JP4078278B2 - 軒先固定金具 - Google Patents

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Description

本願は、低層住宅の屋根上での作業者の墜落災害を防止するため、屋根上に設置する親綱の端部を取付ける軒先固定金具に関するものである。
以前より、屋根に取付ける固定金具として、特開平10−15093号,特開平10−146397号公報に開示されたものがある。
前者の特開平10−15093号公報には、下部アームの後端部に柱部の下端部を連結し、柱部に沿って昇降自在に支持され、ボルトとナットの締付けによって高さ調整位置で固定される上部アームの先端部に親綱連結用の連結軸を取付け、上部アームの先端部にねじ係合されて上下方向に移動可能なねじ軸の下端に可動パッドを固定し、その可動パッドと下部アームとで切り妻屋根の妻部を上下から挾持して親綱支持具を固定し、切り妻屋根の両側妻部に固定された親綱支持具間に親綱をかけ渡して緊張させるものが開示されている。
後者の特開平10−146397号公報には、屋根の下側に配置する下部アームを、傾斜位置調節手段を介して本体アームの下部に固定し、下部アームの先端に屋根の下側に当接する下面当接部材を固定し、屋根の上側に配置する上部アームを、本体アームの上部に上下位置調節手段を介して固定し、上部アームの先端には上面当接部材を移動自在に有し屋根を押し付ける押圧手段を設け、屋根の傾斜と厚みに合わせて、下部アームの傾斜位置と上部アームの上下位置を調節手段によりそれぞれ固定し、下部当接部材を屋根の下面に当接させ、下部アームを鼻隠し部に当接させ、上部アームを屋根の上側に配置して、押圧手段を締め付けるものが開示されている。
特開平10−15093号公報 特開平10−146397号公報
ところで、上記公報に開示された親綱支持具は、切り妻屋根の両側妻部に取付けるものであり、親綱張設用具は、屋根の軒先に取付けるものであるが、どちらも落下時に加わる高衝撃荷重に対しての対応が何も示されていない。
従来は作業者が落下し、金具に高衝撃荷重が加わり、金具が移動して軒先の瓦や樋が破損した場合には、その破損箇所を修理することで対処していた。
しかし、破損箇所が軒先の一部分だけではなく、転げ落ちた箇所の瓦の損傷等があれば、修理費も大きな金額となるもので、万が一の落下に対処した金具の開発の要望が出てきた。
この考案の課題は、固定金具を簡単に、かつ安全に取付けられると共に、作業者が落下し、固定金具に衝撃荷重が加わった際には、固定金具の移動を防止し、軒先の瓦・樋等の破損を防止する固定金具を提供することである。
本願は、上記したように、落下時に受ける高衝撃荷重を分散し、瓦および樋の破損を防止するものである。
具体的には、上部アームと、下部アームとを連結する垂下アームとで略コ字状枠を形成し、上部アーム側に長さ調節機構と角度調節機構を設け、上部アームと下部アームにそれぞれ押えバーを設け、屋根の軒先を挟持する軒先固定金具において、垂下アーム上部先端部にくの字状のリンクを回動自在に設け、該リンクの一端にロッドの基端を回動自在に設け、該ロッド先端を下部アーム基端に回動自在に設け、リンク端に設けた親綱が引かれることにより、リンクが回動し、ロッドを下方に押し下げ、下部アーム先端を上部アーム方向へ回動する構造を備えたものである。
以上のように、本願の軒先固定金具を設置する箇所は、高所作業と言っても梯子を2メートル程度上った一階の軒先に取付け、その先端部のリンクに親綱をカラビナを介して緊張固定するだけであり、危険な高所作業も無いに等しく安全に作業が行える。
また、屋根上作業時に作業者が落下(転落・滑落)しても、張設したベルト状あるいはロープ状の親綱により、確実に引き止められて重大事故が発生するようなことは無い。
また、本金具は、落下時には下部アームの先端が上部方向へ回動し、軒先を挟み、金具が軒先を移動することがなく、瓦や樋の破損を防止するものである。
本願実施例を詳記すると、
本願は、図に示すように、上部アーム1、下部アーム2とを連結する垂下アーム3とで略コ字状枠を形成し、上部アーム1は、垂下アーム3にスライド金具4を介して嵌合し、該スライド金具4を上下移動可能に設け、該スライド金具4の突出部にアーム取付金具5を回動自在に軸止53して角度調節可能に設け、下部アーム2基端部は、垂下アーム3下端に回動自在に軸止22して設け、上部アーム1と下部アーム2にそれぞれ押えバー11,21を設け、屋根の軒先を挟持する軒先固定金具において、垂下アーム3上部先端部にくの字状のリンク31の屈曲部を回動自在に軸止32して設け、該リンク31の一端にロッド33の基端を回動自在に軸止34して設け、該ロッド33先端を下部アーム2基端に回動自在に軸止35して設け、リンク31端に設けた親綱が引かれることにより、リンク31が回動し、ロッド33を下方に押し、下部アーム2先端を上部アーム1方向へ回動する構造を有するものである。
