JP4082086B2 - 感光性重合体組成物、レリーフパターンの製造法および電子部品 - Google Patents
感光性重合体組成物、レリーフパターンの製造法および電子部品 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性重合体組成物およびこの組成物を用いたレリーフパターンの製造法並びに電子部品に関し、さらに詳しくは、加熱処理により半導体素子等の電子部品の表面保護膜、層間絶縁膜等として適用可能な耐熱性高分子となるポジ型感光性重合体組成物およびこの組成物を用いたレリーフパターンの製造法並びに電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には耐熱性および機械特性が優れ、また、膜形成が容易であり、表面を平坦化できる等の利点から、ポリイミドが広く使用されている。
ポリイミドを表面保護膜または層間絶縁膜として使用する場合、スルーホール等の形成方法の1つは、ポジ型のフォトレジストを用いるエッチングである。しかし、この方法では工程にはフォトレジストの塗布や剥離が含まれ、煩雑であるという問題がある。そこで作業工程の合理化を目的に感光性を兼ね備えた耐熱性材料の検討がなされてきた。
【0003】
感光性耐熱性組成物に関しては、エステル結合により感光基を導入したポリイミド前駆体組成物(特公昭52−30207号公報等)、ポリアミド酸に化学線により2量化または重合可能な炭素−炭素二重結合およびアミノ基と芳香族ビスアジドを含む化合物を添加した組成物(特公平3−36861号公報等)等が知られている。
【0004】
感光性耐熱性組成物の使用に際しては、通常、溶液状態で基板上に塗布後乾燥し、マスクを介して活性光線を照射し、未露光部を現像液で除去し、パターンを形成する。
しかし、上記の2つの組成物はネガ型であり、また、現像に有機溶剤を使用する。そのため、ポジ型のフォトレジストを用いるエッチングプロセスからネガ型の感光性耐熱性材料に切り替えるためには、露光装置のマスクや現像設備の変更が必要になるという問題点がある。
【0005】
そこで、アルカリ水溶液で現像できるポジ型感光性耐熱性組成物が検討され、例えば、フェノール性水酸基を含むポリアミド酸エステルとo−キノンジアジド化合物を含む組成物(特開平4−204945号公報)、また、ポリベンゾオキサゾール前駆体とo−キノンジアジド化合物を含む組成物(特公平1−46862号公報)が報告されている。しかし、これらの組成物は感光剤であるo−キノンジアジド化合物の吸光度が露光波長において大きいため、特に厚膜での感度が低くなるという問題点がある。
【0006】
一方、ポリアミド酸のカルボキシル基を保護したポリマと光照射により酸を発生する化合物を含む組成物(特許第3015430号)が報告されている。この組成物では、光照射により発生した酸が、保護されたカルボキシル基の脱保護反応を複数回起こしうるため、原理的には感度が良くなると考えられる。しかし、実際に得られる感度は低く、実用的な材料とは言いがたい。このように、厚膜でも感度が良いポジ型感光性重合組成物は得られていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記した従来技術の問題点を克服するものである。
すなわち、本発明は、厚膜でも感度が良いポジ型の耐熱性感光性重合体組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記の、厚膜でも感度が良いレリーフパターンの製造法を提供するものである。
また、本発明は、厚膜でも感度が良いレリーフパターンを有する電子部品を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)アミノ基末端を実質含まず、保護された酸性基と、少なくとも末端の一部に、アミド又はスルホン酸アミドの構造を含む基に変換された、400℃以下の加熱処理により保護基の脱離を起こしうる保護されたアミノ基とを含むポリイミド前駆体またはポリイミドおよび(b)光照射により酸を発生し、保護された酸性基から保護基を脱離させうる化合物を含有してなる感光性重合体組成物に関する。
【0009】
また本発明は、(a)成分が、総繰り返し単位数の50%以上が一般式(I)
【化8】
(式中、R1は4価の有機基を示し、R2は2価の有機基を示し、2つのR3は各々独立に水素原子または1価の有機基を示す。)で表される繰り返し構造である前記の感光性重合体組成物に関する。
【0010】
また本発明は、(a)成分が、総繰り返し単位数の50%以上が一般式(II)
【化9】
(式中、R4は4価の有機基を示し、R5は2価の有機基を示す。)で表される繰り返し構造である前記の感光性重合体組成物に関する。
【0012】
また本発明は、(a)成分が一般式(III)
【化10】
(式中、R1は4価の有機基を示し、R2は2価の有機基を示し、2つのR3は各々独立に水素原子または1価の有機基を示し、R6は水素原子または1価の有機基を示し、R7は1価の有機基を示し、mは1以上の整数を示す。)で表されるものである前記の感光性重合体組成物に関する。
【0013】
また本発明は、(a)成分が一般式(IV)
【化11】
(式中、R4は4価の有機基を示し、R5は2価の有機基を示し、R7は1価の有機基を示し、R8およびR9はヒドロキシ基、1価のアルコキシ基を示すかまたはR8およびR9が結合していて−O−を示し、nは1以上の整数を示す。)で表されるものである前記の感光性重合体組成物に関する。
【0014】
また本発明は、(a)成分の保護されたアミノ基が一般式(V)
【化12】
(式中、R10は1価の有機基を示す。)で表されるものである前記の感光性重合体組成物に関する。
【0015】
また本発明は、(a)成分の保護されたアミノ基が一般式(VI)
【化13】
(式中、R11は1価の有機基を示す。)で表されるものである前記の感光性重合体組成物に関する。
【0016】
また本発明は、(a)成分の保護されたアミノ基が一般式(VII)
【化14】
(式中、R12は1価の有機基を示す。)で表されるものである前記の感光性重合体組成物に関する。
【0017】
また本発明は、(a)成分の保護された酸性基がテトラヒドロピラニル基を含む前記の感光性重合体組成物に関する。
また本発明は、(a)成分の保護された酸性基がアルコキシメチル基を含む前記の感光性重合体組成物に関する。
また本発明は、(a)成分の保護された酸性基がアルコキシエチル基を含む前記の感光性重合体組成物に関する。
また本発明は、(a)成分の保護された酸性基がt−ブトキシカルボニル基を含む前記の感光性重合体組成物に関する。
また本発明は、(a)成分の保護された酸性基がt−ブチルエステル基を含む前記の感光性重合体組成物に関する。
【0018】
また本発明は、前記の感光性重合体組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、現像する工程および加熱処理する工程を含むレリーフパターンの製造法に関する。
また本発明は、前記の露光する工程において使用する光が、i線であるレリーフパターンの製造法に関する。
さらに本発明は、前記の製造法により得られるレリーフパターンを表面保護膜または層間絶縁膜として有してなる電子部品に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明における(a)成分は、テトラヒドロピラニル基やアルコキシメチル基等で保護されたフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基を含む。露光により(b)成分から酸が生じるため、脱保護反応が起き、露光部では(a)成分の酸性基が増加する。なお、脱保護反応を加速するため、必要に応じて加熱処理を行ってもよい。現像液として用いられるアルカリ水溶液に対し露光部の溶解速度が上がり、未露光部との溶解速度差が生じるため、レリーフパターンが形成できる。(b)成分から生じる酸は、塩基性基が存在すると塩を形成するなどし、脱保護反応の起きる効率が低下する。(a)成分は実質アミノ基を含まないため、脱保護基反応が阻害されることがなく、その結果感度が良くなる。
なお、アルカリ水溶液とは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、金属水酸化物、アミン等が水に溶解された、アルカリ性を呈する水溶液である。
(a)成分はレリーフパターン形成後、加熱処理により耐熱性の表面保護膜または層間絶縁膜となる。
【0020】
(a)成分は、アミノ基末端を実質含まず保護された酸性基を含み、前記一般式(I)または(II)で表される繰り返し構造を含む。
保護された酸性基とは、フェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基がアセタール、ケタール、エステル等の構造を含む基に変換されたものを示す。
前記一般式(I)において、R1で示される4価の有機基とは、ジアミンと反応して、ポリイミド前駆体の構造を形成しうる、テトラカルボン酸、その二無水物またはそれらの誘導体の残基であり、4価の芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が4〜40のものがより好ましく、炭素原子数が6〜40の4価の芳香族基がさらに好ましい。芳香族基とは、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環等)を含む基をいう。4価の芳香族基としては、4個の結合部位はいずれも芳香環上に存在するものが好ましい。これらの結合部位は、2組の2個の結合部位に分けられ、その2個の結合部位が芳香環のオルト位またはペリ位に位置するものが好ましい。前記の2組は同一の芳香環に存在してもよいし、例えば、単結合、−O−、−SO2−、−CO2−、−C(CF3)2−等の各種結合を介して結合している別々の芳香環に存在してもよい。また、R1は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。
【0021】
前記一般式(I)において、R2で表される2価の有機基とは、テトラカルボン酸、その二無水物またはそれらの誘導体と反応してポリイミド前駆体の構造を形成しうる、ジアミンのアミノ基を除いた残基であり、2価の芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が2〜40のものがより好ましく、炭素原子数が6〜40の芳香族基がさらに好ましい。ここで、芳香族基としては、その2個の結合部位が芳香環上に存在するものが好ましく、この場合2個の結合部位は同一の芳香環に存在しても異なった芳香環に存在してもよい。また、R2は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。
