイッチ回路15bはオン状態になるので、光通信回路13と+電源29とを接続することができる。ここで電流逆流防止ダイオードDは、+電源29の電位に比べ被制御型電源33の電位が常に高い場合は、省略することができる。
なお図17(B)においては、電流制限抵抗RC の代わりに定電流回路IC を用いても良いことを示している。また図17の各回路において、トランジスタおよびダイオードのPN極性を逆にした構成とすることにより、流入電流に対する電流折り返し回路が実現する。
3.第3の実施の形態
上述の第1の実施の形態および第2の形態いずれの場合も、光電流をトリガとしてスイッチ回路15aまたは15bがオンすると、該スイッチ回路15aまたは15b自体を経由して光通信回路13に電流が流れる例であった。ところで光通信回路13が大電流を必要とする場合は、スイッチ回路15aや15bにも大電流が流れる。そのような場合は、スイッチ回路15aや15bを、光電流Ip に応じスイッチング信号を生成する第1のスイッチ回路と、光通信回路13への電流経路を担当する第2のスイッチ回路とに分けた方が好ましい。こうした方が、電流経路を担当する部分のみに大電流に耐える半導体素子を用いれば済む等の利点が得られるからである。この第3の実施の形態はその例である。
図18および図19は、この第3の実施の形態の考えを、第1の実施の形態における図1の光通信装置に適用した例の説明図である。特に図18はその装置の構成を示す図、図19は第2のスイッチ回路の具体例を示した図である。
図18に示した光通信装置では、スイッチ回路15aを、光電流に応じスイッチング信号を生成する第1のスイッチ回路151と、該スイッチング信号によりオン/オフされ、スイッチ回路15aにおける第1の電源29が接続されたスイッチ端子G、Oaと光通信回路13の電源端子VCCが接続されたスイッチ端子Obとを接続/非接続する第2のスイッチ回路152とで構成してある。
ここでスイッチ回路15aは既に説明したように、通信開始要求光信号に応じ受光素子11で生じる光電流をトリガとしてオンし(すなわちスイッチ端子GおよびO間を導通状態とし)、該オン状態を通信終了信号SE またはそれに関連する信号SE1が到来するまで保持する必要がある。スイッチ回路15aを第1および第2のスイッチ回路151,152で構成する場合も上記保持機能は必要になる。ただし、上記保持機能を第1のスイッチ回路151側にもたせるか、第2のスイッチ回路152側にもたせるかは回路設計に応じ選択することができる。具体的には、第1のスイッチ回路151が上記オン状態を維持するに必要な時間スイッチング信号を出力しつづけるようにしても良いし、または、第1のスイッチ回路151は第2のスイッチ回路152にトリガ程度にスイッチング信号を出力し第2のスイッチ回路152側で上記オン状態を保持するようにしても良い。リセット入力端子Rは保持側のスイッチ回路に設ける。以下の例では、第1のスイッチ回路151が上記オン状態を維持するに必要な時間第2のスイッチ回路152にスイッチング信号を出力する例を説明する。
この第1のスイッチ回路151は、例えば図3〜図4(B)を用いて説明したスイッチ回路15a1 〜15a4 のいずれかの回路で構成することができる。いずれのスイッチ回路15a1 〜15a4 の場合も、スイッチ端子Gを+電源29に接続し、セット入力端子Sを受光素子11のバイアス端子にローパスフィルタ23を介し接続し、スイッチ端子Oを第2のスイッチ回路152の入力端子Iに接続し、リセット入力端子Rを第2の回路17の出力端子Oに接続して使用する。
既に説明したようにこれらスイッチ回路15a1 〜15a4 は、そのセット入力端子Sに光電流が流れるとオン状態となる。このオン状態はこれらスイッチ回路15a1 のリセット入力端子Rに通信終了信号SE に関連する信号SE1が入力されるまで保持される。このオン状態では、第1のスイッチ回路151の出力端子Oから信号(電流)が出力され続ける。この信号は第2のスイッチ回路152をオンさせるスイッチング信号になる。
一方、第2のスイッチ回路152は、スイッチ回路15aにおける+電源29に接続された端子(図18ではスイッチ端子G、Oa)と、光通信回路13の電源端子VCCに接続された端子(図18ではスイッチ端子Ob)とを、第1のスイッチ回路151から出力されるスイッチング信号に応じ接続/非接続できればその構成は特に限定されない。第2のスイッチ回路152の具体例としては、フォトカプラ回路152a(図19(A)参照)、リレー回路152b(図19(B)参照)、トランジスタ回路152c(図19(C)参照)、上記フォトカプラにトランジスタを組み合わせた回路152d(図19(D)参照)、上記リレー回路にトランジスタを組み合わせ回路152e(図19(E)参照)等を挙げることが出来る。
図19に示したいずれの第2のスイッチ回路152a〜152eの場合も、その入力端子Iを第1のスイッチ回路151の出力であるスイッチ端子Oに接続し、その駆動入力他端子Gを光通信装置のグランドに接続し、その出力端子Oaを第1のスイッチ回路151のスイッチ端子Gに接続し、その出力他端子Obを光通信回路13の電源端子VCCに接続して使用する。
図18を用いて説明したこの光通信装置の場合、待機状態が解除されると第2のスイッチ回路152を介し第1の電源29から光通信装置13に電源供給される。それ以外の動作は第1の実施の形態の光通信装置の動作と同様である。
なお、第2のスイッチ回路152として入力側が低抵抗である回路(例えばフォトカプラ回路)を用いる場合、第1のスイッチ回路151として定電流機能を有している回路、例えば図3(A)、図3(B)、図4(A)に示したいずれかの回路を用いるのが良い。
