JP4071294B2 - 円錐ベアリングと組み合わされたジャーナルを有する両端開放型の流体力学ベアリング - Google Patents
円錐ベアリングと組み合わされたジャーナルを有する両端開放型の流体力学ベアリング Download PDFInfo
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Description
本出願は、1997年4月24日に出願された米国暫定特許出願第60/044100号に基づき、本出願の譲受人によって譲渡され、参照によってここに組み込まれている。
さらに、1997年12月19日に出願された米国特許出願第08/994100号(代理人事件番号第A64698/JAS)、1997年12月19日に出願された米国特許出願第09/043065号(代理人事件番号第A65138/JAS)、及び1997年12月19日に出願された米国特許出願第08/981338号(代理人事件番号第A64699/JAS)を参照すべきであり、これらの全てが、本発明の譲受人によって譲渡され、参照して本願含まれる。
発明の分野
本発明は、磁気ディスクドライブ保存システムに関し、特に本発明は磁気ディスクドライブ保存システムにおいて使用される流体力学流体ベアリングに関する。
発明の背景
磁気ディスクドライブは磁気的に情報を保存するために使用される。磁気ディスクドライブでは、磁気ディスクは高速度で回転してトランスデューサヘッドはディスクの表面にわたって「浮いて」いる。このトランスデューサヘッドは、ディスク上に磁界を印加することによって、情報をディスク表面に記録する。情報は、ディスク表面の磁化を検出することによって、トランスデューサヘッドを使用して読み戻される。トランスデューサヘッドは、異なるデータトラックが読み戻されることができるように、デスクの表面に沿って半径方向に移動せしめられる。
数年にわたって、保存密度は増加する傾向があり、この保存システムの寸法は小さくなる傾向があった。この傾向は、磁気保存ディスクの製造及び作動において、より高い精度及びより小さな許容誤差をもたらした。例えば、増加された保存密度を実現するために、トランスデューサヘッドは、保存ディスクの表面により近くに配置されなければならない。この近接は、ディスクが実質的に一つの平面において回転することを必要とする。ディスクの回転におけるわずかなウォブル又は振れは、ディスクの表面のトランスデューサヘッドへの接触を招く可能性がある。これは「クラッシュ」として知られ、トランスデューサヘッド及び保存ディスクの表面を損傷させ、データの損失を結果として生じる可能性がある。
前述の説明から、保存ディスクを支持するベアリング組立体は、非常に重要である。ある典型的なベアリング組立体は、一対のレース間に支持された玉ベアリングからなり、これは、保存ディスクのハブが固定部材に関して回転することを可能にする。しかしながら、玉ベアリング組立体は、磨耗、振れ及び製造の困難さ等の多くの機械的な問題を有する。さらに、作用する衝撃及び振動への抵抗が、低い減衰のために弱い。こうして、高密度の磁気保存ディスクで使用するための別のベアリング組立体が求められてきた。
研究されてきたある別のベアリングの構成は、流体力学ベアリングである。流体力学ベアリングにおいて、空気又は液体等の潤滑流体は、ハウジングの固定部材とディスクのハブの回転部材との間にベアリング面を付与する。空気の他に、典型的な潤滑剤は、油又は強磁性の流体を含む。流体力学ベアリングは、一連の点のインターフェースを具備する玉ベアリング組立体と比べて、大きな表面領域にわたったベアリングのインターフェースを広げる。これは、増加されたベアリング表面が回転部材と固定部材との間のウォブル又は振れを減少するので望ましい。さらに、インターフェース領域での流体の使用は、ベアリングに制動効果を与え、これは繰り返す振れを減らすのに役立つ。
しかしながら、流体力学ベアリング自身は、構成される方法に基づく多数の不利な点から苦しむ。例えば、一つの板を片持ちしているベアリングは低い堅固さ対力の比を有し、外部の振動、不安定及び衝撃に敏感となる可能性がある。
この問題の望ましい解決方法は、ディスクドライブのハウジングのベースカバーと頂部カバーへ取り付けられたスピンドルモータを有することである。これは、全体の駆動効率を増加させる。両端に取り付けられたモータは、一端のみによって保持されたモータより非常に強固である。
