JP4072592B2 - 新規な酸素吸収剤とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品などの各種分野の品質保持剤に好適な新規な酸素吸収剤に関する。更に詳しくは、加工食品・農水産品などの食品類の脱酸素剤または鮮度保持剤、及び金属製品、精密機械、医薬品、並びに文化財などの広い分野の物品の保存用に用いる品質保持剤に好適な新規な酸素吸収剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸素吸収剤は、従来から食品類の保存に有効な脱酸素剤の主要な成分として用いられている。周知の如く食品の保存における品質の劣化は、好気性菌、カビなどの繁殖による腐敗、乾性油の酸化劣化などが大きな原因として挙げられ、これらの劣化の原因にはすべて酸素が関与している。このため、従来から食品の保存には、食品と酸素との遮断が行われている。その具体的な方法としては真空包装、窒素置換包装などの方法もなされるが、最近では食品を気密包装しその内部に脱酸素剤を封入して保存する方法が、プラスチックフィルムの包装技術の進歩と共に多く用いられている。その際に用いる脱酸素剤としては、従来から鉄粉を主要な成分として用い、酸化促進物質として塩化ナトリウムなどのハロゲン化金属、および水分などを使用した、酸素吸収能を有する形態のものが和洋菓子などの加工食品の保存に多く使用されており、例えば特開昭56−2845号公報、特開昭56−130222号公報、および特開昭58−128145号公報等において提案されている。しかし、この鉄系の脱酸素剤を封入した食品包装品は、針などの金属異物の混入防止のために用いる金属探知機に感応し誤動作を生じる欠点が、例えば特開平10−314581号公報などにおいて以前から指摘されている。また、この鉄系の脱酸素剤を封入した食品包装品は電子レンジに使用できないなどさらに改善されるべき実用上の重大な課題を残している。
【0003】
特開昭59−29033号公報および特許第2658640号公報(1997年)においては、金属探知機への誤動作を改善する方法として有機化合物であって酸素吸収能を有するアスコルビン酸を主剤とする脱酸素剤が、また特開2000−50849号公報ではフェノール誘導体を主剤とする脱酸素剤などが提案されている。しかし、これらの脱酸素剤は何れも有機物質であるため、使用の条件によっては溶融、溶解を生じることが危惧され、また特開平10−314581号公報では反応などに伴う発熱による燃焼の危険性も指摘されている。
【0004】
一方、特開昭63−233768号公報においては、脱酸素剤の主剤として用いる鉄粉と炭酸水素ナトリウムなどの炭酸水素塩を組合せることにより、酸素を吸収すると共に炭酸ガスを発生させることで食品の鮮度を保つ鮮度保持剤が提案され、更に、特開昭58−149636号公報では脱酸素剤を封入した魚介類を含む気密容器を低温下におき鮮度を保つ方法なども提案されている。特開昭55−61914号公報、特公昭58−29069号公報では、脱酸素剤の主剤として知られるアスコルビン酸においても同様の方法により鮮度保持剤として用い得ることが提案されている。
【0005】
上記のように加工食品、農水産品などの有効な保存方法として酸素吸収剤を必須の成分とする脱酸素剤および鮮度保持剤が提案されている。しかし、上記の鉄粉あるいはアスコルビン酸を主剤とする脱酸素剤は、前者では水分の存在下で酸素の吸収反応を生じ、後者では酸素の吸収に伴って水分を生じるなど、何れもの場合も酸素の吸収に際して水分が関与することが知られている。これに対して特開2000−5596号公報では、少量のオレイン酸、液状ブタジエンオリゴマーと触媒量のナフテン酸マンガンから構成される脱酸素剤が、酸素の吸収に際して全く水分を伴なわず乾燥状態を保持できるため、精密機械、医薬品、絵画および古文書などの文化財の保存に有効な品質保持剤として提案されている。しかし、このオレフィン化合物を主剤とする品質保持剤は人体に有害なマンガン化合物を含むため上記の脱酸素剤、鮮度保持剤などの如く食品、医薬品等の保存に用いることは難しい。
【0006】
以上の如くこれまでに種々の酸素吸収剤が提案されてきてはいるが、脱酸素剤、鮮度保持剤を含む広い分野に有効な品質保持剤として用い得る酸素吸収剤は未だ提案されていない。
【0007】
特開平11−12115号公報では、酸素欠損を有する二酸化チタンを食品、衣料品、医薬品、革製品、木製品、精密機械や、商品のカビや菌、虫による被害や、酸化などによる品質の劣化を防止する品質保持剤として提案されている。特開平11−12115号公報の酸素欠損を有する二酸化チタンは、アナターゼ型結晶のものが望ましく酸素を吸収する際に水分の発生もなく、かつ光触媒作用により菌、カビの繁殖を停止するために有効な品質保持剤であり、単に加熱するなどの方法により二酸化チタンが脱酸素することによって得られることが記載されている。しかし、その加熱温度は800℃と余りにも高温であるため二酸化チタンの結晶構造の変化が危惧され、安定して良好な酸素吸収能を有する酸素吸収剤を得ることが難しい。事実、田部浩三、清山哲郎、笛木和夫編、「金属酸化物と複合酸化物」講談社サイエンティフィク(1978年)の103ページにはアナターゼ型結晶は800℃ないし1000℃でルチル型結晶に転移することが記載され、西本精一、大谷文章、坂本章、鍵谷勉、日本化学会誌、1984、246−252(1984)では800℃を超えると結晶転移が急激に起こり、アナターゼ型結晶から殆どルチル型結晶になることが記載されている。即ち、高い温度に加熱した二酸化チタンはたとえ還元したものであっても酸素の吸収能力が非常に弱く、安定した酸素吸収剤として満足できる性能のものを得ることは困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、安全性が高く、金属探知機等への影響がなく、また酸素の吸収に際して水分の関与がないものとすることも可能な、食品類、金属製品、精密機械、医薬品、および文化財などの分野において脱酸素剤、鮮度保持剤を含む広い分野に用い得る品質保持剤に好適な新規な酸素吸収剤およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、以上の状況に鑑み、また上記の課題を解決するために鋭意研究を行い、ニッケル原子を含む化合物および(または)ニッケル原子を含む金属を含有する二酸化チタンを比較的低い温度で還元することにより、従来の課題が一挙に解決した優れた酸素吸収能を有する物質が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、ニッケル原子を必須成分とする化合物および(または)ニッケル原子を必須成分とする金属を含有する二酸化チタン(以下、「ニッケル種を含む二酸化チタン」という)を、還元して得られる酸素吸収剤である。
