JP4075267B2 - 電池判別方法及び電池判別装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一次電池と二次電池とを峻別して、一次電池には充電処理を行わないようにする電池判別方法及び電池充電装置に関し、更に詳細には、特殊な判別装置を備えることなく、一般的な充電器を利用して、経済的に一次電池と二次電池とを峻別できる電池判別方法、及び電池判別方法に従って電池の種類を判別しつつ電池を充電する電池充電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ニッケル水素電池等の充電可能な二次電池は、使用して電圧が基準電圧より低下したときには、充電器を使って充電することにより、繰り返し使用することができる。
一方、マンガン乾電池、アルカリ乾電池等の一次電池は、一旦、電圧が放電等により基準電圧より低下した後は、充電によって電圧を回復することはできない電池であって、一次電池を誤って充電すると、一次電池から電解液が漏れたりして、充電器を汚したり、腐食させたりするトラブルが発生する。
従って、一次電池と二次電池とを識別して、一次電池を充電しないようにすることが必要である。
ところで、組電池を構成していない電池については、充電不可の一次電池と、充電可能な二次電池とは、外形がほぼ同じであるから、機構的に同じになって区別が付かない。例えば、単三型ニッケル水素電池などの二次電池と単三型乾電池とは、区別が付かない。
【0003】
そこで、一次電池と二次電池とを機構的、電気的に識別する種々の判別方法が、以下に挙げるように提案されている。
第1の判別方法は、二次電池を組電池として構成して一次電池との区分けを行い、組電池の形状を利用して検出する検出機構を設けて、その検出機構によって一次電池及び二次電池の電池種類を検出することにより、一次電池への誤充電を防止する方法である。
第2の判別方法は、二次電池の外皮(外装)を特殊な材料で形成し、その外皮を一部剥ぎ取り、剥ぎ取った外皮部分に特別の検出機構を接触させることによって、一次電池か、二次電池かを判別する方法である。
第3の判別方法は、充電開始後の一次電池と二次電池の充電開始後の電圧上昇の違いを検出して、一次電池であるか二次電池であるかの判別を行う方法である。
第4の判別方法は、充電を開始し、一定時間経過した後に、一時的に充電を停止して、充電開始前からその時点までの電池端子電圧の変化量に基づいて、一次電池の検出を行う方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の判別方法には、それぞれ、以下に説明するような問題があった。
第1の判別方法は、一次電池への誤充電を回避するには有効であるが、二次電池を組電池に構成するための費用が別途発生し、また、検出機構の費用が嵩む等の問題があった。
第2の判別方法は、二次電池に特殊な外皮(外装)を設け、かつ特殊の外皮を検出する検出機構を設けることが必要になるので、費用が嵩むという問題があった。また、一次電池であっても、外皮(外装)が剥がれてしまっている場合、二次電池であると誤判定して一次電池を誤充電してしまう問題があった。
第3の方法では、アルカリ乾電池、マンガン乾電池等の一次電池の種類と、一次電池の残量状態とによって、その充電時の電圧上昇の挙動が異なり、確実な検出を行うことができないという問題があった。
第4の方法では、識別中に充電停止状態にすることが困難な充電回路方式には適用できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、一次電池と二次電池とを簡便な手法で確実に判別でき、二次電池のみを充電するようにした、一次電池と二次電池との電池判別方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、目的とする電池判別方法を開発するに当たり、一次電池として、基準電圧が1.5Vのマンガン電池及びアルカリ電池を使用し、二次電池として基準電圧が1.2Vのニッケル水素電池を使用し、かつ放電程度(電池の残量)をパラメータにして、一次電池及び二次電池について次のような充電実験を行った。
