JP4071031B2 - 送信機における歪を低減するための方法と装置 - Google Patents

送信機における歪を低減するための方法と装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的に無線通信装置に関し、特に、無線通信装置の送信機部に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信装置の間で共有される周波数スペクトルには、限度がある。従って、送信機が、割り当てられた周波数スペクトルすなわちチャネルにおいて、隣接チャネルの他の通信装置を阻害せずに可能な限り多くの情報を送信しようとする能力は、極めて重要である。割り当てられたチャネルにおいて可能な限り多くの情報を送信する場合、通常、デジタル通信システムは、無線周波数(RF)搬送波の振幅と位相の両方を変調する。振幅変調によって、位相のみが変調される場合、より多くの情報が、与えられたチャネルの搬送波上で符号化される。しかしながら、振幅変調によって、RF搬送波の位相のみが変調される場合には存在しない新たな課題が送信機に課せられる。
【0003】
これらの新たな課題は、RF電力増幅器によって振幅変調された信号の増幅に起因する固有の非線形効果によるものである。RF電力増幅器の非線形性によって、振幅成分と位相成分を含む信号歪成分が元の信号に付加される。RF電力増幅器がある範囲の振幅において駆動される場合、これらの新たな成分は、その振幅圧縮性(AM/AM)と位相歪(AM/DM)性による。これらの歪成分が補正されない場合、スペクトルが隣接チャネルへ拡散する原因になり、また、これによって、隣接チャネルを用いる通信装置を阻害する。
【0004】
数多くの従来技術による信号処理技術が、RF電力増幅器の非線形性を補正するために開発されてきた。このような技術の1つは、フィードフォワード増幅器におけるフィードフォワード補正回路の使用を含む。一般的に、フィードフォワード増幅器は、RF電力増幅器によって生成された歪成分を分離して、誤り信号を生成する。そして、誤り信号は、増幅され、更に、歪成分が最大限打ち消されるように、振幅、位相、及び遅延が調整された状態でRF電力増幅器の出力に付加される。しかしながら、フィードフォワード増幅器で実現可能な歪低減量は、誤り信号が誤り増幅器によって振幅される場合、誤り信号に生じる歪によって制限される。
【0005】
例えば、図1は、従来技術による代表的なフィードフォワード増幅器100のブロック図である。フィードフォワード増幅器100は、主信号経路102と、フィードフォワード補正回路104と、制御回路106とを含む。搬送波成分を有する入力信号101は、主信号経路102へ供給され、ここで、この信号は、入力信号結合器108を介して、利得位相調整器110に送られる。利得位相調整器110は、制御回路106から受信した制御信号に基づき入力信号101の振幅と位相を調整する。利得位相調整器110は、振幅位相調整済入力信号を無線周波数(RF)電力増幅器112に送り、無線周波数(RF)電力増幅器112は、この信号を増幅して増幅信号113を生成する。次に、RF電力増幅器112は、信号結合器116と遅延回路118を介して、増幅信号113を出力信号結合器120へ送る。上述したように、RF電力増幅器112は、増幅信号に歪成分を生じさせ、この歪成分は、フィードフォワード補正回路104によって出力された誤り信号によって部分的に打ち消される。
【0006】
フィードフォワード補正回路104は、入力信号101と増幅信号113に基づき誤り信号を生成する。フィードフォワード補正回路104に含まれる加算接合器124は、遅延回路122を介して、入力信号101の一部を入力信号結合器108から受信し、更に、信号結合器116から増幅信号113の一部を受信する。加算接合器124は、入力信号の受信された部分から、増幅信号の受信された部分を減じ、誤り信号125を生成する。この減算によって、入力信号の受信された部分の搬送波成分によって、増幅信号の受信された部分の搬送波成分を部分的に打ち消す。その結果、誤り信号125は、増幅信号の受信された部分における歪成分を主に含む。
【0007】
次に、加算接合器124は、フィードフォワード信号結合器126とフィードフォワード利得位相調整器128を介して、フィードフォワード補正回路誤り増幅器130へ誤り信号125を送る。誤り増幅器130は、受信された誤り信号を増幅し、増幅誤り信号131を生成し、増幅誤り信号を出力信号結合器120へ送る。出力信号結合器120は、増幅誤り信号131を増幅信号113と合成し、増幅信号113の歪成分を部分的に打ち消し、歪が低減された出力信号121を生成する。
【0008】
誤り増幅器130による誤り信号125の増幅によって、誤り増幅器の振幅圧縮性と位相歪性のために、誤り信号に歪成分が生ずることがある。増幅誤り信号131は、出力信号結合器120において増幅信号113と合成されることから、付加される歪を最小限に抑えることが望ましい。誤り増幅器130によって増幅誤り信号131に生ずる歪を低減するために、制御回路106は、誤り増幅器駆動信号すなわち誤り信号125の平均電力を制御する。
【0009】
制御回路106は、フィードフォワード信号結合器126から、誤り信号125すなわち減衰誤り信号127の一部を受信する。減衰誤り信号127は、平均電力検出器132へ送られ、平均電力検出器132によって減衰誤り信号の平均電力が求められる。平均電力検出器132に接続された制御装置134は、検出器132によって求められた平均電力を読込み、また、その平均電力に基づき、検出器132によって検出された平均電力を最小限に抑える利得位相調整器110へ制御信号を送る。利得位相調整器110により入力信号101の振幅位相調整を制御することによって、制御回路106は、誤り信号125の平均電力に対する制御を行い、これによって、誤り増幅器130に印加される駆動信号の平均電力に対する制御を行う。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、誤り信号125の平均電力の制御が、必ずしも、誤り増幅器130によって増幅誤り信号に生じる歪を最小限に抑えるとは限らない。誤り増幅器駆動信号の平均電力を制御することによって、従来技術では、フィードフォワード補正回路104によって生じる歪の次善の低減を行う。従って、フィードフォワード補正回路によってフィードフォワード増幅器に生じる歪を最小限に抑えるための方法と装置が必要である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
