JP4069227B2 - タンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置 - Google Patents

タンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置に係り、詳細には、生活排水、河川水、湖沼水、地下水或いは海水等を原水として精密濾過または限外濾過装置により大量に浄化する水処理に好適なタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置の一例として特開昭61-222509号公報(第1公知例)に開示された技術は、図6(a)に示すように、濾過塔51内に懸垂して支持された複数の中空糸モジュール52の直下に流出口53aを有する下部仕切版53が配置され、該下部仕切版53の下面には筒状体54が設けられている。筒状体54の側胴部には図6(b)に示すように、スリット或いは小孔54aが設けられており、下部仕切版53の下方の濾過塔51側胴部には圧縮気体の流入管55が連通されている。
【0003】
そして、濾過膜洗浄を行う際には濾過塔51内に水を満たした状態で流入管55から圧縮空気を流入すると、その圧力により先ず下部仕切版53の下方に存在する水が筒状体54の開口端及び小孔54aから流出し、次いで圧縮空気層56が下部仕切版53の下部に形成され、該圧縮空気層56を介して圧縮空気が小孔54aから筒状体54内部に流出して水中を気泡状となって中空糸モジュール52内に流入し、該中空糸モジュール52内の水を攪拌すると共に各中空糸52aを振動させて該中空糸52aの表面に付着している懸濁物を剥離する。
【0004】
圧縮空気層56の下部には水面57が形成され、該水面57の水準は流入する圧縮空気の流量と、圧縮空気が小孔54aを通過する時の圧力損失とによってバランスし、この水面57を形成することにより各筒状体54に流入する圧縮空気の量を等しくすることが出来るとしている。
【0005】
また、第2公知例として特開昭62-4408号公報に開示された技術は、図7(a),(b)に示すように、容器本体61内に懸垂して支持された複数の中空糸膜フィルタ62の下部にバブリング母管63から分岐された複数のバブリング枝管64が配置され、バブリング枝管64の下部には気泡孔64aが形成されている。
【0006】
一方、バブリング母管63には、下端がバブリング枝管64の気泡孔64aと同レベルまで延長され、上端が蓋体65aにより閉塞されたバブリング短管65が上方から挿入固定されており、蓋体65aの下方位置でバブリング短管65の側胴部には気泡孔65bが形成されている。
【0007】
そして、エアー供給配管66を介してバブリング母管63内に供給された空気はバブリング枝管64の気泡孔64a及びバブリング短管65の気泡孔65bから流出して水中を気泡状となって保護管67内に流入し、該保護管67内の水を攪拌すると共に各中空糸膜フィルタ62を振動させて該中空糸膜フィルタ62の表面に付着している懸濁物を剥離する。
【0008】
これにより、バブリング母管63の真上にある中空糸膜フィルタ62に対しても効果的にエアバブリングがなされ、バブリング短管65の下端がバブリング枝管64の気泡孔64aと同レベルまで延長されたことで水圧を同じにしてバブリング枝管64の気泡孔64aとバブリング短管65の気泡孔65bから発生する気泡の量を均一にすることが出来るとしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の第1公知例では、圧縮空気層56の下部に形成された水面57の水準が流入する圧縮空気の流量と、圧縮空気が小孔54aを通過する時の圧力損失とによってバランスし、各筒状体54に流入する圧縮空気の量を等しくすることが出来るとしているものの水面57の水準を一定に維持するために流入管55から濾過塔51内部に流入する圧縮空気の流量調整が困難であり、更には下部仕切版53の下面に設けられた筒状体54の側胴部に形成した小孔54aの数や寸法管理が必要となり部品管理が面倒であった。また、小孔54aが詰まった時のメンテナンスが困難であった。
【0010】
また、第2公知例では、バブリング短管65の下端がバブリング枝管64の気泡孔64aと同レベルまで延長されたことで水圧を同じにしてバブリング枝管64の気泡孔64aとバブリング短管65の気泡孔65bから発生する気泡の量を均一にすることが出来るとしているが、バブリング短管65の下端とバブリング枝管64の気泡孔64aとの位置合わせが困難であり、バブリング枝管64の気泡孔64aとバブリング短管65の気泡孔65bの数や寸法管理が必要となり部品管理が面倒であった。また、気泡孔64a,65bが詰まった時のメンテナンスが困難であった。
