JP4077481B2 - ダイオキシンを認識する組換抗体および該抗体をコードする遺伝子 - Google Patents

ダイオキシンを認識する組換抗体および該抗体をコードする遺伝子 Download PDF

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Description

本発明は、2,3,4,7,8−ペンタクロロジベンゾフラン(2,3,4,7,8−PeCDF)に結合活性を有する新規な組換抗体、そのアミノ酸配列をコードする遺伝子、該遺伝子を導入したベクター、該ベクターで形質転換された形質転換体、該組換抗体の製造方法、該組換抗体を用いる2,3,4,7,8−PeCDFの免疫学的捕獲法ならびに測定法に関する。
内分泌撹乱物質による環境汚染が問題となり、その汚染状況の把握やヒトの健康への影響などの調査が進められている。これら内分泌撹乱物質によるヒトや環境への影響が明らかになるに従い、日本のみならず世界各国においても重大な社会的関心事となっている。なかでもダイオキシン類については、ヒトや生態系および環境への持続的な影響が懸念されおり、汚染状況の把握や、ヒトや生態系での暴露状況の調査、摂取ルートの解明、さらには汚染箇所のダイオキシン量のモニタリングや汚染除去方法への対応が急務となっている。ダイオキシン類は、有機塩素化合物の使用、生産、燃焼などの過程で生成することから発生源が多岐に渡るとともに、土壌、水質、大気、食品、海産物などにおいて広範な汚染が確認されている。従って、膨大な生体試料や環境試料などの試料中のダイオキシン濃度を測定し、対策を講じる必要から、ダイオキシン類の簡便かつ迅速な測定方法の確立が望まれている。
ダイオキシン類には、75種類のポリクロロジベンゾダイオキシン(PCDD)および135種類のポリクロロジベンゾフラン(PCDF)からなる多数の構造異性体が存在する。最も毒性が高い2,3,7,8−テトラクロロジベンゾパラダイオキシン(2,3,7,8−TCDD)の毒性を1としたときの各ダイオキシン異性体の相対毒性が毒性等価指数として示されており、ダイオキシン類の分析においては毒性の高い7種類のPCDDおよび10種類のPCDFが測定対象物質とされている。また、内分泌撹乱物質の1つとして以前から問題とされていたポリクロロビフェニール(PCB)のうち12種類の共平面(co−planar)PCBもダイオキシン類として測定されるようになった。
ダイオキシン類の測定は、従来、高分解能ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(HRGC/HRMS)分析により行われていた。しかし、HRGC/HRMS法は、試料中の妨害物質を除去するために多段階のクリーンアップ操作を必要とし、分析機器が高額であり、かつ測定者の習熟を要するため、特定の分析機関においてのみ測定が可能であった。ダイオキシン類の分析方法、特にHRGC/HRMS法においては、毒性の高い17種類のダイオキシン異性体の含有量を個々に定量し、次いで各異性体の実測値に毒性等価指数を乗じた値の総和を、2,3,7,8−TCDD相当量である毒性等量(TEQ)に換算し、この換算値をダイオキシン分析値として用いている。従って、データ解析を含め被検体の分析に多大な時間を要する。これらの理由から、ダイオキシン類のより簡便で安価かつ高感度な測定方法の開発が強く望まれている。
また、特定の指標物質を測定することにより、より簡便にダイオキシン量(TEQ)を把握しようという考え方が根強く存在している。前駆体であるクロロベンゼンを測定する方法もこの1つである。近年、ダイオキシン異性体の1つである2,3,4,7,8−PeCDF量が、ダイオキシン類の総TEQと非常に高い相関性を有することが明らかになってきた(高菅ら、第11回環境化学討論会講演要旨集、136頁、2002年)。土壌、底質、大気、水質、排ガス、飛灰などの環境試料、母乳、血液などの生体試料、ならびに、海産物、食品などの広範な試料においても、2,3,4,7,8−PeCDFは、全ダイオキシンの主要構成成分でありその含有量はダイオキシン類の総TEQとR=0.96〜0.99の高い相関を示す。従って、2,3,4,7,8−PeCDFは、ダイオキシン量を把握するための指標物質として注目されている。
一方、抗体を利用してダイオキシン類を定量する試みも行われている。
例えば、特開2002−340882号公報には、ダイオキシン類の捕集ユニット、抽出ユニット、分離精製ユニット、および抗体を用いてダイオキシン類を測定する測定ユニットの4つのユニットから構成されるダイオキシン類の測定装置および測定方法が記載されている。
また、特開2002−228660号公報には、2,3,7,8−TCDDに高親和性のモノクローナル抗体を作製し、これを用いてヒト血液や母乳などの生体試料中のダイオキシン類を検出する方法が記載されている。
さらに、特開2002−119279号公報には、ダイオキシン類である複数の異性体に対して交差反応性を有する数種の抗体を用い、ダイオキシン類の存在量を推定する方法が記載されている。
しかし、これらの文献には、2,3,4,7,8−PeCDFを認識するモノクローナル抗体、ならびに、該モノクローナル抗体をコードする遺伝子配列、該遺伝子配列に基づく組換抗体および該組換抗体を用いる2,3,4,7,8−PeCDFの測定方法については記載されていない。
また、これら文献の方法は、試料中に含まれるダイオキシン類のTEQを把握するには至らないという欠点を有する。
(発明が解決しようとする技術的課題)
本発明者らは、HRGC/HRMS法で測定される17種類のダイオキシン類の主要構成成分であり、かつ、その含有量がダイオキシン類の総TEQと高い相関性を有する指標異性体である2,3,4,7,8−PeCDFを、免疫学的手法により、迅速、簡便、高感度に捕獲および測定する方法を確立しようとした。