また、本発明は、このニッケル種を含む二酸化チタンを還元して得られる酸素吸収剤を、密閉した包装に封入した形態である酸素吸収剤製品である。
【0011】
更に、本発明は、ニッケル原子を必須成分とする化合物および(または)ニッケル原子を必須成分とする金属を、二酸化チタン若しくはチタン化合物と混合し又は反応させて、ニッケル種を含む二酸化チタンとし、ついで還元することを特徴とする酸素吸収剤の製造方法である。
【0012】
また、本発明は、ニッケル原子を必須成分とする化合物および(または)ニッケル原子を必須成分とする金属の溶液を、二酸化チタンに含浸させ、この含浸物を加熱乾燥後還元することを特徴とする酸素吸収剤の製造方法である。
また、本発明は、ニッケル原子を必須成分とする化合物および(または)ニッケル原子を必須成分とする金属の溶液と、チタン化合物の溶液とを共沈殿させ、この沈殿物を加熱乾燥後還元することを特徴とする酸素吸収剤の製造方法である。
【0013】
更に、本発明は、上記の酸素吸収剤に酸素を吸収させた後、再度還元することを特徴とする酸素吸収剤の再使用方法である。
また、本発明は、前記の酸素吸収剤を気密性の容器に、保存するための物品とともに入れて密封して保存する酸素吸収剤の使用方法である。
【0014】
以上の本発明によって得られる酸素吸収剤の構造と酸素吸収の作用機構についてはおよそ以下のように考えられる。即ち、ニッケル種を含む二酸化チタン(TiO2)が還元処理により水を生成して部分的に酸素を失いTiO2−xを生成する。この生成物(TiO2−x)が酸素吸収剤として酸素を吸収すると、再度、元の二酸化チタン(TiO2)を再生する。従って、本発明の酸素吸収剤は、従来の鉄粉系の酸素吸収剤にみられる金属探知機等への影響がなく、あるいはアスコルビン酸系の酸素吸収剤のような有機化合物にみられる融解、溶解、燃焼などのトラブルの心配も存在せず、安全性の高い品質保持剤として広い用途に適用し得るものである。即ち、本発明の酸素吸収剤は、二酸化チタンそのものが毒性がないこと、広い温度範囲にわたり固体状であり融解や溶解による食品等への汚染の心配がないこと、不燃性であること等の点において、従来の酸素吸収剤に比べて極めて広範な安全性を有するものである。
【0015】
また、本発明においては、後に詳述する如く二酸化チタンの還元処理に際してニッケル原子が触媒的に作用するため低い温度で還元を行うことができ、二酸化チタンの結晶構造を保持したまま還元することができる。従って、アナターゼ型の二酸化チタンを用いた場合には、得られる酸素吸収剤が光触媒作用をも兼ね備え抗菌性などの付加機能を有する、従来にない脱酸素剤・鮮度保持剤を含む、より一層広い用途の品質保持剤などに用い得る優れた性質を有する酸素吸収剤である。
【0016】
さらに本発明の酸素吸収剤は、前記のニッケル種を含む二酸化チタンを還元して得られるものであるが、この酸素吸収剤を使用した後、使用済みの酸素吸収剤をもう一度還元処理を施すことにより、容易に酸素吸収能が回復して酸素吸収剤として使用することのできる、すなわち、リサイクル可能であるという点において著しい特徴を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に説明する。
まず、本発明において用いる二酸化チタン(TiO2)は、アナターゼ型、ルチル型若しくはブルッカイト型の結晶系のもの、又はアモルファスのもののいずれも使用することができるが、アナターゼ型のものが好適である。それらの粒径は、1nm(10−9m)から1μm(10−6m)程度のものまでを使用でき、より好ましくは3nm(10−9m)から0.1μm(10−6m)のものが使用できるが、一般には粒径の小さいものが好ましい。また、特に望ましくは、直径1mm程度の大きさの粒状に造粒した二酸化チタンを使用してもよい。比表面積は5m2/gから400m2/g程度、好ましくは50m2/gから390m2/gのものを使用することができるが、比較的に大きな値を有するものが還元処理には効果的である。以上の二酸化チタンは製品として市販されているものをそのまま使用することも可能であり、あるいは硫酸チタン、四塩化チタン、硝酸チタンなど無機酸のチタン塩あるいはチタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシドあるいはチタンテトラ(2−エチルヘキサノエート)などのチタン化合物を加水分解あるいは苛性ソーダで中和、沈殿などの方法により調製することができる。
【0018】
市販のアナターゼ型二酸化チタンの代表的な製品としては、テイカ株式会社製のAMT−100、堺化学工業株式会社製のSSP25、CSPM、石原産業株式会社製のST01あるいはMC−50などが知られ、これらの二酸化チタンを使用して本発明のニッケル種を含む二酸化チタンを調製することにより何れも還元を実施することが可能になる。その中にあってCSPMを出発原料とするニッケル種を含む二酸化チタンは還元が容易で、還元された黒色の酸化チタンは良好な酸素吸収能を示す。その原因は未だ調査中であるが、二酸化チタンが硫酸根を含むことによるものと推定され、硫酸根を含むMC−50もCSPMと同様の挙動を示すことが認められる。その他の二酸化チタンもニッケル種を含む二酸化チタンを調製することにより還元が可能となり、二酸化チタンから一部酸素原子が取り除かれた還元体が生成する。この還元体は、そのままでは酸素吸収が乏しい場合もあるが、これに少々の水を添加することにより酸素吸収能を示すことが認められている。
【0019】
