JP4069577B2 - 熱現像感光材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像感光材料に関し、詳しくは水性の塗布液で製造することができる熱現像感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
支持体上に感光層を有し、画像露光することで画像形成を行う感光材料は、数多く知られている。それらの中でも、水性の塗布液で製造することができ、かつ環境保全や画像形成手段が簡易化できる熱現像感光材料の技術が重視されているる。
【0003】
熱現像感光材料の詳細は、例えば、米国特許第3,152,904号、同第3,457,075号等の各明細書及び「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Material)」(D.モーガン(Morgan))、「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systerms)」(D.モーガン(Morgan)、B.シェリー(Shely)著)、「イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)」Neblette 第8版(スタージ(Sturge)、V.ウォールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集)(1969年)第2頁等に開示されている。
【0004】
熱現像感光材料は、露光後、熱現像処理して写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀塩)、触媒活性の光触媒のハロゲン化銀及び還元剤、必要に応じて銀の色調を抑制する色調剤等を通常疎水性樹脂のマトリックス中に機能分散した状態で含有し、常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃〜140℃)に加熱することで現像される。即ち、加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成するものであり、この酸化還元反応は露光によりハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。この反応過程は、外部から水等の処理液を供給することなしで進行する。
【0005】
このような熱現像による画像を形成する熱現像感光材料は、近年ますます高まっている現像処理の簡易化や、環境保全の要求に合致するものである。
【0006】
しかしながら、従来このような熱現像感光材料の多くは、有機溶剤系の塗布液を塗布乾燥して感光層が形成されていた。例えば、米国特許第5,415,993号明細書には、ポリビニルブチラールをトルエンとメチルエチルケトンとの混合溶剤に溶解した有機溶剤系塗布液の使用が記載されている。その他、2−ブタノン、メタノール等の有機溶剤系塗布液を用いて感光層を形成する例もある。
【0007】
上記のような有機溶剤系塗布液を用いた熱現像感光材料の製造には、例えば有機溶剤系塗布液を塗布する際の爆発防止設備、有機溶剤回収設備、作業環境保全設備、安全管理設備等が必要となるなど多くの問題がある。
【0008】
上記観点から、有利な水系の塗布液を用いて感光層を形成する技術が提案されている。例えば、特開昭49−52626号、同53−116144号等の各公報にはゼラチンをバインダーとする感光層の例が、また特開昭50−151138号公報にはポリビニルアルコールをバインダーとする感光層の例が、更に、特開昭58−28737号公報には水溶性ポリビニルアセタールをバインダーとする感光層の例が記載されている。しかし、これらの系は生保存性、現像後の画像保存性が悪く、また、熱現像後の感光層と支持体との間の接着性が不十分であるという欠点があった。そこで、水系溶媒の塗布液を用い、かつ上記欠点のない熱現像感光材料を提供することができる技術が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、感光層の作製に際して、有機溶剤の塗布液に代えて、該有機溶剤に比してコスト、環境保全面で有利な水系溶剤の塗布液を用いると共、選択された銀塩分散用のバインダーを用いることにより、生保存性、現像後の画像保存性に優れ、さらには、熱現像後の感光層と支持体との接着性にも優れた熱現像感光材料を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題点に対し鋭意検討を行った結果、有機銀塩を還元剤やハロゲン化銀から隔離し、感光層内の水分率を制御することにより、生保存性、即ち温度及び湿度に対する保存性が優れ、支持体と感光層との接着性にも優れた熱現像感光材料を達成することができた。具体的には、感光性ハロゲン化銀、有機銀塩、及び該有機銀塩の還元剤を含有する感光層内において、▲1▼銀イオン拡散速度が特定範囲内にあるバインダーを用いること、▲2▼有機銀塩の全て、或いはその一部が有機銀塩固体微粒子分散物、好ましくは水分散性有機銀塩含有複合微粒子分散物を形成すること、▲3▼感光層上の保護層の硬さを制御すること、▲4▼下引層の硬さを制御すること、▲5▼支持体の硬さを制御すること等の手段により上記諸特性に優れた熱現像感光材料が得られることを見いだすに至った。
【0011】
従って、本発明の前記の目的は下記構成により達成される。
1.支持体上に、少なくともハロゲン化銀と有機銀塩とバインダーとを含有する感光層を有する熱現像感光材料において、該バインダーはゼラチンを30〜70質量%含有し、下記の測定による該バインダーの25℃における銀イオン拡散係数が3×10-15cm2-1未満であり、かつ100℃における銀イオン拡散係数が3×10-15cm2-1以上であることを特徴とする熱現像感光材料。
銀イオン拡散係数の測定:銀塩とバインダーを混合してなる下記溶液Gに下記櫛型電極(BAS)を挿入し、ポテンシオスタットを用いて、電位の走査速度を5mV/s〜30mV/sの条件で、ピーク電流値を測定し、その値を以下のFickの第2法則の式に代入することにより、銀イオン拡散係数を得る。
I=0.4463×n 3/2 3/2 AC(RT) -1/2 1/2 1/2
式中、I:ピーク電流、n:移動電子数、F:ファラデー定数、A:電極面積、C:電解質の濃度(溶液G中の銀塩濃度)、R:気体定数、T:絶対温度、D:拡散係数、v:電位の走査速度を表す。
櫛形電極:電極部分は白金、各々の帯電極の幅は10μm、電極のギャップ幅は5μm、電極の長さは2.5mm、各々の電極の本数は67本。
溶液G:用いるバインダーが2種以上である場合その使用している質量比で混合したバインダー 65g、メチルエチルケトン 190g、ベヘン酸銀 58g、ハロゲン化銀(Br/I=98/2) 2.5g、3−メチルチオフェン 2gの溶液
【0012】
2.支持体上に、少なくともハロゲン化銀と有機銀塩とバインダーとを含有する感光層を有する熱現像感光材料において、該バインダーはゼラチンを30〜70質量%含有し、該感光層のバインダーが親水性の異なる2相以上の構造を有し、該ハロゲン化銀の結晶が親水性の最も高い相に位置することを特徴とする熱現像感光材料。
【0013】
3.前記バインダーが、ゼラチンとラテックスで構成されてることを特徴とする前記1〜2の何れか1項に記載の熱現像感光材料。
【0015】
.前記バインダーを含有する層に硬膜剤を含有することを特徴とする前記1〜の何れか1項に記載の熱現像感光材料。
【0016】
.前記硬膜剤が、ビニルスルホン系化合物又はクロロトリアジン系化合物であることを特徴とする前記に記載の熱現像感光材料。
【0017】
.前記有機銀塩が、ラテックスと共に有機銀塩微粒子分散物を形成していることを特徴とする前記1〜の何れか1項に記載の熱現像感光材料。
【0018】
.前記有機銀塩微粒子分散物が水分散性有機銀塩含有複合微粒子分散物であるか、又は有機銀塩固体微粒子分散物であることを特徴とする前記に記載の熱現像感光材料。
【0019】
また、以下の態様も好ましく発明効果を奏する。
.支持体上に、少なくとも1層の感光層と表面保護層を有する熱現像感光材料であって、該感光層に水分散性有機銀塩含有複合微粒子分散物又は有機銀塩固体微粒子分散物を含有し、かつ該表面保護層にTgが50℃以上のラテックスを含有することを特徴とする熱現像感光材料。
【0020】
.前記表面保護層に含有するラテックス組成が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする前記に記載の熱現像感光材料。
【0021】
.前記表面保護層の膜厚dpと感光層の膜厚deの比がdp/de=1/2〜1/7であることを特徴とする前記ア又はに記載の熱現像感光材料。
【0022】
.支持体上に、少なくとも1層の感光層を有する熱現像感光材料であって、該感光層に水分散性有機銀塩含有複合微粒子分散物又は有機銀塩固体微粒子分散物を含有し、かつ該支持体がシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなることを特徴とする熱現像感光材料。
【0023】
.支持体上に、少なくとも1層の下引層と感光層を有する熱現像感光材料であって、該感光層に水分散性有機銀塩含有複合微粒子分散物又は有機銀塩固体微粒子分散物を含有し、かつ該下引層が塩化ビニリデンであることを特徴とする熱現像感光材料。
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
