JP4085301B2 - 情報処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラム - Google Patents
情報処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関し、特に、フラクタル符号化処理により符号化された画像を、高画質で復号できるようにし、処理に必要な計算量を抑制できるようにした情報処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
画像を圧縮する技術が一般に普及しつつある。画像を圧縮する技術として、画像の持つ特定部分との自己相似性(部分的自己相似性)という冗長度を取り除くことによって、画像圧縮を行うフラクタル符号化が提案されている。部分的自己相似性とは、画像の一部分の画像パターンに注目するとき、同じ画像内に良く似た画像パターンが異なったスケールで存在する性質をいう。フラクタル符号化は、符号化対象画像をm×nのレンジブロックに分割して、各レンジブロックに対して変換を求める。この変換は、それぞれ適当に決められるドメインブロックの画素値を取り出し、縮小、回転等の簡単な線形変換を画素値に施したもので、レンジブロック内の画素を置き換える処理である。すなわち、フラクタル符号化は、レンジブロックの画像パターンを正確に近似する変換を決定する符号化手法である。
【0003】
より具体的には、例えば、1フレームの画像を8×8画素のレンジブロックに分割し、また、16×16画素のドメインブロックが設定されるとき、変換要素としては、4種類のもの(縮小変換、回転変換、鏡像変換、輝度変換)が設定され、また、これらの組合せの変換を含めて、合計8種類の変換が使用される。縮小変換は、4画素の値の平均をとって、水平、垂直の長さをそれぞれ1/2 に縮小するものである。回転変換は、0°、90°、180°、270°の反時計方向の回転である。鏡像変換は、左右を入れ替える処理である。輝度変換は、平均値分離後ゲインを乗じ、振幅方向に縮小する処理である。
【0004】
ドメインブロックに対する上述の変換を行った後、レンジブロックとの相似性をブロックマッチングによって見いだし、ドメインブロックの位置情報である、ベクトルおよび上式のパラメータ(すなわち、サーチ範囲内の位置、回転の角度、左右反転したかどうか)の伝送を行うことによって、情報量の圧縮がなされる。
【0005】
復号側では、初期画像からドメインブロックを切り出し、受信されたパラメータを用いて変換を行った結果をレンジブロックとして初期画像に張りつけ、それによって画像の更新を行う。この操作を繰り返し行うことで、除々に解像度のある復元画像を生成する。
【0006】
このフラクタル符号化処理により入力画像データを符号化し、さらに、フラクタル復号処理により符号化された入力画像データから復号画像データを生成するとき、その復号画像データの画質を向上させるために、図1で示すような画像転送システムが考えられている。すなわち、フラクタル符号化部1は、入力された元画像データをフラクタル符号化処理により符号化して符号化画像データを生成し、フラクタル復号部2、および、伝送フォーマット符号化部5に出力する。
【0007】
フラクタル復号部2は、入力された符号化画像データを復号して、復号画像データを生成し加算器3に出力する。加算器3は、元画像データから復号画像データを減算し、残差成分を求め、量子化部4に出力する。量子化部4は、残差成分を量子化し、伝送フォーマット符号化部5に出力する。伝送フォーマット符号化部5は、符号化画像データと量子化された残差成分を伝送フォーマット形式の伝送データに変換して出力する。
【0008】
一方復号側では、伝送パラメータ分離部6が、伝送されてきた伝送データを受信し、符号化画像データと量子化された残差成分を分離し、符号化画像データをフラクタル復号部7に、量子化された残差成分を逆量子化部8に出力する。フラクタル復号部7は、入力された符号化画像データを復号して、残差成分を含まない仮の復号画像データを生成し、加算器9に出力する。逆量子化部8は、入力された量子化された残差成分を逆量子化し、残差成分を求め、加算器9に出力する。加算器9は、フラクタル復号部7より入力された仮の復号画像データと、逆量子化部8より入力された残差成分を加算し、復号画像データを生成して出力する。
【0009】
以上の処理により、予め復号時に生じる誤差である残差成分が符号化画像データとは別に量子化されて伝送され、復号されるので単にフラクタル符号化、および、フラクタル復号処理を用いた処理よりも画質の高い復号画像データを生成することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フラクタル符号化による圧縮処理は、幾何変化やブロックの比較などを繰り返すことにより推測できるようにする処理であるため、上述のような構成では、元画像データを伝送データに変換する際、元画像データをフラクタル符号化部1により符号化処理した後、フラクタル復号部2により復号処理される構成であることにより、その演算量と共に、処理時間が膨大なものとなってしまうと言う課題があった。
【0011】
また、フラクタル符号化では、ブロックマッチングの正否が画質を大きく左右するため、例えば、細かい模様からなる画像などでは、比較するブロック間のマッチングが失敗することにより、復号される画像の画質が、大きく劣化してしまうという課題があった。
【0012】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、画像データのフラクタル符号化による圧縮処理により符号化された画像をより高画質で高速に復号できるようにするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の情報処理装置は、入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換する変換手段と、予測画像データをフラクタル符号化する符号化手段と、符号化手段により符号化された予測画像データを符号化データとして出力する出力手段とを備え、係数は、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと係数との線形1次結合により算出され、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数であることを特徴とする。
【0015】
前記係数は、学習用画像データと、学習用画像データを符号化した後、更に復号することにより生成される復号画像データに基づいて、入力画像データに対応する学習用画像データを圧縮符号化処理することにより生成される特徴量毎に学習された、特徴量毎の複数の係数とするようにすることができる。
【0016】
前記特徴量は、学習用画像データのアクティビティとするようにすることができる。
【0017】
前記符号化手段には、予測画像データに対してフラクタル符号化処理を行うことで符号化させるようにすることができる。
【0018】
本発明の第1の情報処理方法は、入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換する変換ステップと、予測画像データをフラクタル符号化する符号化ステップと、符号化ステップの処理で符号化された予測画像データを符号化データとして出力する出力ステップとを含み、係数は、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと係数との線形1次結合により算出され、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数であることを特徴とする。
【0019】
本発明の第1の記録媒体のプログラムは、入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データへの変換を制御する変換制御ステップと、予測画像データのフラクタル符号化を制御する符号化制御ステップと、符号化制御ステップの処理で符号化された予測画像データの符号化データとしての出力を制御する出力制御ステップとを含み、係数は、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと係数との線形1次結合により算出され、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数であることを特徴とする。
【0020】
本発明の第1のプログラムは、入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データへの変換を制御する変換制御ステップと、予測画像データのフラクタル符号化を制御する符号化制御ステップと、符号化制御ステップの処理で符号化された予測画像データの符号化データとしての出力を制御する出力制御ステップとを含む処理をコンピュータに実行させ、係数は、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと係数との線形1次結合により算出され、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数であることを特徴とする。
【0021】
本発明の第2の情報処理装置は、入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換する変換手段と、入力画像データと予測画像データとの差分データを演算する差分演算手段と、差分演算手段により演算された差分データと、予測画像データとから入力画像データの符号化データを出力する出力手段とを備え、係数は、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと係数との線形1次結合により算出され、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数であることを特徴とする。
【0022】
前記差分データを量子化する量子化手段をさらに設けるようにさせることができ、出力手段には、量子化手段により量子化された差分データと、予測画像データとを入力データの符号化データとして出力させるようにすることができる。