フィードフォワード補正回路によってフィードフォワード増幅器に生じる歪を最小限に抑えるための方法と装置に対する必要性に対応するために、送信機は、無線周波数(RF)電力増幅器を有する主信号経路を含むフィードフォワード増幅器と、フィードフォワード補正回路と、フィードバック制御回路とを含む。RF電力増幅器による入力信号の増幅によって、歪成分を含む増幅信号が生成される。フィードフォワード補正回路は、誤り信号を生成し、この誤り信号を用いて誤り増幅器を駆動して増幅誤り信号を生成する。次に、この増幅誤り信号は、歪成分を打ち消すために増幅信号と合成される。誤り増幅器によって増幅誤り信号に生じる歪成分を最小限に抑えるために、フィードバック制御回路は、制御信号を主信号経路へ送り、主信号経路は制御信号に基づき、入力信号の振幅と位相を調整する。
【0012】
一般的に、本発明は、フィードフォワード増幅器の増幅誤り信号における歪を補正するための装置を包括的に含む。フィードフォワード増幅器は、入力信号を受信し、また、入力信号を増幅して増幅信号を生成する。フィードフォワード増幅器は、入力信号と増幅信号とに基づき誤り信号を求め、また誤り信号を増幅して増幅誤り信号を生成し、この増幅誤り信号は、誤り成分と誤り信号歪成分を含む。増幅誤り信号における歪を補正するための装置は、誤り信号の一部を受信し、増幅誤り信号の一部を受信し、また、誤り信号の受信された部分と該増幅誤り信号の受信された部分とに基づき増幅誤り信号の受信された部分の歪成分を含む誤り歪信号を生成するフィードバック制御回路を含み、フィードバック制御信号は、誤り歪信号をさらに定量化し、前記定量化された誤り歪信号に基づいて制御信号を生成する。制御信号は入力信号の振幅および位相の調整を制御することができ、それによって誤り信号歪成分が低減され得る。
【0013】
本発明の他の実施例には、主信号経路と、主信号経路に接続されたフィードフォワード補正回路と、主信号経路とフィードフォワード補正回路に接続されたフィードバック制御回路とを含むフィードフォワード増幅器が包括的に含まれる。主信号経路は、入力信号を受信し、前記入力信号をサンプリングして減衰入力信号を生成し、前記減衰入力信号をフィードフォワード補正回路へ送り、前記入力信号を振幅して歪成分から構成される増幅信号を生成し、前記増幅信号をサンプリングして減衰増幅信号を生成し、前記減衰増幅信号と前記減衰増幅誤り信号を前記フィードフォワード補正回路へ送る。フィードフォワード補正回路は、前記減衰入力信号と前記減衰増幅信号を前記主信号経路から受信し、前記減衰入力信号と前記減衰増幅信号に基づき誤り信号を生成し、前記誤り信号を増幅して誤り成分と歪成分から構成される増幅誤り信号を生成し、前記誤り信号をサンプリングして減衰誤り信号を生成し、前記増幅誤り信号をサンプリングして減衰増幅誤り信号を生成し、前記減衰誤り信号と前記減衰増幅誤り信号を制御回路へ送る。制御回路は、前記フィードフォワード補正回路から前記減衰誤り信号と前記減衰増幅誤り信号を受信し、前記減衰誤り信号と前記減衰増幅誤り信号に基づき前記減衰増幅誤り信号の歪成分を含む誤り歪信号を生成し、前記誤り歪信号を定量化して定量化された誤り歪信号を生成し、前記定量化された誤り歪信号に基づき制御信号を生成し、前記制御信号を前記主信号経路へ送る。前記制御信号に基づき、前記主信号経路は、前記増幅誤り信号の歪成分を低減するために、前記入力信号の振幅と位相を調整する。
【0014】
本発明の更に他の実施例は、入力信号を増幅して増幅信号を生成するフィードフォワード増幅器を有する送信機において歪を低減するための方法を提供する。この方法は、前記入力信号をサンプリングして減衰入力信号を生成する段階と、前記増幅信号をサンプリングして減衰増幅信号を生成する段階とを含む。更に、本方法は、前記減衰入力信号を前記減衰増幅信号と合成して誤り信号を生成する段階と、 前記減衰入力信号を前記減衰増幅信号と合成して誤り信号を生成する段階と、前記誤り信号をサンプリングして減衰誤り信号を生成する段階と、前記誤り信号を増幅して増幅誤り信号を生成する段階と、前記増幅誤り信号をサンプリングして減衰増幅誤り信号を生成する段階と、前記減衰誤り信号と前記減衰増幅誤り信号とに基づき減衰増幅誤り信号の歪成分を含む誤り歪信号を生成する段階と、前記誤り歪信号を定量化する段階と、前記定量化された誤り歪信号に基づき前記入力信号の振幅と位相を調整する段階と、からなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明について、更に図2乃至7を参照し詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態による通信装置200のブロック図である。好適には、通信装置200は送受信基地局を含むが、一方、通信装置100は、携帯電話機、無線電話機、又は無線モデム等、情報を無線送信し得る何らかの無線通信装置を含み得る。通信装置200には、受信機204と、フィードフォワード増幅器208を有する送信機206との各々に接続されたアンテナ202が含まれる。更に、通信装置200には、受信機204及び送信機206の各々に接続され、また更にメモリ212及び情報源214に接続されたマイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサ(DSP)等のプロセッサ210が含まれる。メモリ212は、通信装置200の動作時に、プロセッサ210が実行するプログラムを記憶する。情報源214は、通信装置200の外部にある装置又はネットワークとのインタフェースを含むことが可能であり、また他の選択肢として、携帯電話機又は無線電話機の場合、ユーザインタフェースであってもよく、また更に他の実施形態においては、プロセッサ210に含んでもよく、またプロセッサ上で走るアプリケーションであってもよい。
【0017】
