JP4070897B2 - 映像表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は映像表示装置に係り、特に小型化に好適な頭部装着型の映像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヘッド・マウンテッド・ディスプレイ(HMD)は頭部に装着して画像を観察する小型映像表示装置である。HMDは液晶ディスプレイ(LCD)などに代表される表示素子からなる画像形成部、レンズ、ミラーからなる画像伝送部を眼前に配置し、ベルトなどの装着機構で頭部に固定して用いる。画像形成部の表示素子に表示された画像は、画像伝送部のレンズとミラーによる収差補正と拡大機能により見やすい場所に大画面の仮想スクリーンを形成して表示される。
この特徴を生かし、HMDは航空機用の高度・速度等の飛行情報を表示する装置、個人用の映画、テレビゲーム、人工現実感を実現するものとして開発され製品化されている。また、最近ではWearable Computer用ディスプレイとしての研究も行われている。
【0003】
このようなHMDには外界を見る事ができるタイプ(シースルー型)とできないタイプ(クローズ型)がある。人工現実感などのようにシースルー型よりもむしろクローズ型の方が好ましい場合もあるが、多くの場合は外界も同時に観察できるシースルー型の方が携帯使用には便利である。このシースルー型HMDには、上述の画像形成部や画像伝送部に加え、シースルー機能を実現するための要素としてビームコンバイナが必要となる。
【0004】
ビームコンバイナは、例えばCRTやLCDの表示画像を拡大表示すると同時に、外界からの入射光を観察できるようにしたものである。その代表的な方式として、ハーフミラー、プリズム、あるいはホログラムを用いる方式がある。ハーフミラーやプリズムはその原理において、画像光と外界光の光量の和が100%となるため、明るい画像を得るために高い反射率を設定すると外界光が減少してシースルー性が低下することが避けられない。一方、ホログラム方式は特定の波長に対して鋭い波長選択性があり、その波長のみを反射回折させる事ができるため、特定の波長の100%の画像表示光とその波長を除いた100%の外界光を重ねて見る事ができる。この働きはビームコンバイナで表示画像を表示すると同時に外界からの光を100%取り込むことが可能で、高いシースルー性を実現することができる方式である。
【0005】
HMDは全体の装置サイズに対し仮想的に大きな画面を表示することが可能なため携帯性に優れている。携帯型表示装置の理想的な形態としてメガネ型ディスプレイが挙げられる。メガネ型ディスプレイのように小型、軽量を実現するには、表示素子(ディスプレイ)の小型化と同時に、画像伝送部やコンバイナの小型化も求められる。ハーフミラーやプリズム、通常の非対称光学系(Small−off axis:SOA)ホログラムでは、いずれもその原理からくる制約のために目の前の装置サイズが大きくなり、メガネのような形態まで薄くすることは困難である。これに対し大きな非対称光学系(Large−off axis:LOA)ホログラムをコンバイナに用いることにより目の前の部材を大幅に薄くすることが可能となる。
【0006】
このLOAホログラム光学素子を用いた装置が、例えば米国特許第4309070号公報に開示されている。この装置は、航空機用のヘッドアップディスプレイ(HUD)におけるビームコンバイナの小型化を目指したものである。この装置では、CRT上のスクリーンに表示され拡散した映像光がレンズを通してコリメート光に変換される。この映像光は、HUDを構成する透光性基板端面から入射したのち基板内で反射し、透光性基板表面に配置されたホログラムで回折される。観察者はこのホログラムで回折された虚像を観察することとなる。それと同時に、観察者は透光性基板およびホログラムを通して、外界を観察することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなHUDでは、装置自体の大きさは若干大きくなっても構わないが、HMDを意識した場合には、装置の小型化、特に眼前光学系の薄型化は必須である。例えばコンバイナをメガネ程度の大きさにすることを考えると、眼前光学系を構成する透光性基板の厚さは3〜5mm程度に薄くするのが好ましい。透光性基板を薄くすると、薄い基板端面から画像光を入射することになり、表示素子を小型にしなければならない。しかし表示素子を小型にすると、画面の解像度が低下するという問題がある。逆に、解像度を高くするには表示素子が大きくなるので、透光性基板の厚さを厚くしなければならないという問題がある。
【0008】
従って本発明の目的は、上記問題点を解決し、薄い透光性基板を用いて高解像度の映像を表示可能な映像表示装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、高解像度の映像を薄い透光性基板を用いて表示する方法ついて鋭意研究を行ってきた。その結果、必要な解像度(例えば、SXGAレベル)の表示素子(大きさ:1〜1.3インチ程度)の映像を光学系で縮小し、この縮小した画像光を基板端面に入射して伝送することにより、高解像度の映像を薄い透光性基板を用いて表示可能であることを見出して、本発明に至ったものである。
【0010】