本発明に使用するニッケル原子を必須成分とする化合物は、無機酸のニッケル塩、有機酸のニッケル塩、ニッケルアルコキシド、および配位子を配位したニッケル錯塩からなる群から選ばれるニッケル原子を必須成分として含む化合物である。このような化合物としては、例えば、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケルなどの無機酸のニッケル塩;酢酸ニッケル、プロピオン酸ニッケル、蓚酸ニッケルなどの有機酸のニッケル塩;その無水和物、結晶水を持つ水和物が挙げられ、あるいはそれらにアンモニア、エチレンジアミンなどの配位したニッケル錯塩、アセチルアセトンなどを配位したニッケル化合物、ニッケルイソプロポキシドなどのニッケルアルコキシドを用いることができる。
【0020】
本発明に使用するニッケル原子を必須成分とする金属は、ニッケル金属そのものまたはニッケルと他の元素から構成される合金、ニッケル金属と他の金属との混合物である。このような合金又は金属混合物としては、例えば、ニッケルとコバルト、鉄、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムなどから選ばれる金属との合金又は混合物が挙げられる。
【0021】
本発明の酸素吸収剤は、前記のニッケル種を含む二酸化チタンを還元して製造する。このニッケル種を含む二酸化チタンを得る方法としては、二酸化チタンに前記したニッケル化合物を溶液の形で含浸する方法、無機酸のチタン塩等のチタン化合物の水溶液と前記ニッケル化合物の水溶液を共沈殿する方法、さらに特に望むなら二酸化チタンと前記ニッケル化合物又はニッケル原子含有金属粉をごく微細な状態にして単に混合する方法などがある。また、本発明に使用するニッケル種を含む二酸化チタンとしては、上記のように含浸、共沈殿、あるいは混合により得られるもののほかに、これらのニッケル種を含む二酸化チタンを、更にその後、洗浄、加熱乾燥、焼成、粉砕等の諸工程で熱分解などにより化学構造変化を生じたものも含む。
【0022】
本発明に使用するニッケル種を含む二酸化チタンのニッケル金属の含有割合は、二酸化チタンを還元するために必要な量であって特別な制限を求めないが、後述するように還元の際に触媒としての作用を発揮する量であればよく、ごく少量でよい。一般的に、二酸化チタンに対して、ニッケル原子として0.01から8重量パーセント(以下、単に%)好ましくは0.03から5%の範囲で用いるのがよい。
【0023】
含浸による上記のニッケル種を含む二酸化チタンの調製は、尾崎萃ほか編「触媒調製化学」49頁、講談社サイエンティフィク(1980)および、触媒学会主催「第9回キャタリシススクールテキスト」P52、触媒学会(1998)などに記載されている方法を参考にして行うことができる。通常の方法は、前記のニッケル原子を必須成分とするニッケル化合物または金属の溶液を二酸化チタンに含浸せしめ、この含浸したものを加熱乾燥、焼成、粉砕などの工程の一部、あるいは全ての工程を経て調製される。なお、このニッケル化合物を含浸した二酸化チタンは、通常は200℃から300℃程度の温度で2から3時間程度の間乾燥する。得られた塊状物は粉砕した後、400℃から450℃程度までの温度で2から3時間の保持にして焼成するが、二酸化チタンの結晶構造の変化を生じさせないように配慮して行う。
【0024】
共沈殿によるニッケル種を含む二酸化チタンの調製は、上記の著書、尾崎萃ほか編「触媒調製化学」24頁、講談社サイエンティフィク(1980)および、「第9回キャタリシススクールテキスト」P54、触媒学会(1998)などに記載の方法を参考にして行うことができる。一般的な方法としては、前記のニッケル原子を必須成分とするニッケル化合物または金属の溶液と、チタン化合物の溶液を予め調製し、攪拌下にこれらの二つの溶液に苛性ソーダなどの塩基性化合物の水溶液を加えて上記の混合溶液中で共沈殿、あるいは加水分解により共沈殿を生成せしめ、この沈殿物を加熱乾燥、焼成、粉砕などの工程の一部、あるいは全ての工程を経て調製される。加熱乾燥は通常200℃から300℃程度の温度で2から3時間の範囲で行い、粉砕の後、通常400℃から450℃で焼成する。ここでチタン化合物としては、四塩化チタンあるいは硫酸チタンなどの無機酸のチタン塩、あるいは上記のチタンアルコキシドなどが挙げられる。また、共沈殿のより簡便で実用的方法として、二酸化チタンの微粒子を予め水中に分散し、そこにニッケル強酸塩、例えば硝酸ニッケルの水溶液を加え、攪拌下に苛性ソーダなどの強塩基を滴下することによっても均一で比表面積の高いニッケル種を含む二酸化チタンを得ることができる。
【0025】
本発明の酸素吸収剤は、このニッケル種を含む二酸化チタンを還元することによって得られる。この還元は通常は水素ガスを用いることにより容易に行うことができる。還元温度は450℃以下の温度で実施することが二酸化チタンの結晶構造をそのままに保つ上から望ましく、好ましくは150℃から400℃範囲、さらに好ましくは180℃から350℃、更には180℃から300℃の範囲で行うことが二酸化チタンの結晶構造を保持しその品質を最上に保つ上から好ましい。この水素還元の際には、ニッケル種を含む二酸化チタンに含まれるニッケル元素が還元触媒として作用するため容易に還元反応が進行し、450℃以下、特に180℃から300℃という非常に低い温度で還元を行うことができる。また、このように低い温度で還元できるということは、製造装置のシール部分がゴムパッキング等の材料の使用が可能となり、製造設備のコストを低下できるというメリットもある。無定形の二酸化チタンを用いる場合にも上記の温度において還元処理中に望ましいアナターゼ型の結晶に変わる。
【0026】
二酸化チタンの還元については例えばミューラーらの報告があるが(R.P.Muller, J.Steinle, H.P.Boehm,”Z.Naturforsch.”45b, 864(1990))、ここでは二酸化チタンにUV照射で還元剤としてメチルアルコールを用いて還元反応を行っており、二酸化チタンが白色から青色に変化し、その際二酸化チタンの還元量は0.2mmol/g程度であると報告している。一般に、二酸化チタンの結晶形を保持した形での還元は難しく、尾崎萃ほか編「触媒調製化学」169頁、講談社サイエンティフィク(1980)および清山哲郎著「金属酸化物とその触媒作用」179頁、講談社サイエンティフィク(1978)には、二酸化チタンは結晶表面のみ還元される金属酸化物であることが記載されている。これに対して、本発明では、上記のようなニッケル種を含む二酸化チタンを使用することによって、低い温度で容易に二酸化チタンを還元することができたものである。
【0027】