(その解決方法)
本発明者らは、上記課題を解決するために、2,3,4,7,8−PeCDF誘導体を抗原として用いて、通常の細胞融合法により、2,3,4,7,8−PeCDFを認識するモノクローナル抗体を産生する2株のハイブリドーマ、即ち、モノクローナル抗体Dx3860を産生するハイブリドーマDx3860r1およびモノクローナル抗体Dx3150を産生するハイブリドーマDx3150r1を得た。
また、本発明者らは、これらのハイブリドーマ中に含まれるmRNAを単離および精製し、このmRNAをもとにcDNAを合成した。次いで、このcDNAの中から、モノクローナル抗体Dx3860のH鎖可変領域およびL鎖可変領域ならびにモノクローナル抗体Dx3150のH鎖可変領域およびL鎖可変領域をコードするcDNAを選択するため、抗体遺伝子特有の配列を利用してPCRを行い、目的の抗体遺伝子を特異的に増幅させた。これら選択されたcDNAの塩基配列を解析し、それらがコードするアミノ酸配列を推定した。
その結果、モノクローナル抗体Dx3860のH鎖可変領域およびL鎖可変領域をコードするcDNAは、それぞれ配列番号1および2で示され、一方、モノクローナル抗体Dx3150のH鎖可変領域およびL鎖可変領域をコードするcDNAは、それぞれ配列番号3および4で示されることがわかった。
また、モノクローナル抗体Dx3860のH鎖可変領域およびL鎖可変領域の推定アミノ酸配列は、それぞれ配列番号5および6で示され、一方、モノクローナル抗体Dx3150のH鎖可変領域およびL鎖可変領域の推定アミノ酸配列は、それぞれ配列番号7および8で示されることがわかった。
さらに、本発明者らは、上記抗体の可変領域中の超可変領域(CDR1〜3)のアミノ酸配列およびその位置を特定した。超可変領域のアミノ酸配列を以下の表1〜4に示す。
Figure 0004077481
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モノクローナル抗体Dx3860のH鎖およびL鎖可変領域中の超可変領域(CDR1〜3)の位置を、DNA配列およびアミノ酸配列と共に、それぞれ図1および図2に示す。また、モノクローナル抗体Dx3150のH鎖およびL鎖可変領域中の超可変領域(CDR1〜3)の位置を、DNA配列およびアミノ酸配列と共に、それぞれ図3および図4に示す。
図1において、アミノ酸配列の26〜33位がCDR1を、51〜57位がCDR2を、96〜103位がCDR3を示す。
図2において、アミノ酸配列の26〜34位がCDR1を、52〜54位がCDR2を、91〜98位がCDR3を示す。
図3において、アミノ酸配列の26〜34位がCDR1を、52〜58位がCDR2を、97〜107位がCDR3を示す。
図4において、アミノ酸配列の26〜34位がCDR1を、52〜54位がCDR2を、91〜99位がCDR3を示す。
また、本発明者らは、上記抗体の可変領域をコードするDNAを発現ベクターに組込み、該ベクターを宿主細胞に導入し、該宿主細胞において組換抗体を発現させた。さらに、本発明者らは、該組換抗体を用いて、試料中の2,3,4,7,8−PeCDFを定量しうることを確かめた。また、本発明者らは、上記抗体の可変領域をコードするDNAに変異を導入し、この変異導入DNAを用いて上記のように組換抗体を発現させ、該組換抗体を用いて、試料中の2,3,4,7,8−PeCDFを定量しうることを確かめた。
即ち、本発明は、2,3,4,7,8−ペンタクロロジベンゾフラン(2,3,4,7,8−PeCDF)に結合活性を有する組換抗体であって、
(1)2,3,4,7,8−PeCDFを認識するモノクローナル抗体Dx3860のH鎖可変領域を構成し、配列番号5で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(2)該モノクローナル抗体Dx3860のL鎖可変領域を構成し、配列番号6で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(3)2,3,4,7,8−PeCDFを認識するモノクローナル抗体Dx3150のH鎖可変領域を構成し、配列番号7で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(4)該モノクローナル抗体Dx3150のL鎖可変領域を構成し、配列番号8で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(5)上記(1)〜(4)のポリペプチドのアミノ酸配列に95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、2,3,4,7,8−PeCDFに結合活性を有するポリペプチド;ならびに
(6)上記(1)〜(5)のポリペプチドのフラグメントであり、2,3,4,7,8−PeCDFに結合活性を有するポリペプチド;
からなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチドを含む組換抗体を提供するものである。
また、本発明は、上記の組換抗体のアミノ酸配列をコードするDNA、該DNAを含むクローニングまたは発現ベクター、該ベクターで形質転換した形質転換体、該形質転換体を用いて該組換抗体を製造する方法、ならびに、該組換抗体を用いて2,3,4,7,8−PeCDFを免疫学的に捕獲および測定する方法を提供するものである。
(従来技術より有効な効果)
本発明の組換抗体を用いて、ダイオキシン類、特に2,3,4,7,8−PeCDFを、免疫学的手法により、迅速、簡便、高感度に捕獲および測定することができる。
図1は、モノクローナル抗体Dx3860のH鎖可変領域のDNA配列、アミノ酸配列および超可変領域(CDR1〜3)の位置を示す。
図2は、モノクローナル抗体Dx3860のL鎖可変領域のDNA配列、アミノ酸配列および超可変領域(CDR1〜3)の位置を示す。