【0022】
前記一般式(I)において、R3は水素原子または一価の有機基であり、一価の有機基としては、炭素原子数1〜20のものが好ましい。
【0023】
前記一般式(II)において、R4で示される4価の有機基とは、ジアミンと反応して、ポリイミド前駆体の構造を形成しうる、テトラカルボン酸、その二無水物またはそれらの誘導体の残基であり、4価の芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が4〜40のものがより好ましく、炭素原子数が6〜40の4価の芳香族基がさらに好ましい。4価の芳香族基としては、4個の結合部位はいずれも芳香環上に存在するものが好ましい。これらの結合部位は、2組の2個の結合部位に分けられ、その2個の結合部位が芳香環のオルト位またはペリ位に位置するものが好ましい。前記の2組は同一の芳香環に存在してもよいし、例えば、単結合、−O−、−SO2−、−CO2−、−C(CF3)2−等の各種結合を介して結合している別々の芳香環に存在してもよい。また、R 4 は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。
【0024】
前記一般式(II)において、R5で表される2価の有機基とは、テトラカルボン酸、その二無水物またはそれらの誘導体と反応してポリイミド前駆体の構造を形成しうる、ジアミンのアミノ基を除いた残基であり、芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が2〜40のものがより好ましく、炭素原子数が6〜40の2価の芳香族基がさらに好ましい。ここで、芳香族基としては、その2個の結合部位が芳香環上に存在するものが好ましく、この場合2個の結合部位は同一の芳香環に存在してもよいし、例えば、単結合、−O−、−SO2−、−CO2−、−C(CF3)2−等の各種結合を介して結合している別々の芳香環に存在してもよい。また、R 5 は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。
【0025】
本発明における(a)成分は、前記一般式(I)で表される繰り返し構造を総繰り返し単位数中50%以上含むことが好ましい。一般式(I)以外には、前記一般式(II)、一般式(VIII):
【化15】
(式中、R13は4価の有機基を示し、R14は2価の有機基を示す。)
、一般式(IX):
【化16】
(式中、R15は2価の有機基を示し、R16は2価の有機基を示す。)
、一般式(X)
【化17】
(式中、R17は2価の有機基を示し、R18は4価の有機基を示す。)
、一般式(XI):
【化18】
(式中、R19は3価の有機基を示し、R20は2価の有機基を示し、R21は水素原子または1価の有機基を示す。)
および一般式(XII):
【化19】
(式中、R22は3価の有機基を示し、R23は2価の有機基を示す。)で表される繰り返し構造を含んでも良い。
【0026】
前記一般式(VIII)におけるR13で示される4価の有機基とは、ジアミンと反応して、ポリイミド前駆体の構造を形成しうる、テトラカルボン酸、その二無水物またはそれらの誘導体の残基であり、4価の芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が4〜40のものがより好ましく、炭素原子数が6〜40の4価の芳香族基がさらに好ましい。4価の芳香族基としては、4個の結合部位はいずれも芳香環上に存在するものが好ましい。これらの結合部位は、2組の2個の結合部位に分けられ、その2個の結合部位が芳香環のオルト位またはペリ位に位置するものが好ましい。前記の2組は同一の芳香環に存在してもよいし、例えば、単結合、−O−、−SO2−、−CO2−、−C(CF3)2−等の各種結合を介して結合している別々の芳香環に存在してもよい。また、R13は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。
【0027】
前記一般式(VIII)におけるR14で示される2価の有機基とは、テトラカルボン酸、その二無水物またはそれらの誘導体と反応してポリイミド前駆体の構造を形成しうる、ジアミンのアミノ基を除いた残基であり、2価の芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が2〜40のものがより好ましく、炭素原子数が6〜40の芳香族基がさらに好ましい。ここで、芳香族基としては、その2個の結合部位が芳香環上に存在するものが好ましく、この場合2個の結合部位は同一の芳香環に存在してもよいし、例えば、単結合、−O−、−SO2−、−CO2−、−C(CF3)2−等の各種結合を介して結合している別々の芳香環に存在してもよい。また、R14は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。フェノール性水酸基がアミノ基のオルト位に存在する場合は、加熱によりオキサゾール環を形成しうる。
【0028】
前記一般式(IX)におけるR15で表される2価の有機基とは、ジアミンと反応してポリアミドの構造を形成しうる、ジカルボン酸またはそれらの誘導体の残基であり、芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が2〜40のものがより好ましく、炭素原子数が6〜40の2価の芳香族基がさらに好ましい。ここで、芳香族基としては、その2個の結合部位が芳香環上に存在するものが好ましく、この場合2個の結合部位は同一の芳香環に存在してもよいし、例えば、単結合、−O−、−SO2−、−CO2−、−C(CF3)2−等の各種結合を介して結合している別々の芳香環に存在してもよい。また、R15は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。
【0029】
前記一般式(IX)におけるR16で表される2価の有機基とは、ジカルボン酸またはそれらの誘導体と反応してポリアミドの構造を形成しうる、ジアミンのアミノ基を除いた残基であり、芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が2〜40のものがより好ましく、炭素原子数が6〜40の2価の芳香族基がさらに好ましい。ここで、芳香族基としては、その2個の結合部位が芳香環上に存在するものが好ましく、この場合2個の結合部位は同一の芳香環に存在してもよいし、例えば、単結合、−O−、−SO2−、−CO2−、−C(CF3)2−等の各種結合を介して結合している別々の芳香環に存在してもよい。また、R16は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。
【0030】
前記一般式(X)におけるR17で表される2価の有機基とは、フェノール性水酸基を有するジアミンと反応してポリベンゾオキサゾールの構造を形成しうる、ジカルボン酸またはそれらの誘導体の残基であり、芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が2〜40のものがより好ましく、芳香族基がさらに好ましく、フェノール性水酸基等の酸性基を含んでいても良い。ここで、芳香族基としては、その2個の結合部位が芳香環上に存在するものが好ましく、この場合2個の結合部位は同一の芳香環に存在しても異なった芳香環に存在してもよい。また、R17は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。
【0031】
前記一般式(X)におけるR18で表される4価の有機基とは、ジカルボン酸またはそれらの誘導体と反応してポリベンゾオキサゾールの構造を形成しうる、フェノール性水酸基を有するジアミンの残基であり、4価の芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が4〜40のものがより好ましく、炭素原子数が6〜40の4価の芳香族基がさらに好ましい。4価の芳香族基としては、4個の結合部位はいずれも芳香環上に存在するものが好ましい。1組の窒素原子との結合部位と酸素原子の結合部位は、芳香環のオルト位に位置するものが好ましい。1組の窒素原子との結合部位と酸素原子の結合部位は、他のもう1組の結合部位と同一の芳香環に存在してもよいし、例えば、単結合、−O−、−SO2−、−CO2−、−C(CF3)2−等の各種結合を介して結合している別々の芳香環に存在してもよい。また、R18は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。
【0032】
前記一般式(XI)におけるR19で示される3価の有機基とは、ジアミンと反応して、ポリアミドイミド前駆体の構造を形成しうる、トリカルボン酸またはそれらの誘導体の残基であり、3価の芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が4〜40のものがより好ましく、炭素原子数が6〜40の4価の芳香族基がさらに好ましい。3価の芳香族基としては、3個の結合部位はいずれも芳香環上に存在するものが好ましい。これらの結合部位のうち、2個の結合部位が芳香環のオルト位に位置するものが好ましい。また、R 19 は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。
【0033】
前記一般式(XI)におけるR20で表される2価の有機基とは、トリカルボン酸またはそれらの誘導体と反応してポリアミドイミド前駆体の構造を形成しうる、ジアミンのアミノ基を除いた残基であり、芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が2〜40のものがより好ましく、炭素原子数が6〜40の3価の芳香族基がさらに好ましく、フェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基を含んでいても良い。ここで、芳香族基としては、その2個の結合部位が芳香環上に存在するものが好ましく、この場合2個の結合部位は同一の芳香環に存在してもよいし、例えば、単結合、−O−、−SO2−、−CO2−、−C(CF3)2−等の各種結合を介して結合している別々の芳香環に存在してもよい。また、R20は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。