また図20は、この第3の実施の形態の考えを、第1の実施の形態における図9の光通信装置に適用した例の説明図である。すなわち、光通信回路13用の電源29を−電源29とした光通信装置にこの第3の実施の形態の考えを適用した例の説明図である。
図20に示した光通信装置では、スイッチ回路15aを、第1のスイッチ回路153と、第2のスイッチ回路152とで構成してある。第1のスイッチ回路153は例えば例えば図4(B)を用い説明したスイッチ回路15a4 であって上記(2)の使い方でセット入力S2を用いる回路、或は図5を用いて説明したスイッチ回路15a5 により構成することができる。
いずれのスイッチ回路15a4 、15a5 の場合も、スイッチ端子G2を−電源29に接続し、セット入力端子S2を受光素子11のバイアス端子にローパスフィルタ23を介し接続し、スイッチ端子O2を第2のスイッチ回路152の入力端子Gに接続し、リセット入力端子Rを第2の回路17の出力端子Oに接続して使用する。
一方、第2のスイッチ回路152は、例えば、図19(A)、(B)、(D)、(E)を用いて説明した各回路で構成することができる。ただし、図18に示した回路に対して電流方向が逆向きとなるので、その入力端子Iを光通信装置のグランドに接続し、その駆動入力他端子Gを第1のスイッチ回路153の出力となるスイッチ端子O2に接続し、その出力端子Obを第1のスイッチ回路153のスイッチ端子G2に接続し、その出力他端子Oaを光通信回路13の電源端子VCCに接続して使用する。
図20を用いて説明したこの光通信装置の場合、待機状態が解除されると第2のスイッチ回路152を介し第1の電源29から光通信装置13に電源供給される。それ以外の動作は第1の実施の形態の光通信装置の動作と同様である。
4.第4の実施の形態
上述した第1の実施の形態や第3の実施の形態では、光通信回路13用の電源としての第1の電源29から第1の回路15を介し受光素子11にバイアス電圧を供給する例を説明した。この第1の電源29は一般に固定の直流電圧を出力する電源である。
しかし、受光素子11に対し受光素子11の光電流パルス振幅を一定にする制御電圧を第1の回路15を介しバイアス電圧として供給できればより好ましい。そうすると、待機時の消費電力が実質的にゼロで、かつ、通信時には光電流パルス振幅を一定とするオートゲインコントロール(フルAGC)を含むオートゲインコントロールによる高品質の光通信が可能な光通信装置が実現できるからである。
そこでこの第4の実施の形態では被制御型電源を第1の回路15に接続する例(請求項8に記載の発明)を説明する。以下、図21〜図26を参照して詳細に説明する。ここで、図21はこの第4の実施の形態の概念図に相当する図である。
図21に示した第4の実施の形態の光通信装置は、受光素子11、光通信回路13、第1の回路15、第2の回路17、第3の回路19、第4の回路21、ローパスフィルタ23、発光素子25、第1の電源29および被制御型電源33を具える。
ここで、受光素子11はアバランシェフォトダイオードで構成してある。
また光通信回路13は、図22に示したように、第1の実施の形態で説明した構成に加え、被制御型電源33としての高電圧発生回路の出力電圧Vout を制御する信号をも生成するAGCアンプ13eを内蔵し、かつ、該信号の出力端子VC を有した光通信回路としてある。AGCアンプ13eを内蔵する光通信回路は、例えば文献(「新版・光ファイバ通信」,副島俊雄、貝淵俊二 著、電気通信ニュース社、昭和56.12.12,P419)に記載されているなど、公知である。
また、第1の回路15を、被制御型電源33と、第1のスイッチ回路154と、第2のスイッチ回路155とを含む回路で構成してある。
被制御型電源33を用いることとし、かつ、第1の回路15を第1および第2のスイッチ回路154、155で構成しかつ被制御型電源33を第1の回路15に接続することとしたため、それらの接続関係が第1の実施の形態の場合と相違する。それについては以下に順次説明するが、それ以外の構成成分の接続関係は第1の実施の形態と同様になっている。
ここで被制御型電源33は、その出力電圧Vout が光通信回路13により制御されかつ光通信回路13への第1の電源29からの電源供給がオフ状態の場合は固定の直流電圧を出力する電源である。具体的には、受光素子11としてのアバランシェフォトダイオードの電流増倍率を制御することが出来るような電圧を、光通信回路13の制御の下で出力し、しかも、光通信回路13がオフ状態の場合は固定の直流電圧を出力する高電圧発生回路(HV回路)を用いる。
このような高電圧発生回路は、光通信回路13がオフ状態の時に固定の直流電圧を出力でき、かつ、光通信回路13がオン状態の時は光通信回路13の制御に対し単調増加または単調減少の電圧出力が得られるならば、任意好適な回路で構成することができる。また典型的には、高電圧発生回路は、光通信回路13用の電源である第1の電源29よりも高い電圧を出力できる回路とする。
被制御型電源33としての高電圧発生回路の具体的な回路例を図23に示す。この高電圧発生回路33は、高電圧源となるDC/DC変換回路33aおよび、トランジスタQ1 〜Q3 と、定電圧ダイオードVzと、トランジスタQ1 、Q2 の負荷インピーダンスとしての定電流回路I1 、I2 (高抵抗に置き換えても良い。)とを含む増幅回路33bで構成する。DC/DC変換回路33aは、第1の電源29の電圧をそれより高い電圧に変換する。高電圧発生回路33の入力端子Iを光通信回路13の制御電圧出力端子VC と接続してあり、高電圧発生回路33の出力端子Oを第1のスイッチ回路154の第1の端子としてのスイッチ端子Gと接続してある。