そして、本発明者は、充電実験中の一次電池及び二次電池の電池端子電圧の挙動を調べたところ、一次電池と二次電池との間には、電池端子電圧の挙動に明確な相違があることを見い出した。
【0007】
即ち、未放電(又は未使用)のマンガン電池▲1▼、電池容量の95%以上放電(使用と同義、以下同じ)したマンガン電池▲2▼、未放電のアルカリ電池▲3▼、電池容量の95%以上放電したアルカリ電池▲4▼、電池容量の数10%放電したマンガン電池▲5▼、電池容量の数10%放電したアルカリ電池▲6▼、及び放電したニッケル水素電池▲7▼に、第1の所定時間内は大電流充電、例えば1Aで充電し、所定時間経過した後、次いで短時間(第2の所定時間)の後、トリクル充電、例えば50mA以上100mA以下の範囲の電流での充電に切り換え、その間継続的に、それら試料電池の電池端子電圧を測定したところ、図4の各グラフに示すような結果を得た。
尚、図4は、▲1▼から▲7▼の試料電池の充電時間と電池端子電圧との関係を示すグラフである。
【0008】
図4に示すように、ニッケル水素電池▲7▼では、電池端子電圧は、充電開始後、第1の所定時間tが経過するまでは、上昇速度は電池のなかで最も低いものの充電時間の経過に応じて上昇し、第1の所定時間tが経過するまでに第1の設定電圧V1 より低い最高電圧V0 に達した。次いで、トリクル充電に切り換えて、極めて短時間(第2の所定時間)の後、例えば2〜3秒の後の電池端子電圧は、低下して、第2の設定電圧V2 以下の電圧、例えば1.3Vになり、その電圧で維持される。
未放電及び95%以上放電したマンガン電池▲1▼、及び▲2▼、並びに未放電及び95%以上放電したアルカリ電池▲3▼及び▲4▼では、電池端子電圧は、充電開始後、充電時間の経過に応じて著しく速い上昇速度で上昇し、第1の所定時間tより短い比較的短時間で第1の設定電圧V1 以上に上昇する。
数10%放電のマンガン電池▲5▼及び数10%放電したアルカリ電池▲6▼は、ニッケル水素電池▲7▼の挙動と似た挙動を示す。つまり、数10%放電のマンガン電池▲5▼及び数10%放電したアルカリ電池▲6▼は、充電開始後、第1の所定時間tが経過するまでは、充電時間の経過に応じて上昇し、第1の所定時間tで、第1の設定電圧V1 とほぼ同じ最高電圧、又は第1の設定電圧V1 より低く、ニッケル水素電池の最高電圧V0 より高い最高電圧に達する。次いで、トリクル充電に切り換えて、極めて短時間(第2の所定時間)、例えば2〜3秒の間後の電池端子電圧は、低下して、第2の設定電圧V2 より高い電圧、例えば1.4Vになり、その電圧で維持される。
【0009】
数10%放電のマンガン電池▲5▼及び数10%放電したアルカリ電池▲6▼のトリクル充電中の電池端子電圧が、ニッケル水素電池より高いのは、基準電圧の違い、つまり一次電池の基準電圧が1.5Vで二次電池の基準電圧が1.2Vの放電設定電圧の違いによるものと考えられる。
換言すれば、マンガン電池▲5▼及びアルカリ電池▲6▼をトリクル充電に移したとき、電池の内部抵抗が比較的小さいために、電池端子電圧の降下量が少なく第2の設定電圧V2 以上の電圧で電圧降下が止まる。一方、ニッケル水素電池等の二次電池は、その基準電圧が低いことから、トリクル充電に移行した時に電池端子電圧が比較的大きく低下し、一次電池の電池端子電圧より低くなる。
【0010】
そこで、本発明者は、上述の実験により得た知見に基づいて、大電流充電(第1の電流値での充電)で、電池端子電圧が第1の設定電圧V1 以上に達したかどうかで、未放電及び95%以上放電の一次電池とそれ以外の電池とを判別し、次いでトリクル充電で、電池端子電圧が第2の設定電圧V2 未満かどうかで、二次電池とそれ以外の電池とを判別することを着想し、実験を繰り返して、本発明を完成するに到った。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の電池判別方法(以下、第1の発明方法と言う)は、被充電電池に第1の所定電流値で充電し、充電開始後第1の所定時間が経過する迄に、被充電電池の電池端子電圧が第1の設定電圧以上になった被充電電池を一次電池と判別して充電処理から除外する、第1の判別ステップと、
