JP4076728B2 - ヒト腫瘍関連遺伝子とタンパク質 - Google Patents

ヒト腫瘍関連遺伝子とタンパク質 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、ヒト腫瘍関連遺伝子とその発現タンパク質に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、ヒト悪性腫瘍の診断法や治療法の開発に有用な新規ヒト遺伝子hMLZEと、その発現産物であるタンパク質hMlzeに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
悪性黒色腫の発生率が世界中で危機的な速度で上昇している(文献1)。大部分の薄い腫瘍は外科切除によって治癒できるが、黒色腫が一旦浸潤転移してしまうと、他の類似症状療法はほとんど無力化してしまう。腫瘍悪性化(腫瘍浸潤)の基本的な変化を理解するために、悪性黒色腫の腫瘍転移モデル系が開発され(文献2)、種々の転移挙動を再現する細胞系、例えばマウス黒色腫細胞株B16(文献3)やK1735(文献4)が確立されている。これら細胞株間の発現分子の差異を比較することによって、腫瘍浸潤(転移)に関与する遺伝子が同定された(文献5-8)が、その臨床的な関連性は限定されている。
【0003】
一方、この出願の発明者らは、腫瘍浸潤に関与する遺伝子を探索するため、1組のB16マウス黒色腫細胞(B16−F10とB16−BL6)を選択した。B16−F10細胞は、元々新生黒色腫から確立された親B16黒色腫細胞のin vivo選択(尾静脈注射後の肺への転移増殖)を10回行って得られ、一方B16−BL6細胞はB16−F10細胞のin vitro選択(マウス膀胱膜への浸透)を6回行って得られた(文献9)。これらの細胞は遺伝子的にほぼ同一であり、そして尾静脈に注射したとき肺に転移増殖する高い能力を有している。しかしながら、足底に注射したときは、B16−F10と比較してB16−BL6が高い転移頻度を示す。この出願の発明者らは、これら細胞間の遺伝子発現の差異を調べることによって腫瘍浸潤、特に真皮浸潤のメカニズムへの洞察が得られるものと推測し、差引きcDNAライブラリーを構築した(文献10の方法)。そして、B16−F10細胞と比較してB16−BL6細胞で発現が増加している一連の遺伝子を単離し、そしてこれら遺伝子のなかには腫瘍転移において極めて重要な役割を果たしているものが存在することを報告している(文献11-14)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記のとおり、この出願の発明者らによって、黒色腫瘍の転移亢進に関連するマウス遺伝子の存在が明らかにされてきた。しかしながら、実際の腫瘍転移に決定的な役割を果たすマウス腫瘍関連遺伝子は特定されておらず、また当然のことながらヒト腫瘍関連遺伝子も特定されていなかった。
【0005】
この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、ヒト悪性黒色腫等の腫瘍診断や治療に有用なヒト腫瘍関連遺伝子と、その発現蛋白質を提供することを課題としている。
【0006】
またこの出願の発明は、ヒト腫瘍関連遺伝子の発現蛋白質に対する抗体を提供することを課題としてもいる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願は、前記の課題を解決するものとして、以下の(1)〜(10)の発明を提供する。
(1) ヒト8番染色体q24.-2領域に存在し、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヒト腫瘍関連遺伝子hMLZE。
(2) cDNAが配列番号1の塩基配列を有する前記発明(1)のヒト遺伝子hMLZE。
(3) 前記発明(1)のヒト遺伝子hMLZEのゲノムDNA、mRNA、cDNAまたはそれらの相補配列から精製されたポリヌクレオチド。
(4) 前記発明(1)のヒト遺伝子hMLZEまたは前記発明(3)のポリヌクレオチドにハイブリダイズする、10塩基対以上の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド。
(5) 前記発明(3)のポリヌクレオチドを保有する組換えベクター。
(6) 前記発明(5)の組換えベクターによる形質転換体細胞。
(7) 前記発明(1)のヒト遺伝子hMLZEの発現産物であって、配列番号2のアミノ酸配列を有するヒトタンパク質hMlze。
(8) 前記発明(6)の形質転換体細胞によって産生される前記発明(7)のヒトタンパク質hMlze。
(9) 配列番号2の連続5アミノ酸残基以上のアミノ配列からなるペプチド。
(10) 前記発明(7)のヒトタンパク質hMLZEを認識する抗体。
【0008】
