JP4075231B2 - 材料試験機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は材料試験機に係り、試験片に負荷される荷重をロードセルによって電気的に検出する材料試験機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より材料試験機は、図9に示すようにベッド等の固定部材Dに対向してクロスヘッド等の移動部材Kを配置するとともに、これらの間にチャックCU、CDを介して試験片Tを把持して、移動部材Kを駆動することによつて試験片Tに荷重を付与する。この移動部材Kの駆動、すなわち変位はねじ棒Nを回転駆動させることにより行われる。そして、この試験においてこの試験片Tに負荷される荷重は、ロードセルRCによって電気的に検出される。すなわち、例えば材料試験機のクロスヘッドKにロードセルRCを固定するとともに、そのロードセルRCの荷重感応部に対してチャックCUの試験片Tを把持する部材が保持され、クロスヘッドKの駆動による試験片Tへの負荷が、ロードセルRCの荷重感応部に作用するように構成されている。そして、ロードセルRCからの出力によつて試験片Tへの負荷が刻々と検出される。
【0003】
以上のようなロードセルRCによる荷重計測式の材料試験機においては、負荷時においてロードセルRCの材料試験機上での取付け面、すなわちロードセルRCの接合座面に対してロードセルRC自体の変形や、接合面における摩擦に伴うこじれ等が生じ、負荷時および除荷時における荷重測定結果に誤差が含まれる。このような誤差を解消する対策として、従来ではロードセルRCを接合する面の剛性を高くするとともに、ロードセル自体の接合部の剛性も高くして歪みを小さくし、これら両者の変形の負荷時と除荷時での差を小さくする対策が採られている。
【0004】
図10は以上の対策を施した構成を示す図で、クロスヘッドKに対するロードセルRCの取付け部の構造の縦断面図である。すなわち、クロスヘッドKにロードセルRCを取付け、そのロードセルRCの下方の荷重感応部Sに自在継手Jを介してチャックCUを吊設するが、この場合図に示すように上板KAと下板KBとをリブKLで連結してなるクロスヘッドKの上板KAに貫通孔KHを穿設するとともに、下板KBの上面にロードセル支持部材KSを固設し、このロードセル支持部材KSを、上板KAの貫通孔KHの内周面に対して非接触のもとに貫通させ、そのロードセル支持部材KSの上端面に形成された座面KPに対してロードセルRCを接合させる。このような構成により、クロスヘッドKの歪みがロードセルRCの接合部に及ぶことを可及的に少なくしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の対策は、ロードセルRCの支持部材の剛性を高くするものの、ロードセルRCの座面として別途専用のロードセル支持部材KSが必要でそれを準備しなければならず、またクロスヘッドKにもその支持部材を取り付けるための複雑な加工やロードセル支持部材KSをクロスヘッドKに固定させる加工を必要とし、製造工程が複雑でコスト高になるという間題がある。さらに、このような支持部材も長期使用により変形すると従来の問題が発生する。このような問題を解消すべく、ロードセルと取付部材との間に弾性シートを介在させる方法が提案されているが、変形が大きい場合問題が解消しない場合がある。
本発明は、このような複雑な座面構造を採ることなく、簡単な座面構造のもとにロードセルを取り付け、しかも高精度の測定、試験を行うことのできる材料試験機を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明が提供する材料試験機は、上記の目的を達成するため、固定部材とそれに対向する移動部材の両方の部材の間に試験片を把持し、前記移動部材の駆動により試験片に負荷するとともに、試験片に負荷された荷重を前記いずれかの部材と試験片との間に介在されたロードセルにて検出し、前記試験片の強度を試験する材料試験機において、前記ロードセルとこのロードセルが設置される前記いずれかの部材とを、互いに両者の少なくとも一方にコーティングされた皮膜を介して接合させたものである。
【0007】
そして、本発明は上記皮膜の材料としてテフロン(登録商標、以下全て同様)を採用する。すなわち、本発明は、上記目的を達成するために、固定部材とそれに対向する移動部材の両方の部材の間に試験片を把持し、前記移動部材の駆動により試験片に負荷するとともに、試験片に負荷された荷重を前記いずれかの部材と試験片との間に介在されたロードセルにて検出し、前記試験片の強度を試験する材料試験機において、前記ロードセルとこのロードセルが設置される前記いずれかの部材とを、互いに両者の少なくとも一方にコーティングされたテフロン(登録商標)膜を介して接合させたものである。
【0008】
