JP4076798B2 - 車輪軸受装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車等の車輪を支持するための車輪軸受装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車輪軸受装置は、従動輪用と駆動輪とに大別される。このうちで例えば駆動輪用の車輪軸受装置は、ハブ輪と、複列の軸受とからなるもので、さらにこれらと等速自在継手とをユニット化したものも存在する。
【0003】
この駆動輪用の車輪軸受装置の一つに、軸受の複列のインナレースのうち、一方をハブ輪の外周に、他方を等速自在継手の外側継手部材の外周に形成したものがある。この種の軸受装置では、複列のインナレースの位置決め行うと共に、軸受内部に付与された予圧を保持するため、ハブ輪と等速自在継手とを結合する必要がある。近年では、軸方向スペースの有効活用や結合部での剛性向上等の観点から、外側継手部材のステム部を拡径方向に塑性変形させ、これをハブ輪内周の凹凸部に食い込ませることで両者を結合する方法(「拡径加締め」と呼ばれる)が提案されている(例えば特開2001−18605号公報等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように拡径加締めする場合には、拡径加締め時の加工性および結合強度の確保等の観点から塑性変形量には適正範囲が存在すると考えられる。しかしながら、従来、この種の適正範囲は何ら明らかにされていない。
【0005】
そこで、本発明は、拡径加締めする際の適正な塑性変形量を見出し、これにより拡径加締め時の加工性と接合強度とを両立することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる車輪軸受装置は、内周に複列のアウタレースが形成された外方部材と、車輪取付けフランジを有するハブ輪、およびハブ輪の内周に嵌合した等速自在継手の外側継手部材を備え、ハブ輪および外側継手部材の各外周にインナレースが形成された内方部材と、アウタレースとインナレースとの間に介装された複列の転動体とを備え、ハブ輪と外側継手部材の嵌合部に、外側継手部材を拡径方向に塑性変形させてハブ輪の内周面に形成した凹凸部に食い込ませることにより、両者を結合した部分と、外側継手部材の円筒状外周面とハブ輪の円筒状内周面とを嵌合させた部分とを設けた車輪軸受装置において、外側継手部材の塑性変形部における塑性変形前の内径寸法φd1と、塑性変形後の内径寸法φd2との比(Δ=φd2/φd1)を1.05以上とし、ハブ輪のうち、凹凸部を熱処理で硬化させると共に、円筒状内周面を未熱処理とし、外側継手部材のうち、円筒状外周面を熱処理で硬化させると共に、塑性変形部を未熱処理としたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる車輪軸受装置は、内周に複列のアウタレースが形成された外方部材と、車輪取付けフランジを有するハブ輪、およびハブ輪の外周に嵌合した内輪を備え、外周に複列のインナレースが形成された内方部材と、アウタレースとインナレースとの間に介装された複列の転動体とを備え、ハブ輪を拡径方向に塑性変形させて内輪の内周面に形成した凹凸部に食い込ませることにより、両者を結合した車輪軸受装置において、ハブ輪の塑性変形部における塑性変形前の内径寸法φd1と、塑性変形後の内径寸法φd2との比(Δ=φd2/φd1)を1.05以上とし、内輪の凹凸部を熱処理で硬化させると共に、ハブ輪の塑性変形部を未熱処理としたことを特徴とする。
この場合、複列のインナレースは、ハブ輪および内輪の各外周に形成することができ(図5参照)、あるいはハブ輪外周に嵌合した二つの内輪の各外周に形成することもできる(図6参照)。
【0008】
この比Δが1.05よりも小さいと、塑性変形部の塑性変形量が小さくなり、ハブ輪および嵌合部材のうち、外径側の部材に対する塑性変形部の食い込み量が不十分となる。そのため、ハブ輪と嵌合部材との結合強度が不足し、自動車に装備する車輪軸受装置としての使用が困難となる。
【0009】
上記比Δの上限値は、内径側の部材の素材に応じて定めることができる。具体的には、素材の炭素量の値の大きさに基づいて定めることができ、これが小さいほど上記比Δの上限値を大きくすることができる。
【0010】
例えば、例えば、内径側の部材がS53Cで形成されている場合、上記比の上限値はΔ≦1.15が好ましく、これよりも炭素量の低いS40Cで形成されている場合、Δ≦1.20が好ましい。
【0011】