本発明においては、水素ガスを用いて支障なく還元を実施しうるが、従来から還元剤として知られている化合物、例えば、エチルアルコールなどのアルコール類、プロピレンなどの炭化水素化合物を使用してもよい。また、特に望むなら、紫外線などの照射による反応を促進する方法も妨げるものではない。
【0028】
このニッケル種を含む二酸化チタンの還元は、酸素ガスを遮断し、その混入のない装置であることが求められる。本発明では還元に用いる装置について特別の制限は設けない。通常はステンレス製反応管式で耐圧性を備えたものを用いる。具体的には該ニッケル種を含む二酸化チタンを装置内に置き、不活性ガスをキャリヤーガスに用い、加圧、加熱下に水素ガスを導入して還元反応を行う。キャリヤーガスとしてはアルゴンガスなどの希ガスが特に好ましく用いられるが、望むなら窒素ガスをキャリヤーガスに用いてもよい。反応器内の圧力は通常0.01MPaから0.7MPa程度、好ましくは0.05MPaから0.5MPaの範囲で行う。還元反応は、反応器内を上記の圧力に保ち、還元温度は、上述の如く450℃以下、好ましくは150℃から400℃の範囲で数時間かけて行う。このような条件が、ニッケル種を含む二酸化チタンの還元を促進し、結晶構造の変化しない優れた品質を保つのに適した条件である。その際、該ニッケル種を含む二酸化チタンが水素ガスによって還元処理を行われると二酸化チタンの酸素の一部が水素との反応により脱離して水を生成する。還元反応を終了して得られた反応物は、冷却後、反応器と共にグローブボックスに移し酸素を遮断した窒素ガス気流中で密封容器に取出される。
【0029】
このニッケル種を含む二酸化チタンは水素ガスによる還元反応を終了すると、暗灰色から黒色を呈する反応物となり、本発明の酸素吸収剤が得られる。この反応物を、上記のグローブボックス内で窒素ガスで完全に置換した無酸素の条件下で気密なプラスチック容器内に移し、グローブボックスより取出す。同じプラスチック容器内に一定量の空気(酸素濃度20.6%)を挿入すると時間の経過と共に容器内の酸素濃度が減少し反応物が酸素を吸収していることが分る。ここで該ニッケル種を含む二酸化チタンの1グラムあたりの酸素吸収量は、通常は大略20mlに達する。反応物の酸素吸収が終了すると、初期に認められた暗灰色から黒色を呈した反応物は、当初見られた色とは明かに異なる淡色化した灰色に変わる。
【0030】
本発明のニッケル種を含む二酸化チタンの還元処理に際しては、特に望むならばアルミナあるいはシリカなどを併用してもよく、また、ニッケル以外の原子、例えば、コバルト、鉄、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムなどの原子を必須成分とする化合物および(または)金属を共用してもよい。
【0031】
このような本発明の酸素吸収剤は、従来から使用されている鉄系の酸素吸収剤と異なり、水がまったく関与することがないにもかかわらず鉄系の酸素吸収剤と同程度の優れた酸素吸収能を有しており、しかも金属探知機での誤動作や電子レンジ等での使用に問題を生じない。また、無機化合物であるため、従来の有機化合物を使用した酸素吸収剤に見られる融解、溶解、燃焼などのトラブルの心配も存在しないため安全性が高く、品質保持剤として広い用途に適用し得るものである。
さらに本発明の酸素吸収剤のもう一つの特徴は、いったん酸素吸収剤として使用した後、使用済みの酸素を吸収した酸素吸収剤を、ほぼ同様の条件で例えば水素などで還元処理を施すことにより再び同程度の酸素吸収能を回復し、酸素吸収剤として使用することのできるということである。
【0032】
また、アナターゼ型の二酸化チタンを用いた場合には、光触媒作用をも兼ね備え抗菌性などの付加機能を有する従来にない脱酸素剤、鮮度保持剤を含む、より一層広い用途の品質保持剤などに用い得る酸素吸収剤とその製造方法を提供するものである。
【0033】
本発明の酸素吸収剤は、一般的に気密性の容器に充填して酸素吸収剤製品として販売される。かかる容器としては、気密性の金属製又は合成樹脂製の容器や空気透過性のない合成樹脂製の袋などが挙げられる。使用に際しては、この気密性の容器を開放し、又は袋に穴などを開けて使用する。
さらにこの酸素吸収剤製品には、本発明の酸素吸収剤のほかに補助的な成分として、モンモリロナイトなどの天産の鉱物、活性白土などの加工された鉱物、合成シリカ、ゼオライトなどの合成鉱物、活性炭などの吸着剤あるいはこれらの物質に水を含ませるなどの物質を必要に応じて使用してもよい。また、従来から使用されている酸素吸収促進剤なども必要に応じて、本発明の特徴を損なわない範囲で併用することを妨げるものではない。
【0034】
【実施例】
次に実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、「%」は、特別に記載しない限り重量基準である。
【0035】
実施例1:
硝酸ニッケルの含浸によるニッケル種を含む二酸化チタンの調製
堺化学工業株式会社製のアナターゼ型二酸化チタン、CSP−M{TiO2、分子量:79.88、純度(900℃、30分加熱後の重量)>90%、硫酸根< 8%、比表面積 115m2/g}の10.0g(125mmol)を、関東化学株式会社製の試薬特級、硝酸ニッケル(II)6水和物{(Ni(NO3)2・6H2O、分子量:290.79}の1.8g(6.25mmol)を7.3gのイオン交換水で希釈調製した20%濃度の水溶液とビーカー内でよく混合した後に磁性のシャレーに移す。1日放置して自然乾燥した後に電気炉で250℃の温度で2.5時間乾燥した。冷却の後、塊状の乾燥物を乳鉢でよく粉砕し、5モルパーセントの硝酸ニッケルを含むニッケル種を含む二酸化チタン{TiO2・(Ni(NO3)2)0 . 05、分子量:89.0}の9.1gを得た。このニッケル含有二酸化チタン複合体の組成を蛍光X線により調べた結果は、Ti:51.5%(計算値:53.8%)、Ni:3.9%(計算値:3.3%)、S(硫黄):1.6%であり、X線回折ではアナターゼ型の結晶形を有することが確認され、比表面積の測定結果は、102m2/gであった。
なお、上記の分析において蛍光X線分析装置は日本フィリップス株式会社製、PW2404、X線回折装置はマックサイエンス社製、全自動回折装置MXP3A、比表面積測定装置は島津製作所製、フローソーブを使用した。
【0036】
ニッケル種を含む二酸化チタンの水素ガスによる還元
