JP4079812B2 - メタルドームシート及びこれを備えたキー入力装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キー入力装置及びこれに適用されるメタルドームシートに関し、特に、実装される情報処理端末の簿型化が可能なキー入力装置及びこれに適用されるメタルドームシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に情報処理端末は、ユーザが入力操作を行うためのインターフェイスとしてキー入力装置を備えている。キー入力装置は、筐体外部に露出したキートップがユーザによって押下されたことを検出し、検出結果に基づいて信号を生成する入力装置である。キー入力装置は、主に、ユーザが情報を入力したり、表示装置に情報を表示させたりする操作を行う際に使用される。
【0003】
携帯端末においてキー入力装置は、キーを押下したことをユーザが実感できる(換言すると、クリック感が得られる)ことが好ましいため、従来はメタルドームを用いたキー入力装置が主に用いられていた。
【0004】
従来の携帯端末に適用されているキー入力装置の構造を図6に示す。このキー入力装置は、皿状の導電部材(メタルドーム)が固着されたシート状の部材(メタルドームシート)を用いたキー入力装置である。メタルドームは、その凹面が外側を向くようにして、凸面側がシート状部材に固着されている。なお、メタルドームが固着されたシート状の部材をメタルドームシートという。
【0005】
電極が形成された基板上には、メタルドームの凹面が基板側を向くようにメタルドームシートが配置され、その上にさらにキーシートが重ねて配置される。キーシート上面の一部はキートップとして携帯端末筐体の外部に露出する。キーシートのメタルドームシートと対向する側の面には、キートップの裏となる位置に押し子が設けられており、押し子とメタルドームとの間にはシート状部材が介在している。
【0006】
キートップがユーザによって押下されると、キートップの裏側に配置された押し子はメタルドームを押し潰し、メタルドームを基板に形成された電極に接触させる。これにより、メタルドームと電極とが導通した状態となり、不図示の制御部において押下されたキーに応じた信号が生成される。
【0007】
メタルドームを用いたキー入力装置は、シート状の部材の所定の位置にメタルドームを固着しておき、これを基板やキーシートと積層するだけでスイッチとしての構造が得られるため、これを携帯端末に適用すれば生産性を高めることができる。
【0008】
近年の携帯端末は、小型化・軽量化ととともに簿型化も要求されている。携帯端末の簿型化に関連する従来技術として、特許文献1に開示される「携帯型端末用入出力装置」や特許文献2に開示される「電気スイッチ」がある。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−263207号公報
【特許文献2】
特開2001−210178号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示される発明は、操作キーを照明するためのLEDを削減することで携帯端末の簿型化を図るものである。しかし、この発明においては、メタルドームのような物理的なスイッチの代わりにタッチパネルを用いているため、キーが押下されたことを検出するのにソフトウエア処理が必要となる。よって、この発明を電源スイッチに適用することはできないし、入力操作のたびにどのキーが押下されたのかを判断する処理を行う必要があるため、演算装置が処理する情報量が増大してしまう。
【0011】
また、タッチパネルの表面にカバーを開閉自在に配置しなければならないが、このような構造(例えば、ヒンジを用いてカバーを開閉自在とした構造)を採用すると携帯端末の耐久性を損なうこととなるだけでなく、部品点数や組立工数が増加してしまい携帯端末の生産性を損なうこととなる。
【0012】
一方、特許文献2に開示される発明は、打抜きされた上部メタルシート及び下部メタルシートを絶縁基板で支持して固定することで、積層スイッチの改良しようとするものである。しかし、この発明は、メタルドームと導電性回路との間に絶縁基板を有する構成であるため、キー入力装置を十分に簿型化できるとは言い難い。また、この発明においては、複雑な形状のメタルシートを用いなければならず、加工性が劣ってしまう。さらに、下部メタルシートは互いに離間した複数の部材から構成されるため、これを絶縁基板の所定の位置に位置決めすることは容易ではない。よって、特許文献2に開示される発明は、キー入力装置の簿型化する効果が不十分であることに加え、スイッチの部分の生産性を高めることが困難であるため、携帯端末自体の生産性も高くすることが難しくなってしまう。