図3は、モノクローナル抗体Dx3150のH鎖可変領域のDNA配列、アミノ酸配列および超可変領域(CDR1〜3)の位置を示す。
図4は、モノクローナル抗体Dx3150のL鎖可変領域のDNA配列、アミノ酸配列および超可変領域(CDR1〜3)の位置を示す。
図5は、scFvフラグメントDx3860HLの構成を示す。
図6は、scFvフラグメントDx3860LHの構成を示す。
図7は、scFvフラグメントDx3150HLの構成を示す。
図8は、scFvフラグメントDx3150LHの構成を示す。
図9は、抗2,3,4,7,8−PeCDF scFvを用いた間接競合イムノアッセイにより、2,3,4,7,8−PeCDFを測定した結果を示すグラフである。
図10は、H鎖可変領域ポリペプチド画分と抗2,3,4,7,8−PeCDF活性の関係を示すグラフである。
図11は、モノクローナル抗体Dx3860のV鎖変異体のアミノ酸配列を示す。
図12は、変異導入Dx3860 scFv提示ファージにより、2,3,4,7,8−PeCDFを測定した結果を示すグラフである。
図13は、変異導入Dx3860 scFv提示ファージの抗体価を比較するグラフである。
図14は、変異導入Dx3860 scFv提示ファージのDMSO存在下での反応性を比較するグラフである。
本発明で言う「抗体」には、生体内に存在する天然型抗体の他に、抗体のH鎖もしくはL鎖の可変領域またはその組合せにより形成される、少なくとも1つの抗原結合部位を有するポリペプチドが含まれる。このようなポリペプチドには、例えば、H鎖またはL鎖の可変領域のみを含むポリペプチド、1組のH鎖フラグメントとL鎖からなるFabフラグメント、2組のH鎖フラグメントとL鎖からなるF(ab’)フラグメント、H鎖可変領域とL鎖可変領域がリンカーにより1本に結合された一本鎖組換抗体(scFv)などが含まれる。
scFvには、例えば、N末端側から「(H鎖可変領域)−(リンカー)−(L鎖可変領域)」の順序で結合されたポリペプチド、ならびに、「(L鎖可変領域)−(リンカー)−(H鎖可変領域)」の順序で結合されたポリペプチドが含まれる。リンカーは、scFvが抗原に結合する際に、H鎖可変領域およびL鎖可変領域が効率良く折り畳まれるように、これらの領域の間に配置させるものである。このリンカーは、通常、5〜15個のアミノ酸から構成されており、例えば、−(GlySer)−を例として挙げることができる。本発明において使用するリンカーは、上記目的を達成できる限り、アミノ酸の数および種類に制限はない。
また、本発明の組換抗体においては、H鎖可変領域またはL鎖可変領域のN末端側およびC末端側に、さらに適当なアミノ酸配列が付加されていてもよい。例えば、以下の実施例において示すように、「(H鎖可変領域)−(リンカー)−(L鎖可変領域)」ポリペプチドの場合には、H鎖可変領域のN末端側に分泌シグナル領域を、L鎖可変領域のC末端側にエピトープタグ配列を付加することができる。また、「(L鎖可変領域)−(リンカー)−(H鎖可変領域)」ポリペプチドの場合には、L鎖可変領域のN末端側に分泌シグナル領域を、H鎖可変領域のC末端側にエピトープタグ配列を付加することができる。
本発明の組換抗体には、抗体のH鎖もしくはL鎖の可変領域またはその組合せにより形成される少なくとも1つの抗原結合部位を有するポリペプチドの他に、これらポリペプチドと実質的に同じ機能を有する変異ポリペプチドが含まれる。本発明で言う「実質的に同じ機能」とは、抗原に対する結合力が実質的に同じであることを意味する。即ち、配列番号5〜8で示されるアミノ酸配列を有する本発明の抗2,3,4,7,8−PeCDF抗体のH鎖およびL鎖の可変領域は、抗原との結合力が実質的に同じである限り、1またはそれ以上のアミノ酸の欠失、置換または付加変異を含むことができる。このような本発明の変異ポリペプチドは、配列番号5〜8で示されるアミノ酸配列に対して、好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有する。また、この変異は、図1〜4に示される抗体可変領域中の超可変領域(CDR1〜3)以外のフレームワークに存在するのが好ましい。
また、本発明の組換抗体には、配列番号5〜8で示されるポリペプチドのフラグメントであって、元のポリペプチドと実質的に同じ機能を有するフラグメント、ならびに、これらフラグメントの組合せにより形成されるポリペプチドが含まれる。これらのフラグメントは、図1〜4に示される超可変領域(CDR1〜3)の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つ全てを含有する。
本発明の組換抗体は、所望のポリペプチドのアミノ酸配列をコードするDNAを調製し、該DNAを発現ベクターに組込み、該発現ベクターを宿主細胞に導入し、該宿主細胞を適当な培地中で培養して該組換抗体を発現させることにより製造することができる。
所望のポリペプチドのアミノ酸配列をコードするDNAは、配列番号1〜4(または図1〜4)に示されるcDNA配列またはアミノ酸配列に基づいて、合成により調製することができる。別法によれば、所望のポリペプチドのアミノ酸配列をコードするDNAは、次のようにして得ることもできる。即ち、本発明者らは、以下の実施例において示すように、N末端側からモノクローナル抗体Dx3860のH鎖可変領域、リンカー、Dx3860のL鎖可変領域を、この順序で含むフラグメント(図5を参照)を組込んだ発現ベクターを作製し、このベクターを大腸菌Bに導入し、この大腸菌B(pET22Δ−Dx3860HL)を特許生物寄託センターに寄託した。さらに、本発明者らは、N末端側からモノクローナル抗体Dx3150のH鎖可変領域、リンカー、Dx3150のL鎖可変領域を、この順序で含むフラグメント(図7を参照)を組込んだ発現ベクターを作製し、このベクターを大腸菌K−12に導入し、この大腸菌K−12(pET22Δ−Dx3150HL)を特許生物寄託センターに寄託した。所望のポリペプチドのアミノ酸配列をコードするDNAは、これらの発現ベクターから適当な制限酵素を用いて切出し、所望によりDNA配列中に変異を加えることにより得ることができる。また、DNAフラグメントの連結のために、常法によりフラグメントの末端を修飾することができる。