情報源214又は受信機204は、プロセッサ210に情報を供給する。プロセッサ210は、良く知られた信号処理技術により情報を処理し、そして、処理された情報から構成される信号を送信機206に送信する。送信機206は、その情報を無線周波数(RF)搬送波に変調してRF信号を生成し、そのRF信号をフィードフォワード増幅器208に送り、ここで、その信号を増幅し、アンテナ202を介して送信する。
【0018】
図3は、本発明の実施形態によるフィードフォワード増幅器300のブロック図を示す。フィードフォワード増幅器300は、フィードフォワード補正回路304と制御回路306との各々に接続された主信号経路302を含む。搬送波成分から構成されるRF信号301は、フィードフォワード増幅器300に入力される。フィードフォワード増幅器300は、入力信号301を主信号経路302に送り、ここで、入力信号は、入力信号結合器308(好適には方向性結合器)を介して利得位相調整器310に送られる。利得位相調整器310は、制御回路306から受信した制御信号に基づき、入力信号301の振幅及び位相を調整する。次に、利得位相調整器310は、振幅位相調整済入力信号を利得位相調整器310に接続されたRF電力増幅器312に送る。RF電力増幅器312は、パワートランジスタ等のRF増幅要素、RF増幅要素を機能させ又AB級のRF増幅要素をバイアスするために必要な入出力整合回路、バイアス・減結合回路を含むが、B級又はC級等、他のバイアス回路も本発明の精神と範囲から逸脱することなく本発明で用い得ることは、当業者には理解されよう。
【0019】
RF電力増幅器312は、振幅位相調整済入力信号を増幅して、搬送波成分と、また更に電力増幅器によって増幅信号に生じる歪み成分とを含む増幅信号313を生成する。歪み成分は、電力増幅器が振幅範囲を超えて駆動される場合、RF電力増幅器312の振幅圧縮特性と位相歪み特性とによるものであり、補償されない場合、隣接チャネルへのスペクトル拡散の原因となり、これによって、隣接チャネルを用いる通信装置を阻害する。次に、RF電力増幅器312は、電力増幅器に接続された信号結合器316(好適には方向性結合器)と、信号結合器316及び320の各々に接続された遅延回路318とを介して出力信号結合器320(好適には方向性結合器)に増幅信号313を送信する。更に、信号結合器308、316、320は、各々フィードフォワード補正回路304に接続されている。
【0020】
増幅信号313の歪み成分を打ち消すために、フィードフォワード補正回路304は、入力信号301及び増幅信号313に基づき、誤り信号を生成する。入力信号結合器308は、入力信号301をサンプリングして減衰された入力信号309を生成し、その減衰入力信号は遅延回路322を介してフィードフォワード補正回路304に含まれる加算接合器324に送信する。遅延回路322の時間遅延は、利得位相調整器310、増幅器312、信号結合器316による信号遅延を補償するように設定される。信号結合器316は、増幅された信号313をサンプリングして減衰された増幅信号317を生成し、その減衰増幅信号を加算接合器324に送信する。
【0021】
加算接合器324は、減衰増幅信号317を遅延減衰入力信号309と合成し、好適には信号309から信号317を減じて、誤り信号325を生成する。遅延減衰入力信号309から減衰増幅信号317を減じると、減衰入力信号309によって減衰増幅信号317の搬送波成分が部分的に打ち消される。その結果、誤り信号325は、増幅信号313の歪み成分に対応する減衰増幅信号317の歪み成分を主として含む。
【0022】
次に、フィードフォワード増幅器300は、誤り信号325に基づき、増幅信号313の歪み成分を低減する。加算接合器324は、加算接合器と、信号結合器326と誤り増幅器との間に配置された利得位相調整器328とに接続された第1フィードフォワード信号結合器326(好適には方向性結合器)を介して誤り増幅器330に誤り信号325を送信する。フィードフォワード利得位相調整器328は、誤り信号325の振幅及び位相を調整して、振幅と位相が調整された誤り信号329を生成し、また出力信号結合器320において増幅信号313の歪み成分が最大限打ち消されるようにする。利得位相調整器328は、調整済誤り信号329を誤り増幅器330に送信し、誤り増幅器はその調整済誤り信号329を増幅して、増幅誤り信号331を生成する。増幅誤り信号331は、誤り信号325の増幅バージョンに対応する誤り成分を含み、また更に、誤り増幅器の非線形特性のために増幅誤り信号に生じる誤り信号歪み成分を含み得る。
【0023】
誤り増幅器330は、第2フィードフォワード信号結合器340(好適には方向性結合器)を介して、出力信号結合器320に増幅誤り信号331を送信する。出力信号結合器320は、増幅誤り信号331と増幅信号313とを合成し、好適には増幅信号313から増幅誤り信号331を減じて、歪みが低減された出力信号321を生成する。減じる前に、増幅信号313は、遅延回路318によって時間遅延を受ける。遅延回路318の時間遅延は、信号結合器316、加算接合器324、第1及び第2フィードフォワード信号結合器326、340、利得位相調整器328、誤り増幅器330による信号遅延を補償するよう設定される。
【0024】
増幅誤り信号331は、出力信号結合器318において増幅信号313と合成され、出力信号321が生成されることから、出力信号321は、増幅搬送波成分と、電力増幅器によって増幅信号に生じ、また増幅誤り信号によって打ち消されない歪み成分と、誤り増幅器によって増幅誤り信号に生じる誤り信号歪み成分とを含み得る。出力信号321の歪み成分を全て最小限に抑えることが望ましいことから、誤り増幅器330によって増幅誤り信号に生じる歪みを最小限に抑えることが望ましい。
【0025】
従来技術では、誤り信号の平均電力を制御することによって増幅誤り信号に生じる歪みが低減される。しかしながら、誤り増幅器駆動信号の平均電力を制御しても、対応する誤り増幅器を駆動して、利得圧縮を最大限行い、その結果最も厳しいAM/AM及びAM/PM歪みを招く駆動信号のピーク電力が最小限に抑えられるとは限らない。増幅誤り信号331に生じた歪みを最適に低減するために、フィードフォワード増幅器300の制御回路306は、誤り増幅器駆動信号329のピーク電力のエネルギを制御する。駆動信号のピーク電力のエネルギを制御することによって、増幅誤り信号331に生じ、またこれによって出力信号321に生じる歪みを最小限に抑え得る。