【0034】
前記一般式(XI)におけるR21は水素原子または一価の有機基であり、一価の有機基としては、炭素原子数1〜20のものが好ましい。
【0035】
前記一般式(XII)におけるR22で示される3価の有機基とは、ジアミンと反応して、ポリアミドイミドの構造を形成しうる、トリカルボン酸またはそれらの誘導体の残基であり、3価の芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が4〜40のものがより好ましく、炭素原子数が4〜40の4価の芳香族基がさらに好ましい。3価の芳香族基としては、3個の結合部位はいずれも芳香環上に存在するものが好ましい。これらの結合部位のうち、2個の結合部位が芳香環のオルト位に位置するものが好ましい。また、R22は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。
【0036】
前記一般式(XII)におけるR22で表される2価の有機基とは、トリカルボン酸またはそれらの誘導体と反応してポリアミドイミドの構造を形成しうる、ジアミンのアミノ基を除いた残基であり、芳香族基または脂肪族基が好ましく、炭素原子数が2〜40のものがより好ましく、芳香族基がさらに好ましい。ここで、芳香族基としては、その2個の結合部位が芳香環上に存在するものが好ましく、この場合2個の結合部位は同一の芳香環に存在しても異なった芳香環に存在してもよい。また、R22は必要に応じてフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基や保護された酸性基を含んでも良い。
【0037】
また、本発明における(a)成分は、前記一般式(II)で表される繰り返し構造を50%以上含むことが好ましい。一般式以外の繰り返し構造としては、前記一般式(I)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)および(XII)で表される構造を含んでも良い。
【0038】
本発明における(a)成分は、保護されたアミノ基を末端として含むことが好ましい。ここで保護されたアミノ基とは、アミド、スルホン酸アミド等の構造を含む基に変換されたものを示す。
また、(a)成分がジアミン成分より多いモル数の酸成分を使用し合成されることが好ましい。この場合、酸成分とはテトラカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸またはそれらの誘導体の総和を意味する。
【0039】
さらに(a)成分は、前記一般式(III)または(IV)で表されることが好ましい。
前記一般式(III)において、R1、R2およびR3は前記一般式(I)と同義である。R6は水素原子または1価の有機基を示し、1価の有機基としては炭素原子数1〜20のものがより好ましい。R7は1価の有機基を示し、炭素原子数1〜20のものが好ましい。
mは1以上の整数を示す。
【0040】
前記一般式(IV)において、R4およびR5は前記一般式(II)と同義である。R7は前記一般式(III)と同義である。R8およびR9はヒドロキシ基、1価のアルコキシ基または結合した−O−を示し、1価のアルコキシ基としては、炭素原子数1〜20のものがより好ましい。nは1以上の整数を示す。
【0041】
(a)成分の保護されたアミノ基は400℃以下の加熱処理により保護基の脱離を起こしうることが好ましい。また、保護されたアミノ基が前記一般式(V)、(VI)および(VII)で表されることが好ましい。
【0042】
前記一般式(V)において、R10は1価の有機基を示し、炭素原子数1〜20のものが好ましい。
前記一般式(VI)において、R11は1価の有機基を示し、炭素原子数1〜20のものが好ましい。
前記一般式(VII)において、R12は1価の有機基を示し、炭素原子数1〜20のものが好ましい。
【0043】
(a)成分の保護された酸性基がテトラヒドロピラニル基、アルコキシメチル基、アルコキシエチル基、t−ブトキシカルボニル基またはt−ブチルエステル基を含むことが好ましい。
【0044】
(a)成分の分子量としては、重量平均分子量で2,000〜200,000が好ましく、4,000〜100,000がより好ましい。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算し、値を得ることができる。
【0045】
本発明において(a)成分は、例えば、テトラカルボン酸ジエステルジハライド(クロリド、ブロミド等)とフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基を有するジアミン、さらに必要に応じて酸性基を有しないジアミンを反応させた後、酸性基を保護して得ることができる。この際、ジアミンのアミノ基の一部を保護するか、使用するテトラカルボン酸ジエステルジハライドのモル数をジアミンより多くすることが好ましい。テトラカルボン酸ジエステルジハライドとフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基を有するジアミンの反応は脱ハロゲン酸剤の存在下に、有機溶媒中で行うことが好ましい。
【0046】
前記テトラカルボン酸ジエステルジハライドとしては、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドが好ましい。テトラカルボン酸ジエステルジクロリドは、テトラカルボン酸二無水物とアルコール化合物を反応させて得られるテトラカルボン酸ジエステルと塩化チオニルを反応させて得ることができる。
【0047】
前記テトラカルボン酸二無水物としては、例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物等の芳香族系テトラカルボン酸二酸無水物が好ましく、これらを単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。また、例えば、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のフェノール性水酸基を有するジアミン1モルと無水トリメリット酸クロリド2モルを反応させたもの等も使用することができる。
【0048】
前記テトラカルボン酸ジエステルの原料となるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール等のアルキルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール等が好ましく、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
前記テトラカルボン酸ジエステル化合物を合成する方法としては、例えば、テトラカルボン酸二無水物と前記アルコール化合物を有機溶剤中、塩基の存在下混合することにより得られる。
テトラカルボン酸二無水物とアルコール化合物の割合(モル比)は、前者/後者で1/2〜1/2.5の範囲とするのが好ましく、1/2とすることが最も好ましい。また、テトラカルボン酸二無水物と塩基の割合(モル比)は、前者/後者で1/0.001〜1/3の範囲とするのが好ましく、1/0.005〜1/2とすることがより好ましい。この反応温度は10〜60℃が好ましく、反応時間は3〜24時間が好ましい。
【0050】
テトラカルボン酸ジエステルジクロリドを合成する方法は公知であり、例えば、有機溶剤に溶解したジカルボン酸やテトラカルボン酸ジエステルに塩化チオニルを滴下して反応させて得られる。ジカルボン酸またはテトラカルボン酸ジエステルと塩化チオニルの割合(モル比)は、前者/後者で1/1.1〜1/2.5の範囲とするのが好ましく、1/1.4〜1/2.2の範囲とするのがより好ましい。反応温度は−20〜40℃が好ましく、反応時間は1〜10時間が好ましい。
【0051】
前記酸性基を有するジアミンとしては、例えば、1,3−ジアミノ−4−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−5−ヒドロキシベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のフェノール性水酸基を有する芳香族系ジアミンが好ましく、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
さらに、2,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノテレフタル酸、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メチレン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)エーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジカルボキシ−2,2’−ジメチルビフェニル等のカルボキシル基を有するジアミンを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
前記酸性基を有しないジアミンは、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、ベンジシン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル等の芳香族ジアミン化合物や1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン等が好ましく、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
前記のフェノール性水酸基を有するジアミン、カルボキシル基を有するジアミンおよび酸性基を有しないジアミンは2種以上併用することができる。
【0055】
