JP4070227B2 - 気化器の取付装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は補器などが付くことにより大型化した気化器本体を、断熱管を介して取付ボルトにより機関に取り付ける気化器の取付装置、詳しくは取付ボルトの本数を増やさなくても、気化器本体と断熱管の取付面の隙間から空気が吸入されることがない気化器の取付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は従来の気化器10Bの概略を示す正面図、図5は同側面図である。気化器10Bは気化器本体12の端部フランジに設けた左右1対のボルト挿通孔30を貫通する取付ボルト34により、断熱管36を介して機関38に取り付けられる。気化器本体12の底部には補助燃料ポンプ32が取り付けられる。気化器10Bは機関のピストンの摺動に伴うクランク室の圧力変動を利用してクランク室へ混合気を吸入し、クランク室の混合気を加圧してシリンダの燃料室へ供給する2行程内燃機関に適用される。2行程内燃機関ではクランク室で加圧された混合気を掃気口を経てシリンダへ供給することにより、シリンダの燃焼室に残つている燃焼ガスの掃気を行うものであるので、燃焼ガスの掃気を良好に行おうとすれば、燃焼室へ流入した混合気の一部が燃焼ガスと一緒に排気口を経て大気中へ排出されるという吹抜け現象が発生する。
【0003】
気化器10Bの吹抜け現象を抑止するために、気化器本体12には混合気通路14と空気通路16が互いに平行に形成され、気化器本体12に混合気通路14を垂直に横切る円筒状の弁室(図示せず)と、空気通路16を垂直に横切る円筒状の弁室とが共通の軸線をもつように連通して形成される。混合気通路14の燃料を制御するための弁孔18を有する円柱状の絞り弁20と、空気通路16の空気量を制御するための弁孔22を有する円柱状の空気制御弁24とが共通の軸線をもつように一体に構成される。混合気通路14を横切る円筒状の弁室に絞り弁20が、空気通路16を横切る円筒状の弁室に空気制御弁24が、それぞれ回転可能にかつ軸方向移動可能に嵌挿される。
【0004】
機関の運転時、絞り弁20と空気制御弁24の共通の弁軸26に結合した絞り弁レバー28を回動すると、絞り弁20と空気制御弁24とが同時に回転し、絞り弁20の弁孔18の開度に応じて混合気が機関のクランク室へ吸入され、同時に空気制御弁24の弁孔22の開度に応じて掃気用の空気が機関の掃気通路へ吸入される。
【0005】
図5に示すように、気化器本体12は上流側端部に空気清浄器40を突き合せ、下流側端部を断熱管36に突き合せ、左右1対の取付ボルト34により機関38に取り付けられる。断熱管36は例えば合成樹脂により形成され、機関38から気化器本体12への熱の伝達を抑制する。気化器本体12の下流側端部の取付面12aが断熱管36の取付面36aに密着し、断熱管36の取付面36bが機関38の取付面38aに密着される。
【0006】
ところで、気化器10Bは吹抜け現象を抑えるために、補器として気化器本体12の内部に空気通路16と空気制御弁24を組み込んでいるので、気化器本体12が縦長のもの、つまり嵩高なものになる。従来の補器を備えていない気化器のための左右1対の取付ボルト34と機関の取付ねじ孔とを用いて、嵩高な気化器を断熱管36を介して機関38に取り付けるだけでは、図5に示すように、取付ボルト34の位置から離れた気化器本体12の上部付近では、気化器本体12の取付面12aと断熱管36の取付面36aとの接触面圧が弱くなり、気化器本体12の取付面12aと断熱管36の取付面36aとの隙間から空気が吸い込まれる恐れがある。空気の吸入を防止するには、取付ボルト34の本数を増やさなければならない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は上述の問題に鑑み、補器などにより気化器本体が大型化しても、取付ボルトの本数を増やすことなく、気化器本体と断熱管の取付面の隙間から空気が吸入されることがないように結合した気化器の取付装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の構成は断熱管の上流側端部の取付面の上縁に連続して、上方へ突出し幅方向へ延びる断面長方形の突条を形成し、気化器本体の下流側端部の取付面の上縁に連続して、上方へ突出し幅方向へ延びる断面逆U字形の係止片を形成し、前記係止片の内面と前記突条との隙間に弾性を有する少くとも1枚のスペーサを介装し、前記気化器本体を前記断熱管を介して左右1対の取付ボルトにより機関に取り付けたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の構成は断熱管の上流側端部の取付面の上縁に連続して、上方へ突出し幅方向へ延びる断面逆台形の突条を形成し、気化器本体の下流側端部の取付面の上縁に連続して、上方へ突出し幅方向へ延びる断面逆台形の突条を前記断熱管の突条と対称に形成し、前記断熱管の突条と前記気化器本体の突条とを整合させ、断面が逆U字形で開口部が狭い弾性クリツプを前記両方の突条に嵌合し、前記気化器本体を前記断熱管を介して左右1対の取付ボルトにより機関に取り付けたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明では気化器本体に設けた逆U字形の係止片を、断熱管に設けた突条に係止する。係止片を突条に係止した時に生じる係止片と突条との隙間に、弾性を有する少くとも1枚のスペーサを介装したうえ、気化器本体を断熱管を介して左右1対の取付ボルトにより機関に取り付ける。取付ボルトの取付位置が低位にあつても、取付ボルトから離れた気化器本体の上部付近で、気化器本体の取付面と断熱管の取付面との間の接触面圧が弱くなることがない。
【0011】
また、本発明では断熱管に設けた突条と気化器本体に設けた突条とを整合させ、両方の突条に断面が逆U字形で開口部が狭い弾性クリツプを係止する。次いで、気化器本体を断熱管を介して左右1対の取付ボルトにより機関に取り付ける。取付ボルトから離れた気化器本体の上部付近では、気化器本体の取付面と断熱管の取付面との間の接触面圧が弾性クリツプにより維持される。
【0012】
【実施例】
図1に示すように、気化器10の気化器本体12は上流側端部に空気清浄器40を突き合せたうえ、下流側端部を断熱管36に突き合せ、左右1対の取付ボルト34により機関38に取り付けられる。図2は取付ボルト34を取り付ける前の、気化器10と断熱管36との関係を示す側面図である。アルミニウム合金などからなる気化器本体12の内部構造は、図4,5に示すものと同じであり、絞り弁と空気制御弁の共通の弁軸26には絞り弁レバー28が結合され、気化器本体12の底部には補助燃料ポンプ32が備えられる。
【0013】
断熱管36は例えば合成樹脂により形成されるものであり、機関38から気化器本体12への熱の伝達を抑える。断熱管36は上流側端部に取付面36aの上縁に連続して、断熱管36の上方へ突出しかつ幅方向へ延びる断面長方形の突条44を一体に設けられる。一方、気化器本体12の下流側端部の取付面12aの上縁に連続して、取付面12aの上方へ突出しかつ幅方向に延びる断面逆U字形の係止片42が、気化器本体12と一体に形成される。
【0014】
気化器本体12を機関38に取り付けるには、まず断熱管36の突条44に気化器本体12の係止片42を係止する。断熱管36の突条44に、気化器本体12の係止片42を係止すると、係止片42の内面と突条44との間に隙間が生じる。図2に示すように、隙間に弾性のある1枚または複数枚のスペーサ48を介装する。係止片42を突条44に係止する前に、断熱管36を別の取付ボルトにより機関38に予め取り付けておくのが好ましい。図2に示す状態から、気化器本体12の取付面12aを、断熱管36の取付面36aに密着させ、空気清浄器40と一緒に気化器本体12を左右1対の取付ボルト34により断熱管36に取り付ける。
【0015】
本実施例によれば、補器として空気通路16と空気制御弁24とを設けることにより大型化した気化器本体12を、断熱管36を介して取付ボルト34により機関38に取り付ける場合に、係止片42を突条44に係止した時に生じる係止片42の内面と突条44との間の隙間に、弾性のある1枚または複数枚のスペーサを介装することにより、取付ボルト34の位置から離れた気化器本体12の上部付近で、気化器本体12の取付面12aと断熱管36の取付面36aとの接触面圧が弱くなることがない。その結果、気化器本体12の取付面12aと断熱管36の取付面36aとの間の隙間から空気が吸入される恐れもなくなり、取付ボルト34の本数を増やす必要もなくなる。
【0016】
図3に示す実施例では、断熱管36には上流側端部の取付面36aの上縁に連続して、上方へ突出しかつ幅方向へ延びる断面が逆台形の突条52が一体に形成される。一方、気化器本体12の下流側端部の取付面12aの上縁に連続して、突条52と対称の突条50が一体に形成される。断熱管36は例えば合成樹脂により形成されるものであり、機関38から気化器本体12への熱の伝達を抑制する。
【0017】
