JP4073148B2 - アンテナ選択ダイバーシチシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアンテナ選択ダイバーシチシステムに関し、特にアンテナ選択誤りの少ないアンテナ選択ダイバーシチシステムを実現する手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、急速に普及したPDC(Personal Digital Cellular)方式やPHS(Personal Handyphone system)方式の携帯電話などに代表される移動体通信においては、基地局から送信された電波を移動局の無線端末が移動しながら受信するケースが多く、この際に移動局における受信信号は基地局から移動局に直接到達する電波(直接波)とビルなどの建造物に反射して到達する電波(反射波)との合成信号となり、その結果、受信信号レベルが激しく変動するフェージング現象により信号品質が劣化することが知られている。
【0003】
このフェージング現象による受信信号の品質劣化を改善するために各種のダイバーシチ受信システムが提案されている。例えば、空間ダイバーシチシステムは、空間的に数波長離れた2地点間において、前記受信信号変動の相関が小さいことを利用して、複数の地点で受信した信号を合成または切り替えて使用する方法である。
【0004】
アンテナ選択ダイバーシチ受信システムは、上記空間ダイバーシチシステムの一種であり、1台の受信機のみでダイバーシチ効果が得られることから、無線端末の小型化、或いは低消費電力化が要求される移動体通信に適した方式である。この方式を改良して、フェージング速度(受信信号レベルの変化速度)が早い場合でも十分なダイバーシチ効果を得ることが可能な線形予測方式を用いたダイバーシチ受信システムが、特公平6-103845号公報に「アンテナ選択ダイバーシチ受信システム」として提案されている。詳細は前記公報に記載されているので、以下、このダイバーシチ受信システムについて要点を説明する。
【0005】
図6は、特公平6-103845号公報に記載され時分割多重信号(3多重)を受信する場合のアンテナ選択ダイバーシチ受信システムの構成例を示す機能ブロック図である。この例に示されるアンテナ選択ダイバーシチ受信システムは、2つの受信アンテナ101、102と、選択スイッチ103と、受信復調部104とを順次接続するとともに、前記受信復調部104から受信信号強度に係わる情報をアンテナ選択回路107に供給し前記スイッチ103の切替を制御するようにしている。アンテナ選択回路107は、4つのサンプルホールド回路107-5、107-6、107-13、107-14と2つの減算器107-15、107-16とを備え、前記減算器107-15、107-16の出力をスイッチ制御回路107-2に接続された線形予測回路107-17に供給する。
【0006】
図7は、このアンテナ選択ダイバーシチ受信システムの機能を説明する図であり、同図(a)は受信信号(3多重の時分割多重信号)のフレーム構成、(b)図は2つのアンテナ101、102によりそれぞれ受信される信号波形C1、C2、(c)図は他局バーストスロットにおける4回のポイントにて測定された受信信号強度値R1〜R4に基づき自局バーストスロットでの受信レベルr1、r2の推定を説明する図である。
【0007】
以下、図7を参照しつつ図6に示されたアンテナ選択ダイバーシチ受信システムの機能について説明する。まず、自局バーストスロットの受信以前の時刻t3において、現在選択されているアンテナ101による受信信号(信号強度R3)をスイッチ103と受信復調部104とを介してサンプルホールド回路107-13に保持する。この後、直ちにスイッチ制御回路107-2により選択スイッチ103を他方のアンテナ102に切替、時刻t4においてアンテナ102による受信信号(信号強度R4)をスイッチ103と受信復調部104とを介してサンプルホールド回路107-14に保持する。更に、アンテナを最初の101に戻した後、上記と同様な過程により時刻t1にてアンテナ101による受信信号(信号強度R1)をサンプルホールド回路107-5に保持し、最後に再びアンテナ102に切り替えた後に時刻t2にてアンテナ102による受信信号(信号強度R2)をサンプルホールド回路107-6に保持する。このようにして図7(b)に示された4回の測定ポイントによる4個の受信信号強度R1〜R4が得られる。