ステンレス製1/8インチ管に圧力ゲージの付いたイナートガスライン、同じくステンレス製1/8インチ管水素ガスラインを、温度計を付したステンレス製の内径35mm、高さ130mmの円筒形のステンレス製反応器に接続し、反応器の排出ガス用ステンレス製1/8インチ管ラインに組成分析用のガスクロマトグラム、トラップ、バックプレッシャーバルブを取り付けて反応装置を構成した。この反応装置を用い、上記で得たニッケル種を含む二酸化チタン、5.0g(56.2mmol)を反応器内に仕込む。450℃の温度で3.0時間焼成、放冷の後、イナートガスとしてアルゴンガスを付加圧力0.4MPa、流速 100ml/minで導入し、加熱を開始した。200℃の温度で水素ガスの付加圧力0.4MPa、バックプレッシャーゲージ圧を0.3MPaに設定、すなわち反応装置内の圧力を0.3MPaに保って、水素ガスの流速を22ml/minで導入して還元反応を開始し、反応状況をガスクロマトグラムにより調べた。200℃で水素ガスの導入を開始すると水素ガスが二酸化チタンの酸素原子を還元したことによると推定される水の生成が認められる。200℃の温度で120分間を経過すると水の生成量の低下がみられたため220℃に昇温して60分間保ち、以後反応状況を観察しながら段階的に反応温度を高め240℃で90分、260℃で120分、合計390分間、水素ガスを導入して反応を継続して行った。
【0037】
この間に生成した水の量を積算するとニッケル種を含む二酸化チタン{TiO2・(Ni(NO3)2)0 . 05、分子量:89.0}の1グラム(11.2mmol)当たり水 43.8ml(1.96mmol)、が生成した。冷却の後バルブを閉じ加圧状態で、グローブボックス内に移し窒素ガスで完全に置換してグローブボックス内の酸素濃度が30PPM以下に到達した後、窒素ガス流通下に酸素濃度を40PPM以下に保ちながら反応物を反応器から気密性のプラスチック包装容器に取り出す。そのプラスチック包装容器に空気を導入し10日余り後の酸素濃度を測定した結果から、反応物は18.3ml/g(0.75mmol/g、0℃の換算値)の酸素を吸収していることが判明した。また、グローブボックスから取り出した際は黒色であった反応物は淡い灰色に変化した。なお、酸素濃度の分析には東レエンジニアリング社製、酸素濃度計LF−750を使用した。また、X線回折により結晶構造を調べた結果アナターゼの結晶構造を有していることが確認された。
【0038】
ニッケル種を含む二酸化チタンの水素ガスによる再還元
上記と全く同じ装置、方法で還元し、酸素を吸収した後の淡い灰色の反応物3.0gを焼成の工程を除いた以外は、上記の工程と全く同様に還元反応を行った。反応温度は200から260℃で反応時間は400分であった。反応物は反応後、黒色に変化し、反応中に42.6ml/g(1.90mmol/g)の水を生成した。この反応物を同様にしてプラスチック包装容器内で酸素を吸収させたところ、反応物は20.0ml/g(0.82mmol/g)の酸素ガスを吸収して灰色に変化した。また、X線回折により結晶構造を調べた結果アナターゼの結晶構造を有し、繰り返し還元によっても構造変化は全く見られず元の結晶構造を保持していることが確認された。
【0039】
比較例1:
二酸化チタンの水素ガスによる還元
二酸化チタン複合体の代わりに、堺化学工業株式会社製のアナターゼ型二酸化チタン、CSP−M(TiO2、分子量:79.88)3.0g(37.6mmol)を用いる以外は、実施例1と同じ反応装置、方法で反応を実施した。イナートガスにアルゴンガスを使用し反応器内の圧力0.3Mpaで水素ガスの流速14ml/minで200℃から260℃の温度に段階的に高め、合計360分間の還元反応を実施した。この間に二酸化チタンの酸素が水素還元によって生成したと見られる水の生成量は1.2ml/g(0.05 mmol/g)で反応物は灰色がかった白色であり、また反応物の酸素吸収量は0.5ml/g(0.02 mmol/g)であった。
【0040】
比較例2:
比較例1と同じ、堺化学工業株式会社製のアナターゼ型二酸化チタン、CSP−M(TiO2、分子量:79.88)3.0g(37.6 mmol)を用い、実施例1と同じ反応装置、方法で反応を実施した。イナートガスにアルゴンガスを使用し反応器内の圧力0.3Mpaで水素ガスの流速14ml/minで300℃から450℃の温度に段階的に高め、合計380分間の還元反応を実施した。この間に二酸化チタンの酸素が水素還元によって生成した水の生成量は13.1ml/g(0.54mmol/g)で反応物は灰色であり、また反応物の酸素吸収量は、2.5ml/g(0.10 mmol/g)であった。
【0041】
実施例1と比較例1、2との比較
実施例1では、堺化学工業株式会社製のアナターゼ型二酸化チタン、CSP−Mに硝酸ニッケルを含浸して調製したニッケル種を含む二酸化チタンの5.0g(56.2mmol)を水素還元すると、200℃〜260℃の温和な加熱条件で容易に二酸化チタン(TiO2)に含まれる酸素原子が還元され(TiO2−x)、その結果としてニッケル種を含む二酸化チタン1グラム当たり、水分子43.8ml/g(1.96mmol/g)を生成した。反応の後、ニッケル種を含む二酸化チタンの還元反応物(TiO2−x)は空気中の酸素を吸収して二酸化チタン(TiO2)を再生しているものと推定され、再度、還元するとほぼ同じ現象を繰り返す。比較例1では実施例1で用いたと同じアナターゼ型二酸化チタン、CSP−M単独を実施例1と同じ反応条件で還元を試みたが、還元反応は殆ど進行せず、酸素の吸収量は0.5ml/g(0.02 mmol/g)であった。比較例2ではより高い450℃までの高温度、厳しい条件で還元を試みた結果、辛うじて水13.1ml/g(0.54mmol/g)を生成したが酸素の吸収量はわずかに2.5ml/g(0.10 mmol/g)に留まった。
すなわち、実施例1の本発明のものは、二酸化チタンに含浸された硝酸ニッケルの還元触媒としての作用もあって、比較例に示すように二酸化チタンを単に還元に付したものに比べて、二酸化チタンからの酸素原子の除かれる割合が大きいと推定され、大きな酸素吸収能を有することがわかる。
【0042】
実施例2:
酢酸ニッケルの含浸によるニッケル種を含む二酸化チタンの調製
