JP4079783B2 - トラックの台車機能付きサイドガード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラックの荷台の下方側縁を覆うようにトラックの前後方向に延びて設けられるサイドガードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、トラックにはタイヤがパンクした場合の備えとしてスペアタイヤが荷台下方のシャシフレームに取外し可能に取付けられる。このスペアタイヤの取付けは、シャシフレームに固着されたチェーン駆動式スペアタイヤキャリアにより行われ、このチェーン駆動式スペアタイヤキャリアはクランクハンドルを正転させることにより巻き取られるチェーンによりスペアタイヤを吊持するように構成される。そしてパンクしたタイヤ等をスペアタイヤに交換する場合には、クランクハンドルを逆転させることによりチェーンを巻戻してチェーンの下端に取付けられたスペアタイヤを地面に下ろし、チェーンの下端における係合を解除した後にそのスペアタイヤを荷台下方から側方に引きずり出し、パンクしたタイヤに換えてアクスルシャフトに取付ける。
【0003】
そして、アクスルシャフトから取外されたパンクしたタイヤは、シャシフレームに取付けられたチェーン駆動式スペアタイヤキャリアの下方における地面に荷台側方から進入させて配置し、チェーンの下端にそのタイヤを係止させた後にクランクハンドルを正転させてそのチェーンを巻上げる。チェーンが巻上げられると、パンクしたタイヤは上昇してスペアタイヤキャリアのセルフロック式機構によりその巻上げた位置に保持される。このようにパンクしたタイヤを保持し、トラックを再び走行させることができるようになっている。
しかし、大型トラックにおけるスペアタイヤはその重量が約100kgと比較的重く、地上に降ろされたスペアタイヤを荷台の下方から引出すのは比較的困難な作業であった。また、スペアタイヤに換えてアクスルシャフトから取外されたパンクしたタイヤの重量も約100kgと比較的重く、そのパンクしたタイヤを荷台の側方から荷台下方の地面に再び配置することも同様に困難な作業であった。
【0004】
一方、荷物の配達のために用いられる小型又は中型の貨物自動車には、その荷物を個別に配達するための手押車を備えることが従来から行われ、高齢の乗務員あるいは女性乗務員により容易にかつ安全に操作することのできる貨物自動車の手押車格納装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。従って、大型トラックにもこのような格納装置を設け、この格納装置によりタイヤを搭載可能な手押車をトラックに備えることが考えられる。そして、スペアタイヤを地面に下ろす際にその手押車に乗せれば、下ろされたスペアタイヤを荷台下方から側方に引出す作業が比較的容易になり、そのスペアタイヤに換えて取外されたパンクしたタイヤをその手押し車に載せれば、そのパンクしたタイヤを荷台側方から荷台下方に進入させる作業も容易になるものと考えられる。
【0005】
【特許文献1】
実開平5−46594号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載された格納装置は、例えばバン型車両等の貨物自動車の運転台とリヤボデーとの間の小スペースの空間部を利用してリヤボデーの前面に取付けられるものであるけれども、大型トラックの荷台自体は小型又は中型の貨物自動車のリヤボディーに比較して高い所に位置し、この装置を大型トラックに用いた場合には手押し車の持ち上げる距離及び下ろす距離が比較的大きくなり、その作業を十分に軽減することができない問題点が残存していた。
特に大型のトラックには、内輪差による巻き込みを防止するためのサイドガードが設けられることも多く、このサイドガードが設けられている場合には、スペアタイヤを引出す以前にサイドガードを一旦取外さなければならず、スペアタイヤを引出す作業を更に困難にしている現実がある。そして、このようなサイドガードが設けられた大型トラックに特許文献1に記載された格納装置を備え付けても、このサイドガードの存在によりキャブと荷台の間に作業員が入る込むことができずに、比較的高所に格納された手押し車を取り出すこと自体が困難になるという不具合もある。
【0007】
更に、特許文献1に記載された格納装置は、外部に露出するためにトラックの外観に影響を与える。このため、フォークリフトを用いて一般的に積載を行い手押し車を常時備える必要はない大型トラックにあっては、スペアタイヤを引出すだけのために手押し車を備える必要性は低く、仮に手押し車を常時備えた場合には、その手押し車が外部から視認されることに起因してトラック全体の美観を損なう不具合もあった。