(a)成分が保護されたアミノ基を含む場合は、ジアミンの一部をアセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ブチリルクロリド、クロログリオキシル酸メチル、クロログリオキシル酸エチル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸プロピル、クロロギ酸ブチル、クロロギ酸ベンジル、クロロギ酸フェニル、二炭酸ジt−ブチル、ベンゼンスルホン酸クロリド、p−トルエンスルホン酸クロリド、メタンスルホン酸クロリド、エタンスルホン酸クロリド、ピバリン酸クロロメチル、ベンジルブロミドおよびこれらの炭素数1〜4のアルキル基、−ORa、−COORa、−CORa(ここで、Raは炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基を表す。)、ハロゲン基置換体等の保護化剤と必要に応じてトリエチルアミン等の脱ハロゲン酸剤を加えて反応させた後、テトラカルボン酸ジエステルジハライドと反応させることが好ましい。ジアミンと保護化剤の割合(モル比)は、前者/後者で1/0.05〜1/2の範囲とするのが好ましい。保護化剤と脱ハロゲン酸剤の割合(モル比)は、前者/後者で1/0.95〜0.95/1の範囲とするのが好ましい。反応温度は0〜80℃が好ましく、反応時間は1分〜24時間が好ましい。
【0056】
テトラカルボン酸ジエステルジハライドとジアミンの反応は、例えば、前記酸性基を有するジアミンとピリジン等の脱ハロゲン酸剤を有機溶剤に溶解し、有機溶剤に溶解したテトラカルボン酸ジエステルジハライドを滴下して行われる。その後、水等の貧溶剤に投入し、析出物をろ別、乾燥することによりポリアミド酸エステルが得られる。ジアミンのアミノ基の一部を保護した場合、ジアミンの総量とテトラカルボン酸ジエステルジハライドの総量の割合(モル比)は、前者/後者で0.8/1〜1/0.8の範囲が好ましく、ジアミンのアミノ基の一部を保護しない場合は、0.5/1〜0.99/1の範囲が好ましい。反応温度は−20〜40℃が好ましく、反応時間は1〜10時間が好ましい。脱ハロゲン酸剤と、ジカルボン酸クロリドとテトラカルボン酸ジエステルジハライドの総量の割合は、前者/後者(モル比)が、1.9/1〜2.1/1の範囲が好ましい。
【0057】
酸性基の保護には、例えば、2,3−ジヒドロフラン、2,5−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、2,−クロロテトラヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−4H−ピラン、2,3−ジヒドロ−6H−ピラン、3,4−ジヒドロ−α−ピラン、2,3−ジヒドロ−γ−ピラン、クマリン、クロロメチルメチルエーテル、クロロメチルメチルエーテル、クロロメチルプロピルエーテル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、二炭酸−ジt−ブチル、イソブテンおよびこれらの炭素数1〜4のアルキル基、−CHO、−CH2OH、−OH、−ORb、−COORb、−CORb(ここで、Rbは炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基を表す。)、ハロゲン基置換体等の保護化剤が用いられる。
【0058】
前記ポリアミド酸エステルと酸性基の保護化剤の反応は、例えば、ポリアミド酸を有機溶剤に溶解し、酸性基の保護化剤を滴下して、さらに必要に応じて塩酸等の酸触媒やトリエチルアミン等の脱ハロゲン酸剤を加えることが好ましい。その後、水等の貧溶剤に投入し、析出物をろ別、乾燥することにより、目的のポリイミド前駆体が得られる。ポリアミド酸エステルの酸性基と酸性基の保護化剤の割合(モル比)は、前者/後者で1/0.2〜1/20の範囲が好ましい。酸性基の保護化剤と酸触媒または脱ハロゲン酸の割合(モル比)は、前者/後者で1/0.001〜1/1.2の範囲が好ましい。反応温度は0〜80℃が好ましく、反応時間は10分〜48時間が好ましい。
【0059】
また、(a)成分は例えば、前記テトラカルボン酸二無水物と前記ジアミンを反応させ、ポリアミド酸を合成し、前記酸性基の保護化剤を反応させて得ることができる。この際、前記と同様の方法でジアミンのアミノ基の一部を保護するか、使用するテトラカルボン酸二無水物のモル数をジアミンより多くすることが好ましい。反応は有機溶媒中で行うことが好ましい。
【0060】
ポリアミド酸の合成は、例えば、ジアミンを有機溶剤に溶解し、テトラカルボン酸二無水物を加えることが好ましい。ジアミンのアミノ基の一部を保護した場合、ジアミンの総量とテトラカルボン酸二無水物の総量の割合(モル比)は、前者/後者で0.8/1〜1/0.8の範囲が好ましく、ジアミンのアミノ基の一部を保護しない場合は、0.5/1〜0.99/1の範囲が好ましい。反応温度は10〜100℃が好ましく、反応時間は20分〜48時間が好ましい。
【0061】
ポリアミド酸と酸性基の保護化剤の反応は、例えば、前記ポリアミド酸を合成した溶液に酸性基の保護化剤を滴下し、さらに必要に応じて塩酸等の酸触媒やトリエチルアミン等の脱ハロゲン酸を加えて行われる。その後、水等の貧溶剤に投入し、析出物をろ別、乾燥することにより、目的のポリイミド前駆体が得られる。ポリアミド酸の酸性基と酸性基の保護化剤の割合(モル比)は、前者/後者で1/0.2〜1/20の範囲が好ましい。酸性基の保護化剤と酸触媒の割合(モル比)は、前者/後者で1/0.001〜1/1の範囲が好ましい。反応温度は0〜80℃が好ましく、反応時間は10分〜48時間が好ましい。
【0062】
さらに(a)成分は例えば、前記テトラカルボン酸二無水物と前記ジアミンを反応させ、ポリアミド酸を合成し、加熱によるイミド化後、前記酸性基の保護化剤を反応させて得ることができる。この際、イミド化後に存在するアミノ基を保護するか、使用するテトラカルボン酸二無水物のモル数をジアミンより多くすることが好ましい。反応は有機溶媒中で行うことが好ましい。ジアミンのアミノ基の一部を保護した場合、ジアミンの総量とテトラカルボン酸二無水物の総量の割合(モル比)は、前者/後者で0.8/1〜1/0.8の範囲が好ましく、ジアミンのアミノ基の一部を保護しない場合は、0.5/1〜0.99/1の範囲が好ましい。
【0063】
ポリアミド酸のイミド化は、例えば、前記と同様に有機溶剤中で合成したポリアミド酸をキシレン等の存在下に加熱し、イミド化反応により生成する水をキシレンと供沸により除去することが好ましい。反応温度は100〜300℃が好ましく、反応時間は20分〜48時間が好ましい。酸性基の保護は、前記と同様の方法で行うのが好ましい。
【0064】
(a)成分の合成では、テトラカルボン酸、その二無水物およびそれらの誘導体の50%未満を、ジカルボン酸およびその誘導体またはトリカルボン酸およびその誘導体に置き換えても良い。
【0065】
前記ジカルボン酸化合物としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ベンゾフェノン−2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、2,2’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジカルボキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、2,2’−ジカルボキシジフェニルメタン、4,4’−ジカルボキシジフェニルプロパン、2,2’−ジカルボキシジフェニルプロパン、4,4’−ジカルボキシジフェニルヘキサフルオロプロパン、2,2’−ジカルボキシジフェニルヘキサフルオロプロパン等の芳香族系ジカルボン酸が好ましく、これらから合成されるジカルボン酸クロリドを単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0066】
ジカルボン酸ジエステルジクロリドを合成する方法は公知であり、例えば、有機溶剤に溶解したジカルボン酸に塩化チオニルを滴下して反応させて得られる。ジカルボン酸と塩化チオニルの割合(モル比)は、前者/後者で1/1.1〜1/2.5の範囲とするのが好ましく、1/1.4〜1/2.2の範囲とするのがより好ましい。反応温度は−20〜40℃が好ましく、反応時間は1〜10時間が好ましい。
【0067】
前記トリカルボン酸化合物としては、トリメリット酸クロリドが好ましい。
以上に記述した以外にも(a)成分を合成する公知の方法があり、それらの方法を用いても良い。
【0068】
本発明に使用される(b)成分である光により酸を発生する化合物は、感光剤であり、発生させた酸が、(a)成分の保護された酸性基を脱保護反応により酸性基に戻し、光の照射部のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有するものである。その種類としては、アリルジアゾニウム塩、ジアリルヨードニウム塩、トリアリルスルホニウム塩、イミドスルホネート化合物、ニトロベンジル化合物、s−トリアジン化合物、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホニウム化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、ベンゼンジアゾニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウム9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホナート、トリス(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、N−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート、p−ニトロベンジル−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホナート、4−メトキシ−α−[[[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ]イミノ]ベンゼンアセトニトリル、2−(2’−フリルエテニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル等が使用できる。なお、これらの化合物は市販品として入手することができる。
【0069】
前記o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルは、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロリドとヒドロキシ化合物を有機溶媒中で脱塩化水素剤の存在下に反応させて得られる。