気化器本体12を機関38に取り付けるには、まず断熱管36の突条52と、気化器本体12の突条50とを突き合せる。断面が逆U字形で開口部が狭い弾性クリツプ54を両突条50,52に跨がつて係合する。空気清浄器40と気化器本体12を断熱管36を介して左右1対の取付ボルト34により機関38に取り付ける。
【0018】
本実施例によれば、例えば空気通路16と空気制御弁24を設けることにより嵩高になつた気化器本体12を、断熱管36を介して左右1対の取付ボルト34により機関38に取り付ける場合に、断面が逆U字形で開口部が狭い弾性クリツプ54を、両突条50,52に跨がつて嵌合することにより、取付ボルト34の位置から離れた気化器本体12の上部付近で、気化器本体12の取付面12aと断熱管36の取付面36aとの接触面圧が弱くなることがない。気化器本体12の取付面12aと断熱管36の取付面12aの隙間から空気が吸入される恐れがなくなり、取付ボルト34の本数を増やす必要もなくなる。
【0019】
なお、上述の実施例では空気通路と空気制御弁を付加して嵩高になつた気化器の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の気化器に適用できる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は上述のように、断熱管の上流側端部の取付面の上縁に連続して、上方へ突出し幅方向へ延びる断面長方形の突条を形成し、気化器本体の下流側端部の取付面の上縁に連続して、上方へ突出し幅方向へ延びる断面逆U字形の係止片を形成し、前記係止片の内面と前記突条との隙間に弾性を有する少くとも1枚のスペーサを介装し、気化器本体を断熱管を介して左右1対の取付ボルトにより機関に取り付けたので、嵩高の気化器本体の取付ボルトの位置から離れた上部付近でも、気化器本体の取付面と断熱管の取付面との間に密着圧が維持され、気化器本体の取付面と断熱管の取付面の隙間から空気が吸い込まれる恐れもなくなり、取付ボルトの本数を増やす必要もなくなる。
【0021】
また、断熱管の上流側端部と気化器本体の下流側端部との各取付面の上縁に連続して、上方へ突出し幅方向へ延びる断面逆台形の突条を対称に形成し、両方の突条に断面が逆U字形で開口部が狭い弾性クリツプを嵌合しても、気化器本体の取付面と断熱管の取付面との間に密着圧が維持され、気化器本体の取付面と断熱管の取付面の隙間から空気が吸い込まれる恐れもなくなり、取付ボルトの本数を増やす必要もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る気化器本体を断熱管を介して機関に取り付けた状態を示す気化器の取付装置の側面図である。
【図2】同気化器を取付ボルトにより取り付ける前の状態を示す側面図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る気化器の取付装置の側面図である。
【図4】従来の気化器の概略構成を示す正面図である。
【図5】同気化器を断熱管を介して機関に取り付けた状態を示す側面図である。
【符号の説明】
10:気化器 10A:気化器 12:気化器本体 12a:取付面 14:混合気通路 16:空気通路 20:ロータリ絞り弁 24:ロータリ空気制御弁26:弁軸 28:絞り弁レバー 34:取付ボルト 36:断熱管 36a:取付面 36b:取付面 38:機関 38a:取付面 40:空気清浄器 42:係止片 44:突条 46:傾斜面 48:スペーサ 50:突条 52:突条 54:弾性クリツプ

Claims (2)

  1. 断熱管の上流側端部の取付面の上縁に連続して、上方へ突出し幅方向へ延びる断面長方形の突条を形成し、気化器本体の下流側端部の取付面の上縁に連続して、上方へ突出し幅方向へ延びる断面逆U字形の係止片を形成し、前記係止片の内面と前記突条との隙間に弾性を有する少くとも1枚のスペーサを介装し、前記気化器本体を前記断熱管を介して左右1対の取付ボルトにより機関に取り付けたことを特徴とする気化器の取付装置。
  2. 断熱管の上流側端部の取付面の上縁に連続して、上方へ突出し幅方向へ延びる断面逆台形の突条を形成し、気化器本体の下流側端部の取付面の上縁に連続して、上方へ突出し幅方向へ延びる断面逆台形の突条を前記断熱管の突条と対称に形成し、前記断熱管の突条と前記気化器本体の突条とを整合させ、断面が逆U字形で開口部が狭い弾性クリツプを前記両方の突条に嵌合し、前記気化器本体を前記断熱管を介して左右1対の取付ボルトにより機関に取り付けたことを特徴とする気化器の取付装置。
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