本発明の目的は、外観上の美観を損なうことなく、スペアタイヤの引出し及び格納を比較的容易にし得るトラックの台車機能付きサイドガードを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1〜図3に示すように、トラック10の荷台10aの下方側縁を覆うようにトラック10の前後方向に延びて設けられるサイドガード11がトラック10に固着される第1側板12,13と、第1側板12,13に取外し可能に取付けられる第2側板14とを備え、トラック10のシャシフレーム10dに取付けられたスペアタイヤ16を側方から覆う部分に第2側板14が取付けられ、第2側板14は取付け状態でトラック10の内側に相当する板面に複数の車輪22を有しかつ取外し状態で台車として機能するように構成されたトラックの台車機能付きサイドガードである。
この請求項1に係るサイドガードでは、第2側板14に車輪22を設けて台車として機能するように構成したので、この台車として機能する第2側板14を用いてスペアタイヤ16又はパンクしたタイヤを移動させることにより、その引出し及び格納を比較的容易にすることができる。
また、スペアタイヤ16を搭載した台車として機能する第2側板14を、その第2側板14が取外された部分におけるサイドガードの隙間から引出すことができ、サイドガード全体をトラックから取外す手間を省いて、スペアタイヤ16等の引出し及び格納を更に容易にすることができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、第1側板12,13の横断面が第2側板14の横断面と同一であるトラックの台車機能付きサイドガードである。
この請求項2に係るサイドガードでは、第2側板14を第1側板12,13に取付けた状態で、その接続部分に凹凸を生じさせることはなく、この第1側板12,13及び第2側板14からなるサイドガード11全体の美感を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図3に示すように、本発明のサイドガード11は大型のトラック10に設けられ、トラック10の内輪差による巻き込みを防止するためのものである。このサイドガード11はトラック10の荷台10aの下方側縁にトラック10の前後方向に延びて設けられ、そのトラック10の荷台10aの下方側縁を覆ってトラック10の旋回時に人又は異物が荷台10aの下方側縁から後輪10bの前方に進入することを防止するようになっている。そしてこのサイドガード11は、トラック10に固着される第1側板12,13と、第1側板12,13に取外し可能に取付けられる第2側板14とを備える。この実施の形態における第1側板12,13は前第1側板12と後第1側板13とにより構成され、前第1側板12は前輪10cの後方における荷台10aの下方側縁に設けられ、後第1側板13は後輪10bの前方における荷台10aの下方側縁に設けられる。
【0012】
図1に示すように、この実施の形態における第1側板12,13は、上下に平行にトラック10の前後方向に延びて設けられた第1上レール12a,13a及び第1下レール12b,13bとを有し、この第1上レール12a,13a及び第1下レール12b,13bとを第1連結棒12c,13cにより接続することにより作られる。第2側板14は、第1上レール12a,13a及び第1下レール12b,13bを延長するように上下に平行にトラック10の前後方向に延びて設けられた第2上レール14a及び第2下レール14bとを有し、この第2上レール14a及び第2下レール14bとを第2連結棒14cにより接続することにより作られる。ここで、第2上レール14a及び第2下レール14bの横断面形状は第1上レール12a,13a及び第1下レール12b,13bと同一に形成され、これにより第1側板12,13の横断面は第2側板14の横断面と同一に形成される。これにより、第2側板14を第1側板12,13に取付けた状態における接続部分に凹凸が生じることを防止して、サイドガード11全体の美感を向上させている。
【0013】
第1側板12,13の第1連結棒12c,13cの上端はトラック10の荷台10aに取付けられ、第1側板12,13はこの第1連結棒12c,13cによりトラック10に固着される。荷台10aに取付けられた状態で前第1側板12と後第1側板13との間には所定の隙間が形成され、トラック10のシャシフレームに取付けられたスペアタイヤにこの隙間が対向するように構成される(図2)。第2側板14は、前第1側板12と後第1側板13との間におけるこの隙間を塞ぐように、前第1側板12と後第1側板13からなる第1側板12,13にバックル18を介して取外し可能に取付けられる。即ち、第1側板12,13のうちトラック10のシャシフレーム10dに取付けられたスペアタイヤ16を側方から覆う部分に第2側板14が取付けられる。