全ての公知の流体力学モータの構成は、頂部カバーを取り付けるための方法を提供していない。この理由は、頂部カバーを有するために、モータ及び特にベアリングは両端において開放している必要があることである。両端においてモータを開放することは、流体力学ベアリングからの漏れの危険を大いに増す。この漏れは、とりわけ、このベアリングにおいて送り込む圧力を異ならせることによって生み出される正味の流量の小さな差によって発生する。もしベアリング内の全ての流れが注意深く平衡を保たれないならば、一端部又は両方の端部へ向かう正味の圧力の上昇がキャピラリーシールを通して流体を流す可能性がある。さらに、ベアリングの製造の欠陥のために、ジャーナル内の間隙は、ジャーナルの長さ方向に沿って一様でない可能性があり、これはベアリング内の圧力の不均衡を生み出し、それゆえ、流体力学ベアリングの両端が開放した時に漏れを引き起こす可能性がある。ベアリング内の圧力傾斜による正味の流れは、流体がベアリング内にとどまるように(全てのジャーナル個々によって)平衡に保たれなければならない。ジャーナルの溝部による送込みによる任意の不均衡は、一端部においてメニスカスが新しい平衡位置へ移動するまで、キャピラリーシールから流体を流す。このメニスカスの動的な平衡位置は、とりわけ、速度(N)、ジャーナル半径(R)、ジャーナルの間隙(H)及び円柱の許容誤差から生じる傾斜の量に依存する。
圧力の不均衡の効果を最小限にするために、ベアリングは可能な限り互いに相互作用を絶つ必要がある。このようなことをする方法の一つは、ベアリングを端部において大気に通気させることである。ベアリングにおけるこの種類の通気の理由の一つは、任意の種類の圧力の不均衡又は流れの不均衡の効果は一つの場所に集中せしめられることができるということである。もしベアリングがこのように十分に通気されなければ、流体がベアリングから漏れる危険がある。こうして、堅固さ(半径方向及び軸方向)、減衰及びそれゆえこの動的な効率を最適化するために、流体力学ベアリングに基づくモータの構成への新しいアプローチの必要性が存在する。両端が開放していて漏れず適切に機能する流体力学ベアリングを構成することはさらに望ましい。
発明の要約
したがって、衝撃、振動、及び負荷及び回転速度の変化の影響を比較的に受けない改良された流体力学流体ベアリングを生み出すことが本発明の目的である。
さらに、本発明の別の目的は、ベアリングが上端部及び下端部の両方において開放している流体力学ベアリングモータを提供することである。
本発明の関連した目的は、ベアリング内の流体の流れの平衡が維持されている両端部において開放している流体力学ベアリングを提供することである。
本発明の別の目的は、より容易に組み立てられて間隙が容易に調節される流体力学ベアリング組立体を提供することである。
本発明のさらなる目的は、種々の構成要素の組立体の許容誤差が最小化される、すなわち多くの間隙の批判的な性質が減らされた流体力学ベアリングを提供することである。
本発明の別の目的は、一端のみによって支持されている公知の標準のスピンドルモータより強固なスピンドルモータ等において有益である流体力学ベアリングを提供することである。
本発明のさらなる目的は、モータが、スピンドルモータのためのハウジングの頂部カバー及びベースカバーの両方へ取り付けられることができるスピンドルモータ等において有益である流体力学ベアリングを構成することである。
本発明のこれらの及び他の目的は、ベアリングカートリッジにおいて有益である流体力学流体ベアリングによって実現され、このカートリッジはスピンドルモータ等内に組み込まれることができ、このベアリングは、シャフトと、シャフトに支持されている円錐ベアリングと、少なくとも一方側及び典型的に円錐ベアリングの上方及び下方の両方に配置されるジャーナルベアリングを有する。スリーブは、このシャフトに関する回転のために取り付けられ、シャフトと協働して円錐形の流体力学ベアリング及び軸方向のジャーナルベアリングの両方のために必要な間隙を画成する。シャフトの端部において、キャピラリーシールは、流体が流体力学ベアリングから逃げないようにスリーブとシャフトとの間に画成される。このシャフト自身は中央ベント孔を有し、このボアは円錐ベアリング及びジャーナルベアリングの両方と連通し、これは互いにベアリングを相互作用を絶たせ、任意の圧力不均衡が一つの場所に集中せしめられる。
