JP4072934B2 - 金型予熱ヒーター - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、樹脂成形やダイキャストを行うさい、予め金型を成形条件に必要な温度近くまで上げておくための金型予熱ヒーターに関する。
【０００２】
【従来の技術】
樹脂成形やダイキャストを行うさいは通常金型を使用するが、この金型は熱容量が大きいため、成型機にセットしてから加熱を始めるのでは温度が成形条件に達するまでに時間がかかり、成型機を作動するまでの時間が無駄になる。また、金型への加熱が不十分で設定温度まで温度が達していなかったり、急激な加熱により温度が均一でない場合、金型内への湯回りが悪くなり、温度条件が安定するまでの間、製品に不良が発生するといった問題がある。このため、運転に先立って成形機に金型を取り付ける前に、金型温度を成形条件近くまで加熱しておく、予熱を行うことが一般的となっている。
【０００３】
従来この予熱手段としては、金型収納可能な炉を設け、該炉内に金型を入れて加熱したり、金型間の隙間（パーティング間）よりガスバーナーを挿入し、被加熱部に直接炎を当てて加熱する直火方法が多く用いられている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、炉を用いた予熱手段によると、この炉が大きいため場所をとり、また炉そのものにコストがかかるといった問題がある。また、空気を媒体としての間接加熱となるため、加熱効率が悪く温度上昇に時間がかかり、エネルギー損失も大きいといった問題もある。
一方、ガスバーナー等による直火加熱では、金型全体に亘り温度を均一に加熱することは難しく、また火焔を使用するため危険であり、この危険性のため常に監視が必要であるといった問題がある。
更に、前記何れの手段によっても金型を予熱する場所は、炉の設置場所であったり、ガスボンベの近傍といった限られた場所となるため、常に予熱場所が確保されている必要があり、また、少なくとも金型の保管場所から予熱場所さらに成型機へと金型を移動しなければいけないといった問題がある。
【０００５】
そこで、本発明は直接加熱により効率よくかつ安全に金型を予熱可能で、更に予熱のための、広いまたは特別な場所を必要としない、構造簡単な金型予熱ヒーターを提供することを課題とした。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明の金型予熱ヒーターは、コントローラーに接続されたリード線のみに接続して、内部に発熱体を組み込み込んだ加熱部となるスペーサーを、ほぼ直方体で金型の型彫り部やガイドピンを避ける形状に形成して、金型の上型と下型のパーティング間の対向する２方向または４方向から挟み込み、金型を閉じた状態にすることで、上型の自重により保持して上下両型が加熱される構成を採る。
【０００７】
【作用】
本手段によれば、直接加熱のため加熱効率が良く、前記構成のヒーターを金型間に挟むだけで炉やガスボンベ等の特別な据え置き装置を必要としないため、広い場所を必要とせず、金型の保管場所や成型機近傍等どこでも金型を置いた場所で予熱作業ができる。
また、ほぼ直方体のスペーサーに発熱体となるヒーターを挿入した簡単な構造を採るため、製造が容易である。
更に火焔を使用することがないため安全でまた監視者を常に付ける必要がない金型予熱作業ができる。
【０００８】
【実施例】
本発明の金型予熱ヒーターの実施の一例を図面を参考に詳細に説明する。
【０００９】
図１は、本発明の一例を示し、予熱ヒーターを金型に装着する前の状態を表す構成図で、予熱ヒーター１は発熱表面となるスペーサー１１の内部に電気抵抗による発熱体１２を挿着し構成し、該予熱ヒーター１、２本が各々リード線１３により温度設定及び温度制御のための１つのコントローラー３に接続されている。
一方２は、本発明の予熱ヒーター１に対応する上下に２分割されるタイプの金型で、上型２１、下型２２は分離され、各々内部に成形形状を象った型彫り部２３が形成され、必要に応じてガイドピン２４が設けらている。
【００１０】
予熱ヒーター１の加熱面となるスペーサー１１は、熱伝導性良好な金属製よりなり、基本形状は、ほぼ直方体または直方体の組み合わせのような製造容易な形状をとることが好ましいが、金型パーティング間に接触する面が平面であれば特に特定するものではない。本実施例においては、金型２の型彫り部２３及びガイドピン２４を避けて金型２の成形面外周の縁部に接触して加熱する、直方体を２つ組み合わせたような凸型形状及び大きさとした。
【００１１】
一方発熱体１２は、前記スペーサー１１に貫通させて設けた挿入孔に挿着して設け、形状及び構造は、金属製で円筒形の外筒の内部に、円筒中心で絶縁材よりなるコアに発熱線を巻き、該発熱線が外筒と接触しないように絶縁材を充填して、外筒端部を封止したシーズヒーターと呼称される電気ヒーターを用いた。
【００１２】
前記、スペーサー１１と発熱体１２を組み合わせた予熱ヒーター１、２本を金型２のパーティング間に、対向する２方向から挿入するように位置させ、該予熱ヒーター１各々よりリード線１３を一台のコントローラーに継ないで温度制御可能として構成した。尚、図示しないが温度センサーを金型２または予熱ヒーターの一方または両方に取り付ける。
【００１３】
図２は、上記本発明の一実施例の金型予熱ヒーター１を金型２に設置した状態を示す構成図で、対向する二方向より２本の予熱ヒーター１を、金型２の下型２２上面の型彫り部２３（図１参照）及びガイドピン２４を避けた縁部に設置し、該予熱ヒーター１上に、金型２の上型２１を対応する位置に載置して、上型２１及び下型２２により予熱ヒーター１を挟持して上型２１の自重により保持する。
【００１４】
図３は、本発明の別の実施例を示す金型予熱ヒーターで、単純な直方体のスペーサー１１の内部に、前記した手段で同構成の発熱体１２を挿着して構成し、四方向から金型の上型と下型のパーティング間に挟持されるものを示した。このように、金型のサイズ、形状、予熱時間等予熱条件に対応した形状、大きさ、数を選択すればよい。
【００１５】
【発明の効果】
本発明の金型予熱ヒーターによれば、前述した作用のように直接加熱による加熱効率の良さ、構造の簡単さにによる製造コスト、電気加熱による安全性の高さのため常に監視者を必要としないなどの効果により、総合的に該予熱作業を低コストで行うことができる。
また、作業場所が限定されないため、例えば金型保管場所で該作業を行うことで金型の移動作業を低減でき、また火焔を使用しないため安全作業となるため該予熱作業を簡便化することができる。
更に、炉等の大きな設備を必要としないため前記コストの低減と共に、場所を取らない予熱作業を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の実施例の金型設置前状態を示す構成図
【図２】 本発明の実施例の金型設置状態を示す構成図
【図３】 本発明の別の実施例を示す模式図
【符号の説明】
１． 予熱ヒーター
１１．スペーサー
１２．発熱体
１３．リード線
２． 金型
２１．上型
２２．下型
２３．型彫り部
２４．ガイドピン
７． コントローラー

Claims (1)

1. 上下に分離する金型のパーティング間に、対向する２方向または４方向から、該金型上型の自重により挟持されるように配置して金型を予熱する、コントローラーに接続されたリード線のみに接続した、ほぼ直方体のスペーサーの内部に、電気抵抗発熱体を組み込んだことを特徴とする金型予熱ヒーター。

Images