【0014】
図2に示すように、スペアタイヤ16の取付けは、シャシフレーム10dに固着されたチェーン駆動式スペアタイヤキャリア17により行われ、このチェーン駆動式スペアタイヤキャリア17は操作軸17bを図示しないクランクハンドルを用いて正転させることにより巻き取られるチェーン17aによりスペアタイヤ16を吊持するように構成される。具体的に説明すると、このキャリア17はシャシフレーム10dに取付けられたハウジング17cと、ハウジング17c内を回動可能に取付けられたチェーンホイール17dと、そのホイールを一体的に支持し図示しないセルフロック機構を介して操作軸17bに連結された軸17eとを備える。そして、チェーン17aはチェーンホイール17dに掛けられ、チェーン17aの下端にはスペアタイヤ16に係合するフランジ17fが設けられる。
【0015】
図1に戻って、この実施の形態におけるバックル18は、係止具19と被係止具21とにより構成され、被係止具21は第2側板14を構成する第2上レール14a及び第2下レール14bの前後における端部にそれぞれ設けられる。係止具19は、それらレール14a,14bの端部に対向して、第1側板12,13を構成する第1上レール12a,13a及び第1下レール12b,13bの端部にそれぞれ固着される。前第1上レール12a及び第2上レール14aの端部に固着されたバックル18を代表して説明すると、図4に詳しく示すように、係止具19は、レール12aの端部に固着された受け具19aと、その受け具19aに基端が回動可能に取付けられた操作部19bと、一端が操作部19bの略中央に回動可能に取付けられ他端が被係止具21に係止可能な腕部19cとを有する。そして被係止具21はその腕部19cが係止するように端縁が折り返された板材が用いられる。そして操作部19bを破線矢印で示すように回転させることにより、被係止具21に係止した腕部19cが弛んでその係止状態を解除できるように構成される。
【0016】
図1及び図2に示すように、第2側板14は第1側板12,13に取付けられた状態で、トラック10の内側に相当する板面に複数の車輪22が取付けられる。この車輪22は第2側板14を構成する第2上レール14a及び第2下レール14bの前後における端部にそれぞれ設けられ、この4個の車輪22により第1側板12,13から取外された状態の第2側板14は図2に示すように台車として機能するように構成される。
【0017】
次に、このように構成されたトラックの台車機能付きサイドガードの動作を説明する。
このサイドガード11は第2側板14が第1側板12,13に取付けられた状態で大型のトラック10に設けられ、トラック10の内輪差による巻き込みを防止する。そしてパンクしたタイヤ等をスペアタイヤ16に交換する場合には、第2側板14を第1側板12,13から取外す。そして4個の車輪22により第2側板14を台車として機能させ、図2に示すようにスペアタイヤ16下方の地面にその第2側板14を配置させる。第2側板14を第1側板12,13から取外した状態で、スペアタイヤ16に対向するサイドガード11には所定の隙間が生じ、その隙間から第2側板14を進入させることにより第2側板14を配置する作業は比較的容易になる。
【0018】
その後図示しないクランクハンドルを用いて操作軸17bを逆転させることによりチェーン17aを巻戻してチェーン17aの下端に取付けられたスペアタイヤ16を第2側板14上に下ろす。そして、チェーン17aの下端とスペアタイヤ16との係合を解除し、第2側板14をスペアタイヤ16とともに荷台10a下方から引出す。この場合第2側板14に設けられた車輪22が回転するので、その引出しを比較的容易に行うことが可能になる。そして、パンクしたタイヤに換えてスペアタイヤ16をアクスルシャフトに取付ける。
【0019】
一方、そのスペアタイヤ16に換えて取外されたパンクしたタイヤは再び第2側板14に載せられる。そのパンクしたタイヤは第2側板14を台車として機能させ、その第2側板14とともに移動させて荷台10a側方から前第1側板12と後第1側板13との間の隙間を通過させて荷台10a下方に進入させ、シャシフレーム10dに取付けられたチェーン駆動式スペアタイヤキャリア17の下方における地面に配置させる。その後、チェーン17aの下端にそのタイヤを係止させた後に図示しないクランクハンドルを用いて操作軸17bを正転させてそのチェーン17aを巻上げ、パンクしたタイヤを上昇させてスペアタイヤキャリア17のセルフロック式機構によりその巻上げた位置に保持させる。このようにパンクしたタイヤを保持させた後に第2側板14を再び第1側板12,13に取り付けることにより、トラック10を再び走行させることが可能になる。
