JP4069470B2 - 電解式水素水生成装置 - Google Patents

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Description

本発明は,水道水に含まれる有機汚濁物質の吸着保持能をもつ活性炭ブロックを備えた殺菌機能を有する電解式水素水生成装置に関するものである。
従来,図3に示すような電解式水素水生成装置(以下,従来装置と記する。)が知られている。
この従来装置は,電解用電極1,2を備える電解槽3および残留塩素やトリハロメタンをはじめとする有機塩素化合物,カビ臭の原因となる2−メチルイソボルネオール,農薬等の有機汚濁物質の吸着保持能を有する活性炭ブロック4を備えるろ過ユニット6から構成される。前記電解用電極1,2には電源ユニット7より直流電圧が給電され,装置内の貯留水を電気分解して水素および酸素から成る電解ガスを発生させ,通水停止時にはろ過ユニット6内に電解ガスを貯留する。電極1,2に給電する電源ユニット7では,水質の変動に影響を受けない電気分解を維持するため,電解電流を電流センサー9で検出し,レギュレータ10にフィードバックすることで電解電流を一定に保持する定電流制御が採用されている。
また,有機汚濁物質の吸着保持能を有する活性炭ブロック4は,活性炭粉末をポリエチレン等のバインダを用いて中空柱状に成形し,数μm程度の極めて微細な細孔を有する。ろ過ユニット6内に貯留された電解ガスは活性炭ブロック4および活性炭粉末が有する無数の細孔に流入し,活性炭ブロック4内に電解ガスが吸蔵される。
なお,電解ガスの発生にともなう容器内圧の上昇により,貯留水は活性炭ブロック4の外周から浸透し,中心部の貫通穴5に浸み出て,圧力調整弁15を介して送水管16からドレン水として排出される。
水道蛇口12を開放して通水状態とすると,水道水はフロースイッチ13および電解槽3を介してろ過ユニット6に導水され,貯留された電解ガスと混合された後,活性炭ブロック4の外周から浸透して貫通穴5から排出される。このとき,混合された電解ガスおよび活性炭ブロック4内に吸蔵された電解ガスが活性炭ブロック4によって微細気泡に変換され,水中に拡散,溶解する。
なお,電気分解を継続するとろ過ユニット6および電解槽3内の貯留水が完全に電解ガスで置換され,電極1,2が電解ガス層17に露出する。仮に異物等が混入し,電極1および電極2の間を前記異物が短絡した場合,電解に消費されない無駄な電力を浪費するだけでなく,高濃度の水素ガスと酸素ガスで構成される電解ガスが短絡時に発生するアーク(火花)により発火現象や爆発現象をともなう場合がある。このような危険を防止するため,電極1,2が露出する前に電源ユニット7の給電をタイマー11によって自動停止するように構成されている。
なお,上述のタイマー制御方法の代替として,電解槽3内の上部,あるいは,ろ過ユニット6内の下部にフロートスイッチ等の水位センサーを設け,電解槽3内が常に貯留水で満たされる様,電源ユニット7の給電を水位センサーで制御する方法が用いられることもある。
電解停止後,水道蛇口12が開放され,水道水が電解式水素水生成装置に導水されると,電源ユニット7にフロースイッチ13の起動信号が入力され,再度,電気分解が開始される。
水の電気分解で生じる化学反応を化学式1に記する。
(1)式は陰極反応,(2)式は陽極反応,(3)式は前記(1),(2)式を踏まえた系全体としての反応を示す。
(3)式に表されるように,水の電気分解によって発生する電解ガスは,水素ガス容積:酸素ガス容積が2:1の割合で構成されるため,約65%の高濃度の水素ガスが貯留することになる。また,活性炭ブロック4を構成する活性炭粉末とバインダの間隙が数μm程度の極めて微細な細孔を形成し,かつ,構成要素である活性炭粉末表面にはnm〜μmオーダーの無数の細孔を有していることから,水道水と混合されて浸透した水素ガスが数μmの微細気泡に変換されるとともに,活性炭粉末の細孔に吸蔵された水素ガスがnm〜μmの微細気泡として水中に流出し,この結果,非常に高濃度の水素水が生成されることになる。