さらなる望ましい特徴において、シャフトの一端部の直径は、シャフトの他端部の直径より大きくされることができる。これは、シャフトと、取り囲むスリーブ又はジャーナルとの間の間隙を許容し、固定シャフトの直径がより大きく、流体力学ベアリングの少なくとも一部分内できつい許容誤差の必要性をなくす。好ましくは、シャフトの上端部(すなわち、ディスクドライブのスピンドルモータにおいて使用される時に、ベースから離れたシャフトの端部)は、より大きな直径のジャーナルベアリングを有する。
さらに、円錐ベアリングを組み込むことにより、軸方向の負荷及び半径方向の負荷の両方の支持が可能となる。これは、多数のディスクが回転のために支持されて所定のモータに課される軸方向負荷及び半径方向負荷を修正するディスクドライブのためのスピンドルモータ等の構成において特に有益である。
この構成のさらに別の利点は、頂部及びベースの両方においてシャフトの取り付けのために提供することによって、これは、作用する衝撃及びベアリングの振動に対する抵抗を高めるということである。
さらに本発明の別の特徴は、仕上げられたベアリング及び取り囲むスリーブの組立体は、一つの円錐ベアリングと円錐ベアリングの上方及び下方の両方の軸方向のジャーナルベアリングが設けられるという事実によってより容易に実現されることができるということである。
円錐ベアリングのより広い側が、ベアリングが垂直に配置される時に、負荷を担持するスラストプレートとして作用することができる。スラストプレート及び円錐ベアリングのために、ベアリングは間隙を調節することによって便利に前もって荷重がかけられることができる。
本発明の他の特徴及び利点は、以下の図に関して与えられた本発明の明細書を読む当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明による流体力学ベアリングカートリッジ及びスピンドルモータを組み込んだ磁気ディスク保存システムの斜視図である。
図2は、スピンドルモータ組立体内に組み込まれた従来技術の流体力学ベアリングカートリッジの垂直断面図である。
図3は、スピンドルモータ内に組み込まれた本発明による流体力学ベアリングカートリッジの垂直断面図である。
図4A及び4Bは、スピンドルモータの組立体において有益である特別な特徴を含む本発明を組み込んでいるスピンドルモータの垂直断面図である。
図5は、図3に示される実施態様と別の実施態様の部分略図である。
図6は、本構成の利点のいくつかを示す略図である。
発明を実施するための最良の形態
図1は磁性ディスクドライブ保存システムの拡大斜視図であり、ここでは本発明の流体力学ベアリングカートリッジが用いられている。以下で説明する実施形態では流体力学ベアリングとそれに対応したカートリッジとの使用をスピンドルモータと合わせて示す。このベアリングカートリッジが例示のみの目的で図示した特定の構成のディスクドライブとの使用に限定されないのは明らかである。本発明で得られる多くの利点が提供されるならば潜在的には回転用アクチュエータを支持するのに本発明を用いることもできる。またべアリングカートリッジはディスクドライブの分野以外の多くで利用可能である。
さらに本願で開示する流体ベアリングは固定シャフトと回転包囲スリーブとを有する。本願の構成はスリーブが固定され、シャフトが回転する場合でも有用である。流体ベアリングが両端で開放されているので、シャフトはスリーブを越えて延びることができ、軸線方向において外付けドライブまたはシステムに連結可能である。
この特定の実施形態では保存システム10はスピンドルモータ14を備えたハウジングベース12を有し、スピンドルモータ14は保存ディスク16を回転可能に保持する。保存ディスク16の表面を横断して電機子組立体18がトランスデューサ20を動かす。保存ディスク16の環境はシール22およびカバー24によりシールされる。作動時には保存ディスク16は高速で回転し、トランスデューサ20は保存ディスク16の表面上の径方向に分割されたトラックの一つに配置される。これによりトランスデューサ20は選択された位置の保存ディスク16の表面上の暗号化された情報を読み込み且つ保存ディスク16の表面上に暗号化した情報を磁気的に書き込むことができる。ディスクはディスク表面上方でトランスデューサが浮いている状態を維持するために数千RPMの非常に高速で回転する。今日の技術ではトランスデューサと回転するディスク表面との間の空間距離はミクロン単位で調整されるので、ディスクが傾いたりぐらついたりしないことが絶対的に重要である。