上記のように、ハブ輪に熱処理により硬化させた凹凸部を設けると共に、凹凸部に外側継手部材の塑性変形部を食い込ませるようにしているので、ハブ輪と外側継手部材の結合強度を高めることができ、車輪軸受装置の耐久性が高まる。内輪に熱処理により硬化させた凹凸部を設けると共に、凹凸部にハブ輪の塑性変形部を食い込ませるようにしても、同様に内輪とハブ輪の結合強度が高まり、車輪軸受装置の耐久性が高まる。何れの場合でも塑性変形部を未熱処理部としているので、塑性変形部を容易に塑性変形させることができ、凹凸部に確実に食い込ませることが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
【0015】
図1に本発明を適用した駆動輪用の車輪軸受装置を示す。この車輪軸受装置は、ハブ輪10と、軸受20と、等速自在継手40とをユニット化して構成される。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウトボード側といい(各図において図面左側)、車両の中央寄りとなる側をインボード側という(各図において図面右側)。
【0016】
ハブ輪10は軸心部に軸方向の貫通孔を有する中空状に形成される。ハブ輪10のアウトボード側の端部には、車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付けフランジ14が形成され、このフランジ14の円周方向等間隔位置にホイールディスクを固定するためのハブボルト15が植え込まれている。ハブ輪10のフランジ14よりもインボード側の外周面にアウトボード側のインナレース27を形成してある。
【0017】
等速自在継手40は、ドライブシャフトからのトルクを内側継手部材およびトルク伝達ボール(何れも図示省略)を介して外側継手部材41に伝達する。外側継手部材41の内周部には複数のトラック溝41aが形成されている。このトラック溝41aと内側継手部材の外周部に設けた複数のトラック溝との協働で複数のボールトラックが形成され、各ボールトラックにトルク伝達ボールが配置される。各トルク伝達ボールは、図示しないケージによって同一平面内に保持されている。
【0018】
外側継手部材41は、ハブ輪10の内周に嵌合した嵌合部材であり、一体に形成されたステム部45とマウス部46とを備える。ステム部45にてハブ輪10の内周に嵌合されている。マウス部46の肩面47がハブ輪10のインボード側の端面と当接し、これにより、ハブ輪10と外側継手部材41の軸方向の位置決めがなされ、かつ、インナレース27,28間の寸法が規定される。マウス部46の肩面47寄りの外周面にインボード側のインナレース28を形成してある。ステム部45は、椀状のマウス部46の底と連通した軸方向の貫通孔48を設けることによって中空にしてある。
【0019】
外側継手部材41には、鍛造による成形後、部分的に熱処理が施される。熱処理により硬化される部分は、図1に散点模様を付して表すように、肩面47からインボード側のインナレース28を経てシール26のシールリップとの摺接面(シールランド)に至る領域と、マウス部46内周の、トルク伝達ボールが転動するトラック溝41aの領域とであり、何れもHRc58以上となるまで硬化される。熱処理としては、局部加熱ができ、硬化層深さの選定が自由であり、かつ硬化層以外への熱影響が少なく母材の性能を保持できる高周波焼入れが適当である。
【0020】
これ以外の部分、特にステム部45のうち、後述する拡径加締めに際して外径側に塑性変形する部分(塑性変形部34)には、鍛造後も熱処理が施されない。これら未熱処理部のうち、塑性変形部34の硬度は、拡径加締め時の加工性を考えると低いほど好ましいが、低すぎる場合は疲労耐久性の低下を招く。従って、塑性変形部34は、HRc13以上28以下、好ましくはHRc18以上25以下の硬度とするのが好ましい。
【0021】
軸受20は外方部材21と複列の転動体22とを含む。外方部材21は車体(図示せず)に取り付けるためのフランジ23を備え、内周面に複列の転動体22が転動する複列のアウタレース24を形成してある。ハブ輪10のインナレース27および外側継手部材41のインナレース28と外方部材21の複列のアウタレース24との間に複列の転動体22が組み込まれている。ここでは転動体22としてボールを使用した複列アンギュラ玉軸受の場合を図示してあるが、重量の嵩む自動車用の車輪軸受装置の場合には、転動体として円すいころを使用した複列円すいころ軸受を採用する場合もある。外方部材21の両端開口部にはシール25,26が装着され、軸受内部に充填したグリースの漏洩ならびに外部からの水や異物の侵入を防止するようになっている。
【0022】