次いで、第1の判別ステップで電池端子電圧が第1の設定電圧に達しなかった被充電電池を、第1の所定電流値より小さい電流値で充電するトリクル充電に切り換えて充電し、第2の所定時間の経過時に被充電電池の電池端子電圧が第2の設定電圧以上になった被充電電池を一次電池と判別して充電処理から除外し、電池端子電圧が第2の設定電圧未満の被充電電池を二次電池として判別する、第2の判別ステップと
を有することを特徴としている。
【0012】
第1の発明方法の第1の判別ステップでは、第1の所定時間が経過する迄、通常、複数回、被充電電池の電池端子電圧を測定し、判別する。
【0013】
本発明の別の電池判別方法(以下、第2の発明方法と言う)は、被充電電池に第1の所定電流値で充電し、充電開始後第1の所定時間が経過した時点で、被充電電池の電池端子電圧を測定し、測定電池端子電圧が第1の設定電圧以上になっている被充電電池を一次電池と判別して充電処理から除外する、第1の判別ステップと、
次いで、第1の判別ステップで電池端子電圧が第1の設定電圧に達しなかった被充電電池を、第1の所定電流値より小さい電流値で充電するトリクル充電に切り換えて充電し、第2の所定時間の経過時に被充電電池の電池端子電圧が第2の設定電圧以上になった被充電電池を一次電池と判別して充電処理から除外し、電池端子電圧が第2の設定電圧未満の被充電電池を二次電池として判別する、第2の判別ステップと
を有することを特徴としている。
【0014】
第2の発明方法の第1の判別ステップでは、第1の所定時間が経過した時点で1回のみ被充電電池の電池端子電圧を測定し、測定電池端子電圧が第1の設定電圧以上になっている被充電電池を一次電池と判別して充電処理から除外する。
【0015】
第1及び第2の発明方法の第1及び第2の設定電圧、並びに第1及び第2の所定時間は、一次電池及び二次電池の種類、基準電圧等によって異なるので、前述した実験と同様に実験して求める。
例えば一次電池がアルカリ電池、マンガン電池等の基準電圧1.5Vの乾電池、及び二次電池が基準電圧1.2Vのニッケル水素電池であるときには、第1及び第2の設定電圧は、それぞれ、約2.3V、及び約1.3Vである。また、第1及び第2の所定時間は、それぞれ、約30秒及び約3秒である。また、第1の判別ステップでの充電電流(第1の所定電流値)は約1A、第2の判別ステップのトリクル充電での充電電流(第2の所定電流値)は約50mAから約100mAである。
【0016】
第1及び第2の発明方法で、好適には、判別の確度を高めるために、第1の判別ステップと次の第2の判別ステップの組み合わせを所定回数、例えば3回繰り返す。
なお、第2の判別ステップで二次電池と判別した被充電電池には急速充電処理を施す。
また、第1の判別ステップ及び第2の判別ステップの判別処理中には、その旨の表示を行うようにすることにより、更には、第1及び第2の判別ステップでは、充電器の充電回路に設けた逆流防止ダイオードの順電圧を含めた電圧を測定することにより、充電処理に対する便宜を図ることできる。
【0017】
本発明の電池充電装置は、被充電電池を保持する保持台と、保持台に保持された被充電電池の陽極端子及び陰極端子にそれぞれ電気的に接触する第1の端子及び第2の端子とを有する電池ホルダと、
電池ホルダの第1の端子及び第2の端子にそれぞれ接続して被充電電池を充電する充電回路と、
第1の端子及び第2の端子にそれぞれ接続して被充電電池の電池端子電圧を測定する電圧測定手段、被充電電池の充電時間を計時する計時手段、電圧測定手段で測定した電池端子電圧と設定電圧とを比較し、被充電電池を一次電池又は二次電池に判別する判別手段、及び、計時手段で計時した時間又は判別手段からの判別信号に基づいて充電回路を制御する制御回路とを有する制御装置と、判別手段からの判別信号に基づいて、被充電電池が一次電池か二次電池かを表示する表示手段とを備え、