(化1)
2HO+2e→H+2OH … (1)
2HO→O+4H+4e … (2)
O→H+1/2O … (3)
なお,図3に示す従来装置では,電源ユニット7が常時,直流電圧を給電するが,従来方式を用いた装置で長時間電解を継続した場合には,水道水中に含まれるカルシウムが陰極表面に析出し,陰極および陽極間を閉塞させるため,電気分解の効率を低下させる可能性がある。このため,クエン酸などの酸性溶液で定期的に洗浄する保守作業が必要となる。
上述の従来装置では,活性炭ブロック4での細菌の繁殖を防止する処置として,特許文献1記載の抗菌作用を有する銀添着加工を施した活性炭を原料として成形した活性炭ブロックを利用することも可能である。
さらに,類似の方策として特許文献2においては,ミネラル徐放粒子を添加した活性炭フィルタを利用し,本活性炭フィルタから徐放されるカルシウム,マグネシウムによって細菌の繁殖を抑制する技術が記載されている。
特開平11−226570 特開2003−144821
前述したように,従来装置においては,水道水に含まれ,異臭味の原因となる残留塩素をいずれも活性炭ブロックで除去している。残留塩素は水中の細菌を殺菌するため,浄水場で投入される薬剤であり,各家庭の給水栓で0.1mg/L以上の濃度となる様,調整されている。したがって,給水される水道水では,細菌が検出される可能性は極めて低く,法規上も一般細菌で100個/mL以下,大腸菌群で検出されないこととされている。
しかしながら,従来装置に水道水を通水した場合,活性炭ブロック4によってろ過された水には残留塩素は存在しないため,水素水の送水管16側から装置内に細菌が侵入した場合には,送水管16内に貯留したろ過水に含まれる極めて微量の有機物や活性炭ブロック4が吸着保持している有機塩素化合物他の有機汚濁物質を栄養素として,送水管16および活性炭ブロック4内で細菌増殖が発生し,送水管16から放出される水素水には前記水道法規制値を上回る生菌数が検出される可能性があった。
なお,細菌の増殖を抑制するために前述の銀添着活性炭を原料とした活性炭ブロックを利用する方法もあるが,本法は配合された銀が貯留水と接触できる活性炭ブロック4内部でのみ,殺菌効果を発揮するが,銀は水道水のような中性溶媒にはほとんど溶解することがないため,活性炭ブロック以降の送水管16内部で繁殖する細菌に対して殺菌作用を及ぼさない。
また,特許文献3では,陽極を白金,ニオブ,チタンおよびタンタルから成る群より選ばれた少なくとも1種のものを含有し,かつ,陰極を亜鉛,鉄,銅およびステンレスから成る群より選ばれた少なくとも1種のものを含有した電極構成として,菌類に0.1〜150mAの直流電流を48時間以下で通じて殺菌する方法が記載されている。この発明においては,電極間の通電路に存在する菌類に対しては有効であるが,通電路を外れた菌類に対して充分な殺菌効果を期待することはできない。
したがって,この方式を電解式水素水生成装置に適用する場合,送水管16側から侵入する細菌を殺菌するためには,送水管16の近傍に殺菌専用の電極を配備する必要がある。さらに,活性炭ブロック4内部の細菌に対しては,殺菌効果を期待することはできず,また,活性炭ブロック4内部の貯留水は,通水時に殺菌用電極を通過するものの,滞留時間をほとんど確保できないため,生成水中に細菌が流出する可能性が高い。
特開平11−33086
以上,詳述したように,従来装置では活性炭ブロック内部およびその後段の送水管内において,細菌の繁殖を充分に抑制することは困難であった。