ハブ輪10内周の嵌合面16のうち、外側継手部材41の塑性変形部34との対向部分には凹凸部31が形成される。嵌合面16の凹凸部31以外の部分は、ステム部45の円筒状外周面と密着嵌合する円筒状に形成されている。凹凸部31の凹凸形状は任意であり、例えばねじ形状やセレーション(スプラインも含む)形状、あるいは互いに平行な複数列の溝同士を交差させたアヤメローレット形状に形成される。このようにして形成された凹凸部31は、熱処理によってHRc58以上まで硬化される。
【0023】
熱処理による硬化層は、図1に散点模様で示すように、ハブ輪10内周の凹凸部31の領域のみならず、ハブ輪10外周の、シール25のシールランドからインナレース27を経てインボード側の端面に至る領域にも形成される。これらの熱処理は、上記と同様の理由から高周波焼入れにより行うのが望ましい。なお、図示のように双方の硬化層を非連続とすることにより、ハブ輪10の焼き割れを生じにくくすることができる。
【0024】
内径側の部材としてのハブ輪10と、嵌合部材としての外側継手部材41とは、いわゆる拡径加締めにより一体に塑性結合される。すなわち、ハブ輪10の内周に外側継手部材41のステム部45を嵌合した状態で、ステム部45の塑性変形部34を内径側から外径側に塑性変形させ、塑性変形部34の外周を凹凸部31に食い込ませてハブ輪10と外側継手部材41とを塑性的に結合する。これにより、インナレース27,28間の寸法が規定されて軸受20内部に所定の予圧が付与される。塑性結合されたハブ輪10と外側継手部材41とは、外周に複列のインナレース27、28を有する内方部材29を形成する。
【0025】
加締めに際しては、上述のように凹凸部31は高い硬度を備えるために潰れにくく、また、拡径側の塑性変形部34は凹凸部31に比べて低硬度で延性に富むために拡径代を大きくとってもステム部45に加締め割れが生じにくい。従って、凹凸部31を塑性変形部34に深く食い込ませることができ、これによりハブ輪10と外側継手部材41の間で高い結合強度が確保される。
【0026】
加締めは、例えば図2に示すように、外側継手部材41のステム部45内周の貫通孔48に加締め治具(ポンチ)60を挿入することによって行うことができる。加締め治具60は、先端側(ステム部45への挿入側)より順に小径円筒部61、テーパ部62、および大径円筒部63を具備するもので、小径円筒部61の外径寸法は加締め前の塑性変形部34の内径寸法φd1(図3参照)よりも小さく、大径円筒部63の外径寸法は当該内径寸法φd1よりも大きい。
【0027】
加締めに際しては、図2に示すように、外側継手部材41をハブ輪10の内周に挿入した状態で、車輪軸受装置が受け台64上にセットされる。この時、車輪取付けフランジ14のアウトボート側の端面が受け台64の端面に支持される。ハブボルト15は、受け台64に設けたボルト穴65に収容される。
【0028】
この状態で加締め治具60をインボード側から外側継手部材41の貫通穴48に押込む。これによりステム部45の塑性変形部34が加締め治具60のテーパ面62、さらには大径円筒部63によって押し広げられ、拡径方向に塑性変形して外周面がハブ輪10内周の凹凸部31に食い込む。
【0029】
この時、加締め治具60の押込みに伴い、外側継手部材41はアウトボード側に向けて押込み力を受ける。一方、受け台64に支持されたハブ輪10がこの押込み力に対抗するため、ハブ輪10と外側継手部材41との軸方向の当接部(外側継手部材41の肩面47とハブ輪10のインボード側端面との当接部)には圧縮歪が生じる。これにより、アキシャル軸受隙間を負にして軸受20に予圧を付与することができ、加締め結合の完了と同時に予圧設定を完了することが可能となる。同様の効果は、加締め結合する二部材間の当接部(軸方向の当接部)で圧縮歪を生じる方向に加締め治具60を挿入することによって得られる。
【0030】
ところで、塑性変形部34の拡径加締めに際しては、拡径量の下限値が存在すると考えられる。拡径量が一定量以下であれば、凹凸部31に対する塑性変形部34の食い込み量が不足し、車輪軸受装置に求められる結合強度が十分に得られなくなるからである。
【0031】
以上の考察の下、本発明者らが試験を行ったところ、図3に示す塑性変形前の塑性変形部34の内径寸法φd1と、図4に示す塑性変形後の塑性変形部34の内径寸法φd2との比(Δ=φd2/φd1)、すなわち拡径率が1.05以上であれば、図8に示すように、ハブ輪10と外側継手部材41との間で十分な結合強度(目標強度)が得られることが明らかになった(プロット点×は比較品、その他のプッロト点は本発明品)。
【0032】
このΔの下限値は、塑性変形部34の素材の種類によってはほとんで影響を受けず、各種鋼材に共通の値であると考えられる。
【0033】