即ち本発明に係る映像表示装置は、照明光を照射する光源と、照明光を受けて画像光を出射する空間変調器と、画像光を集光する第1の回折素子と、画像光の集光点に設けられた光反射部材と、光反射部材により反射された画像光を端面から入射する透光性基板と、前記端面から入射された画像光を回折する透光性基板上に配置された第2の回折素子とを備えて構成される。
ここで、第1の回折素子と第2の回折素子は光反射部材を対称中心として対称配置される。この光反射部材は、画像光の集光点の面積よりも小さく構成するのがよい。反射部材としては微小ミラーを用いることができる。また、透光性基板の端面から入射された画像光は、第2の回折素子の配置されていない基板面で少なくとも一回反射するように構成してもよい。第1の回折素子としては非対称ホログラム光学素子が用いられる。
【0011】
また、本発明に係る映像表示方法は、照射光を空間変調器に照射し、前記空間変調器から出射された画像光を第1の回折素子により集光してミラー上にフーリエ変換面を形成し、このフーリエ変換面をミラーにより反射して透光性基板の端面に入射させ、透光性基板上に配置された第2の回折素子によりフーリエ変換面を回折して瞳孔上に結像させ映像が網膜に投影されるようにする。ここで照射光はコヒーレント性を有する光が用いられる。またミラーは、反射面を小さくしフーリエ変換面の周辺部を反射しないようにして余分な光を除去するのがよい。
このように構成することにより、上記問題点は解決され、薄い透光性基板を用いて高解像度の映像を表示可能な映像表示装置を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を説明するが、その前にまず本発明の原理について述べる。図1は、本発明の原理を説明するための図であり、共軸光学系における光学情報の流れを示すものである。図において、実線は照明光の流れであり、点線は画像光の流れである。図のように、インコヒーレントな点光源11からの光は集光レンズ12を通して集束光となる。集光レンズ12の焦点にはピンホール13が置かれていおり、このピンホール13に2次点光源が形成される。この2次点光源はコヒーレンス性を有する点光源として働く。この点光源からの発散光は照明光学系14を通して平行光となり、画像情報を有する空間変調器(例えば、透過型LCD)15を照明する。これにより空間変調器15から画像情報を有する画像光が出射され、ホログラム光学素子16でレンズ作用を受けて画像光は縮小され、焦点f1で集光する。この集光点が物体(空間変調器の画像)のフーリエ変換面にあたる。ここに集光面積より若干小さめのピンホール17を置くと、乱れた余分な回折光を取り除くことができる。このピンホール17に前側焦点距離f1が位置するように別のホログラム光学素子18を配置する。一方、このホログラム光学素子18の後側焦点距離f2は瞳孔19の位置に配置される。これにより、先のピンホール17に位置するフーリエ変換面が瞳孔19にリレーされる。このように瞳孔にフーリエ変換面を作製すると、網膜20に空間変調器の画像を投影することができる。
【0013】
ここで重要な点は、画像光がホログラム光学素子16でレンズ作用を受けて縮小され、集光点にフーリエ変換面を形成する点である。この集光点から発散する光は縮小されており薄い透光性基板の端面を通過することができる。これにより、高解像度の映像を薄い透光性基板を用いて表示することが可能となるのである。以下、本発明の実施例を説明する。
【0014】
(実施例1)
図2は、本発明に係る映像表示装置の一実施例を示す図である。図のように、本実施例では、コヒーレント性を有する点光源1と、照明光学系2と、空間変調器3と、第1のホログラム光学素子(ここでは透過型)4と、微小ミラー5と、透光性基板6と、第2のホログラム光学素子(ここでは反射型)7とから構成される。ここで、点光源1は図1のピンホール13で形成される2次点光源に対応し、また微小ミラー5はピンホール17に対応する。第1のホログラム光学素子4と第2ホログラム光学素子7とは、微小ミラー5に対して対称に配置される。この対称中心は図中の微小ミラー5に示す点線である。
【0015】
本実施例における光の流れは次のとおりである。コヒーレンス性を有する光源1からの発散光は照明光学系2で平行光束となり、画像情報を有する空間変調器3を照明する。空間変調器3から出射された画像光は透過型の第1のホログラム光学素子4で集束光となると同時に、光束の向きを変える。集束光は微小ミラー5の位置で焦点を結ぶ。ここで微小ミラー5の径は、図1に示したピンホールと同じ大きさである。したがって微小ミラー5においては、その大きさの光束のみが反射されるため、上述のピンホールと同様の働きを行う。この微小ミラー5で反射した光束は、透光性基板6の端面から入射し、反射型の第2のホログラム光学素子7で回折し、瞳孔8で焦点を結ぶ。透光性基板6の端面に光束が入射するとき屈折するが、この影響は第2のホログラム光学素子7で補正されるように作製される。
ここでコヒーレンス性を有する光源1は、図1に示すように、発光光源を一度集光したのち焦点位置にピンホールを配置することにより2次点光源として得られる。また、微小ミラー5はガラス基板上にアルミなどを蒸着することにより作製することができる
【0016】
(実施例2)
図3は、本発明に係る映像表示装置の他の実施例を示す図である。本実施例が先の実施例1と異なる点は、図のように、眼前光学系の透光性基板27内で画像光が全反射を1回行う点である。
【0017】