すなわち、この出願の発明者らは、マウス悪性黒色腫細胞株B16-BL6 cDNAライブラリーからB16-F10 cDNAを差し引き(subtraction)、新規のマウス遺伝子MLZE(mMLZE)を単離した。この遺伝子mMLZEは、ノーザンブロット解析の結果、悪性黒色腫B16-BL6株で高頻度に発現しているが、正常な皮膚細胞(メラノサイト)では発現が検出されなかったことから、悪性黒色腫の浸潤転移に重要な役割を果たす新規マウス遺伝子であることが確認された。このマウス遺伝子mMLZEは、1570bpの翻訳領域(open reading frame:ORF)(GenBank Accession No. AB042406)を有しており、468アミノ酸残基からなる推定分子量53kDaのタンパク質をコードしていた。そして、発明者らは、このmMLZE塩基配列についてヒトESTクローンのホモロジー検索を来ない、相同性の高いヒトESTクローンを特定し、このESTクローンをプローブとしてヒトcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、悪性黒色腫の転移亢進に関与する新規ヒト遺伝子hMLZE cDNAを単離した。この新規遺伝子hMLZEは、その全長cDNAが2758bp(配列番号1)であり、1527bpからなるPRFには508アミノ酸配列(配列番号2)からなるタンパク質hMlze(推定分子量約57kDa)をコードしている。
【0009】
そして、この出願の発明者らはさらに、後記のとおり、この遺伝子hMLZEが悪性黒色腫だけでなく、多くのヒト悪性腫瘍に関与することも見出した。
【0010】
この出願の発明は、以上のとおりの新規ヒト遺伝子およびその発現タンパク質を基礎とするものである。なお、前記の発明において、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は特定塩基数の断片を意味するものでなく、一応の目安として100bp以上の断片をポリヌクレオチド、100bp未満の断片をオリゴヌクレオチドとするが、例外も存在する。同様に、オリゴペプチドについても特定範囲のアミノ酸残基数に限定されるものではない。
【0011】
以下、この出願の発明について、実施形態を詳しく説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
発明(1)のヒト腫瘍関連遺伝子hMLZEは、前記のとおり、ヒト8番染色体q24.-2領域に存在し、配列番号2のアミン酸配列を有するヒト腫瘍関連タンパク質hMlzeタンパク質をコードするゲノム遺伝子である。さらに詳しくは、このhMLZE遺伝子は、発明(2)に示したように、そのcDNAが配列番号1の塩基配列を有することを特徴としている。
【0013】
この発明(1)の遺伝子hMZLEは、後記する発明(4)のポリヌクレオチド作製のために有用であり、さらには悪性黒色腫をはじめてとす各種のヒト悪性腫瘍の診断や、治療薬開発の対象遺伝子等としても有用である。
【0014】
なお、この発明(1)の遺伝子hMLZEには、それがコードするタンパク質の発現に対する制御領域(プロモーター/エンハンサー、サプレッサー等)も含まれる。これらの発現制御領域は、タンパク質hMlzeの機能や、あるいは遺伝子hMLZEの発現制御因子の探索に有用である。
【0015】
この発明(1)の遺伝子hMLZEは、例えば、配列番号1の塩基配列またはその一部配列からなるポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドをプローブとしてヒトゲノムDNAライブラリーをスクリーニングすることによって単離するすることができる。
【0016】
発明(3)は、前記発明(1)の遺伝子hMLZEのゲノムDNA、mRNA、cDNAまたはこれらの相補配列から精製されたポリヌクレオチドである。このようなポリヌクレオチドは、発明(4)のオリゴヌクレオチドの調製や、タンパク質hMlzeの遺伝子工学的生産のための材料として有用である。
【0017】
これらのポリヌクレオチドは、ヒト細胞から単離したゲノムDNAやmRNAから公知の方法により精製することによってDNA断片やRNA断片として得ることができる。また、cDNAはヒト細胞から抽出したポリ(A)+RNANを鋳型として合成することができる。ヒト細胞としては、人体から手術などによって摘出されたものでも培養細胞でも良い。cDNAは、公知の方法(Mol. Cell Biol. 2, 161-170, 1982; J. Gene 25, 263-269, 1983; Gene, 150, 243-250, 1994)を用いて合成することができる。あるいは、オリゴヌクレオチドをプライマ−として、ヒト細胞から単離したmRNAを鋳型とするRT-PCR法を用いて、目的cDNAを合成することもできる。このようにして調製されるcDNAは、具体的には配列番号1の塩基配列を有している。なお、一般にヒト遺伝子は個体差による多型が頻繁に認められる。従って配列番号1の塩基配列において、1または複数個(10以下)のヌクレオチドの付加、欠失および/または他のヌクレオチドによる置換がなされているポリヌクレオチドもこの発明のポリヌクレオチド(cDNA)の範囲に含まれる。また、同様に、これらの変更によって生じる、1または複数個のアミノ酸の付加、欠失および/または他のアミノ酸による置換がなされているタンパク質も、タンパク質hMlzeの活性を有する限り、後記発明(7)のタンパク質の範囲に含まれる。