〈請求項1の銀イオンの拡散係数を規定した発明〉
本発明の熱現像感光材料において、請求項1に記載の熱現像感光材料は、感光層中にハロゲン化銀や有機銀塩等の銀塩及びバインダーを含有してなり、該感光層の塗布液中のバインダーの銀イオン拡散係数が、室温時に比して高温時において、より大きい拡散係数に切り替わるバインダーが選択されるので、一方では室温時に銀イオンが拡散しにくいことから熱現像感光材料の保存性が優れていて画像が安定しており、他方では高温(100℃以上)時に銀イオン拡散係数が大となることにより現像核が速やかに成長して現像が促進される効果があり、その結果、保存安定性に優れていると共に熱現像時高感度特性を有する熱現像感光材料が得られる。ここで、請求項1の技術では25℃における感光層中のバインダーの銀イオン拡散係数が3×10-15cm2-1未満であり、かつ100℃における銀イオン拡散係数が3×10-15cm2-1以上であることを必須の要件としており、感光層の塗布液中のバインダーの25℃における銀イオンの拡散係数が3×10-15cm2-1以上では熱現像感光材料の保存安定性が悪く、感光層の塗布液中のバインダーの100℃における銀イオン拡散係数が3×10-15cm2-1未満では熱現像感光材料の熱現像時の感度が不十分となる。なお、25℃における銀イオン拡散係数が0cm2/s-1以上でかつ4×10-16cm2-1未満であり、さらに100℃における銀イオン拡散係数が6×10-14cm2-1以上でかつ1×105cm2-1以下であることが更に好ましい。
【0025】
また、ここでいうバインダーは、ゼラチン等の親水性高分子及びTgが25℃以上で分子量1万以上の有機化合物から構成され、該有機化合物用としては、例えばポリ−t−ブチルアクリレート、セルローズブチレートアセート等が挙げられるが、特に後述する有機銀塩微粒子分散物を含有するラッテックス/ゼラチン系のバインダーが好ましい。
【0026】
(銀イオン拡散係数の測定)
請求項1でいう銀イオン拡散係数は、銀塩とバインダーを混合してなる後述の溶液Gに微小電極として櫛型電極(BAS)を挿入し、HECS−312型高感度ポテンシオスタット(扶桑製作所製)を用いて、電位の走査速度を5mV/s〜30mV/sの条件で、ピーク電流値を測定し、その値を以下のFickの第2法則の式に代入することにより、銀イオン拡散係数が得らる。図1(a)は上記櫛型電極を用いた銀イオン拡散係数測定装置の模式図であり、図中、1はボルトメーター、2はアンメーター、3a及び3bは配線、4a及び4bは電極配線端子、5は保温液、6は櫛形電極を表し、該櫛形電極6は後述する溶液Gに浸漬されている。図1(b)は図1(a)の櫛形電極6の部分拡大図を表し、図1(c)は図1(b)の部分拡大図を表す。
【0027】
I=0.4463×n3/23/2AC(RT)-1/21/21/2
式中、I:ピーク電流、n:移動電子数、F:ファラデー定数、A:電極面積、C:電解質の濃度(溶液G中の銀塩濃度)、R:気体定数、T:絶対温度、D:拡散係数、v:電位の走査速度を表す。
【0028】
櫛形電極:電極部分は白金、各々の帯電極の幅は10μm、電極のギャップ幅は5μm、電極の長さは2.5mm、各々の電極の本数は67本。
【0029】
溶液Gは以下の量で作製した。感光層に用いるバインダーが2種以上である場合、その使用している質量比で添加した。
【0030】
メチルエチルケトン 190g
感光層に用いるバインダー 65g
ベヘン酸銀 58g
ハロゲン化銀(Br/I=98/2) 2.5g
3−メチルチオフェン 2g
上記のように本発明の熱現像感光材料は、感光層の塗布液中のバインダーの25℃における銀イオンの拡散係数が3×10-15cm2-1未満であり、感光層の塗布液中のバインダーの100℃における銀イオン拡散係数が3×10-15cm2-1以上であることを特徴としており、そのことにより保存安定性が優れていて、かつ熱現像により高感度の画像形性が可能となる。このような熱現像感光材料の特性を達成するため下記請求項2の発明がある。
【0031】
〈請求項2の親水性の異なる2相以上の構造を有するバインダーを規定した発明〉
請求項2でいう親水性の異なる2相以上の構造を有するバインダーを製造するには、親水性の異なる2種以上の高分子をブレンドする必要があり、このブレンドについては、Utracki著、西敏夫訳、東京化学同人発行“ポリマーアロイとポリマーブレンド”に記述されている。本発明では25℃において均一系にはならず2相以上に相分離する系の組み合わせをバインダーとして用いることが必要であるが、0℃若しくは100℃で均一系となってもよい。即ち相溶系若しくは非相溶系となる高分子のブレンドで、室温(25℃)において均一系とならない組み合わせで本発明の目的を達成することができる。好ましくは、組み合わせる高分子の少なくとも1種類が水溶性高分子からなるバインダーである。さらに好ましくは40℃以下でゲル化する水溶性高分子がよい。相分離していることの判別には、塗布した膜の電顕写真(断層TEM写真:日本電子製JEM−2000FX加速電圧:200kV、設定厚100μm)を撮影し、境界が見えていれば相分離といえる。
【0032】
2つ以上の相の親水性の度合いについては、染料(青色染料エチルバイオレットの0.5質量%水溶液)を用いて、塗布した膜を染料に浸し、温度50℃における染色の度合いを電顕(断層TEM:上記同条件)で観察し、最も着色の度合いが高い部分が親水性の最も高い相である。また、ハロゲン化銀の位置もこの時、確認できる。
【0033】
このような親水性の高い高分子としては、具体的には、以下のSP−1からSP−31が挙げられるが、特に好ましくはゼラチンが挙げられる。
【0034】
【化1】
Figure 0004069577
【0035】
【化2】
Figure 0004069577
【0036】
【化3】
Figure 0004069577
【0037】
【化4】
Figure 0004069577
【0038】
【化5】
Figure 0004069577
【0039】
【化6】
Figure 0004069577
【0040】
上記親水性が異なる高分子を組み合わせて感光層のバインダーを調製する場合に、水溶性高分子と高分子コロイドであるラテックスとをブレンドすることにより容易に本発明の目的を達成することができる。水溶性高分子と組み合わせるラテックスには、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタアルキルアクリレートの単独重合体、スチレン単独重合体、又は、メタアルキルアクリレートやスチレンとアクリル酸、N−メチロールアクリルアミド、グリシドールメタクリレート等との共重合体、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートの単独重合体もしくはアルキルアクリレートとアクリル酸、N−メチロールアクリルアミド等との共重合体(好ましくはアクリル酸等の共重合成分は30質量%まで)、ブタジエンの単独重合体もしくはブタジエンとスチレン、ブトキシメチルアクリルアミド、アクリル酸の1つ以上との共重合体、塩化ビニリデン・メチルアクリレート・アクリル酸3元共重合体等が挙げられる。具体例としては、特開平2−289842号公報の第8〜13項記載のL−1〜L−24などがある。
【0041】
本発明のラテックス/ゼラチン系の感光層塗布液の場合、ゼラチン相にハロゲン化銀があり、また、特に、有機銀塩がラテックス中に取り込まれていることが、請求項2の発明の目的に対して好ましい。上記の様に有機銀塩をラテックス中に取り込んだ感光層塗布液を作製するには、後述する有機銀塩微粒子分散物(を有機銀塩分散物ともいう)を予め作製し、この有機銀塩分散物をハロゲン化銀のゼラチン水溶液中に混合して作製するのが好ましい。
【0042】
〈有機銀塩分散物の作製〉
上記の様に本発明の熱現像感光材料の感光層の形成に用いられる有機銀塩分散物としては、有機銀塩固体微粒子分散物(有機銀塩固体分散物ともいう)の形態と、水分散性有機銀塩含有複合微粒子分散物(有機銀塩複合分散物ともいう)の形態とがあり、特に有機銀塩複合分散物の形態が重要である。以下有機銀塩分散物について説明するが、その前に、有機銀塩分散物の作製に用いられる有機銀塩について説明する。
【0043】
(有機銀塩)
本発明の熱現像感光材料の感光層に含有される有機銀塩は、還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩であり、配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。本発明に好適な銀塩の例は、Research Disclosure(以降RDと略す)17029及び29963に記載されており、有機酸の銀塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、アラキジン酸,ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩)、カルボキシアルキルチオ尿素銀塩(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等の銀塩)、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)とヒドロキシ置換芳香族カルボン酸(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸等)とのポリマー反応生成物の銀錯体、チオン類の銀塩又は錯体(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−(チアゾリン−2−チオン、及び3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン等の銀塩又は錯体))、イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール又は1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾールまたはベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体若しくはその塩、サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩、メルカプチド類の銀塩等がある。これらのうち、長鎖(10〜30、好ましくは15〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環が好ましい。特に好ましい銀源は、ベヘン酸銀,アラキジン酸銀及び/又はステアリン酸銀である。