【0013】
このように、従来の技術では、キー入力装置を簿型化可能な構造とすると携帯端末の生産性が損なわれることとなってしまっていた。
【0014】
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、搭載される携帯端末の生産性を損なうこと無くキー入力装置の簿型化を可能とするメタルドームシート及びこれを備えたキー入力装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、少なくとも一つの略皿状の導電性部材が凸面側でシート状部材の一方の面に固着されたメタルドームシートを含むキー入力装置であって、シート状部材は、導電性部材が固着された各領域のそれぞれの略中心から該領域の周縁に亘って貫通穴が形成され、
前記メタルドームシートの前記導電性部材が固着された側の面に、該導電性部材と対応する位置に配線パターンを有する基板が配置され、
該メタルドームシートの反対側の面には、該メタルドームシートと対向する面の前記導電性部材と対応する各位置に押し子を備え、該押し子の裏側にキートップを有するキーシートが配置され、
さらに、いずれかの前記キートップを前記基板側に押下した場合に、押下されたキートップの裏面に配置された前記押し子が前記導電性部材を変形させて該導電性部材をこれに対応する前記配線パターンと接触させ、変形によって該導電性部材と前記基板との間の空間内から押し出された気体が前記貫通穴を介して前記メタルドームシートと前記基板との間から排出されることを特徴とするキー入力装置を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。図1に第1の実施形態にかかるキー入力装置を備えた携帯端末1の外観を示す。携帯端末1は、ユーザが入力操作を行うための入力キーが筐体表面に配置された操作部1aとLCDなどの表示装置を備えた表示部1bとがヒンジ部1cを介して連結された折り畳み型の携帯端末である。
【0019】
図2に、操作部1aの構成を示す。操作部1aは、ケース10、カバー11、バッテリー12、基板13、ボタンシート14及びメタルドームシート5を有する。
【0020】
ケース10及びカバー11は、操作部1aの筐体となる部材であり、ケース10は装置の表面側(端末使用時にユーザと正対する側)となり、カバー11は装置背面側となる。ケース10には、各ボタンに対応する位置にそれぞれのボタンのキートップを操作部1aの筐体外へ露出させるための貫通穴が形成されている。ケース10及びカバー11は、内部に配置される部材(基板13やボタンシート14、メタルドーム5など)を保護するとともに、携帯端末1の外観をユーザの嗜好に応じたデザインとしてユーザの満足度を向上させる役割も担う。
【0021】
バッテリー12は、携帯端末1を動作させるための電力源であり、基板13に実装された素子や表示部1bなどに電力を供給する。基板13は、携帯端末1に電子機器としての機能(通話、メモリ登録、キーが押下されたことを検出する処理など)を実現させるために配線パターン19が形成されており、所定の位置に演算素子や記憶素子などが配置されている。
【0022】
ボタンシート14には、所定の位置にキートップ14aが形成されており、各キートップはケース10に形成されている貫通穴を貫通して操作部1aの筐体外に露出する。各キートップの裏側には、メタルドーム5を撓ませるための押し子20が形成されている。
【0023】
メタルドームシート5は、可撓性のあるフィルム状のシート6の所定の位置表面に皿状の金属片(メタルドーム2)を配置した部材である。メタルドーム2は、凹面が基板13と対向する向きに配置される。
シート6には、メタルドーム2の天面が配置される部分に、少なくとも押し子20の先端と同程度の大きさの穴4が形成されており、メタルドーム2の天面は穴4を介して露出している。穴4は、押し子20が貫通できるだけの大きさを持つことが好ましいが、少なくとも押し子20の先端とメタルドーム2とが直に接触できれば良い。
【0024】