【0008】
次に、減算器107-15、107-16を用いて各アンテナを介して得たそれぞれの受信信号強度の差ΔR1(=R1-R3)及びΔR2(=R2-R4)を求め、更に、線形予測回路107-17において測定ポイント間の時間Δt1及びΔt2と前記ΔR1及びΔR2とから信号波形C1、C2のそれぞれの傾斜を求め、図7(c)に示されるように自局バーストスロットにおける受信信号強度r1、r2を予測(線形予測)して通信に最適なアンテナを選択する。
【0009】
ところで、以上説明したようにアンテナ選択ダイバーシチシステムにおいては、アンテナを交互に切り替える方法が一般的に採用されている。即ち、上述した例においてはアンテナをアンテナ101(受信信号強度R3)→アンテナ102(受信信号強度R4)→アンテナ101(受信信号強度R1)→アンテナ102(受信信号強度R2)と3回切り替えることになる。このような切替手順を行う理由は、各アンテナに対して自局バーストスロットからの測定ポイントを特定位置に集中させることなく平均して分散させるとともに、各アンテナごとの測定ポイント間隔を等しくするためである。つまり、図7(b)に示すようにΔt1=Δt2とすることにより各受信信号波形C1、C2の傾斜を求めるための差分、即ち、Δt1/ΔR1、Δt2/ΔR2を求める条件が同一となり、図7(c)に示した将来の自局バーストスロットにおける受信信号強度r1、r2の線形予測精度が向上する。
【0010】
この際に、他局バーストスロットにおける受信信号強度R4〜R1の測定ポイントとしては、自局バーストスロットにおける信号波形C1、C2が測定値R4〜R1から大幅に変化することに起因するアンテナ選択誤りを少なくするため可能な限り自局バーストスロットの近くに設定する必要があるが、各ハードウェアの動作時間により測定ポイントの開始時間には制限がある。例えば、ハードウェア上の考慮すべき主な動作時間として、▲1▼選択スイッチ103の切替時間に係わる約1ms、▲2▼アンテナ切替時の受信信号の安定に1ms〜2ms、▲3▼受信・復調部104における図示を省略した他チャネル切替のために使用するシンセサイザの動作安定時間として約2msを要する。
【0011】
従って、アンテナ切替毎(3回の切替)に上記▲1▼〜▲3▼の動作が3回繰り返されるので、これらの動作に係わる時間だけでも、
(▲1▼+▲2▼+▲3▼)×3=(1ms+1ms+2ms)×3=12ms
程度を要する。
【0012】
従来提案されたアンテナ選択ダイバーシチ受信システムは以上のように機能するので、他局バーストスロットと自局バーストスロットとにおける受信信号強度が逆転する場合でも(図7(b))、自局バーストスロットにおける受信信号強度を予測してアンテナを選択するので、実際に通信するタイミングにおいて受信信号強度の高いアンテナを選択することが可能となり、アンテナ選択誤りの少ないダイバーシチ受信システムを実現することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述したような従来のアンテナ選択ダイバーシチシステムにおいては以下に示すような問題点があった。つまり、従来の方式を実際の時分割多重通信方式に適用する場合、上述したように受信信号強度の測定開始時間をハードウェアの動作時間に係わる制限のため自局スロットから少なくても12ms以前に設定する必要があった。そのために、自局バーストスロットから測定開始ポイントが離間して、測定値R4〜R1に基づく線形予測値と実際の通信を行う自局バーストスロットにおける信号強度の状態が一致せずにアンテナ選択誤りを引き起こす要因となっていた。
図8は、各フレームを標準的なタイムスロット(10ms)により構成した受信信号(3多重の時分割多重信号)を示す図である。自局バーストスロット始点より12ms以前は、フレーム先頭における他局バーストのタイムスロットに該当し、自局バーストスロットに隣接する他局バーストスロットよりもそれ以前のタイミングであることが理解できる。