【0018】
発明(4)は、前記発明(1)の遺伝子hMLZEまたは前記発明(3)のポリヌクレオチドにハイブリダイズする、10塩基対以上の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチド(DNA断片またはRNA断片、若しくはそれらのアンチセンス鎖)は、例えば、遺伝子hMLZEやその変異を検出するためのプローブ、あるいはポリヌクレオチドを合成するためのPCRプライマーとして有用である。また、悪性黒色腫やその他の悪性腫瘍診断用のマイクロアレイ等のためのDNA断片やRNA断片として使用することもできる。このようなオリゴヌクレオチドは、常法により合成して調製することもでき、あるいは場合によっては発明(3)のポリヌクレオチドを適当な制限酵素で切断することによってもできる。
【0019】
発明(5)は、前記発明(3)のポリヌクレオチドを保有する組換えベクターである。ベクターはクローニングベクターまたは発現ベクターであり、インサートとしてのポリヌクレオチドの種類や、その使用目的等に応じて適宜のものを使用する。例えば、cDNAまたはそのORF領域をインサートとしてタンパク質hMlzeを生産する場合には、in vitro転写用の発現ベクターや、大腸菌、枯草菌等の原核細胞や、酵母、昆虫細胞、哺乳動物細胞等の真核細胞のそれぞれに適した発現ベクターを使用することができる。また、遺伝子hMLZEのゲノムDNAをインサートとする場合には、BAC(Bacterial Artificial Chromosome)ベクターやコスミドベクター等を使用することもでき、こられらの組換えベクターは、例えば蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)による染色体異常を診断するためのプローブとして有用である。さらには、遺伝子hMLZE由来のポリヌクレオチドをウイルスベクター等に組換え、これを遺伝子治療に用いることもできる。
【0020】
発明(6)は、前記発明(5)の組換えベクターによる形質転換体細胞である。これらの細胞は、例えば、タンパク質hMlzeを製造する場合には、大腸菌、枯草菌等の原核細胞や、酵母、昆虫細胞、哺乳動物細胞等の真核細胞等を使用することができる。また、遺伝子hMLZE由来のポリヌクレオチドを組み換えたウイルスベクターによって形質転換したメラノサイト等の細胞は、遺伝子治療に用いることもできる。これらの形質転換体細胞は、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法など公知の方法によって組換えベクターを細胞に導入することによって調製することができる。
【0021】
発明(7)は、前記発明(1)の遺伝子hMLZEの発現産物であって、配列番号2のアミノ酸配列を有することを特徴とするタンパク質hMlzeである。このタンパク質は、抗体作製のための免疫原として、あるいは悪性黒色腫やその他の悪性腫瘍の治療薬を開発するための標的分子等として有用である。このタンパク質は、ヒト細胞から単離する方法、配列番号2のアミノ酸配列に基づき化学合成によってペプチドを調製する方法等によって得ることができるが、好ましくは、発明(6)の形質転換細胞から単離・精製する方法によって大量に生産せることができる(発明(8))。すなわち、形質転換体細胞を培養し、その培養物から、例えば、尿素などの変性剤や界面活性剤による処理、超音波処理、酵素消化、塩析や溶媒沈殿法、透析、遠心分離、限外濾過、ゲル濾過、SDS-PAGE、等電点電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等によって単離、精製することによってタンパク質hMlzeを大量に得ることができる。なお、発明(7)のタンパク質には、他の任意の蛋白質との融合蛋白質も含まれる。例えば、グルタチン−S−トランスフェラ−ゼ(GST)や緑色蛍光蛋白質(GFP)との融合蛋白質などが例示できる。さらに、細胞で発現したタンパク質は、翻訳された後、細胞内で各種修飾を受ける場合がある。したがって、修飾されたタンパク質も発明(7)のタンパク質の範囲に含まれる。このような翻訳後修飾としては、N末端メチオニンの脱離、N末端アセチル化、糖鎖付加、細胞内プロテア−ゼによる限定分解、ミリストイル化、イソプレニル化、リン酸化などである。
【0022】