得られたDNAフラグメントの発現ベクターへの組込みは、市販の発現ベクター[例えば、pET−22b(+)など]の所定のフラグメント挿入部位に合致させるように、DNAフラグメントの末端を加工し、末端加工されたDNAフラグメントを発現ベクターに挿入することによって行うことができる。
このようにして得た発現ベクターを、適当な宿主細胞、特に大腸菌[例えば、大腸菌B株、K−12株、BL21(DE3)株など]に導入し、挿入したDNAフラグメントの発現に適した培地で宿主細胞を培養することにより、所望の組換抗体を発現させることができる。発現された組換抗体を、常法により宿主細胞またはその培養液から回収することができる。回収した組換抗体は、例えばクロマトグラフィー法によって精製することができる。
この方法により、所望の組換抗体を、血清を必要とする培地で動物細胞を培養することにより得られるモノクローナル抗体より安価に、かつ大量に製造することができる。
得られた組換抗体を用いて試料中の2,3,4,7,8−PeCDFを免疫学的に、迅速に捕獲することができる。このような捕獲法としては、イムノクロマトグラフィーや免疫沈降による2,3,4,7,8−PeCDFの分離、精製および濃縮方法が含まれる。また、このような2,3,4,7,8−PeCDFの捕獲作用を利用することにより、該組換抗体を用いて生体中に摂取されたダイオキシン類のうち主要物質である2,3,4,7,8−PeCDFを迅速に捕獲し、除去することも可能である。
また、得られた組換抗体を用いて試料中の2,3,4,7,8−PeCDFを免疫学的に迅速かつ高感度に測定することができる。このような測定法には、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素免疫測定(EIA)、蛍光免疫測定(FIA)などが含まれる。
また、免疫学的測定法は非競合法と競合法に大別される。本発明の組換抗体は競合法に用いるのが好ましい。この競合法には、間接競合法と直接競合法が含まれる。間接競合法においては、2,3,4,7,8−PeCDF誘導体を固定化し、試料中の遊離2,3,4,7,8−PeCDFと固定化抗原との間で、組換抗体との反応を競合させる。直接競合法においては、組換抗体を固定化し、試料中の2,3,4,7,8−PeCDFの存在量に応じ、該組換抗体に結合する標識2,3,4,7,8−PeCDF誘導体の量を測定する。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
抗2,3,4,7,8−PeCDF抗体産生ハイブリドーマの調製
2,3,4,7,8−PeCDFを認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを、次のようにして調製した。即ち、初めに2,3,4,7,8−PeCDFにアルキル鎖を導入し、その末端を活性エステル体とした。次いで、これを、常法に従い、キャリアータンパク質であるウシ血清アルブミン(BSA)に導入し、免疫用コンジュゲートを調製した。
この免疫用コンジュゲートを、アジュバントRAS R−700(Ribi社)中に十分に乳化させ、この乳化液200μlをBALB/cマウス(7週齢、雌)の腹腔内に投与して、マウスを免疫感作した。2週間毎に追加免疫を行い、追加免疫より約1週間の経過後に尾静脈より採血し、血中抗体価を競合EIA法により測定した。
2,3,4,7,8−PeCDFに対する高い抗体産生が確認されたマウスを選択し、尾静脈内に免疫用コンジュゲートを投与して、最終免疫を行った。最終免疫より3〜4日後に脾臓を摘出し、脾臓細胞を調製した。対数増殖期にあるマウスミエローマ細胞(Sp2/O)と脾臓細胞を細胞数が1:5になるように混合し、ポリエチレングリコール法(PEG法)にて細胞融合を行った。10%FCS含有HAT培地に懸濁し、96ウエル培養プレートに分注(1〜2.5×10/ウエル)し、37℃、5%CO下で培養した。
培養開始より7〜10日後、ハイブリドーマの増殖が見られたウエルの培養上清を一部採取し、2,3,4,7,8−PeCDF誘導体−BSAコンジュゲートを固相化したマイクロタイタープレートに添加した。室温で1時間反応させた後、0.05%Tween 20含有PBS(−)で洗浄した。次いで、プレートにペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG(γ鎖認識)抗体(KPL社)を加えて室温で1時間反応させた後、同様にプレートを洗浄した。基質溶液(TMB基質、KPL社)を加えてプレート上のペルオキシダーゼ活性を測定し、培養上清中の抗体価を求めた。高い抗体価を示すウエルのうち、固相化2,3,4,7,8−PeCDF誘導体−BSAコンジュゲートに対する抗体価が、20%DMSOに溶解した2,3,4,7,8−PeCDFによって大きく阻害されるウエルを選抜し、該ウエル中のハイブリドーマを限界希釈法によりクローニングした。クローニングにより単離された細胞を培養することによって、2,3,4,7,8−PeCDFを認識する2種類のモノクローナル抗体産生クローンを樹立した。
即ち、このようにして、モノクローナル抗体Dx3860を産生するハイブリドーマDx3860r1およびモノクローナル抗体Dx3150を産生するハイブリドーマDx3150r1を得た。
mRNAの単離および精製