判別手段は、第1の判別手段と、第2の判別手段とを有し、
第1の判別手段は、電圧測定手段により測定された被充電電池の電池端子電圧が、充電開始後第1の所定時間の経過する迄に第1の設定電圧以上になった被充電電池を一次電池と判別し、
第2の判別手段は、第1の判別手段で電池端子電圧が第1の設定電圧に達しなかった被充電電池のうち、第2の所定時間の経過時に電圧測定手段により測定された被充電電池の電池端子電圧が第2の設定電圧以上になった被充電電池を一次電池と判別し、電池端子電圧が第2の設定電圧未満の被充電電池を二次電池として判別し、
制御回路は、充電回路によって被充電電池を充電開始後に第1の所定電流値で充電し、第1の判別手段によって被充電電池が一次電池であると判別された場合には、被充電電池を充電処理から除外し、
第1の判別手段によって被充電電池の電池端子電圧が第1の設定電圧に達しなかったと判断された場合には、被充電電池を第1の所定電流値より小さい電流値で充電するトリクル充電に切り換えて充電し、第2の判別手段によって被充電電池が一次電池であると判別された場合には、被充電電池を充電処理から除外することを特徴としている。
【0018】
本発明の好適な実施態様では、判別手段による判別回数をカウントするカウンタを制御装置に備え、タイマーで計時した時間、カウンタでカウントした判別回数、及び判別手段からの信号のいずれかに基づいて制御回路により充電回路を制御する。
これにより、電池種類の判別の確度を高めて、被充電電池を充電することができる。
【0019】
本発明の電池充電装置は、第1又は第2の発明方法に従って電池の種類を判別しつつ電池を充電する装置である。
本発明の電池充電装置の電池ホルダ及び充電回路には、通常の充電器を使用することができる。また、本発明の電池充電装置の制御装置に設けた電圧測定手段、判別手段、計時手段、カウンタ及び制御回路は、第1又は第2の発明方法を実施するように構成されている。計時手段は、いわゆるタイマーである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、実施の形態例を挙げ、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。
実施の形態例1
本実施の形態例は、第1の発明方法の電池判別方法の実施の形態の一例であって、図1及び図2は本実施の形態例の方法を実施する際の手順を示すフローチャートである。
先ず、ステップ1では、第1の所定電流値の大電流、例えば1Aの電流を流して被充電電池を充電する。続いて、ステップ1の状態を継続しつつ、つまり充電を継続しつつ、ステップ1の充電開始後、設定微小時間δが経過した時点で、例えば数秒間が経過した時点でステップ2を行う。
ステップ2では、被充電電池の電池端子電圧EB1 を測定して、ステップ3に移行する。
【0021】
ステップ3では、測定した電池端電圧EB1 が、第1の設定電圧V1 を超えておるかどうか判断する。
測定した電池端子電圧EB1 が第1の所定高電圧V1 以下であれば、ステップ4に移行する。測定した電池端子電圧EB1 が第1の設定電圧V1 を超えておれば、被充電電池は、一次電池であると判別して、ステップ11に移行する。
ステップ11では、被充電電池が一次電池である旨の表示を充電器の表示手段で行い、被充電電池に対する充電を停止する。
【0022】
ステップ4では、ステップ1での被充電電池に対する充電時間T1 が第1の所定時間t1 (例えばt=30秒)に達したか、若しくはt1 を経過しているか、又はt1 未満であるか判断する。
ステップ1での充電時間T1 が第1の所定時間t1 に達したか又はt1 を経過しておれば、電池端子電圧EB1 が第1の設定電圧V1 に達していない被充電電池であっても、被充電電池が、二次電池か又は数10%放電した一次電池のいずれかと判断され、ステップ5に移行する。