本発明によれば、たとえばロードセルが接合されるクロスヘッドの取付部におけるその座面にクロスヘッドの皮膜としてのテフロン膜がコーティングされているので、このテフロン膜の弾性による歪みを利用して、ロードセルの面のそれぞれの変形を独立的なものとして、所期の目的が達成されるものである。
すなわち、ロードセルとクロスヘッドとの互いの接合面間にテフロン膜が存在し、ロードセルの荷重感応部に被測定荷重が作用したとき、接合面側およびロードセルRC側の各面が、それぞれにテフロンの表面に対して少ない摩擦抵抗のもとに変形(移動)可能であるために、テフロン膜の両側、すなわち座面側およびロードセル側がそれぞれに独立して滑らかに変形する。これにより、試験片に付与する荷重を変化させたときにロードセルとその接合面間での変形量の差に起因する誤差の発生を防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施例にしたがって本発明を説明する。図1は本発明を実施した材料試験機の正面図であり、図2は本発明の要部拡大図で、ロードセル5の取付け構造を示す縦断面図である。
ベッド1上に2本のねじ棒2R、2Lが回動駆動可能に垂設されており、これらの上端部にはクロスヨーク4が設けられている。この2本のねじ棒2R、2Lはベッド1に内設された駆動機構(図示せず)によって回転(駆動)される。ねじ棒2R、2Lは、クロスヘッド3に対しその両端にそれぞれ配置されたナット5R、5Lを介して貫通しており、このねじ棒2R、2Lが回転駆動されることによってクロスヘッド3が上下移動する。また、ベッド1の上面中央部には下チャック6Dが垂設されている。
【0010】
クロスヘッド3は、上板3Uと下板3Dをリブ3Lで相互に一体形成されていて、その中央部にロードセル7が取り付けられ、その下方には自在継手(ユニバーサルジョイント)8を介して上チャック6Uが吊設されている。より具体的には、ロードセル7は、荷重感応部9を下方に伸設した状態で、クロスヘッド7の上板3Uと下板3Dを通じて形成された貫通孔3H内にて、クロスヘッド7の上板3U上面に取付用フランジ7Fを介して取り付けられている。ところで、このロードセル7の取付用フランジ7Fの下面には、図3の部分拡大図に示すとおり、テフロン膜TFがコーティングされている。したがって、このクロスヘッド7と、クロスヘッド3の上板3Uの上面の貫通孔3Hの周囲の面との間にはテフロン膜TFが介在されることになる。
【0011】
ロードセル7の荷重感応部9は、貫通孔3H内に臨み、その下端に自在継手8の一端が固定されている。この自在継手8の他端は下方の貫通孔3Hを経てクロスヘッド3の下方に延設され、そこに上チャック6Uが取り付けられている。
【0012】
本発明は以上のとおり構成されているから、例えば引張試験を行う際には、上下のチャック間に試験片12を把持した状態でねじ棒2R、2Lを駆動してクロスへッド3を上昇移動させる。すると、試験片12には引張荷重が付与されるが、その試験片12に負荷される荷重は、上チャック6U、自在継手8を介してロードセル7の荷重感応部9に伝達され検出される。
【0013】
このような試験時において、試験片12に負荷される荷重は、ロードセル7およびクロスヘッド3に作用する。このとき、クロスヘッド3におけるロードセル7の受座面とそれに対向するロードセル7の下面との間にテフロン膜TFが介在しているため、これらの面はそれぞれに変移することができ、したがって、ロードセル7の下面部は作用する荷重に応じて滑らかに変形し、こじれ等に起因する荷重検出誤差の発生が防止される。
【0014】
本発明によるテフロン膜TFの荷重検出誤差防止効果を確認するために実験を行った。この実験には、図1に示す実施例と、これに対する比較例としてテフロン膜TFを介在させないこと以外は図1と全く同等の構成からなる材料試験機とを供し、それぞれロードセル7として100kNの容量のものを用いるとともに、ロードセル7のクロスヘッド3に対する固定ボルトの締め付け力を一定とし、試験片12に対する引張荷重を0kN〜100kNの間で一定量ずつ変化させ、その負荷(荷重漸増)時および除荷(荷重漸減)時におけるロードセル7からの出力を読み取り、計測した。
【0015】
以上の試験を繰り返し3回行って、その平均値をプロットした結果を図7と図8に示す。この図7が本発明の実施の形態の試験結果を示し、図8が比較例の試験結果を示している。この図7から明らかなように、本発明の実施では、比較例の結果である図8に比して荷重の検出誤差が少なくなり、特に除荷時における誤差の解消に有効であることが確認できた。
本発明が提供する材料試験機の特徴は、以上説明したとおりであるが、上記ならびに図1から図3に示す実施例に限定されるものではなく、種々の変形例を挙げることができる。以下、この変形実施例について説明する。
【0016】