【0044】
これらの有機銀塩は、水溶性銀化合物と、これと錯体を形成する化合物とを混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されているようなコントロールドダブルジェット法が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を形成した後に、コントロールドダブルジェットにより、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を形成する。
【0045】
本発明においては有機銀塩は平均粒径が1μm以下でありかつ単分散であることが好ましい。有機銀塩の平均粒径とは、有機銀塩の粒子が例えば球状、針状、棒状、平板状等の粒子の場合には、有機銀塩粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。平均粒径は好ましくは0.01μm〜0.8μm、特に0.05μm〜0.5μmが好ましい。本発明においては、有機銀塩が平均粒径1μm以下の単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にすることで濃度の高い画像が得られる。更に有機銀塩は平板状粒子を全有機銀塩の60質量%以上有することが好ましい。本発明において平板状粒子とは平均粒径と厚さの比、いわゆる下記式で表されるアスペクト比(ARと略す)が3以上のものをいう。
【0046】
AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm)
有機銀塩をこれらの形状にするためには、前記有機銀塩結晶を界面活性剤等を含有する水系液中でボールミルなどで分散粉砕して水系分散液とするのがよい。
【0047】
また、本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては、短軸と長軸を有する針状結晶であってもよい。本発明においては短軸0.01〜0.20μm、長軸0.10〜5.0μmが好ましく、短軸0.01〜0.15μm、長軸0.10〜4.0μmがより好ましい。針状結晶の場合の単分散度とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれの平均値で割った値に100を掛けて%で表した値であり、好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩微粒子分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。有機銀塩の粒子は単分散のものが好ましい。ここで、単分散とは、後述のハロゲン化銀の場合と同義であり、好ましくは単分散度が1〜30である。上記のように調製された本発明に使用する有機銀塩は、用いたアルカリ金属ソープのような塩類を脱塩をすることが好ましい。脱塩の方法としては特に制限はなく公知の方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いることができる。
【0048】
(有機銀塩複合分散物)
本発明の請求項に記載される有機銀塩複合分散物は、前記したように有機銀塩を含有する前記水系分散液中に重合性モノマーを共存させ、該重合性モノマーを重合して有機銀塩とラテックスポリマーとが一体的に混合した複合体粒子として得られ、その平均粒径は3μm以下であることが好ましい。なお、該複合体粒子の平均粒径とは粒子が例えば球状、針状、棒状、平板状等の粒子の場合には、該複合体粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0049】
なお、本発明でいう水系分散液とは、水そのもの、又は水中に他の物質を溶解あるいは分散させる手助けをする物質を含有しているものをいう。溶解又は分散を手助けする物質とは、水と相溶性のある有機溶媒、界面活性剤、界面活性性を有する水溶性ポリマー等である。
【0050】
水と相溶性のある有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、酢酸、アセトン、ジオキサン、エチレングリコール等を挙げることが出来る。
【0051】
界面活性剤としては、通常の、ノニオン活性剤、カチオン活性剤、アニオン活性剤、ベタイン型界面活性剤等で、例えば、ラウリン酸ソーダ、ドデシル硫酸ナトリウム、1−オクトキシカルボニルメチル−1−オクトキシカルボニルメタンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルリン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチレンアンモニウムクロライド、N−2−エチルヘキシルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリンエステル等を挙げることができる。
【0052】
界面活性性を有する水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコールまたは、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、アクリル酸又は塩、メタクリル酸又は塩、無水マレイン酸、アクリロイルメチルプロパンスルホン、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピリジン4級塩、N−ビニルイミダゾール等の単独ポリマー又は共重合ポリマー等の合成アニオン性水溶性ポリマー、合成ノニオン性水溶性ポリマー、合成カチオン性水溶性ポリマー、カルボキシメチルセルロース塩、カルボキシメチルデンプン塩、アルギン酸塩、ペクチン酸塩等の半合成イオン性水溶性ポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース等の半合成ノニオン性水溶性ポリマー、ゼラチン等自然界に存在するポリマー等を挙げることができる。これらの水溶性ポリマーは本発明の有機銀塩複合分散物の分散安定剤として働く。
【0053】
上記水系分散液は、有機銀塩に対して界面活性剤又は界面活性性を有する水溶性ポリマーを10〜150質量%含有していることが好ましい。より好ましくは30〜100質量%である。
【0054】
本発明の、有機銀塩を含有する水系分散液中で重合性モノマーを重合させる方法は、重合性モノマーを有機銀塩と同時に水系分散液に添加して重合させても、有機銀塩を水系分散液中に分散状態にした後に、重合性モノマーを添加して分散させてから、又は分散させながら重合させてもよい。重合性モノマーを添加する方法は、滴下するのが好ましい。有機銀塩を含有する水系分散液中で重合性モノマーを重合させるには、懸濁重合、スラリー重合、乳化重合等の重合方法を用いるが、乳化重合が好ましい。通常の乳化重合に使用する重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル及びその誘導体(例えば、p,p′−ジメトキシ、p,p′−ジ−t−ブチル、m,m′−ジニトロ等)、過酸化カリウム、過酸化アンモニウム、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーオクトエート、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、イソプロピル−カーボネイト、2,4−ジクロロベンジルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、アゾニトリル系化合物(例えば、アゾビスブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(オキシカルボニルプロパン)ナトリウム)、過酸化水素、過酸化水素/第一鉄塩、過硫酸カリウム/酸性亜硫酸第一鉄塩、クメンヒドロパーオキサイド/第一鉄塩、過酸化ベンゾイル/ジメチルアニリン等を挙げることができる。レドックス重合系の重合開始剤、過酸化水素、過酸化水素/第一鉄塩、過硫酸カリウム/酸性亜硫酸第一鉄塩、クメンヒドロパーオキサイド/第一鉄塩、過酸化ベンゾイル/ジメチルアニリン等が好ましく、また、有機銀塩に影響を与えないものが好ましい。重合開始剤は有機銀塩の分散時に添加しても、その分散後に添加してもよい。
【0055】
本発明の有機銀塩は熱に感応性があるため、低い温度での重合が好ましく、80℃以下、更には60℃以下のレドックス重合が好ましい。
