JP4076927B2 - 広帯域光増幅器 - Google Patents

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Description

本発明は、1.45〜1.63μm帯の光通信などで用いられる光増幅器または波長可変レーザー発振器または広帯域光源に関するものである。
光通信では、通信容量の増大に伴い、従来から用いられてきたCバンド(1.53〜1.565μm)に加えて、長波長側のLバンド(1.565〜1.625μm)と短波長側のSバンド(1.46〜1.53μm)の利用が検討されている。現在は、各バンドに専用の増幅器が必要であり、バンドごとに分波して二台または三台の増幅器を並列に繋ぎ、増幅後に再合波する複雑な構成にしなければならない(非特許文献1参照)。このため、伝送機器が高価になる上に、合分波に伴う信号品質の劣化や、バンドごとの信号品質バラツキなどの問題がある。
このような状況から、広帯域の信号を合分波なしに、単一の線路で一括増幅する方法が求められており、1460nmから1625nmに至るS+C+Lバンド一括増幅(以下、超広帯域増幅)への期待が高まっている。しかし、現状ではこのような一括増幅型の超広帯域増幅器は実現していない。現在実現できる増幅器は、帯域の狭い各バンドごとの増幅器と、C+Lバンド増幅、S+Cバンド増幅などに限られている。
C+Lバンド増幅器は、Er添加亜テルル酸塩ガラスファイバー増幅器(EDTFA)(特許文献1、非特許文献2参照)や、Er添加ビスマス酸塩ガラスファイバー増幅器(EDBiFA)が知られており(非特許文献3、特許文献2参照)、80〜90nm幅のC+Lバンド増幅が可能とされている。酸化ビスマス系ガラスや亜テルル酸塩ガラスは屈折率が2以上と高屈折率であり、通常の石英ファイバーとの接続が難しい問題がある。また、非線形屈折率や非線形定数も石英ファイバーの10倍以上大きく、広帯域な増幅帯域を利用した多波長通信(DWDM伝送やCWDM伝送)では、非線形光学効果によって信号がひずむ問題が指摘されている(非特許文献4参照)。このため、EDTFAやEDBiFAを用いた実用的なC+Lバンド増幅器の実現は、困難である。
S+Cバンド増幅器は、最近になってTm添加シリカファイバー増幅器またはTm添加フッ化物ファイバー増幅器(TDFA)と、Er添加シリカファイバー増幅器(EDFA)を直列に接続した報告がある(特許文献3、非特許文献6、非特許文献7)。これらの研究ではTDFAの励起には1μm帯、1.4μm帯、1.6μm帯のLDが使われ、EDFAの励起には0.98μm帯LDが用いられている。これらの励起方法では、TDFAの雑音特性を直接反映して、長波長側での雑音指数(NF:Noise Figure)が大幅に劣化する事が示されている(非特許文献7)。このため、増幅帯域は1.45〜1.55μmに制限されている。また、非特許文献6では、実質的にTDFAによる帯域拡大の効果はなく、逆に非特許文献7と同じように、EDFAの長波長側帯域を狭めている。このように、TDFAとEDFAを直列に接続しても、期待するような帯域拡大効果は得られていない。
上記の希土類添加ファイバーを用いた増幅とは原理が異なる広帯域増幅として、ラマン増幅器がある。しかし、ラマン増幅器で広帯域増幅するためには、数Km以上の長いファイバーが必要であり増幅用ファイバーが地中や海底に埋没している問題、分布利得型の装置となって線路管理が煩雑になる問題、線路中の励起光パワーが1W以上になる場合があって危険であるといった問題などが指摘されている。さらに、実際の伝送路は通信各社によってファイバー構成が異なり、必ずしもラマン増幅に適した線路でない場合が多い。このため、ラマン増幅を導入できない場合や、導入できたとしてもファイバー環境に合わせた1台限りの特注となり、高価になる問題がある。
ラマン増幅+EDFAのハイブリッド法も提案されている(非特許文献5)が、ラマン増幅と同じ問題がある。