押し子20とメタルドーム2とを直に接触させることにより、シート6の厚さの分だけキー入力装置を薄くすることが可能となる。すなわち、従来の携帯端末の厚さをB、シート6の厚さをCで表す場合、本実施形態に係るキー入力装置を適用した携帯端末の厚さはB−Cとなり、シート6の厚さの分だけ携帯端末を簿型化できる。また、キートップ裏の押し子20とメタルドームとを直に接触させることにより、シート6の厚さの不均一に伴う操作性のばらつきが解消され、ユーザはクリック感を安定して得られるようになる。
【0025】
キートップ14aのいずれかが押下されると、押下されたボタンの裏に形成された押し子はメタルドーム2を変形させる。この変形の際の衝撃によってユーザはクリック感を得られ、ボタンを押下したことを実感できる。
【0026】
また、シート6には、各メタルドームと対応する部分ごとに空気逃げ穴3が形成されている。図3に、操作部1aのA−A断面を示す。この図を用いて空気逃げ穴3の作用について説明する。キートップ14aが押下されると、キートップ裏の押し子20がメタルドーム2の頂上部近傍を圧迫して変形させ、基板13に形成されている配線パターン19と接触させる。
【0027】
この際、メタルドーム2と基板13とで囲まれた空間が密閉されていると、この空間内の空気を圧縮しなければならなくなり、メタルドーム2を変形させて配線19と接触させることが難しくなってしまう。
【0028】
一方で、メタルドーム2と基板13との間の空間が完全には密閉されておらずある程度の気密性を有する状態である場合には、この空間から空気を押し出すとメタルドーム2と基板13との間の空間に発生する負圧によってメタルドーム2が元の位置に復元できなくなってしまう。
【0029】
本実施形態においては、シート6に空気逃げ穴3が形成されているため、メタルドーム2が変形する際には、メタルドーム2と基板13とで囲まれた空間内の空気が空気逃げ穴3を介して押し出される。
また、キートップに加えた押下力を開放すると、空気逃げ穴3を介してメタルドーム2と基板13との間の空間に空気が吸い込まれ、メタルドーム2は弾性力によって押し子20を押し戻し元の状態に復元する。
【0030】
これにより、ボタンを押下した際にメタルドームが変形しなかったり、変形したメタルドームが元の状態に復元しなくなるようなことは無くなり、ユーザはクリック感を安定して得ることができる。
【0031】
また、キー入力装置を組み立てる際には、メタルドーム2が所定の位置に固着されたメタルドームシート5を基板13と重ね合わせるだけで、配線19の所定の位置にメタルドーム2を配置できる。このため、キー入力装置の生産性を損なうことがない。
【0032】
このように、本実施形態に係るキー入力装置は、従来のメタルドームシートを用いた構造の利点である高い生産性を損なうこと無く、簿型化されたものである。
【0033】
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。本実施形態に係るキー入力装置は、第1の実施形態と同様に、筐体表面に入力キーを備えた携帯端末などに適用可能である。本実施形態に係るキー入力装置を折り畳み型の携帯端末に適用する場合、メタルドームシートの構成が異なる他は、第1の実施形態とほぼ同様であるため、同一の部材については同じ符号を用いて示すものとし説明は省略する。
【0034】
図4に、本実施形態に係るキー入力装置に適用されるメタルドームシート7の要部を示す。シート8には、略帯状の穴30が形成されており、穴30の幅方向の寸法は、この上に配置される押し子20の幅よりも大きくなっている。よって、このメタルドーム上に配置される押し子20は、穴30を貫通し、押し子20と直に接する。
【0035】
図5に、本実施形態に係るキー入力装置が適用された携帯端末の操作部の断面を示す。キートップ14aが押下されると、その裏に設けられた押し子20がメタルドーム2の頂上部近傍を圧迫して変形させ、メタルドーム2を基板13に形成されている配線パターン19に接触させる。
【0036】
シート8に穴30が形成されているため、メタルドーム2が変形する際には、メタルドーム2と基板13とで囲まれた空間内の空気が穴30を介して押し出される。
また、キートップ14aに加えた押下力を取り除くすると、穴30を介してメタルドーム2と基板13との間の空間に空気が吸い込まれ、メタルドーム2は弾性力によって押し子20を押し戻し元の状態に復元する。
【0037】