本発明は、上述した従来のアンテナ選択ダイバーシチシステムに関する問題を解決するためになされたもので、アンテナ切替に伴う受信信号強度の測定時間を短縮することで測定開始ポイントを自局バーストスロット近接位置に設定でき、もってアンテナ選択誤りを低減してダイバーシチ効果を高めたアンテナ選択ダイバーシチシステムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係わるアンテナ選択ダイバーシチシステムの請求項1記載の発明は、時分割多重信号を受信する複数のアンテナがスイッチを介して順次選択的に切替えられて受信信号の品質を評価する品質評価手段に接続されるとともに、前記各アンテナが選択されるごとに行う自局バーストスロット以前の他局バーストスロットにおける複数ポイントでの前記品質評価手段による受信信号品質の測定結果に基づき、前記自局バーストスロットにおける前記複数のアンテナ各々による受信信号品質を予測し、前記自局バーストスロットにおいて所要の受信信号品質が得られるように前記アンテナの選択を制御するアンテナ選択ダイバーシチシステムにおいて、
前記複数のアンテナの少なくとも一つについては前記受信信号品質の測定を前記スイッチを切替えることなく所定間隔にて2回以上続けて行うようにするもので、2つのアンテナを備え、一方のアンテナを介して2回の測定ポイントにおいて順次受信した信号に係わる測定値R3、R1を得るとともに、他方のアンテナを介して2回の測定ポイントにおいて順次受信した信号に係わる測定値R4、R2を得る際に、アンテナ切替回数を2回にするために、当該測定値を得る順序をR3、R4、R2、R1、若しくはR4、R3、R1、R2と、前記受信信号品質の測定開始ポイント時刻を自局バーストスロットの受信以前で10msを超えない時刻として前記測定ポイントを隣接する他局バーストスロット内に設定する、ように構成にする。
本発明に係わるアンテナ選択ダイバーシチシステムの請求項2記載の発明は、請求項1記載のアンテナ選択ダイバーシチシステムにおいて、
前記受信信号品質の測定を開始する際、現在選択されている方のアンテナの受信品質から測定を行うように構成する。
本発明に係わるアンテナ選択ダイバーシチシステムの請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載のアンテナ選択ダイバーシチシステムにおいて、
前記アンテナとして誘電体基板の片方の面に放射導体を、また、他方の面にアース導体をそれぞれ備えるとともに、2つの給電点を前記放射導体中心点との成す角度が直交するよう所要部に配置し、2つの異なる偏波成分を受信可能としたマイクロストリップアンテナを用いて構成する。
本発明に係わるアンテナ選択ダイバーシチシステムの請求項4記載の発明は、請求項1、請求項2または請求項3記載のアンテナ選択ダイバーシチシステムにおいて、
前記受信信号の品質として受信信号の電界強度を使用するように構成する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図示した実施の形態例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は本発明に係わるアンテナ選択ダイバーシチシステムの第1の実施形態例を示す機能ブロック図である。この例に示すアンテナ選択ダイバーシチシステムは、スイッチ11を介して2つのアンテナ12、13に接続され受信信号に係わる品質評価手段としての電界強度測定部14の測定結果に基づき前記スイッチ11の切替を制御する切替制御部15を備え、前記電界強度測定部14の出力を復調部16を介して図示を省略した信号処理部に供給するとともに、前記切替制御部15をアナログ・デジタル変換器(以下、A/D変換器と記す)15aと図示を省略したRAM(Randam Access Memory)及びROM(Read Only Memory)の記憶手段を含む中央演算処理装置(Central Processor Unit、以下、CPUと記す)15bとから構成する。