抗2,3,4,7,8−PeCDF抗体産生ハイブリドーマDx3860r1およびDx3150r1を、5%CO通気条件下、10%FCSを含有するRPMI 1640培地中で増殖させた。対数増殖期にある約2.8〜5.0x10個の細胞から、AGPC法[Chomczynski,P.,Sacchi,N.,Anal.Biochem.,162,p.156−159(1987)]によって全RNAを抽出した。次いで、オリゴdTがラテックスビーズに結合したOrigotex−dT 30(宝酒造)を用いてpoly(A)+RNAを精製した。
cDNAの合成
Mouse scFv Module/Recombinant Phage Antibody System(Amersham Pharmacia社)に含まれるPrimed first−strand reaction mixを用いて、上記のpoly(A)+RNAからcDNAを合成した。得られたcDNAを鋳型とし、Mouse Ig−Primer Set(Novagen)およびTaq DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems社)を用いてPCRを行った。Dx3860H鎖にはMuIgVH5’−AとMuIgVH3’−2のプライマーセットを、Dx3150H鎖にはMuIgVH5’−DとMuIgVH3’−2のプライマーセットを用いた。また、Dx3860L鎖およびDx3150L鎖の両方には、MuIgλV5’−AとMuIgλV3’−1のプライマーセットを用いた。用いたプライマーを以下の表5に示す。PCR反応は次のように行った。即ち、Dx3860H鎖とDx3150L鎖については、94℃×1分間、50℃×1分間、72℃×1分間の反応サイクルを30サイクル行い、Dx3150H鎖については、94℃×1分間、60℃×1分間、72℃×1分間の反応サイクルを30サイクル行い、Dx3860L鎖については、94℃×1分間、60℃×1分間、72℃×1分間の反応サイクルを5サイクル行い、その後さらに、94℃×1分間、50℃×1分間、72℃×1分間の反応サイクルを30サイクル行った。
Figure 0004077481
cDNAのサブクローニング
上記のPCR産物を、TAクローニングキットであるpGEM−T Easy Vector System I(Promega社)を用いてpGEM−T Easyに挿入した後、大腸菌XL1−Blueを形質転換した。コンピテントセルとして、XL1−Blue Competent Cells(STRATAGENE社)を使用した。
塩基配列の決定とアミノ酸配列の解析
pGEM−T Easyにサブクローニングした抗体遺伝子cDNAクローンについて、T7プライマー(5’−TAATACGACTCACTATAGGG:配列番号26)を用いて、BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit v2.0(Applied Biosystems社)によるシークエンス反応を行った。次いで、ABI PRISM 310 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社)にて配列を解析した。その結果、Dx3860抗体遺伝子のH鎖およびL鎖可変領域をコードするcDNAの塩基配列およびその推定アミノ酸配列(配列番号1および2)ならびにDx3150抗体遺伝子のH鎖およびL鎖可変領域をコードするcDNAの塩基配列およびその推定アミノ酸配列(配列番号3および4)を得た。塩基配列の解析ならびにアミノ酸配列の推定および解析には、解析ソフトDNAsis(日立ソフトエンジニアリング)を使用した。
また、配列番号1〜4の配列中に含まれる超可変領域は、ImMunoGeneTicsデータベース(http://imgt.cines.fr)の分類に従って特定した。このデータベースは、Lefranc,M.−P.ら[Nucleic Acids Research,27,p.209−212(1999)]、Ruiz,M.ら[Nucleic Acids Research,28,p.219−221(2000)]、および、Lefranc,M.−P.[Nucleic Acids Research,29,p.207−209(2001)]の論文を参照して作成されている。特定した超可変領域(CDR1〜3)の位置を、DNA配列およびアミノ酸配列と共に、図1〜4に示す。
発現ベクターpET22Δの作製
市販ベクターであるpET−22b(+)(Novagen社)の制限酵素サイトXbaI−NcoI間の配列を、市販ベクターであるpET−3d(Novagen社)の制限酵素サイトXbaI−NcoI間の配列に置換して、T7/lacプロモーター、ヒスチジンタグおよびT7ターミネーターを有する発現ベクターpET22Δを作製した。この発現ベクターpET22Δを、制限酵素NcoI(New England BioLabs社)とNotI(東洋紡社)で切断し、その末端をCalf intestine Alkaline Phosphatase(東洋紡社)により脱リン酸化処理した。0.7%アガロースゲル電気泳動により、切断したpET22Δのバンドを分離し、ゲルを切り出し、MagExtractor−PCR & Gel Clean Up−(東洋紡社)を用いてDNAをゲルより抽出した。このNcoI−NotIサイトに、以下のようにscFvフラグメントを組込み、これをscFv発現ベクターとした。
cDNAからのscFvフラグメントの作製