実施例1と同様の方法で堺化学工業株式会社製のアナターゼ型二酸化チタン、CSP−M、10.0g(125mmol)と、関東化学株式会社製の試薬特級、酢酸ニッケル(II)4水和物{Ni(CH3COO)2・4H2O、分子量:248.84}の1.6g(6.25 mmol)から調製した16.7%濃度の水溶液とを、ビーカー内でよく混合した後に磁性のシャレーに移す。1日放置して自然乾燥の後、電気炉で250℃の温度で2.5時間乾燥した。冷却後、塊状の乾燥物を粉砕して、5モルパーセントの酢酸ニッケルを含むニッケル種を含む二酸化チタン{TiO2・(Ni(CH3COO)2)0 . 05、分子量:88.7}の8.6gを得た。このニッケル種を含む二酸化チタンの組成を蛍光X線により測定した結果は、Ti:56.2%(計算値:54.0%)、Ni:4.9%(計算値:3.3%)であり、X線回折ではアナターゼ結晶を有することが示され、比表面積の測定結果は、89m2/gであった。
【0043】
ニッケル種を含む二酸化チタンの水素ガスによる還元
上記のニッケル種を含む二酸化チタン5.0g(56.4mmol)を実施例1と同じ反応装置に仕込み、イナートガスとしてアルゴンガスの付加圧力0.4MPa、流速100ml/minで、水素ガスの付加圧力0.4MPa、バックプレッシャーゲージ圧を0.3MPaに設定、すなわち反応装置内の圧力を0.3MPaに保ちつつ昇温する。200℃に達したところで水素ガスの流速を22ml/minで導入すると、二酸化チタンの酸素原子を還元したことによると推定される水の生成が認められる。200℃の温度で反応を継続、水の生成量の低下がみられたところで段階的に反応温度を260℃まで高め、合計700分間、水素ガスを導入して反応を行った。この間に生成した水の量を積算するとニッケル種を含む二酸化チタン{TiO2・(Ni(CH3COO)2)0 . 05、分子量:88.7}1グラム(11.27mmol)に対し水43.2ml/g(1.93 mmol/g)が生成している。グローブボックス内で反応物を反応器から気密性のプラスチック包装容器に移し、空気を挿入して酸素の吸収量を測定した結果、反応物は18.4ml/gの酸素を吸収していることが判明した。また、グローブボックスから取り出した当初は黒色であった反応物は淡い灰色に変化した。また、X線回折により結晶構造を調べた結果アナターゼの結晶構造を有していることが確認された。
【0044】
ニッケル種を含む二酸化チタンの水素ガスによる再還元
酸素を吸収した後の淡い灰色の反応物、3.0gを用いて、上記と同じ反応装置で反応温度を240℃の一定に保ち320分間、還元反応を行った。反応物は黒色に変化し、反応中に29.6 ml/g(1.32mmol/g)の水を生成した。黒色の反応物は15.1 ml/g(0.62mmol/g)の酸素ガスを吸収し、いくぶん濃い灰色に変色した。また、X線回折により結晶構造を調べた結果アナターゼ構造を有し、繰り返し還元によっても構造変化は全く見られず元の結晶構造を保持していることが確認された。
【0045】
実施例2と比較例1、2との比較:
実施例2では、アナターゼ型二酸化チタン(TiO2)、CSP−Mに酢酸ニッケルを含浸して調製したニッケル種を含む二酸化チタンの還元反応が、200℃〜260℃の温和な加熱条件で進行している(TiO2−X)。この反応でニッケル種を含む二酸化チタンの還元反応物(TiO2−X)は、18ml/gの酸素を吸収しており、比較例1、比較例2の還元の結果とは全く異なり、二酸化チタンの還元も進んでおり、酸素の吸収量も大きい。また、実施例2は実施例1と同様に水素で再還元することによって酸素吸収能が回復し、再び酸素吸収剤としての使用が可能であった。
【0046】
実施例3:
酢酸ニッケルの含浸によるニッケル種を含む二酸化チタンの調製
実施例1と同様の方法でテイカ株式会社製のアナターゼ型二酸化チタンAMT−100の15.0g(188mmol)と、関東化学株式会社製の試薬特級、酢酸ニッケル(II)4水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O、分子量:248.84)の2.34g(9.4 mmol)の16.7%濃度の水溶液とを、よく混合して、磁性のシャレーに移し1日放置して自然乾燥の後、電気炉内で250℃の温度で2.5時間乾燥した。冷却後、塊状の乾燥物を粉砕して、5モルパーセントの酢酸ニッケルを含んだニッケル種を含む二酸化チタン(TiO2・(Ni(CH3COO)2)0 . 05、分子量:88.7)の15.3gを得た。このニッケル種を含む二酸化チタンの組成を蛍光X線により測定した結果は、Ti:57.1%(計算値:54.0%)、Ni:4.8%(計算値:3.3%)であり、X線回折ではアナターゼ結晶を有することが確認され、比表面積の測定結果は、180m2/gであった。
【0047】
ニッケル種を含む二酸化チタンの水素ガスによる還元
上記のニッケル種を含む二酸化チタンの5.0g(56.4mmol)を実施例1と同じ反応装置を用い、イナートガスとしてアルゴンガスの付加圧力0.4MPa、流速100ml/minで、水素ガスの付加圧力0.4MPa、バックプレッシャーゲージ圧を0.2MPaに設定、すなわち反応装置内の圧力を0.2MPaに保ちつつ昇温する。200℃に達したところで水素ガスの流速を22ml/minで導入すると、二酸化チタンの酸素原子を還元したことによると推定される水の生成が認められる。200℃の温度で反応を継続、水の生成量の低下がみられたところで段階的に反応温度を260℃まで高め、合計370分間、水素ガスを導入して反応を行った。この間に生成した水の量を積算するとニッケル種を含む二酸化チタン{TiO2・(Ni(CH3COO)2)0 . 05、分子量:88.7}に対し水39.2ml/g(1.75mmol/g)が生成していた。グローブボックス内で反応物を反応器から気密なプラスチック包装容器に移し、空気を導入したが酸素の吸収は少なく1.2ml/g(0.05mmol/g)であった。そこで反応物3gを気密なプラスチック包装容器に挿入し1グラムの水を加えたところ、14.1ml/g(0.63mmol/l)の酸素を吸収した。X線回折により結晶構造を調べた結果アナターゼ構造を有していることが確認された。
【0048】
比較例3:
二酸化チタンの水素ガスによる還元
上記のニッケル種を含む二酸化チタンの代わりに、テイカ株式会社製のアナターゼ型二酸化チタンAMT100(TiO2、分子量:79.88)の400℃、3時間の焼成品3.0g(37.6mmol)を用いる以外は、実施例1と同じ反応装置、方法で反応を実施した。イナートガスとしてアルゴンガスを流し反応器内の圧力0.3MPaで水素ガスの流速14ml/minで200から260℃の温度に段階的に高め、合計380分間の還元反応を実施した。この間に二酸化チタンの酸素が水素還元による水の生成は、殆ど全く認められず、また反応物の酸素吸収量も同様であった。