ステップ1での充電時間T1 が第1の所定時間t1 未満であれば、ステップ1の状態を継続しつつ、設定微小時間δが再び経過する時点で、ステップ2の電圧測定、即ち、被充電電池の電池端子電圧EB1 を測定する。以下、ステップ1での被充電電池に対する充電時間T1 が第1の所定時間t1 に達するか、又はt1 を経過する迄、設定微小時間δが経過する毎に、ステップ1からステップ4の手順を繰り返す。
【0023】
ステップ5では、充電電流がステップ1より小さいトリクル充電に切り換えて充電し、ステップ6に移行する。トリクル充電とは、50mAから100mAの範囲の弱い電流(第2の所定電流値)で充電することをいう。
ステップ6では、トリクル充電を開始し、トリクル充電の経過時間T2 が第2の所定時間t2 、例えば3秒間になったか否かを判断する。経過時間T2 が時間t2 であれば、例えばタイマーでトリクル充電開始後の経過時間を計時して、3秒間の経過後に、ステップ7に移行して電池端子電圧EB2 を測定し、次いでステップ8に移行する。一方、経過時間T2 が時間t2 未満であれば、ステップ5の状態を保持して、トリクル充電を継続する。
【0024】
ステップ8では、測定した電池測定電圧EB2 が第2の所定高電圧V2 以下かどうかを判断する。
測定した電池測定電圧EB2 が第2の所定高電圧V2 以下のときには、被充電電池が二次電池であると判別して、ステップ9に移行する。一方、測定した電池測定電圧EB2 が第2の所定高電圧V2 を超えているときには、数10%放電した一次電池と判別して、ステップ12に移行する。
ステップ12では、被充電電池が一次電池である旨の表示を充電器の表示手段で行う。なお、十分に充電した二次電池に誤って再び充電処理を施すと、電池端子電圧が第2の設定電圧V2 を超えることがあるので、この場合にも、ステップ10の急速充電処理を行うことなく、ステップ12に移行する。ステップ12に移行した被充電電池には充電処理を行わない。
尚、検査コストの低減のために、ステップ12をステップ11で兼用しても良い。
【0025】
ステップ9では、ステップ8の判断回数Nが所定判断回数nに達しているかどうか判断し、達していなければ、ステップ1に戻って再び充電する。判断回数Nが所定判断回数nと同じであるときには、ステップ10に移行す。
つまり、ステップ9では、一次電池の電池端子電圧の電圧変化の挙動が、一次電池の種別や残存容量に依存して異なり、二次電池の挙動に近似している場合があるので、一次電池判別の確度を向上させるために、所定回数、例えば3回の判別検査を行うようにしている。nは、n=3位で十分である。
【0026】
ステップ10では、電池判別手続きが終了し、かつ被充電電池が二次電池である旨判別されたので、急速充電モードで被充電電池に充電する。
急速充電モードでは、1C程度の大電流充電を行うなど従来の急速充電処理と同様で良い。
【0027】
実施の形態例2
本実施の形態例は、第2の発明方法の電池判別方法の実施の形態の一例であって、図3は本実施の形態例の方法を実施する際の手順を示すフローチャートである。
先ず、ステップ1では、第1の所定電流値の大電流、例えば1Aの電流を流して被充電電池を充電しつつ、ステップ2で充電時間の判断を行う。。
ステップ2では、ステップ1での被充電電池に対する充電時間T1 が第1の所定時間t1 (例えばt=30秒)に達したか、否かを判断する。充電時間T1 が第1の所定時間t1 に達しておれば、ステップ3に移行する。充電時間T1 が第1の所定時間t1 に達していなければ、ステップ1の状態を継続し、かつステップ2の充電時間の判断を繰り返す。
【0028】
ステップ3では、被充電電池の電池端子電圧EB1 を測定して、ステップ4に移行する。
ステップ4では、測定した電池端電圧EB1 が、第1の設定電圧V1 を超えているかどうか判断する。
測定した電池端子電圧EB1 が第1の所定高電圧V1 未満であれば、ステップ5に移行する。測定した電池端子電圧EB1 が第1の設定電圧V1 を超えておれば、被充電電池は、一次電池であると判別して、ステップ11に移行する。
【0029】
ステップ5及びステップ5以降は、実施の形態例1のステップ5及びステップ5以降と同じである。