上述の課題を解決するために,本発明の電解式水素水生成装置では,蛇口に直結される給水管を介し,陰極に白金めっきを施したチタン,陽極に白金,または,白金めっきを施した金属等,酸化反応による電気的特性の変化をうけにくい導電性材料で構成した電極対を収納する電解槽と,前記電解槽に連結され,活性炭粉末をポリエチレン等のバインダを用いて中空柱状に成形した活性炭ブロックを収納するろ過ユニットから構成される水素水生成部と,前記電極対に水道水を電気分解するための直流電圧を給電し,かつ,給電時間を制御するタイマー回路と定電流制御機能を有する電源ユニットを備え,前記電極対の陰極表面に非めっきのチタン露出部を設け,電解電流とチタン溶出に要する通電電流との比率で陰極のチタン露出部と白金めっき部の面積を構成したことを特徴とする。
なお,チタン溶出に要する通電条件が前記ろ過ユニットおよび前記電解槽の貯留水1Lに対し,50mA・h相当となる様,電解時間,貯水量に応じて上記の通電電流を設定する。
通水停止後,本装置内は水道水で満たされている。この貯留水を活性炭等の有機汚濁物質の吸着保持能を有する活性炭ブロックの前段に設けられた電極に直流電圧を給電して,水の電気分解によって得られる電解ガスを貯留する。このとき,同時に殺菌用電極にも直流電圧が給電され,微少電流を通電することで陰極から微量のチタンを溶出させる。
チタンを含んだ貯留水は,電解ガスの発生にともなう内圧の上昇により,活性炭ブロック内部に浸透し,貫通穴を経て,送水管から排水され,結果的に活性炭ブロックから送水管の出口に至る通水路がチタンを含んだ貯留水で洗浄されることになる。
また,水道水中のカルシウムが陰極表面に析出を防止することを防止するための極性反転回路を有する電源ユニットを備え,前記電極対を構成する陰極および陽極の近傍に常時,負電圧を給電するチタン製の殺菌用電極を独立して設け,電極対を構成する各電極とチタン電極間のインピーダンスZ1を同等に保ちつつ,
電解電流とチタン溶出に要する通電電流との比率でZ1,Z2を構成できる様,電極対および殺菌用電極を配設することで,前述の保守作業を必要としない,殺菌機能を有する電解式水素水生成装置を構成できる。
なお,チタン溶出に要する通電条件が前記ろ過ユニットおよび前記電解槽の貯留水1Lに対し,50mA・h相当となる様,電解時間,貯水量に応じて上記の通電電流を設定する。
さらに,前述の従来装置の構成において,活性炭ブロックの前段に陰極をチタン,陽極を白金めっきを施した金属等,酸化反応による電気的特性の変化をうけにくい導電性材料で構成した殺菌用電極対と,殺菌用電極対に直流電圧を給電し,かつ,給電時間を制御するタイマー回路と定電流制御機能を有する殺菌用電源ユニットを独立して設け,チタン溶出に要する通電条件を前記ろ過ユニットおよび前記電解槽の貯留水1Lに対し,50mA・h相当となる,通電電流および通電時間を設定してもよい。
なお,本発明では,いずれも陰極にチタンを備えることで酸化チタン被膜の形成を防止し,微弱な通電条件を安定して持続できるように配慮している。
以上詳述したように,本発明の電解式水素水生成装置の殺菌方法によれば,微量のチタンを含んだ貯留水で活性炭ブロックおよび送水管が洗浄されるため,活性炭ブロックのみならず,送水管内部で繁殖する細菌も殺菌できる。
本発明による溶出チタンによる殺菌効果の一例を図5,図6に示す。
図5に示す事例は,陰極にチタン,陽極に白金めっきを施したチタンを用いた本発明の電極構成と,両極とも白金めっきを施したチタンを用いた電極構成として,1Lの水道水に対し,通電条件が50mA・h相当となる10mAで5時間通電した後,一般細菌を投入した場合の生菌数の推移を示したものである。
両極とも白金めっきを施したチタンを用いた電極構成では,生菌数の低下が確認されないことに対し,本発明の電極構成では時間経過に従って明らかな殺菌効果が確認されている。
結果より,本発明の電極構成では,陰極から溶出した微量のチタンが水中に残存するため,通電停止後の水においても殺菌効果が発揮されることがわかる。
図6に示す事例は,図5の条件と同様に,陰極にチタン,陽極に白金めっきを施したチタンを用いて,1Lの水に対し,通電条件が50mA・h相当となる10mAで5時間通電し,通電前に一般細菌を投入した時の生菌数の推移を示したものである。