【0049】
比較例4:
二酸化チタンの水素ガスによる還元
上記のニッケル種を含む二酸化チタンの代わりに、テイカ株式会社製のアナターゼ型二酸化チタン、AMT100(TiO2、分子量:79.88)の400℃、3時間の焼成品3.0g(37.6mmol)を用いる以外は、実施例1と同じ反応装置、方法で反応を実施した。イナートガスとしてアルゴンガスを流し反応器内の圧力0.3MPaで水素ガスの流速14ml/minで260から450℃の温度に段階的に高め、合計380分間の還元反応を実施した。この間に二酸化チタンの酸素が水素還元による水の生成量は0.6ml(0.03mmol)で、反応物の酸素吸収は殆ど全く認められなかった。
【0050】
実施例3と比較例3、4との比較:
実施例3では、アナターゼ型二酸化チタン(TiO2)ATM100に酢酸ニッケルを含浸して調製したニッケル種を含む二酸化チタンの還元反応が、200−260℃の温和な加熱条件で進行して還元反応物(TiO2−x)を得ている。このニッケル種を含む二酸化チタンの反応物(TiO2−x)は、14.1ml/gの酸素を吸収している。しかしATM100単独を用いた比較例3、さらに高温で還元を試みた比較例4においても殆ど水の生成が認められなかった。
【0051】
実施例4
ニッケル種を含む二酸化チタンの水素ガスによる還元
実施例1と全く同じ反応装置を用い、実施例2で用いたと同じ方法で調製したニッケル種を含む二酸化チタン5.0g(56.4mmol)を反応器内に仕込み、イナートガスとしてアルゴンガスの変わりに窒素ガスを用い、付加圧力0.2MPa、流速100ml/minで、水素ガスの付加圧力0.4MPa、バックプレッシャーゲージ圧を0.1MPaに設定、すなわち反応装置内の圧力を0.2MPaに保ちつつ昇温する。230℃に達したところで水素ガスの流速を22ml/minで導入すると、二酸化チタンの酸素原子を還元したことによると推定される水の急激な生成が認められた。230℃の温度で反応を継続、水の生成量の低下がみられたところで段階的に反応温度を240℃まで高め、合計320分間、水素ガスを導入して反応を行った。この間に生成した水の量を積算するとニッケル種を含む二酸化チタン{TiO2・(Ni(CH3COO)2)0 . 05、分子量:88.7}1グラム(11.3mmol)に対し水49.6ml/g(2.21mmol/g)が生成したものと推定される。グローブボックス内で反応物を反応器から気密なプラスチック包装容器に移し、空気を挿入して酸素の吸収量を測定した結果、反応物は16.1ml/gの酸素を吸収していることが判明した。また、グローブボックスから取り出した当初は黒色であった反応物は淡い灰色に変化した。X線回折により結晶構造を調べた結果、アナターゼ型の構造を有していることが確認された。
【0052】
比較例5:
二酸化チタンの水素ガスによる還元
実施例4のニッケル種を含む二酸化チタンの代わりに、堺化学工業株式会社製のアナターゼ型二酸化チタン、CSP−M(TiO2、分子量:79.88)を450℃で2時間焼成した焼成品3.0g(37.6mmol)を用い、イナートガスとして窒素ガスを用いる以外は、実施例1と同じ反応装置、方法で反応を実施した。イナートガスの窒素ガスを反応器内の圧力0.3Mpaで水素ガスの流速14ml/minで200℃から240℃の温度に段階的に高め、合計380分間の還元反応を実施した。この間に二酸化チタンの酸素が水素還元によって生成したと見られる水の生成量は4.5ml/g(0.20mmol/g)で反応物は薄い茶色あり、また反応物の酸素吸収量は3.3ml/g(0.13mmol/g)であった。
【0053】
実施例4と比較例5との比較:
実施例4の酢酸ニッケルを含む二酸化チタンは、二酸化チタンCSP−M単独の場合に比較して明らかに水素還元による水の生成が多く、また反応物の酸素吸収量も16.1ml/gと多いが、二酸化チタンCSP−M単独の場合には3.3ml/gに過ぎない。
【0054】
実施例5:
硝酸ニッケルの共沈殿によるニッケル種を含む二酸化チタンの調製
関東化学株式会社製の試薬特級、硫酸チタン(IV)水溶液(24.0%濃度、硫酸チタン(IV)の分子量240.01)の120g(120mmol)と、関東化学株式会社製の試薬特級、硝酸ニッケル(II)6水和物{Ni(NO3)2・6H2O、分子量:290.79}の1.7g(5.85mmol)を10.5gのイオン交換水で希釈調整した13.9%濃度の硝酸ニッケル水溶液とを、ビーカー内でホモミキサー(特殊機化工業株式会社製MARKIIfmodel)にて約2000rpmで30分間よく混合した後、約30分静置する。再度ホモミキサーにて攪拌しつつ、関東化学株式会社製の試薬特級、水酸化ナトリウム(分子量40.00)をイオン交換水で10%濃度に希釈調整した水溶液を滴下して中和した。pH試験紙でpHを確認しながら、pHが7.4〜7.6になったら、水酸化ナトリウムの滴下を終了する。この時ビーカー内には、硫酸チタン及び硝酸ニッケルが水酸化ナトリウムで中和され生成した水酸化チタン及び水酸化ニッケルの薄い黄緑色のかゆ状の共沈殿物が生成していた。これを約30分静置した後、ADVANTEC製No.424濾紙にて減圧濾過し、磁性のシャレーに移す。
【0055】
1日放置して自然乾燥した後に電気炉で250℃の温度で2.5時間乾燥した。冷却の後、塊状の乾燥物を乳鉢でよく粉砕し、電気炉で400℃の温度で2時間焼成した。これらの操作により、5モルパーセントの酸化ニッケルを含むニッケル種を含む二酸化チタン{TiO2・(NiO)0 . 05 分子量:83.6}14.0gを得た。
このニッケル種を含む二酸化チタンの組成を蛍光X線により調べた結果は、Ti:57.0%(計算値:57.3%)、Ni:3.7%(計算値:3.5%)、S(硫黄):0.4%であり、X線回折ではアナターゼ型の結晶形を有することが確認され、比表面積の測定結果は、58m2/gであった。
【0056】
ニッケル種を含む二酸化チタンの水素ガスによる還元