【0056】
本発明において、有機銀塩複合分散物を得るために用いられる重合性モノマーとしては、疎水性の重合性モノマーが好ましく、特に疎水性のエチレン性不飽和モノマーが好ましい。例えば、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル類としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、s−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−シアノエチルメタクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェネチルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェネチルメタクリレート、4−クロロベンジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等、活性モノマー類としては、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシアミドエチルアクリルアミド、2−シアノアセトキシエチルメタクリレート、N−4−(アセトアセトキシベンジル)メタクリレート等、ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリル酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等、アクリルアミドまたはメタクリルアミド類としては、例えば、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−n−ジブチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N,N−n−ジブチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミド等、スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチレンスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチル等、その他、アクリルニトリル、塩化ビニリデン、フェニルビニルケトン等を挙げることができる。
【0057】
本発明の有機銀塩複合微粒子分散物中に重合により含有されるに至ったポリマーラテックスのガラス転移点は室温〜120℃の範囲のものが好ましく、30〜110℃の範囲がより好ましく、更には40〜100℃が好ましい。
【0058】
(有機銀塩固体分散物)
有機銀塩固体分散物は、前記有機銀塩を含有する水系分散液にポリマーラテックスを含有させ、攪拌翼を有する攪拌機、高圧力ホモジナイザー、コロイドミル、超音波分散タンブラー型混合機、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミル等何れでもよくこれらの機械的分散法を適宜選択、組み合わせて分散する。分散粒径は平均粒径3μm以下、好ましくは500nm以下である。上記有機銀塩を含有する水系分散液に添加されるポリマーラテックスは、前記有機銀塩複合分散物中に添加されたラテックスモノマーを重合して得られるポリマーが用いられる。
【0059】
〈硬膜剤〉
本発明の感光層に硬膜剤を添加して層を硬膜化することが好ましい。また、硬膜剤は感光層の塗布液作製時のいかなる時に添加してもよいし、塗布直前に添加してもよい。
【0060】
本発明の硬膜剤を添加する感光層のバインダーは、ラテックス/ゼラチン系バインダーの全バインダー量の30〜70質量%である。ここでいうラテックスとは乳化重合、懸濁重合などにより重合したものであり、本発明の有機銀塩複合分散物のポリマー成分もこれに含まれる。ラテックスとしては数種類を用いてもよいし単独でもよい。
【0061】
ゼラチンとしては石灰処理のゼラチンの他酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチン加水分解物、ゼラチン酸素分解物も用いることができる。
【0062】
本発明に用いる硬膜剤としては、バインダーと反応して硬膜するものであれば、制限なく使用できるが、例えばアジリジン系、エポキシ系、ビニルスルホン系、アクリロイル系、クロロトリアジン系、メタンスルホン酸エステル系、イソシアナート系、カルボジアイミド系、マレイミド系、アルデヒド系、ケトン系、高分子系、無機化合物系など写真工業分野で使用されているものが挙げられ、リサーチ・ディスクロージャー(ResearchDisclosure)No.17643,26項、同No.18716,651項及びThe Theory of the Photographic process 3rd.Ed.54項(Macmillan社刊)等に記載されている。これらの中でも水により失活しにくい硬膜剤、特に請求項6に記載されるビニルスルホン系、クロロトリアジン系を単独または併用して使用することがより望ましい。ビニルスルホン系硬膜剤の具体的な例として下記VS−1〜VS−10を挙げるが、本発明においては、これらに限定されない。
【0063】
【化7】
Figure 0004069577
【0064】
これらの硬膜剤は、米国特許第4,173,481号明細書等の記載の方法を参照して得ることができる。また、クロロトリアジン系硬膜剤の具体的な例は、2−クロロ−4,6−ジフェノキシトリアジン、2−クロロ−4,6−ビス〔2,4,6−トリメチルフェノキシ〕トリアジン、2−クロロ−4,6−ジグリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(n−ブトキシ)−6−グリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−6−グリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−クロロエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ブロモエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ジ−n−ブチルホスファトエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ジ−n−ブチルホスファトエトキシ)−6−(2,6−キシレノキシ)−1,3,5−トリアジン等であるが、本発明においてこれらに限定されない。このような化合物は、塩化シアヌル(すなわち2,4,6−トリクロロトリアジン)を、複素環上の置換基に対応するヒドロキシ化合物又はチオ化合物と反応させることによって製造できる。
【0065】
本発明に用いる硬膜剤の量としてはゼラチン1gに対して0.01mmol以上含まれることが好ましく、さらには0.05mmol以上含まれることが好ましく、さらには0.4mmol以上含まれることが好ましい。
【0066】
〈表面保護層のバインダー〉
本発明の熱現像感光材料の表面保護層のバインダーとしてはいかなるポリマーを利用してもよいが、吸水防止の点からTgが50℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは60℃以上、200℃以下であることが望ましい。保護層に用いられるポリマーとしては、アクリル系ポリマー、ポリウレタン樹脂、天然高分子(ゼラチン、アルギン酸など)、変性天然高分子(カルボキシメチルセルロース、フタル化ゼラチンなど)などが挙げられる。アクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーを構成成分とするポリマーで、通常知られている方法で製造することができる。例えば、メチルエチルケトン(MEK)を分散媒とし、MEKに対して10〜50質量%のモノマーと、モノマーに対して0.05〜5質量%の重合開始剤、0.1〜20質量%の分散剤を用い、約30〜100℃、好ましくは60〜90℃で3〜8時間、攪拌下で重合させることによって製造することができる。モノマーの量、重合開始剤量、反応温度、反応時間等の条件は幅広く変更することができる。重合開始剤としては、過酸化物(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ化合物(2,2′−アゾビス(2−アミノジプロパン)ハイドロクロライド等)又はこれらのFe2+塩や亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤等が挙げられ、必要に応じて用いられる分散剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両面界面活性剤のいずれも用いることができる。
【0067】
アクリル系モノマーとしては、
アクリル酸;
メタクリル酸;
アクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルエチルアクリレート等のアルキルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシ含有アルキルアクリレート
メタクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ含有アルキルメタクリレート
アクリルアミド;
置換アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド等