被制御型電源33としてのこの高電圧発生回路33では、入力端子Iに入力がないとトランジスタQ1 がオフ、かつ、トランジスタQ2 がオン(飽和)となるので、出力端子Oからは定電圧ダイオードVzにより決められる定電圧かつ直流電圧が出力される。すなわち、光通信回路13と第1の電源29との間が非接続状態なため光通信回路13がオフ状態(端子VC よりの出力ゼロ)の場合は、高電圧発生回路33は直流かつ固定の電圧を第1のスイッチ回路154のスイッチ端子Gに出力する。
一方、光通信回路13がオン状態のときはその端子VC から高電圧発生回路33の入力端子Iに制御信号が入力される。すると、トランジスタQ1 およびQ2 がアクティブとなり増幅動作を行なう。そして、この高電圧発生回路33は、定電圧ダイオードVzにより決められる定電圧とDC/DC変換回路33aの出力高電圧HVとの間の電圧であって光通信回路13の端子VC から出力される制御信号の大小に応じた電圧を、第1のスイッチ回路154のスイッチ端子Gに出力する。
なお、この図23の回路例の場合は、第1の電源29を高電圧発生回路33の電源として用いることとしたため昇圧回路としてのDC/DC変換回路33aを必要としていたが、光通信装置に高電圧発生回路33用の独立した高電圧直流電源を用意する場合はDC/DC変換回路33aは省略することができる。
また第1のスイッチ回路154は、少なくとも第1〜第4の端子を持つ回路である。しかも、第1の端子を前記被制御型電源33の出力端子Oに接続し、第2の端子を受光素子11のバイアス端子(ここではカソード)にローパスフィルタ23を介し接続し、第3の端子をスイッチング信号出力端子とし、第4の端子を第2の回路17の出力端子Oに接続してある回路である。しかも、被制御型電源33に基づく電圧を第2の端子を介し受光素子11にバイアス電圧として常時供給しかつ通信開始要求光信号を受光した際に第2の端子を流れる光電流をトリガとして第3の端子からスイッチング信号を前記通信終了信号SE またはそれに関連する信号SE1が第4の端子に入力されるまで出力する回路である。
この第1のスイッチ回路154は上記機能を達成することができる回路であれば任意好適な回路で構成することが出来る。
この第1のスイッチ回路154を、例えば図3〜図4(B)を用いて説明したスイッチ回路15a1 〜15a4 のいずれかの回路で構成することができる。その場合はスイッチ回路15a1 〜15a4 それぞれのスイッチ端子Gを被制御型電源33の出力端子Oと接続し、セット入力端子Sを受光素子11のカソードにローパスフィルタ23を介し接続し、スイッチ端子Oを第2のスイッチ回路155の入力端子Iに接続し、リセット入力端子Rを第2の回路17の出力端子Oに接続する。
この第1のスイッチ回路154では、スイッチ端子Gとセット入力端子Sとの間の順方向のpn接合を通して、被制御型電源33の電圧に基づく電圧すなわち被制御型電源33の出力電圧よりいくらかレベルシフトした電圧を受光素子11にバイアス電圧として常時供給することができる。詳細には、光通信回路13がオフ状態の場合は被制御型電源33から出力される固定の直流電圧に基づく電圧が受光素子11にバイアス電圧として供給され、一方、光通信回路13がオン状態の場合は、光通信回路13により制御された状態の高電圧発生回路33から出力される電圧に基づく電圧が、受光素子11にバイアス電圧として供給される。
これは、光通信回路13がオン状態の場合すなわち通信可能状態の場合は、受光素子11に対しその光電流パルス振幅を一定に制御するバイアス電圧を供給出来ることを意味する。従って、受光素子11としてアバランシェフォトダイオードを用いた場合は、光電流パルス振幅が一定に制御されたいわゆるオートゲインコントロール(フルAGC)による光通信を行なうことが出来る。
ここで第1のスイッチ回路154のオン/オフ動作原理は、第1の実施の形態において説明したスイッチ回路15aのオン/オフ動作の原理と同じである。すなわち、受光素子11が通信開始要求光信号を受光すると、その際に生じる光電流がセット入力端子Sを流れるので、この第1のスイッチ回路154はオン状態となる。このオン状態は第1のスイッチ回路154のリセット入力端子Rに第2の回路17から通信終了信号SE1が入力されるまで保持される。第1のスイッチ回路154はオン状態の間、スイッチ端子Oからスイッチング信号を第2のスイッチ回路155に出力する。
また、第2のスイッチ回路155は、光通信回路13用の電源としての第1の電源29と光通信回路13の電源端子VCCとの間に設けられ、第1のスイッチ回路からのスイッチング信号に応じ光通信回路13と第1の電源29との間を接続状態とする回路である。
この第2のスイッチ回路155は、上記機能を持つならば任意好適な回路で構成することができる。第2のスイッチ回路155の部分を具体的な回路により構成した光通信装置の例を、図24〜図26にそれぞれ示した。
図24に示した光通信装置は、第2のスイッチ回路155としてサージ電圧吸収用ダイオードDR付きのリレーRを用いた例である。なお、該サージ電圧吸収用ダイオードDRをツェナーダイオードに変更しかつツェナー電圧を該リレーRの動作電圧値とし、しかも、第1のスイッチ回路154として図3(A)、図3(B)、図4(A)に示したスイッチ回路15a1 〜15a3 のいずれかの回路すなわち定電流出力となるスイッチ回路を用いると、被制御型電源33からの出力電圧幅が広い場合にも対応できるようになるのでAGC範囲が広くとれる。
また図25に示した光通信装置は、第2のスイッチ回路155としてフォトカップラーを用いた例である。フォトカップラは入力部分が低抵抗なスイッチ素子であるので、第1のスイッチ回路154としては定電流機能を持つ回路例えば図3(A)、(B)および図4(A)のいずれかの回路とするのが好適である。
図26に示した光通信装置は、第1のスイッチ回路154からのスイッチング信号(出力電流)を抵抗RDC又はツェナーダイオードDzに流して電圧に変換し、この電圧によりバッファトランジスタQ1 をオンさせて第2のスイッチ回路155全体としてオン状態を形成する回路例である。