上記のニッケル種を含む二酸化チタン5.0g(59.8mmol)を実施例1と同じ反応装置に仕込み、イナートガスとしてアルゴンガスの付加圧力0.4MPa、流速100ml/minで、水素ガスの付加圧力0.4MPa、バックプレッシャーゲージ圧を0.3MPaに保ちつつ昇温する。200℃に達したところで水素ガスの流速を22ml/minで導入すると二酸化チタンの酸素原子を還元したことによると推定される水の生成が認められる。200℃の温度で反応を継続、水の生成量の低下がみられたところで段階的に反応温度を260℃まで高め、合計380分間、水素ガスを導入して反応を行った。この間に生成した水の量を積算するとニッケル種を含む二酸化チタン{TiO2・(NiO)0 . 05 分子量:83.6}1グラム(11.96mmol)に対し水33.5ml/g(1.50mmol/g)が生成していた。グローブボックス内で反応物を反応器から気密性のプラスチック包装容器に移し、空気を挿入して酸素の吸収量を測定した結果、反応物は、15.1ml/gの酸素を吸収していることが判明した。また、グローブボックスから取り出した当初は黒色だった反応物は淡い灰色に変化した。X線回折ではアナターゼ型の結晶形を有し金属ニッケルを有することが確認された。
【0057】
比較例6:
二酸化チタンの調製
関東化学株式会社製の試薬特級の硫酸チタン(IV)水溶液{24.0%濃度、硫酸チタン(IV)の分子量240.01)の120g(120mmol)をビーカーに取り、ホモミキサーにて攪拌しつつ、関東化学株式会社製の試薬特級の水酸化ナトリウムをイオン交換水で10%に希釈調整した水溶液を滴下し中和した。pH試験紙でpHを確認しながら、pHが7.4〜7.6になったら、水酸化ナトリウムの滴下を終了する。この時ビーカー内には、水酸化チタンの白いかゆ状の沈殿が生成していた。約30分間静置した後、実施例5と同様に減圧濾過し、磁性のシャレーに移す。
1日放置して自然乾燥した後に電気炉で250℃の温度で2.5時間乾燥した。冷却の後、塊状の乾燥物を乳鉢でよく粉砕し、電気炉で400℃の温度で2時間焼成した。これらの操作により、二酸化チタン13.7gを得た。この二酸化チタンは、X線回折では、アナターゼ型の結晶形を有することが確認され、比表面積の測定結果は、55m2/gであった。
【0058】
二酸化チタンの水素ガスによる還元
共沈殿法にて作成したニッケル種を含む二酸化チタンのかわりに、上記にて作成した二酸化チタン3.0g(37.6mmol)を用いる以外は、実施例4と同じ反応装置、方法で反応を実施した。イナートガスにアルゴンを使用し反応器内の圧力0.3MPaで水素ガスの流速14ml/minで200℃から260℃の温度に段階的に高め、合計380分間の還元反応を実施した。この間に二酸化チタンの酸素が水素還元によって生成したと見られる水の生成は殆ど全く認められず、また反応物の酸素吸収量も殆ど全く認められなかった。
【0059】
実施例5と比較例6との比較:
実施例5では、硫酸チタン(IV)水溶液と硝酸ニッケル水溶液を水酸化ナトリウム水溶液で中和、共沈殿して調製したニッケル種を含む二酸化チタン{TiO2・NiO}を用いているため、この還元反応が200−260℃という温和な加熱条件で進行している。そしてこのニッケル種を含む二酸化チタンの還元反応物は、15.1ml/gの酸素を吸収した。しかし、硫酸チタン(IV)を水酸化ナトリウム水溶液で中和沈殿させて得た二酸化チタンの還元反応物は、殆ど水の生成が認められていない。
【0060】
【発明の効果】
本発明の酸素吸収剤は、全く新規な材料を使用し、従来から多く使用されている鉄系の酸素吸収剤にみられる金属探知機に感応することもなく、アスコルビン酸のような可燃物ではなく安全性の高い酸素吸収剤である。さらに、二酸化チタンの種類によっては使用時に水を必ずしも必要とするものでないため、安心して品質保持のための広い用途に応用することができる。また、本発明の酸素吸収剤は、使用後再び還元することによって容易に酸素の吸収能を回復することができ、リサイクルが可能なため環境に配慮した酸素吸収剤として脱酸素剤、鮮度保持剤を含む広い範囲の品質保持剤の製品として使用することができるものである。
Claims (10)
- 無機酸のニッケル塩、有機酸のニッケル塩、ニッケルアルコキシド、および配位子を配位したニッケル錯塩からなる群から選ばれるニッケル原子を必須成分とする化合物を含有する二酸化チタンを、180〜300℃の温度で還元して得られる酸素吸収剤。
- 二酸化チタンがアナターゼ型の結晶形を有するものである、請求項1に記載の酸素吸収剤。
- 請求項1または2に記載の酸素吸収剤を、密閉した容器に封入した形態である、酸素吸収剤製品。
- 無機酸のニッケル塩、有機酸のニッケル塩、ニッケルアルコキシド、および配位子を配位したニッケル錯塩からなる群から選ばれるニッケル原子を必須成分とする化合物を、二酸化チタン若しくはチタン化合物と混合し又は反応させて、ニッケル種を含む二酸化チタンとし、ついで180〜300℃の温度で還元することを特徴とする、酸素吸収剤の製造方法。
- 無機酸のニッケル塩、有機酸のニッケル塩、ニッケルアルコキシド、および配位子を配位したニッケル錯塩からなる群から選ばれるニッケル原子を必須成分とする化合物の溶液を、二酸化チタンに含浸させ、この含浸物を加熱乾燥後180〜300℃の温度で還元することを特徴とする、請求項4記載の酸素吸収剤の製造方法。
- 無機酸のニッケル塩、有機酸のニッケル塩、ニッケルアルコキシド、および配位子を配位したニッケル錯塩からなる群から選ばれるニッケル原子を必須成分とする化合物の溶液と、チタン化合物の溶液とを共沈殿させ、この沈殿物を加熱乾燥後180〜300℃の温度で還元することを特徴とする、請求項4に記載の酸素吸収剤の製造方法。
- チタン化合物がチタンの有機酸塩又は無機酸塩である、請求項4又は6に記載の酸素吸収剤の製造方法。
- ニッケル種を含む二酸化チタンの還元が水素ガスによるものである請求項4ないし7のいずれか1項に記載の酸素吸収剤の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の酸素吸収剤に酸素を吸収させた後、再度還元することを特徴とする、酸素吸収剤の再使用方法。
- 請求項1又は2に記載の酸素吸収剤を気密性の容器に、保存するための物品とともに入れて密封して保存することを特徴とする、酸素吸収剤の使用方法。
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