【0026】
制御回路306は、信号結合器326に接続された利得位相調整器342、利得位相調整器342に接続された遅延回路344、遅延回路344及び信号結合器340に接続された加算接合器346、加算接合器346に接続された歪検出器348、歪検出器348及び利得位相調整器342に接続された制御装置350を含む。第1フィードフォワード信号結合器326は、誤り信号325をサンプリングして減衰誤り信号327を生成し、その減衰誤り信号を利得位相調整器342に送信する。利得位相調整器342は、制御装置350から受信した制御信号に基づき、減衰誤り信号327の振幅及び位相を調整し、その振幅と位相が調整された減衰誤り信号を、遅延回路344を介して加算接合器346に送信する。遅延回路344の時間遅延は、信号結合器326と利得位相調整器342とによる信号遅延に対して、第1フィードフォワード信号結合器326、利得位相調整器328、誤り増幅器330、信号結合器340による信号遅延を補償するよう設定される。
【0027】
第2フィードフォワード信号結合器340は、増幅誤り信号340をサンプリングして減衰増幅誤り信号341を生成し、その減衰増幅誤り信号を加算接合器346に送信する。加算接合器346は、減衰増幅誤り信号341を、遅延され振幅と位相が調整された減衰誤り信号と合成し、好適には遅延・調整済減衰誤り信号から減衰増幅誤り信号を減じて、誤り増幅器歪信号347を生成する。2つの信号を合成することによって、遅延され振幅と位相が調整された減衰誤り信号によって減衰増幅誤り信号341の誤り成分が部分的に打ち消される。その結果、誤り増幅器歪信号347は、誤り増幅器330によって誤り信号325に生じる誤り信号歪み成分に対応する減衰増幅誤り信号341の歪み成分を主として含む。
【0028】
加算接合器346は、誤り増幅器歪信号347を歪検出器348に送信する。歪検出器348は、誤り増幅器歪信号を制御装置350が読取り得るように、誤り増幅器歪信号347を定量化する。例えば、歪検出器348は、アナログ・デジタル変換器(A/D)に接続された電力検出器を含んでもよく、ここで、電力検出器は、誤り増幅器歪信号347のエネルギを決定し、またA/D変換器は、制御装置350が読込むデジタル信号に、その決定されたエネルギを変換する。電力検出器の例には、平均すなわちRMS電力検出器、ピーク電力検出器、アナログ・デバイス社から入手可能なAD8313対数検出器等の対数電力検出器、及び対数検出器を機能させ得るために必要な関連回路、あるいは平均電力検出器、ピーク電力検出器、対数電力検出器の内、2つ以上から成るハイブリッド装置が含まれる。他の例として、歪検出器348は、A/D変換器に接続された包絡線検出器を含んでもよく、ここで、包絡線検出器は、誤り増幅器歪信号347の高速フーリエ変換(FFT)を行い、また信号のスペクトル電力密度を、A/D変換器を介して制御装置350に送信する。更に他の例として、歪検出器348は、A/D変換器に接続された位相検出器を含んでもよく、ここで、位相検出器は、誤り増幅器歪信号347の位相を決定し、その決定された位相を、A/D変換器を介して制御装置350に送信する。制御装置350は、歪検出器348が決定した定量誤り増幅器歪信号を読込む。定量誤り増幅器歪信号に基づき、制御装置350は、定量誤り増幅器歪信号を最小限に抑えるための複数の制御信号351、352を生成する。
【0029】
制御装置350は、複数の制御信号の内、第1制御信号351を利得位相調整器342に送信する。制御信号351の受信に応じて、利得位相調整器342は、加算接合器346において減衰誤り信号によって減衰増幅誤り信号341の誤り成分を最大限打ち消すために、減衰誤り信号327の振幅及び位相を調整する。誤り成分を最大限打ち消すことによって、誤り増幅器歪信号347のエネルギが低減され、減衰増幅誤り信号341の歪み成分の誤り増幅器歪信号における分離がより良好になる。
【0030】
制御装置350は、複数の制御信号の内、第2制御信号352を利得位相調整器310に送信する。制御信号352の受信に応じて、利得位相調整器310は、誤り信号325のエネルギが低減されるように入力信号301の振幅及び位相を調整し、それによって、誤り増幅器330に印加される駆動信号329のエネルギが低減され、また誤り増幅器330によって増幅誤り信号331に生じる誤り信号歪み成分のエネルギが低減され、また更に誤り増幅器歪信号347のエネルギが低減される。
【0031】
誤り増幅器歪信号347に含まれる減衰増幅誤り信号341の歪み成分をより良好に分離するために制御信号351を用いることによって、制御装置306は、減衰増幅誤り信号341の歪み成分に基づき、従って増幅誤り信号331の歪み成分に基づき、制御信号を生成できる。制御装置350が読込む定量誤り信号歪み成分を低減するために制御信号351及び352を用いることによって、制御回路306は、誤り増幅器330によって増幅誤り信号331に生じる誤り信号歪み成分を低減する。誤り増幅器330によって増幅誤り信号331に生じる誤り信号歪み成分を低減することによって、制御回路306は、増幅誤り信号によって出力信号321に付加された誤り信号歪み成分を低減し、それによって出力信号に含まれる歪みを低減する。
【0032】
図4は、本発明の他の実施形態によるフィードフォワード増幅器400のブロック図である。フィードフォワード増幅器400は、主信号経路402、フィードフォワード補正回路404、制御回路406を含む。搬送波成分から構成されるRF信号401は、フィードフォワード増幅器400に入力される。フィードフォワード増幅器400は、入力信号401を主信号経路402に送るが、ここで、入力信号401は、入力信号結合器408(好適には方向性結合器)を介して利得位相調整器410に送られる。利得位相調整器410は、制御回路406から受信した制御信号に基づき入力信号401の振幅及び位相を調整する。振幅位相調整済入力信号は、利得位相調整器410に接続されたRF電力増幅器412に送られるが、ここで、この信号を増幅して増幅信号413を生成する。次に、増幅信号413は、RF電力増幅器412に接続された信号結合器416(好適には方向性結合器)と、信号結合器416及び420の各々に接続された遅延回路418とを経由して出力信号結合器420(好適には方向性結合器)に送信される。更に信号結合器408、416、420は各々、フィードフォワード補正回路404に接続される。