これまで述べたように、従来の技術では、汎用的かつ小型で実用的な希土類添加ファイバーによるS+C+Lバンドにわたる一括増幅型の超広帯域増幅器は構築できない。
特開平11-236240号公報 特開平11-317561号公報 特開2003-46174号公報 特許3228462号 特開2000-307176号公報 Y.Yano, et al., "Experimental study on SRS loss and its compensation intree-band WDM transmission," 26thEuropean Conference on Optical CommunicationVolume 3, pp39-40 (2000). A.Mori, et al., Tech. Digest of Conference on Optical Fiber Communication, Dallas, Texas PDP2 (1997). S.Tanabe, et al., "Broad-band 1.5 mm emission of Er3+ions in bismuth-based oxide glasses for potential WDM amplifier," J. Luminescence 87-89pp670-672 (2000). M.E.Marhic, et al., "Large cross-phase modulation and four wave mixing in telluriteEDFAs," Electronics Letters 35, 2045-2047 (1999) H.Masuda, et al., Electron. Lett. 34, 1342- (1998). T.Segi, et al., "Silica-based Composite Fiber Amplifier with 1480-1560nm Seamless Gain-Band,"ECOC2001 Proceedings TuL 3.3 pp228-229 (2001). Fujikura 阪本匡 他,"TDF-EDF直列接続型広帯域ハイブリッドファイバアンプ,"電子情報通信学会総合大会 予稿集 pp209 (2003).
背景技術で述べたように、単一の線路で、S+C+Lバンドにまたがる広い波長範囲を一括増幅できる、実用的な希土類添加ファイバー増幅器は、これまでに知られていない。単一の線路でS+C+Lバンドの超広帯域一括増幅が可能になれば、分岐素子や合波素子のない簡素かつ安価な構成で光通信ネットワークを構成できる。また、S+C+Lバンドの波長範囲での広帯域一括増幅が単一の線路で可能になれば、従来の増幅器を単純に置き換えるだけで、ただちに大幅な伝送容量の向上を実現できる。さらに、実際の運用上は、既存のCバンド用増幅器に対して直列に増幅器を追加することで超広帯域増幅を実現でき、導入コストを抑制できるだけでなく、システム設計の柔軟性が向上する。また、このような超広帯域増幅器は、従来の高密度波長分割多重(DWDM)に加えて、低密度波長分割多重(CWDM)に利用できるため、システムの適用範囲が広い。
本発明は、単一の線路で1.45〜1.63μm帯に亘る超広帯域増幅を実現し、その超広帯域増幅器を提供することを課題とする。
本発明者らは、従来の問題を包括的に考慮し、鋭意検討の結果、Tm添加光増幅器とEr添加光増幅器を直列に接続する方法において、Tm添加光増幅器の励起波長と、Er添加光増幅器の増幅媒質組成および励起波長を適切に選択することで、単一の線路で1.45〜1.63μmに亘る超広帯域の増幅が可能で、かつ、NFの低い、直列接続型光増幅器を構成できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、増幅用導波路を用いた光増幅器を二台以上直列に接続した広帯域光増幅器であって、
