JP4076186B2 - 延長床版の設計方法 - Google Patents
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Description
両側車線にわたって輪荷重がヒンジ構造上に載荷された状態で、輪荷重によって発生する活荷重と、延長床版と舗装と地覆の各体積によって発生する死荷重とを合算してせん断力を算定し、
底版と延長床版の摩擦係数を考慮して橋軸方向温度下降時の水平力を求めて軸力を算定し、
前記せん断力と軸力とから応力計算してヒンジ構造の鉄筋径及び鉄筋本数を算定して延長床版を有する土工部と橋梁の接続構造を設計することを特徴とする延長床版の設計方法を提供する。
両側車線にわたって輪荷重がヒンジ構造上に載荷された状態で、輪荷重によって発生する活荷重と、延長床版と舗装と地覆の各体積によって発生する死荷重とを合算してせん断力を算定し、床版と延長床版の摩擦係数を考慮して橋軸方向温度下降時の水平力を求めて軸力を算定し、前記せん断力と軸力とから応力計算してヒンジ構造の鉄筋径及び鉄筋本数を算定して延長床版を有する土工部と橋梁の接続構造を設計するので、床版の厚さも薄く設計することができ、延長床版の設計に際して、必要な強度を備えつつコストダウンを図ることが可能となる。
。
§1設計条件
(1)設計方法
道路橋示方書に準拠し、RC解析の許容応力度設計法により設計を行う。
(2)使用材料
使用材料の一例を表1に示す。
鉄筋コンクリートの諸物理定数の一例を表2に示す。
コッター式継手(H型金物)のヤング係数は、Eco=1.7×105 (N/mm2)
(4)荷重条件
4.1活荷重
活荷重は、B活荷重(T−25)とする。図3(a)は図中左右方向に橋軸方向を示し、図3(b)は図中左右方向に橋軸直角方向を示す。
死荷重は、鉄筋コンクリートγcとアスファルト舗装γaの荷重値の一例を表3に示す。
各使用材料の許容応力度の一例を表4に示す。
当該延長床版は、発注者の意向及び橋梁の諸条件により、以下のような前提で設計を行うものとする。
「延長床版長」
橋梁端部に設置される伸縮装置が、土工部側へ移動した距離をさす。
「キックアップ量」
橋梁端部において、活荷重等によるたわみによって発生する橋梁端部の回転による跳ね上がり量(浮き上がり量)をさす。本発明では、最大値で+0.002radをもって検討する。
「橋梁移動量」
橋梁移動量は、橋梁温度伸縮及び地震動レベル1時の移動量によって決定され、その値の中で一番大きな数値から伸縮装置を決定する。
「地震力」
地震時、橋梁と延長床版では異なる動き方をすると考えられ。延長床版が橋梁に無理な負担を強いないために、橋梁と延長床版を接合しているメナーゼヒンジを地震動レベル2時には降伏するように設計する。橋梁の地震時に発生する力の一例を表7に示す。
7.1形状及び部材寸法
プレキャスト製コンクリート版の版厚は下記の条件を満たすものとする。
(2)コッター式継手仕様に伴う必要版厚 200mm以上
上記の条件から、プレキャスト製コンクリート版の版厚を200mm以上とする。延長床版の版厚はt=200mm、底版の版厚は踏掛版の設計により決定する。
部材には、その断面積の0.15%以上の付着力のある鋼材を配置する。
ただし、せん断力が作用する方向の厚さが薄く、斜引張鉄筋を配置することができない部材については次式により決定する。
ここで、Ast:軸方向引張主鉄筋の断面積(mm2)
bw :けたのウエブ厚(mm)
d :有効厚(mm)
7.3最小かぶり
プレキャスト部材と場所打ちコンクリートの最小かぶりの一例を表8に示す。
鉄筋のあきは下記の条件をすべて満たすものとする。
(2)粗骨材(20mm)の最大寸法の4/3倍以上
(3)鉄筋の直径の1.5倍以上
7.5鉄筋の継手
引張鉄筋に重ね継手を用いる場合は、次式により算出する重ね継手長La以上かつ鉄筋の直径の20倍以上重ね合わせるものとする。また、重ね継手は継手に対して直角に配置した2本以上の鉄筋で補強するものとする。なお、引張鉄筋に機械式継手を用いる場合は、鉄筋の種類、直径、応力状態、継手位置等を考慮して、継手部の強度を定めるものとする。
ここで、La :付着応力度より算出する重ね継手長(mm)
σsa:鉄筋の許容引張応力度(N/mm2)
φ :鉄筋の直径(mm)