この他、第2のスイッチ回路155の例として、図19(A)〜(E)に示した各回路が挙げられる。
この第4の実施の形態の光通信装置の場合は、第1のスイッチ回路154がオンすると第2のスイッチ回路155はオン状態となり、その結果、光通信回路13と第1の電源29とが接続されるので光通信装置は通信可能状態になる、また第1のスイッチ回路154がオフすると第2のスイッチ回路155はオフ状態になり、その結果、光通信回路13と第1の電源29とが非接続状態とされるので光通信装置は待機状態になる。
また待機状態であっても、受光素子11には被制御型電源33から直流の固定電圧がバイアス電圧として供給されている。しかも、図6〜図8を用い説明したようにこの光通信装置にはこれが待機状態であっても光電流をグランドに流す経路が存在する。そのため、通信開始要求光信号が到来してこれに応じ受光素子11で光電流が生じると、これをトリガとして光通信装置は通信可能状態に復帰する。
また、通信可能状態に復帰すると、受光素子11には被制御型電源33からAGC制御による電圧が供給される。そのため、受光素子11としてアバランシェフォトダイオードを用いると、該アバランシェフォトダイオードの電流増倍率を制御して、受光電流パルス振幅を一定にさせるオートゲインコントロール(フルAGC)を実現できる。
従って、この第4の実施の形態の場合は、待機時の節電効果が従来に比べて高く、しかも、フルAGC機能を持つ光通信が可能な光通信装置が実現される。
5.第5の実施の形態
上記の第4の実施の形態では、受光素子11に被制御型電源33からバイアス電圧を供給できる例を説明した。ただし上記第4の実施の形態の場合は、通信可能状態となった際にもバイアス電圧は第1のスイッチ回路154を経由して受光素子11に供給する構成であった。そのため、光通信を行なっている際に第1のスイッチ回路154や第2のスイッチ回路155でノイズが発生した場合にこれが受光素子11に漏れ込んでしまう場合も考えられる。これは光通信をより信頼性の高いものとする上で改善されるべきである。
また、上述の第4の実施の形態の場合、待機状態においても被制御型電源33としての高電圧発生回路を利用して受光素子11にバイアス電圧を供給する。高電圧発生回路は高圧発生回路を具えたり増幅回路部分を具えた分、電力損失が大きい。以上どのケースにおいても、待機時にアクティブ状態にあるのは電源回路のみであり、アクティブ状態にある電源回路数を削減(1個に)できれば、さらに節電効果が高まる。
これらについて対策された光通信装置が実現できれば好ましい。この第5の実施の形態はその例である(請求項9の発明)。以下、図27〜図29を参照して詳細に説明する。
この第5の実施の形態の光通信装置は、受光素子11、光通信回路13、第1の回路15、第2の回路17、第3の回路19、第4の回路21、ローパスフィルタ23、発光素子25および第1の電源29を、第4の実施の形態と同様に具える。
ただし、第1の回路15を、切り換え回路35と、被制御型電源37と、第1のスイッチ回路156と、第2のスイッチ回路157とを含む回路で構成してある。
切り換え回路35を具えたためそれに関連する接続関係が第4の実施の形態の場合と相違する。それについては以下に順次説明する。それ以外の構成成分の接続関係は第4の実施の形態と同様になっている。
まず切り換え回路35は、第1の端子1と、第2の端子2と、前記受光素子のバイアス端子に接続されたコモン端子COMとを有した回路である。しかも、第1のスイッチ回路156からスイッチング信号(詳細は後述する)により制御され、該スイッチング信号が出力された場合は第2の端子2およびコモン端子COM間を接続するという第1の状態をとり、スイッチング信号が入力されない場合は第1の端子1およびコモン端子COM間を接続するという第2の状態をとる回路である。
この切り換え回路35の第1の端子1に第1のスイッチ回路156のセット入力端子Sを接続してあり、第2の端子2に被制御型電源37の出力Oを接続してある。
この切り換え回路35は、上記機能を持つものであれば任意好適な回路で構成することができる。そのいくつかの具体例を図27〜図29の各回路中に示してある。
図27の光通信装置の場合は、第2のスイッチ回路157をリレーで構成していることを考慮して、該リレーで駆動される別の切り換え接点回路を付加してこれにより切り換え回路35を構成している。
図28の光通信装置の場合は、2個のダイオードにより切り換え回路35を構成している。詳細にはカソード同士を接続しこれをコモン端子とし、かつ、一方のダイオードのアノードを第1の端子1とし、他方のダイオードのアノードを第2の端子2として、切り換え回路35を構成している。この場合は、機械的可動部分がないので、リレーを用いた切り換え回路35に比べて信頼性がある。
この図28における切り換え回路35の場合、被制御型電源37の動作時の出力電圧が第1の電源29の電源電圧より常に高くなる様に設定すると、被制御型電源37の出力電圧のon/offにより、切り換え回路35の第1と第2の端子間の印加電圧の大小関係が逆転し導通ダイオードが入れ換ることになり切り換え動作が実現する。
図29の光通信装置の場合は、NチャネルMOS電界効果トランジスタとPチャネルMOS電界効果トランジスタとを1個づつ用いて切り換え回路35構成している。詳細には、NMOSのソースとPMOSのドレインとを互いに接続してこれをコモン端子COMとし、かつ、NMOSのドレインに両MOSのゲートを接続し第2の端子2とし、PMOSのソースを第1の端子1とする。この場合も、機械的可動部分がないので、リレーを用いた切り換え回路35に比べて信頼性がある。