【0011】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、カートリッジ型モジュールの下部から中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口に該気体または液体を均一に分配する制限オリフィスを設けたことで各カートリッジ型モジュール毎に均一に気体または液体を供給することで洗浄のバラツキを低減し得るタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置を提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明に係るタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置は、複数本の中空糸膜を束ねたカートリッジ型モジュールが濾過タンク内に懸垂して支持されるタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置において、前記カートリッジ型モジュールの下部から前記中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口に該気体または液体を均一に分配する制限オリフィスを設け、前記制限オリフィスは、前記中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口の端部に所定の大きさの孔を形成した板部材を当接させ、該板部材を袋ナットにより保持すると共に該袋ナットを前記供給口の外周部に形成したネジ溝に螺合締着して取り付けたことを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、カートリッジ型モジュールの下部から中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口に該気体または液体を均一に分配する制限オリフィスを設けたことで、各制限オリフィスに供給された気体または液体は所定の径で形成された孔を流通することにより各カートリッジ型モジュールに供給される気体または液体の流量が所定の流量に一定化されて均一化され、各カートリッジ型モジュールの中空糸膜に過大な振動を与えないで該中空糸膜に蓄積した懸濁物質を排除するエアバブリング運転が良好に実施出来る。
【0014】
これにより、各カートリッジ型モジュール毎に均一に気体または液体を供給することで濾過膜洗浄のバラツキを低減することが出来、気体または液体の供給量が過剰になって中空糸膜の物性が低下したり破断する虞がない。
【0015】
また、前記制限オリフィスが前記中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口の端部に所定の大きさの孔を形成した板部材を当接させ、該板部材を袋ナットにより保持すると共に該袋ナットを前記供給口の外周部に形成したネジ溝に螺合締着して取り付けられたことで、制限オリフィスの取り付け取り外しが容易に出来るため該制限オリフィスの交換作業が容易であり、制限オリフィスが詰まった場合にも清掃作業が容易に出来る。
【0016】
また、前記制限オリフィスの孔径は、所定流量の気体または液体を流した時に該制限オリフィスの一次圧と二次圧との差圧が0.01Pa以上0.1Pa以下になるように構成すれば好ましい。
【0017】
また、前記中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口が濾過タンクの内部空間を仕切る分離板に一体的に設けられた場合には、濾過タンクの内部空間を仕切る分離板が濾過膜洗浄装置の一部品を兼ねるので部品点数を削減して部品コストを低減すると共に装置の小型化を図ることが出来る。
【0018】
また、前記中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口が前記カートリッジ型モジュールの下部に配置された枝状配管により構成された場合には、カートリッジ型モジュールの下部に濾過タンクの内部空間を仕切る分離板が無い場合でも適用出来るので好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