【0033】
RF電力増幅器312と同様に、RF電力増幅器412は、パワートランジス等のRF増幅要素と、RF増幅要素を機能し得るようにし、またRF増幅要素を適切にバイアスするために必要な入出力整合回路と、バイアス・減結合回路とを含む。RF電力増幅器412によって、歪み成分が増幅信号413に生じるが、この歪み成分は、フィードフォワード補正回路404が出力した誤り信号によって部分的に打ち消される。
【0034】
フィードフォワード補正回路404は、入力信号結合器408から入力信号401の一部、すなわち、減衰入力信号409を受信する。減衰入力信号409は、遅延回路422によって遅延され、次に、遅延回路に接続された加算接合器424に送られる。更に加算接合器424は、増幅信号413の一部、すなわち減衰増幅信号417を信号結合器416から受信する。加算接合器424は、減衰増幅信号417を遅延減衰入力信号と合成し、また好適には遅延減衰入力信号から信号417を減じて、誤り信号425を生成する。減衰増幅信号417を遅延減衰入力信号と合成すると、遅延減衰入力信号によって減衰増幅信号417の搬送波成分が部分的に打ち消される。その結果、誤り信号425は、増幅信号413の歪み成分に対応する減衰増幅信号417の歪み成分を主に含む。
【0035】
加算接合器424は、加算接合器424及び制御回路406の各々に接続されたフィードフォワード信号結合器426と、信号結合器426及び誤り増幅器430の各々に接続されたフィードフォワード利得位相調整器428とを経由して誤り増幅器430に誤り信号425を送信する。フィードフォワード利得位相調整器428は、誤り信号425の振幅及び位相を調整する。誤り増幅器430は、振幅と位相が調整された誤り信号を増幅して、増幅誤り信号431を生成する。増幅誤り信号431は、誤り信号425の増幅バージョンに対応する誤り成分を含み、また更に、誤り増幅器430の非線形特性によって増幅誤り信号に生じた歪み成分を含み得る。誤り増幅器430は、増幅誤り信号431を出力信号結合器420に送信する。出力信号結合器420は、増幅誤り信号431を増幅信号413と合成して、増幅信号421の歪み成分を低減する。
【0036】
制御回路406は、誤り増幅器430によって増幅誤り信号431に生じる歪みを低減するために、誤り増幅器駆動信号のピーク電力のエネルギを制御する。制御回路406は、誤り信号425の一部、すなわち、減衰誤り信号427をフィードフォワード信号結合器426から受信し、好適には、ピーク電力検出器、あるいはまた対数電力検出器又は包絡線検出器を含み、また減衰誤り信号のピーク電力又は包絡線電力を定量化する電力検出器432にその減衰誤り信号を送る。制御装置434は、電力検出器432に接続され、検出器432が求めた電力を読込む。次に、制御装置434は、求められたピーク電力に基づき制御信号を利得位相調整器410に送信し、利得位相調整器410は、その制御信号に基づき入力信号401の振幅と位相を調整する。入力信号401の振幅と位相の調整を制御することによって、制御回路406は、誤り信号425のピーク電力に基づき、加算接合器424において搬送波成分の打ち消しを制御し、これによって、誤り増幅器430に印加される駆動信号(すなわち、誤り信号425)のピーク電力を制御し得る。
【0037】
本発明の他の実施形態において、電力検出器432は、平均電力検出器とピーク電力検出器とから構成されるハイブリッド電力検出器であってもよい。代表的なハイブリッド電力検出器500を図5に示す。ハイブリッド電力検出器500は、減衰誤り信号427を信号結合器426から受信する。ハイブリッド電力検出器500に含まれる信号結合器502(好適には方向性結合器)は、減衰誤り信号427をサンプリングして、減衰誤り信号427の第1部分を生成する。減衰誤り信号427の第1部分は、第1信号結合器502に接続されたサーキュレータ504と、サーキュレータ及びピーク電力検出器に接続された結合コンデンサ506とを介してピーク電力検出器508に送信される。ピーク電力検出器508は、サンプリングされた信号の第1部分のピーク包絡線電力を求め、その求めたピーク包絡線電力に対応する信号509を、第1アナログ・デジタル変換器(A/D)510に送信し、ここで、ピーク包絡線電力は制御装置434が読込むデジタル信号に変換される。
【0038】
減衰誤り信号427の第2部分は、第2信号結合器514に接続されたサーキュレータ512と、サーキュレータ及び平均電力検出器に接続された信号結合器514とを介して平均電力検出器516に送信される。平均電力検出器516は、サンプリングされた第2信号の平均電力を求め、その求めた平均電力に対応する信号517を第2A/D変換器518に送信する。第2A/D変換器518は、平均電力を制御装置434が読込むデジタル信号に変換する。次に、制御装置434は、求めたピーク及び平均電力に基づき、制御信号を利得位相調整器410に送信する。利得位相調整器410によって入力信号401の振幅及び位相の調整を制御することによって、制御回路406は、誤り信号425のピーク及び平均電力に基づき、加算接合器424において搬送波成分の打ち消しを制御し、これによって、誤り増幅器430に印加される駆動信号(すなわち、誤り信号425)のピーク電力を制御する。
【0039】
ハイブリッド電力検出器の更に他の例において、ピーク電力検出器508及び平均電力検出器516のそれぞれの出力信号509及び517は、A/D変換器に送信される前に加算し得る。例えば、図5において、ピーク電力検出器508と平均電力検出器516は各々、加算接合器520を介してA/D変換器522に接続してもよい。出力信号509と出力信号517は加算接合器520において合成され、次に、その合成信号は、A/D変換器522に送られる。A/D変換器522は、制御装置434が読取り、また制御装置434が制御信号を利得位相調整器410に送信するために用いるデジタル信号にその合成信号を変換する。