前記予測画像データを符号化する符号化手段をさらに設けるようにさせることができ、出力手段には、量子化手段により量子化された差分データと、符号化された予測画像データとを入力データの符号化データとして出力させるようにすることができる。
【0024】
前記係数は、学習用画像データと、入力画像データを符号化した後、復号することにより生成される復号画像データに基づいて、学習用画像データに対応する入力画像データを圧縮符号化処理することにより生成される特徴量毎に学習された、特徴量毎の複数の係数とするようにすることができる。
【0025】
前記特徴量は、入力画像データのアクティビティとするようにすることができる。
【0026】
生成手段には、入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化処理により符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データを生成させるようにすることができる。
【0027】
本発明の第2の情報処理方法は、入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換する変換ステップと、入力画像データと予測画像データとの差分データを演算する差分演算ステップと、差分演算ステップの処理で演算された差分データと、予測画像データとから入力画像データの符号化データを出力する出力ステップとを含み、係数は、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと係数との線形1次結合により算出され、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数であることを特徴とする。
【0028】
本発明の第2の記録媒体のプログラムは、入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データへの変換を制御する変換制御ステップと、入力画像データと予測画像データとの差分データの演算を制御する差分演算制御ステップと、差分演算制御ステップの処理で演算された差分データと、予測画像データとからの入力画像データの符号化データの出力を制御する出力制御ステップとを含み、係数は、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと係数との線形1次結合により算出され、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数であることを特徴とする。
【0029】
本発明の第2のプログラムは、入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データへの変換を制御する変換制御ステップと、入力画像データと予測画像データとの差分データの演算を制御する差分演算制御ステップと、差分演算制御ステップの処理で演算された差分データと、予測画像データとからの入力画像データの符号化データの出力を制御する出力制御ステップとを含む処理をコンピュータに実行させ、係数は、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと係数との線形1次結合により算出され、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数であることを特徴とする。
【0030】
本発明の第3の情報処理装置は、学習用画像データをフラクタル符号化する符号化手段と、符号化手段によりフラクタル符号化された学習用画像データを復号画像データに復号する復号手段と、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データとの線形1次結合により、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により係数を生成する係数生成手段とを備えることを特徴とする。
【0031】
前記符号化手段には、予測画像データに対してフラクタル符号化処理を行うことで符号化させるようにすることができ、前記復号手段には、予測画像データに対してフラクタル復号処理を行うことにより、符号化手段により符号化された学習用画像データを復号画像データに復号させるようにすることができる。
【0032】
本発明の第3の情報処理方法は、学習用画像データをフラクタル符号化する符号化ステップと、符号化ステップの処理でフラクタル符号化された学習用画像データを復号画像データに復号する復号ステップと、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データとの線形1次結合により、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により係数を生成する係数生成ステップとを含むことを特徴とする。
【0033】
本発明の第3の記録媒体のプログラムは、学習用画像データのフラクタル符号化を制御する符号化制御ステップと、符号化制御ステップの処理でフラクタル符号化された学習用画像データの復号画像データへの復号を制御する復号制御ステップと、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データとの線形1次結合により、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により係数の生成を制御する係数生成制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0034】
本発明の第3のプログラムは、学習用画像データのフラクタル符号化を制御する符号化制御ステップと、符号化制御ステップの処理でフラクタル符号化された学習用画像データの復号画像データへの復号を制御する復号制御ステップと、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データとの線形1次結合により、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により係数の生成を制御する係数生成制御ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0035】
本発明の第1の情報処理装置および方法、並びにプログラムにおいては、入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換され、予測画像データがフラクタル符号化され、符号化された予測画像データが符号化データとして出力され、係数は、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと係数との線形1次結合により算出され、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数である。
【0036】
本発明の第2の情報処理装置および方法、並びにプログラムにおいては、入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換され、入力画像データと予測画像データとの差分データが演算され、演算された差分データと、予測画像データとから入力画像データの符号化データが出力され、係数は、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと係数との線形1次結合により算出され、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数である。
【0037】
本発明の第3の情報処理装置および方法、並びにプログラムにおいては、学習用画像データがフラクタル符号化され、フラクタル符号化された学習用画像データが復号画像データに復号され、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データとの線形1次結合により、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により係数が生成される。
【0038】
【発明の実施の形態】
図2は、本発明に係る画像転送システム11の一実施の形態の構成を示す図である。
【0039】
画像転送システム11は、入力された元画像データを伝送データに符号化する符号化部21と、符号化部21により符号化された元画像データの伝送データを復号して、復号画像データを生成する復号部22から構成される。
【0040】
画像転送システム11の分離フィルタ31は、後述する学習処理により生成されるフィルタであり、入力された元画像データをROM(Read Only Memory)などの記憶装置に記憶された係数を用いて演算し、予測画像データに変換して、簡易フラクタル符号化部32、加算器33、および、量子化部34に出力する。より詳細には、分離フィルタ31は、入力された元画像が簡易フラクタル符号化部32により符号化された後、さらに引き続いて、後述する復号部22のフラクタル復号部42により復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換し、簡易フラクタル符号化部32、加算器33、および、量子化部34に出力する。
【0041】
簡易フラクタル符号化部32は、分離フィルタ31により演算処理された元画像データをフラクタル符号化により符号化し(圧縮し)、符号化画像データを伝送フォーマット符号化部35に出力する。
【0042】
加算器33は、入力された元画像データの各画素値から、分離フィルタ31によりフィルタ処理されて、生成された予測画像データの画素値を減算し、その差分を残差成分として求め、量子化部34に出力する。
【0043】
量子化部34は、加算器33より入力された残差成分を分離フィルタ31によりフィルタ処理された予測画像データを量子化し、伝送フォーマット部35に出力する。量子化方法は、通常の量子化や、ADRCを用いた圧縮方法を使用しても良い。
【0044】
伝送フォーマット部35は、簡易フラクタル符号化部32により符号化された符号化画像データと、量子化部34により量子化された残差成分とを所定の伝送フォーマットにして、伝送データとして出力する。
【0045】
復号部22の伝送パラメータ分離部41は、入力された伝送データを符号化画像データと、量子化された残差成分に分離し、符号化画像データをフラクタル符号化部42に出力し、量子化された残差成分を逆量子化部43に出力する。