【0030】
電池充電装置の実施の形態例
図5は、本実施の形態例の電池充電装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態例の電池充電装置10は、被充電電池Cを保持し、充電させる電池ホルダ12と、電池ホルダ12に充電電流を供給する充電回路14と、充電回路14を制御する制御装置16と、被充電電池Cの種類を表示する表示手段18とを備え、上述の実施の形態例1及び2の電池判別方法に従って電池の種類を判別しつつ、被充電電池Cを充電する装置である。
【0031】
電池ホルダ12は、保持台20の基台の両側部に直立する保持壁22の内側にコイルバネ等の導電性バネ体24、26を備え、バネ体24、26で被充電電池Cを挟持する保持台20を有し、保持台20に保持された被充電電池Cの陽極端子及び陰極端子にバネ体24、26を介してそれぞれ電気的に接触する第1の端子28及び第2の端子30を保持壁22に備えている。
【0032】
電池ホルダ12及び充電回路14は、市販の充電器で構成され、充電回路14は、ACインレットを介して通常の100V交流電源に接続され、電池ホルダ20の第1の端子28及び第2の端子30にそれぞれ接続して被充電電池Cを充電用の電流を供給する。
制御装置16は、第1の端子28及び第2の端子30にそれぞれ接続して被充電電池Cの電池端子電圧を測定する電圧計、電圧計で測定した電池端子電圧と設定電圧とを比較して、被充電電池が一次電池か二次電池かを判別し、その旨の判別信号を出力する比較器、被充電電池の充電時間を計時するタイマー、比較器による比較回数をカウントするカウンタ、並びに、タイマーで計時した時間、カウンタでカウントした比較回数、及び比較器からの判別信号のいずれかに基づいて充電回路14を制御する制御回路を備えている。
表示手段18は、ランプ又は液晶表示装置であって、比較器からの判別信号に基づいて、被充電電池が一次電池か二次電池かを表示する。
【0033】
本実施の形態例の電池充電装置10を使って、例えば実施の形態例1の電池判別方法に従って電池の種類を判別しつつ被充電電池を充電する際には、次のようにして行う。
先ず、被充電電池Cをバネ体24、26の間に挟んで、電池ホルダ12の保持台20に収容し、次いで充電回路14を動作させて、被充電電池Cをステップ1の状態にする。
続いて、ステップ2として被充電電池の電池端子電圧EB1 を電圧計で測定し、ステップ3に移行する。
ステップ3では、比較器が、電池端電圧EB1 が第1の設定電圧V1 を超えているかどうか判断する。電池端子電圧EB1 が第1の設定電圧V1 を超えておれば、被充電電池が一次電池である旨を表示装置18で表示し、制御装置16は被充電電池Cの充電を停止する旨の信号を充電回路14に出力する。
【0034】
電池端子電圧EB1 が第1の所定高電圧V1 未満であれば、ステップ4では、タイマーが、充電時間T1 が第1の所定時間t1 以上であるか、未満であるか判断する。充電時間T1 が第1の所定時間t1 未満であれば、ステップ1の状態を継続しつつ、再び、ステップ2として被充電電池Cの電池端子電圧EB1 を測定する。以下、被充電電池に対する充電時間T1 が第1の所定時間t1 以上になる迄、ステップ1からステップ4の手順を繰り返す。
一方、充電時間T1 が第1の所定時間t1 以上であれば、ステップ5に移行して、制御装置16は、トリクル充電に切り換えて被充電電池Cを充電するように、充電回路14に指令する。
【0035】
ステップ6では、タイマーが、トリクル充電の経過時間T2 が第2の所定時間t2 になったか否かを判断する。経過時間T2 が時間t2 であれば、ステップ7に移行して、電圧計で電池端子電圧EB2 を測定し、ステップ8に移行する。一方、経過時間T2 が時間t2 未満であれば、ステップ5の状態を保持して、トリクル充電を継続する。
【0036】
ステップ8では、比較器が、電池測定電圧EB2 が第2の所定高電圧V2 未満かどうかを判断する。