(1)少なくとも1台の光増幅器の増幅媒質のコア部にツリウム(Tm)が添加されていて、その光増幅器は少なくとも二波長以上の多波長で励起され、その波長には少なくとも0.65〜0.85μmから1波長と、少なくとも1.0〜1.1μmから1波長または1.35〜1.45μmから1波長を用い、かつ、
(2)別の光増幅器のコア部にエルビウム(Er)が添加されていて、少なくとも0.75〜1.07μmの範囲から選ばれる少なくとも1波長で励起し、かつ、
(3)上記光増幅器を少なくとも各1台ずつ以上、直列に接続し1.45〜1.63μm帯の広帯域光増幅器を構成するものである。
また、増幅用導波路を用いた光増幅器を三台以上直列に接続した広帯域光増幅器であって、
(1)少なくとも1台の光増幅器の増幅媒質のコア部にツリウム(Tm)が添加されていて、かつ、少なくとも2台の光増幅器の増幅媒質のコア部にエルビウム(Er)が添加されており、かつ、
(2)エルビウム添加導波路を用いた増幅器の少なくとも1台がCバンド増幅用であり、かつ、少なくとも1台がLバンド増幅用であり、かつ、
(3)上記光増幅器を直列に接続することにより1.45〜1.63μm帯を光増幅するものである。
また、Er添加増幅用光導波路のコア部が、ハライドガラスまたはハロゲン含有酸化物ガラスからなるか、Tm添加増幅用光導波路とEr添加増幅用光導波路のコア部が、いずれもハライドガラスまたはハロゲン含有酸化物ガラスからなるか、あるいはTm添加増幅用光導波路とEr添加増幅用光導波路のコア部が、いずれもフッ化物ガラスまたはフッ素含有酸化物ガラスからなることを特徴とするものである。
本発明の増幅器を用いることにより、1.45〜1.63μmの帯域で、NFの低い超広帯域増幅が可能となり、安価で簡便な超広帯域通信システムを構築できる。
以下、本発明について詳述する。
これまでの広帯域化は以下の4種の方法に大別できる。
a)ファイバーの材料を変更して、Er添加ファイバーで広帯域化を図り、C+Lバンド一括増幅を得る。
b)Tm添加ファイバー増幅器(TDFA)とEr添加ファイバー増幅器(EDFA)を直列に繋いで、増幅帯域の広帯域化を図り、S+Cバンド一括増幅を得る。
c)ラマン増幅器で励起レーザーの波長組み合わせを最適化して、帯域幅100nm程度の一括増幅を図る。
d)ラマン増幅器の帯域幅をEDFAで補うハイブリッド増幅器で、S+C+Lバンド一括増幅を図る。
これらの方法は、背景技術で述べた欠点があり、超広帯域増幅器は構築できないか、または超広帯域増幅可能であっても様々な問題を抱えている。
本発明者らは、b)の方法におけるNF劣化と帯域制限の問題を解消して長波長側の利得帯域を大幅に押し広げ、超広帯域増幅が可能となる増幅器の構成を発見し、本発明に至った。本発明の効果は、以下の二つの手法を同時に実行することにより得られる。
A)Tm添加ファイバーの励起方法を二波長励起とし、波長0.65〜0.85μmの励起光(励起光1)と波長1.0〜1.1μmまたは1.35〜1.45μmの励起光(励起光2)を用いる。
B)Er添加ファイバーの励起波長は0.75〜1.07μmとする。
本発明において、上記A)の手法はTDFAの吸収損失を低減して増幅帯域を長波長側に押し広げるためのものである。上記B)の手法は、TDFA増幅帯域内に励起波長を設定できないので、必然的に行われるものであるが、A)の手法と組み合わせることによって従来法よりも大幅な利得帯域拡大効果が得られる。
本発明の方法による超広帯域増幅では、TDFAのCバンドおよびLバンドにおける吸収低減が重要であり、その結果として低雑音なS+C+Lバンド一括(超広帯域)増幅が可能となる。TDFAのC、Lバンドにおける吸収低減の機構を以下に考察するが、本発明はこの考察により制約を受けるものではない。
TDFAのC、Lバンドでの吸収は、基底準位()から直上の()への遷移で説明できる。このため、C、Lバンドでの吸収を低減するには、基底準位の存在確率を効率よく減らす必要がある。