【0070】
前記ヒドロキシ化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン,2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4b,5,9b,10−テトラヒドロ−1,3,6,8−テトラヒドロキシ−5,10−ジメチルインデノ[2,1−a]インデン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が使用できる。
【0071】
o−キノンジアジド−4−スルホン酸クロリドとヒドロキシ化合物の割合(モル比)は、前者/後者で0.5/1〜1/1の範囲が好ましい。脱塩化水素剤とo−キノンジアジド−4−スルホン酸クロリドの割合(モル比)は、前者/後者で0.95/1〜1/0.95が好ましい。好ましい反応温度は0〜40℃、好ましい反応時間は1〜10時間とされる。
【0072】
反応溶媒としては、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N−メチルピロリドン等の溶媒が用いられる。
脱塩酸剤としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等があげられる。
【0073】
本発明の感光性重合体組成物において、(b)成分の配合量は、露光部と未露光部の溶解速度差と、感度の許容幅の点から、(a)成分100重量部に対して0.05〜100重量部が好ましく、0.1〜40重量部がより好ましい。
本発明の感光性重合体組成物は、前記(a)成分、(b)成分やその他の成分を溶剤に溶解して得ることができる。
【0074】
溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶剤が好ましく、これらを単独でまたは2種以上併用して用いられる。
また、塗布性向上のため、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセラート等の溶剤を併用することができる。
【0075】
本発明の耐熱性感光性重合体組成物には、必要に応じて感度向上や現像時間短縮のため、フェノール性水酸基を有する化合物を使用しても良い。フェノール性水酸基を有する化合物の具体例としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’,4”−メチリデントリスフェノール、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)エタン、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4’,4”,4’’’−(1,2−エタンジリデン)テトラキスフェノール、2,2’−メチレンビス[6−[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、3,3'−メチレンビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンメタノール)、4,4'−(1−メチルエチリデン)ビス[2−メチル−6−ヒドロキシメチルフェノール]、3,3',5,5',−テトラキス(ヒドロキシメチル)[(1,1'−ビフェニル)−4,4'−ジオール]、4,4'−(1−メチルエチリデン)ビス[2,6−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール]、2,2'−メチレンビス(4,6−ビスヒドロキシメチルフェノール)、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール等が挙げられる。
本発明の感光性重合体組成物において、フェノール性水酸基を有する化合物の配合量は、現像時間と、未露光部残膜率の許容幅の点から、(a)成分100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、5〜20重量部がより好ましい。
【0076】
本発明においては、前記フェノール性水酸基を有する化合物とともに、アルカリ水溶液に対する(a)成分の溶解を阻害する効果のある化合物を用いることもできる。(a)成分の溶解を阻害する効果のある化合物を使用することにより、アルカリ水溶液で現像する際の未露光部の溶解速度が減少し、フェノール性水酸基を有する化合物の効果と相まって露光部と未露光部の溶解度差が増大し、優れたパターンを形成することができる。具体的には、ジフェニルヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムブロマイド、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヨーダイト等が使用できる。なお、これらの化合物は市販品として入手することができる。
【0077】
本発明の感光性重合体組成物において、アルカリ水溶液に対する(a)成分の溶解を阻害する効果のある化合物の配合量は、感度と現像時間の許容幅の点から、(a)成分100重量部に対して0.01〜15重量部が好ましく、0.05〜10重量部がより好ましい。
【0078】
本発明の耐熱性感光性重合体組成物には、さらに必要に応じて接着助剤として、有機シラン化合物、アルミキレート化合物を含むことができる。
【0079】
有機シラン化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン等があげられる。
アルミキレート化合物としては、例えば、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、アセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート等があげられる。
【0080】
接着助剤を用いる場合は、(a)成分100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
【0081】
本発明の感光性重合体組成物は、支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、現像する工程および加熱処理する工程を経て、ポリイミドのレリーフパターンとすることができる。
支持基板上に塗布し乾燥する工程では、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO2、SiO2等)、窒化ケイ素等の支持基板上に、この感光性重合体組成物をスピンナー等を用いて回転塗布後、ホットプレート、オーブン等を用いて乾燥する。
【0082】
次いで、露光工程では、支持基板上で被膜となった感光性重合体組成物に、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線等の活性光線を照射する。これらのうち、高い解像度のパターンを形成できるので、中でもi線(365nmの単色光)を用いた露光が好ましい。
現像工程では、露光部を現像液で除去することによりレリーフパターンが得られる。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ水溶液があげられる。これらの水溶液の塩基濃度は、0.1〜10重量%とされることが好ましい。
【0083】
さらに上記現像液にアルコール類や界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲で配合することができる。
次いで、加熱処理工程では、得られたレリーフパターンに好ましくは150〜450℃の加熱処理をすることにより、イミド環や他に環状基を持つ耐熱性ポリイミドのレリーフパターンになる。
【0084】
本発明の感光性重合体組成物は、半導体装置や多層配線板等の電子部品に使用することができ、具体的には、半導体装置の表面保護膜や層間絶縁膜、多層配線板の層間絶縁膜等の形成に使用することができる。
本発明の半導体装置は、前記組成物を用いて形成される表面保護膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
【0085】
本発明の半導体装置を製造する工程の一例を以下に説明する。
図1は多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。図において、回路素子を有するSi基板等の半導体基板は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜等の保護膜2で被覆され、露出した回路素子上に第1導体層が形成されている。前記半導体基板上にスピンコート法等で層間絶縁膜としてのポリイミド樹脂等の膜4が形成される(工程(a))。
【0086】
次に塩化ゴム系またはフェノールノボラック系の感光性樹脂層5が前記層間絶縁膜4上にスピンコート法で形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜4が露出するように窓6Aが設けられている(工程(b))。
前記窓6Aの層間絶縁膜4は、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段によって選択的にエッチングされ、窓6Bがあけられている。ついで窓6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光樹脂層5が完全に除去される(工程(c))。
【0087】
さらに公知の写真食刻技術を用いて、第2導体層7を形成させ、第1導体層3との電気的接続が完全に行われる(工程(d))。
3層以上の多層配線構造を形成する場合は、上記の工程を繰り返して行い各層を形成することができる。
【0088】
次に表面保護膜8が形成される。この図の例では、この表面保護膜を前記感光性重合体組成物をスピンコート法にて塗布、乾燥し、所定部分に窓6Cを形成するパターンを描いたマスク上から光を照射した後アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成し、加熱してポリイミド膜とする。このポリイミド膜は、導体層を外部からの応力、α線等から保護するものであり、得られる半導体装置は信頼性に優れる。
なお、上記例において、層間絶縁膜を本発明の感光性重合体組成物を用いて形成することも可能である。