電池測定電圧EB2 が第2の所定高電圧V2 未満のときには、被充電電池Cは二次電池であると判別して、ステップ9に移行する。一方、測定した電池測定電圧EB2 が第2の所定高電圧V2 以上であるときには、被充電電池Cが一次電池である旨の表示を表示手段18で行う。
【0037】
ステップ9では、カウンタが、ステップ8の判断回数Nが所定判断回数nに達しているかどうか判断し、達していなければ、ステップ1に戻って再び充電するように、制御装置16は充電回路14に指令する。判断回数Nが所定判断回数nであるときには、ステップ10に移行す。
ステップ10では、電池判別手続きが終了し、かつ被充電電池Cが二次電池である旨判別されたので、急速充電モードで被充電電池を充電するように、制御装置16が充電回路14に指令する。
【0038】
【発明の効果】
第1の発明方法によれば、被充電電池に第1の所定電流値の電流を流して充電し、第1の所定時間が経過する迄に電池端子電圧が第1の設定電圧以上になった被充電電池を一次電池と判別する第1の判別ステップと、次いでトリクル充電に切り換えて被充電電池を充電し、第2の所定時間の経過時に被充電電池の電池端子電圧が第2の設定電圧未満の被充電電池を二次電池と判別する第2の判別ステップとを備えることにより、特殊な検出機構を要することなく、一般的な充電器で経済的に、一次電池と二次電池とを峻別する電池判別方法を実現している。
これにより、一次電池への誤充電を確実にしかも簡単な手法で避けることができる。
【0039】
第2の発明方法によれば、第1の判別ステップとして、被充電電池に第1の所定電流値で充電し、充電開始後第1の所定時間が経過した時点で、被充電電池の電池端子電圧を測定し、測定電池端子電圧が第1の設定電圧以上になっている被充電電池を一次電池と判別して充電処理から除外するステップを備えることにより、特殊な検出機構を要することなく、一般的な充電器で経済的に、一次電池と二次電池とを峻別する電池判別方法を実現している。
これにより、一次電池への誤充電を確実にしかも簡単な手法で避けることができる。
【0040】
本発明の電池充電装置は、第1又は第2の発明方法に従って電池の種類を判別しつつ電池を充電する装置を実現している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態例1の方法を実施する際の手順を示すフローチャートである。
【図2】図1に続いて、実施の形態例の方法を実施する際の手順を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態例2の方法を実施する際の手順を示すフローチャートである。
【図4】各試料電池の充電時間と電池端子電圧との関係を示すグラフである。
【図5】電池充電装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10……実施の形態例の電池充電装置、12……電池ホルダ、14……充電回路、16……制御装置、18……表示手段、20……保持台、22……保持壁、24、26……導電性バネ体、28……第1の端子、30……第2の端子。

Claims (8)

  1. 被充電電池に第1の所定電流値で充電し、充電開始後第1の所定時間が経過する迄に、被充電電池の電池端子電圧が第1の設定電圧以上になった被充電電池を一次電池と判別して充電処理から除外する、第1の判別ステップと、
    次いで、第1の判別ステップで電池端子電圧が第1の設定電圧に達しなかった被充電電池を、第1の所定電流値より小さい電流値で充電するトリクル充電に切り換えて充電し、第2の所定時間の経過時に被充電電池の電池端子電圧が第2の設定電圧以上になった被充電電池を一次電池と判別して充電処理から除外し、電池端子電圧が第2の設定電圧未満の被充電電池を二次電池として判別する、第2の判別ステップと
    を有することを特徴とする電池判別方法。
  2. 被充電電池に第1の所定電流値で充電し、充電開始後第1の所定時間が経過した時点で、被充電電池の電池端子電圧を測定し、測定電池端子電圧が第1の設定電圧以上になっている被充電電池を一次電池と判別して充電処理から除外する、第1の判別ステップと、