生菌数は通電直後より時間経過に伴って減少し,5時間経過後に10オーダーの殺菌効果が得られている。また,前述したように通電停止後も生菌数の減少が確認されている。なお,通電停止後の殺菌効果に比較し,通電時の減少傾向が顕著であることは,前述の特許文献3に記された電気的な殺菌作用と溶出したチタンの相乗効果が現れているものと考えられる。
また,殺菌用電極による電流値を上昇させ,チタン濃度を増加させることで殺菌効果を向上することは可能であるが,低濃度のチタン含有水であっても,細菌が存在しない初期状態から継続的に使用すれば活性炭ブロックおよび送水管内の細菌の増殖を充分に抑制できることから,本発明では,チタンの溶出に必要となる電流値および通電時間の積で表す通電条件を50mA・h相当としている。
図7に電流値および通電時間の積で表される通電条件に対するチタンの溶出量を示す。チタンの溶出量は電流値および通電時間の積の上昇に伴って増加し,本発明の通電条件(貯留水1Lに対し,50mA・h相当)によるチタンの溶出量は10−4mg程度であり,貯留水のチタン濃度は10−4mg/L程度になると推察される。
さらに,殺菌用電極および殺菌電極用電源の機能を既存の電解用電極および電解用の電源ユニットに担わせる本発明の構成を利用した場合,装置が簡略化され,コンパクトで,かつ,安価な装置を実現することができる。
残留塩素および有機汚濁物質の吸着保持能と水素ガスの吸蔵機能を有する活性炭ブロックと,定電流制御機能を有した直流電源による水の電気分解機能を備え,通水停止時に装置内の貯留水を電気分解して生成した水素ガスを活性炭ブロックに吸蔵させ,導水された水道水に前記水素ガスを溶解させて放出する電解式水素水生成装置において,陰極をチタン,陽極を白金,または,白金めっきを施した金属等,酸化反応による電気特性の変化を受けにくい導電性材料で構成した殺菌用電極対を設け,この殺菌用電極対に微少電流を通電してチタンを溶出させ,極めて細菌汚染の少ない水素水を提供する。
図1に本発明の電解式水素水生成装置の構成例を示す。
本装置は,下部に水の電気分解を行う電極1,2を備えた電解槽3,上部に粉末活性炭をバインダにより中空柱状に成形した活性炭ブロック4を収納したろ過ユニット6を配設して成る。
なお,電極1はチタン等の金属に白金めっきを施した平板電極とし,電極2はチタン平板を用いて,その表面に白金めっきを施すが,その一部は白金めっきを施さないチタン露出部8を備えた構造とする。
また,電源ユニット7は電極1を陽極,電極2を陰極とする直流電圧を給電し,電極1,2間を流れる電流を検出する電流センサー9と,電流センサー9の出力信号により出力電圧を可変して電流値を一定に保つレギュレータ10と,所定の時間で電圧出力を停止するためのタイマ−11とを備えた定電流電源とする。
上記構成の電極1,2では,白金めっき部18が水の電気分解に供される電解用電極として,同時に電極1と電極2のチタン露出部8が殺菌用電極として作用し,水の電気分解に必要とする電解電流および殺菌用電極の通電電流が所定の値に配分される様,電解電流と殺菌用電極の通電条件(50mA・h相当)を確保するための通電電流との比率に相当させて,電極2の白金めっき部18およびチタン露出部8の表面積を設定する。
なお,上記通電電流は以下に記する数式1で導出される。
ここで,数式1に記されるIは殺菌用電極の通電条件を確保するための通電電流(mA),Vは貯留水の水量(L),tはタイマー11で設定される電解時間(h)を示す。
(数式1)
I=50mA・h*V/t
例えば,前記電解槽3およびろ過ユニット6の貯留水を1Lとし,電解電流を200mA,電解所要時間を設定するタイマー11を5時間に設定する場合,殺菌用電極の通電電流を10mAとすることで,殺菌用電極で必要となる通電条件(貯留水1Lに対し,50mA・h相当)が確保できる。したがって,前記電解電流と殺菌に要する通電電流の比率に準じて,前記電極2の白金めっき部18とチタン露出部8の面積比を20:1で構成すればよい。