【0089】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。なお、実施例では有機溶剤は脱水処理したものを用い、ポリマの合成操作は、窒素雰囲気下で行った。
参考例1
攪拌機、温度計を備えた1リットルのフラスコ中に、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物83.76g(0.270モル)、イソプロピルアルコール32.45g(0.540モル)、トリエチルアミン0.82g(0.0081モル)、N−メチルピロリドン(NMP)348.63gを仕込み、室温で120時間攪拌し反応させて、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジイソプロピルエステルを合成した。次いで、フラスコを0℃に冷却し、塩化チオニル64.24g(0.540モル)を滴下し30分反応させて、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジイソプロピルエステルジクロリドのNMP溶液(α)を得た。
【0090】
攪拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた1リットルのフラスコ中に、NMP367.08gを仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン80.58g(0.220モル)を添加し攪拌溶解した後、ベンジルブロミド8.28g(0.0484モル)とトリエチルアミン4.90g(0.0484モル)を添加し、温度を80℃に加温し30時間反応させ、一部のアミノ基を保護したビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンのNMP溶液(β)を得た。
【0091】
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、一部のアミノ基を保護したビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンのNMP溶液(β)209.5g(0.100モル相当)とピリジン28.48g(0.360モル)を添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジイソプロピルエステルジクロリドのNMP溶液(α)176.64g(0.090モル相当)を40分間で滴下した後、1時間攪拌を続けた。溶液を4リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体(P−1)69gを得た。
【0092】
得られたポリイミド前駆体(P−1)50.00g(フェノール性水酸基が0.135モル程度)を攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に仕込み、NMP200.00gを加えて溶解し、3,4−ジヒドロ−2−ピラン147.93g(1.759モル)とp−トルエンスルホン酸(一水和物)2.57g(0.014モル)を加え、室温で2時間反応させた。溶液を4リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体(P−2)を得た。GPC(カラム:日立化成(株)製GL−S300MDT−5)を用いて測定した重量平均分子量は、23,300だった。H−NMR(BRUKER製AMX400)により測定した、保護された酸性基の割合は65%であり、ポリマ末端のアミノ基は実質ないと判断された。
【0093】
ポリイミド前駆体(P−2)10.00g、ジフェニルヨードニウム9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホナート0.50g、尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液0.80gを、γ−ブチロラクトン16.32gに攪拌溶解した。この溶液を3μm孔のテフロンフィルタを用いて加圧濾過して感光性重合体組成物を得た。
【0094】
得られた感光性重合体組成物をシリコンウエハ上にコータトラック(TEL製MarkVII)を使用して回転塗布し、ホットプレート上100℃で2分間加熱乾燥を行い、12.3μmの塗膜を得た。この塗膜に露光機としてi線ステッパ(キャノン製FPA3000iW)を用い、レティクルを介し、露光量を100mJ/cm2から1500mJ/cm2の間で段階的に変え、光照射を行った。次いで、ホットプレート上120℃で3分間加熱処理を行った後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%水溶液を現像液とし280秒間パドル現像を行い、純水で洗浄してレリーフパターンを得た。金属顕微鏡で観察し、100μmの正方形パターンが開口した露光量を感度とした。現像後の未露光部膜厚は9.8μmで残膜率は80%であり、感度は260mJ/cm2と判断された。得られたレリーフパターンを窒素雰囲気下350℃で1時間加熱処理したところ、ポリイミド膜のパターンが得られた。
【0095】
参考例2
攪拌機、温度計を備えた0.3リットルのフラスコ中に、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル12.91g(0.050モル)とNMP73.17gを仕込み、室温で攪拌溶解した後、フラスコを0℃に冷却し、塩化チオニル11.90g(0.100モル)を滴下し30分反応させて、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテルジクロリドのNMP溶液(γ)を得た。
【0096】
次いで、攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、実施例1で得られた一部のアミノ基を保護したビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンのNMP溶液(β)209.5g(0.100モル相当)とピリジン28.48g(0.360モル)を添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、実施例1で得られた3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジイソプロピルエステルジクロリドのNMP溶液(α)117.76g(0.060モル相当)と4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテルジクロリドのNMP溶液(γ)58.78g(0.030モル相当)の混合溶液を40分間で滴下した後、1時間攪拌を続けた。溶液を4リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体(P−3)62gを得た。
【0097】
得られたポリイミド前駆体(P−3)50.00g(フェノール性水酸基が0.150モル程度)を攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に仕込み、NMP200.00gを加えて溶解し、3,4−ジヒドロ−2−ピラン164.19g(1.952モル)とp−トルエンスルホン酸(一水和物)2.86g(0.015モル)を加え、室温で2時間反応させた。溶液を4リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体(P−4)を得た。重量平均分子量は24,800であり、保護された酸性基の割合は69%であり、ポリマ末端のアミノ基は実質ないと判断された。
【0098】
ポリイミド前駆体(P−4)10.00g、ジフェニルヨードニウム9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホナート0.50g、尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液0.80gを、γ−ブチロラクトン16.32gに攪拌溶解した。この溶液を3μm孔のテフロンフィルタを用いて加圧濾過して感光性重合体組成物を得た。
【0099】
得られた感光性重合体組成物に関し、現像時間を260秒に変えた以外は、実施例1と同様の評価を行った。残膜率は83%であり、感度は280mJ/cm2と判断された。得られたレリーフパターンを窒素雰囲気下350℃で1時間加熱処理したところ、ポリイミド膜のパターンが得られた。
【0100】
比較例1
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.63g(0.100モル)とNMP166.85gを仕込み、室温で溶解した後、温度を0〜5℃に保ちながら、実施例1で得た3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジイソプロピルエステルジクロリドのNMP溶液(α)176.64g(0.090モル相当)を40分間で滴下した後、1時間攪拌を続けた。溶液を4リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体(P−5)67gを得た。
【0101】
得られたポリイミド前駆体(P−5)50.00g(フェノール性水酸基が0.139モル程度)を攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に仕込み、NMP200.00gを加えて溶解し、3,4−ジヒドロ−2−ピラン151.63g(1.803モル)とp−トルエンスルホン酸(一水和物)2.64g(0.014モル)を加え、室温で2時間反応させた。溶液を4リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体(P−6)を得た。重量平均分子量は22,900であり、保護された酸性基の割合は71%であり、ポリマ末端のアミノ基は明らかに存在すると判断された。
【0102】
ポリイミド前駆体(P−6)10.00g、ジフェニルヨードニウム9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホナート0.50g、尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液0.80gを、γ−ブチロラクトン16.32gに攪拌溶解した。この溶液を3μm孔のテフロンフィルタを用いて加圧濾過して感光性重合体組成物を得た。