【0020】
なお、上述した実施の形態では、第2側板14の前後をバックル18により第1側板12,13に取付けたが、図6に示すように、第2側板14の前端をヒンジ機構23により前第1側板12の後端に取り外し可能に枢支させ、第2側板14の後端をバックル18により後第1側板13の前端に取り外し可能に取付けても良い。図6におけるヒンジ機構23は、図5に詳しく示すように、第2側板14の前端に枢支ピン23aを鉛直方向に突設させ、その枢支ピン23aが挿入可能な孔23bを前第1側板12の後端に形成する。そして、枢支ピン23aをその孔23bから引き抜くことにより第2側板14を第1側板12から取外せるように構成される。この図6における構造では、第2側板14の後端におけるバックル18を解除すると第2側板14はその前端における枢支ピン23bを中心として回転し、第2側板14を取外す必要はないがサイドガード11内部に進入したい場合に便利である。
【0021】
また、図6では第2側板14の前端をヒンジ機構23により枢支させ、第2側板14の後端をバックル18により後第1側板13の前端に取付ける例を示したが、第2側板14の後前端をヒンジ機構23により枢支させ、第2側板14の前端をバックル18により前第1側板12の後端に取付けても良い。
更に、上述した実施の形態では、第2側板14を第1側板12,13に取外し可能に取付ける手段として、図4におけるバックル18及び図5におけるヒンジ機構23を用いて説明したが、この第2側板14を第1側板12,13に取外し可能に取付ける手段は、これらに限らず、ヒンジピンやねじ止め等の他の手段であっても良い。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、サイドガードがトラックに固着される第1側板と、第1側板に取外し可能に取付けられる第2側板とを備え、第2側板は取付け状態でトラックの内側に相当する板面に複数の車輪を有しかつ取外し状態で台車として機能するように構成したので、この台車として機能する第2側板を用いてスペアタイヤ又はパンクしたタイヤを移動させることにより、その引出し及び格納を比較的容易にすることができる。そして、第1側板の横断面が第2側板の横断面と同一であれば、第2側板を第1側板に取付けた状態で、その接続部分に凹凸を生じさせることはなく、この第1側板及び第2側板からなるサイドガード全体の美感を向上させることができる。
また、第1側板のうちトラックのシャシフレームに取付けられたスペアタイヤを側方から覆う部分に第2側板を取付ければ、スペアタイヤを搭載した台車として機能する第2側板を、その第2側板が取外された部分におけるサイドガードの隙間から引出すことができ、サイドガード全体をトラックから取外す手間を省いて、スペアタイヤ等の引出し及び格納を更に容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサイドガードの主要部をトラックの側方から見た拡大図。
【図2】その第2側板が取外されてスペアタイヤ下方に配置された状態を示す図1のA−A線断面図。
【図3】そのサイドガードを備えたトラックの斜視図。
【図4】その第2側板を第1側板に取付けるバックルの拡大斜視図。
【図5】別の取付手段であるヒンジ機構を示す斜視図。
【図6】そのヒンジ機構により第2側板が第1側板に取付けられた状態を示す図1に対応する図。
【符号の説明】
10 トラック
10a 荷台
10d シャシフレーム
11 サイドガード
12 前第1側板
13 後第1側板
14 第2側板
16 スペアタイヤ
22 車輪
Claims (2)
- トラック(10)の荷台(10a)の下方側縁を覆うように前記トラック(10)の前後方向に延びて設けられるサイドガード(11)が前記トラック(10)に固着される第1側板(12,13)と、前記第1側板(12,13)に取外し可能に取付けられる第2側板(14)とを備え、
前記トラック (10) のシャシフレーム (10d) に取付けられたスペアタイヤ (16) を側方から覆う部分に前記第2側板 (14) が取付けられ、
前記第2側板(14)は取付け状態で前記トラック(10)の内側に相当する板面に複数の車輪(22)を有しかつ取外し状態で台車として機能するように構成されたトラックの台車機能付きサイドガード。 - 第1側板(12,13)の横断面が第2側板(14)の横断面と同一である請求項1記載のトラックの台車機能付きサイドガード。
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