JP4074257B2 - 多層相変化記録媒体及び記録再生方法 - Google Patents
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Description
<1> レーザービーム入射側から少なくとも上部誘電体層、上部記録層、層間誘電体層、下部記録層、下部誘電体層、金属層、及び基板をこの順に有する多層相変化記録媒体に対する記録再生方法であって、
記録時には多値情報に応じてマーク長を変えると共に記録する記録層を変えて記録し、
再生時には少なくとも2層の記録層を同時に再生し、かつ再生時には、和信号の強度変化と、タンジェンシャルプッシュプル信号の強度変化とを検出することによって多値情報を判定することを特徴とする記録再生方法である。
ここで、前記和信号は、レーザービームの進行方向に対して、受光部を前後対称に2分割した状態で、該前後の分割領域で検出された信号を足した信号を示し、前記タンジェンシャルプッシュプル信号は、前記前後の分割領域で検出された信号強度の差による信号を示す。
該<1>に記載の記録再生方法においては、少なくとも2層の記録層を有し、記録できる多値数を層数分増やすことができるので、8値を超える高密度化が図れる。
また、再生時には、和信号の強度変化と、タンジェンシャルプッシュプル信号の強度変化とを検出することによって上部記録層及び下部記録層からの信号を精度よく分離することができる。
該<2>に記載の記録再生方法においては、レーザービーム入射側から少なくとも上部記録層及び下部記録層をこの順に有する多層相変化記録媒体を用いて、8値を超える高密度記録を効率良く行うことができる。
<3> 層間誘電体層の厚みが、上部記録層及び下部記録層の2層の記録層を同時に再生できるように設定される前記<1>から<2>のいずれかに記載の記録再生方法である。
<5> 各変調パターンにおける最高パワーレベルP2及びP4が、P2<P4の関係を満たす前記<4>に記載の記録再生方法である。
<6> 最高パワーレベルがP2である場合には、上部記録層のみにマークを記録し、最高パワーレベルがP4である場合には、上部記録層及び下部記録層にマークを記録する前記<5>に記載の記録再生方法である。
本発明の記録再生方法は、少なくとも2層の記録層を有する多層相変化記録媒体に対し、記録時には多値情報に応じてマーク長を変えると共に記録する記録層を変えて記録し、再生時には少なくとも2層の記録層を同時に再生する。
本発明の多層相変化記録媒体は、本発明の記録再生方法に用いられ、レーザービーム入射側から少なくとも上部誘電体層、上部記録層、層間誘電体層、下部記録層、下部誘電体層、金属層、及び基板をこの順に積層してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
以下、本発明の記録再生方法の説明を通じて、本発明の多層相変化記録媒体の詳細も明らかにする。
本発明の記録再生方法は、少なくとも2層の記録層を有する多層相変化記録媒体に対し、記録時には多値情報に応じてマーク長を変えると共に記録する記録層を変えて記録し、再生時には少なくとも2層の記録層を同時に再生するものであるが、前記多層相変化記録媒体としては、レーザービーム入射側から少なくとも上部記録層及び下部記録層をこの順に有し、記録時には多値情報に応じてマーク長を変えると共に記録する上部記録層及び下部記録層を変えて記録し、再生時には上部記録層及び下部記録層を同時に再生することが好ましい。
記録時には、多値記録情報に応じてディスクタンジェンシャル方向におけるマークの長さを変えることができる。また、多値記録情報に応じてマークを記録する上部記録層103と下部記録層105とを切り替える。下部記録層105にマーク2121を記録する際には、上部記録層103にもマーク2112を記録する。再生時には、上部記録層103及び下部記録層105の層間距離をレーザービームの焦点距離以内に設定し、上部記録層及び下部記録層を同時に再生する。
図2(22)における221は、パワーレベルP1<P2の関係にある2水準で変調し多値情報に応じてパルス幅を変える2水準変調パターンである。図2(22)における222は、P0<P3<P4の関係にある3水準で変調し多値情報に応じてパルス幅を変える3水準変調パターンである。
221の2水準変調パターンの場合には、P2レベルに保持する時間T2を多値情報に応じて変えることでマーク長を制御する。
一方、222の3水準変調パターンの場合には、P4レベルに保持する時間T4を固定し、多値情報に応じてP0レベルに保持する時間T0を変えることでマーク長を制御する。
