JP4077062B2 - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は車両用駆動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用駆動力制御装置としては、例えば特開平7−172217号公報記載の技術が知られている。その従来技術においては、車速に対して実現可能な最大および最小駆動力とアクセル開度(アクセル操作量)を用いて算出した要求有効駆動力と、走行抵抗分とから、パワートレイン系で出力すべき目標駆動力を算出している。
【0003】
より詳しくは、要求有効駆動力は、最大駆動力と最小駆動力の差に係数(ゲイン。アクセル開度と車速により決定される)を乗じた積と最小駆動力の和から求めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、係数(ゲイン)がアクセル開度に対して一意に決定されているため、車速およびアクセル操作量に対して目標駆動力を精度良く算出することが困難であった。
【0005】
また、内燃機関あるいは変速機において、その入力操作に対して出力操作に遅れが生じるため、内燃機関あるいは変速機の応答性を十分考慮しないと、算出した目標駆動力を実現できない場合があるが、前記した従来技術においてはその点で必ずしも満足できるものではなかった。
【0006】
この発明の目的は上記した従来技術の欠点を解消することにあり、目標駆動力を精度良く算出するようにした車両用駆動力制御装置を提供することにある。
【0007】
さらには、内燃機関あるいは変速機の応答性を考慮して目標駆動力を算出することで車両が確実に実現することができる目標駆動力を算出するようにした車両用駆動力制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は請求項1項に示す如く、自動変速機と内燃機関を搭載してなる車両用駆動力制御装置において、少なくともアクセル開度、車速を含む前記車両の運転状態と、少なくとも機関暖機状態、機関回転数、機関負荷を含む前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段、少なくとも前記検出された車速に基づいてスロットルバルブが全開されているときに前記車両が出力する全開駆動力を算出する全開駆動力算出手段、少なくとも前記検出された車速に基づいてスロットルバルブが全閉されているときに前記車両が出力する全閉駆動力を算出する全閉駆動力算出手段、前記検出された車速における前記検出されたアクセル開度に対する駆動力比率を算出する駆動力比率算出手段、前記算出された全開駆動力と全閉駆動力の差に、前記駆動力比率を乗じて前記車両が出力すべき目標駆動力を算出する目標駆動力算出手段、前記目標駆動力の前回値と今回値の偏差を算出する偏差算出手段、および前記算出された偏差によって前記目標駆動力の今回値を補正して前記目標駆動力の変化速度を制限する目標駆動力変化速度制限手段を備える如く構成した。
【0009】
車両が実現し得る最大駆動力は一般に、車速の増加につれて減少するが、上記の如く構成したことによって、目標駆動力を車両とアクセル開度から検索自在にマップ化するときも、検索分解能を車速全域に一律にすることができるので、特に高車速時の分解能精度が向上し、目標駆動力を精度良く算出することができる。
【0010】
また、前記目標駆動力の前回値と今回値の偏差を算出する偏差算出手段、および前記算出された偏差によって前記目標駆動力の今回値を補正して前記目標駆動力の変化速度を制限する目標駆動力変化速度制限手段を備える如く、換言すれば、内燃機関あるいは変速機の応答性を考慮して目標駆動力を算出するようにしたので、車両が確実に実現することができる目標駆動力を算出することができる。
【0011】
さらに、例えば、定常的な駆動力を燃費向上を意図して、また過渡的な駆動力をドライバビリティ向上を意図して算出し、両者を別々に算出して両者の利点を両立させることも可能となり、目標駆動力算出の自由度を拡大することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1はこの発明に係る車両用駆動力制御装置を全体的に示す概略図である。図示の形態の場合、自動変速機としてベルト式の無段変速機(CVT)を備える。
【0014】
図において符号10は内燃機関(以下「エンジン」という)、より詳しくはその本体を示し、エンジン10に接続された吸気管12にはスロットルバルブ14が配置される。スロットルバルブ14は、車両運転席(図示せず)床面に配置されたアクセルペダル16とは切り離され、パルスモータ18に接続され、その出力で開閉される。尚、エンジン10には、EGR(排気循環)機構(図示せず)が設けられる。
【0015】
エンジン10の出力軸(クランク軸)20は、ベルト式無段変速機24(CVT。以下「トランスミッション」という)に接続される。より具体的には、エンジン10の出力軸20は、デュアルマスフライホィール26を介してトランスミッション24の入力軸28に接続される。
【0016】
トランスミッション24は、入力軸28とカウンタ軸30との間に配設された金属Vベルト機構32と、入力軸28とドライブ側可動プーリ34との間に配設された遊星歯車式前後進切換機構36と、カウンタ軸30とディファレンシャル機構40との間に配設された発進クラッチ42とから構成される。ディファレンシャル機構40に伝達された動力は、ドライブ軸(図示せず)を介して左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。
【0017】
金属Vベルト機構32は、入力軸28上に配設されたドライブ側可動プーリ34と、カウンタ軸30上に配設されたドリブン側可動プーリ46と、両プーリ間に巻掛けられた金属Vベルト48とからなる。ドライブ側可動プーリ34は、入力軸28上に配置された固定プーリ半体50と、この固定プーリ半体50に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体52とからなる。