    次いで、第1の判別ステップで電池端子電圧が第1の設定電圧に達しなかった被充電電池を、第1の所定電流値より小さい電流値で充電するトリクル充電に切り換えて充電し、第2の所定時間の経過時に被充電電池の電池端子電圧が第2の設定電圧以上になった被充電電池を一次電池と判別して充電処理から除外し、電池端子電圧が第2の設定電圧未満の被充電電池を二次電池として判別する、第2の判別ステップと
    を有することを特徴とする電池判別方法。
  3. 第1の判別ステップと次の第2の判別ステップとの組み合わせを所定回数繰り返すことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池判別方法。
  4. 第2の判別ステップで二次電池と判別した被充電電池に急速充電処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池判別方法。
  5. 第1の判別ステップ及び第2の判別ステップの判別処理中には、その旨の表示を行うようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池判別方法。
  6. 第1及び第2の判別ステップでは、充電器の充電回路に設けた逆流防止ダイオードの順電圧を含めた電圧を測定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電池判別方法。
  7. 被充電電池を保持する保持台と、保持台に保持された被充電電池の陽極端子及び陰極端子にそれぞれ電気的に接触する第1の端子及び第2の端子とを有する電池ホルダと、
    電池ホルダの第1の端子及び第2の端子にそれぞれ接続して被充電電池を充電する充電回路と、
    第1の端子及び第2の端子にそれぞれ接続して被充電電池の電池端子電圧を測定する電圧測定手段、被充電電池の充電時間を計時する計時手段、電圧測定手段で測定した電池端子電圧と設定電圧とを比較し、被充電電池を一次電池又は二次電池に判別する判別手段、及び、計時手段で計時した時間又は判別手段からの判別信号に基づいて充電回路を制御する制御回路とを有する制御装置と、判別手段からの判別信号に基づいて、被充電電池が一次電池か二次電池かを表示する表示手段とを備え、
    上記判別手段は、第1の判別手段と、第2の判別手段とを有し、
    上記第1の判別手段は、上記電圧測定手段により測定された上記被充電電池の電池端子電圧が、充電開始後第1の所定時間の経過する迄に第1の設定電圧以上になった被充電電池を一次電池と判別し、
    上記第2の判別手段は、上記第1の判別手段で上記電池端子電圧が上記第1の設定電圧に達しなかった被充電電池のうち、第2の所定時間の経過時に上記電圧測定手段により測定された被充電電池の電池端子電圧が第2の設定電圧以上になった被充電電池を一次電池と判別し、該電池端子電圧が第2の設定電圧未満の被充電電池を二次電池として判別し、
    上記制御回路は、上記充電回路によって上記被充電電池を充電開始後に第1の所定電流値で充電し、上記第1の判別手段によって被充電電池が一次電池であると判別された場合 には、該被充電電池を充電処理から除外し、
    上記第1の判別手段によって上記被充電電池の上記電池端子電圧が上記第1の設定電圧に達しなかったと判断された場合には、該被充電電池を上記第1の所定電流値より小さい電流値で充電するトリクル充電に切り換えて充電し、上記第2の判別手段によって該被充電電池が一次電池であると判別された場合には、該被充電電池を充電処理から除外することを特徴とする電池充電装置。
  8. 判別手段による判別回数をカウントするカウンタを制御装置に備え、タイマーで計時した時間、カウンタでカウントした判別回数、及び判別手段からの信号のいずれかに基づいて制御回路により充電回路を制御するようにしたことを特徴とする請求項7に記載の電池充電装置。
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