τ0a:コンクリートの許容付着応力度(N/mm2)
なお、継手が同一断面に集中する場合は、「鉄筋継手指針(コンクリートライブラリー第49号)」(土木学会)I.9条(2)を参照するものとする。
主鉄筋は、直径13mm以上の鉄筋とする。
コンクリートの乾燥収縮、温度勾配、応力集中等により生じる可能性のあるひび割れを有害でない程度に抑えるように鉄筋を配置するものとする。
§2ヒンジ構造の検討
前述したように、従来は橋梁側の端部と延長床版との接合部が剛結合であるため、片持ち梁として荷重に耐えられるように、鉄筋量を増やすか、床版を厚くするなど、コストアップの要因となっているが、本発明では延長床版の設計に際して、橋梁側の端部と延長床版との間にヒンジ構造を介装して場所打ちコンクリートにて接合することにより、接合部を柔結合にして、必要な強度を備えつつコストダウンを図るようにする。
ナーゼヒンジはその略半分の長さが予め工場にて延長床版に配設され、残り部分は上部筋及び下部筋とも延長床版の端部から外へ露出させておくものとする。
ここで、S :せん断力
n :鉄筋の本数
As:鉄筋1本当たりの断面積
θ:鉄筋の交差角度
(1)鉛直荷重と温度変化に対する検討
1.1せん断力の算定
片側車線に車両が1台として、両側車線で車両2台がメナーゼヒンジ直上に載荷された状態を想定し、全幅が10.7mで検討する。図4は橋梁床版と延長床版の接合部付近の拡大図であり、設計の一例として、例えば遊間の橋台側端部から接合部のメナーゼヒンジ端部までの長さを1240mm、延長床版の厚さを200mm、底版の厚さを300mm、舗装の厚さを80mmとする。
衝撃荷重i=20/(50+L)
=20/(50+1.24)=0.39
P=P×(1+i)=139.0(kN)
後輪荷重は1台分で2×Pであるので全幅2台分では
ΣP=4(輪)×P=556.0(kN) となる。
(2)死荷重
表3の荷重値を参照して死荷重を求める。
舗装 :9.50(m)×1.240(m)×0.080(m)×22.50(kN/m3)=21.2(kN)
地覆 :0.120(m 2 )×1.24(m)×2(ケ)×24.50(kN/m 3 ) = 7.3(kN)
小計 93.5(kN)
死荷重はメナーゼヒンジに集中することはないが、安全を考慮して2台分の輪荷重と死荷重とを加算してせん断力を算定する。
1.2軸力の算定
底版と延長床版との摩擦係数は安全を考慮して、μ=1.0とする。軸力は橋梁の温度変化による伸縮時にメナーゼヒンジに対して橋軸方向へ作用する水平力であるが、温度下降時に橋梁が収縮するときの引張力についてのみ検討する。そして、温度上昇時に橋梁が伸張するときは、軸力が圧縮方向へ作用して断面計算上有利となるため、圧縮時に関しては軸力を考慮しないものとする。設計の一例として、図1に示した延長床版21及び着脱式床版27の全長、すなわち、メナーゼヒンジ23の交差部分である場所打ちコンクリート24側の端部から伸縮装置28側の端部までの長さを5230mmとする。軸力は死荷重であるので、表3の荷重値を参照して下記のように求める。
舗装 :9.50(m)×5.230(m)×0.080(m)×22.50(kN/m3)= 89.4(kN)
地覆 :0.120(m 2 )×1.24(m)×2(ケ)×24.50(kN/m 3 ) = 30.8(kN)
合計Rh 394.4(kN)
軸力 N=Rh=394.4(kN)
1.3応力計算
メナーゼヒンジを構成する鉄筋の許容引張応力σsaを180N/mmとすれば、前述の(1
式)から鉄筋の本数nは次式で表される。
ここで、設計の一例として、例えばメナーゼヒンジが鉄筋径D16(As=198.6mm)であるとすれば、
n=649.5/[180×198.6×(1/√2)]+394.4/[180×198.6×(1/√2)]
=25.695+15.603
=41.298
⇒42 (本)
鉄筋が2本1組かつ偶数組とすれば、全幅で22組のメナーゼヒンジを私用すればよいが、後述するレベル1地震動の照査により52本の鉄筋が必要となるので、全幅で26組のメナーゼヒンジにて接合部が構成されるように設計するものとする。
(2)地震時に対する検討
橋軸直角方向に対する地震時のメナーゼヒンジの耐震性能について検討する。
レベル1地震動及びレベル2地震動における耐震性能は、表9に示すように設計する。