【0016】
また、図2は本発明に係わるアンテナ選択ダイバーシチシステムの機能を説明する図であり、同図(a)は受信信号(3多重の時分割多重信号)のフレーム構成、(b)図は2つのアンテナ12、13によりそれぞれ受信される信号に係わる電界強度波形C1、C2、(c)図は他局バーストスロットにおける4回のポイントにて測定された受信信号の電界強度R1〜R4に基づき自局バーストスロットでの受信電界強度レベルr1、r2の推定をそれぞれ説明する図である。以下、図2を参照しつつ図1に示されたアンテナ選択ダイバーシチシステムの機能について説明する。
【0017】
まず、自局バーストスロットの受信以前の時刻t3において、現在選択されている一方のアンテナ12による受信信号(電界強度R3)をスイッチ11と電界強度測定部14とを介して切替制御部15に導き、A/D変換器15aを用いてデジタル信号に変換した後CPU15bのRAMに記憶する。次に、CPU15bはスイッチ11を制御して他方のアンテナ13を選択し、時刻t4においてアンテナ13による受信信号(電界強度R4)をスイッチ11と電界強度測定部14とを介して切替制御部15に導き、A/D変換器15aを用いてデジタル信号に変換した後CPU15bのRAMに記憶する。更に、上記と同じ過程により、同じアンテナ13を用いて時刻t2において受信信号(電界強度R2)を測定してCPU15bのRAMに記憶するとともに、CPU15bが再びスイッチ11を制御して一方のアンテナ12に切替えた後、時刻t1にてアンテナ12による受信信号(電界強度R1)をCPU15bに記憶する。
【0018】
その後、CPU15bはRAMに記憶した4つの受信信号(電界強度R1〜R4)を用いて各アンテナに対する受信信号に係わる電界強度の差ΔR1(=R1-R3)及びΔR2(=R2-R4)を求め、各測定ポイント間隔の時間Δt1及びΔt2と前記ΔR1及びΔR2とから電界強度波形C1、C2の傾斜を求めることにより図5(c)に示されるような自局バーストスロットにおける受信信号電界強度r1、r2を線形予測し、最適なアンテナを選択する。
【0019】
要するに本発明の特徴とするところは、上記のように切替手順を工夫してアンテナ切替回数を2回に低減したことにある。このような切替回数の低減により受信信号の電界強度に係わる測定ポイントを自局バーストスロット近くに設定することができる。即ち、上述したようにハードウェア上の考慮すべき主な動作時間としては、▲1▼選択スイッチ11の切替時間として約1ms、▲2▼アンテナ切替時の受信信号の安定に1ms〜2ms、▲3▼他チャネル切替のために使用する図示を省略したシンセサイザの動作安定時間として約2msを要するが、アンテナ切替回数が2回に低減されているので、アンテナ切替毎に上記▲1▼〜▲3▼の動作が繰り返されてもこれらの動作に係わる時間を
(▲1▼+▲2▼+▲3▼)×2=(1ms+1ms+2ms)×2=8ms
に短縮することができる。
【0020】
従って、上述した従来方式に比べて、受信信号の電界強度に係わる測定開始ポイントを自局バーストスロットの近傍(隣接スロット)に設定することができる。このような設定により、自局バーストスロットと測定ポイントとが接近するので、自局バーストスロットにおける電界強度波形C1、C2が測定値R4〜R1から大幅に変化する確率が低下し、その結果、これに起因するアンテナ選択誤りが少なくなりダイバーシチ効果を高めることができる。
【0021】
ただし、上記のアンテナ切替手順に起因して従来技術のようにΔt1とΔt2とを等しくすることができず、その結果、各受信信号に係わる電界強度波形C1、C2の傾斜を求める差分、即ち、Δt1/ΔR1、Δt2/ΔR2を求める条件が若干異なり、厳密には図2(c)に示した将来の自局バーストスロットにおける受信信号に係わる電界強度波形の線形予測精度(r1、r2)が多少劣化する虞がある。
【0022】
しかしながら、本願発明者は上記線形予測精度の劣化よりも測定ポイントを自局バーストスロットに隣接させてアンテナ選択誤りを改善するほうが、ダイバーシチ効果を高めることができることを見いだした。