【0040】
ピーク電力が誤り信号425のピーク電力に対応する減衰誤り信号427のピーク電力を求めることによって、制御回路406は、誤り信号のピーク電力を制御し、これによって送信機における歪みを低減できる。誤り信号425は、振幅位相調整器428によって振幅位相調整された後、誤り増幅器430用の駆動信号としての役割を担う。誤り信号425のピーク電力は、誤り増幅器430による誤り信号の増幅の際、最も厳しい利得圧縮を招き、このため、最も大きな信号歪みを招く誤り信号の部分である。電力検出器432は、減衰誤り信号427のエネルギを求め、制御装置434は、その求めたエネルギに基づき制御信号を生成する。制御装置434は、制御信号を主信号経路402の利得位相調整器410に送信する。振幅位相調整済入力信号の増幅・減衰済バージョンを入力信号の減衰済バージョンと合成することによって生成される誤り信号425のピーク電力が低減されるように、利得位相調整器410は、制御信号に基づき、入力信号401の振幅及び位相を調整する。誤り信号425のピーク電力を低減することによって、減衰誤り信号427のエネルギが低減され、また誤り増幅器駆動信号のピーク電力が低減され、その結果、増幅誤り信号331の歪み成分が低減され、また減衰誤り信号427のエネルギが低減される。
【0041】
図6は、本発明の実施形態による送信機における歪みを低減するために、フィードフォワード増幅器208を有する送信機206によって実行されるステップの論理フロー(流れ)図600である。フィードフォワード増幅器は、入力信号を増幅して増幅信号を生成するRF電力増幅器312、412を含む。論理フローは、フィードフォワード増幅器が入力信号をサンプリングして減衰入力信号を生成し(602)、増幅信号をサンプリングして減衰増幅信号を生成し(603)、減衰入力信号を減衰増幅信号と合成して誤り信号を生成する(604)場合に開始される(601)。
【0042】
好適には、フィードフォワード増幅器は、主信号経路、フィードフォワード補正回路、制御回路を含む。好適には、入力信号をサンプリングして減衰入力信号を生成するステップ(602)は、以下のステップを含む。フィードフォワード増幅器は入力信号を主信号経路に送るが、ここで、入力信号は、第1主信号経路信号結合器と、主信号経路利得位相調整器とを経由してRF電力増幅器に送られる。第1主信号経路信号結合器は、入力信号をサンプリングして減衰入力信号を生成し、その減衰入力信号をフィードフォワード補正回路に送信する。
【0043】
次に、増幅信号をサンプリングして減衰増幅信号を生成するステップ(603)は、以下のステップを含む。RF電力増幅器は、入力信号を増幅してRF電力増幅器出力信号を生成する。RF電力増幅器は、RF電力増幅器に接続された第2主信号経路信号結合器と、第2及び第3主信号経路信号結合器の各々に接続された主信号経路遅延回路とを経由して第3主信号経路信号結合器にRF電力増幅器出力信号を送信する。第2信号結合器は、RF電力増幅器出力信号をサンプリングして減衰RF電力増幅器出力信号を生成し、減衰RF電力増幅器出力信号をフィードフォワード補正回路に送信する。次に、合成のステップ(604)は、以下のステップを含む。フィードフォワード補正回路は、減衰入力信号及び減衰RF電力増幅器出力信号の各々を、フィードフォワード補正回路に含まれる加算接合器に送り、好適には、遅延回路を介して、減衰入力信号を加算接合器に送る。フィードフォワード補正回路加算接合器は、減衰入力信号を減衰RF電力増幅器出力信号と合成して、誤り信号を生成する。
【0044】
次に、フィードフォワード増幅器は、誤り信号に基づき制御信号を生成するが(605)、ここで、制御信号は、誤り信号のピーク電力のエネルギを制御することが可能であり、論理フローは終了する(606)。誤り信号のピーク電力のエネルギを制御することによって、フィードフォワード増幅器は、誤り増幅器駆動信号のピーク電力を制御し、また送信機における歪みを低減する。本発明の他の実施形態において、論理フロー600は更に、制御信号に基づき入力信号の振幅と入力信号の位相とを調整するステップ(607)を含む。
【0045】
本発明の1つの実施形態において、制御信号を生成するステップ(605)は、以下のステップを含む。フィードフォワード補正回路加算接合器は、フィードフォワード補正回路信号結合器と、フィードフォワード補正回路利得位相調整器とを介して誤り増幅器に誤り信号を送信する。フィードフォワード補正回路信号結合器は、誤り信号をサンプリングして減衰誤り信号を生成し、その減衰誤り信号を、制御装置に接続された電力検出器を含む制御回路に送信する。電力検出器は、減衰誤り信号のピーク電力のエネルギを検出し、制御装置は、その検出されたエネルギを読取り、その検出されたエネルギに基づき制御信号を生成する。
【0046】
制御装置は、制御信号を主信号経路の利得位相調整器に送信するが、その調整器は、第1信号結合器とRF電力増幅器との間に配置されている。利得位相調整器は、入力信号の振幅及び位相を調整するが、これによって、増幅信号の振幅及び位相と、誤り信号のピーク電力のエネルギとにおける対応する調整が行われる。誤り信号のピーク電力のエネルギを低減することによって、利得圧縮は、誤り増幅器による誤り信号の増幅において最小限に抑えられ、これによって、誤り信号歪み成分と減衰誤り信号のピーク電力のエネルギとが低減される。
【0047】
本発明の他の実施形態において、誤り信号のピーク電力に基づき制御信号を生成するステップ(605)は、以下のステップを含む。フィードフォワード補正回路の加算接合器は、第1フィードフォワード補正回路信号結合器と、フィードフォワード補正回路利得位相調整器とを介して誤り増幅器に誤り信号を送信する。誤り増幅器は、受信した誤り信号を増幅して、誤り成分と誤り信号歪成分とを含む増幅誤り信号を生成する。誤り増幅器は、第2フィードフォワード補正回路信号結合器を介して、第3主信号経路信号結合器に増幅誤り信号を送信する。第3主信号経路信号結合器は、増幅誤り信号を増幅信号と合成して、フィードフォワード増幅器出力信号を生成するが、この出力信号は、誤り増幅器によって増幅誤り信号に生じる誤り信号歪成分を含む。