本願上部アーム1側に、垂下アーム3にスライド金具4を嵌合し、上下移動可能とし、スライド金具4に設けたロックピン41を、垂下アーム3の側面に等ピッチで設けたロック穴36に嵌合し、下部アーム2との距離を調節する長さ調節機構を設けたものである。
ロックピン41は、バネに抗してツマミを引き出し90度回動すれば、筒部に当接すると共に、ロック穴36からロックピンが引き出され、スライド金具4は上下移動可能になるものである。
また、スライド金具4の突出部に、アーム取付金具5の基端部を回動自在に軸止53して設け、該スライド金具4とアーム取付金具5に設けた角度調節穴42,52に貫通ピン51を貫通して、上部アーム1の角度を変える角度調節機構を設けたものである。
また、上部アームの押えバー11は、上部アーム1にナットを溶着して設け、該ナットに締付ボルト12を螺入し、先端に回動自在に設けたもので、大きな移動は、長さ調節機構のロックピン41の差替えで行い、小さな移動は締付ボルト12によって行い、押えバー11,21で軒先を強固に固定するものである。
また、押えバー11,21は、上部アーム側は屋根上面の瓦に4点接触し、下部アーム側は2本の垂木に接触するものであり、落下時の高衝撃荷重の分散効果は高い。
本願は、従来品と同じく、軒先の厚みに合わせて上部アーム1と下部アーム2間の長さ調節機構はもちろん、屋根の勾配に合わせて上部アーム側に角度調節機構を備えると共に、図4のように、上部アーム1の押えバー11は回動自由であると共に、下部アーム2の押えバー21を回動し、回動収納可能として突出部を無くし、嵩を低くして持ち運び、上げ下ろしが簡単にできるようにしたものである。
また、番号43は、軒先からの工具・ゴミの落下防止のため、軒先部に張るネットのポール受けである。ネットを張る場合は、本願の軒先固定金具を複数個取付けて行うものである。
具体的な本軒先固定金具の設置手順を以下に記述する。
まず、作業を行う家屋の縦断方向の大きさと作業を行うポイントを考慮し、本軒先固定金具の設置位置を決める。
続いて、取付け位置に梯子を立て掛け、軒先まで持ち手環44,54を持って昇り、軒先の表面の瓦またはトタン板から裏面の垂木及び表面仕上材を含んだ全体を保護用ゴム板を設けた押えバー11,21を90度回動して当てがい、長さ調節部のロックピン41を抜き、スライド金具4を移動し、再びロックピン41を適当な穴36に嵌合し、締付ボルト12を締め付けて固定し、設置は完了する。
続いて、親綱Rの両端部をカラビナ等を介してリンク31に掛止し、親綱の緊張器により張設固定を行なうものである。
なお、本願の軒先固定金具は、軒先はもちろん、切り妻の両側妻部に取付けて使用することも可能である。
本願の軒先固定金具は、落下して親綱が引かれ垂下アームの上端部に力が加わると、上部アーム側の押えバーは下部方向(瓦)に押し付けられるようになり、コ字状枠が開く格好になり、下部アーム側の押えバーの当接があまくなろうとするが、垂下アーム先端部のリンクが内蔵したロッドを押し下げ、下部アーム先端を上部アーム方向へ回動し、押えバーが垂木を押圧するように働き、挾持状態を保持固定するものである。
よって、固定金具が移動せず、瓦・樋を破損することがない。
本願軒先固定金具の斜視図。 本願軒先固定金具の上部アーム基端部の拡大図。 本願軒先固定金具の垂下アームを切欠したところの正面図。 本願軒先固定金具の押えバー収納状態正面図。 本願軒先固定金具の取付け状態図。
符号の説明
1 上部アーム
11 押えバー
12 締付ボルト
2 下部アーム
21 押えバー
22 軸止
3 垂下アーム
31 リンク
32,34,35 軸止
33 ロッド
36 ロック穴
4 スライド金具
41 ロックピン
42 角度調節穴
43 ポール受け
44 持ち手環
5 アーム取付金具
51 貫通ピン
52 角度調節穴
53 軸
54 持ち手環
R 親綱

Claims (1)

  1. 上部アーム1と、下部アーム2とを連結する垂下アーム3とで略コ字状枠を形成し、上部アーム1基端部は、スライド金具4を垂下アーム3に嵌合し、該スライド金具4を上下移動可能に設け、該スライド金具4の先端部にアーム取付金具5を回動自在に軸止53して角度調節部を設け、下部アーム2基端部は、垂下アーム3の下端に回動自在に軸止22して設け、上部アーム1と下部アーム2にそれぞれ押えバー11,21を設け、屋根の軒先を挟持する軒先固定金具において、垂下アーム3上部先端部にくの字状のリンク31を回動自在に軸止32して設け、該リンク31の一端にロッド33の基端を回動自在に軸止34して設け、該ロッド33先端を下部アーム2基端に回動自在に軸止35して設け、リンク31端に設けた親綱Rが引かれることにより、リンク31が回動し、ロッド33を下方に押し、下部アーム2先端を上部アーム1方向へ回動する構造を備えたことを特徴とする軒先固定金具。
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