メタクリルアミド;
置換メタクリルアミド;N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド等
アミノ置換アルキルメタクリレート;N,N−ジエチルアミノメタクリレート等
エポキシ基含有アクリレート;グリシジルアクリレート等
エポキシ基含有メタクリレート;グリシジルメタクリレート等
アクリル酸の塩;ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等
メタクリル酸の塩;ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等
等が挙げられる。
【0068】
アクリル系モノマーと共重合してもよいその他のモノマーとしては、スチレン及びその誘導体、不飽和ジカルボン酸(イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等)、不飽和ジカルボン酸のエステル(イタコン酸メチル、イタコン酸ジメチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル、フマール酸メチル、フマール酸ジメチル等)、不飽和ジカルボン酸の塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)、スルホン酸基又はその塩を含有するモノマー(スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等))、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、ビニルメチルエーテル、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0069】
ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアナートとポリオールとの反応によって得られるウレタン結合(カルバミン酸エステル結合)を有する一連の高分子であり、反応する何れの化合物も2官能性の場合は線状の熱可塑性ポリウレタンが得られ、少なくとも一方が3官能性の場合や連鎖反応が起こった場合は、網状構造のポリウレタンを形成する。
【0070】
ポリイソシアナートには芳香族系と脂環式を含む脂肪族系がある。芳香族ポリイソシアナートとしては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンジイソシアナート、ポリメチレンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアナート、トリジンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート等が挙げられ、芳香族ポリイソシアナートとしては、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート等を挙げることができる。
【0071】
ポリオールとしては、水酸基を複数有する種々のポリオールを用いることができるが、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ハイドロカーボン系ポリオール等がある。ポリエーテル系ポリオールとしては、多価アルコールやアミン等にプロピレンオキシドを開環重合したポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール中でアクリロニトリルやスチレンを重合したポリエーテルポリオール等が挙げられ、ポリエステル系ポリオールとしては、アジピン酸とグリコール類(エチレングリコール、ブチレングリコール等)やトリオール類(トリメチロールプロパン、グリセリン等)との縮合脱水反応物であるポリアジペートポリオール、ε−カプロラクトンの開環重合物であるポリカプロラクトンジオール等が挙げられ、ハイドロカーボン系ポリオールとしては、ブタジエンのホモポリマーやアクリロニトリル、スチレン等のコポリマーの末端にヒドロキシ基を有するポリブタジエンポリオール、アクリル酸エステル類とヒドロキシエチルメタクリレートとのコポリマーであるポリアクリレートポリオール等が挙げられる。
【0072】
ポリウレタンの製造プロセスを短縮するためにイソシアナートとポリオールとの反応を促進する触媒を用いることができ、オクチル酸スズ、ジブチルスズジラウラート、オクチル酸鉛等が挙げられる。
【0073】
このように、多種のポリマーを用いることができるが、好ましくは水分散ポリエステルが挙げられる。ここでいうポリエステルとはPET(ポリエチレンテレフタレート)などのホモポリマーはもちろんのことテレフタル酸成分の一部をイソフタル酸、アジピン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルエーテルカルボン酸、セバシン酸、ナフタレンジカルボン酸、及びそのスルホン酸塩等のような他の1種以上のジカルボン酸成分へ置換し、エチレングリコール成分の一部をジエチレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール、及びそのスルホン酸塩等のような他の1種以上のグリコール成分で置換したPETなどのコポリエステルを含む。水分散ポリエステルの合成には種々の方法を用いることができ、例えば、エステル交換法あるいは直接エステル化法でジカルボン酸とグリコールとの初期縮合物を形成し、これを溶融重合する公知のポリエステルの製造法によって得ることができる。具体的にば、例えば、ジカルボン酸のエステル、例えばジメチルエステルとグリコールとでエステル交換反応を行い、メタノールを留出せしめた後、徐々に減圧し、高真空下、重縮合を行う方法、ジカルボン酸を加えてエステル化反応を行った後、高真空下、重縮合を行う方法が挙げられる。エステル交換触媒及び重縮合触媒としては三酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、ジブチル錫オキシド、チタンテトラブトキシド等を用いることができる。しかし、重合方法、触媒等の種々の条件は上述の例に限定されるものではない。
【0074】
また、表面保護層の膜厚をdp、感光層の膜厚deとしたとき、dpとdeの比がdp/pe=1/2〜1/7であることが好ましい。膜厚比の測定法としては電子顕微鏡で断層写真を撮れば容易に確認できる。
【0075】
〈支持体〉
本発明の熱現像感光材料に用いられる支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロン、セルローストリアセテート、等が好ましい。その中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの支持体が挙げられる。
【0076】
上記のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(以下、SPSともいう)からなる支持体について説明する。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
【0077】
SPSは通常のポリスチレン(アタクチックポリスチレン)と異なり立体的に規則性を有したポリスチレンである。SPSの規則的な立体規則性構造部分をラセモ連鎖といい、2連鎖、3連鎖、5連鎖、あるいはそれ以上と規則的な部分がより多くあることが好ましく、本発明において、ラセモ連鎖は、2連鎖で85%以上、3連鎖で75%以上、5連鎖で50%以上、それ以上の連鎖で30%以上であることが好ましい。SPSの重合は特開平3−131843号公報に記載の方法に準じて行うことが出来る。
【0078】
本発明に用いられる支持体の製膜方法及び下引製造方法は公知の方法を用いることができるが、好ましくは、特開平9−50094号公報の段落〔0030〕〜〔0070〕に記載された方法を用いることである。
【0079】
本発明の支持体にSPSを用いることによって更に優れた生保存性、画像保存性、膜付を得ることができ、優れた効果を発揮することができる。
【0080】
〈下引層〉
本発明の熱現像感光材料の下引用バインダーとしては、例えば塩化ビニル、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの中から選ばれた単量体を出発原料とする共重合体を始めとして、ウレタン樹脂、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、クラフト化ゼラチン、ニトロセルロース、ゼラチン等の何れもが用いられ、好ましくはメタクリル酸、アクリル酸の単量体を出発原料とする共重合体、例えばメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸共重合体等が用いられる。
【0081】
しかしながら、本発明の下引層のバインダーとしては特に請求項13に記載される塩化ビニリデン共重合体が重要である。上記塩化ビニリデン共重合体とは、塩化ビニリデン単独又は塩化ビニリデンと他の有機化合物との共重合体のことであり、該塩化ビニリデンと他の有機化合物との共重合体としては、例えば、塩化ビニル−塩化ビニリデン、アクリロニトリル−塩化ビニリデン、アクリロニトリル−塩化ビニル−塩化ビニリデン、アクリロニトリル−塩化ビニリデン−臭化ビニル、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタクリル酸共重合体などが挙げられ、該塩化ビニリデン共重合体を下引層に用いることによって更に優れた生保存性、画像保存性、膜付を得ることができ、優れた効果を発揮することができる。