従来の報告例(非特許文献7)では、TDFAを1.4μm帯や1μm帯で励起し、EDFAを0.98μm帯で励起している。TDFAを1.4μm帯や1μm帯で励起した場合、基底からの吸収係数が小さく、基底準位の存在確率を高効率で減少させることはできない(図1、図12)。Tmの基底準位の存在確率が低減できない場合、EDFAで増幅可能な波長帯域である1.53〜1.63μm帯は、TDFAで吸収波長帯となり増幅困難となる。1.5μm帯のTm基底状態からの吸収係数は、1.4μm帯の吸収係数よりも大きく、長波長側ほど急速に吸収係数が増加する(図2)。このため、1.5μm帯の信号はTDFA通過時に減衰し、長波長側ほど利得が低下すると共に急速にNFが劣化する。
また、特許文献3と非特許文献6では、1.15μmや1.6μmも励起波長として用いられている。しかし、1.15μm帯励起については、増幅上準位から励起状態吸収が生じる()ため有効に反転分布を形成できない。このため、1.45μm帯の増幅は事実上不可能である。1.6μm帯励起については、非特許文献6にあるように利得波長が長波長側にシフトしてしまい、利得帯域の拡大効果が得られない。また、TDFAの増幅下準位から基底準位への誘導放出()が増加し、基底準位の存在確率が高まるので好ましくない。
これらの理由から、従来の励起波長の組み合わせでは、長波長側の利得帯域が1.56μm付近までに制限されており(特許文献3、非特許文献6、非特許文献7)、Lバンドは並列増幅方式で処理しなければならない事が明示されている(特許文献3)。
Tm基底状態からの吸収に起因する1.5μm帯での損失を抑制するためには、Tm基底状態からの高効率励起と、基底状態への脱励起抑制が必要である。本発明では、Tm基底状態からの高効率励起の目的で、吸収係数の大きな波長帯域を第一の励起波長に、増幅の下準位から基底準位への脱励起を抑制し、増幅効率を向上させる目的で第二の励起波長を採用した。第一の励起波長としては0.65〜0.85μmから少なくとも一波長、第二の励起波長としては1.0〜1.1μmまたは1.3〜1.45μmから少なくとも一波長を選択してTDFAを励起する(図3)。
第一の励起波長の範囲の中でも、0.68〜0.85μmの範囲は、図1、図12に示すように増幅上準位からの励起状態吸収()を回避できるので好ましい。さらに、0.68〜0.72μmの範囲は、増幅上準位()→基底準位()の誘導放出を回避できるので特に好ましい。0.65〜0.85μmの範囲外では、吸収係数が小さすぎ、実質的に吸収されないために、基底準位の存在確率を減少させられないことから、十分な利得や低NF化の効果が得られない。
第二の励起波長の範囲で、1.0〜1.1μmの範囲について、1.1μmよりも長波長側では、増幅上準位()の励起状態吸収(ESA)が生じるので好ましくない。1.0μmよりも短波長側では、吸収係数が小さすぎて増幅下準位()の存在確率を減らすことができないため、増幅効率が著しく低下する。
もう一つの第二の励起波長の範囲である1.35〜1.45μmの範囲について、1.35〜1.42μmの範囲は励起光による誘導放出()が起こりにくく、NFが劣化しないので特に好ましい。1.35μmよりも短波長では吸収係数が小さすぎて増幅下準位()の存在確率を減らすことができないため、増幅効率が著しく低下する。1.45μmよりも長波長では、信号波長に近いため、励起光による誘導放出でNFおよび増幅効率が劣化する。Tm添加光増幅器(TDFA)用の増幅媒質には、増幅効率の観点から、低フォノン材料が用いられる場合が多かったが、最近ではシリカファイバーでも増幅可能になってきている(非特許文献6)。しかし、一般には低フォノン材料の方が高効率であり、ハライドガラス、ハライド酸化物ガラス、ハロゲン含有酸化物ガラスなどが用いられる。このような材料から1種類以上を適宜選択してTDFAに利用することができる。Tm添加増幅用光導波路では、作製の容易さや耐久性と効率のバランスから、これらの材料の中でもフッ化物やフッ素酸化物ガラスが好ましい。