【0018】
可動プーリ半体52の側方には、固定プーリ半体に結合されたシリンダ壁50aにより囲まれてドライブ側シリンダ室54が形成されており、ドライブ側シリンダ室内54に油路54aを介して供給される油圧により可動プーリ半体52を軸方向に移動させる側圧が発生する。
【0019】
ドリブン側可動プーリ46は、カウンタ軸30に配置された固定プーリ半体56と、この固定プーリ半体56に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体58とからなる。可動プーリ半体58の側方には固定プーリ半体56に結合されたシリンダ壁56aにより囲まれてドリブン側シリンダ室60が形成され、ドリブン側シリンダ室内60に油路60aを介して供給される油圧により可動プーリ半体58を軸方向に移動させる側圧が発生する。
【0020】
上記ドライブ側シリンダ室54およびドリブン側シリンダ室60に供給するプーリ制御油圧を決定するレギュレータバルブ群64と、各シリンダ室54,60へのプーリ制御油圧を供給する変速制御バルブ群66とが設けられ、それらによってVベルト48の滑りが発生することがない適切なプーリ側圧が設定されると共に、両プーリ34,46のプーリ幅を変化させ、Vベルト48の巻掛け半径を変化させて変速比を無段階に変化させる。
【0021】
遊星歯車式前後進切換機構36は、入力軸に結合されたサンギヤ68と、固定プーリ半体50に結合されたキャリア70と、後進用ブレーキ72により固定保持可能なリングギヤ74と、サンギヤ68とキャリア70とを連結可能な前進用クラッチ76とからなる。
【0022】
前進用クラッチ76が係合されると、全ギヤが入力軸28と一体に回転し、ドライブ側プーリ34は入力軸28と同方向(前進方向)に駆動される。後進用ブレーキ72が係合されると、リングギヤ74が固定保持されるためキャリア70はサンギヤ68とは逆方向に駆動され、ドライブ側プーリ34は入力軸28とは逆方向(後進方向)に駆動される。また、前進用クラッチ76及び後進用ブレーキ72が共に解放されると、この前後進切換機構36を介しての動力伝達が断たれ、エンジン10とドライブ側駆動プーリ34との間の動力伝達が行われなくなる。
【0023】
発進クラッチ42はカウンタ軸30とディファレンシャル機構40との間の動力伝達をオン(係合)・オフ(解放)制御するクラッチであり、これがオン(係合)すると、金属Vベルト機構32により変速された機関出力が、ギヤ78,80,82,84を介してディファレンシャル機構40により左右の車輪(図示せず)に分割されて伝達される。発進クラッチ42がオフ(解放)のとき、トランスミッションは中立状態となる。
【0024】
発進クラッチ42の作動制御はクラッチコントロールバルブ88により行われると共に、前後進切換機構36の後進用ブレーキ72と前進用クラッチ76の作動制御は、図示しないマニュアルシフトレバーの操作に応じてマニュアルシフトバルブ90により行われる。
【0025】
これらバルブ群の制御は、マイクロコンピュータよりなるトランスミッション制御部100からの制御信号に基づいて行われる。
【0026】
ここで、エンジン10ののカム軸(図示せず)付近などの適宜位置にはクランク角センサ102が設けられ、クランク角度(それをカウントして機関回転数NEが算出される)に比例した信号を出力する。また、吸気管12においてスロットルバルブ14下流の適宜位置には絶対圧センサ104が設けられ、吸気管内絶対圧(エンジン負荷)PBAに比例した信号Pを出力すると共に、シリンダブロック(図示せず)の適宜位置には水温センサ106が設けられ、機関冷却水温TWに比例した信号を出力する。
【0027】
また、スロットルバルブ14の付近にはスロットル開度センサ108が設けられ、スロットル開度θTHに比例した信号を出力すると共に、アクセルペダル16の付近にはアクセル開度センサ110が設けられ、運転者の踏み込んだアクセル開度ACCに比例した信号を出力する。
【0028】
トランスミッション24において、入力軸28の付近には回転数センサ114が設けられ、入力軸28の回転数NDRに比例した信号を出力すると共に、ドリブン側プーリ46の付近には回転数センサ116が設けられ、ドリブン側プーリ46の回転数、即ち、発進クラッチ42の入力軸(カウンタ軸30)の回転数NDNに比例した信号を出力する。また、ギヤ78の付近には回転数センサ118が設けられ、ギヤ78の回転数、即ち、発進クラッチ42の出力軸の回転数NOUTに比例した信号を出力する。
【0029】
更に、ディファレンシャル機構40に連結されたドライブ軸(図示せず)の付近には車速センサ122が設けられ、車速VLVHに比例した信号を出力する。また、運転席床面のシフトレバー(図示せず)の付近にはシフトレバーポジションスイッチ124が設けられ、運転者によって選択されたレンジ位置(D,N,P,..など)に比例した信号を出力する。
【0030】
前記した如く、この装置は、トランスミッション制御部100を備えると共に、同様にマイクロコンピュータよりなるエンジン制御部200を備える。前記したセンサ群のうち、クランク角センサ102、絶対圧センサ104、水温センサ106、スロットル開度センサ108の出力は、それら制御部100,200に入力される。
【0031】
また、この装置は、同様にマイクロコンピュータよりなる統合制御部300を備え、前記したセンサ群のうち、アクセル開度センサ110、車速センサ122の出力は、統合制御部300に入力される。
【0032】
図2は、統合制御部300の構成を機能的に示す説明ブロック図である。
【0033】