【0082】
〈ハロゲン化銀粒子〉
次に、本発明の熱現像感光材料のハロゲン化銀粒子及び該ハロゲン化銀粒子を含む感光層に関して説明する。
【0083】
本発明におけるハロゲン化銀粒子は光センサーとして機能するものであり、該ハロゲン化銀粒子の形成は当業界ではよく知られており、RD17029(1978年6月)、及び米国特許第3,700,458号明細書に記載されている方法を用いることができる。ハロゲン化銀粒子の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために、また、良好な画質を得るために、平均粒子サイズが小さい方が好ましく、0.1μm以下、より好ましくは0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.08μmであることが好ましい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。またハロゲン化銀は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下をいい、30%以下が好ましく、より好ましくは0.1〜20%である。
【0084】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明においては、ハロゲン化銀粒子が平均粒径0.1μm以下で、かつ単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にすることで画像の粒状性も向上する。
【0085】
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることが出来る。
【0086】
また、もう一つの好ましいハロゲン化銀粒子の形状は、平板状粒子である。ここでいう平板状粒子とは、投影面積の平方根を粒径r(μm)とし、垂直方向の厚みをh(μm)とした場合のアスペクト比=(r/h)が3以上のものをいう。その中でも好ましくはアスペクト比が3〜50である。また粒径は0.1μm以下であることが好ましく、更に、0.01〜0.08μmが好ましい。これらは米国特許第5,264,337号、同5,314,798号、同5,320,958号等の各明細書等に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。本発明において、これらの平板状粒子を用いた場合、さらに画像の鮮鋭性も向上する。
【0087】
ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著 Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著 Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形成方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等の何れを用いてもよい。更に、このハロゲン化銀粒子はいかなる方法で画像形成層に添加されてもよく、一般にハロゲン化銀粒子は有機銀塩に対して0.75〜30質量%の量で含有することが好ましい。
【0088】
(金属イオン)
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子には、周期表の6族から11族に属する金属イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
【0089】
これらの金属イオンは金属錯体又は金属錯体イオンの形でハロゲン化銀粒子に導入することができる。これらの金属錯体又は金属錯体イオンとしては、下記一般式で表される6配位金属錯体が好ましい。
【0090】
一般式 〔ML6m
式中、Mは周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子、mは0、−、2−、3−または4−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つまたは二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよく、Mとして特に好ましい具体例は、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)である。
【0091】
以下に遷移金属錯体イオンの具体例を示すが、これにより本発明が限定されるものではない。
【0092】
1:〔RhCl63-
2:〔RuCl63-
3:〔ReCl63-
4:〔RuBr63-
5:〔OsCl63-
6:〔IrCl64-
7:〔Ru(NO)Cl52-
8:〔RuBr4(H2O)〕2-
9:〔Ru(NO)(H2O)Cl4-
10:〔RhCl5(H2O)〕2-
11:〔Re(NO)Cl52-
12:〔Re(NO)CN52-
13:〔Re(NO)ClCN42-
14:〔Rh(NO)2Cl4-
15:〔Rh(NO)(H2O)Cl4-
16:〔Ru(NO)CN52-
17:〔Fe(CN)63-
18:〔Rh(NS)Cl52-
19:〔Os(NO)Cl52-
20:〔Cr(NO)Cl52-
21:〔Re(NO)Cl5-
22:〔Os(NS)Cl4(TeCN)〕2-
23:〔Ru(NS)Cl52-
24:〔Re(NS)Cl4(SeCN)〕2-
25:〔Os(NS)Cl(SCN)42-
26:〔Ir(NO)Cl52-
27:〔Ir(NS)Cl52-
これらの金属錯体又は金属錯体イオン等の金属化合物は一種類でもよいし、同種の金属及び異種の金属を二種以上併用してもよい。これらの金属化合物の含有量としては、一般的にはハロゲン化銀粒子1モル当たり1×10-9〜1×10-2モルが適当であり、好ましくは1×10-8〜1×10-4モルである。
【0093】
これらの金属化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。
【0094】
添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等のか各公報に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもでき、好ましくはハロゲン化銀粒子内部に分布を持たせることができる。
【0095】
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えばこれらの金属化合物の粉末の水溶液もしくは、それらとNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオンまたは錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。
【0096】
粒子表面に添加する時には、粒子形成直後または物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0097】
(脱塩)
ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0098】
(化学増感)
本発明におけるハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法を用いることができる。また金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることができるが、特開平7−128768号公報等に記載の化合物を使用することができる。テルル増感剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P−Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許2,448,060号、英国特許618,061号明細書などに記載されている化合物を好ましく用いることが出来る。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが出来る。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することが出来る。
【0099】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の態様はこれにより限定されるものではない。
【0100】
実施例1
〔熱現像感光材料(試料1−1〜1−20)の作製〕
〈下引層A−1の塗布加工〉
光学濃度0.17になるように青色に着色した厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートの支持体の一方の面に、8W/m2・分の強度のコロナ放電を施し、下記下引層塗布液a−1を乾燥膜厚が0.8μmになるように塗布後乾燥させて、下引層A−1設けた。
【0101】
Figure 0004069577
【0102】
〈有機銀塩の調製〉
ベヘン酸40g、ステアリン酸7.3g、水500mlを温度90℃で15分間撹拌し、1M−NaOH187mlを15分間かけて添加し、1Mの硝酸水溶液61mlを添加して50℃に降温した。次に1M硝酸銀水溶液124mlを2分間かけて添加し、そのまま30分間撹拌した。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、さらに固形分を水洗し乾燥した。