Er添加増幅用光導波路の励起には、TDFAの利得帯域中に励起波長を設定できないため、0.98μm帯や0.8μm帯を用いるのが有効である。増幅用光導波路の材料としては、Erを含有し、0.98μm帯や0.8μm帯で励起可能なものであり、かつTDFA利得帯域で材料自身が透明であれば何でも良い。このような材料としては、シリカガラス、多成分酸化物ガラス、ハライドガラス、ハライド酸化物ガラス、ハロゲン含有酸化物ガラスなど、様々な材料が利用できる。これらの材料の中でも、帯域幅や利得平坦性の観点から、ハライドガラス、ハライド酸化物ガラスが特に好ましい。フッ化物ガラス、フッ素酸化物ガラス、重金属酸化物ガラスなどの低フォノンガラスを用いる場合は、0.98μm帯や0.8μm帯励起で高効率増幅するために、Ceを共添加する方法が有効である。EDFAについては、濃度長積の異なるEr添加ファイバーで、Cバンド用とLバンド用を作り分けられる事が知られている。本発明のTDFA励起方法は、Cバンド長波長側とLバンドでのTDFAの損失を抑えることができるため、Cバンド用EDFAとLバンド用EDFAを直列に接続して、S+C+Lバンド一括増幅を分岐のない単一の線路で実現できる。また、C+L一括増幅型EDFAを用いれば、TDFAとEDFAの二段構成でS+C+Lバンドの超広帯域一括増幅が実現できるため、構成が簡単になる。
TDFA、EDFA共に、励起の方向としては前方励起、後方励起、双方向励起、ダブルパスなどから適宜選択して採用することができる。
TDFAの励起方法として、本発明と同じ波長帯域を設定している例がある(特許文献5)が、EDFAとの組み合わせにおいて、一括して広帯域かつ低NFが実現できるとの示唆も記述もなく、実施例においては並列型でS、C、L各バンドを別々に増幅する仕組みが明確に示されていることから、本特許とは発想が明らかに異なる。
非特許文献7ではTDFAを上流、EDFAを下流に設置(以後、第一の配置と記す)している。特許文献3や非特許文献6では、EDFAを上流、TDFAを下流に設置(以後、第二の配置と記す)している。しかし、従来法ではどちらの配置でも増幅帯域の拡大に成功していない。
これに対し、本特許の励起方法を用いれば、どちらの配置でも同じように広帯域化を達成できるが、第二の配置の場合は、第一の配置よりもEDFAの1.48μm帯吸収によるSバンドでのNF劣化が顕著になる。EDFAの吸収は、1.4μmから長波長になるに従い吸収係数が増加するため、1.46〜1.52μmにNFのピークが生じる。EDFAによる1.48μm帯の吸収を抑制するためには、基底状態が空に近い完全反転分布が必要である。また、第二の配置ではEDFAによって増幅された1.55μm帯(Cバンド)および1.58μm帯(Lバンド)の強い信号がTDFAに入射し、()の誘導放出を引き起こして基底準位の存在確率を高める恐れがある。このため、第二の配置よりも第一の配置がNFの点で有利である。TDFAと組み合わせるCバンド用とLバンド用のEDFAは、どちらが上流側に配置されていても同じように広帯域化できるが、Lバンド用はSバンドとCバンドに損失があることから、最後段に設置することがNFの点で好ましい。
第一の配置、第二の配置共に、TDFAとEDFAの反転分布を調整することによって、1.45〜1.63μmにわたる超広帯域増幅が可能となる。図4に、反転分布調整による利得平坦化の例を示す。利得平坦化には、精密な反転分布制御が必要であり、S、C、L各バンドの増幅器を直列に接続する3段以上の構成が有利である。また、反転分布制御には双方向励起で、前方と後方の励起パワー比を制御する方法が有効である。反転分布調整で利得平坦化するためには、EDF材料にフッ化物ガラスやフッ素酸化物ガラスのような、利得スペクトルが石英ガラスよりもなだらかな媒質を用いる事が好ましい。石英ガラスや燐酸塩ガラスのような急峻な利得スペクトルをもつ媒質では、利得調整のために1.53μm帯の利得を抑制すると、1.48μm帯の損失値が大きくなりすぎるなどの不都合が生じ、NF劣化の原因となり好ましくない。