クローニングした抗体遺伝子のH鎖およびL鎖のcDNAを、リンカー配列をコードするDNAにより連結し、これを発現ベクターに組込むために、制限酵素配列を含むプライマーを用いて、H鎖およびL鎖のcDNAをPCRで増幅した。Dx3150H鎖は、BamHIサイトの配列をGGATCCからGGATTCに変更し、かつ、BamHIサイトの前後の配列を含むようにプライマーを設計し、H鎖DNAを5’側と3’側の2つに分け増幅した。リンカーDNAは、fill−inによりH鎖およびL鎖のcDNAを連結するために、これらの配列の一部を含むプライマーによりPCRで増幅した。これによって、一本鎖抗体のアミノ末端側がH鎖となるものには、H鎖センスDNA3’端側の配列をリンカーDNAの5’端側に、L鎖センスDNA5’端側の配列をリンカーDNAの3’端側に付加した。また、一本鎖抗体のアミノ末端側がL鎖となるものには、L鎖センスDNA3’端側の配列をリンカーDNAの5’端側に、H鎖センスDNA5’端側の配列をリンカーDNAの3’端側に付加した。H鎖、L鎖およびリンカーDNAの増幅に用いたプライマーの組合せを表6および表7に示す。
Figure 0004077481
Figure 0004077481
PCR増幅を、GeneAmp PCR System 9700(Applied Biosystems社)を使用し、rTaq DNAポリメラーゼ(東洋紡社)を用いて、次のように行った。即ち、94℃×1分間、58℃×1分間、72℃×1分間の反応サイクルを5サイクル行い、さらに94℃×1分間、48℃×1分間、72℃×1分間の反応サイクルを20サイクル行った。PCR増幅の後、各PCR産物を3%アガロースゲル電気泳動により分離した。DNAフラグメントを含むゲルを切り出し、MagExtractor−PCR & Gel Clean Up−(東洋紡社)を用いてDNAをゲルから抽出した。次いで、抽出したH鎖、L鎖およびリンカーDNAの3種類のDNAを混合し、rTaq DNAポリメラーゼ(東洋紡社)を用いて94℃×1.5分、65℃×3分の反応サイクルを20サイクル行うか、あるいは、Pfu DNAポリメラーゼ(STRATAGENE社)を用いて95℃×1.5分、65℃×6分の反応サイクルを20サイクル行うことにより、H鎖、L鎖およびリンカーDNAを連結した。
このように連結したscFvフラグメントを、それがコードするアミノ酸配列と共に、図5〜8(配列番号56〜59;アミノ酸配列のみは配列番号60〜63)に示した。
図5(配列番号56)は、N末端側からモノクローナル抗体Dx3860のH鎖可変領域、リンカー、Dx3860のL鎖可変領域を、この順序で含むscFvフラグメント(Dx3860HL)を示すものであり、そのアミノ酸配列の1〜114位はH鎖可変領域を、115〜129位はリンカーを、130〜239位はL鎖可変領域を示す。
図6(配列番号57)は、N末端側からモノクローナル抗体Dx3860のL鎖可変領域、リンカー、Dx3860のH鎖可変領域を、この順序で含むscFvフラグメント(Dx3860LH)を示すものであり、そのアミノ酸配列の1〜110位はL鎖可変領域を、112〜126位はリンカーを、127〜240位はH鎖可変領域を示す。
図7(配列番号58)は、N末端側からモノクローナル抗体Dx3150のH鎖可変領域、リンカー、Dx3150のL鎖可変領域を、この順序で含むscFvフラグメント(Dx3150HL)を示すものであり、そのアミノ酸配列の1〜118位はH鎖可変領域を、119〜133位はリンカーを、134〜243位はL鎖可変領域を示す。
図8(配列番号59)は、N末端側からモノクローナル抗体Dx3150のL鎖可変領域、リンカー、Dx3150のH鎖可変領域を、この順序で含むscFvフラグメント(Dx3150LH)を示すものであり、そのアミノ酸配列の1〜110位はL鎖可変領域を、112〜126位はリンカーを、127〜244位はH鎖可変領域を示す。
さらに、得られたscFvフラグメントを増幅するために、反応溶液にscFvの両端(NcoI−NotI)に対応するプライマーを加えてPCRを行った。Dx3860については、94℃×1分、67℃×1分、72℃×2分の反応サイクルを5サイクル行い、さらに94℃×1分、60℃×1分、72℃×2分の反応サイクルを20サイクル行った。Dx3150については、95℃×1分、62℃×1分、75℃×4分の反応サイクルを5サイクル行い、さらに95℃×1分、55℃×1分、75℃×4分の反応サイクルを20サイクル行った。PCR産物を、1.5%アガロースゲル電気泳動により分離し、scFvのDNAフラグメント(730〜740bp)を含むゲルを切り出し、DNAフラグメントをゲルから抽出した。次いで、このDNAフラグメントの末端を、制限酵素NcoI(New England BioLabs社)およびNotI(東洋紡社)により処理し、再度MagExtractorにより精製した。
scFv DNAフラグメントを、発現ベクターpET22ΔのNcoI−NotIサイトに挿入し、この発現ベクターで大腸菌XL1−Blueを形質転換した。ライゲーションにはDNA Ligetion Kit Ver.2(宝酒造社)を用い、コンピテントセルとしてXL1−Blue Competent Cells(STRATAGENE社)を使用した。サブクローニングしたクローンについて、scFv部分の配列を解析し、正しい配列を有するクローンを選択してscFvの発現に用いた。このようにして、scFvフラグメントDx3860HLを含む発現ベクターpET22Δ−Dx3860HLならびにscFvフラグメントDx3150HLを含む発現ベクターpET22Δ−Dx3150HLを得た。
発現ベクターpET22Δ−Dx3860HLは、大腸菌Bに導入し、大腸菌B(pET22Δ−Dx3860HL)として、また、発現ベクターpET22Δ−Dx3150HLは、大腸菌K−12に導入し、大腸菌K−12(pET22Δ−Dx3150HL)として、平成15年2月27日に独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託され、それぞれ受託番号FERM BP−8305およびFERM BP−8306を取得した。
大腸菌での発現