以下,本発明の電解式水素水生成装置の動作状態を図1を用いて説明する。なお,本装置は,通水時と通水停止時の異なる動作状態を有する。
以下,通水時の動作状態を詳述する。
水道蛇口12が開放されると水道水が電解式水素水生成装置のフロースイッチ13および電解槽3を介してろ過ユニット6に導水される。このとき,通水停止時にろ過ユニット6内に貯留した電解ガス層17を水道水が巻き込み,混合,撹拌して活性炭ブロック4の外表面から浸透し,中心部に形成された貫通穴5に浸み出す。
なお,活性炭ブロック4は数μmオーダー,および,それ以下の微細な細孔を有しているため,前記電解ガスを微小気泡として水道水中に拡散,溶解することで高濃度の水素水が生成される。同時に,水道水に含まれる残留塩素やトリハロメタンをはじめとする有機塩素化合物,カビ臭の原因となる2−メチルイソボルネオール,農薬等の有機汚濁物質を活性炭ブロック4が吸着除去する。
このようにして,浄化された水素水は貫通穴5から圧力調整弁15を介して送水管16より放出される。
以下,通水停止時の動作状態を詳述する。
水道蛇口12が閉じると電解式水素水生成装置の内部は水道水で満たされる。この状態で電解槽3内の電極1,2に電源ユニット7から直流電圧を給電すると水の電気分解が生じて電解ガスが発生し,上部のろ過ユニット6内の上方に貯留する。前述したように,電解ガスは水素ガスと酸素ガスで構成され,水素ガス濃度は65%程度となる。
また,水の電気分解と同時に陽極となる電極1と陰極となる電極2のチタン露出部8の間で微少電流が通電され,貯留水中にチタンが溶出する。
電解ガスの発生にともないろ過ユニット6および電解槽3内が加圧され,内圧が活性炭ブロック4の後段に配設した圧力調整弁15の設定値を超過すると貯留水が送水管16から排出される。
電気分解を継続すると,ろ過ユニット6内の電解ガス層17の容積が増え,溶出したチタンを含んだ貯留水が活性炭ブロック4の外周面から浸透して,貫通穴5から浸み出し,圧力調整部弁15を介して送水管16内を満たし,余剰の貯留水が逐次,外部に排出されることになる。
なお,従来装置と同様に,電気分解の継続による電力の浪費や発火,爆発等の不具合を防止するため,電極1,2が露出する前に電源ユニット7の給電をタイマー11によって自動停止するように構成されている。
また,上述のタイマー制御方法の代替として,電解槽3内の上部,あるいは,ろ過ユニット6内の下部にフロートスイッチ等の水位センサーを設け,電解槽3内が常に貯留水で満たされる様,電源ユニット7の給電を水位センサーで制御する方法が用いられることもある。
電解停止後,水道蛇口12が開放され,水道水が電解式水素水生成装置に導水されると,電源ユニット7にフロースイッチ13の起動信号が入力され,再度,電気分解とチタンの溶出が開始される。
以上,実施例1の電解式水素水生成装置の動作状態を詳述したが,本構成の装置を用いた場合,電解用電極の陰極側に水道水中のカルシウムが析出して堆積し,電解効率に影響を及ぼす可能性がある。
このため,本構成の電解式水素水生成装置では定期的にクエン酸等の酸性溶液で電極を洗浄する保守作業が必要となる。
また,実施例2では,電解用電極の極性反転を行うことで前述の保守作業を解消した電解式水素水生成装置の構成例を示す。
図2に本発明の電解式水素水生成装置の構成例を示す。
陰極側の殺菌用電極20を独立して備え,かつ,電源ユニット7の出力回路を変更する以外,構成要素および各々の構成要素が有する機能,動作条件は実施例1と同様とする。
電解式水素水生成装置の電解槽3には,水の電気分解を行う電解用電極1,2と,その近傍に独立して配設する殺菌用電極20とを備え,電解用電極1,2はチタン等の金属に白金めっきを施した平板電極とし,殺菌用電極20は無処理のチタン電極とし,特に形状の指定はない。