統合制御部300は、目標負荷(駆動力)決定部300a、エンジン運転方式切換判断部300b、および目標エンジントルク・目標変速比演算部300cを備える。目標負荷(駆動力)決定部300aはアクセル開度センサ110、車速センサ122の出力ACC,VLVHを入力し、検出されたアクセル開度ACCおよび車速VLVHに基づいて後述の如く所定の特性(マップ)に従って車両が出力すべき目標負荷、より具体的には目標駆動力FCMDを演算する。
【0034】
エンジン運転方式切換判断部300bは、車速VLVH、目標駆動力FCMD(FCMDREG)および後述のエンジン制御部からのエンジン運転選択肢信号(機関作動状態信号)に基づき、エンジン運転方式切換判断を行い、エンジン運転方式指令値をエンジン制御部200と目標エンジントルク・目標変速比演算部300cに送る。
【0035】
目標エンジントルク・目標変速比演算部300cでは、エンジン運転方式指令値に基づいて複数種用意されたマップ(運転特性)の中の対応するエンジン運転方式に応じたマップを用い、目標エンジントルク、より具体的には目標スロットル開度THCMDを決定し、スロットル制御部400に送る。スロットル制御部400は、目標スロットル開度THCMDに従ってパルスモータ18の制御値を決定し、駆動する。これによって、エンジンが所望のトルクに制御される。
【0036】
また、目標エンジントルク・目標変速比演算部300cでは、エンジン運転方式指令値に基づいて複数種用意されたマップ(運転特性)の中の対応するマップを用い、目標変速比、より具体的には目標NDR(NDRCMD)、即ち、前記した入力回転数NDRの目標値を決定し、トランスミッション制御部100に送る。
【0037】
トランスミッション制御部100は、目標NDRとなるように、前記した如く、可動プーリ34,46を駆動し、変速比を制御する。ここで、目標NDRは、トランスミッション24のドライブ側可動プーリ34の目標回転数であり、車速VLVHに対して目標NDRを定義することで、変速比が一義的に決定され、制御される。
【0038】
目標エンジントルク・目標変速比演算部でそれぞれ複数種用意されたマップ(運転特性)は、運転方式別に、リーンバーン(希薄燃焼)運転、理論空燃比(ストイキオメトリック)でのEGR運転、理論空燃比でのEGRなしの運転、および高負荷全開運転の4種からなる。燃料消費量は当然ながら、上記の順で増加する。それらマップは、燃費性能が最良となるように、車速と目標駆動力FCMDに応じ、スロットル開度と変速比(レシオ)、より正確には、スロットル開度と変速比(レシオ)の組み合わせが予め実験により求めて設定される。
【0039】
次いで、この装置の動作を説明する。
【0040】
図3はその動作を示すフロー・チャートである。尚、図示のプログラムは統合制御部300が行う動作であり、所定時間、例えば20msecごとに実行される。
【0041】
先ず、S10において入力情報処理を行う。
【0042】
図4はその処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0043】
以下説明すると、S100において車速センサ122の検出した車速VLVHを読み込み、S102に進んでアクセル開度センサ110の検出したアクセル開度ACCを読み込み、S104に進んでエンジン制御部200から送られた選択肢信号を読み込む。
【0044】
エンジン制御部200は、エンジン10の暖機状態を示す機関冷却水温TW、エンジン回転数NE、エンジン負荷PBAなどの運転状態を示すパラメータから、EGR導入(運転)が可能か、リーンバーン運転が可能かなどを判断し、選択肢信号としてエンジン運転方式切換判断部300bに送る。
【0045】
具体的には、選択肢信号はフラグFLG.SLBOK(リーンバーン運転)、FLG.EGROK(EGR運転)およびFLG.PBWOTSTB(全開増量運転待機)からなり、エンジン運転方式切換判断部300bはそれらのビットを参照することで受信する。それらのビットが1にセットされているときは、リーンバーン運転、EGR運転が可能、もしくは全開増量運転待機中であることを示し、0にリセットされるときは、然らざる場合を示す。
【0046】
図3に戻ると、次いでS12に進み、目標駆動力FCMDを算出する。
【0047】
図5はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0048】
以下説明すると、S200において車速VLVHを読み込み、S202に進んでアクセル開度ACCを読み込み、S204に進み、読み込んだ値から図6に示すマップ(特性)を検索して目標駆動力FCMDを決定する。
【0049】
図7はその作業をより詳細に示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0050】
また、図8は図7の作業を説明する説明ブロック図である。目標負荷(駆動力)決定部300aは、図示の如く、定常駆動力演算部Aおよび動特性演算部Bとから構成される。
【0051】
以下説明すると、S300において読み込んだ車速VLVHとアクセル開度ACCから、図8にその特性を示す全開駆動力マップ、全閉駆動力マップ、およびパーシャル駆動力比率マップを検索し、全開駆動力FCMDWOT〔kgf〕、全閉駆動力FCMDOFF〔kgf〕、およびパーシャル駆動力比率(目標駆動力正規化値)FREGMAP〔%〕を検索する。
【0052】
全開駆動力マップおよび全閉駆動力マップは、車速VLVHに対して実現し得る最大駆動力FCMDWOTおよび最小駆動力FCMDOFFを規定する。パーシャル駆動力比率(目標駆動力正規化値)マップは、最大、最小駆動力の間で正規化された、車速VLVHにおけるアクセル開度ACCに対する駆動力の比率を規定する。
【0053】
また、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいとき、即ち、アクセル開度変化ΔACC(アクセル開度ACCの1階差分値)が所定値より大きいときは、運転者が瞬間的により大きな駆動力を欲しているものと判断し、アクセル開度変化ΔACCから、キックダウン動作に相当するキックダウン時比率加算量DFREKD1を検索する。