図2は本願の関する技術分野では既に確立されているタイプの構成のシングルスラストプレート型流体力学ベアリングモータの鉛直断面図である。本図で示したモータの基本的な構造は固定シャフト10とシャフト周りで回転できるようにスリーブ13から支持されたハブ12とを有する。シャフト10は一端にスラストプレート14を有し、反対側の端部ではショルダ16として終端する。スリーブ13はその一端でスラストプレート14上で回転できるようにカウンタープレート19を支持する。カウンタープレート19およびスラストプレート14は十分な間隙22により分割されており、このため流体力学ベアリングを潤滑するための潤滑流体がリザーバ20から出て間隙22を通り、スラストプレート14とスリーブ13の内面27との間、およびスラストプレート14の下面24とスリーブ13の上面25との間に画成されたリザーバ26と、スリーブの内面28と固定シャフトの外面29との間とを通り循環できる。流体は主に中央孔21を通ってリザーバに戻る。スラストプレート14とカウンタープレート19との間、スラストプレート14とスリーブ13との間、およびシャフト10とスリーブ13との間に画成された支持面上の流体の流れを促進するために概してこうした各組合せの対向する二つの面の一方が本願の技術分野では公知の溝部分を保持する。
流体はリザーバ20から全ての潤滑面に供給され、支持面上を流れ、中央孔21を通ってリザーバに戻される。モータ構成を完成するために用いられる重要な残りの構造はネジ領域31で終端するシャフト延長部30を有し、ネジ領域はベース44の一部に螺合せしめられる。スリーブ13から支持された磁石40とステータ42が協動し、ステータ巻き線42を活性化することにより固定シャフト周りでスリーブ13およびハブ12が回転せしめられる。
ディスクドライブモータで用いられているように、このシステムは回転する一つ又はそれ以上のディスク44を支持する。トランスデューサおよびディスクドライブがディスク表面上方で非常に低い高さで浮いているので、ディスクが回転するときにハブおよびディスクがぐらついたり振動したりしないことが重要である。さらに仮にぐらついたとしてもスラストプレート14の表面とこのスラストプレート14に対向するカウンタープレート19およびシャフト13の表面とが接触しないことも重要である。しかしながら上述したように、スラストプレート14である負荷支持面が振動またはぐらつきの際の枢動の中心点から遠くに位置しているような図2で示した片持ちタイプのベアリングでは対面している表面間で接地または接触が生じ、堆積物を形成する可能性を伴う長期の間における表面磨耗と、電力消費の増大およびベアリング寿命の短縮との両方を引き起こし、また短い間にディスク回転速度を遅くする可能性が高い。
このため後の図面の構成が採用された。この構成を採用することでスラストベアリングタイプまたは円錐ベアリングタイプのいずれであっても負荷受け面が流体力学システム全体の中央近くに配置される。生じる可能性のあるベアリング揺れの枢動点もベアリングの中央近くに位置する。こうしてできる限りディスクの中央に負荷受け面を移動することによりディスクがぐらつき又は振動してベアリング端部で接触しまう可能性が小さくなる。
そこで図3、図4Aおよび図4Bを参照して説明する本発明は流体力学ベアリングの上端および下端の両方を大気に開放した改良を提供する。即ち本発明を含む固定シャフトモータではシャフトの上端および下端の両方がハウジングのベースカバーおよび頂部カバーに取り付けられるので、モータの堅固さ、衝撃および振動に対する抵抗力、およびシステムの残りの部分に対する整列性が高められ維持される。勿論、シャフト100が両端で開口した構成はスリーブ102とシャフト100との両方が等しく相対的に回転可能な構成である。
ここで図3、図4Aおよび図4Bを参照すると、本発明で用いられるシャフトの構成と包囲回転スリーブに対するシャフトの関係とが示されている。本開示内容を検討し、図面を参照すれば当業者には図のシャフトが図2のシャフトの代わりに上述の図2のカートリッジに搭載されることは明らかである。