この図29における切り換え回路35の場合、被制御型電源37の動作時の出力電圧が、第1の電源29の電源電圧より常に高くなる様に設定しておけば、光通信回路13がオフ状態なため被制御型電源37の出力電圧がゼロの時PMOS側が導通状態となり、光通信回路13がオン状態なため被制御型電源37の出力電圧が高電圧となった時NMOS側が導通状態となる。このように、該MOSトランジスタがオン/オフして切り換え動作が実現する。
被制御型電源37は、その出力電圧Vout が光通信回路13により制御される電源である。この場合は受光素子11としてアバランシェフォトダイオードを用い、被制御型電源37として、アバランシェフォトダイオードの電流増倍率を制御することが出来るよう光通信回路13により制御された電圧を出力する高電圧発生回路(HV回路)を用いる。
第4の実施の形態では被制御型電源33は光通信回路13がオフ状態の場合は固定の直流電圧を出力する必要があった。しかし、この第5の実施の形態の場合の被制御型電源37では、光通信回路13がオフ状態の場合の出力電圧がゼロである電源(オフ状態にできる)で良い。
また第1のスイッチ回路156は、少なくとも第1〜第4の端子を持つ回路である。しかも、第1の端子を第1の電源29に接続し、第2の端子を切り換え回路35の第1の端子1に接続し、第3の端子をスイッチング信号出力端子とし、第4の端子を第2の回路17の出力端子に接続してある回路である。しかも、切り換え回路35が上述の第2の状態のとき、第1の電源29に基づく電圧を第1の端子および切り換え回路35を介し受光素子11にバイアス電圧として供給しかつ通信開始要求光信号を受光した際に第2の端子を流れる光電流をトリガとして第3の端子からスイッチング信号を前記通信終了信号またはそれに関連する信号が第4の端子に入力されるまで出力する回路である。
この第1のスイッチ回路156は上記機能を達成することができる回路であれば任意好適な回路で構成することが出来る。
この第1のスイッチ回路156を、例えば図3〜図4(B)を用いて説明したスイッチ回路15a1 〜15a4 のいずれかの回路で構成することができる。その場合はスイッチ回路15a1 〜15a4 それぞれのスイッチ端子Gを第1の電源29と接続し、セット入力端子Sを切り換え回路35の第1の端子1に接続し、スイッチ端子Oを第2のスイッチ回路157の入力端子Iに接続し、リセット入力端子Rを第2の回路17の出力端子Oに接続する。
この第1のスイッチ回路156では、スイッチ端子Gとセット入力端子Sとの間の順方向のpn接合を通して、第1の電源29の電圧に基づく電圧すなわち第1の電源29の電圧よりいくらかレベルシフトした電圧がセット入力端子Sに現れる。そのため、切り換え回路35が第2の状態である場合は、第1の電源29の電圧に基づく電圧を、セット入力端子Sと切り換え回路35とローパスフィルタ23とを介して受光素子11にバイアス電圧として供給することができる。
また、受光素子11が通信開始要求光信号を受光すると、その際に生じる光電流がセット入力端子Sを流れるので第1のスイッチ回路156はオン状態となる。すると第1のスイッチ回路156のスイッチ端子Oからスイッチング信号が出力される。第1のスイッチ回路156のオン状態は第1のスイッチ回路156のリセット入力端子Rに第2の回路17から通信終了信号SE に関連する信号SE1が入力されるまで保持される。この第1のスイッチ回路156のオン/オフ動作の原理は第1の実施の形態において説明したスイッチ回路15aのオン/オフ動作の原理と同じである。
第1のスイッチ回路156からスイッチング信号が出力されるか否かで、第2のスイッチ回路157はオン/オフし、かつ、切り換え回路35が第1の状態または第2の状態に切り換わる。
また、第2のスイッチ回路157は、光通信回路13用の電源としての第1の電源29と光通信回路13の電源端子VCCとの間に設けられ、第1のスイッチ回路156からのスイッチング信号に応じ光通信回路13と第1の電源29との間を接続状態とする回路である。この第2のスイッチ回路157は、上記機能を持つならば任意好適な回路で構成することができる。例えば図19を用いて説明した回路152a〜152eの各回路は第2のスイッチ回路157の回路例として挙げることができる。図27〜図29ではリレー回路(サージ電圧吸収用ダイオード付の回路例も含む)の例を示してある。
この第5の実施の形態の光通信装置における第1および第2のスイッチ回路156、157のオン/オフ動作は、第4の実施の形態と同様である。したがって、第4の実施の形態に比べ、被制御型電源37への電源供給をオフにできる分、待機時の節電効果が高く、かつ、通信時にはフルAGCによる光通信が可能な光通信装置が得られる。
またこの第5の実施の形態の光通信装置の独特の作用として、以下の作用が得られる。すなわち、待機状態では第1の電源29に基づく電圧を受光素子11にバイアス電圧として供給でき、一方、通信可能状態では被制御型電源37に基づく電圧を受光素子11にバイアス電圧として供給することができる。そのため、以下の(1)、(2)の効果が得られる。
(1)内部消費電力がゼロとは言えない被制御型電源37(高電圧発生回路)への電源供給を、光通信装置が待機時には断とすることが出来る。そのため該高電圧発生回路の待機時の消費電力をゼロにすることができる。
(2)切り換え回路35により、第1および第2のスイッチ回路を光通信時に受光素子11から切り離すことが可能になる。そのためこれらスイッチ回路を経由して受光素子に漏れこんで来る雑音を軽減できる。
6.第6の実施の形態