一方、図2(22)における222に示すように、高パワーレベルP4で記録した場合には、上部記録層103にマーク2112が記録され、下部記録層105にもマーク2121が記録される。ここで、上部記録層103に記録されるマーク2112のディスクタンジェンシャル方向の長さは、高パワーレベルP4に保持する時間T4に対応した長さになる。また、下部記録層105に記録されるマーク2121の長さは、P4レベルとP0レベルに保持する時間T4+T0に対応する長さになる。
図3(32)では、記録マークをフォトダイオードで検出した和信号の変化を示す。図3(33)は、フォトダイオードの受光部をタンジェンシャル方向に2分割して検出するタンジェンシャルプッシュプル信号の変化を示す。図3(34)は、タンジェンシャルプッシュプル信号から生成した記録層検出信号を示す。図中a〜dはマークと信号の対応するタイミングを示している。
図3(32)における和信号は、マーク長の変化に対応して信号レベルが変化する。aは上部記録層にマークがある場合の信号レベルである。cは上部記録層及び下部記録層にマークがある場合の信号レベルである。aとcは、同じ信号レベルになる。信号レベルは主にマーク長に応じて変化することから、再生信号の変化のみでは、マークが上部記録層にあるか、下部記録層にあるかを判定できない。
図3(33)は、タンジェンシャルプッシュプル信号の変化を示す。例えば、上部記録層のみにマークを記録した場合のタンジェンシャルプッシュプル信号の変化を331に示す。マークのタイミングで0Vとなる信号波形になる。
図1は、多層相変化記録媒体の構成を示す。101は、レーザービーム入射方向を示す。102は誘電体層、103は上部記録層、104は誘電体層、105は下部記録層、106は誘電体層、107は金属層、108は基板を示す。109は表面保護層を示す。レーザービーム入射側の記録層を上部記録層103、奥側の層を下部記録層104とする。
前記下部誘電体層の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、3〜50nmが好ましい。
前記層間誘電体層104の膜厚は、使用するレーザービームの波長、対物レンズの開口数に応じて設定され、上部記録層及び下部記録層の2層の記録層を同時に再生することから、レーザービームの焦点距離内となるように設定することが好ましい。
前記下部記録層の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、3〜50nmが好ましい。前記厚みが3nm未満であると、均一な膜にするのが困難となることがあり、50nmを超えると、記録感度が低下してしまう傾向があるので好ましくない。
前記下部記録層は、3水準でパワーレベルを変える3水準変調パターン(図2の222)で記録した場合、タンジェンシャル方向において前後非対称形状なマークが記録できる。また、変調パターン222においてP0レベルに保持する時間T0を変えることによってマーク長が制御できる。
前記金属層は、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れている。
前記樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、などが挙げられるが、これらの中でも、成形性、光学特性、コストの点で優れるポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル系樹脂が好ましい。
前記基板の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.6〜1.1mm程度が好ましい。
−多層相変化記録媒体の作製−
トラックピッチが340nmで、表面に凹凸を設けた厚さ0.6mmのポリカーボネート樹脂製基板上に、図1に示した構成の多層相変化記録媒体を、以下のようにして作製した。
まず、基板108上にAgからなる金属層107を膜厚が140nmになるようにスパッタ法により成膜した。金属層107上にZnS−SiO2からなる下部誘電体層106を膜厚が20nmになるようにスパッタ法により成膜した。下部誘電体層上にAgInSbTe(Sb/Te=2.2)からなる下部記録層105を膜厚が12nmになるようにスパッタ法により成膜した。下部記録層上にZnS−SiO2からなる層間誘電体層104を膜厚が40nmになるようにスパッタ法により成膜した。層間誘電体層上にGeSbTe(Sb/Te=0.4)からなる上部記録層103を膜厚が7nmになるようにスパッタ法により成膜した。上部記録層上にZnS−SiO2からなる上部誘電体層102を膜厚が40nmになるようにスパッタ法により成膜した。