scFvフラグメントDx3860HLが組込まれた発現ベクターpET22Δ−Dx3860HLで形質転換した大腸菌Origami B(DE3)(Novagen社)を、LB培地300ml中、OD600が約0.5になるまで37℃で培養した。次いで、培養温度を25℃に下げて培養を続けた。OD600が約1.0になった時点で、IPTG(イソプロピルチオガラクトシド)を終濃度が1mMになるように添加し、終夜培養して、scFvの発現を誘導した。遠心により菌体約1gを回収した後、50mMトリス−HCl(pH8.0)、0.1M NaCl中に懸濁し、リゾチーム(終濃度0.2mg/ml)およびTriton X−100(終濃度1%)を加えて溶菌した。遠心(15,000xg、20分間)により沈殿を回収し、沈殿を1.0% Triton X−100を含む緩衝液で2回洗浄し、scFvを含む沈殿を約100mg得た。
scFvの再構成
封入体として得られたscFvを、25mM PB、350mM NaCl、6Mグアニジン・HCl(pH7.4)の緩衝液中に加え、4℃で終夜静置して溶解した。遠心(10,000xg、15分間)により残渣を除去した後、上記の緩衝液にて平衡化したニッケルキレートカラム(Qiagen社)に適用した。カラム容積の約5〜10倍量の緩衝液にてカラムを十分に洗浄した後、20%グリセロールおよび400mMアルギニンを含む上記緩衝液に交換した。6Mから0Mまでのグアニジン・HClのグラジエントを用いて、キレートカラム上に結合したscFvを再構成させた。25mM PB、350mM NaCl、20%グリセロール、50mMイミダゾールの溶液(pH7.4)でカラムを洗浄した後、イミダゾール濃度を300mMに上げてscFvを溶出させた。
抗2,3,4,7,8−PeCDF scFvを用いた間接競合イムノアッセイによ る2,3,4,7,8−PeCDFの測定
マイクロタイタープレートに2,3,4,7,8−PeCDF誘導体−BSAコンジュゲート(1μg/ml)50μlを加え、室温で1時間反応させた。0.05% Tween 20含有PBS(−)でマイクロタイタープレートの各ウエルを洗浄し、ブロックエース(雪印社)を加え、室温で2時間静置してブロッキングを行った。マイクロタイタープレートを洗浄後、各濃度に調製した2,3,4,7,8−PeCDF(20% DMSO溶液)25μlと抗2,3,4,7,8−PeCDF scFvの溶液25μlを添加し、室温で0.5〜1時間反応させた。再度マイクロタイタープレートを洗浄した後、2000倍希釈した抗tetra−His抗体(Qiagen社)を加え室温で1時間反応させた。次いで、3000倍希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG(γ鎖認識)抗体(KPL社)50μlを添加し、室温で1時間反応させた。マイクロタイタープレートの各ウエルを十分に洗浄して未反応液を除去した後、基質溶液(TMB基質、KPL社)を加え、室温で15分間静置した。50μlの1M HPOを添加して反応を停止させ、プレートリーダー(Labsystems社)によりOD450(対照:OD600)を測定した。この結果を図9にグラフで示す。このグラフから、抗2,3,4,7,8−PeCDF scFvにより、高感度に2,3,4,7,8−PeCDFを測定できることが明らかである。
H鎖可変領域ポリペプチドの2,3,4,7,8−PeCDF結合活性の確認
発現ベクターpET22Δ−Dx3860HLのL鎖可変領域を含む制限酵素サイトBamHI−NotI間の配列を除去して作製した発現ベクターpET22Δ−Dx3860Hを用いて大腸菌Origami B(DE3)(Novagen社)を形質転換した。この形質転換体を用いて、scFvと同様に、H鎖可変領域ポリペプチド(配列番号5で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド)の発現を行った。
封入体として得られたH鎖可変領域ポリペプチドを、上記と同様に、ニッケルキレートカラム上で再構成した後、イミダゾールを用いて単離および精製した。キレートカラムより溶出された画分について、吸光度(280nm)を測定してタンパク質濃度を求め、さらに、EIA法により固相化した2,3,4,7,8−PeCDF−BSAコンジュゲートへの反応性を検討した。この結果、図10に示すように、H鎖可変領域ポリペプチド画分に抗2,3,4,7,8−PeCDF活性を認め、H鎖可変領域ポリペプチドが2,3,4,7,8−PeCDFに結合活性を有することを確認した。
H鎖への変異導入と変異体の2,3,4,7,8−PeCDF結合活性の確認
モノクローナル抗体Dx3860の遺伝子配列をもとに、変異導入抗体遺伝子ライブラリーの作製を行った。抗体のH鎖可変領域(V)の遺伝子を鋳型とし、5’側および3’側の配列に制限酵素サイトを付加したプライマーを設定し、error−prone PCRにより変異を導入した。error−prone PCRは、Taq DNAポリメラーゼが増幅中にしばしば読み間違えを起こす性質を利用し、さらに塩化マンガンの添加によりPCRの際の読み間違いを意図的に誘発し、ランダムな変異を導入する方法である。このPCR産物を、制限酵素による末端の処理と精製の後、その制限酵素サイトを利用して単鎖抗体発現ファージミドのH鎖遺伝子と置き換え、これを用いて大腸菌TG1を形質転換した。
形質転換した大腸菌の培養液10mlに、アンピシリンを終濃度100μg/mlとなるように、また、M13KO7ファージを終濃度4×10pfu/mlとなるよう添加し、37℃で1時間培養した。遠心分離により菌体を回収し、アンピシリン100μg/mlとカナマイシン50μg/mlを含む2×YT培地10mlに再懸濁し、37℃で終夜培養して培地中に単鎖抗体提示ファージを産生させた。培養液を遠心分離し、大腸菌菌体を除いた培養上清10mlに対し、2.5M NaCl含有20%ポリエチレングリコール溶液2mlを加え、混和した。氷上で1時間静置した後、冷却下、遠心分離(10000g×20分間)した。上清を完全に除去した後、得られた沈殿を10倍希釈ブロックエース(雪印社)1mlに溶解させ、単鎖抗体提示ファージ溶液とした。