【0054】
次いでS302に進み、全開駆動力FCMDWOTから全閉駆動力FCMDOFFを減算して差FCMDSPANを算出し、S304に進み、求めた差に、パーシャル駆動力比率FREGMAPとキックダウン時比率加算量DFREKD1の和を乗じ、その積に全閉駆動力FCMDOFFを加算し、定常時目標駆動力FCMDMAPを求める。
【0055】
次いでS306に進み、求めた値FCMDMAPからFCMD(k-1) 、即ち、FCMDの前回値を減算して差SFCMDを求める。ここで、(k-1) はZ変換(離散系)での前回のサンプル時刻を示し、より具体的には図3プログラムの前回実行時の値を示す。尚、図示の簡略化のため、今回値に(k) を付すのを省略した。
【0056】
次いでS308に進み、求めた差SFCMDから図8にその特性を示す動特性設定マップを検索して値DFCMDTMPを求める。動特性設定マップは、前回の目標駆動力FCMD(k-1) と今回の目標駆動力FCMDの偏差SFCMDに対する目標駆動力応答調整項マップ値DFCMDTMPを規定する。
【0057】
次いでS310に進み、車速VLVHから図8にその特性を示す過渡応答調整マップを検索して値KDFCMDを求める。過渡応答調整マップは、車速に対する目標駆動力応答調整項DFCMDTMPの補正係数KDFCMDを規定する。次いでS312に進んで求めた値DFCMDTMPとKDFCMDを乗じて目標駆動力応答調整項DFCMDを算出する。
【0058】
次いでS314に進んで検出アクセル開度ACCが所定値APDEGOFF(全閉判断値)を超えるか、換言すればアクセル開度が実質的に全閉ではないか否か判断し、肯定されて全閉ではないと判断されるときはS316に進み、FCMDMAPとDFCMDの和、即ち、動特性調整後の値を目標駆動力FCMDとすると共に、否定されて全閉と判断されるときはS318に進み、FCMDMAP、即ち、動特性調整前の値を目標駆動力FCMDとする。
【0059】
次いでS320に進み、動特性調整後の目標駆動力FCMDを、FCMDOFFとFCMDSPANを用いて正規化した量FCMDREG(%)に加工し、プログラムを終了する。
【0060】
上記について説明すると、駆動力特性を車速とアクセル開度に対してマップ化するとき、目標駆動力を正規化して行ったのは、車両が実現し得る最大駆動力が、低車速で高く、高車速で低いという特性を有するため、実駆動力でマップを定義すると、マップの格子点を最大駆動力を基準として設定すれば、最小駆動力側で検索分解能が粗くなってしまう。このため、全体を正規化して表した。これによって、どの車速でもアクセル開度に合わせて出力分解能を同じにすることができる。
【0061】
また、目標駆動力算出ブロックを、図8に示す如く、定常駆動力演算部Aと動特性演算部Bに分離して構成したのは、以下の理由による。
【0062】
即ち、目標駆動力の変化速度が大き過ぎると、エンジントルク応答、トランスミッションの変速スピードが要求に追従することができず、設定した特性の要求を満足できない場合がある。その場合、目標駆動力に対して実際の駆動力を求め、エンジントルク補正によりフィードバック制御することも考えられるが、構成が複雑となる。
【0063】
また、その場合、予め設定したエンジントルクと変速比(レシオ)の関係をずらすことになり、燃費最良の運転点からずれることになってしまう。また、実際、運転者も急激なステップ状の駆動力変化を求めていず、定常状態での要求出力に徐々に応答させていく方が運転者の要求にマッチし、ドライバビリティも良い。
【0064】
そこで、図8に示す如く、定常駆動力演算部Aと動特性演算部Bに分離構成し、要求(目標)駆動力のうち、あるアクセル開度と車速で定常特性として実現したい分を前者により演算すると共に、その駆動までどのように応答させるかを定義する過渡特性分を後者により演算し、目標駆動力の変化速度を制限するようにした。
【0065】
即ち、動特性演算部では、エンジンとトランスミッションの応答性を考慮し、駆動力の動特性を満足するように、定常駆動力演算部で求めた定常駆動力を補正して目標駆動力を算出する。この構成により、ドライバビリティを良好に保ちつつ、常に燃費最良のエンジントルクと変速比(レシオ)の組み合わせに追従制御することができる。
【0066】
また、アクセル開度が全閉のときは、目標駆動力を定常特性分のみとすることで、減速意図を迅速に捉えることが可能となり、アクセル開度が全閉ではないときは車速に応じて過渡応答特性を調整することで、簡易な構成でありながら、車両の駆動力特性を自由に設定することができる。
【0067】
即ち、内燃機関あるいは変速機の応答性を考慮して目標駆動力を算出するようにしたので、車両が確実に実現することができる目標駆動力を算出することができる。さらに、例えば、定常的な駆動力を燃費向上を意図して、また過渡的な駆動力をドライバビリティ向上を意図して算出し、両者を別々に算出して両者の利点を両立させることも可能となり、目標駆動力算出の自由度を拡大することができる。
【0068】
図3に戻ると、続いてS14に進み、エンジン運転方式を決定する。
【0069】
これは、前記したエンジン制御部200から送られる運転方式選択肢信号、即ち、フラグFLG.EGROKやFLG.SLBOKなどのビットに基づき、この選択肢の中から燃費性能が最良の運転方式を選択することで行う。より具体的には、求めた目標駆動力FCMDと車速VLVHに基づいて図9に示すように設定された領域マップ(特性)を検索して行う。
【0070】
このように、エンジン制御部200から送られた、その時点で可能な運転方式の選択肢の中から、最も燃費性能の良い運転方式を、図9に示す如く、目標駆動力と車速といった車両負荷から決定する。
【0071】