発明(9)は、配列番号2の連続5アミノ酸残基以上のアミノ酸配列からなるオリゴペプチドである。このオリゴペプチドは、例えば抗体作製のための抗原として使用することができ、例えば、配列番号2のアミノ酸配列に基づき、公知のペプチド合成法等により作成することができる。
【0023】
発明(10)は、発明(7)のタンパク質hMlzeを認識するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である。この抗体は、細胞でのタンパク質hMlzeまたはその変異体タンパク質の発現を調べることによって悪性黒色腫やその他の悪性腫瘍の診断を行うための材料等として有用である。この抗体には、タンパク質hMlzeのエピトープに結合することができる全体分子、およびFab、F(ab')2、Fv断片等が全て含まれる。このような抗体は、例えばポリクローナル抗体の場合には、前記のタンパク質hMlzeやそのペプチドを抗原として用いて動物を免役した後、血清から得ることが出きる。あるいは、上記の真核細胞用発現ベクターを注射や遺伝子銃によって、動物の筋肉や皮膚に導入した後、血清を採取することによって作製することができる。動物としては、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ニワトリなどが用いられる。免疫した動物の脾臓から採取したB細胞をミエロ−マと融合させてハイブリド−マを作製すれば、モノクロ−ナル抗体を産生することができる。
【0024】
以下、実施例を示してこの出願の発明についてさらに詳細かつ具体的に説明するが、この出願の発明は以下の例によって限定されるものではない。
【0025】
【実施例】
1. 材料および方法
1.1 cDNAおよびゲノムDNAライブラリーのスクリーニング
差引きcDNAライブラリーの調製は文献11-12の記載に従って行った。目的クローンを得るため、λZAP-cDNA合成キット(Stratagene社)を使用してHeLa細胞からヒトcDNAライブラリー調製した。PCRで得られた放射標識ESTクローンAW276035を使用して、総計1×106個のクローンをスクリーニングし、陽性クローンから得られたインサートcDNAをin vivoで切断してpBluescript II SK(-)ベクター内に挿入した。また、放射標識hMLZE翻訳領域を使用して、ヒト胎盤ゲノムDNAライブラリー(TaKaRa社)の総計1×106個のクローンをスクリーニングした。
1.2 ノーザンブロット分析
トータルRNAは、グアニジンチオシアネート/CsTFA法を使用して調製した。ノーザンブロット分析用に、変性ゲル電気泳動でトータルRNA 20〜30μgを分離し、Biodyne A(PALL社)に移した。ヒト多組織ノーザンブロットはClontech社製を使用した。ハイブリダーゼーションプローブは、Random Primer DNA Labeling Kit(Takara社)を使用し、hMLZE翻訳領域を[α−32P]dCTPで放射標識して調製した。
1.3 GFP融合タンパク質のin vivo分析
GFP融合遺伝子を作成するため、KODポリメラーゼ(TOYOBO社)を使用してhMLZEライブラリークローンの翻訳領域をを増幅した。プライマーは停止コドンと制限酵素AscIおよびNotIサイトを含んでおり、これらの制限酵素サイトを利用してPCR産物をpEGFP3Bベクター(文献15)に連結した。
【0026】
ヒト胚性腎細胞293Tおよびサル腎細胞COS-7は、LipofectAMINEトランスフェクション試薬(Gibco-BRL社)を使用して一過性にトランスフェクションした。細胞は、35mmのガラス底培養皿中でトランスフェクション後24時間培養し、その後逆方向レーザー走査型顕微鏡(Zeiss LSM410)によってin vivoで観察した。
1.4 蛍光in situハイブリダイゼーション
ヒト胎盤ゲノムDNAライブラリーをスクリーニングすることによってhMLZEの翻訳領域を得た。陽性クローンをEcoRIで消化し、hMLZE配列を含む7kbフラグメントを得た。このフラグメントがhMLZE cDNA(配列番号1)の位置1614から1726までの配列を含有していることをPCRで確認した。Rバンド化ヒト染色体の蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)分析は、文献(16)の記載に従って実施した。すなわち、ビオチン標識ゲノムDNAプローブ150ngを中期染色体スプレッドとハイブリッド形成させた。蛍光色素検出用に、上記スライドをフルオレセインイソチオシアネート(FITC)抱合アビジン(Vector Laboratorie社)と共にインキュベートし、洗浄した。FITCシグナルは、ビオチン標識ヤギ抗アビジン抗体(Vector Laboratories社)とのインキュベーション、続いてFITC抱合アビジンとのインキュベーションによって増幅させた。調製物はプロピジウムヨージドで対比染色し、レーザー走査型顕微鏡(Zeiss LSM410)で観察した。