調製した単鎖抗体提示ファージから、2,3,4,7,8−PeCDF誘導体、2,3,7,8−TCDF誘導体、およびクロロベンゼン誘導体に対する反応性の高いクローンを濃縮するため、バイオパニングを行った。調製したファージ溶液を、まずブロッキング剤のみを固相化したマイクロタイタープレート中でプレインキュベート(100μl/ウエル、室温、1時間)することにより、非特異的結合を排除した。次いで、2,3,4,7,8−PeCDF誘導体、2,3,7,8−TCDF誘導体、およびクロロベンゼン誘導体の各BSAコンジュゲートを固相化してブロックエースでブロッキングしたマイクロタイタープレートに移し(100μl/ウエル)、8%DMSO存在下に室温で1時間反応させた。反応終了後、プレートの各ウエルに8%DMSOおよび0.1% Tween 20含有PBS(−)300μlを添加し、ピペッティングし、5分間静置した後、洗浄緩衝液を廃棄した。この洗浄操作を3回繰り返した後、洗浄液を完全に除去し、0.1Mグリシン−塩酸緩衝液(pH2.2)100μl/ウエルを加え、10分間静置した。ピペッティングを行って、固相化抗原から遊離した単鎖抗体提示ファージを回収し、直ちにトリス溶液(pH8.0)を加えて中和した。
2×YT培地2.5ml中で培養した大腸菌TG1(OD600nm=0.3)の培養液に、バイオパニングにより回収したファージ溶液を混和し、37℃で1時間培養してファージを再感染させた。次に、アンピシリン(終濃度100μg/ml)およびグルコース(終濃度2%)を含む培養液に、終濃度4×10pfu/mlとなるようM13KO7ファージを添加し、さらに37℃で1時間培養を行った。遠心分離により菌体を回収した後、アンピシリン100μg/mlとカナマイシン50μg/mlを含む2×YT培地10mlに再度懸濁し、37℃で終夜培養した。これにより、単鎖抗体提示ファージを増幅し、培地中に産生させた(ファージレスキュー)。増幅したファージを、再びポリエチレングリコール沈殿により回収した。バイオパニングによる濃縮と再感染およびファージレスキューによる増幅を、3〜5回繰り返した。
十分濃縮されたと考えられるファージクローンを、大腸菌TG1に感染させ、寒天平板培地にプレーティングし、30℃で終夜培養して単一コロニー化した。スクリーニング条件ごとにTG1の単一コロニーから6クローンずつを無作為に選び、常法によりファージミドを調製し、これを鋳型としてBigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit v3.0(Applied Biosystems社)によるシークエンス反応を行った。ジェネティックアナライザABI PRISM 310 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社)により塩基配列を解析し、4種類のV鎖変異導入体(Dx3860HL−M#5、Dx3860LH−M#1、Dx3860LH−M#2、Dx3860LH−M#3)を得た。これらV鎖変異体のアミノ酸配列を、図11および配列番号64〜67に示した。Dx3860野生型V(WT)と比較したところ、1〜2個のアミノ酸の変異が見られた。また、変異導入箇所はCDR部位に特定されず、フレームワークにも認められた。
いずれの変異体も間接競合イムノアッセイにより2,3,4,7,8−PeCDFを認識することを確認した(図12)。また、抗体価やDMSO中での反応性には差が見られ、抗体価およびDMSO中での安定性はいずれも、変異体の方が野生型を上回る結果を示した(図13および図14)。さらに、この傾向は形質転換した大腸菌[Origami B(DE3)]にて発現させた各scFvにおいても保持されていた。
産業上の利用の可能性
本発明により提供されるDNAを用いて宿主細胞内で発現させることにより、2,3,4,7,8−PeCDFを認識する組換抗体を大量に製造することができる。このように製造された組換抗体は、親モノクローナル抗体より安価であり、それを用いて2,3,4,7,8−PeCDFを免疫学的に捕獲することができ、免疫測定に応用することができる。また、変異を導入したDNAを用いることにより、さらに有利な特性を有する組換抗体、例えば、2,3,4,7,8−PeCDFへの親和性が向上した組換抗体や安定性が改善された組換抗体などを製造することができ、生体成分である天然の抗体タンパク質が有する問題点の克服も可能となる。

Claims (7)

  1. 2,3,4,7,8-ペンタクロロジベンゾフラン(2,3,4,7,8-PeCDF)に結合活性を有する組換抗体であって、scFvフラグメントDx3860HL、ならびに、変異体Dx3860HL - M#5、Dx3860LH - M#1、Dx3860LH - M#2およびDx3860LH - M#3からなる群から選択される組換抗体。
  2. 請求項1に記載の組換抗体のアミノ酸配列をコードするDNA。
  3. 請求項に記載のDNAを含むクローニングまたは発現ベクター。
  4. 請求項に記載のクローニングまたは発現ベクターで形質転換した形質転換体。
  5. 請求項1に記載の組換抗体の製造方法であって、請求項に記載の発現ベクターで形質転換した形質転換体を適当な培地中で培養し、該形質転換体または培地から組換抗体を回収することを含んでなる方法。
  6. 2,3,4,7,8-PeCDFを免疫学的に捕獲する方法であって、請求項1に記載の組換抗体を使用することを特徴とする方法。
  7. 2,3,4,7,8-PeCDFを免疫学的に測定する方法であって、請求項1に記載の組換抗体を使用することを特徴とする方法。
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