上述の第5の実施の形態では第1のスイッチ回路に接続される電源は光通信回路13用の電源である第1の電源29であった。しかし、第1の電源29はその目的からして高品質な直流電源であることが多い。その理由は、雑音の侵入を防止し安定な光通信を行うためには、電圧変動防止対策や雑音侵入防止対策等を行った高品質な直流電源を必要とするからである。電源を高品質化するためには、電力損失を伴う高品質化回路を必要とする。前述までの光通信装置は、待機状態中も、少なくとも第1の電源29には電源供給をし、該電源29をアクティブ状態にしておく必要があり、電力損失が生じる。一方、光通信装置が待機状態において受光素子11に供給されるバイアス電源は、通信開始要求光信号に応答(一般に低速動作で雑音に強い)して光通信装置の待機状態を解除できる光電流を受光素子が生じさせ得る電源であれば良いので、それほど高品質なバイアス電源である必要もない。これらからして、光通信装置が待機状態において受光素子11にバイアス電圧を供給するための電源は、光通信回路13用の第1の電源29とは別の第2の電源(簡易な電源)とした方が、消費電力を軽減する意味で好ましいと考えられる。この第6の実施の形態はその例である。この説明を図30を参照して行なう。
この第6の実施の形態の光通信装置は、受光素子11、光通信回路13x、第1の回路15、第2の回路17、第3の回路19、第4の回路21、ローパスフィルタ23および発光素子25を具える。また、第1の回路15を、切り換え回路35と、被制御型電源39と、第1のスイッチ回路156と、第2のスイッチ回路157とを含む回路で構成してある。
受光素子11、第2の回路17、第3の回路19、第4の回路21、ローパスフィルタ23および発光素子25それぞれは、第5の実施の形態と同様な素子および回路で構成してある。また、第1の回路15に備わる第1のスイッチ回路156、第2のスイッチ回路157および切り換え回路35も第5の実施の形態と同様な回路で構成してある。
これに対し光通信回路13xは、第5の実施の形態において説明した構成に加え、電源回路14を内蔵しかつ該電源回路14に外部から電源を供給する端子Vと被制御型電源39に電源を供給する端子Vcc1 とを具えた光通信回路としてある。
この電源端子Vは、第2のスイッチ回路157を介して第1の電源29と接続してある。また、端子VCC1 は図23に示した高電圧発生回路における+電源が接続されていた端子に接続してある。
光通信回路13x内の電源回路14は、電源端子Vに第1の電源29としての商用電源や簡易な直流電源が接続されると、光通信回路13xで必要とする電圧VCCや被制御型電源39で必要な高品質な電源を発生する。
また第1の電源29として、交流電源(商用交流電源も含む)または、このような交流電源と整流回路と負荷電流ゼロにおける電力損失が無視できる平滑回路とで構成した簡易な直流電源、或はバッテリ等を用いている。
また、被制御型電源39は、その出力電圧が光通信回路13xの端子VC からの制御信号により制御される高電圧発生回路で構成してある。しかも、高電圧発生のための直流電圧源として光通信回路13xに内蔵された電源回路14から端子VCC1 を介し出力される電圧を用いる高電圧発生回路としてある。
また、この第6の実施の形態の特徴として、第1のスイッチ回路156のスイッチ端子Gに接続される電源を第2の電源41としてある。なおこの場合は、第2の電源41を第2の回路17の電源としても用いている。
第2の電源41は、簡易な直流電源とする。例えば、交流電源と整流回路(全波整流回路、半波整流回路いずれでも良い)と負荷電流ゼロにおける電力損失が無視できる平滑回路とで構成した電源或はバッテリー等の直流電源により第2の電源41を構成する。このような電源であっても、光通信装置が待機状態において受光素子に必要なバイアス電圧を供給することができるからである。しかも、第1のスイッチ回路156と第2の回路17について考えれば、これらは基本的に特段の高速性を要求されないスイッチ動作(高速動作できないので高周波雑音に強い)のみを行えばよく、しかも、光通信動作中は切り換え回路35により該第1のスイッチ回路156が切り離され雑音特性も問題にならないので、第2の電源41はこのような簡易な電源で済むからである。
なお、第2の電源41の電圧は、受光素子11に適した任意の電圧とすることができる。受光素子11として例えばアバランシェフォトダイオードを用いた場合、第1のスイッチ回路をオンさせる起動時に、一定の受光電流増倍率を期待できる電圧に、該第2の電源41の電圧を合わせておくこともできる。
この第6の実施の形態の光通信装置での、待機状態/通信可能状態相互の切り換え動作等は、第5の実施の形態の装置と基本的に同様であるので、その説明は省略する。
この第6の実施の形態の光通信装置によれば、第5の実施の形態の装置で得られる効果に加えてさらに以下のような効果が得られる。
(1)第2の電源41が簡易な電源であるので、光通信装置を待機状態にしている際の電力消費をさらに減少させることができる。
(2)第2の電源41の電圧を、通信開始要求光信号を受信する時の受光素子の動作に最適なバイアス電圧に合わせることができる。そのため、通信開始要求光信号を受信する時の受信応答特性が改善できる。特に、受光素子としてアバランシェフォトダイオードを用いる場合に有効である。
(3)また受光素子のバイアス電圧値に注意を要しない場合は、前記第2の電源は、前記第1または第2のスイッチ回路156、157の駆動、或いは、第2の回路17の駆動を最適化する電圧値に設定できる。
(4)第1の電源29を商用交流電源または簡易な直流電源とし、かつ、光通信回路自体が電源回路を内蔵する構成としたので、根源的な部位で電源のon/offができる。したがって待機時の電力ロスをさらに減少させることができる。
なお、上述した第6の実施の形態の説明では第2の電源41から第2の回路へも給電する例を説明したが、第1の電源29が交流電源でなく直流電源である場合は、第2の回路17への給電を第1の電源29から行なっても良い。