尚、燃費性能の良い運転方式は、リーンバーン運転と理論空燃比EGR運転を比較すると、図10に示すように、同一車速、同一駆動力でみるとき、リーンバーンでローレシオ(変速比大)の場合である。しかし、状況によっては、図11に示すように、理論空燃比でOD端のハイレシオ(変速比小)で運転する方が燃費性能が勝る場合がある。従って、予め車速と駆動力の各組み合わせにおいて燃費性能が最良、即ち、最小となる運転方式を求めておき、図9に示すようにマップ化しておく。
【0072】
図12はそのエンジン運転方式決定作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0073】
以下説明すると、S400において車速と目標駆動力とから、予め設定した全開増量回避運転リセット領域に入ったか否か判断する。図13は、その領域の説明図である。
【0074】
全開増量回避運転リセット領域とは、車速と目標駆動力が所定の範囲内にあるときは、エンジントルクが、全開増量運転を行う領域のトルクで運転を行わなくても、他の運転方式、即ち、前記したリーンバーン運転、理論空燃比でのEGR運転、理論空燃比でのEGR制御なしの運転で駆動力を実現できる領域であり、この駆動力内では敢えて全開増量回避を行わなくても良いので、リセット信号を作成する。
【0075】
従って、S400で否定されるときはS402に進んで上記した全開増量回避運転方式を選択すると共に、全開増量回避リセットフラグのビットを0にリセットする。他方、肯定されるときはS404に進んでそのフラグのビットを1にセットする。
【0076】
次いでS406に進み、フラグFLG.PBWOTSTB(全開増量運転待機中)のビットが1にセットされているか否か判断し、即ち、全開増量運転待機中か否か判断する。
【0077】
このフラグのビットが1にセットされていることは、前記したように、全開増量運転待機中、より具体的にはエンジン保護のため、目標空燃比リッチ化運転モードにまもなく入る状態であることを示す。S406で肯定されるときはS408に進み、運転方式を全開増量回避運転、より詳しくは全開増量を回避するような変速比に設定する運転モードとする。
【0078】
これについて説明すると、高負荷時には、一般に、高温の排気ガスから排気浄化装置を保護するために、理論空燃比よりも燃料噴射量を増加して排気温度を低下させているが、このことは他方では燃費性能およびエミッション性能を悪化させる。その意図から、この装置にあっては、運転者が高出力(負荷)を要求した場合でも、可能な限り、全開増量運転を回避するようにした。
【0079】
他方、S406で否定されるときはS410に進み、前記したフラグFLG.SLBOK(リーンバーン運転)のビットが1にセットされているか否か、換言すればリーンバーン運転が可能か否か判断し、肯定されるときはS412に進み、目標駆動力および車速からリーンバーン許可領域内にあるか否か判断する。
【0080】
図16にそのリーンバーン許可領域の特性を示す。尚、この特性は、燃費性能のみならず、エミッション性能やドライバビリティも満足するように予め設定される。従って、燃費性能からすれば、必ずしも最小ではないが、このように設定することにより、何等かの理由でリーンバーン運転を回避したいときは、この特性を変更することで容易に回避することができる。
【0081】
S412で肯定されるときはS414に進んで運転方式はリーンバーン運転とする。他方、S410あるいはS412で否定されるときはS416に進み、フラグFLG.EGROKのビットが1にセットされているか否か判断し、肯定されるときはS418に進んで運転方式を、空燃比を理論空燃比に制御しつつEGR運転とする。
【0082】
S41で否定されるとき、具体的には冷間時の如くEGR導入により燃焼が不安定となるような場合にはS420に進み、運転方式を、空燃比を理論空燃比に制御しつつEGRを実行しない運転とする。
【0083】
続いてS422に進み、エンジン制御部200に運転方式を指令し、S424に進んでエンジン制御部200に全開増量回避運転リセット信号(S402,S404で判断された)を送信する。これにより、エンジン制御部200でフラグFLG.PBWOTSTBのビットが0にリセットされる。次いでS426に進み、運転方式を目標エンジントルク・目標変速比演算部300cに送信する。
【0084】
図14は前記した運転指令に基づいてエンジン制御部200で行われる処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0085】
以下説明すると、S500においてエンジン負荷(吸気管内絶対圧PBA)が全開増量閾値を超えるか、換言すればエンジンが高負荷状態にあるか否か判断し、否定されるときはS502に進んで全開増量待機タイマ(ダウンカウンタ)をセットし(スターさせ)、S504に進んで時間計測を行う。図15タイム・チャートにそれを示す。
【0086】
他方、S500で肯定されるときはS506に進み、前記した全開増量待機タイマのカウント値が所定値以か否か判断し、肯定されるときはS508に進んで全開増量待機フラグFLG.PBWOTSTBのビットを1にセットする。これによって、前記したように、統合制御部300に全開増量運転待機中であることを知らせる。尚、S506で否定されるときはS508をスキップする。
【0087】
続いてS510に進み、全開増量待機タイマのカウント値が零に達したか否か判断し、肯定されるときはS512に進んで運転方式を全開増量、即ち、前記したフラグFLG.PBWOTSTBのビットを1にセットする。尚、S510で否定されるときはS512をスキップする。
【0088】
続いてS514に進み、全開増量回避リセットフラグのビットが1にセットされているか否か判断し(図12の処理でセット/リセットされる)、肯定されるときはS516に進んで全開増量待機フラグのビットを0にセットする。尚、否定されるときはS516をスキップする。
【0089】