【0046】
フラクタル復号部42は、伝送パラメータ分離部41より入力された符号化側でのフラクタル符号化処理により生成した予測画像データが符号化された符号化画像データを復号し、加算器44に出力すると共に、復号した予測画像データのブロック毎のダイナミックレンジの情報を逆量子化部43に出力する。
【0047】
逆量子化部43は、伝送パラメータ分離部41より入力された量子化されている残差成分を逆量子化し、残差成分を生成して加算器44に出力する。逆量子化は、通常の逆量子化処理でもよいし、ADRCを用いた逆量子化処理でもよい。加算器44は、フラクタル復号部42より入力された予測画像データと残差成分を加算することにより、元画像データに対応する復号画像データを生成し、クリッピング処理部45に出力する。
【0048】
クリッピング処理部45は、復号画像データの各画素の画素値が、定義されている範囲内であるか否かを確認し、その画素値が定義された範囲の下限値未満の場合、画素値を下限値に補正し、画素値が定義された範囲の上限値を超えている場合、画素値を上限値に補正することにより画素値をクリッピング処理し、復号画像データを補正して出力する。
【0049】
次に、図3を参照して、簡易フラクタル符号化部32の構成について説明する。
【0050】
元画像データがレンジブロック化回部61、および、サーチエリア切り出し部65に供給される。レンジブロック化部61は、元画像データを2次元の(m×n)、例えば8×8画素の大きさのレンジブロックに分割し、レンジブロック毎にADRCエンコーダ62に供給する。ADRCエンコーダ62は、入力されたレンジブロックをADRC符号化処理によりADRCエンコードして、ブロックレンジ毎のダイナミックレンジと最小値MINを伝送フォーマット符号化部35に、エンコード結果を比較部63に出力する。ADRC符号化処理とは、ブロック毎に画素値の最大値MAX、最小値MINを検出し、最大値MAXおよび最小値MINの差である、ダイナミックレンジDRを求め、ダイナミックレンジDRとビット数から決定される量子化ステップ幅によって、最小値MINを減じた修正入力画素値を元の量子化ビット数(8ビット)より少ない固定のビット数(例えば4ビット)で再度量子化するものである。符号化の結果である、ダイナミックレンジDR、最小値MINが伝送フォーマット符号化部35に送られ、各画素の量子化データQrが差分の2乗和を計算する比較部7に送られる。ダイナミックレンジに関する情報は、ダイナミックレンジDR、最大値MAX、最小値MINのうちの二つを伝送すれば良い。
【0051】
一方、サーチエリア切り出し部65は、上記レンジブロックに対応したサーチ範囲(計算時間を抑えるために、例えば水平、垂直ともに−7乃至+8画素程度)の中から、2次元の(M×N)、例えば16×16画素程度の大きさのドメインブロックを切り出し、ドメインブロック化部66に出力する。ドメインブロック化部66は、切り出したドメインブロックをADRCエンコーダ67により、ADRCエンコーダ62と同様のADRC符号化処理を行ない1/4縮小部68に出力すると共に、変換パラメータを比較部63および最小値判定部64に出力する。
【0052】
1/4縮小部68は、ADRCエンコーダ67からのドメインブロックの符号化出力の中の量子化データQdに対して、縮小変換(縦横それぞれ1/2)処理を実行して、回転鏡像処理部69に出力する。回転鏡像処理部69は、縮小変換された量子化データQdに回転(0°、90°、180°、270°)、鏡像(左右反転)などの操作を行い、比較部63に出力する。
【0053】
1/4縮小部68、および、回転鏡像処理部69においてなされる処理は、座標変換処理である。なお、1/4縮小部68、および、回転鏡像処理部69における変換パラメータは、比較部63、および、最小値判定部64に供給され、記憶される。
【0054】
評価部63は、レンジブロックとドメインブロックの画素単位の差分(Qr-Qd')を計算し、この差分の2乗値のブロック内での総和が計算され、計算された差分の2乗値の総和を評価値テーブルとして格納(記憶)する。なお、評価値としては、差分の絶対値和等を用いることができる。
【0055】
評価部63は、1/4縮小部68、および、回転鏡像処理部69において、パラメータが変更されて変換処理が連続して実行されるとき、上述の差分の2乗値の総和を求め、これを評価値テーブルとして格納(記憶)する。評価部63は、この動作を全てのパラメータに対して行ない、サーチ範囲内で1つのドメインブロックの位置に対する計算を終了する。一例として、下記に挙げる8種類のパラメータが使用される。
【0056】
第1のパラメータは、1/2の縮小処理によるものとし、第2のパラメータは、1/2の縮小および左右反転処理によるものとし、第3のパラメータは、1/2の縮小および90°回転処理によるものとし、第4のパラメータは、1/2の縮小および180°回転処理によるものとし、第5のパラメータは、1/2の縮小および270°回転処理によるものとし、第6のパラメータは、1/2の縮小、90°回転および左右反転処理によるものとし、第7のパラメータは、1/2の縮小、180°回転および左右反転によるものとし、第8のパラメータは、1/2の縮小、270°回転および左右反転によるものとするといったものである。
【0057】
サーチエリア切り出し部65乃至回転鏡像処理部69は、サーチ範囲内でドメインブロックの切り出しを、例えば1画素分ずらして行ない、評価部63は、上記と同様な評価値の演算を全ての変換パラメータに対して行ない、サーチ範囲内で1画素ずつ動かした位置のドメインブロックを切り出し、全ての演算を実行する。
【0058】
評価部63が、全ての演算を実行すると、最小値判定部64は、評価部63に評価値テーブルとして格納されている評価値の中から最小値を検出し、ドメインブロックの位置、変換パラメータ(回転角度、左右反転の有無)を決定して、伝送フォーマット符号化部35に出力する。このようにして、ブロックマッチング法によりレンジブロックと相似な画像が探し出される。伝送フォーマット符号化部35は、ADRCエンコーダ62より供給されたレンジブロックのダイナミックレンジDR、最小値MINとともに、最小値判定部64より入力された評価値が最小値となる量子化データ、および、変換パラメータの情報を伝送用のフォーマットに変換して伝送データを生成する。
【0059】
簡易フラクタル符号化部32は、以上の一連の符号化動作を各レンジブロックについて実行し、画像フレーム全体にわたって符号化動作を行う。伝送されるデータは、各4ビットの位置情報x、yと、変換パラメータの3ビット(回転に関する2ビットと反転に関する1ビット)と、ダイナミックレンジDRの8ビットと、最小値MINの8ビットである。従って、1画素が8ビットのデータの場合では、8×8×8=512ビットの原データが27ビットに圧縮されることになる。
【0060】
制御部70は、いわゆるマイクロコンピュータなどから構成され、簡易フラクタル符号化部32の全体の動作を制御しており、各種の処理に必要なカウンタを備える(図中、結線は省略されている)。
【0061】
次に、図4を参照して、フラクタル復号部42の構成について説明する。
【0062】
ドメインブロック切り出し部81は、伝送パラメータ分離部より供給されるドメインブロックの切り出し情報(位置情報x、y)をもとにドメインブロック(16×16画素)を切り出して、ADRCエンコーダ82に供給する。ADRCエンコーダ82は、ドメインブロックのデータにADRC符号化処理を施し、量子化データを1/4縮小部83に出力する。1/4縮小部83は、ADRCエンコーダ82より入力された量子化データを水平方向、および、垂直方向にそれぞれ1/2だけ縮小処理し、回転鏡像処理部84に出力する。回転鏡像処理部84は、伝送パラメータ分離部41より供給される変換パラメータにより、回転、鏡像処理などの線形変換を1/4縮小部83より供給されたドメインブロックの量子化データに対して施し、ADRCデコーダ85に供給する。ADRCでコーダ85は、伝送パラメータ分離部41からのダイナミックレンジDR、最小値MINに基づいて、回転鏡像処理部84からの変換後の量子化データに復号処理を施し、もとの画素情報に復元しメモリ86に復号結果FM0として書き込む。
【0063】
フラクタル復号部42は、同様にして、次のレンジブロックに対応する符号化データの復号動作を実行し、1フレーム全体にわたって復号が終了した時点で、再度復号動作を行なうよう、反復動作を実行する。この反復動作を収束させるための判定は、前回の復号結果をメモリ86に例えば復号結果FM1として格納しておき、復号結果FM0との画素単位の差分の2乗和を演算部87により計算し、これをある閾値TH0と比較することで実現する。すなわち、フレーム間差分の2乗和が閾値TH0より大であるときは、未だ収束してないものとみなし、復号動作を繰り返す。従って、メモリ86には、何らかの初期値が記憶されている必要がある。
【0064】
反復動作が続行されるとき、演算部87は、メモリ86に記憶されている復号結果FM0のデータを復号結果FM1にコピーする。フレーム間差分の2乗和が閾値TH0以下である場合、演算部87は、演算が収束したものとみなし、反復動作を終了し、演算結果FM0のデータを復号画像として外部に出力する。
【0065】
制御部88は、いわゆるマイクロコンピュータなどから構成され、フラクタル復号部42の全体の動作を制御しており、各種の処理に必要なカウンタを備える(図中、結線は省略されている)。
【0066】
次に、分離フィルタ31について説明する。
【0067】
分離フィルタ31は、上述のように入力された元画像が簡易フラクタル符号化部32により符号化された後、さらに引き続いて、復号部22のフラクタル復号部42により復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換するものである。
【0068】
この分離フィルタ31は、符号化時の計算量を減少させるために用いられている。すなわち、あるブロックサイズのフラクタル符号化では復号画像がある程度の画質までしか復号できないという点に着目した解析により、復号画像と同程度の画像を符号化し、さらに復号しても画質は変わらないことが経験的に知られている。これは、フラクタル符号化、および、フラクタル復号により元画像データの高周波成分が除去されるので、ブロックマッチングの失敗率が減少することにより、結果として、近似のブロックの探索を粗く行っても復号画像データと元画像データのS/Nが減少しないことが起因している。