図3はスリーブ102を有するシャフト100を具備する流体力学的な流体ベアリングの構成を示した断面図であり、スリーブ102はシャフト100を包囲し、シャフトとスリーブとは相対的に回転する。スリーブ102の内壁とシャフト100の外壁との間の間隙104に流体力学的な流体があるのが分かる。流体はベアリングの回転部分と固定部分とを分け、これらの間に軸受け面を提供する。間隙104から流体が出てしまわないように間隙の頂部と底部とにキャピラリーシール106、108が形成される。これは分岐する壁を用いて形成され、図示ではスリーブの壁107が対面する面109から分岐しているが、その逆でもよい。また間隙104の反対側の端部でも同様の構成が用いられ、シール106が形成される。実際には本発明の思想を逸脱しない限りいかなる構成のキャピラリーシールを用いてもよい。
シャフトの外面または回転スリーブの内面のいずれかに形成される間隙内の溝については参照番号1〜8を付した八つの異なる部分で考える。概して頂部間隙部分7、8および底部間隙部分1、2はシャフト100とスリーブ102との互いに平行な軸方向壁150、152、シャフト100とスリーブ102との互いに平行な軸方向壁154、156それぞれにより画成されるジャーナルベアリングを具備する。
シャフトの径方向壁204、205とスリーブ102のカウンタープレート壁206、207とにより画成されるスラストベアリング(部分4、6)202は一方のジャーナルベアリング部分7、8に隣接して設けられる。また円錐ベアリング(部分3)200が他方のジャーナルベアリング部分1、2に隣接して鋭角壁208、210により画成される。
ベアリング部分1〜8に沿った溝は矢はず形、正弦形、半正弦形、または流体圧を発生し且つ間隙の表面上に流体を維持するのに必要な他の形態である。部分1、2、3、4、6、7、8上の溝は概してバランスがとれている。即ちこれら溝はこれら溝がいかなる方向にもネットの流体流を形成しないよう画成される。尚、上述したように多くの場合、孔104の軸線方向へ延びる短い部分5上で溝を用いる必要は全くなく、特にそれが主にリザーバとして用いられるときにはそうである。
図3の流体力学的な流体ベアリングシステムの方位は負荷を受ける要素を決定するので重要である。例えば図3ではスラストプレート6が主要負荷支持面である。残りの部分は特にバランスおよび全体の堅固さとシステムの制動とを維持するのを助ける。
即ちスラストベアリング202が溝パターン6と、シャフトの径方向面204およびそれに対面するスリーブの相補形状の径方向面206により画成された間隙とにより確立され、円錐ベアリング200がシャフト面208とそれと相補形状のスリーブ面210とにより確定され、全体を200で示した円錐ベアリングと全体を202で示したスラストベアリング202とを組み合わせると、システム内で傾きやぐらつきが生じることなく回転できるように多数のディスクを保持するのに必要な堅固さと剛性とが提供される。
シャフトおよびスリーブが逆さであっても、即ち図5に示したように円錐ベアリング200がスラストベアリング202の上方にあっても当該システムは等しく機能する。この場合の主な負荷支持面は全体を3で示した円錐ベアリング200である。しかしながら同様の考え方をシステム全体の構成に適用できる。
尚、システムのジャーナルベアリングの幾つかの相対的な寸法が特定されている。即ち上方ジャーナルベアリングを画成する固定シャフトの上方部分220の幅D0は下方ジャーナルベアリングを形成するシャフトの部分222の幅D1より大きい。これにより下方ジャーナルベアリングを構成する間隙226の幅に対して上方ジャーナルを画成する上方間隙224内の許容誤差が大きくなる。尚、スラストベアリング202からシャフトの端部までの上方ジャーナルベアリング7、8の長さLOは円錐ジャーナル200の端部からシャフトの端部まで延びる下方ジャーナルベアリング1、2の長さL1より短い。