1.5 抗体
pET28aのマルチクローニングサイトをpET32a(Novagen社)のマルチクローニングサイトとDraIおよびTthl11サイトに置換して改変pET28aベクター(Novagen社)に、hMLZE翻訳領域を挿入結合した。このプラスミドをBL21-CodonPlus(Stratagene社)に形質転換し、0.2mMイソプロピルチオガラクトシドを使用して6Hisタグ付きhMlzeの発現を誘導した。超音波処理で溶菌し、8M尿素、0.5M NaCl、5mMイミダゾールおよび20mMトリス−HCl[pH 8.0]を使用して不溶性ペレットから6Hisタグ付きhMlzeタンパク質を抽出した。抽出されたタンパク質をTALON樹脂に写し、イミダゾールで溶出した。この精製タンパク質でウサギを免疫し、ポリクローナル抗体を産生させた。
1.6 ウエスタンブロット分析
全細胞溶解物は、106個の細胞ペレットに10倍量の溶解緩衝液(50mMトリスHCl[pH 8.0]、250mM NaCl、0.1%NP-40、1mM PMSF)を添加して調製した。この溶解物(タンパク質50μg)を5分間沸騰させ、10%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で分離し、Immobilon膜(Millipore社)に移した。この膜を、1:200希釈のウサギ抗hMlzeポリクローナル抗体または1:1000希釈のウサギ抗GFPポリクローナル抗体(MBL社)と共に1時間インキュベートし、次いで1:1000希釈のホースラディッシュペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(MBL社)と共にインキュベートした。免疫複合体を検出するために、Renaissance化学発光試薬(Dupont/NEN社)を使用した。
1.7 ヒト黒色腫細胞および母斑試料
黒色腫細胞は、大阪大学病院での診断時に外科手術を受けた26人のメラノーマ患者から得た。母斑試料は、同病院で切除手術を受けた5人の患者から得た。外科試料はホルマリンで固定し、パラフィン包埋した。
1.8 免疫組織化学分析
ホルマリンで固定しそしてパラフィンに埋め込んだ標本からパラフィンを除去し、そして一連の傾斜アルコール中で水和化した。内在性ペルオキシダーゼは0.3%過酸化物を有するリン酸緩衝生理食塩液中で失活させた。これらの試料は1:200希釈の抗hTib23ポリクローナル抗体又は1:100希釈の抗c−Mycモノクローナル抗体(Ab-1、Oncogene Science)と共に室温で2時間インキュベートし、続いてホースラディッシュペルオキシダーゼ抱合抗ウサギIgG抗体又は抗マウスIgG1抗体(MBL、名古屋市)と共に室温で1時間インキュベートした。その後、最終産生物は、ペルオキシダーゼの基質としてジアミノベンジジン(DAB)又はアミノエチルカルバゾール(AEC)を使用して視覚化した。陰性対照は、一次抗体の代わりに非免疫化ウサギIgGを使用して実施した。これらのスライドは、必要な場合、マイヤーのヘマトキシリンで対比染色した。
1.9 統計
統計的有意差は、χ2およびフィッシャー検定で分析した。
2. 結果と考察
2.1 hMLZE cDNAの単離
B16−F10 cDNAを差し引いたマウスメラノーマB16−BL6 cDNAライブラリーのスクリーニング(文献11)により、マウスの新規遺伝子mMLZEを単離した。B16−F10細胞およびびB16−BL6細胞のノーザンブロット分析によって、この遺伝子mMLZEの約2.4kb転写産物がB16−BL6細胞内では高度に発現され、B16−F10細胞内では中程度に発現されることが明らかになった(図1)。また、マウスメラノサイト細胞株melan−a、マウスメラノーマ細胞株B16−F1(B16−F10の親株)においてもノーザンブロット分析を行った結果、これらの細胞ではmMLZE転写産物は全く検出されなかった。このマウス遺伝子mMLZEは1570bpのORFを含んでおり(GenBank Accession No. AB042406)、推定分子量約53kDaの468アミノ酸残基からなるタンパク質をコードしていた。
【0027】
次に、マウス遺伝子mMLZEのヒトホモログとして、ヒトESTクローンAW276035.1およびAI05243.1を特定した。このAW276035.1のDNAフラグメントをPCR増幅し、さらに放射標識プローブとして、ヒト子宮頸癌細胞HeLa cDNAライブラリーをコロニーハイブリダイゼーションでスクリーニングし、hMLZE cDNAを単離した。このヒトcDNAクローンは2758bp長であり(配列番号1)、そノーザンブロット分析によって、HeLa細胞におけるその転写産物サイズが約2.8kbであることが確認された(データは示さず)。このことから、このcDNAクローンが遺伝子hMLZE由来の全長cDNAであると判断された。このクローンは、1527bpからなるORFを有しており、このORFには推定分子量57kDaの508アミノ酸配列(配列番号2)からなるタンパク質hMlzeがコードされていた。