図により本発明に係るタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係るタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置の第1実施形態の構成を示す断面説明図、図2(a)はカートリッジ型モジュールの下部の構成を示す要部拡大図、図2(b)は第1実施形態において分離板に形成された供給口に該気体または液体を均一に分配する制限オリフィスを設けた様子を示す要部拡大図、図3は本発明に係るタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置の第2実施形態の構成を示す断面説明図、図4は第2実施形態においてカートリッジ型モジュールの下部に配置され、中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口を有する枝状配管の構成を示す平面説明図、図5は第2実施形態において枝状配管に形成された供給口に該気体または液体を均一に分配する制限オリフィスを設けた様子を示す要部拡大図である。
【0020】
先ず、図1及び図2を用いて本発明に係るタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置の第1実施形態の構成について説明する。図1において、1は原液を供給して濾過を行うタンク型濾過装置であり、例えば、生活排水、河川水、湖沼水、地下水或いは海水等を原水として精密濾過または限外濾過装置により大量に浄化する水処理に適用可能である。
【0021】
タンク型濾過装置1の濾過タンク2内には、複数本の中空糸膜3を束ねたカートリッジ型モジュール4が懸垂して支持されるようになっており、濾過タンク2の内部空間は該濾過タンク2に固定された分離板5と仕切板6により3つの室に分割されている。
【0022】
濾過タンク2は下部に配置して図示しない支持手段により立設されるタンク本体2aと該タンク本体2aの上部に取り付けられる蓋2bとに2分割して構成され、タンク本体2aの内壁部の所定高さ位置に分離板5、仕切板6が夫々溶接等により水密的且つ気密的に固着されている。
【0023】
これにより、タンク本体2aの下部と分離板5とにより形成された空間により空気供給室7が形成され、タンク本体2aの中部と分離板5と仕切板6とにより形成された空間により供給水室8が形成される。
【0024】
また、蓋2bはパッキン9を介して図示しない固定手段によりタンク本体2aの上部に水密的且つ気密的に固定され、仕切板6と蓋2bとにより形成された空間により処理水室10が形成される。
【0025】
一方、中空糸膜3はその上端部が開口され、下端部が閉塞されており、多数本の中空糸膜3は束ねられてその上端部外周が接着剤により接着された接着層11により一体的に結合され、更にその接着層11は円筒形状のカートリッジヘッド12の内部に嵌挿して接着剤により該カートリッジヘッド12に固着されている。
【0026】
また、カートリッジヘッド12の下端部には一体的に束ねられた中空糸膜3の外周に嵌挿されるカートリッジ筒13が溶接または接着により固着されており、カートリッジヘッド12の上端から該カートリッジヘッド12に接続されたカートリッジ筒13の下端までの長さは中空糸膜3の全長よりも長くなるように設定されている。
【0027】
多数本の中空糸膜3は束ねられてその下端部が接着剤により接着された接着層14により一体的に結合され、更にその接着層14はカートリッジ筒13の内部に固着されている。接着層14には、図2(a)に示すように、原水及び洗浄用の気体や液体をカートリッジ型モジュール4の内部に導入するための貫通穴14aが形成されている。
【0028】
また、中空糸膜3の下端よりも更に下方に伸びるカートリッジ筒13のスカート部13aにより空気供給室7から分離板5に設けられた洗浄用の気体または液体を供給するための供給口となるノズル5aを介して供給されるエアバブリング用の空気が接着層14の貫通穴14aを介して各カートリッジ型モジュール4の中空糸膜3に効率よく導かれるようになっている。
【0029】
濾過タンク2の内部空間を仕切ると共に該濾過タンク2内に収容されるカートリッジ型モジュール4の上端部に配置され、該カートリッジ型モジュール4を懸垂して支持する仕切板6は全部のカートリッジ型モジュール4の重量及び処理水室10内部に加わる内圧(水圧)により該カートリッジ型モジュール4の上面及び該仕切板6の上面に加わる荷重に対抗し得る強度を有する所定の厚さで構成され、カートリッジ型モジュール4が挿通される複数の貫通穴6aが所定位置に形成されている。
【0030】
仕切板6の貫通穴6aの下部には該貫通穴6aの径方向内側に突出する突出部6bが形成され、該突出部6bにカートリッジ型モジュール4の上端外周部に設けられたカートリッジヘッド12の下端部が当接して該カートリッジ型モジュール4を懸垂して支持するようになっている。
【0031】