本発明の更に重要な特徴は本願の構成により隣接するベアリング要素が互いに効果的に解除されることにあり、これは圧力の不均衡の効果を最小限に抑え、流体がベアリングのいずれかの端部から放出せしめられる可能性を低くする。従って側方へ延びる側方孔114、115、116、117、118は中央ベント孔110から各主要ベアリング部分1〜8の間の連結部まで設けられる。中央ベント孔110は好ましくはシャフトの一端から他端まで全てに亘り延びる。さらにスリーブ102およびシャフト100の壁が各ベアリングのいずれかの側で僅かに分岐する。図3に示した効果は概して隣接するベアリング部分間の連結部において一つの側方孔と間隙104との間の各連結部の両側にキャピラリーシールのメニスカスを形成し、或る一つのベアリング部分から次のベアリング部分へベアリング流体が流れてしまうことを防止し、隣接するベアリング部分を効果的に絶縁することにある。この解決手段によりベアリングのいずれかの端部から流体が損失する可能性が低くなる。
図4Aおよび図4Bは本発明のベアリングの別の組立方法を示した部分断面図である。これら組立方法はそれぞれ特にシャフト部分222により画成される長くて狭いジャーナルベアリング1、2より臨界間隙幅が小さいシャフト部分220により画成される短くて大きな径方向ジャーナルベアリング7、8を備える構成で有用である。本実施形態において上方部分が短く幅の広いジャーナルベアリングを有するならば、スリーブ102が所定位置に保持され、そこに長いジャーナルベアリングが挿入される。この解決手段ではスリーブ102が円錐ベアリングの間隙の一方の側を画成するためにテーパ壁210を有し、そして軸方向に延びる壁400で終端し、この壁が段部410で終端する。また相補形状のノッチ412がブロック414に設けられ、このブロック414はスリーブ102の側壁416と上方ジャーナルベアリング220の外壁418との間の間隙を満たす。相補形状の段部410とノッチ412とは間隙422、210が合理的な正確さで設定されるようにブロック414の位置を画成する。
尚、スリーブ210の円錐形の側壁が比較的短い鉛直壁440で終端し、それから角度を付けられた壁部分442へとテーパとされてもよい。そしてスラストベアリング202上方の空間を満たし且つジャーナルベアリング用の相補形状の壁を提供する充填ブロック444が所定位置に押し込まれ、ここでの充填ブロックは角度を付けられた外壁446を有し、この外壁446はスリーブの角度を付けられた内壁442にしっかりと対向せしめられる。これら相補形状に角度を付けられた壁を設けることにより充填ブロックが正確に所定位置に設置され、スラストベアリング202用の間隙422の幅ならびに上方ジャーナルベアリングおよび円錐ベアリングそれぞれの間隙424および210の幅が確立される。
本発明の他の特徴および利点は本発明の開示内容を検討すれば当業者には明らかである。本発明が効率的に円錐ベアリングとスラストベアリングとの両方の多くの利点を組み合わせているということは既に確立されている。包囲スリーブに対する流体力学ベアリングのインターフェースは従来よりも大きな領域に亘って延ばされ、ベアリングのより大きな堅固さと安定性とを提供する。さらに回転システムが安定しているほどスリーブ重心が重量支持面に近くなる。シングルプレート片持ちベアリングでは、通常、支持面であるスラストプレート6の上面から重心が遠くにある。本願で特定した構成ではベアリングの方位に基づいて決まる円錐ベアリングの上部または円錐ベアリング自体のいずれかである重量支持面がスリーブの重心に近い。このためシステムがより安定する。また円錐ベアリングの鋭角面は滑らかな作動と容易な組立とを促進し、また差熱による歪み効果を低減する。また特に本願の構成がシャフト延長部220、222を提供し、これら延長部がスラストベアリングと円錐ベアリングとの組合せの両側にジャーナルベアリングを画成するので円錐が概して流体力学ベアリング上の力により協動部分内で回転せしめられる。またドライブシャフトまたは包囲スリーブの小さな傾斜によりスラストプレートと包囲スリーブとの間で先端接触が生じ、またはスラストプレートが比較的長い距離だけ移動してしまう従来のスラストプレートの構成に比べて本願の構成は損傷の可能性が低いことは明らかである。
これら利点の多くは図6を参照すると良く分かる。図の抵抗R1〜R9は異なるベアリング部分で形成される運動に対する抵抗またはベアリング部分の堅固さを示す。径方向の堅固さ及び制動は上方ジャーナル7、8、円錐ベアリング3、および下方ジャーナル1、2により提供される。こうして本願の構成は安定性を高める。ジャーナル部分1、2および7、8が離れているので揺れに対する堅固さが増す。これにより支持性能が高まる。高められた支持性能に対して最大の対揺れ堅固さが得られるように上方ジャーナルおよび下方ジャーナルの直径D0、D1が重心または回転中心が場所に従って調節される。スラストプレート4、6および円錐ベアリング3に予め負荷を掛けておくと安定性が高まる。スラストプレート6および円錐ベアリング3内の間隙を調節し制御し、ジャーナルに基づく誤差とこれら性能低下を容易に補償することができる。