【0103】
得られた感光性重合体組成物に関し、現像時間を420秒に変えた以外は、実施例1と同様の評価を行った。残膜率は81%であり、感度は1020mJ/cm2と判断された。得られたレリーフパターンを窒素雰囲気下350℃で1時間加熱処理したところ、ポリイミド膜のパターンが得られた。
【0104】
参考例3
攪拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた0.5リットルのフラスコ中に、NMP207.08gを仕込み、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン22.35g(0.090モル)を添加し、攪拌溶解した後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(0.100モル)を添加し、70℃で1時間反応させ、ポリアミド酸のNMP溶液を得た。室温で20時間放置後、フラスコを0℃に冷却し、クロロメチルエチルエーテル13.24g(0.140モル)を滴下後、トリエチルアミン14.17g(0.140モル)を滴下し、1時間反応させた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体(P−7)を得た。重量平均分子量は22,500で、保護された酸性基の割合は55%であり、ポリマ末端のアミノ基は実質ないと判断された。なお、H−NMRの測定から、ポリイミド前駆体(P−7)の繰り返し構造の10%程度が前記一般式(II)で表されるイミドであると判断された。
【0105】
ポリイミド前駆体(P−7)10.00g、N−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート0.30g、尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液0.80gを、γ−ブチロラクトン16.32gに攪拌溶解した。この溶液を3μm孔のテフロンフィルタを用いて加圧濾過して感光性重合体組成物を得た。
【0106】
得られた感光性重合体組成物に関し、現像時間を80秒に変えた以外は、実施例1と同様の評価を行った。残膜率は87%で、感度は180mJ/cm2だった。得られたレリーフパターンを窒素雰囲気下350℃で1時間加熱処理したところ、ポリイミド膜のパターンが得られた。
【0107】
実施例1
攪拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた0.5リットルのフラスコ中に、NMP218.19gを仕込み、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン24.83g(0.100モル)を添加し、攪拌溶解した後、フラスコを0℃に冷却し、アセチルクロリド1.02g(0.013モル)を滴下後、トリエチルアミン1.32g(0.013モル)を滴下し、1時間反応させた。次いで、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.72g(0.101モル)を添加し、70℃で1時間反応させ、ポリアミド酸のNMP溶液を得た。室温で20時間放置後、フラスコを0℃に冷却し、クロロメチルエチルエーテル13.24g(0.140モル)を滴下後、トリエチルアミン14.17g(0.140モル)を滴下し、1時間反応させた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体(P−8)を得た。重量平均分子量は20,700で、保護された酸性基の割合は51%であり、ポリマ末端のアミノ基は実質ないと判断された。なお、H−NMRの測定から、ポリイミド前駆体(P−8)の繰り返し構造の12%程度が前記一般式(II)で表されるイミドであると判断された。
【0108】
ポリイミド前駆体(P−8)10.00g、4−メトキシ−α−[[[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ]イミノ]ベンゼンアセトニトリル0.50g、尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液0.80gを、γ−ブチロラクトン16.32gに攪拌溶解した。この溶液を3μm孔のテフロンフィルタを用いて加圧濾過して感光性重合体組成物を得た。
【0109】
得られた感光性重合体組成物に関し、現像時間を100秒に変えた以外は、実施例1と同様の評価を行った。残膜率は89%で、感度は200mJ/cm2だった。得られたレリーフパターンを窒素雰囲気下350℃で1時間加熱処理したところ、ポリイミド膜のパターンが得られた。
【0110】
比較例2
攪拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた0.5リットルのフラスコ中に、NMP91.60gを仕込み、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(0.100モル)、n−ブタノール1.11g(0.015モル)、トリエチルアミン0.30g(0.003モル)を加え、50℃で1時間反応させ、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン24.83g(0.100モル)とNMP129.86gを添加し、70℃で1時間反応させ、ポリアミド酸のNMP溶液を得た。室温で20時間放置後、フラスコを0℃に冷却し、クロロメチルエチルエーテル13.24g(0.140モル)を滴下後、トリエチルアミン14.17g(0.140モル)を滴下し、1時間反応させた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体(P−9)を得た。重量平均分子量は19,900で、保護された酸性基の割合は55%であり、ポリマ末端のアミノ基は明らかに存在すると判断された。なお、H−NMRの測定から、ポリイミド前駆体(P−9)の繰り返し構造の11%程度が前記一般式(II)で表されるイミドであると判断された。
【0111】
ポリイミド前駆体(P−9)10.00g、N−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート0.30g、尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液0.80gを、γ−ブチロラクトン16.32gに攪拌溶解した。この溶液を3μm孔のテフロンフィルタを用いて加圧濾過して感光性重合体組成物を得た。
【0112】
得られた感光性重合体組成物に関し、現像時間を240秒に変えた以外は、実施例1と同様の評価を行った。残膜率は89%で、感度は1080mJ/cm2だった。
【0113】
比較例3
攪拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた0.5リットルのフラスコ中に、NMP91.69gを仕込み、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(0.100モル)、グリコール酸1.14g(0.015モル)、トリエチルアミン0.30g(0.003モル)を加え、50℃で1時間反応させ、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン24.83g(0.100モル)とNMP129.89gを添加し、70℃で1時間反応させ、ポリアミド酸のNMP溶液を得た。室温で20時間放置後、フラスコを0℃に冷却し、クロロメチルエチルエーテル13.24g(0.140モル)を滴下後、トリエチルアミン14.17g(0.140モル)を滴下し、1時間反応させた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体(P−10)を得た。重量平均分子量は21,000で、保護された酸性基の割合は53%であり、ポリマ末端のアミノ基は明らかに存在すると判断された。なお、H−NMRの測定から、ポリイミド前駆体(P−10)の繰り返し構造の12%程度が前記一般式(II)で表されるイミドであると判断された。
【0114】
ポリイミド前駆体(P−10)10.00g、4−メトキシ−α−[[[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ]イミノ]ベンゼンアセトニトリル0.50g、尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液0.80gを、γ−ブチロラクトン16.32gに攪拌溶解した。この溶液を3μm孔のテフロンフィルタを用いて加圧濾過して感光性重合体組成物を得た。
【0115】
得られた感光性重合体組成物に関し、現像時間を140秒に変えた以外は、実施例1と同様の評価を行った。残膜率は85%で、感度は560mJ/cm2だった。
【0116】
実施例2
攪拌機、温度計及びジムロート冷却管を備えた1リットルのフラスコ中に、N−メチル−2−ピロリドン202.94g、キシレン50.74gを仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.63g(0.100モル)を添加し、攪拌溶解した後、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物31.02g(0.100モル)、水0.54g(0.030モル)を添加し、2時間攪拌後、フラスコを70℃に加熱し、6時間撹拌を続け、ポリアミド酸溶液を得た。
【0117】
次いで、フラスコに水分定量器を装着し、160℃で2時間加熱してイミド化反応により生成する水をキシレンと共沸させて除去し、ポリイミド溶液を得た。ここに二炭酸ジt−ブチル327.37g(1.500モル)を添加し、60℃で24時間撹拌した後、溶液を6リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥して目的のポリイミド(P−11)を得た。重量平均分子量は、25,300で、保護された酸性基の割合は46%であり、ポリマ末端のアミノ基は実質ないと判断された。
【0118】