上記した構成によって、全開増量回避運転モードに入ると、変速比とエンジントルクが変更され、エンジン負荷が全開の必要のない高回転低負荷側へ移行させられ、全開増量を不要とするように制御される。
【0090】
即ち、全開増量回避運転を行うときも、低回転において高負荷エンジントルクで全開増量した場合と同じ駆動力で燃費性能の良い運転点に移行するので、ドライバビリティの悪化を伴わずに燃費性能を向上させることができる。具体的には後で図21に関して述べる如く、車速30km/h付近、目標駆動力(正規化値)40%から60%の黒色で示す範囲、即ち、低車速、高負荷領域において燃費性能(FE)を向上させることができる。また、全開増量回避運転においては理論空燃比で運転することから、理論空燃比で運転する範囲が拡大することができ、エミッション性能も向上させることができる。
【0091】
図3フロー・チャートに戻ると、続いてS16に進み、決定した運転方式に応じて目標スロットル開度THCMDを算出する。
【0092】
図17はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0093】
以下説明すると、S600において選択された運転方式に対応するマップ(特性)に切り換え(選択し)、S602に進んで車速VLVHを読み込み、S604に進んで目標駆動力FCMDとその正規化量FCMDREGを読み込み、S606に進んで目標スロットル開度THCMDを算出する。図18にその特性を示す。尚、マップ検索を最終値FCMDではなく、正規化値FCMDREGで行うのは、そうすることによって前記したように、車速の如何にかかわらず同一の精度でデータを設定できるためである。
【0094】
図3フロー・チャートに戻ると、続いてS18に進んで目標NDR(NDRCMD)を算出する。
【0095】
図19はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【0096】
以下説明すると、S700において選択された運転方式に対応するマップ(特性)に切り換え(選択し)、S702に進んで車速VLVHを読み込み、S704に進んで目標駆動力FCMDとその正規化量FCMDREGを読み込み、S706に進んで目標NDR(NDRCMD)を算出する。図20にその特性を示す。同様の理由から、ここでも、正規化量FCMDREGからマップ検索する。
【0097】
図3フロー・チャートでは続いてS20に進み、出力、即ち、算出されたエンジン運転方式指令値、目標スロットル開度THCMD、目標NDR(NDRCMD)を、エンジン制御部200、スロットル制御部400、およびトランスミッション制御部100に出力する。
【0098】
それにより、エンジン制御部200においては指令された方式に従ってエンジンが運転され、スロットル開度制御部では目標スロットル開度、より具体的には要求機関出力を実現すべくパルスモータ18が駆動される。
【0099】
また、トランスミッション制御部100では、目標NDRとなるように変速比が制御される。より具体的には、ドライブ側可動プーリ34とドリブン側可動プーリ46に油圧を供給し、ドライブプーリ回転NDR(入力回転数)が目標NDRとなるように、フィードバック制御される。
【0100】
上記した如く、この実施の形態においては、自動変速機(ベルト式無段変速機24)と内燃機関(エンジン10)を搭載してなる車両用駆動力制御装置において、少なくともアクセル開度ACC、車速VLVHを含む前記車両の運転状態と、少なくとも機関暖機状態、機関回転数、機関負荷を含む前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段(アクセル開度センサ110、車速センサ122など。S10)、少なくとも前記検出された車速に基づいてスロットルバルブが全開されているときに前記車両が出力する全開駆動力FCMDWOTを算出する全開駆動力算出手段(目標負荷(駆動力)決定部300a,S12,S204,S300)、少なくとも前記検出された車速に基づいてスロットルバルブが全閉されているときに前記車両が出力する全閉駆動力FCMDOFFを算出する全閉駆動力算出手段(目標負荷(駆動力)決定部300a,S12,S204,S300)、前記検出された車速における前記検出されたアクセル開度に対する駆動力比率(パーシャル駆動力比率FREGMAP)を算出する駆動力比率算出手段(目標負荷(駆動力)決定部300a,S12,S204,S300)、および、前記算出された全開駆動力と全閉駆動力の差に、前記駆動力比率を乗じて前記車両が出力すべき目標駆動力FCMD(FCMDREG)を算出する目標駆動力算出手段(目標負荷(駆動力)決定部300a,S12,S204,S300からS320)を備える如く構成した。
【0101】
車両が実現し得る最大駆動力は一般に、車速の増加につれて減少するが、上記の如く構成したことによって、目標駆動力を車両とアクセル開度から検索自在にマップ化するときも、検索分解能を車速全域に一律にすることができるので、特に高車速時の分解能精度が向上し、目標駆動力を精度良く算出することができる。
【0102】
た、前記目標駆動力の前回値FCMD(k) と今回値FCMDMAPの偏差SFCMDを算出する偏差算出手段(S306)、および前記算出された偏差SFCMDによって前記目標駆動力の今回値を補正して、より具体的には算出された偏差SFCMDから目標駆動力応答調整項DFCMDを求め、それによって前記目標駆動力の今回値を補正して(FCMD=FCMDMAP+DFCMD)前記目標駆動力の変化速度を制限する目標駆動力変化速度制限手段(S308からS320)、を備える如く構成した。即ち、内燃機関あるいは変速機の応答性を考慮して目標駆動力を算出するようにしたので、車両が確実に実現することができる目標駆動力を算出することができる。
【0103】
さらに、例えば、定常的な駆動力を燃費向上を意図して、また過渡的な駆動力をドライバビリティ向上を意図して算出し、両者を別々に算出して両者の利点を両立させることも可能となり、目標駆動力算出の自由度を拡大することができる。