【0069】
そこで、この分離フィルタ31は、元画像データをフラクタル符号化処理、および、フラクタル復号処理により復号されることが予測される予測画像データに変換する。
【0070】
この分離フィルタ31は、複数の元画像データをフラクタル符号化して、さらに、フラクタル復号することにより得られる復号画像データと元画像データとの間の学習処理に基づいて形成されている。
【0071】
図5は、その学習処理を行うフィルタ生成部101(分離フィルタで使用される係数を生成する学習装置)の構成を示している。
【0072】
フラクタル符号化部111とフラクタル復号部112は、簡易フラクタル符号化部32とフラクタル復号部42と基本的な構成は同様であるので、その説明は省略する。フラクタル符号化部111は、供給された元画像データをフラクタル符号化して、フラクタル復号部112に出力する。さらに、フラクタル復号部112は、フラクタル符号化された元画像データを復号し、復号画像データを学習部113に供給する。
【0073】
学習部113は、供給された元画像データを高能率圧縮符号化、例えばADRC符号化処理により、各画素のクラスコードを生成する。学習部113は、元画像データ、復号画像データ、およびクラスコードを利用して、最小自乗法等を用いてクラス毎に最適な予測係数を算出し、算出した予測係数から、分離フィルタ31を形成する。
【0074】
ここで、図6のフローチャートを参照して、学習処理について説明する。
【0075】
ステップS1において、フラクタル符号化部111が、入力された元画像データをフラクタル符号化し、さらに、フラクタル符号化された元画像データをフラクタル復号部112が、復号することにより復号画像データを生成して、学習部113に供給する。
【0076】
ステップS2において、学習部113は、元画像データと復号画像データに対応した学習データを形成し、例えば、元画像データの画素に対応した復号画像データの画素を中心として図7に示す(3×3)ブロックの配列を学習データとして使用する。
【0077】
ステップS3において、学習部114は、元画像データの1フレーム分の元画像データの入力が終了しているか否かを判定し、入力された元画像データの例えば1フレームのデータの処理が終了していないと判定した場合、その処理は、ステップS4に進む。
【0078】
ステップ4において、学習部113は、入力された学習データのクラス分割処理を実行する。これは上述のように、ADRC処理等によって、情報量が圧縮された元画像データの画素のデータが用いられる。ステップS5において、学習部113は、後述する式(6)および(7)の正規方程式を作成し、その処理は、ステップS1に戻る。すなわち、クラス分割処理と、その処理に伴う正規方程式が生成される処理が繰り返される。
【0079】
ステップ3において、元画像データの1フレーム分の処理が終了したと判定された場合、その処理は、ステップS6に進む。ステップ6において、学習部113は、後述する式(8)を行列解法を用いて解いて、予測係数を決定し、ステップ7において、予測係数を分離フィルタ31に記憶し、学習処理を終了する。
【0080】
図6中のステップ5の処理(正規方程式を生成する処理)およびステップ6の処理(予測係数を決定する処理)をより詳細に説明する。注目画素の真値をyとし、その推定値をy´とし、その周囲の画素の値をx1乃至xn としたとき、クラス毎に予測係数w1乃至wnによるnタップの線形1次結合を以下の式(1)のように設定する。
【0081】
y´=w1・x1 +w2・x2 +‥‥+wn・xn (1)
式(1)において、学習前は予測係数wiが未定係数である。
【0082】
上述のように、学習はクラス毎になされ、データ数がmの場合、式(1)に従って、
yj´=w1・xj1+w2・xj2+‥‥+wn・xjn (2)
(但し、j=1,2,‥‥m)
m>nの場合、w1乃至wnは一意には決まらないので、誤差ベクトルEの要素を
ej=yj−(w1・xj1+w2・xj2+‥‥+wn・xjn) (3)
(但し、j=1,2,‥‥m)
とそれぞれ定義して、次の式(4)を最小にする予測係数を求める。
【0083】
【数1】
【0084】
いわゆる最小自乗法による解法である。ここで式(4)の予測係数wiによる偏微分係数を求める。
【0085】
【数2】
【0086】
式(5)を0にするように各予測係数wiを決めればよいから、
【数3】
として、行列を用いると
【数4】
となる。この方程式は一般に正規方程式と呼ばれている。この方程式を掃き出し法等の一般的な行列解法を用いて、予測係数wiについて解けば、予測係数wiが求まり、クラスコードをアドレスとして、この予測係数wiを分離フィルタ31に格納していくことにより、学習処理が実行されていく。
【0087】
このように形成された分離フィルタ31は、元画像データを伝送データに変換する際、従来の手法によりフラクタル符号化したのち、再びフラクタル復号しなければ得られなかった、予測画像データをフィルタ処理により得ることができるので、その処理に必要とされる演算量が抑制され、処理時間が短縮される。また、分離フィルタ31は、複数の元画像データから学習により形成されるので、元画像データが簡易フラクタル符号化部32で符号化された後、再び、フラクタル復号部42により復号されるときの復号画像データに対して高い精度の(S/Nの高い)予測画像データを生成することが可能となる。
【0088】
次に、図8のフローチャートを参照して、符号化部21により元画像データが伝送用符号に符号化されるときの処理について説明する。
【0089】
ステップS11において、分離フィルタ31は、元画像データをフィルタ処理して予測画像データを生成し、簡易フラクタル符号化部32、量子化部34、および、加算器33に供給する。
【0090】
ステップS12において、加算器33は、元画像データから分離フィルタ31により生成された予測画像データを減算して、残差成分を抽出し、量子化部34に出力する。
【0091】
ステップS13において、量子化部34は、残差成分を量子化して、量子化した残差成分を伝送フォーマット符号化部35に出力する。量子化は、元画像データと予測画像データが、図9Aで示すような関係にあるとき、その後の差分である残差成分は、図9Bで示すように表される。量子化部34は、図9Bで示した、この残差成分を量子化する。
【0092】
ステップS14において、簡易フラクタル符号化部32は、入力された予測画像データをフラクタル符号化処理する。
【0093】
ここで、図10のフローチャートを参照して、簡易フラクタル符号化部32によるフラクタル符号化処理について説明する。
【0094】
尚、フラクタル符号化処理の説明にあたり、レンジブロックとドメインブロックは、図11乃至図13で示すように定義するものとする。すなわち、図11で示すように、1枚(例えば1フレーム)の画像は、図12で示す8×8の大きさのレンジブロックへ分割されるものとする。例えば720画素×480ラインの有効画像がレンジブロックに分割されることによって、90×60のレンジブロックが形成される。画像の左上のコーナーから水平方向へ順次増加する番号iと、垂直方向に順次増加する番号jとによって、各レンジブロックの番号Bijが規定されるものとする。また、各レンジブロックの画素は、図12で示すように左上から順次右方向にp0、p1、p2・・・・p62、および、p63に配列されるものとする。
【0095】
ドメインブロックは、図11に示すように、16×16のサイズとされるものとする。ドメインブロックの画素データをADRC符号化した量子化データQdが線形変換され、線形変換で得られた量子化データQd'がサーチ範囲内で1画素ステップで動かされるものとする。サーチ範囲は、一例として図13に示すように、水平および垂直方向のそれぞれで、(−8乃至+7)の範囲と規定される。このサーチ範囲の位置を水平方向では、k(−8乃至+7)の番号で規定し、垂直方向では、l(−8乃至+7)の番号で規定するものとする。従って、サーチ範囲内のある位置のドメインブロックは、Dklで規定されるものとなる。
【0096】
ステップS21において、簡易フラクタル符号化部32の制御部70は、レンジブロックの番号を示すカウンタijをそれぞれi=0,j=0として初期化する。ステップS22において、制御部70は、レンジブロックの番号のカウンタiが90以上である(i≧90)か否か、すなわち、図9で示すレンジブロックの1段分以上であるか否かを判定し、i≧90ではないと判定した場合、その処理は、ステップS23に進む。
【0097】
ステップS23において、レンジブロック化部61は、入力された予測画像データのサーチエリアをレンジブロック化し、ADRCエンコーダ62に出力する。すなわち、j=0の90個のレンジブロック化を最初に実行する。ステップS24において、ADRCエンコーダ62は、レンジブロック化部61より入力されたレンジブロックBijをADRCエンコード処理する。すなわち、今の場合、ADRCエンコーダ62は、最初のレンジブロックB0000をADRC符号化する。
【0098】
ステップS25において、制御部70は、ドメインブロックの番号のカウンタであるk,lを初期化する。今の場合、図11で示すように、カウンタk,lは、k=l=−8に初期化される。
【0099】
ステップS26において、制御部70は、カウンタkが8以上である(k≧8)か否か、すなわち、図11で示すドメインブロックの水平方向のサーチ範囲内であるか否かを判定し、例えば、水平方向のサーチ範囲内であると判定された場合、すなわち、k≧80ではないと判定された場合、その処理は、ステップS27に進む。
【0100】
ステップS27において、サーチエリア切り出し部65は、ドメインブロックを切り出し、同時に、ドメインブロック化部66がドメインブロック化処理を実行し、ドメインブロック化された予測画像データをADRCエンコーダ67に出力する。今の場合、ドメインブロック化部66は、最初のドメインブロック化の処理により、ドメインブロックD-8-8を形成し、ADRCエンコーダ67に出力する。ステップS28において、ADRCエンコーダ67は、ドメインブロックDklをADRC符号化し、1/4縮小部68に出力する。