次いで、上部誘電体層上に紫外線硬化樹脂からなる表面保護層109を厚みが5μmとなるように形成した。以上により2層相変化記録媒体を作製した。
得られた2層相変化記録媒体に対しレーザービーム波長405nm、対物レンズの開口数NA0.85の光学ピックアップで記録した。結果を図2に示す。図2における記録条件は次の通りである。
P1=1.5mW、P2=3.0mW、P3=1.5mW、P4=5.0mW、P0=0.1mW、T2=10nsec〜50nsec、T4=6nsec、T0=6nsec〜44nsecである。
以上のことから、多層相変化記録媒体において16値の多値記録が実現できることが確認できた。
102 上部誘電体層
103 上部記録層
104 層間誘電体層
105 下部記録層
106 下部誘電体層
107 金属層
108 基板
109 表面保護層
21 記録マークの上方視
211 上部記録層の状態
212 下部記録層の状態
2111 上部記録層の記録マーク
2112 上部記録層の記録マーク
2121 下部記録層の記録マーク
22 レーザーパワーレベルの時間変化
221 パワーレベルを2水準で変える変調パターン
222 パワーレベルを3水準で変える変調パターン
P0、P1、P2、P3、P4 レーザーパワーレベル
T2 パワーレベルをP2に保持する時間
T4 パワーレベルをP4に保持する時間
T0 パワーレベルをP0に保持する時間
31 記録マークの上方視
32 和信号の時間変化
33 タンジェンシャルプッシュプル信号の時間変化
331 記録マークが上部記録のみにある場合の変化
332 31に示すマーク配列の場合の変化
34 記録層検出信号
a〜d 記録マークと信号の対応するタイミング
401 記録トラック中心
402 基準マーク
403 多値情報記録マーク
501 記録トラック中心
502 基準ピット
503 多値情報記録マーク
Claims (7)
- レーザービーム入射側から少なくとも上部誘電体層、上部記録層、層間誘電体層、下部記録層、下部誘電体層、金属層、及び基板をこの順に有する多層相変化記録媒体に対する記録再生方法であって、
記録時には多値情報に応じてマーク長を変えると共に記録する記録層を変えて記録し、
再生時には少なくとも2層の記録層を同時に再生し、かつ再生時には、和信号の強度変化と、タンジェンシャルプッシュプル信号の強度変化とを検出することによって多値情報を判定することを特徴とする記録再生方法。
ここで、前記和信号は、レーザービームの進行方向に対して、受光部を前後対称に2分割した状態で、該前後の分割領域で検出された信号を足した信号を示し、前記タンジェンシャルプッシュプル信号は、前記前後の分割領域で検出された信号強度の差による信号を示す。 - 多層相変化記録媒体が、レーザービーム入射側から少なくとも上部誘電体層、上部記録層、層間誘電体層、下部記録層、下部誘電体層、金属層、及び基板をこの順に有し、記録時には多値情報に応じてマーク長を変えると共に記録する上部記録層及び下部記録層を変えて記録し、再生時には上部記録層及び下部記録層を同時に再生する請求項1に記載の記録再生方法。
- 層間誘電体層の厚みが、上部記録層及び下部記録層の2層の記録層を同時に再生できるように設定される請求項1から2のいずれかに記載の記録再生方法。
- 一つのマークを記録するレーザーパワーがP1<P2の関係にある2水準で変える2水準変調パターンと、レーザーパワーがP0<P3<P4の関係にある3水準で変える3水準変調パターンをそれぞれ設定し、前記2水準変調パターンではレーザーパワーレベルをP2に保持する時間をパルス幅T2とし、前記3水準変調パターンではレーザーパワーレベルをP0に保持する時間をパルス幅T0とし、多値情報に対応させて2水準変調パターン及び3水準変調パターンとパルス幅T2及びT0を変化させる請求項1から3のいずれかに記載の記録再生方法。
- 各変調パターンにおける最高パワーレベルP2及びP4が、P2<P4の関係を満たす請求項4に記載の記録再生方法。
- 最高パワーレベルがP2である場合には、上部記録層のみにマークを記録し、最高パワーレベルがP4である場合には、上部記録層及び下部記録層にマークを記録する請求項5に記載の記録再生方法。
- タンジェンシャルプッシュプル信号の強度変化が、上部記録層のみにマークを記録する場合にはLoレベルを出力し、上部記録層及び下部記録層にマークを記録する場合にはHiレベルを出力する請求項1から6のいずれかに記載の記録再生方法。
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