反転分布調整だけでは利得の平坦性が不足する場合には、利得平坦化フィルタ(GEQ)を適宜挿入して、必要な利得平坦性を得ることができる。GEQには、ファイバーブラッググレーティングや、誘電体多層膜フィルタなどを使用することができる。必要に応じてダイナミック・ゲイン・イコライザを使用しても良い。また、GEQの設置場所としては、NF劣化を避けるために、EDFAとTDFAの中間や最後段が好ましい。
本発明の増幅器は、実際の運用上の利点もある。一般にはCバンド用の多波長増幅器がまず導入されているが、そこにSバンド用のTDFAを直列接続することで、簡単にS+Cバンドへと広帯域化が可能となる。また、さらにLバンドを補強する付加的な増幅器を直列接続すれば、S+C+Lバンド一括増幅が可能となり、超広帯域増幅器へとアップグレードできる。このような運用法では、従来は増幅システム導入時に購入が必要だった、各バンドの分岐/合波素子が不要となって、初期導入コストが減少するだけでなく、分岐/合波素子の損失がなくなって利得,雑音,分散などの面で有利となる。また、直列接続型の超広帯域増幅器では、TDFAとEDFAを融着接続することによって、分岐のない全ファイバー型増幅器が実現できるため、従来のコネクタを用いた並列増幅よりも高い信頼性を確保できる。
以上のように、本発明は、TDFAとEDFAを直列に接続する超広帯域増幅器において、TDFAを所定の二波長以上で励起すると共に、EDFAを0.98μm帯または0.8μm帯で励起し、TDFAとEDFAを直列多段接続することにより、1.45〜1.63μmにわたる超広帯域増幅器を提供するものである。
本発明により、これまでS,C,Lの各バンドに分割する必要があったシステムを、単一の光ファイバー線路にまとめることが可能となり、光通信システムの大容量化、低コスト化、簡略化、設計や運用の柔軟性向上に貢献できる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
コアにErを添加したCバンド用およびLバンド用シリカファイバー(EDSiF)と、コアにTmを添加したフッ化物ファイバー(F−TDF)を図5のように直列に接続(第一の配置)して増幅特性を測定した。Cバンド用EDSiFのコア径=4μm、NA=0.2、Er濃度=1×1019/cm、ファイバー長=6mである。Lバンド用EDSiFのコア径=6μm、NA=0.14、Er濃度=1×1019/cm3、ファイバー長=27m、F−TDFのコア径=2.5μm、NA=0.3、Tm濃度=1.56×1019/cm、(1000ppm)ファイバー長5mである。C、L各バンドのEDSiFを共に0.976μm/160mW、F−TDFを0.685μm/160mW+1.42μm/60mWで励起した。複数のSLD(スーパールミネッセントダイオード)光源の出射光を合成し、回折格子で波長選択して、1.4〜1.65μmの範囲で走査して信号とした。結果を図6に示す。1.45〜1.63μmの波長幅190nmにわたって利得が得られ、波長1.46〜1.615μmの範囲で10dBを越える小信号利得を得た。また、波長1.46〜1.61nmの範囲で利得がNFを上回っており、既存の方法に対して長波長側でのNF抑制に成功していることが判る。
(実施例2)
実施例1と同様の構成で、C、Lバンド用EDSiFを共に0.976μm/160mW、F−TDFを0.685μm/160mW+1.06μm/80mWで励起した。信号光源は実施例1と同じである。結果、1.43〜1.62μmで正の利得を得た。また、1.45〜1.61μmの範囲で10dB以上の利得と7dB以下のNFを得た。
(実施例3)