なお、メタルドームシート7を形成するシート8は、各穴が形成される位置にピン状の突起を備えた金型を使用して形成される。本実施形態においては、押し子20とメタルドーム2とを直に接触させるための穴と、吸排気のための穴とを穴30として一体化しているため、シート8を形成するための金型に設ける突起の数を第1の実施形態のシート6を形成するための金型よりも削減できる。これにより、シートを形成するための金型を簡素化し、耐久性を高めることが可能となる。
【0038】
本実施形態に係るキー入力装置もメタルドーム2が所定の位置に固着されたメタルドームシート7を基板13と重ね合わせるだけで、配線19の所定の位置にメタルドーム2を配置できる。このため、キー入力装置の生産性を損なうことがない。
【0039】
このように、本実施形態に係るキー入力装置は、従来のメタルドームシートを用いた構造の利点である高い生産性を損なうこと無く、簿型化されたものである。
【0040】
なお、上記各実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態ではキー入力装置を折り畳み型の携帯端末に適用した場合を例に説明したが、本発明は表示部と操作部とが一体構成の携帯端末にも適用できる。
また、第1の実施形態のように、押し子とメタルドームとを直に接触させるための穴と吸排気用の穴とを別個に設ける場合、一つのメタルドームにつき吸排気用の穴を複数設けるようにしてもよい。
さらに、押し子とメタルドームとを直に接触させるための穴と吸排気用の穴とを一体化した構成の場合、穴の形状は略帯状に限定されることはない。
このように、本発明はさまざまな変形が可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明によって明らかなように、本発明によれば、搭載される携帯端末の生産性を損なうこと無くキー入力装置の簿型化を可能とするメタルドームシート及びこれを備えたキー入力装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を好適に実施した第1の実施形態に係るキー入力装置を備えた折り畳み型の携帯端末の外観を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る折り畳み型携帯端末の操作部の構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る折り畳み型携帯端末の操作部の断面構成を示す図である。
【図4】本発明を好適に実施した第2の実施形態に係るキー入力装置に適用されるメタルドームシートの要部を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係るキー入力装置を備えた折り畳み型の携帯端末の操作部の断面を示す図である。
【図6】従来のキー入力装置の断面構成を示す図である。
【符号の説明】
1 携帯端末
1a 操作部
1b 表示部
1c ヒンジ部
2 メタルドーム
3 空気逃げ穴
4、30 穴
5、7 メタルドームシート
6、8 シート
10 カバー
11 ケース
12 バッテリー
13 基板
14 ボタンシート
14a キートップ
19 パターン
20 押し子
Claims (2)
- 少なくとも一つの略皿状の導電性部材が凸面側でシート状部材の一方の面に固着されたメタルドームシートを含むキー入力装置であって、
前記シート状部材は、前記導電性部材が固着された各領域のそれぞれの略中心から該領域の周縁に亘って貫通穴が形成され、
前記メタルドームシートの前記導電性部材が固着された側の面に、該導電性部材と対応する位置に配線パターンを有する基板が配置され、
該メタルドームシートの反対側の面には、該メタルドームシートと対向する面の前記導電性部材と対応する各位置に押し子を備え、該押し子の裏側にキートップを有するキーシートが配置され、
さらに、いずれかの前記キートップを前記基板側に押下した場合に、押下されたキートップの裏面に配置された前記押し子が前記導電性部材を変形させて該導電性部材をこれに対応する前記配線パターンと接触させ、変形によって該導電性部材と前記基板との間の空間内から押し出された気体が前記貫通穴を介して前記メタルドームシートと前記基板との間から排出されることを特徴とするキー入力装置。 - 前記押し子のそれぞれの断面は、対応する前記メタルドームに形成された各貫通穴の開口面よりも小さいことを特徴とする請求項1記載のキー入力装置。
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