【0048】
第1フィードフォワード補正回路信号結合器は、誤り信号をサンプリングして減衰誤り信号を生成し、制御回路に含まれる制御回路利得位相調整器にその減衰誤り信号を送信する。制御回路利得位相調整器は、調整器に接続された制御装置から受信した第1制御信号に基づき、減衰誤り信号の振幅及び位相を調整する。次に、制御回路利得位相調整器は、遅延回路を介して制御回路加算接合器に調整済減衰誤り信号を送信する。
【0049】
第2フィードフォワード補正回路信号結合器は、増幅誤り信号をサンプリングして減衰増幅誤り信号を生成し、その減衰増幅誤り信号を制御回路加算接合器に送信する。制御回路加算接合器は、好適には後者から前者を減じて、調整済減衰誤り信号と減衰増幅誤り信号を合成する。2つの信号を合成することによって、減衰増幅誤り信号の誤り成分が部分的に打ち消され、また減衰増幅誤り信号の歪成分を主として含む誤り歪信号が生成されるが、この歪成分は、増幅誤り信号の歪成分に対応する。制御回路加算接合器は、誤り歪信号を定量化する制御回路歪検出器に誤り歪信号を送信する。定量誤り歪信号は、歪検出器に接続された制御回路制御装置によって読取られ、制御装置は、定量誤り歪信号に基づき1つ以上の制御信号を生成する。
【0050】
この1つ以上の制御信号の内、第1制御信号は、制御回路利得位相調整器に送信される。制御回路利得位相調整器は、制御回路加算接合器において減衰誤り信号を用いて減衰増幅誤り信号の誤り成分を最大限に打ち消すために、減衰誤り信号の振幅及び位相を調整する。この1つ以上の制御信号の内、第2制御信号は、主信号経路利得位相調整器に送信される。主信号経路利得位相調整器は、入力信号の振幅及び位相を調整し、これによって、増幅信号の振幅及び位相と、減衰増幅信号の振幅及び位相と、誤り信号のピーク電力のエネルギとが調整される。誤り信号のピーク電力のエネルギを低減することによって、利得圧縮は、誤り増幅器による誤り信号の増幅において最小限に抑えられ、これによって、減衰増幅誤り信号の歪成分が低減され、定量誤り歪信号が低減され、またフィードフォワード増幅器出力信号に含まれる歪みが低減される。
【0051】
図7は、本発明の他の実施形態により送信機における歪みを低減するために、フィードフォワード増幅器を有する送信機によって実行される論理フロー図700である。論理フローは、フィードフォワード増幅器が入力信号を受信し(702)、入力信号を増幅して増幅信号を生成する(703)場合に開始する(701)。フィードフォワード増幅器は、入力信号と増幅信号とに基づき誤り信号を求め(704)、その誤り信号を増幅して増幅誤り信号を生成するが(705)、ここで、増幅誤り信号は、誤り成分と歪成分とから構成される。増幅誤り信号の歪成分に基づき、フィードフォワード増幅器は、送信機における歪みを低減し得る制御信号を生成し(706)、論理フローは終了する(707)。本発明の他の実施形態において、更に論理フロー700は、制御信号に基づき入力信号の振幅と入力信号の位相とを調整するステップ(708)を含む。
【0052】
好適には、誤り信号を求めるステップ(704)は、以下のステップを含む。フィードフォワード増幅器は、入力信号をサンプリングして減衰入力信号を生成し、また増幅信号をサンプリングして、減衰増幅信号を生成する。次に、フィードフォワード増幅器は、減衰入力信号を減衰増幅信号と合成して誤り信号を生成する。
【0053】
好適には、制御信号を生成するステップ(706)は、以下のステップを含む。フィードフォワード増幅器は、誤り信号をサンプリングして減衰誤り信号を生成し、また増幅誤り信号をサンプリングして減衰増幅誤り信号を生成する。フィードフォワード増幅器は、減衰誤り信号を減衰増幅誤り信号と合成して減衰増幅誤り信号の歪成分から構成される誤り歪信号を生成する。誤り歪信号に基づき、フィードフォワード増幅器は、送信機における歪みを低減し得る制御信号を生成する。
【0054】
【発明の効果】
以上のことから、フィードフォワード増幅器を含む送信機は、増幅誤り信号の歪成分を低減することによって、送信機出力信号における歪みを低減するが、この増幅誤り信号は、増幅入力信号と合成されて、出力信号が生成される。次に、歪成分増幅誤り信号は、誤り増幅器駆動信号のピーク電力を制御することによって低減されるが、そのピーク電力は、誤り信号のピーク電力に対応する。本発明の1つの実施形態において、ピーク電力は、誤り信号の減衰済バージョンのピーク電力を検出し、また検出されたピーク電力に基づき制御信号を生成することによって、制御される。本発明の他の実施形態において、誤り増幅器駆動信号のピーク電力は、増幅誤り信号の減衰バージョンの歪成分(増幅誤り信号の歪成分に対応する)が含まれる歪信号を定量化することによって、また定量化された歪信号に基づき制御信号を生成することによって、制御される。後者の制御信号は、定量化された歪信号を最小限に抑えるようになっており、これによって、誤り増幅器駆動信号のピーク電力と、増幅誤り信号によって出力信号に生じる歪みとが最小限に抑えられる。
【0055】
本発明は、その具体的な実施例を参照して具体的に示され又説明されたが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変更をなし得ることや、その構成要素を同等な構成要素で置き換え得ることを当業者は理解されるであろう。更に、その本質的な範囲から逸脱することなく、特定の場合や材料を本発明の教示内容に適合させるために数多くの修正を行い得る。従って、本発明は本明細書に開示された具体的な実施例に制限されず、本発明には添付の請求項の範囲にある全ての実施例が含まれることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来技術のフィードフォワード増幅器のブロック図。
【図2】 本発明の実施例に基づく通信装置のブロック図。
【図3】 本発明の実施例に基づくフィードフォワード増幅器のブロック図。
【図4】 本発明の他の実施例に基づくフィードフォワード増幅器のブロック図。
【図5】 本発明の他の実施例に基づく図4のピーク電力検出器の概略図。