【0101】
ステップS29において、1/4縮小部68は、ADRCエンコーダ67よる入力された量子化データQdを縦横のブロックサイズをそれぞれ半分にして、8×8のサイズ、すなわち、1/4のサイズに縮小する。この縮小化されたドメインブロックはDkl´と表すものとする。
【0102】
ステップS30において、回転鏡像処理部69は、回転操作の回転角度Rを0に設定する。すなわち、縮小のみの変換操作がドメインブロックの量子化データQdに対してなされる。ステップS31において、回転鏡像処理部は、回転角度がR≧360°であるか否か、すなわち、回転が1周したか否かを判定し、R≧360ではない、すなわち、1周していないと判定された場合、その処理は、ステップS32に進む。
【0103】
ステップS32において、回転鏡像処理部69は、ドメインブロックDkl'を、角度Rだけ回転させる。今の場合、回転角度R=0の場合、ドメインブロックDkl'が回転されないことを示す。
【0104】
ステップS33において、回転鏡像処理部69は、回転されたドメインブロックDkl'とBijの画素同士の差分の2乗和を求め、これを評価値として比較部63に評価値テーブルに格納させる。R=0の場合では、縮小の操作がされたドメインブロックとレンジブロックとの間の評価値が求められ、テーブルに格納される。
【0105】
ステップS34において、回転鏡像処理部69は、回転操作がなされたドメインブロックDkl´を左右反転させる。以下、この回転、および、反転されたドメインブロックはDkl´´と表すものとする。
【0106】
ステップS35において、回転鏡像処理部69は、回転反転されたドメインブロックDkl´´とドメインブロックBijとの画素同士の差分の2乗和を演算し、比較部63に出力し、評価値として評価値テーブルに格納させる。R=0の場合では、縮小および反転の操作がなされたドメインブロックとレンジブロックとの間の評価値が求められ、テーブルに格納される。
【0107】
ステップS36において、回転鏡像処理部69は、回転角度Rに90°を加算し(+90°)、その処理は、ステップS31に戻る。すなわち、回転処理が1周された(ステップS31においてR≧360°である)と判定されるまで、ステップS31乃至S36の処理が繰り返され、求められた評価値が比較部63の評価値テーブルに格納される。結果として、回転角度RがR=0,90°,180°,270°のそれぞれについて、上述と同様の処理がなされる。
【0108】
一例として、ドメインブロックD-8-8について、前述したような8種類の変換パラメータについての評価値が求められる。すなわち、第1のパラメータ( 1/2の縮小)、第2のパラメータ( 1/2の縮小および左右反転)、第3のパラメータ( 1/2の縮小および90°回転)、第4のパラメータ( 1/2の縮小および180°回転)、第5のパラメータ( 1/2の縮小および270°回転)、第6のパラメータ( 1/2の縮小、90°回転および左右反転)、第7のパラメータ( 1/2の縮小、180°回転および左右反転)、および第8のパラメータ( 1/2の縮小、270°回転および左右反転)についての評価値がそれぞれ求められる。
【0109】
従って、ステップS31において、回転角度R≧360であると判定されるまでの間に、一つのドメインブロックDklについて、第1乃至第8のパラメータのそれぞれについての評価値が求められることになる。ステップS31において、回転角度がR≧360である、すなわち、ドメインブロックDklが1周したと判定された場合、ステップS37において、カウンタkの値が1だけインクリメントされる。換言すれば、ステップS37の処理により、サーチ範囲内でドメインブロックDklの位置が水平方向で1画素シフトされる。そして、その処理は、ステップS26に戻り、上述したように、シフトされた位置のドメインブロックについての縮小、回転、左右反転の操作がなされ、8個の変換パラメータに関しての評価値が求められる。この評価値も評価値テーブルに格納される。
【0110】
サーチ範囲内で、ドメインブロックの位置が水平方向に1画素ずつシフトされ、ステップS26において、k≧8であると判定された場合、ステップS38において、カウンタlが8以上(l≧8)であるか、すなわち、ドメインブロックのサーチ範囲の下限値にまで到達したかどうか否かが決定される。ステップS38において、カウンタlが8以上ではない、すなわち、ドメインブロックが下限値に到達していないと判定された場合、ステップS39において、lの値が1だけインクリメントされ、カウンタkがk=−8に初期化され、その処理は、ステップS27(ドメインブロック化)に戻る。
【0111】
すなわち、ステップS39の処理により、サーチ範囲内のドメインブロックの垂直方向の位置が1ライン下側にシフトされ、そのライン上でkの値がインクリメントされることによって、水平方向にドメインブロックの位置がシフトされ、各位置において評価値が計算される。
【0112】
ステップS38において、l≧8である、すなわち、ドメインブロックがサーチ範囲の下限値に達したと判定された場合、その処理は、ステップS40に進む。ステップS40において、最小値判定部64は、比較部63に格納されている評価値テーブルに記憶された複数の評価値(上述したように差分の2乗和)の中の最小値を検出し、伝送フォーマット化符号化部35に出力する。
【0113】
ステップS41において、伝送フォーマット符号化部35は、検出された最小値と対応して符号化データを作成し、ドメインブロックのダイナミックレンジDRおよび最小値MINと、評価値の最小値を生じさせる、ドメインブロックの位置(kおよびlの値)、パラメータ、さらに、適応量子化された残差成分を合成し、伝送フォーマットに対応した伝送データに変換する。
【0114】
ステップS42において、伝送フォーマット符号化部35は、伝送データを出力する。ステップS43において、制御部70は、カウンタiを1だけインクリメントし、その処理は、ステップS22に戻る。すなわち、カウンタiが1だけインクリメントされることにより、次のレンジブロックについての符号化処理が、ステップS22から開始される。
【0115】
ステップS22において、i≧90である、すなわち、図9で示す1段分のレンジブロックの処理が終了したと判定された場合、ステップS44において、カウンタjが60以上(j≧60)であるか否か、すなわち、垂直方向に全ての段のレンジブロックが符号化されたか否かが判定され、例えば、カウンタjがj≧60ではない、すなわち、垂直方向にまだ符号化されていない段があると判定された場合、その処理は、ステップS45に進む。
【0116】
ステップS45において、制御部70は、カウンタjを1だけインクリメントし、カウンタiをi=0に初期化して、その処理は、ステップS23に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0117】
ステップS44において、カウンタjがj≧60である、すなわち、1フレーム分の全ての画素が符号化されたと判定された場合、1フレームの全レンジブロックの処理が終了する。
【0118】
ここで、図8のフローチャートの説明に戻る。
【0119】
以上の処理により、元画像データは、伝送データに変換されて出力される。
【0120】
次に、図14のフローチャートを参照して、図10のフローチャートを参照して説明した処理により生成された伝送データを復号して復号画像データを生成するときの復号部22の処理について説明する。
【0121】
ステップS61において、伝送パラメータ分離部41は、符号化された画像データからフラクタル符号化された画像データと残差成分を分離して、フラクタル符号化された画像データをフラクタル復号部42に出力し、量子化された残差成分を逆量子化部に出力する。
【0122】
ステップS62において、フラクタル復号部42は、伝送パラメータ分離部41より入力されたフラクタル符号化された画像データのフラクタル復号処理を実行する。
【0123】
ここで、図15のフローチャートを参照して、フラクタル復号部42によるフラクタル復号処理について説明する。
【0124】
ステップS81において、制御部88は、メモリ86を制御して演算結果FM0、FM1を初期化する。ステップS82において、制御部88は、レンジブロックの番号のカウンタi,jを共に0として、初期化する。
【0125】
ステップS83において、ドメインブロック切り出し部81は、受信したデータ中のドメインブロックの位置情報に従ってドメインブロックを切り出し、ADRCエンコーダ82に出力する。ここで、復号しようとするレンジブロックBijと対応して切り出されたドメインブロックをDijと表す。
【0126】
ステップS84において、ADRCエンコーダ82は、このドメインブロックDijをADRC符号化し、1/4縮小部83に出力する。ステップS85において、1/4縮小部83は、ADRCエンコーダにより生成された符号化データ中の量子化データのみを縮小し、回転鏡像処理部84に出力する。
【0127】
ステップS86において、回転鏡像処理部84は、入力された縮小されたドメインブロックDijの量子化データを回転させる。さらに、ステップS87において、回転鏡像処理部84は、回転させたドメインブロックDijの量子化データを反転させ(鏡像処理させ)、ADRCデコーダ85に出力する。
【0128】
ステップS88において、ADRCデコーダ85は、変換操作後のドメインブロックのデータが受信されており、変換パラメータを使用してADRCデコード処理を実行し、レンジブロックBijの復号データ、すなわち、復号された予測画像データが得られる。ステップS89において、制御部88は、この復号された予測画像データをメモリ86に出力し、演算結果FM0としてレンジブロックBijの位置に格納する。
【0129】
ステップS90において、制御部88は、カウンタiが90以上(i≧90)であるか否か、すなわち、図11で示したように水平方向に設定された1段分のレンジブロックの処理が終了したか否かを判定し、カウンタiが90以上(i≧90)ではない、すなわち、垂直方向に設定された1段分のレンジブロックの処理が終了していないと判定された場合、ステップS91において、制御部88は、カウンタiの値を1だけインクリメントし、その処理は、ステップS83に戻る。すなわち、水平方向に設定された1段分のレンジブロックの処理が終了されるまで、ステップS83乃至S91の処理が繰り返される。