本実施例における光の流れは次のとおりである。コヒーレンス性を有する光源21からの発散光は照明光学系22で平行光束になり、画像情報を有する空間変調器23を照明する。空間変調器23から出射された画像光は透過型の第1のホログラム光学素子24で集束光となると同時に、光束の向きを変える。そして画像光はミラー25で反射した後、微小ミラー26で焦点を結ぶ。微小ミラー26で反射した画像光は、その後、透光性基板27の端面に入射し、基板内で一度反射する。その反射光は反射型の第2のホログラム光学素子28で回折し、瞳孔29で焦点を結び、網膜30に投影される。
ここで透光性基板27をメガネと同様の位置に配置することを考える。眼とメガネとの間隔は約15mmである。人間が認識する画角を±30度とする。画像光が約80度程度の角度で入射する場合、基板の厚さは3mmにすることができる。これより、眼前光学系の厚さを非常に薄くすることができる。
【0018】
(実施例3)
図4は、本発明に係る映像表示装置の他の実施例を示す図である。本実施例が先の実施例1と異なる点は、図のように、空間変調器35として反射型LCDを用いた点であり、それ伴い他の部分の構成も若干異なる。即ち、本実施例では、コヒーレント性を有する点光源31と、第1のホログラム光学素子(ここでは反射型)からなる照明光学系32と、空間変調器35と、第2のホログラム光学素子(ここでは透過型)34と、ミラー33と、微小ミラー36と、透光性基板37と、第3のホログラム光学素子(ここでは反射型)38とから構成される。
【0019】
本実施例における光の流れは次のとおりである。コヒーレント性を有する光源31からの発散光は第1のホログラム光学素子(反射型)からなる照明光学系32で回折を受け、反射後平行光となる。反射光は第2のホログラム光学素子(透過型)34を通過し、画像情報を有する空間変調器(反射型LCD)35に入射する。この空間変調器35で反射して、空間変調を受けた画像光は第2のホログラム光学素子(透過型)34で回折を受け、集束光となる。この集束光は第1のホログラム光学素子からなる照明光学系32と同一面にあるミラー33で反射し、微小ミラー36で焦点を結ぶ。微小ミラー36で反射した発散光は透光性基板37の端面から入射し、基板内で一度反射した後、第3のホログラム光学素子(反射型)38で回折を受けて集束光となり、瞳孔39で焦点を結び、網膜40に投影される。ここでも、第2のホログラム光学素子34と第3のホログラム光学素子38が微小ミラー36を中心として対称な位置に配置される。
【0020】
このように本発明では、光学系で縮小した画像光を基板端面から入射するように構成したので基板の厚さを薄くでき、よりメガネに近い装着型の映像表示装置を作製することができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、薄い透光性基板を用いて高解像度の映像を表示可能な映像表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するための図である。
【図2】本発明に係る映像表示装置の一実施例を示す図である。
【図3】本発明に係る映像表示装置の他の実施例を示す図である。
【図4】本発明に係る映像表示装置の他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1、21、31 点光源
2、22、32 照明光学系
3、23、35 空間変調器
4、7、24、28、34、38 ホログラム光学素子
5、26、36 微小ミラー
6、27、37 透光性基板
8、29、39瞳孔
9、30、40 網膜
25、33 ミラー

Claims (6)

  1. 照明光を照射する光源と、前記照明光を受けて画像光を出射する空間変調器と、前記画像光を集光してフーリエ変換面を形成する第1の回折素子と、前記画像光の集光点に設けられた前記集光点の面積よりも反射面が小さい光反射部材と、前記光反射部材により反射された画像光を端面から入射する透光性基板と、前記端面から入射された画像光を回折して瞳孔に集光させる、前記透光性基板上に配置された第2の回折素子とを備えたことを特徴とする映像表示装置。
  2. 前記透光性基板の端面から入射された画像光が、第2の回折素子の配置されていない基板面で反射するように構成したことを特徴とする請求項1記載の映像表示装置。
  3. 第1の回折素子と第2の回折素子とが前記光反射部材を対称中心として対称配置されるように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の映像表示装置。
  4. 第1の回折素子が非対称ホログラム光学素子より構成されたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の映像表示装置。
  5. 照射光を空間変調器に照射し、前記空間変調器から出射された画像光を第1の回折素子により集光してミラー上にフーリエ変換面を形成し、前記ミラーによる前記フーリエ変換面からの反射光を透光性基板の端面に入射させ、前記透光性基板上に配置された第2の回折素子により前記反射光を回折して瞳孔上に集光するようにしたこと、および前記ミラーの反射面を前記画像光の集光点の面積よりも小さくしたことを特徴とする映像表示方法。
  6. 前記照射光がコヒーレント性を有する光であることを特徴とする請求項記載の映像表示方法。
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