【0103】
〈有機銀塩複合分散物Aの調製〉
ジエチルヘキシルスルホサクシン酸ナトリウム10gを蒸留水252gに溶解し、これに上記有機銀塩36.4gを加えて撹拌しながら容器内に超音波素子を導入し分散した。これにメチルメタクリレート(MMA)5.5g、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)5.0g、ステアリルメタクリレート(SMA)6.0g、ヘキサデカン0.6g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.9gの混合物を添加し、更に超音波で分散した。この分散物にポリビニルピロリドンの10質量%水溶液50gを加えて窒素を導入しながら撹拌し、得られた分散物を温度計、窒素導入管、及び攪拌機を付けた1lの三口のフラスコに移し、窒素気流下、攪拌しながら53℃で15時間重合反応を行った。以上の工程を8回繰り返して有機銀塩複合分散物Aを2530g得た。なお、有機銀塩複合分散物Aの固形分は19.9質量%であった。また、得られた分散液中の残存モノマー量は1%未満であり、分散液A中の有機銀塩複合粒子の平均粒径は190nmであった。
【0104】
〈有機銀塩固体分散物Aの作製〉
ジエチルヘキシルスルホサクシン酸ナトリウム10gを蒸留水222gに溶解し、これに上記有機銀塩36.4gを加えて、攪拌しながら容器内に超音波素子を導入し分散した。これにLx−1を55g添加し、同様に分散した。これを8回繰り返して有機銀塩固体分散物Aを2530g(固形分19.9質量%)得た。
【0105】
Lx−1:MMA/SMA/EGDMA(11/12/10)質量比
(固形分30.0質量%)
〈有機銀塩固体分散物Bの作製〉
上記、有機銀塩固体分散物Aの作製と同様にしてLx−1(固形分30質量%のラテックス液)をゼラチン(30質量%溶液)に置き換えて、有機銀塩固体分散物Bを得た。
【0106】
〈ハロゲン化銀乳剤Aの調製〉
水700ml中にフタル化ゼラチン22g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせて母液を作製し、該母液に硝酸銀74gを含む水溶液370mlと、(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを硝酸銀に対して等モル、及びK2〔Ir(NO)Cl5〕を銀1モル当たり1×10-6モル及び塩化ロジウムを銀1モル当たり1×10-4モルを含む水溶液370mlとを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、単分散度10%の投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀乳剤Aを得た。さらに塩化金酸及び無機硫黄で化学増感を行った。
【0107】
〈還元剤液Aの調液〉
ジエチルヘキシルスルホサクシン酸ナトリウム7.3gを蒸留水1470gに溶解し、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン71.9gを加え、攪拌しながら容器内に超音波素子を導入し分散して還元剤液Aとした。
【0108】
〈感光性層塗布液の調製〉
表1に記載のバインダーと有機銀塩分散液に以下の素材を添加して感光層塗布液を調製した。有機銀塩の分散液としては、有機銀塩複合分散液又は有機銀塩固体分散液で使用した。なお、感光層のバインダーとして、Lx−1とゼラチン(Gelともいう)との混合体を使用する場合は混合割合(固形分の質量%)を表1の如く調節したものを使用した。
【0109】
感光層のバインダー
表1に記載のゼラチン又はラテックスを塗布時の付き量が7.2g/cm2となる量含有される
表1に記載の有機銀塩分散物(固形分19.9質量%) 2293g
純水 416g
ハロゲン化銀乳剤A 184g
還元剤液A(4.67質量%) 1549g
テトラクロロフタル酸 9.1g
フタラジン 16.7g
トリブロモメチルフェニルスルホン 12g
4−メチルフタル酸 12.7g
表1に記載の硬膜剤(硬膜剤A、B、Cから選択される) 6.4g
なお、表1に記載の感光層のバインダー中の銀イオン拡散係数は、図1の櫛形電極を用いた銀イオン拡散係数測定装置により測定され、上記バインダーに有機銀塩分散物とハロゲン化銀乳剤Aを混合した液の状態で測定した。
【0110】
上記のように感光層のバインダーの種類、バインダーを2種以上用いる場合にはその比率、及び有機銀塩微粒子分散物の種類を表1の如く変化させて得られた20種類の感光層塗布液を、前記のようにして作製した支持体上に塗布銀量が2.0g/m2、バインダーの付量が7.2g/cm2となるように塗布加工して試料1−1〜1−20の熱現像感光材料を得た。
【0111】
【化8】
Figure 0004069577
【0112】
【表1】
Figure 0004069577
【0113】
〈性能評価〉
上記のようにして得られた試料1−1〜1−20の熱現像感光材料の生保存性、画像保存性、膜付を以下のように評価した。
【0114】
(写真性能の測定方法)
試料の熱現像感光材料に810nmの半導体レーザーを有するイメージャーで露光し、ヒートドラムを有する自動現像機を用いて、110℃で15秒熱現像処理した。その際、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行い、得られた画像の評価を濃度計により行い、測定の結果は、感度(Dminより0.5高い濃度を与える露光量の比の逆数)、最低濃度(カブリ;Dmin)で評価した。感度は、試料1の感度を100とした場合の相対値で表した。
【0115】
(生保存性の評価)
試料1−1〜1−20の熱現像感光材料を2群に分割し、その一方の群の試料1〜20を30℃、80%RHに調湿した部屋に5日間遮光保存(高温高湿保存)し、他方の群の試料1−1〜1−20を23℃、55%にて5日遮光保存(常温常湿保存)した。上記高温高湿保存試料と常温常湿保存試料とを、上記写真性能の測定方法に従って露光及び現像処理し、濃度計による感度、カブリの測定を行い、下記式に従って感度差、カブリ差を測定し、それらの結果を表2に示した。
【0116】
(感度差)=(常温常湿保存試料の感度)−(高温高湿保存試料の感度)
(カブリ差)=(高温高湿保存試料のカブリ)−(常温常湿保存試料のカブリ)
(画像保存性の評価)
上記試料1−1〜1−20の熱現像感光材料を生保存性の評価の場合と同様に2群に分割し、それらの試料を前記写真性能の測定方法に基づいて露光及び現像処理した。次いで、得られた画像の内の一方の群の試料画像を30℃、80%RHに調湿した部屋に5日間保存した(高温高湿保存)。また、得られた画像の内の他方の群の試料画像を23℃、55%に調湿した部屋に5日間保存した(常温常湿保存試料)した。これらの高温高湿保存試料画像及び常温常湿保存試料画像を前記写真性能の測定方法に従って、濃度計によるカブリの測定を行い、下記式に従ってカブリ差を測定し、それらの結果を表2に示した。
【0117】
(カブリ差)=(高温高湿保存試料画像のカブリ)−(常温常湿保存試料画像のカブリ)
(膜付の評価)
前記試料1−1〜1−20の熱現像感光材料を露光、現像処理し、その後25℃、60%RHに調湿し、調湿後の試料を25℃、60%RHの雰囲気下で膜付の評価を行った。膜付は塗布した面の表面にカミソリを用いて4mm間隔で縦横それぞれ6本ずつの傷を付けて、25升の升目を作った。但し、傷は支持体の表面に到達する深さで付けた。この上に幅25mmのマイラーテープを貼り付けて十分に圧着した。圧着後5分してから、マイラーテープを180度の剥離角で急激に引っ張って感光層を試料から剥離した。この時剥離した升目の数を数えて、「○」、「×」方式で下記の評価基準で評価した。
【0118】
◎:剥離が0升
○:剥離が1升未満
△:剥離が5升未満
×:剥離が5升以上
なお、「◎」及び「○」が実用上問題ないレベルであり、得られた結果を表2に示した。
【0119】
【表2】
Figure 0004069577
【0120】
表1及び表2から明らかなように、本発明の熱現像感光材料(試料1−2〜1−6及び試料1−8〜1−20)は、感光層のバインダー中の25℃における銀イオン拡散係数が3×10-15cm2-1未満であり、かつ100℃における銀イオンの拡散係数が3×10-15cm2-1以上であるバインダーが使用され、特に有機銀塩複合分散物を使用した場合、比較の熱現像感光材料(試料1−1及び1−7)に比して膜付が良好で、生保存性、画像保存性に優れていることがわかる。
【0121】
実施例2
次に、感光層の塗布液のバインダーの相構成(親水性の高い相、親水性の低い相)、ハロゲン化銀の位置、硬膜剤、有機銀塩分散物の種類及び分散バインダーの種類を表3の如く変化させた他は実施例1同様にして表3及び表4に記載の試料2−1〜2−21の21種類の熱現像感光材料を作製し、該熱現像感光材料の生保存性、画像保存性、膜付を評価し、その結果を表4に示した。感度は、実施例2−2(比較)の感度を100とした場合の相対値で表した。なお、表3のポリアクリル酸は固形分30.0質量%のラテックスである。
【0122】
なお、実施例1の有機銀塩固体分散物AのバインダーLx−1に代えてLx−2を用いたものを有機銀塩固体分散物Cとし、実施例1の感光層のバインダーを表3のバインダー相構成になるようにLx−1、ゼラチン(Gelともいう)、ポリアクリル酸、Lx−2の量を調節して添加した。また、親水性の高い相にハロゲン化銀を位置させるときはまず、バインダーとしてのゼラチン又はポリアクリル酸にハロゲン化銀を混ぜてから添加した(これを行わないと親水性の高い相と低い相の両方に存在することになる)。