【0130】
ステップS90において、カウンタiが90以上(i≧90)である、すなわち、垂直方向に設定された1段分のレンジブロックの処理が終了したと判定された場合、その処理は、ステップS92に進む。
【0131】
ステップS92において、制御部88は、カウンタjが60以上(j≧60)であるか否か、すなわち、垂直方向のレンジブロックの処理が終了したか(1フレーム分の処理が終了したか)否かを判定し、例えば、カウンタjが60以上(j≧60)ではない、すなわち、垂直方向のレンジブロックの処理が終了していないと判定された場合、その処理は、ステップS93に進む。
【0132】
ステップS93において、制御部88は、カウンタjを1だけインクリメントし(j=j+1)、カウンタiを0に設定し、その処理は、ステップS93に進む。すなわち、1フレーム分の処理が終了するまで、ステップS83乃至S93の処理が繰り返される。
【0133】
ステップS92において、カウンタjが60以上(j≧60)である、すなわち、垂直方向のレンジブロックの処理が終了したと判定された場合、その処理は、ステップS94に進む。
【0134】
ステップS94において、演算部87は、メモリ86に記憶されている演算結果FM0の復号された予測画像画像データと、演算結果FM1の復号された予測画像データとの差分の2乗和Sを演算する。
【0135】
ステップS95において、演算部87は、2乗和Sが、演算の収束を示す所定の閾値TH3より大きいか否か、すなわち、演算が収束しているか否かを判定し、2乗和Sが、演算の収束を示す所定の閾値TH3より大きくない、すなわち、演算が収束していないと判定した場合、その処理は、ステップS96に進む。ステップS96において、演算部87は、メモリ86に記憶された演算結果FM0の復号された予測画像データをFM1にコピーし、その処理は、ステップS82に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0136】
ステップS95において、2乗和Sが、演算の収束を示す所定の閾値TH3より大きい、すなわち、演算が収束したと判定した場合、その処理は、ステップS97に進む。
【0137】
ステップS97において、演算部87は、メモリ86に記憶された、演算結果FM0を、復号された予測画像データとして加算器44に出力する。
【0138】
以上の処理により、フラクタル符号化された予測画像データは、フラクタル復号される。
【0139】
ここで、図14のフローチャートの説明に戻る。
【0140】
ステップS63において、逆量子化部43は、量子化された残差成分を逆量子化し、残差成分を生成して、加算器44に出力する。ステップS64において、加算器44は、図16で示すように逆量子化された残差成分と、復号された予測画像データの画素値を加算して復号画像データを生成し、クリッピング処理部45に出力し、クリッピングさせた後、生成された復号画像データを出力して、その処理を終了する。
【0141】
尚、レンジブロックとドメインブロックの設定については、図11乃至図13で示したような設定に限らず、これ以外の画素数のレンジブロック、および、ドメインブロックでもよく、これ以外の数のレンジブロック、および、ドメインブロックの数であってもよい。
【0142】
以上においては、分離フィルタ31により元画像データを予測画像データに変換する例について説明してきたが、図17で示すように、分離フィルタ31の代わりに、適応分離フィルタ121を設けて、元画像データの特徴量に応じた係数を用いた演算処理を実行するようにしてもよい。
【0143】
図18は、適応分離フィルタ121の構成を示す図である。
【0144】
アクティビティ検出部131は、元画像データの特徴量として、全画面の隣接画素間差分総和値、または、隣接画素間差分標準偏差値などのアクティビティを検出し係数記憶部132に出力する。
【0145】
係数記憶部132は、例えば、ROMなどの記憶装置から構成されており、アクティビティの値に応じた、複数のフィルタ係数が記憶されており、アクティビティ検出部131より入力されたアクティビティに対応するフィルタ係数を積和演算部133に出力する。
【0146】
積和演算部133は、入力された元画像データを係数記憶部132より入力されたフィルタ係数により積和演算を実行し、予測画像データを生成する。すなわち、係数記憶部132には、あたかも複数のアクティビティに対応する画像生成フィルタ31のフィルタ係数が記憶されている状態となり、元画像データの特徴量に応じたフィルタ係数を用いて、予測画像データを生成することができるので、予測画像データの演算を高速で実行することができると共に、アクティビティに応じたフィルタ処理により復号画像データの画質を向上させることが可能となる。尚、係数記憶部132に記憶されるフィルタ係数は、図5を参照して、説明した構成と同様のフィルタ生成部101により、アクティビティの値に応じて、図6を参照して説明した学習処理と同様の処理により生成することができるので、その説明は省略する。
【0147】
また、フラクタル符号化の処理を実行する際、元画像データのダイナミックレンジDRの大小によりドメインブロックの切り出し方法を変えて、符号化の処理を高速化させるようにしてもよい。すなわち、図19で示すように、ステップ幅設定部151を設けることにより、ADRCエンコーダ62より出力されるダイナミックレンジDRを検出し、このダイナミックレンジDRに応じて、サーチエリア切り出し部65のステップ幅を制御すると言うものである。
【0148】
より詳細には、ダイナミックレンジが小さいと言うことは、元画像データは各画素値間に比較的変化の少ない画像であることになるので、ブロックマッチングに係る処理ではエラーが生じにくいことになるため、例えば、図10のフローチャートにおける、ステップS37,S39の処理におけるインクリメントの幅を、ダイナミックレンジDRが大きいときは細かくし(例えば、今の例のように1)、ダイナミックレンジDRが小さいときは大きく(例えば、3や5など)することにより、適応的にドメインブロックの移動ステップを変える事ができ、結果として、高速でフラクタル符号化処理を実行することができる。
【0149】
また、以上の例においては、符号化処理、および、復号処理の手法としてフラクタル符号化処理、および、フラクタル復号処理を例として説明してきたが、符号化、および、復号化処理の手法はこれ以外のものであってもよく、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などを使用した符号化処理、および、復号処理であっても良い。
【0150】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行させることが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに記録媒体からインストールされる。
【0151】
図20,図21は、符号化部21、および、復号部22をソフトウェアにより実現する場合のパーソナルコンピュータの一実施の形態の構成を示している。パーソナルコンピュータのCPU201,301は、パーソナルコンピュータの動作の全体を制御する。また、CPU201,301は、バス204,304および入出力インタフェース205,305を介してユーザからキーボードやマウスなどからなる入力部206,306から指令が入力されると、それに対応してROM(Read Only Memory)202,302に格納されているプログラムを実行する。あるいはまた、CPU201,301は、ドライブ210,310に接続された磁気ディスク211,311、光ディスク212,312、光磁気ディスク213,313、または半導体メモリ214,314から読み出され、記憶部208,308にインストールされたプログラムを、RAM(Random Access Memory)203,303にロードして実行する。これにより、上述した画像処理装置の機能が、ソフトウェアにより実現されている。さらに、CPU201,301は、通信部209,309を制御して、外部と通信し、データの授受を実行する。
【0152】
プログラムが記録されている記録媒体は、図20,図21に示すように、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク211,311(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク212,312(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク213,313(MD(Mini-Disc)を含む)、もしくは半導体メモリ214,314などよりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM202,302や、記憶部208,308に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0153】
尚、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理は、もちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理を含むものである。
【0154】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0155】
【発明の効果】
本発明の第1の情報処理装置および方法、並びにプログラムによれば、入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データをフラクタル符号化した後、更に復号したたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換し、予測画像データを符号化し、符号化した予測画像データを符号化データとして出力するようにし、係数は、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと係数との線形1次結合により算出され、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数であるようにした。