上述したように上記実施形態は固定シャフトの構成であるが、本願の構成は回転シャフトと固定スリーブとの組合せを容易に具備できる。
本発明の他の特徴および利点は本発明の開示内容を検討すれば当業者には明らかである。従って本発明の範囲は以下の請求の範囲によってのみ限定される。
Claims (21)
- 磁気ディスク保存システムにおいて、
ベースと、
回転軸線を有する回転可能な磁気保存ディスクと、
該磁気ディスク上で情報を読み込み及び書き込むためのトランスデューサヘッドと、
前記ベースに固定されたカバーと、
流体力学的な流体ベアリングシステムとを具備し、前記流体ベアリングシステムは、第一端部及び第二端部を有する固定シャフトを具備し、第一端部及び第二端部は、前記磁気ディスクを支持している回転スリーブと協働し、前記磁気ディスクは、前記固定シャフトの中心軸線と一致する回転軸線回りで前記固定シャフトに関して回転し、前記回転スリーブは、前記第一端部から前記第二端部へ向かって順に、第一ジャーナルベアリングと、前記第一ジャーナルベアリングに隣接する第一円錐ベアリングと、第一スラストベアリングと、前記第一スラストベアリングに隣接する第二ジャーナルベアリングとを形成するように、前記固定シャフトと協働し、前記スリーブと前記固定シャフトは、前記ベアリングの各々を潤滑するために流体を保持する間隙を形成するように協働し、前記間隙内の潤滑流体は前記シャフトと前記スリーブを分離しており、前記第一ジャーナルベアリングと前記第二ジャーナルベアリングは、前記固定シャフトの前記第一端部と前記第二端部それぞれの近くに位置している磁気ディスク保存システム。 - 前記円錐ベアリングは、前記スリーブの凹面と協働する前記シャフトの凸面によって形成されている請求項1に記載の磁気ディスク保存システム。
- 前記第一ジャーナルベアリング及び前記第二ジャーナルベアリングの各々は、前記固定シャフトと相対的に回転する前記スリーブとの間に間隙を有し、前記円錐ベアリング及び前記スラストベアリングから遠い前記間隙の前記端部の各々が、第一キャピラリーシール及び第二キャピラリーシールにおいて終端しており、前記間隙からの前記潤滑流体の損失を防ぐ請求項2に記載の磁気ディスク保存システム。
- 前記第二ジャーナルベアリング内に含まれている前記シャフトは、前記第一ジャーナルベアリング内に含まれている前記シャフトより大きな直径を有し、前記第一ジャーナルベアリングは、前記円錐ベアリングの狭い端部に直接的に隣接しており、それにより、前記流体力学流体ベアリングシステムの安定性が高められる請求項1に記載の磁気ディスク保存システム。
- 前記ベアリングの各々を効果的に分離する連結部の各々の両側にメニスカスが形成されるように、前記シャフトにおいて中央の軸線方向穴と、前記第一ジャーナルベアリングと前記第一円錐ベアリングと前記第一スラストベアリングと前記第二ジャーナルベアリングとの各々の間で、前記連結部へ延びている半径方向ベント孔とを有する請求項1に記載の磁気ディスク保存システム。
- 前記間隙内の前記流体は、液体からなる請求項5に記載の磁気ディスク保存システム。
- 前記円錐ベアリングのより広い端部は前記カバーにより近く、前記円錐ベアリングの前記狭い端部は、前記ベースにより近く、かつ前記軸線方向穴から連結部へ半径方向に延び、前記連結部は、前記流体力学ベアリングの間隙に沿って形成されている前記隣接するベアリングの各々の間にある請求項5に記載の磁気ディスク保存システム。
- 各前記連結部において、前記シャフトの前記壁及び前記スリーブは、キャピラリーシールが各前記連結部の両側に形成されて隣接するベアリングを隔離して個々の前記ベアリングの内部の前記潤滑流体を保持するように、分岐している請求項7に記載の磁気ディスク保存システム。
- 前記シャフトの壁は、前記流体力学ベアリングの間隙に沿って軸線方向に延びており、前記壁は、各前記連結部において半径方向に分岐しており、前記キャピラリーシールの形成を促進する請求項8に記載の磁気ディスク保存システム。