また、上記比Δが大きすぎる場合は、材料の延びが過大となって加締め割れ等の不具合を招く可能性がある。この比Δの上限値は、塑性変形部34を形成する素材の炭素量の値によって異なり、これが小さいほど上記比の上限値も大きくなると考えられる。
【0034】
本発明者らが試験を行ったところ、例えば外側継手部材41の素材がS40C(炭素量0.37〜0.43%)の場合、上記比Δが1.20を超えると、加締め割れを生じることが明らかになった。従って、この場合、上記Δは1.20以下(Δ≦1.20)とする必要がある。
【0035】
また、外側継手部材41を、S53C(炭素量0.50〜0.56%)で形成した場合、上記比Δが1.15を超えると、加締め割れを生じることが明らかになった。従って、この場合、上記Δは1.15以下(Δ≦1.15)とする必要がある。
【0036】
外側継手部材41としては、上記S40CやS53Cに限らず、炭素量0.30〜0.61の間の機械構造用炭素鋼(JISに規定)が広く使用可能である。これに適合する機械構造用炭素鋼であれば、高周波焼入れによりレース面の転動強度を高炭素クロム軸受鋼のズブ焼品や肌焼き鋼の浸炭品と遜色ないほど高めることができ、低コストに耐久寿命を確保できる一方、未熱処理状態でも塑性変形部34の硬度を抑えて高い加締め加工性を確保することができ、さらなる低コスト化を図ることができる。
【0037】
この他、重量%でCを0.5〜0.7%、Siを0.6〜1.2%、Mnを0.6〜1.0%含有すると共に、残部をFeおよび不可避的不純物とした鋼材も使用することができる。本発明者らの試験によれば、この鋼材では、上記比Δを
1.05≦Δ≦1.14
の範囲に設定するのが望ましいことが判明した。
【0038】
なお、図1では、加締め部分において、ハブ輪10を外径側に配置しているが、その逆に外側継手部材41を外径側に配置することもできる(図7参照)。この場合、ハブ輪10が内径側の部材となって塑性変形部34が形成され、外側継手部材41がその外周に嵌合した嵌合部材となる。この場合も、塑性変形の前後における塑性変形部34の内径寸法の比Δが上記と同様の範囲に設定される。
【0039】
以下、本発明を他の形式の車輪軸受装置に適用した場合の実施形態を図5および図6に基づいて説明する。なお、各図において、図1に示す部材と機能が共通する部材には、同一の参照番号を付して重複説明を省略する。
【0040】
図5は、ハブ輪10と、ハブ輪10の外周に嵌合した内輪35とで内方部材29を形成した実施形態である。内方部材29のインナレース27,28のうち、アウトボード側のインナレース27がハブ輪10の外周に、インボード側のインナレース28が内輪35の外周にそれぞれ形成されている。
【0041】
この実施形態においては、ハブ輪10のインボード側端部に形成した小径円筒部19の外周に内輪35が圧入されている。外側継手部材41は、ハブ輪10の内周に嵌合され、スプライン等のトルク伝達手段37を介してハブ輪10と結合され、かつ止め輪38によってハブ輪10に対して抜け止めされている。内輪35のインボード側端面を外側継手部材41の肩面42と当接させ、かつアウトボード側の端面をハブ輪10の肩面18と当接させている。
【0042】
この実施形態において、塑性変形部34はハブ輪10の小径円筒部19に形成され、硬化させた凹凸部31は内輪35の内周に形成されている(凹凸部31の形成領域を×印で示す)。ハブ輪10の塑性変形部34を未熱処理部とし、これを拡径方向に塑性変形させることにより、小径円筒部19の外周が内輪35の凹凸部31に食い込み、ハブ輪10と内輪35とが塑性的に結合される。この場合、ハブ輪10が内径側の部材となり、内輪35がハブ輪10の外周に嵌合した嵌合部材となる。
【0043】
この実施形態においても、ハブ輪10の塑性変形部34における塑性変形前後の内径寸法の比Δが、上記範囲に設定される。
【0044】
図6は、ハブ輪10と、ハブ輪10の外周に嵌合した第一内輪51および第二内輪52とで内方部材29を形成した実施形態である。内方部材29のインナレース27,28は、何れも内輪51,52の外周にそれぞれ形成されている。図示しない外側継手部材は、ハブ輪10の内周に嵌合され、ハブ輪10とトルク伝達可能に結合される。
【0045】
インボード側の第一内輪51のインボード側端部には軸方向の延在部53が形成され、その内周に熱処理で硬化させた凹凸部31が形成されている。ハブ輪10のインボード側端部の塑性変形部34を未熱処理部とし、この部分を拡径方向に塑性変形させて凹凸部31に食い込ませることにより、ハブ輪10と内輪51とが塑性的に結合される。この場合、ハブ輪10が内径側の部材となり、内輪51,52がハブ輪10の外周に嵌合した嵌合部材となる。