また,前記電解用電極1,2および殺菌用電極20に直流電圧を給電する電源ユニット7には,電解用電極1,2と殺菌用電極20で流れる電流を検出する電流センサー9と,電流センサー9の出力信号により出力電圧を可変して電流値を一定に保つレギュレータ10と,所定の時間で電圧出力を停止するためのタイマ−11とを備えた定電流電源とする。
電源ユニット7に設けられたトランジスタS1A,S1BおよびS2A,S2Bを同一のタイミングで開閉動作させることで電極1,2の極性を反転させる。
トランジスタS1A,S1Bを開,S2A,S2Bを閉として電源ユニット7から直流電圧を給電すると,電極1は陽極,電極2は陰極として水の電気分解が開始され,数時間に1回の割合でトランジスタS1A,S1Bを閉,S2A,S2Bを開に切り替え,電極1を陰極,電極2を陽極として電気分解を継続する。数時間の電解によっても陰極表面にカルシウムが析出する可能性があるが,極性反転が行われ,電極表面に多量の水素イオンを生成させることでカルシウムが溶解する酸性雰囲気を形成する。
ここで,殺菌用電極20には前記トランジスタS1A,S1BおよびS2A,S2Bで構成される極性操作前の負電圧を出力して接続することで常時,陰極として作用させ,陽極には正電圧が給電されている電解用電極1,または,電解用電極2のいずれかを利用する。
また,電解用電極1,2の電解電流および殺菌電極20の通電電流の配分を安定して出力させるため,電解用電極1と殺菌用電極20および電解用電極2と殺菌用電極20が有するインピーダンスZを同等とし,かつ,インピーダンスZと電解用電極1および電解用電極2が有するインピーダンスZの比率が電解電流と,殺菌に要する通電条件(50mA・h相当)を確保するための通電電流との比率に同等となる様,殺菌用電極20の配置および形状を決定する。
なお,上記通電電流は実施例1に記する数式1で導出することができる。
上記のような電極構成を採用することで,原水の水質変動や電極の極性反転に対して影響を受けない,安定した電流配分が実現できる。
実施例1に電解用電極の極性を固定して使用する本発明の電解式水素水生成装置,実施例2に電解用電極の極性を反転して使用する本発明の電解式水素水生成装置について記載した。上記の実施例では,いずれも殺菌用電極,または,電源ユニットを従来の電解式水素水生成装置の構成部品を流用して構成しているが,殺菌用電極対および殺菌用電源を新たに設け,独立した運転を行う電解式水素水生成装置の構成例を以下に示す。
図4に本発明の電解式水素水生成装置の構成例を示す。
従来装置と同様に,蛇口12に直結される給水管を介し,陽極1および陰極2に白金,または,白金めっきを施した金属等,酸化反応による電気的特性の変化をうけにくい導電性材料で構成した電極対を収納する電解槽3と,前記電解槽3に連結され,活性炭粉末をポリエチレン等のバインダを用いて中空柱状に成形した活性炭ブロック4を収納するろ過ユニット6から構成される水素水生成部と,前記電極対に水道水を電気分解するための直流電圧を給電し,かつ,給電時間を制御するタイマー11と定電流制御機能を有する電源ユニット7を備える。
また,前記活性炭ブロック4の前段に陰極22をチタン,陽極21を白金めっきを施した金属等,酸化反応による電気的特性の変化をうけにくい導電性材料で構成した殺菌用電極対と,殺菌用電極対に直流電圧を給電し,かつ,給電時間を制御するタイマー24と定電流制御機能を有する殺菌用電源ユニット23を独立して設ける。
前述の実施例1および実施例2では,殺菌電極用電源を既存の電解用電源の機能に委ねていたが,本実施例では,殺菌用電源を独立して備えるため,チタン溶出に必要となる通電条件が貯留水1Lに対し,50mA・h相当となる任意の通電電流および通電時間を設定すればよい。
以上,本発明の電解式水素水生成装置の実施例を詳述したが,活性炭ブロックや中空糸膜等のろ材を使用して構成される電気分解機能をもたない一般の浄水器を対象とした場合は,陰極にチタン電極,陽極に白金めっき電極で構成される前述の殺菌用電極対をろ材の後段に配設し,殺菌用電源を新たに設けることで送水管側から侵入した細菌によるろ材の汚染を防除することも可能である。