【0028】
開始コドンの周囲の配列は真核生物翻訳開始部位のコンセンサス(文献17)と一部合致していた。また、ウサギ網状赤血球を用いたin vitro翻訳によって、約60kDaのタンパク質が産生されたことから、この予測された開始コドンがin vitroで機能的であることが確認された。さらに、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)での相同性検索によって、配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質は、これまでに同定されたタンパク質と明白な相同性を全く示さないことが明らかになった。
【0029】
さらに、上記タンパク質のN末端領域は塩基性アミノ酸に富んでおり、特に配列番号1の位置133〜151(KRKLLDPEPSFLKECRR)および位置201〜218(KKALTLQKGMVMAYKRK)は2極性核シグナルモチーフ(文献18)と一致した。またC末端はロイシンに富む領域を含有しており、配列番号2の位置392〜413にロイシンジッパー構造を含んでいる。
2.2 正常ヒト組織におけるhMLZEの発現
hMLZE mRNAの組織分布を調べるため、放射標識hTIB23翻訳領域をプローブとして、多数のヒト組織についてノーザンブロット分析を行った。結果は図4に示したとおりであり、約2.8kbの転写産物が気管および脾臓で発現することが確認された。
2.3 hMLZEの細胞内局在性
GFP融合コンストラクトを使用してhMLZEの細胞内局在性を調べた。hMLZEのN末端領域は塩基性アミノ酸残基に富んでおり、2個の2極性核シグナルモチーフを含んでいるので、hMLZEは核に局在している可能性が想定される。ヒト胚性腎細胞293Tおよびサル腎細胞COS-7をGFP融合コンストラクトで一過性にトランスフェクションし、in vivo局在性をレーザー走査型顕微鏡によって観察した。結果は図5に示したとおりであり、予期に反してGFP融合hMlze(pEGFP−hMLZE)は細胞質に局在していた。
【0030】
また、hMLZEの核外局在性のメカニズムを調べるため、タンパク質hMlzeを2つに分け、それぞれのGFP融合タンパク質の細胞内局在性を検査した。GFP-融合ΔC(pEGFP3B−hMLZE−ΔC;アミノ酸位置247〜508)は細胞質と核に均等に分布していたが、2個の2極性核シグナルモチーフを含有するGFP-融合ΔN(pEGFP3B−hMLZE−ΔN;アミノ酸位置1〜246)は細胞質に局在していた(図3)。
2.4 hMLZE遺伝子の染色体局在性
hMLZE遺伝子の染色体位置をFISH分析で決定した。図5に示したように、ビオチン結合hMLZEゲノムDNAフラグメントからの特定FISHシグナルはヒト8番染色体(遺伝子名称:MELE)の長腕テロメア領域で観察された。他の再現可能なシグナルは中期染色体では観察されなかった。従って、hMLZE遺伝子は8q24.1-2領域に局在する遺伝子であることが確認された。この領域のコピー数は、メラノーマでは約30%の割合で増加することが報告されている(文献19)。
2.5 ヒト悪性黒色腫におけるhMlze発現と亢進したClarkレベルとの相関関係
6Hisタグ標識hMlze組換えタンパク質でウサギを免疫化し、ポリクローナル抗体を得た。pEGFP3BベクターまたはpEGFP3B−hMLZEで一過性にトランスフェクションした293T細胞の抽出物をウエスタンブロット分析した。抗GFP抗体と抗hMlze抗体は共に、GFP(27kDa)タグ付きhMlze(57kDa)タンパク質の予想分子量と良好に一致する84kDaのタンパク質を認識した(図6A)。この認識されたバンドは、過剰量の抗原性組換えタンパク質と競合したとき消失することから(データは示さず)、この抗体がhMlzeを特異的に認識することが確認された。また、B16-BL6転移性コロニーを抗hMlze抗体で染色した場合には、B16-BL6細胞に細胞質染色が観察された(図6B)。培養B16-BL6細胞にも同様の細胞質染色が観察された(図6B)。BL6細胞における染色は抗原性組換えhMlzeタンパク質の過剰添加によって消失した(データは示さず)。以上の結果からも、hMlzeのN末端側には2個の2極性核シグナルモチーフを含有するが、hMlzeは細胞質に局在することが確認された。
【0031】