また、上述の説明では第2の電源41が第1の電源29とは別の電源である例を説明した。しかし、第1の電源29が簡易な直流電源である場合で、第1の電源と該第2の電源とが同電圧である場合は、第1の電源を第2の電源として用いても良く、それもこの発明の範囲とみなす。
また上述の説明では第1の電源29を商用交流電源または簡易な直流電源とし、光通信回路を電源回路14を内蔵する回路13xとする例を述べた。しかし、第1の電源29を第1〜第5の実施例のような高品質電源とし、光通信回路は電源回路を内蔵しない型の通信回路13とする場合があっても良い。その場合でも第2の電源41を用いることによる効果は得られるからである。
7.第7の実施の形態
上述した第6の実施の形態では第1の回路15に接続する電源を第2の電源41とする例を説明した。これにより待機時の節電効果がより高まることも説明した。しかし、切り換え回路35を例えばダイオードを用いた切り換え回路35(図28参照)とした場合でかつ第2の電源41の出力電圧を高く設定した場合において、通信時にもし被制御型電源(高電圧発生回路)39の出力電圧が第2の電源41の出力電圧より低い電圧となると、切り換え回路35の切り換えが誤動作となってしまう。この第7の実施の形態はその対策例である。
図31はこの第7の実施の形態の光通信装置の構成を示した図である。この第7の実施の形態の光通信装置では、第2の電源41と第1の回路15(詳細には第1のスイッチ回路156)との間に、電圧降下回路51を設ける。それ以外は第6の実施の形態の光通信装置と同じとしてある。
この電圧降下回路51は、光通信回路13xがオフ状態の場合は第2の電源41の電圧を第1のスイッチ回路156に供給し、光通信回路13xがオン状態の場合は、被制御型電源39が出力する電圧のうちの最低電圧より低くかつ第1のスイッチ回路156の動作は確保できる最小電圧以上の所定電圧を第1のスイッチ回路156に供給する回路である。
この電圧降下回路51によれば、光通信装置が通信状態になると第2の電源41の電圧は常に被制御型電源39から出力される電圧より低い電圧に制御される。そのため、ダイオードで構成される切り換え回路35のうちの被制御型電源39にアノードが接続されているダイオードが、通信状態では常に導通ダイオードになる。したがって、切り換え回路35は正規の切り換え動作をする。
電圧降下回路51は、上記機能を達成できるなら任意好適な回路で構成することができる。図31の光通信装置中にその具体的な回路例を示した。
この電圧降下回路51は、NPNトランジスタQ1,Q2と、抵抗R1〜R3とツェナーダイオードDzとで構成してある。詳細には、トランジスタQ1のコレクタを第2の電源41の出力(電圧降下回路51の入力端子Iでもある)に、エミッタを第1のスイッチ回路156のスイッチ端子G(電圧降下回路51の出力端子Oでもある)に、ベースをツェナーダイオードDzのカソードにそれぞれ接続してある。抵抗R1をトランジスタQ1のベースとコレクタとの間に接続してある。トランジスタQ2のコレクタをツェナーダイオードDzのアノードに、エミッタを光通信装置のグランドに、ベースを抵抗R2を介し光通信回路13xのVcc1 端子にそれぞれ接続してある。抵抗R3をトランジスタQ2のベースとエミッタとの間に接続してある。
ここで、光通信回路13xのVCC1 端子とは先に説明した通り被制御型電源39へ電源(ここでは直流+電圧としている)を出力する端子である。このVCC1 端子の出力は、光通信回路が待機状態すなわちオフ状態の場合はOボルトとなり、オン状態の場合は被制御型電源39に供給する直流電圧になる。また電圧降下回路51における光通信回路13xの端子VCC1 と接続されている端子を制御端子Cとする。
この図31に示した電圧降下回路51では、制御端子Cからの制御入力電圧がゼロの時、該電圧降下回路のトランジスタQ2がオフ状態となり、該電圧降下回路のトランジスタQ1は、ツェナーダイオードDzが切り離されベースとコレクター間に抵抗R1が接続された状態で導通状態になり、入力端子Iからの入力電圧が、ほぼそのまま出力端子Oより出力される。一方、制御端子Cからの制御入力電圧が”H”電圧の時は、電圧降下回路のトランジスタQ2はオン状態となり、該電圧降下回路のトランジスタQ1のベースの電位は前記ツェナーダイオードDzによりツェナー電圧にクランプされるので、前記出力端子Oよりの出力電圧はほぼこのクランプ電圧となる。このクランプ電圧を適性化しておくことで、切り換え回路35の誤動作を防止することができる。
上述の説明では、ダイオードで構成した切り換え回路との間で電圧降下回路51の効果を説明したが、MOSトランジスタで構成する切り換え回路(図29参照)を用いた場合も、電圧降下回路51は有効である。
また上述の説明では電圧降下回路51の制御端子Cへの制御信号としてVCC1 端子からの出力すなわち被制御型電源39への直流電圧を用いていた。しかし制御端子Cへの制御信号は、光通信回路13xへの給電の有無と同期した信号、すなわち光通信回路13xが待機状態/通信状態に切り換わるタイミングと同期した信号あればよく、該光通信回路13xのVCC1 端子出力に限定されない。
また、図31に示した電圧降下回路51は、そのトランジスタQ1をダーリントン接続に変更するとか、或いは、MOSトランジスタを用いた構成とする等の任意好適な変更が可能である。
この第7の実施の形態の光通信装置での、待機状態/通信可能状態相互の切り換え動作等は、第5,第6の実施の形態の装置と基本的に同様であるので、その説明は省略する。
この第7の実施の形態の光通信装置によれば、第6の実施の形態の装置で得られる効果に加えて、第1の端子1および第2の端子2それぞれの入力電圧の大小により切り換え動作をする切り換え装置35(例えば図28,図29)の誤動作を防止できるという効果が得られる。