ポリイミド(P−11)10.00g、p−ニトロベンジル−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホナート0.50g、尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液0.80gを、γ−ブチロラクトン11.42gとN−メチルピロリドン4.90gの混合溶液に攪拌溶解した。この溶液を3μm孔のテフロンフィルタを用いて加圧濾過して感光性重合体組成物を得た。
【0119】
得られた感光性重合体組成物に関し、実施例1と同様の評価を行った。残膜率は92%で、感度は320mJ/cm2だった。得られたレリーフパターンを窒素雰囲気下350℃で1時間加熱処理したところ、ポリイミド膜のパターンが得られた。
【0120】
実施例3
攪拌機、温度計及びジムロート冷却管を備えた1リットルのフラスコ中に、N−メチル−2−ピロリドン200.14g、キシレン50.04gを仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.63g(0.100モル)を添加し攪拌溶解した後、トリメリット酸クロリド2.11g(0.010モル)を添加し、ピリジン0.79g(0.010モル)を滴下した。続いて、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物28.54g(0.092モル)、水0.54g(0.030モル)を添加し、2時間攪拌後、フラスコを70℃に加熱し、6時間撹拌を続けた。溶液を室温に戻し、クロロギ酸フェニル3.13g(0.020モル)、トリエチルアミン2.02g(0.020モル)をそれぞれ滴下し、2時間撹拌した。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド(P−12)を得た。
【0121】
次いで、フラスコに水分定量器を装着し、160℃で2時間加熱してイミド化反応により生成する水をキシレンと共沸させて除去し、ポリイミド溶液を得た。溶液を室温に戻し、クロロギ酸フェニル3.13g(0.020モル)、トリエチルアミン2.02g(0.020モル)をそれぞれ滴下し、2時間撹拌した。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド(P−12)64gを得た。
【0122】
得られたポリイミド(P−12)50.00g(フェノール性水酸基が0.156モル程度)を攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に仕込み、NMP200.00gを加えて溶解し、ビニルエチルエーテル147.93g(1.759モル)とp−トルエンスルホン酸(一水和物)2.57g(0.014モル)を加え、室温で5時間反応させた。溶液を4リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド(P−13)を得た。重量平均分子量は22,800で、保護された酸性基の割合は57%であり、ポリマ末端のアミノ基は実質ないと判断された。
【0123】
ポリイミド(P−13)10.00g、p−ニトロベンジル−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホナート0.50g、ビスフェノールA0.50g、尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液0.80gを、γ−ブチロラクトン11.42gとN−メチルピロリドン4.90gの混合溶液に攪拌溶解した。この溶液を3μm孔のテフロンフィルタを用いて加圧濾過して感光性重合体組成物を得た。
【0124】
得られた感光性重合体組成物に関し、現像時間を300秒に変えた以外は、実施例1と同様の評価を行った。残膜率は92%で、感度は340mJ/cm2だった。得られたレリーフパターンを窒素雰囲気下350℃で1時間加熱処理したところ、ポリイミド膜のパターンが得られた。
【0125】
比較例4
攪拌機、温度計及びジムロート冷却管を備えた1リットルのフラスコ中に、N−メチル−2−ピロリドン193.64g、キシレン48.41gを仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.63g(0.100モル)を添加し、攪拌溶解した後、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物27.92g(0.090モル)を添加し、6時間撹拌を続け、ポリアミド酸溶液を得た。
【0126】
次いで、フラスコに水分定量器を装着し、160℃で2時間加熱してイミド化反応により生成する水をキシレンと共沸させて除去し、ポリイミド溶液を得た。ここにビニルエチルエーテル197.52g(2.739モル)とp−トルエンスルホン酸(一水和物)4.01g(0.021モル)を加え、室温で5時間反応させた。溶液を5リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド(P−14)を得た。重量平均分子量は20,500で、保護された酸性基の割合は55%であると判断された。
【0127】
ポリイミド(P−14)10.00g、p−ニトロベンジル−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホナート0.50g、尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液0.80gを、γ−ブチロラクトン11.42gとN−メチルピロリドン4.90gの混合溶液に攪拌溶解した。この溶液を3μm孔のテフロンフィルタを用いて加圧濾過して感光性重合体組成物を得た。
【0128】
得られた感光性重合体組成物に関し、現像時間を480秒に変えた以外は、実施例1と同様の評価を行った。残膜率は92%で、感度は1240mJ/cm2だった。得られたレリーフパターンを窒素雰囲気下350℃で1時間加熱処理したところ、ポリイミド膜のパターンが得られた。
【0129】
実施例4
攪拌機、温度計、ジムロート冷却管を備えた0.3リットルのフラスコ中に、NMP100.66gを仕込み、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10.01g(0.100モル)を添加し、攪拌溶解した後、p−トルエンスルホン酸クロリド0.86g(0.015モル)を滴下後、トリエチルアミン0.76g(0.015モル)を滴下し、1時間反応させた。次いで、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物15.15g(0.103モル)を添加し、70℃で1時間反応させた。室温で20時間放置後、生成したトリエチルアミン塩酸塩をろ別し、ポリアミド酸のNMP溶液を得た。
【0130】
次いで、このポリアミド酸のNMP溶液を0.3リットルのオートクレーブに移し、イソブテン56.11g(1.000モル)とp−トルエンスルホン酸(一水和物)4.01g(0.021モル)を加え、室温で36時間反応させた。溶液を2リットルの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリイミド前駆体(P−15)を得た。重量平均分子量は19,100で、保護された酸性基の割合は47%であり、ポリマ末端のアミノ基は実質ないと判断された。
【0131】
ポリイミド前駆体(P−15)10.00g、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンとナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリドを1/2.5のモル比で反応させたオルトキノンジアジド化合物0.90g、尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液0.80gを、γ−ブチロラクトン16.32gに攪拌溶解した。この溶液を3μm孔のテフロンフィルタを用いて加圧濾過して感光性重合体組成物を得た。
【0132】
得られた感光性重合体組成物に関し、現像時間を60秒に変えた以外は、実施例1と同様の評価を行った。残膜率は85%で、感度は240mJ/cm2だった。得られたレリーフパターンを窒素雰囲気下350℃で1時間加熱処理したところ、ポリイミド膜のパターンが得られた。
【0133】
【発明の効果】
本発明のポジ型の感光性重合体組成物は、アルカリ水溶液により現像可能であり、厚膜でも感度が良いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。
【符号の説明】
1…半導体基板
2…保護膜
3…第1導体層
4…層間絶縁膜層
5…感光樹脂層
6A、6B、6C…窓
7…第2導体層
8…表面保護膜層
Claims (16)
- (a)アミノ基末端を実質含まず、保護された酸性基と、少なくとも末端の一部に、アミド又はスルホン酸アミドの構造を含む基に変換された、400℃以下の加熱処理により保護基の脱離を起こしうる保護されたアミノ基とを含むポリイミド前駆体またはポリイミドおよび(b)光照射により酸を発生し、保護された酸性基から保護基を脱離させうる化合物を含有してなる感光性重合体組成物。
- (a)成分の保護された酸性基がテトラヒドロピラニル基を含む請求項1〜8のいずれかに記載の感光性重合体組成物。
- (a)成分の保護された酸性基がアルコキシメチル基を含む請求項1〜8のいずれかに記載の感光性重合体組成物。
- (a)成分の保護された酸性基がアルコキシエチル基を含む請求項1〜8のいずれかに記載の感光性重合体組成物。
- (a)成分の保護された酸性基がt−ブトキシカルボニル基を含む請求項1〜8のいずれかに記載の感光性重合体組成物。
- (a)成分の保護された酸性基がt−ブチルエステル基を含む請求項1〜8のいずれかに記載の感光性重合体組成物。
- 請求項1〜13の何れかに記載の感光性重合体組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、現像する工程および加熱処理する工程を含むレリーフパターンの製造法。
- 露光する工程において使用する光が、i線である請求項14記載のレリーフパターンの製造法。
- 請求項14または15記載の製造法により得られるレリーフパターンを表面保護膜または層間絶縁膜として有してなる電子部品。
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