【図6】 本発明の実施例に基づく、フィードフォワード増幅器において歪を補正するために送信機によって実行されるステップの論理フロー図。
【図7】 本発明の他の実施例に基づく、送信機において歪を低減するために、フィードフォワード増幅器を有する送信機によって実行されるステップの論理フロー図。
【符号の説明】
200…通信装置、202…アンテナ、204…受信機、206…送信機、208…フィードフォワード増幅器、210…プロセッサ、212…メモリ、214…情報源

Claims (6)

  1. 入力信号を受信し、該入力信号を増幅して増幅信号を生成し、前記入力信号と前記増幅信号とに基づき誤り信号を求め、該誤り信号を増幅して、誤り成分及び誤り信号歪成分を含む増幅誤り信号を生成するフィードフォワード増幅器において、前記増幅誤り信号における歪を補正するための装置であって、
    前記誤り信号の一部を受信し、前記増幅誤り信号の一部を受信し、該誤り信号の受信された部分と該増幅誤り信号の受信された部分とに基づき前記増幅誤り信号の受信された部分の歪成分を含む誤り歪信号を生成するフィードバック制御回路を備え、前記フィードバック制御回路は誤り歪信号をさらに定量化し、前記定量化された誤り歪信号に基づいて制御信号を生成し、
    前記制御信号は前記入力信号の振幅および位相の調整を制御することができ、それによって前記誤り信号歪成分が低減され得ることを特徴とする装置。
  2. 請求項1に記載の装置であって、前記制御回路は、
    前記誤り信号のピーク電力エネルギを検出する電力検出器と、
    前記検出されたエネルギに基づき前記制御信号を生成するピーク電力検出器に接続された制御装置と、を含み、
    前記制御信号は、前記入力信号の振幅と前記入力信号の位相を制御することが可能であることを特徴とする装置。
  3. 請求項1に記載の装置であって、前記制御回路は、
    前記誤り信号の前記一部を受信し、前記誤り信号の前記一部の振幅と位相を調整して前記誤り信号の振幅と位相が調整された部分を生成し、また、前記誤り信号の振幅と位相が調整された部分を送信する利得位相調整器と、
    前記誤り信号の前記振幅と位相が調整された部分を受信し、また前記増幅誤り信号の前記一部を受信し、また前記誤り信号の前記振幅と位相が調整された部分を前記増幅誤り信号の前記一部と合成して前記増幅誤り信号の前記受信された部分の誤り成分を部分的に打ち消し又前記増幅誤り信号の前記受信された部分の歪成分から構成される誤り歪信号を生成する利得位相調整器に接続された加算接合器と、
    前記誤り歪信号を定量化する前記加算接合器に接続された歪検出器と、
    前記定量化された誤り歪信号を読込み、また前記定量化された誤り歪信号に基づき前記制御信号を生成する歪検出器に接続された制御装置と、を含むことを特徴とする装置。
  4. フィードフォワード増幅器であって、
    入力信号を受信し、前記入力信号をサンプリングして減衰入力信号を生成し、前記減衰入力信号をフィードフォワード補正回路へ送り、前記入力信号を振幅して歪成分から構成される増幅信号を生成し、前記増幅信号をサンプリングして減衰増幅信号を生成し、前記減衰増幅信号を前記フィードフォワード補正回路へ送る主信号経路と、
    前記減衰入力信号と前記減衰増幅信号を前記主信号経路から受信し、前記減衰入力信号と前記減衰増幅信号に基づき誤り信号を生成し、前記誤り信号を増幅して誤り成分と歪成分から構成される増幅誤り信号を生成し、前記誤り信号をサンプリングして減衰誤り信号を生成し、前記増幅誤り信号をサンプリングして減衰増幅誤り信号を生成し、前記減衰誤り信号と前記減衰増幅誤り信号フィードバック制御回路へ送る主信号経路に接続されたフィードフォワード補正回路と、
    前記主信号経路と前記フィードフォワード補正回路の各々に接続され、前記フィードフォワード補正回路から前記減衰誤り信号と前記減衰増幅誤り信号を受信し、前記減衰誤り信号と前記減衰増幅誤り信号に基づき前記減衰増幅誤り信号の歪成分を含む誤り歪信号を生成し、前記誤り歪信号を定量化して定量化された誤り歪信号を生成し、前記定量化された誤り歪信号に基づき制御信号を生成し、前記制御信号を前記主信号経路へ送るフィードバック制御回路と、を含み、
    前記制御信号に基づき、前記主信号経路は前記増幅誤り信号の歪成分を低減するために、前記入力信号の振幅と位相を調整することを特徴とするフィードフォワード増幅器
  5. 入力信号を増幅して増幅信号を生成するフィードフォワード増幅器を有する送信機において歪を低減するための方法であって、
    入力信号を受信する段階と、
    前記入力信号をサンプリングして減衰入力信号を生成する段階と、
    前記増幅信号をサンプリングして減衰増幅信号を生成する段階と、
    前記減衰入力信号を前記減衰増幅信号と合成して誤り信号を生成する段階と、
    前記誤り信号をサンプリングして減衰誤り信号を生成する段階と、
    前記誤り信号を増幅して増幅誤り信号を生成する段階と、
    前記増幅誤り信号をサンプリングして減衰増幅誤り信号を生成する段階と
    前記減衰誤り信号と前記減衰増幅誤り信号とに基づき減衰増幅誤り信号の歪成分を含む誤り歪信号を生成する段階と、
    前記誤り歪信号を定量化する段階と、
    前記定量化された誤り歪信号に基づき前記入力信号の振幅と位相を調整する段階と、
    からなることを特徴とする方法。
  6. 請求項に記載の方法であって、
    前記制御信号は、複数の制御信号から構成され、
    誤り歪信号を生成する段階は、前記減衰誤り信号を前記減衰増幅誤り信号と合成して前記誤り増幅器歪信号を生成する段階から構成され、
    前記方法は、更に、前記減衰誤り信号を前記減衰増幅誤り信号とを合成するに先立って又前記複数の制御信号の内第1制御信号に基づき、前記減衰増幅誤り信号の誤り成分の打ち消しを容易にするために、前記減衰誤り信号の振幅と位相を調整する段階を含み、
    前記制御信号に基づき前記入力信号の振幅と位相を調整する段階は、前記複数の制御信号の内第2制御信号に基づき前記入力信号の振幅と位相を調整する段階を含む、ことを特徴とする方法。
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