【0123】
Lx−2:スチレン−ブタジエン共重合樹脂(70/30)の水分散液(固形分30質量%)
【0124】
【表3】
Figure 0004069577
【0125】
【表4】
Figure 0004069577
【0126】
表3及び4から明らかなように、本発明の熱現像感光材料(試料2−4〜2−21)は、感光層のバインダーが親水性の異なる2つの相の構造を有し、ハロゲン化銀の結晶が親水性の高い相に位置していて、特に感光層に有機銀塩複合分散物を用い、かつ硬膜剤を添加した場合、比較の熱現像感光材料(試料2−1〜2−3)に比して膜付が良好で、生保存性、画像保存性に優れていることがわかる。
【0127】
実施例3
次に、実施例2と同様、感光層のバインダーの相構成、ハロゲン化銀の位置、有機銀塩分散物、その中に含有されるバインダーの種類を変化させて感光層を形成し、その上に保護層として以下の組成の液を塗布して表5に記載の試料3−1〜3−11の11種類の熱現像感光材料を作製し、該熱現像感光材料の生保存性、画像保存性、膜付を実施例1と同様に評価し、その結果を表6に示した。なお、生保存性と画像保存性の評価については放置時間を10日間とし、膜付きについては、調湿評価を30℃、80%RHにして行った。また、感度は、試料3−1(比較)の感度を100とした場合の相対値で示した。
【0128】
Figure 0004069577
但し、試料3−6、3−7は有機銀塩を有機銀塩複合分散物とするための重合時にハロゲン化銀を塗布液作製時に添加する量と同量、先に添加した。
【0129】
また、以下の様にして得られたLx−2組成の有機銀塩複合分散物Bを用いた。
【0130】
〈有機銀塩複合分散物Bの調製〉
ジエチルヘキシルスルホサクシン酸ナトリウム10gを蒸留水252gに溶解し、これに上記有機銀塩36.4gを加えて撹拌しながら容器内に超音波素子を導入し分散した。これにスチレン(St)11.45g、ブタジエン(Bt)4.95g、ヘキサデカン0.6g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.9gの混合物を添加し、更に超音波で分散した。この分散物にポリビニルピロリドンの10質量%水溶液50gを加えて窒素を導入しながら撹拌し、得られた分散物を温度計、窒素導入管、及び攪拌機を付けた1lの三口のフラスコに移し、窒素気流下、攪拌しながら53℃15時間重合反応を行った。上記工程を8回繰り返して有機銀塩複合分散物Bを2530g(固形分19.9質量%)を得た。なお、得られた有機銀塩複合分散物B中の残存モノマー量は1%未満であり、該分散物A中の粒子の平均粒径は190nmであった。
【0131】
P−1:テレフタル酸/イソフタル酸/シクロヘキサンジカルボン酸/スルホイソフタル酸ナトリウム=40/30/20/10、エチレングリコール/シクロヘキサンジメタノール=70/30からなる水分散性コポリエステル(固形分濃度30%)、Tgが130℃
P−2:n−ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/スチレン/ヒドロキシメチルメタアクリレート(10/35/27/28)からなる共重合体ラテックス(固形分濃度30質量%)、Tgが52℃
P−3:n−ブチルアクリレート/スチレン/グリシジルメタクリレート(40/20/40)からなる共重合ラテックス(固形分濃度30質量%)、Tgが12℃
【0132】
【化9】
Figure 0004069577
【0133】
【表5】
Figure 0004069577
【0134】
【表6】
Figure 0004069577
【0135】
表5及び表6から明らかなように、試料3−4、3−7〜3−11は感光層中に有機銀塩が、有機銀塩複合分散物として含有され、該感光層上にTgが50℃以上の水分散ポリエステルを使用した保護層が設けられているので、試料3−1〜3−3、3−5及び3−6に比して感光層の膜付が良好で、生保存性、画像保存性にも優れていることがわかる。
【0136】
実施例4
次に、表7のように支持体及び下引層を変化させ、かつ感光層のバインダー、有機銀塩分散物、及びその中に含有されるバインダーの種類、ハロゲン化銀の位置を変化させて感光層を形成し、表7に記載の試料4−1〜4−14の14種類の熱現像感光材料を作製し、該熱現像感光材料の生保存性、画像保存性、膜付を実施例1と同様に評価し、その結果を表8に示した。ただし、試料4−5、4−6、4−7、4−12、4−13、4−14は有機銀塩とラテックスモノマーとを用いて有機銀塩複合分散物を作製するための重合時に、ハロゲン化銀を感光層の塗布液作製時に添加する量と同量を、先に添加した。なお、生保存性と画像保存性、膜付の評価については、実施例3と同様にして行った。感度は、試料4−1(比較)の感度を100とした場合の相対値で表した。
【0137】
表7に示した下引層A−2の作製方法を以下に示す。
(下引層A−2)
光学濃度0.17になるように青色に着色した厚さ175μmの支持体に、8W/m2・分の強度のコロナ放電を施し、一方の面に下記下引層塗布液a−2を乾燥膜厚が0.8μmになるように塗布後乾燥させて、下引層A−2とした。
《下引層塗布液a−2》
塩化ビニリデンラテックス(PVdC:旭化成(株)製L551B)を水で1/2に希釈したもの 300g
【0138】
【表7】
Figure 0004069577
【0139】
【表8】
Figure 0004069577
【0140】
表7及び表8から明らかなように、試料4−6〜4−11、試料13及び試料14は有機銀塩が感光層中に有機銀塩複合分散物の状態で含有され、特に支持体にSPS、下引に塩化ビニリデンを使用した場合、試料4−1〜4−5及び4−12に比して膜付が良好で、生保存性、画像保存性に優れていることがわかる。
【0141】
【発明の効果】
実施例により実証されたように本発明の熱現像感光材料によれば、感光層の作製に際して、有機溶剤の塗布液に代えて、コスト、環境保全面で有利な水系溶剤の塗布液を用いると共、選択されたバインダー構成とすることにより生保存性、現像後の画像保存性に優れ、さらには、熱現像後の感光層と支持体との接着性にも優れている等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】銀イオンの拡散係数測定装置の模式図及び部分拡大図である。
【符号の説明】
1 ボルトメーター
2 アンメーター
3a、3b 配線
4a、4b 電極配線端子
5 保温液
6 櫛形電極

Claims (7)

  1. 支持体上に、少なくともハロゲン化銀と有機銀塩とバインダーとを含有する感光層を有する熱現像感光材料において、該バインダーはゼラチンを30〜70質量%含有し、下記の測定による該バインダーの25℃における銀イオン拡散係数が3×10-15cm2-1未満であり、かつ100℃における銀イオン拡散係数が3×10-15cm2-1以上であることを特徴とする熱現像感光材料。
    銀イオン拡散係数の測定:銀塩とバインダーを混合してなる下記溶液Gに下記櫛型電極(BAS)を挿入し、ポテンシオスタットを用いて、電位の走査速度を5mV/s〜30mV/sの条件で、ピーク電流値を測定し、その値を以下のFickの第2法則の式に代入することにより、銀イオン拡散係数を得る。
    I=0.4463×n 3/2 3/2 AC(RT) -1/2 1/2 1/2
    式中、I:ピーク電流、n:移動電子数、F:ファラデー定数、A:電極面積、C:電解質の濃度(溶液G中の銀塩濃度)、R:気体定数、T:絶対温度、D:拡散係数、v:電位の走査速度を表す。
    櫛形電極:電極部分は白金、各々の帯電極の幅は10μm、電極のギャップ幅は5μm、電極の長さは2.5mm、各々の電極の本数は67本。
    溶液G:用いるバインダーが2種以上である場合その使用している質量比で混合したバインダー 65g、メチルエチルケトン 190g、ベヘン酸銀 58g、ハロゲン化銀(Br/I=98/2) 2.5g、3−メチルチオフェン 2gの溶液
  2. 支持体上に、少なくともハロゲン化銀と有機銀塩とバインダーとを含有する感光層を有する熱現像感光材料において、該バインダーはゼラチンを30〜70質量%含有し、該感光層のバインダーが親水性の異なる2相以上の構造を有し、該ハロゲン化銀の結晶が親水性の最も高い相に位置することを特徴とする熱現像感光材料。
  3. 前記バインダーが、ゼラチンとラテックスで構成されていることを特徴とする請求項1〜2の何れか1項に記載の熱現像感光材料。
  4. 前記バインダーを含有する層に硬膜剤を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の熱現像感光材料。
  5. 前記硬膜剤が、ビニルスルホン系化合物又はクロロトリアジン系化合物であることを特徴とする請求項4に記載の熱現像感光材料。
  6. 前記有機銀塩が、ラテックスと共に有機銀塩微粒子分散物を形成していることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の熱現像感光材料。
  7. 前記有機銀塩微粒子分散物が水分散性有機銀塩含有複合微粒子分散物であるか、又は有機銀塩固体微粒子分散物であることを特徴とする請求項6に記載の熱現像感光材料。
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