本発明に係る実施例1の電解式水素水生成装置の構成を示す図である。 本発明に係る実施例2の電解式水素水生成装置の構成を示す図である。 従来の電解式水素水生成装置の構成を示す図である。 本発明に係る実施例3の電解式水素水生成装置の構成を示す図である。 電極構成の相違による殺菌効果の比較を示す図である。 本発明による溶出チタンの殺菌効果を示す図である。 本発明による通電条件とチタン溶出量の関係を示す図である。
符号の説明
1 電極
2 電極
3 電解槽
4 活性炭ブロック
5 貫通穴
6 ろ過ユニット
7 電源ユニット
8 チタン露出部
9 電流センサー
10 レギュレータ
11 タイマー
12 蛇口
13 フロースイッチ
15 圧力調整弁
16 送水管
17 電解ガス層
18 白金めっき部
20 殺菌用電極
21 陽極
22 陰極
23 殺菌用電源ユニット
24 タイマー
S1A,S1B,S2A,S2B トランジスタ

Claims (3)

  1. 蛇口に直結される給水管を介し,陰極に白金めっきを施したチタン,陽極に白金,または,白金めっきを施した金属等,酸化反応による電気的特性の変化をうけにくい導電性材料で構成した電極対を収納する電解槽と,前記電解槽に連結され,活性炭粉末をポリエチレン等のバインダを用いて中空柱状に成形した活性炭ブロックを収納するろ過ユニットから構成される水素水生成部と,前記電極対に水道水を電気分解するための直流電圧を給電し,かつ,給電時間を制御するタイマー回路と定電流制御機能を有する電源ユニットを備え,
    前記電極対の陰極表面に非めっきのチタン露出部を設け,電解電流とチタン溶出に要する通電電流との比率で陰極のチタン露出部と白金めっき部の面積を構成したことを特徴とする電解式水素水生成装置。
  2. 蛇口に直結される給水管を介し,白金,または,白金めっきを施した金属等,酸化反応による電気的特性の変化をうけにくい導電性材料で構成した電極対を収納する電解槽と,前記電解槽に連結され,活性炭粉末をポリエチレン等のバインダを用いて中空柱状に成形した活性炭ブロックを収納するろ過ユニットから構成される水素水生成部と,前記電極対に水道水を電気分解するための直流電圧を給電し,かつ,給電時間を制御するタイマー回路と定電流制御機能を有するとともに,水道水中のカルシウムが陰極表面に析出することを防止するための極性反転回路を有する電源ユニットを備え,
    前記電極対を構成する陰極および陽極の近傍に常時,負電圧を給電するチタン製の殺菌用電極を独立して設け,電極対を構成する各電極とチタン電極間のインピーダンスZ1を同等に保ちつつ,
    電解電流とチタン溶出に要する通電電流との比率でZ1,Z2を構成できる様,電極対および殺菌用電極を配設したことを特徴とする電解式水素水生成装置。
  3. 蛇口に直結される給水管を介し,陽極および陰極に白金,または,白金めっきを施した金属等,酸化反応による電気的特性の変化をうけにくい導電性材料で構成した電極対を収納する電解槽と,前記電解槽に連結され,活性炭粉末をポリエチレン等のバインダを用いて中空柱状に成形した活性炭ブロックを収納するろ過ユニットから構成される水素水生成部と,前記電極対に水道水を電気分解するための直流電圧を給電し,かつ,給電時間を制御するタイマー回路と定電流制御機能を有する電源ユニットを備え,
    前記活性炭ブロックの前段に陰極をチタン,陽極を白金めっきを施した金属等,酸化反応による電気的特性の変化をうけにくい導電性材料で構成した殺菌用電極対と,殺菌用電極対に直流電圧を給電し,かつ,給電時間を制御するタイマー回路と定電流制御機能を有する殺菌用電源ユニットを独立して設けたことを特徴とする電解式水素水生成装置。
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