- 流体力学流体ベアリングシステムであって、第一端部及び第二端部を有する、予め定めた位置に固定されるのに適したシャフトを具備し、前記シャフトは、回転軸線上の前記シャフトに関して回転する回転スリーブと協働し、前記回転スリーブは、前記シャフトの中心軸線と一致する回転軸線回りで前記シャフトに関して回転し、前記回転スリーブは、前記第一端部から前記第二端部への順序において、第一ジャーナルベアリングと、前記第一ジャーナルベアリングに隣接する第一円錐ベアリングと、第一スラストベアリングと、前記第一スラストベアリングに隣接する第二ジャーナルベアリングとを形成するように、前記シャフトと協働し、前記第一ジャーナルベアリングと前記第二ジャーナルベアリングは、前記固定シャフトの前記第一端部と前記第二端部それぞれの近くに位置しており、
前記スリーブと前記シャフトは、前記ベアリングの各々を潤滑流体を保持する間隙を形成するように協働し、前記間隙は両端において前記ベアリングを周囲の大気へ開放し、前記間隙における潤滑流体は前記シャフトと前記スリーブを分離している流体力学流体ベアリングシステム。 - 前記円錐ベアリングは、前記スリーブの凹面と協働する前記シャフトの凸面によって形成されている請求項10に記載のシステム。
- 前記第一ジャーナルベアリング及び前記第二ジャーナルベアリングの各々は、前記シャフトと、前記相対的に回転するスリーブとの間の間隙を有し、前記円錐ベアリング及び前記スラストベアリングから遠い前記間隙の各前記端部が、第一キャピラリーシール及び第二キャピラリーシールにおいて終端しており、前記間隙から前記潤滑流体の損失を防ぐ請求項11に記載のシステム。
- 前記第二ジャーナルベアリング内に含まれている前記シャフトは、前記第一ジャーナルベアリング内に含まれている前記シャフトより大きな直径を有し、前記第一ジャーナルベアリングは、前記円錐ベアリングの狭い端部に直接的に隣接しており、それにより、前記流体力学流体ベアリングシステムの安定性が高められる請求項10に記載のシステム。
- メニスカスが前記ベアリングの各々を効果的に分離する連結部の各々の両側に形成されるように、前記シャフトにおいて中央の軸線方向穴と、前記第一ジャーナルベアリングと前記第一円錐ベアリングと前記第一スラストベアリングと前記第二ジャーナルベアリングとの各々の間で前記連結部へ延びている半径方向ベント孔とを有する請求項10に記載のシステム。
- 前記間隙内の前記流体は、液体からなる請求項14に記載のシステム。
- 前記円錐ベアリングのより広い端部は磁気ディスク保存システムのカバーにより近くに位置するのに適し、前記円錐ベアリングの前記狭い端部は、前記カバーを取り付けている磁気ディスク保存システムのベースにより近くに位置するのに適し、かつ前記軸線方向穴から連結部へ半径方向に延び、前記連結部は、前記流体力学ベアリングの間隙に沿って形成されている前記隣接するベアリングの各々の間にある請求項14に記載のシステム。
- 各前記連結部において、前記シャフトの前記壁及び前記スリーブは、キャピラリーシールが各前記連結部の両側に形成されて隣接するベアリングを隔離して個々の前記ベアリングの内部の前記潤滑流体を保持するように、分岐している請求項16に記載のシステム。
- 前記シャフトの壁は、前記流体力学ベアリングの間隙に沿って軸線方向に延びており、前記壁は、各前記連結部において半径方向に分岐しており、前記キャピラリーシールの形成を促進する請求項17に記載のシステム。
- 前記円錐ベアリングの狭い端部が磁気ディスク保存システムのカバーにより近くに位置するのに適し、前記円錐ベアリングのより広い端部が、前記カバーを取り付けている磁気ディスク保存システムのベースにより近くに位置するのに適している請求項10に記載のシステム。
- 前記ベアリングの各々を効果的に分離する連結部の各々の両側にメニスカスが形成されるように、前記シャフトにおいて中央の軸線方向穴と、前記第一ジャーナルベアリングと前記第一円錐ベアリングと前記第一スラストベアリングと前記第二ジャーナルベアリングとの各々の間で前記連結部へ延びている半径方向ベント孔とを有する請求項19に記載のシステム。
- 前記間隙内の前記流体は、液体からなる請求項20に記載のシステム。
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