図4、図5は、クロスヘッド3に剛性の大きな支持枠10を架設し、この支持筒10の上面にテフロン膜TMをコーティングした変形例である。図4はその外観を示し、図5がその要部を断面して示す図で、支持筒10は剛性体で構成され、自在継手8が充分に挿入できる内径を有し、クロスヘッド3の下板に穿設された貫通孔3Hと同軸でその上方に取り付けられている。この支持筒10の上面(環状)には、テフロン膜TMがコーティングされていて、図5に示すように、この上面にロードセル7の取付用フランジ7Fが面接合される。具体的には図示されていないが、固定ねじ等にてロードセル7が支持筒10上面に設置される。この場合もテフロン膜TMは上記と同様の効果を有する。
【0017】
更に異なる変形例として、図6に示す実施例を挙げることができる。図6は図5と同様の断面図であるが、図5の構成と異なる点は、ロードセル7が取り付けられる側、すなわちクロスヘッド3側にテフロン膜TCがコーティングされている点である。図示例ではクロスヘッド3の上板3U全体にテフロン膜TCをコーティングすることは現実的には不可能であり、また経済的にも不利であることから、上板3Uの一部を切り取った形の支持板11を形成し、この支持板11の上面にテフロン膜TCがコーティングされている例である。この支持板11は、ロードセル7が取り付けられるだけの大きさで、クロスヘッド3の上板3Uにねじ結合され、あるいは溶着されて一体的に固定される。
【0018】
もちろん本発明はクロスヘッド3の上面全域にテフロン膜をコーティングする例を包含するものであり、図6に限定されるものではない。図6の場合でも支持板11の形状は図示例に限定されない。さらに本発明では、クロスヘッド3とロードセル7とが接合し合うそれぞれの両側面にテフロン膜をコーティングするようにしてもよい。
【0019】
以上の実施例は、ロードセル7がクロスヘッド3、すなわち移動部材の側に取り付けられた例であるが、ロードセル7を固定側の部材、たとえばヨーク4に取り付ける場合の材料試験機もあり、このような材料試験機にも本発明は適用可能である。ヨーク4とクロスヘッド3との間で引張試験する場合は、クロスヘッド3は下方へ変位駆動される。また、上記の実施例は、コーティング膜、すなわち皮膜としてテフロン膜を挙げたが、これと同様の特性を有する他の材料の膜をコーティングする実施例を包含するものであり、テフロン材料の皮膜に限定されない。
本発明はこれらすべての変形実施例を包含する。
【0020】
【発明の効果】
本発明が提供する材料試験機は以上詳述したとおりであるから、試験片に対して負荷した際、ロードセルと皮膜は、潤滑機能によってそれぞれに独立的に滑らかに変形・変位するため、荷重によるロードセルRC自体の変形等による取付面との間にこじれ等を生じることがなく、荷重の検出誤差の発生を抑制することができる。
【0021】
特に、請求項2が提供する本発明によれば、ロードセルとクロスヘッドとの間にテフロン膜を介在させるもので実用的な材料試験機を提供する。テフロン膜は皮膜として構成されるので薄く、シートの介在と異なりロードセルの取付作業が簡略となる利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した材料試験機の正面図である。
【図2】本発明の要部であるロードセルの取付部構造を示す図である。
【図3】ロードセルの一部を拡大して示す図である。
【図4】本発明の変形例の構成を図である。
【図5】変形実施例におけるロードセルの取付部の構造を示す図である。
【図6】変形実施例におけるロードセルの取付部の構造を示す図である。
【図7】本発明の特性に係る実験データを示す図である。
【図8】従来の特性に係る実験データを示す図である。
【図9】従来の材料試験機の構成を示す図である。
【図10】従来におけるロードセルの取付部の構造を示す図である。
【符号の説明】
1……ベッド
2R、2L……ねじ棒
3……クロスヘッド
3U……上板
3D……下板
3H……貫通孔
4……ヨーク
5R、5L……ナット
6U、6D……チャック
7……ロードセル
8……自在継手
9……荷重感応部
10……支持筒
11……支持板
12……試験片
TF、TM、TC……テフロン膜
Claims (1)
- 固定部材とそれに対向する移動部材の両方の部材の間に試験片を把持し、前記移動部材の駆動により試験片に負荷するとともに、試験片に負荷された荷重を前記いずれかの部材と試験片との間に介在されたロードセルにて検出し、前記試験片の強度を試験する材料試験機において、前記ロードセルとこのロードセルが設置される前記いずれかの部材とは、互いに両者の少なくとも一方にコーティングされたテフロン(登録商標)膜を介して接合されていることを特徴とする材料試験機。
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JP20885999A JP4075231B2 (ja) | 1999-07-23 | 1999-07-23 | 材料試験機 |
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ID=16563310
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