【0104】
より具体的には、自動変速機(ベルト式無段変速機24)と内燃機関(エンジン10)を搭載してなる車両用駆動力制御装置において、少なくともアクセル開度ACC、車速VLVHを含む前記車両の運転状態と、少なくとも機関暖機状態、機関回転数、機関負荷を含む前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段(アクセル開度センサ110、車速センサ122など。S10)、少なくとも前記検出されたアクセル開度および車速に基づき、前記車両が出力すべき目標駆動力FCMDを演算する目標駆動力演算手段(目標負荷(駆動力)決定部300a,S12)、前記検出された運転状態に基づいて前記内燃機関の作動状態を表す機関作動状態信号を出力する機関作動状態信号出力手段(エンジン制御部200、S104)、前記演算された目標駆動力と機関作動状態信号に基づき、設定された複数種の運転方式のうちのいずれかに切り換える運転方式切換手段(エンジン運転方式切換判断部300b,S14,S400からS426)、前記演算された目標駆動力に基づき、前記切り換えられた運転方式に従って前記内燃機関の目標出力および前記自動変速機の制御値を演算する出力演算手段(目標エンジントルク・目標変速比演算部300c,S16,S18)、前記演算された目標出力に基づいて前記内燃機関の出力を制御するアクチュエータ(パルスモータ18)を制御するアクチュエータ制御手段(スロットル制御部400)、および前記演算された制御値に基づいて前記自動変速機の変速比(目標NDR)を制御する変速制御手段(トランスミッション制御部100)を備えると共に、前記目標駆動力演算手段は、少なくとも前記検出された車速に基づいてスロットルバルブが全開されているときに前記車両が出力する全開駆動力FCMDWOTを算出する全開駆動力算出手段(目標負荷(駆動力)決定部300a,S12,S204,S300)、少なくとも前記検出された車速に基づいてスロットルバルブが全閉されているときに前記車両が出力する全閉駆動力FCMDOFFを算出する全閉駆動力算出手段(目標負荷(駆動力)決定部300a,S12,S204,S300)、前記検出された車速における前記検出されたアクセル開度に対する駆動力比率(パーシャル駆動力比率FREGMAP)を算出する駆動力比率算出手段(目標負荷(駆動力)決定部300a,S12,S204,S300)、および、前記算出された全開駆動力と全閉駆動力の差に、前記駆動力比率を乗じて前記車両が出力すべき目標駆動力FCMD(FCMDREG)を算出する目標駆動力算出手段(目標負荷(駆動力)決定部300a,S12,S204,S300からS320)を備える如く構成した。
【0105】
また、この実施の形態においては、エンジンのみを考慮したとき運転可能な運転方式選択肢の中から、車両の要求負荷、具体的には目標駆動力(および車速)に基づいて燃料消費量が最良(最小)となる運転方式に切り換え、切り換えられた運転方式に応じた目標トルク(目標駆動力)と変速比の組み合わせを決定できるようにしたので、冷間時、暖機時を含むあらゆる運転状況において、そのとき可能なエンジン運転方式の制約の中で、目標駆動力に対し常に最良である燃費性能を実現するエンジントルクと変速比の組み合わせを求めることができ、燃費性能を最小にすることができる。図21において黒色で示す部分は燃費が向上した領域を示すが、このように車速30km/h付近、目標駆動力(正規化値)40%から60%の、低車速、高負荷領域において燃費性能を著しく向上させることができる。
【0106】
また、車両の発生できる最大駆動力の絶対値は、通常、高車速になるほど小さくなるが、目標駆動力を最大値と最小値との間で正規化された値とし、それを用いてマップを検索するようにしたことで、低車速から高車速に至る全領域での目標エンジントルクおよび変速比の検索分解能を向上させることができる。
【0107】
また、目標駆動力を定常特性分と過渡特性分とから求めることで、車両の実際の運転状態に応じた駆動力を設定することができ、エンジントルク、変速比の応答速度を考慮して設定することができるので、常に目標の運転点に追従させることができると共に、最良の燃費性能を保証することができる。
【0108】
また、高負荷領域において、可能な限り全開増量運転を回避するように構成したことで、燃費性能を一層向上させることができる。
【0109】
尚、上記した実施の形態において、目標駆動力を予め設定したマップを検索して求めたが、計算によって求めても良い。
【0110】
また、図8に示した定常駆動力演算部および動特性演算部の特性を外部スイッチによって変更できるようにしても良い。それによって、例えばスポーティな動力性能を得たい場合には、アクセル開度に対して定常駆動力を大きくしたり、動特性演算部の補正特性を変えて過渡応答性を上げるなど変更が容易となる。
【0111】
また、例えば極低車速時時などには、目標駆動力を用いずに、変速比を固定するなどしても良い。
【0112】
また、エンジンの目標出力としてスロットル開度で示したが、燃料消費量、吸入空気量などでも良い。また、トランスミッションの制御値としてNDR(入力回転数)で示したが、変速比あるいはその変化速度でも良い。
【0113】
また、上記した実施の形態において、エンジン出力の可変化手法を電子制御スロットルバルブの目標スロットル開度THCMDによって行ったが、近年提案されている直噴エンジン、あるいはディーゼルエンジンなどにおいては、目標エンジントルクをマップ化し、そのトルクに応じて燃料量や目標空燃比を制御するように構成して良い。
【0114】
また、エンジンが直噴エンジンであるときは、前記した選択肢信号に層状燃焼による超リーンバーン運転状態が可能などの情報を追加しても良い。
【0115】