実施例1と同様の構成で、EDSiFの代わりにEr+Ce添加フッ化物ファイバー(F−ECDF)を用いた。Cバンド用のF−ECDFはコア径=4μm、NA=0.22、Er濃度=1.8×1020/cm、ファイバー長=30cmである。Lバンド用のF−ECDFはコア径=4μm、NA=0.22、Er濃度=9×1019/cm、ファイバー長=4mである。Cバンド用、Lバンド用共に0.978μm/180mWで励起した。F−TDFは0.68μm/160mW+1.06μm/80mWで励起した。信号光源は実施例1と同じである。結果、1.425〜1.63μmで正の利得を得た。また、1.445〜1.615μmの範囲で10dB以上の利得と7.5dB以下のNFを得た。利得スペクトルの一例を図7に示す。
(実施例4)
Cバンド用のEDSiFとF−TDFを、実施例1と逆に接続して増幅特性を測定した。すなわち、信号光源側から、Cバンド用EDSiFA−TDFA−Lバンド用EDSiFAの順で接続した。用いたファイバーは全て実施例1と同じである。Cバンド用EDSiFを0.976μm/160mW、F−TDFを0.68μm/160mW+1.42μm/85mW、Lバンド用EDSiFAを0.982μm/150mWで励起した。複数のSLD光源の出射光を合成し、回折格子で波長選択して、1.4〜1.65μmの範囲で走査して信号とした。結果、1.43〜1.63μmの波長幅200nmにわたって利得が得られ、波長1.45〜1.615μmの範囲で10dBを越える小信号利得を得た。また、波長1.46〜1.605nmの範囲で利得がNFを上回っており、実施例1と同等の特性を得ることができた。
(実施例5)
実施例3と同様の構成で、Cバンド用F−ECDFとF−TDFの間およびLバンド用F−ECDFの下流に利得等化用フィルターを用い、利得スペクトルを平坦化した。F−ECDFは共に0.980μm/180mWで、F−TDFは0.68μm/190mW+1.06μm/100mWで励起した。信号光源は実施例1と同じである。結果、1.465〜1.610μmの範囲で18±0.3dBの平坦化された利得スペクトルを得た(図8)。
(実施例6)
実施例3と同様の構成で、F−ECDFの励起に0.81μmのシングルモード半導体レーザーを用いた。Cバンド用、Lバンド用共に240mWで励起した。TDFAは実施例3と同様の励起条件とした。信号光源は実施例1と同じである。結果、1.435〜1.605μmで正の利得を得た。また、1.445〜1.595μmの範囲で10dB以上の利得と7.5dB以下のNFを得た。
(実施例7)
コアにErを添加したCバンド用シリカファイバー(EDSiF)と、コアにTmを添加したフッ化物ファイバー(F−TDF)を直列に接続(第一の配置)して増幅特性を測定した。Cバンド用EDSiFのコア径=4μm、NA=0.2、Er濃度=1×1019/cm3、ファイバー長=10mである。F−TDFのコア径=2.5μm、NA=0.3、Tm濃度=1.56×1019/cm3、(1000ppm)ファイバー長5mである。CバンドのEDSiFを0.976μm/220mW、F−TDFを0.685μm/160mW+1.42μm/60mWで励起した。複数のSLD光源の出射光を合成し、回折格子で波長選択して、1.4〜1.65μmの範囲で走査して信号とした。結果を図9に示す。1.45〜1.63μmの波長幅180nmにわたって利得が得られ、波長1.46〜1.61μmの範囲で10dBを越える小信号利得を得た。また、波長1.46〜1.61nmの範囲で利得がNFを上回っており、既存の方法に対して長波長側でのNF抑制に成功していることが判る。
(実施例8)