HA=kh×Rv
ここで、HA:メナーゼヒンジにかかる水平力
RV:上部工反力
kh :橋によって異なる係数
上部工反力RVは橋の自重と考えて、
RV=3854.182(kN)(主桁)+93.5(kN)(延長床版)=3947.682(kN)
上部工設計計算書に基づいて、レベル1地震動に対しては例えばkh=0.30とする。
HA=0.30×3947.7(kN)=1184.3(kN)
そして、レベル1地震動におけるメナーゼヒンジの鉄筋の耐力Pは、
P=n・τas・α・As
ここで、 n :鉄筋の本数
τas:鉄筋の許容せん断耐力
α :割り増し係数(頻繁に起こらない場合は5割増し)
As :鉄筋の断面積
P=52(本)×80(N/mm)×1.5×198.6(mm2)
=1,239,264(N)
すなわち
P=1239.3(kN) > HA=1184.3(kN)
となり、レベル1地震動に対してはメナーゼヒンジが耐えうるように設計する。
(a)タイプ1地震動
レベル2地震動のタイプ1(海洋型)においては、
上部工設計計算書に基づいて、レベル1地震動に対してはkhc=1.00とする。
したがって
HA=khc×Rv
HA=1.00×3947.7(kN)=3947.7(kN)
そして、鉄筋の降伏については、von Misesの降伏条件を適用して
τsy=σsy/30.5
=345(N/mm2)/1.732
=199(N/mm2)
したがって、レベル2地震動のタイプ1におけるメナーゼヒンジの鉄筋の耐力Pは
P=n・τsy・α・As
=52(本)×199(N/mm2)×198.6(mm2)
=2,055,113(N)
すなわち、
P=2055.11(kN) < HA=3947.7(kN)
となり、レベル2地震動のタイプ1に対してはメナーゼヒンジが降伏するように設計する。
レベル2地震動のタイプ2(直下型)においては、
上部工設計計算書に基づいて、レベル2地震動に対してはkhc=1.50とする。
したがって
HA=khc×Rv
HA=1.50×3947.7(kN)=5921.6(kN)
そして、鉄筋の降伏については、前述と同様に、von Misesの降伏条件を適用して
τsy=σsy/30.5
=345(N/mm2)/1.732
=199(N/mm2)
したがって、レベル2地震動のタイプ2におけるメナーゼヒンジの鉄筋の耐力Pは
P=n・τsy・α・As
=52(本)×199(N/mm2)×198.6(mm2)
=2,055,113(N)
すなわち、
P=2055.11(kN) < HA=5921.6(kN)
となり、レベル2地震動のタイプ2に対してはメナーゼヒンジが降伏するように設計する。
11 橋桁
12 支承
13 橋台
14 橋梁床版
15 土工部
16 盛土
17 底版
18 緩衝ゴム
19 アンカーボルト
20 グラウト注入孔
21 延長床版
22 緩衝ゴム
23 メナーゼヒンジ(ヒンジ構造)
24 場所打ちコンクリート
26 コッター式継手
27 着脱式床版
28 伸縮装置
29 アンカーボルト
30 舗装面
Claims (2)
- 土工部側に配置された底版の上に橋梁側の端部から土工部側へ延設されて土工部側に伸縮装置を設けた延長床版であって、該延長床版と前記橋梁側の端部との間はヒンジ構造を介して場所打ちコンクリートにて接合しその上に舗装と地覆が施される構成である延長床版の設計方法において、
両側車線にわたって輪荷重がヒンジ構造上に載荷された状態で、輪荷重によって発生する活荷重と、延長床版と舗装と地覆の各体積によって発生する死荷重とを合算してせん断力を算定し、
底版と延長床版の摩擦係数を考慮して橋軸方向温度下降時の水平力を求めて軸力を算定し、
前記せん断力と軸力とから応力計算してヒンジ構造の鉄筋径及び鉄筋本数を算定して延長床版を有する土工部と橋梁の接続構造を設計することを特徴とする延長床版の設計方法。 - 上記ヒンジ構造にかかる上部工反力から橋軸直角方向の水平力を求め、レベル1地震動に対しては耐え、かつ、レベル2地震動に対しては降伏するようにヒンジ構造の鉄筋径及び鉄筋本数を算定して上記土工部と橋梁の接続構造を設計することを特徴とする請求項1記載の延長床版の設計方法。
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