また、無段変速機として金属ベルト式のものを用いたが、ゴムベルト式あるいはトロイダル式でも良い。また、無段変速機のみならず、有段変速機の最適ギヤ段を選択するように構成しても良い。ロックアップクラッチの滑り率に置き換えても良い。
【0116】
また変速機の構成は図示のものに限らず、エンジン10の出力軸20にトルクコンバータを接続しても良く、発進クラッチ42に代えてトルクコンバータを用いても良い。また、デュアルマスフライホィール26を除去しても良い。
【0117】
【発明の効果】
請求項1項においては、目標駆動力を車両とアクセル開度から検索自在にマップ化するときも、検索分解能を車速全域に一律にすることができるので、特に高車速時の分解能精度が向上し、目標駆動力を精度良く算出することができる。
【0118】
また、車両が確実に実現することができる目標駆動力を算出することができる。さらに、例えば、定常的な駆動力を燃費向上を意図して、また過渡的な駆動力をドライバビリティ向上を意図して算出し、両者を別々に算出して両者の利点を両立させることも可能となり、目標駆動力算出の自由度を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る車両用駆動力制御装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1の装置を機能的に示す説明ブロック図である。
【図3】図1装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図4】図3フロー・チャートの中の入力処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図5】図3フロー・チャートの中の目標駆動力算出処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図6】図5フロー・チャートの中の算出で用いるマップの特性を示す説明図である。
【図7】図5フロー・チャートの中の目標駆動力算出処理をより詳細に示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図8】図7フロー・チャートの処理を機能的に示す説明ブロック図である。
【図9】図3フロー・チャートのエンジン運転方式決定処理を説明する説明グラフである。
【図10】図3フロー・チャートのエンジン運転方式決定処理を説明する、同様の説明グラフである。
【図11】図3フロー・チャートのエンジン運転方式決定処理を説明する、同様の説明グラフである。
【図12】図3フロー・チャートのエンジン運転方式決定処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図13】図12フロー・チャートの処理で用いる全開増量回避運転リセット領域を示す説明グラフである。
【図14】図12フロー・チャートの処理に平行して行われるエンジン制御部の処理を示すフロー・チャートである。
【図15】図12フロー・チャートおよび図14フロー・チャートの処理を説明するタイム・チャートである。
【図16】図12フロー・チャートの処理で用いるリーンバーン運転許可領域を示す説明グラフである。
【図17】図3フロー・チャートの目標スロットル開度算出処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図18】図17フロー・チャートの処理で用いるマップの特性を示す説明グラフである。
【図19】図3フロー・チャートの目標NDR算出処理を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図20】図19フロー・チャートの処理で用いるマップの特性を示す説明グラフである。
【図21】図12フロー・チャートの処理で行われる全開増量回避運転によって得られる燃費向上を示す説明グラフである。
【符号の説明】
10 内燃機関(エンジン本体)
14 スロットルバルブ
16 アクセルペダル
24 ベルト式無段変速機(トランスミッション)
28 変速機入力軸
30 変速機カウンタ軸
32 金属Vベルト機構
36 遊星歯車式前後進切換機構
42 発進クラッチ
100 トランスミッション制御部
104 絶対圧センサ
106 水温センサ
108 スロットル開度センサ
110 アクセル開度センサ
122 車速センサ
200 エンジン制御部
300 統合制御部
300a 目標負荷(駆動力)決定部
300b エンジン運転方式切換判断部
300c 目標エンジントルク・目標変速比演算部
400 スロットル制御部

Claims (1)

  1. 自動変速機と内燃機関を搭載してなる車両用駆動力制御装置において、
    a.少なくともアクセル開度、車速を含む前記車両の運転状態と、少なくとも機関暖機状態、機関回転数、機関負荷を含む前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段、
    b.少なくとも前記検出された車速に基づいてスロットルバルブが全開されているときに前記車両が出力する全開駆動力を算出する全開駆動力算出手段、
    c.少なくとも前記検出された車速に基づいてスロットルバルブが全閉されているときに前記車両が出力する全閉駆動力を算出する全閉駆動力算出手段、
    d.前記検出された車速における前記検出されたアクセル開度に対する駆動力比率を算出する駆動力比率算出手段
    e.前記算出された全開駆動力と全閉駆動力の差に、前記駆動力比率を乗じて前記車両が出力すべき目標駆動力を算出する目標駆動力算出手段、
    f.前記目標駆動力の前回値と今回値の偏差を算出する偏差算出手段、
    および
    g.前記算出された偏差によって前記目標駆動力の今回値を補正して前記目標駆動力の変化速度を制限する目標駆動力変化速度制限手段、
    を備えたことを特徴とする車両用駆動力制御装置。
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