コアにErを添加したCバンド用シリカファイバー(EDSiF)と、コアにTmを添加したフッ化物ファイバー(F−TDF)を直列に接続(第一の配置)して増幅特性を測定した(図10)。Cバンド用EDSiFは、サーキュレータを用いて折り返し構成となっている。Cバンド用EDSiFのコア径=4μm、NA=0.2、Er濃度=1×1019/cm3、ファイバー長=6mである。F−TDFのコア径=2.5μm、NA=0.3、Tm濃度=1.56×1019/cm3、(1000ppm)ファイバー長5mである。CバンドのEDSiFを0.976μm/120mW+0.980μm/40mW、F−TDFを0.685μm/160mW+1.42μm/60mWで励起した。複数のSLD光源の出射光を合成し、回折格子で波長選択して、1.4〜1.65μmの範囲で走査して信号とした。結果を図11に示す。1.45〜1.63μmの波長幅180nmにわたって利得が得られ、波長1.46〜1.61μmの範囲で10dBを越える小信号利得を得た。また、波長1.46〜1.61nmの範囲で利得がNFを上回っており、既存の方法に対して長波長側でのNF抑制に成功していることが判る。
本発明の励起波長とTmのエネルギー準位の関係を示す図である。 信号波長帯でのTmの吸収を示す図である。 本発明の励起波長と増幅波長の関係を示す図である。 反転分布制御による利得平坦化の例を示す図である。 実施例1の実験配置を示す図である。 実施例1の実験結果を示す図である。 実施例3の実験結果を示す図である。 実施例5の実験結果を示す図である。 実施例7の実験結果を示す図である。 実施例8の実験配置を示す図である。 実施例8の実験結果を示す図である。 Tmの波長と吸収断面積の関係を示す図である。
符号の説明
11 励起波長1
12 励起波長2
13 非輻射遷移
14 Sバンド増幅
21 SLD光源
22 合波器
23 波長選択回折格子
24 光アイソレータ
25 励起レーザー
26 信号/励起光合波器
27 可変アッテネータ
28 光スペクトラムアナライザ
29 TDF
30 Cバンド用EDF
31 Lバンド用EDF
32 光サーキュレータ
33 広帯域反射素子
34 無反射終端端末

Claims (5)

  1. 増幅用導波路を用いた光増幅器を二台以上直列に接続した広帯域光増幅器であって、
    (1)少なくとも1台の光増幅器の増幅媒質のコア部にツリウム(Tm)が添加されていて、その光増幅器は少なくとも二波長以上の多波長で励起され、その波長には少なくとも0.65〜0.85μmから1波長と、少なくとも1.0〜1.1μmから1波長または1.35〜1.45μmから1波長を用い、かつ、
    (2)別の光増幅器のコア部にエルビウム(Er)が添加されていて、少なくとも0.75〜1.07μmの範囲から選ばれる少なくとも1波長で励起し、かつ、
    (3)上記光増幅器を少なくとも各1台ずつ以上、直列に接続した、1.45〜1.63μm帯の広帯域光増幅器。
  2. 増幅用導波路を用いた光増幅器を三台以上直列に接続した、請求項1記載の広帯域光増幅器であって、
    (1)少なくとも1台の光増幅器の増幅媒質のコア部にツリウム(Tm)が添加されていて、かつ、少なくとも2台の光増幅器の増幅媒質のコア部にエルビウム(Er)が添加されており、かつ、
    (2)エルビウム添加導波路を用いた増幅器の少なくとも1台がCバンド増幅用であり、かつ、少なくとも1台がLバンド増幅用であり、かつ、
    (3)上記光増幅器を直列に接続した、1.45〜1.63μm帯の広帯域光増幅器。
  3. Er添加増幅用光導波路のコア部が、ハライドガラスまたはハロゲン含有酸化物ガラスからなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の広帯域光増幅器。
  4. Tm添加増幅用光導波路とEr添加増幅用光導波路のコア部が、いずれもハライドガラスまたはハロゲン含有酸化物ガラスからなることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の広帯域光増幅器。
  5. Tm添加増幅用光導波路とEr添加増幅用光導波路のコア部が、いずれもフッ化物ガラスまたはフッ素含有酸化物ガラスからなることを特徴とする、請求項4に記載の広帯域光増幅器。
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