次いで、タンパク質hMlzeの発現を、正常皮膚、母斑およびメラノーマで免疫組織化学的に評価した。パラフィンに包埋した組織試料を抗Mlze抗体で染色し、ヘマトキシリン染色した。各セクションから得られた対照試料は、一次抗体の代わりに非免疫化ウサギIgGを使用し、同様にヘマトキシリン染色した。結果は図7に示したとおりであり、正常皮膚内部では、抗hMlze抗体はメラノサイトを染色しなかった。このことは、マウスメラノサイトmelan−aのノーザンブロット分析と一致した(図1参照)。また、5つの良性母斑内のメラノサイトは抗hMlze抗体に陰性であった(図7)。
【0032】
さらに、病理学的に確認された26個のヒトメラノーマ試料についてタンパク質hMlzeの発現を調べた。3つの症例は主として紡錘細胞形態を、2つの症例は紡錘化した類上皮細胞形態を、そして残りは主として類上皮細胞形態を有していた。8個の試料(30%)でメラノーマ細胞の細胞質染色が観察された(図7)。細胞内染色パターンは、GFP-融合コンストラクトを使用した細胞内局在性の試験結果(図3)と一致した。また、この染色パターンは過剰の抗原性組換えタンパク質で消失した(データは示さず)。
【0033】
上記試料を浸潤のレベルで階層化される5つのカテゴリー(文献17)に分類し、タンパク質hMlzeの発現と腫瘍進行の相関関係を評価した。結果は表1に示したとおりであり、進行したClark浸潤レベルIII、IVおよびV(55%)(図8B、表I)は、Clark浸潤レベルIおよびII(13%)(図8A、表I)と比較したとき、hMlze発現と有意な相関関係が観られた(p=0.038)。進行したClark浸潤レベルを有する6つのhMlze陽性症例中、1例(症例番号24)では免疫反応の頻度および強度が増加し、真皮にまで進行的に降下していることが示された(図8C)。以上の結果から、腫瘍が浸潤および転移能力を獲得するにつれてMLZE遺伝子発現が増加することが確認された。また、MLZE遺伝子が、特に真皮への浸潤能力の獲得において、メラノーマの腫瘍進行に関与していることが示唆された。
【0034】
次に、hMlze陽性症例についてc−Myc免疫反応を試験した。このc−myc遺伝子は、hMLZE遺伝子に近接した8番染色体q23領域にマッピングされ、周辺領域の増幅が悪性メラノーマの30%で報告されている(文献19)。hMlzeの発現は、対応する染色体領域の増幅によるc−Mycの過剰発現に起因する可能性があるからである。試験の結果、8つのhMlze陽性症例のうち2例しか抗c−Myc抗体に対する陽性反応(細胞質染色)を示さなかった。図8にc−Myc陽性症例およびc−Myc陰性症例の代表例を示す。1つの陽性症例(症例19)は主として腫瘍の上部皮膚構成成分で抗体陽性を示し、一方抗hMlze抗体陽性は腫瘍全体で観察された(図8)。
【0035】
【表1】
Figure 0004076728
【0036】
8番染色体q24領域は、卵巣癌(文献26)、脳腫瘍(文献27)、乳癌(文献28)および肺癌(文献29)で高頻度で発現することが報告されている。また原発性皮膚黒色腫では、この領域のコピー数は約30%の割合で増加することが報告されている(文献19)。従って、hMLZE遺伝子が黒色腫だけでなく、これらの腫瘍の発症や進行にも関与することが示唆された。しかしながら、上記の試験結果は、この発明のMLZE遺伝子が、8q24領域に存在するc−mysとは異なる発現調節にあることを明確に示している。
【0037】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願によって、悪性黒色腫等のヒト悪性腫瘍に関連する遺伝子とその発現タンパク質、およびタンパク質に対する抗体が提供される。これらの遺伝子やタンパク質、抗体は悪性腫瘍の診断法や治療法の開発のための材料として有用である。
【0038】
【参照文献】
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【0039】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】メラノサイト細胞株におけるマウスMLZEおよびヒトMLZEのノーザンブロット分析の結果である。マウスメラノサイトmelan−aおよびマウスメラノーマ細胞株B16−F1、B16−F10およびB16−BL6に由来するトータルRNA20μgを含有するノーザンブロットを、32P標識mMLZE cDNAとハイブリッド形成させた(上段)。ブロットはマウスβ−アクチンプローブを使用して再度精査した(下段)。約2.4kbの転写産物がB16−F10では中程度に、B16−BL6では豊富に検出されたが、melan−aおよびB16−F1では転写産物は検出されなかった。
【図2】ヒトMLZEの塩基配列およびhMlzeタンパク質のアミノ酸配列である。ボックス印は塩基性アミノ酸残基、下線は2極性核局在化シグナルモチーフ、二重下線はロイシンジッパーモチーフ、丸印はロイシンジッパーモチーフを構成する4個の疎水性アミノ酸残基、星印は停止コドンである。