8.光通信システムの実施の形態
上述した各実施の形態の光通信装置を用いて光通信システムを構築すると節電効果が高い光通信システムが実現できる。
具体的には、2以上の光通信装置を光ファイバ等の光信号伝送手段で接続して構成される光通信システムにおいて、少なくとも1つの光通信装置を上述の各実施の形態の光通信装置で構成する。こうすると、待機時の節電効果が従来より高い光通信システムを構築することができる。
このような光通信システムのより具体的な例としては、この発明の光通信装置であって電話機交換システムの様に、該光通信装置を端末装置として用いシステム中に接続交換機能を含むシステム、この発明の光通信装置であってパーソナルコンピュータ等が接続された光通信装置を介して、制御とデータの送受とを行なうシステム、この発明の光通信装置であって環境測定装置(気象観測手段も含む)が接続された光通信装置をシステム中に含む光通信システム等、を挙げることができる。例えば、離島や山中など給電体制が完備されにくい場所に環境測定等の目的で本発明の光通信装置を設置すると、節電効果が高い光通信システムが実現される。
なお、この出願の光通信装置を含む無人の装置に対して通信を行なう際の1つの方法として例えば次の様な方法をとることもできる。
親局は無人の装置に対し先ず通信開始要求光信号を送り、該無人の装置を起動する。その後にこの無人の装置に送る光信号中に制御信号を含める。無人の装置が前記制御信号を光信号中から抽出する。この抽出された制御信号により、該無人の装置を電源のオン/オフを含めて制御できる。さらに無人の装置の状態などの必要情報を該無人の装置側の光通信装置を通じて親局に送信させ、該送信情報に基づいて該無人の装置を制御するようにすれば、無人の装置を必要な時だけ電源をオンさせて作動させる間欠的な動作ができ、しかも、待機時のエネルギー損失の無い、かつ、高度な遠隔操作が可能な装置が実現する。
なおデータと制御情報等とを合成して信号を構成する方法、及び、その受信再生方法、それらを実現する回路等に関しては、コードルールバイオレーション法やフレーム信号法等、多くの公知の方法がある。
また、現在の電話回線を用いたパソコン通信において、自動受信を可能にしようとすると、該パソコン(モデム等を含む)の電源を常時オンとしておく必要がある。しかし本発明の光通信装置を含むパソコンを用いパソコン通信を行なう場合は、待機時における該パソコンの電源オフと、自動受信との両立が可能になる。
9.その他の実施の形態
上述においてはこの発明のいくつかの実施の形態について説明したが、この発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく多くの変形または変更を加えることができる。
例えば、第3〜第7の実施の形態それぞれでは、第1のスイッチ回路に通信終了信号SE またはそれに関連する信号SE1が入力されるまで第1のスイッチ回路は第2のスイッチ回路にこれをオン状態にするスイッチング信号を出力し続ける例を説明した。しかし、第1のスイッチ回路は第2のスイッチ回路に対し第2のスイッチ回路をオン状態にするトリガとしてのスイッチング信号を出力し、一方、第2のスイッチ回路側にスイッチング信号を保持する回路を設け、しかも、通信終了信号SE またはそれに関連する信号SE1を第2のスイッチ回路に入力し、これら信号SE またはSE1が入力されると、第2のスイッチ回路がオフ状態になる構成としても良い。このような構成の概念図を図36に示した。この場合、第2のスイッチ回路を例えばサイリスタを含む回路でかつリセット入力端子Rを有した回路で構成する。
また、第3〜第7の実施の形態の構成に、第2の実施の形態で説明した電流折り返し回路を用いる考えを組み合わせても、もちろん良い。
また、第4、第5の各実施の形態では第1の電源として+電源を用いる例を説明した。しかし、第1の実施の形態において図9を用いて説明した第1の電源として−電源を用いる考えを、第4、第5の各実施の形態に適用してももちろん良い。
また光通信回路を複数の電源を用いて構成している場合、或は、該光通信回路と同時に電源をオン/オフしたい他の周辺装置がある場合の、これら電源のオン/オフは、例えば、次の様に対処することができる。(1):第2のスイッチ回路として入出力間が直流的に分離されている回路(回路例:図19(A)、(B)、(D)、(E)など)を用い、この第2のスイッチ回路を必要数設け、これにより上記の複数の電源または周辺装置の電源をオン/オフする。(2):第2のスイッチ回路の出力端子対(Oa,Ob)を必要数設け、これらに上記の複数の電源または周辺装置を接続する。(3):第2のスイッチでオン/オフされる第3のスイッチ(第2のスイッチ同様に構成できる)を必要数設け、これらに上記の複数の電源または周辺装置を接続する。
前記複数用いる第2のスイッチ回路として、入出力間が直流的に分離されており、かつ、入力側が低抵抗で定電流駆動が必要な回路(回路例:図19(D))を用いる場合は、該複数の入力部(端子I,G対)を直列接続すると、第1のスイッチ回路の必要出力電流が少なくて済み、第1のスイッチ回路の大型化と大電力消費化とを防止することができる。
また、光信号中に含め伝送されるコマンド情報を本発明の光通信回路13中の制御部13c(図2、図22参照)が抽出し、このコマンド情報を用いて光通信回路の周辺装置の電源制御を含む各種制御を行なうことも可能である。装置の状態を示す数値やテストデータ等の各種情報を合成して送信データを構成する方法、また、その受信データを再生する方法に関しては、第8の実施の形態にて説明した様に、コードルールバイオレーション法やフレーム信号法等、多くの公知のの方法がある。