【0156】
本発明の第2の情報処理装置および方法、並びにプログラムによれば、入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換し、入力画像データと予測画像データとの差分データを演算し、演算した差分データと、予測画像データとから入力画像データの符号化データを出力するようにし、係数は、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと係数との線形1次結合により算出され、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数であるものとした。
【0157】
本発明の第3の情報処理装置および方法、並びにプログラムによれば、学習用画像データをフラクタル符号化し、フラクタル符号化した学習用画像データを復号画像データに復号し、入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データとの線形1次結合により、学習用画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により係数を生成するようにした。
【0158】
いずれにおいても、結果として、画像データの符号化処理、および、復号処理の高速化を実現することが可能となり、符号化された画像データを高画質で復号することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の画像転送システムの構成を示す図である。
【図2】本発明を適用した画像転送システムの一実施の形態の構成を示す図である。
【図3】図2の簡易フラクタル符号化部の構成を示すブロック図である。
【図4】図2のフラクタル復号部の構成を示すブロック図である。
【図5】分離フィルタ生成部を説明するブロック図である。
【図6】分離フィルタを生成する学習処理を説明するフローチャートである。
【図7】分離フィルタを生成する学習処理を説明する図である。
【図8】符号化処理を説明するフローチャートである。
【図9】量子化処理を説明する図である。
【図10】フラクタル符号化処理を説明するフローチャートである。
【図11】レンジブロックとドメインブロックを説明する図である。
【図12】レンジブロックを説明する図である。
【図13】ドメインブロックを説明する図である。
【図14】復号処理を説明するフローチャートである。
【図15】フラクタル復号処理を説明するフローチャートである。
【図16】復号処理を説明する図である。
【図17】符号化部の別の構成を示す図である。
【図18】図17の適応分離フィルタの構成を示す図である。
【図19】符号化部の別の構成を示す図である。
【図20】媒体を説明する図である。
【図21】媒体を説明する図である。
【符号の説明】
11 画像転送システム,21 符号化部,22 復号部,31 分離フィルタ,32 簡易フラクタル符号化部,33 加算器,34 残差成分適応量子化部,35 伝送フォーマット符号化部,41 伝送パラメータ分離部,42 逆量子化部43 逆量子化部,44 加算器,45 クリッピング処理部,61 レンジブロック化部,62 ADRCエンコーダ,63 比較部,64 最小値判定部,65 サーチエリア切り出し部,66 ドメインブロック化部,67 ADRCエンコーダ,68 1/4縮小部,69 回転鏡像処理部,70 制御部,81 ドメインブロック切り出し部,82 ADRCエンコーダ,83 1/4縮小部,84回転鏡像処理部,85 ADRCエンコーダ,86 メモリ,87 演算部,88制御部,101 フィルタ生成部,111 フラクタル符号化部,112 フラクタル復号部,113 学習部,121 適応分離フィルタ,131 アクティビティ検出部,132 係数記憶部,133 積和演算部,151 ステップ幅設定部
Claims (21)
- 入力画像データに基づいて符号化データを出力する情報処理装置において、
前記入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換する変換手段と、
前記予測画像データをフラクタル符号化する符号化手段と、
前記符号化手段により符号化された前記予測画像データを符号化データとして出力する出力手段と
を備え、
前記係数は、前記入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと前記係数との線形1次結合により算出され、前記学習用画像データが前記フラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される前記所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、前記所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数である
ことを特徴とする情報処理装置。 - 前記係数は、前記学習用画像データと、前記学習用画像データが符号化された後、更に復号されることにより生成される復号画像データに基づいて、前記入力画像データに対応する前記学習用画像データを圧縮符号化処理することにより生成される特徴量毎に学習された、前記特徴量毎の複数の係数である
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 - 前記特徴量は、前記学習用画像データのアクティビティである
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。 - 前記符号化手段は、前記予測画像データに対してフラクタル符号化処理を行うことで符号化する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 - 入力画像データに基づいて符号化データを出力する情報処理装置の情報処理方法において、
前記入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換する変換ステップと、
前記予測画像データをフラクタル符号化する符号化ステップと、
前記符号化ステップの処理で符号化された前記予測画像データを符号化データとして出力する出力ステップと
を含み、
前記係数は、前記入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと前記係数との線形1次結合により算出され、前記学習用画像データが前記フラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される前記所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、前記所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数である
ことを特徴とする情報処理方法。 - 入力画像データに基づいて符号化データを出力する情報処理装置を制御するプログラムであって、
前記入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データへの変換を制御する変換制御ステップと、
前記予測画像データのフラクタル符号化を制御する符号化制御ステップと、
前記符号化制御ステップの処理で符号化された前記予測画像データの符号化データとしての出力を制御する出力制御ステップと
を含み、
前記係数は、前記入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと前記係数との線形1次結合により算出され、前記学習用画像データが前記フラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される前記所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、前記所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数である
ことを特徴とするコンピュータが読み取り可能なプログラムが記録されている記録媒体。 - 入力画像データに基づいて符号化データを出力する情報処理装置を制御するコンピュータに、
前記入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データへの変換を制御する変換制御ステップと、
前記予測画像データのフラクタル符号化を制御する符号化制御ステップと、
前記符号化制御ステップの処理で符号化された前記予測画像データの符号化データとしての出力を制御する出力制御ステップと
を含む処理を実行させ、
前記係数は、前記入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと前記係数との線形1次結合により算出され、前記学習用画像データが前記フラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される前記所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、前記所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数である
プログラム。 - 入力画像データに基づいて符号化データを出力する情報処理装置において、
前記入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換する変換手段と、
前記入力画像データと前記予測画像データとの差分データを演算する差分演算手段と、
前記差分演算手段により演算された前記差分データと、前記予測画像データとから前記入力画像データの符号化データを出力する出力手段と
を備え、
前記係数は、前記入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと前記係数との線形1次結合により算出され、前記学習用画像データが前記フラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される前記所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、前記所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数である