【0023】
図3は、本発明に係わるアンテナ選択ダイバーシチシステムの効果を説明するシミュレーション結果を示すグラフである。このグラフは、フェージング周波数に対するダイバーシチ利得を示している。なお、ダイバーシチ利得とは、ダイバーシチの有る場合と無い場合とにおいて、同一の誤り率性能を得るための受信機のC/N(Carrire to Noise ratio)の差で定義され、プラス(+)の値によりダイバーシチ効果の大きさを表すものである。誤り率として1%及び0.1%を得るためのダイバーシチ利得を図3(a)、(b)にそれぞれ示す。
【0024】
実用的なケースである受信機が速度50km/h〜60km/hにて移動する際に発生すると考えられるフェージング周波数20Hzを基準にして、これ以下のフェージング周波数において、本発明に係わるダイバーシチシステムは従来のものよりも2dB〜3dB程度高いダイバーシチ利得を有している。これより、上述したように線形予測精度の劣化よりも測定ポイントを自局バーストスロットに接近させてアンテナ選択誤りを改善するほうが、ダイバーシチ効果を高める上で有効であることが確認できる。
【0025】
なお、フェージング周波数が40Hz以上になると、本発明及び従来の方式ともダイバーシチ利得は概ね1dB以下となり、フェージング速度が速い環境においてはダイバーシチ効果が低くなる。
【0026】
以上説明した本発明の実施の形態例においては、受信信号に係わる品質評価パラメータとして受信信号の電界強度を用いる構成としたが、本発明の実施にあってはこの例に限らず、例えば信号誤り率を測定して受信信号の品質を評価するように構成してもよい。図4は、本発明に係わるアンテナ選択ダイバーシチシステムの第2の実施形態例を示す機能ブロックである。この例に示すアンテナ選択ダイバーシチシステムは、電界強度測定部14の代わりに復調部16を、その後段に信号誤り率測定部17を配置し、前記復調部16を切替制御部15に接続した点が図1に示した第1の実施形態例と異なる。
【0027】
図4に示したアンテナ選択ダイバーシチシステムの機能は、受信信号の品質評価手段として信号誤り率測定部17を用い受信信号の誤り率を測定するようにした点以外は第1の実施形態例と同様であるので説明を省略する。
【0028】
なお、上述したように2つのアンテナ12、13はお互いに受信信号が無相関となるように数波長離して設置した空間ダイバーシチとするのが一般的である。しかしながら、この方式は受信機を小型化する観点からは必ずしも適していない。そこで、機器の小型化に好適な1個のアンテナによりダイバーシチ効果を得ることができるアンテナ構成例について説明する。
【0029】
図5は、水平偏波と垂直偏波とを1個のアンテナで共用できる偏波ダイバーシチ用マイクロストリップアンテナの構成例を示す平面図である。この例に示すマイクロストリップアンテナは、誘電体基板51の片方の面に設計周波数と基板誘電率と基板厚みとにより寸法が決定される円形の放射導体52と、その反対面に形成されるアース導体(図示省略)とから構成される。大地(道路)53に対し水平位置と垂直位置に給電点p1、p2を設けることにより、当該給電点p1、p2から放射導体52の中心方向にそれぞれ電波e1、e2が励振されるので、給電点p1では水平偏波に励振された電波を、また、給電点p2では垂直偏波に励振された電波を送受信することができるとともに、給電点p1とp2とは直交しているので2つの給電点p1とp2間において励振電波の干渉は発生しない。
従って、このアンテナの給電点p1、p2とスイッチ11とを接続すれば、1つのアンテナを用いて本発明に係わるアンテナ選択ダイバーシチシステムを構成することができる。
【0030】
なお、図示を省略するが、給電点p1、p2と放射導体52の中心点とのなす角度を2等分する線上にさらに給電点p3を追加することにより、斜め偏波45度の電波も励振することができる。
【0031】