【図3】ヒト正常組織試料中のhMLZE発現のノーザンブロット分析結果である。1レーン当たり約2μgのポリ(A)+RNAを含有するヒト多組織ノーザンブロットパネルを32P標識hMLZEとハイブリッド形成させた(上段)。約2.8kbの転写産物が気管および脾臓で僅かに検出された。各レーンのRNA量は、ヒトβ−アクチンプローブ(下段)を使用して標準化した。
【図4】 GFP融合タンパク質の構造および細胞内局在性の試験結果である。左端のイラストはヒト293TおよびサルCOS-7細胞内で発現させるためのGFP融合タンパク質の模式図である。ボックスの下の数字はhMlzeタンパク質中のアミノ酸残基位置を示している。楕円形はGFPタンパク質、星印は核局在化シグナル、灰色ボックスはロイシンジッパー構造を示す。FLおよびPh欄はそれぞれ蛍光および位相差画像である。FL画像は各GFP融合タンパク質の細胞内局在性を示す。293TおよびCOS-7細胞を各融合コンストラクトで一過性にトランスフェクションし、24時間後に蛍光顕微鏡によってin vivoで分析した。目盛り棒は10μmを示す。
【図5】 FISHで検出されたhMLZEの染色体局在性である。ビオチン結合hTIB23ゲノムフラグメントをプローブとしてRバンド化染色体のFISH分析を行った。中期全体(A)および中期の一部分(B)の分析結果である。画像分析ソフトウェアを使用して、FITCハイブリダイゼーションシグナルとプロピジウムヨージドで染色した染色体の別々の画像を合わせ、レーザー走査型顕微鏡に取り付けたカメラを使用してデジタル画像として撮影した。矢印は8番染色体の長腕上の特異的なFITCシグナルを示している。ヒト8番染色体の模式図およびhMLZE遺伝子の局在性は右側に示した。
【図6】抗hMlze抗体を用いた免疫化学的試験の結果である。Aは、293T細胞にpEGFP3BベクターまたはpEGFP3B−hMLZEを一過性にトランスフェクションし、免疫ブロット法で分析した結果である。抗GFP抗体および抗hMlze23抗体は共に、GFP(27kDa)融合hMlze(57kDa)タンパク質(矢印)を認識した。Bは抗hNlze抗体を用いたhMlzeの免疫染色の結果である。B16-BL6転移性コロニーを抗hMlze抗体により染色した(上段中央)。コントロールとして非免疫性IgGを用いて染色した(上段左)。免疫染色サンプルはまた、ヘマトキシリンによって共染色した(上段右)。培養BL6細胞は抗hMlze抗体と免疫反応させ、FITCで染色した(下段)。下段右(FL)は蛍光像、下段左(Ph)は位相差像である。
【図7】正常皮膚、母斑および及びメラノーマの免疫組織化学的染色の結果である。試料は抗hMlze抗体を使用して(下段)、また対照の染色については非免疫化正常IgGを使用して(上段)精査した。試料は全てヘマトキシリンで対比染色した。正常皮膚のメラノサイト(矢印)および母斑細胞は染色に対して陰性であったが、メラノーマは細胞質染色を示した(正常皮膚ではオリジナル倍率10倍、母斑およびメラノーマでは40倍)。
【図8】抗hMlze抗体および抗c−Myc抗体によるヒトメラノーマの免疫組織化学試験の結果である。試料は各抗体で染色し、ヘマトキシリンで対比染色した。上段はhMlze発現が陽性で、c−Myc発現が陰性のClark浸潤レベルIIメラノーマの1例。hMlzeに対する細胞質染色が観察される(LOW X:オリジナル倍率4倍、HIGH X:オリジナル倍率20倍)が、c−myc染色は観察されない(オリジナル倍率20倍)。中断はhMlzeとc−mycの両方の発現が陽性のClark浸潤レベルIIIメラノーマの1例。hMlze染色の全体像を低倍率で示した。また腫瘍の上部および下部皮膚構成成分(ボックス)を高倍率で示した。上部構成成分はhMlzeとc−Mycが共に陽性であり、一方下部構成成分はhNlze陽性であるがc−Myc陰性である。下段はhMlze陽性でc−Myc陰性のClark浸潤レベルIVメラノーマの1例。hMlze染色は、腫瘍の上部構成成分と比較したとき、主として下部構成成分で観察された。

Claims (8)

  1. ヒト8番染色体q24.-2領域に存在し、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヒト腫瘍関連遺伝子hMLZE。
  2. cDNAが配列番号1の塩基配列を有する請求項1のヒト遺伝子hMLZE。
  3. 請求項1のヒト遺伝子hMLZE cDNA であって、配列番号1の塩基配列を有する cDNA
  4. 請求項3のcDNAを保有する組換えベクター。
  5. 請求項の組換えベクターによる形質転換体細胞。
  6. 請求項1のヒト遺伝子hMLZEの発現産物であって、配列番号2のアミノ酸配列を有するヒトタンパク質hMlze。
  7. 請求項の形質転換体細胞によって産生される請求項のヒトタンパク質hMlze。
  8. 請求項のヒトタンパク質hMlzeを認識する抗体。
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