【0046】
この実施形態においても、ハブ輪10の塑性変形部34における塑性変形前後の内径寸法の比Δが、上記範囲に設定される。
【0047】
なお、図5および図6では、車輪軸受装置としてハブ輪10、軸受20、および外側継手部材をユニット化した駆動車輪用の車輪軸受装置を例示しているが、外側継手部材を含まず、ハブ輪10と軸受20とのみをユニット化した従動輪用の車輪軸受装置にも本発明を同様に適用することができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、塑性変形部の塑性変形量を適正量に設定しているので、外側継手部材とハブ輪との間、および内輪とハブ輪との間で十分な結合強度が得られる一方、過剰な塑性変形による加締め割れ等の塑性変形部の損傷を回避することができ、加工性が高まる。これにより、車輪軸受装置の強度向上を図ると共に、品質の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる車輪軸受装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】上記車輪軸受装置の拡径加締め工程を示す断面図である。
【図3】上記車輪軸受装置の拡径加締め前の状態を示す断面図である。
【図4】上記車輪軸受装置の拡径加締め後の状態を示す断面図である。
【図5】本発明にかかる車輪軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明にかかる車輪軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明にかかる車輪軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明品と比較例との間の比較試験結果を示す図である。
【符号の説明】
10 ハブ輪
14 車輪取付けフランジ
20 軸受
21 外方部材
22 転動体
24 アウタレース
27 インナレース(アウトボード側)
28 インナレース(インボード側)
29 内方部材
31 凹凸部
34 塑性変形部
35 内輪
40 等速自在継手
41 外側継手部材
51 第一内輪
52 第二内輪

Claims (7)

  1. 内周に複列のアウタレースが形成された外方部材と、車輪取付けフランジを有するハブ輪、およびハブ輪の内周に嵌合した等速自在継手の外側継手部材を備え、ハブ輪および外側継手部材の各外周にインナレースが形成された内方部材と、アウタレースとインナレースとの間に介装された複列の転動体とを備え、ハブ輪と外側継手部材の嵌合部に、外側継手部材を拡径方向に塑性変形させてハブ輪の内周面に形成した凹凸部に食い込ませることにより、両者を結合した部分と、外側継手部材の円筒状外周面とハブ輪の円筒状内周面とを嵌合させた部分とを設けた車輪軸受装置において、
    外側継手部材の塑性変形部における塑性変形前の内径寸法φd1と、塑性変形後の内径寸法φd2との比(Δ=φd2/φd1)を1.05以上とし、ハブ輪のうち、凹凸部を熱処理で硬化させると共に、円筒状内周面を未熱処理とし、外側継手部材のうち、円筒状外周面を熱処理で硬化させると共に、塑性変形部を未熱処理としたことを特徴とする車輪軸受装置。
  2. 内周に複列のアウタレースが形成された外方部材と、車輪取付けフランジを有するハブ輪、およびハブ輪の外周に嵌合した内輪を備え、外周に複列のインナレースが形成された内方部材と、アウタレースとインナレースとの間に介装された複列の転動体とを備え、ハブ輪を拡径方向に塑性変形させて内輪の内周面に形成した凹凸部に食い込ませることにより、両者を結合した車輪軸受装置において、
    ハブ輪の塑性変形部における塑性変形前の内径寸法φd1と、塑性変形後の内径寸法φd2との比(Δ=φd2/φd1)を1.05以上とし、内輪の凹凸部を熱処理で硬化させると共に、ハブ輪の塑性変形部を未熱処理としたことを特徴とする車輪軸受装置。
  3. 上記比Δの上限値を、内径側の部材の素材に応じて定めた請求項1または2記載の車輪軸受装置
  4. 内径側の部材がS40Cで形成され、かつ上記比Δが1.20以下である請求項記載の車輪軸受装置。
  5. 内径側の部材がS53Cで形成され、かつ上記比Δが1.15以下である請求項記載の車輪軸受装置。
  6. 複列のインナレースが、ハブ輪および内輪の各外周に形成されている請求項記載の車輪軸受装置。
  7. 複列のインナレースが、ハブ輪外周に嵌合した二つの内輪の各外周に形成されている請求項記載の車輪軸受装置。
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