さらに、このマイクロストリップアンテナをフレキシブルな誘電体基板を用いて構成すれば、移動局(車両)のフロントガラスの内側端部等に貼り付けることが可能となり、車両ドライバーの視界を妨げることも無く、また、アンテナ取り付けのための穴加工を車両に施す必要がないので簡単に装備でき好都合である。
【0032】
【発明の効果】
本発明は以上説明したようにアンテナ切替回数を低減することにより、自局バーストスロットに近接して受信信号に係わる品質評価を行うための測定ポイントの設定が可能となるので、アンテナ選択誤りを低減してダイバーシチ効果の改善ができるアンテナ選択ダイバーシチシステムを実現する上で著効を奏す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるアンテナ選択ダイバーシチシステムの第1の実施例を示す機能ブロック図
【図2】本発明に係わるアンテナ選択ダイバーシチシステムの機能を説明する図
【図3】本発明に係わるアンテナ選択ダイバーシチシステムの効果を説明するシミュレーション結果を示す図
【図4】本発明に係わるアンテナ選択ダイバーシチシステムの第2の実施例を示す機能ブロック図
【図5】本発明に係わる偏波ダイバーシチ用マイクロストリップアンテナの構成例を示す平面図
【図6】従来のアンテナ選択ダイバーシチシステムの機能ブロック図
【図7】従来のアンテナ選択ダイバーシチシステムの機能を説明する図
【図8】各フレームを標準的なタイムスロットにより構成した受信信号(3多重の時分割多重信号)を示す図
【符号の説明】
11・・スイッチ
12、13・・アンテナ
14・・電界強度測定部
15・・切替制御部
15a・・アナログデジタル変換器
15b・・中央演算処理装置
16・・復調部
17・・誤り率測定部

Claims (4)

  1. 時分割多重信号を受信する複数のアンテナがスイッチを介して順次選択的に切替えられて受信信号の品質を評価する品質評価手段に接続されるとともに、前記各アンテナが選択されるごとに行う自局バーストスロット以前の他局バーストスロットにおける複数ポイントでの前記品質評価手段による受信信号品質の測定結果に基づき、前記自局バーストスロットにおける前記複数のアンテナ各々による受信信号品質を予測し、前記自局バーストスロットにおいて所要の受信信号品質が得られるように前記アンテナの選択を制御するアンテナ選択ダイバーシチシステムにおいて、
    前記複数のアンテナの少なくとも一つについては前記受信信号品質の測定を前記スイッチを切替えることなく所定間隔にて2回以上続けて行うようにするもので、
    2つのアンテナを備え、一方のアンテナを介して2回の測定ポイントにおいて順次受信した信号に係わる測定値R3、R1を得るとともに、他方のアンテナを介して2回の測定ポイントにおいて順次受信した信号に係わる測定値R4、R2を得る際に、アンテナ切替回数を2回にするために、当該測定値を得る順序をR3、R4、R2、R1、若しくはR4、R3、R1、R2と
    前記受信信号品質の測定開始ポイント時刻を自局バーストスロットの受信以前で10msを超えない時刻として前記測定ポイントを隣接する他局バーストスロット内に設定する、
    ことを特徴とするアンテナ選択ダイバーシチシステム。
  2. 前記受信信号品質の測定を開始する際、現在選択されている方のアンテナの受信品質から測定を行うことを特徴とする請求項1記載のアンテナ選択ダイバーシチシステム。
  3. 前記アンテナとして誘電体基板の片方の面に放射導体を、また、他方の面にアース導体をそれぞれ備えるとともに、2つの給電点を前記放射導体中心点との成す角度が直交するよう所要部に配置し、2つの異なる偏波成分を受信可能としたマイクロストリップアンテナを用いたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のアンテナ選択ダイバーシチシステム。
  4. 前記受信信号の品質として受信信号の電界強度を使用することを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載のアンテナ選択ダイバーシチシステム。
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