ことを特徴とする情報処理装置。 - 前記差分データを量子化する量子化手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記量子化手段により量子化された差分データと、前記予測画像データとを前記入力データの符号化データとして出力する
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。 - 前記予測画像データを符号化する符号化手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記量子化手段により量子化された差分データと、符号化された前記予測画像データとを前記入力データの符号化データとして出力する
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置 - 前記係数は、前記学習用画像データと、前記入力画像データが符号化された後、復号されることにより生成される復号画像データに基づいて、前記学習用画像データに対応する前記入力画像データを圧縮符号化処理することにより生成される特徴量毎に学習された、前記特徴量毎の複数の係数である
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。 - 前記特徴量は、前記入力画像データのアクティビティである
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。 - 前記生成手段は、前記入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化処理により符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データを生成する
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。 - 入力画像データに基づいて符号化データを出力する情報処理装置の情報処理方法において、
前記入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データに変換する変換ステップと、
前記入力画像データと前記予測画像データとの差分データを演算する差分演算ステップと、
前記差分演算ステップの処理で演算された前記差分データと、前記予測画像データとから前記入力画像データの符号化データを出力する出力ステップと
を含み、
前記係数は、前記入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと前記係数との線形1次結合により算出され、前記学習用画像データが前記フラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される前記所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、前記所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数である
ことを特徴とする情報処理方法。 - 入力画像データに基づいて符号化データを出力する情報処理装置を制御するプログラムであって、
前記入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データへの変換を制御する変換制御ステップと、
前記入力画像データと前記予測画像データとの差分データの演算を制御する差分演算制御ステップと、
前記差分演算制御ステップの処理で演算された前記差分データと、前記予測画像データとからの前記入力画像データの符号化データの出力を制御する出力制御ステップと
を含み、
前記係数は、前記入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと前記係数との線形1次結合により算出され、前記学習用画像データが前記フラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される前記所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、前記所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数である
ことを特徴とするコンピュータが読み取り可能なプログラムが記録されている記録媒体。 - 入力画像データに基づいて符号化データを出力する情報処理装置を制御するコンピュータに、
前記入力画像データと、学習により求められた係数との線形1次結合により、入力画像データがフラクタル符号化された後、更に復号されたとき、生成されることが予測される予測画像データへの変換を制御する変換制御ステップと、
前記入力画像データと前記予測画像データとの差分データの演算を制御する差分演算制御ステップと、
前記差分演算制御ステップの処理で演算された前記差分データと、前記予測画像データとからの前記入力画像データの符号化データの出力を制御する出力制御ステップと
を含む処理を実行させ、
前記係数は、前記入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データと前記係数との線形1次結合により算出され、前記学習用画像データが前記フラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される前記所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、前記所定の注目画素に対応する復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により求められる係数である
プログラム。 - 入力画像データに演算処理を施す際に使用される係数を生成する情報処理装置において、
学習用画像データをフラクタル符号化する符号化手段と、
前記符号化手段によりフラクタル符号化された学習用画像データを復号画像データに復号する復号手段と、
前記入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データとの線形1次結合により、前記学習用画像データが前記フラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される前記所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、前記所定の注目画素に対応する前記復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により係数を生成する係数生成手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。 - 前記符号化手段は、前記予測画像データに対してフラクタル符号化処理を行うことで符号化し、
前記復号手段は、前記予測画像データに対してフラクタル復号処理を行うことにより、前記符号化手段により符号化された学習用画像データを復号画像データに復号する
ことを特徴とする請求項17に記載の情報処理装置。 - 入力画像データに演算処理を施す際に使用される係数を生成する情報処理装置の情報処理方法において、
学習用画像データをフラクタル符号化する符号化ステップと、
前記符号化ステップの処理でフラクタル符号化された学習用画像データを復号画像データに復号する復号ステップと、
前記入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データとの線形1次結合により、前記学習用画像データが前記フラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される前記所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、前記所定の注目画素に対応する前記復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により係数を生成する係数生成ステップと
を含むことを特徴とする情報処理方法。 - 入力画像データに演算処理を施す際に使用される係数を生成する情報処理装置を制御するプログラムであって、
学習用画像データのフラクタル符号化を制御する符号化制御ステップと、
前記符号化制御ステップの処理でフラクタル符号化された学習用画像データの復号画像データへの復号を制御する復号制御ステップと、
前記入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データとの線形1次結合により、前記学習用画像データが前記フラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される前記所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、前記所定の注目画素に対応する前記復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により係数の生成を制御する係数生成制御ステップと
を含むことを特徴とするコンピュータが読み取り可能なプログラムが記録されている記録媒体。 - 入力画像データに演算処理を施す際に使用される係数を生成する情報処理装置を制御するコンピュータに、
学習用画像データのフラクタル符号化を制御する符号化制御ステップと、
前記符号化制御ステップの処理でフラクタル符号化された学習用画像データの復号画像データへの復号を制御する復号制御ステップと、
前記入力画像データに対応する画像データのうち所定の注目画素の周囲の画素値からなる学習用画像データとの線形1次結合により、前記学習用画像データが前記フラクタル符号化された後、更に復号されることにより生成される前記所定の注目画素に対応する復号画像データの推定値と、前記所定の注目画素に対応する前記復号画像データの真値との誤差を最小にする学習により係数の生成を制御する係数生成制御ステップと
を実行させるプログラム。
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