尚、仕切板6の貫通穴6aの壁面に設けられた溝部6cにはOリング15が嵌入されており、このOリング15にカートリッジヘッド12の外部壁面が圧接することによりカートリッジヘッド12が仕切板6に対して水密的且つ気密的に取り付けられている。尚、Oリング15を嵌合する溝部をカートリッジヘッド12側に設けても良い。
【0032】
また、カートリッジヘッド12の上端面は仕切板6の貫通穴6aの壁面に対して着脱可能に設けられた係止部材16により係止され、これによってカートリッジヘッド12が仕切板6に固定され、カートリッジ型モジュール4が安定して濾過タンク2内部に収容されている。
【0033】
一方、濾過タンク2の内部空間を仕切る分離板5には、カートリッジ型モジュール4の下部から中空糸膜3に洗浄用の気体または液体を供給するための供給口となるノズル5aが該カートリッジ型モジュール4の下方に対向した位置に設けられており、該ノズル5aには該気体または液体を均一に分配する制限オリフィス17が設けられている。
【0034】
制限オリフィス17は、図2(b)に示すように、空気供給室7に連通して分離板5から起立したノズル5aの端部に孔18aを形成した板部材18をガスケット20を介在させて当接させ、該板部材18を袋ナット19により保持すると共に該袋ナット19をノズル5aの外周部に形成したネジ溝5bに螺合締着して取り付けられている。
【0035】
前記制限オリフィス17の孔18aは、所定流量の気体または液体を流した時に該制限オリフィス17の一次圧と二次圧との差圧が0.01Pa以上0.1Pa以下になるように設定されている。
【0036】
前記制限オリフィス17の一次圧と二次圧との差圧が0.01Pa未満に設定されている場合には、一次側の圧力変動により流量のバラツキが大きくなり好ましくない。また、前記制限オリフィス17の一次圧と二次圧との差圧が0.1Paより大きく設定されている場合には、流量のバラツキは小さくなるが、気体や液体を供給するコンプレッサーやポンプ等の供給圧力を高くする必要があるため経済的に好ましくない。
【0037】
また、同一のタンク型濾過装置内に用いられる複数の制限オリフィス17の差圧は、設定された差圧の0.7〜1.3倍の範囲にあることが好ましく、実質的に同一であることがより好ましい。
【0038】
上記構成において、タンク型濾過装置1による濾過運転時には、図示しないポンプにより濾過タンク2のタンク本体2aの側部に設けられた供給水入口2cから供給水室8に供給された原水は該供給水室8に充満すると共にカートリッジ筒13のスカート部13aから接着層14の貫通穴14aを通過してカートリッジ筒13の内部に導かれる。
【0039】
カートリッジ筒13の内部で中空糸膜3の外周部近傍の原水は該中空糸膜3の外部から内部に加圧濾過されて該中空糸膜3の開口された上端部から処理水室10に導かれ、該処理水室10に収容された濾水は蓋2bの上部に設けられた処理水取出口2dから濾過タンク2の外部に取り出される。
【0040】
一方、逆洗時は処理水取出口2dから濾水を供給して供給水室8に逆流させ、中空糸膜3に蓄積した懸濁物質を排除して供給水入口2cから濾過タンク2の外部に排出される。尚、図1中、2eはドレーン排出口であり、逆洗時等で制限オリフィス17から空気供給室7に侵入したドレーンを排出するためのものである。
【0041】
また、エアバブリング時は供給水室8に原水を満たした状態でタンク本体2aの下部に設けられた空気供給口2fから空気供給室7に空気を供給し、空気供給室7において調圧された空気が分離板5に設けられたノズル5aから各制限オリフィス17を介して均一に分配して供給され、原水が満たされた供給水室8の内部に流出して水中を気泡状となって各カートリッジ筒13のスカート部13aから接着層14の貫通穴14aを通過して各カートリッジ筒13の内部に導かれ、各カートリッジ型モジュール4内に流入して該カートリッジ型モジュール4内の水を攪拌すると共に各中空糸膜3を振動させて該中空糸膜3の表面に付着している懸濁物を剥離する。
【0042】
空気供給室7から制限オリフィス17に導かれた空気は図2(b)に示す板部材18の孔18aを流通することにより各カートリッジ型モジュール4に供給される空気の流量が所定の流量に一定化されて均一化され、供給水室8に充満した原水中に板部材18の孔18aから空気を吐出して該原水中に空気を混合してカートリッジ型モジュール4に供給することが出来るものである。
【0043】
これにより各カートリッジ型モジュール4の中空糸膜3に所定量の空気が均一に供給されるため過剰な空気による該中空糸膜3へのダメージを抑え、空気の供給量が少ないことによる該中空糸膜3に蓄積した懸濁物質の排除の不足がなく、エアバブリング運転が良好に実施出来るようになっている。尚、供給水室8の上部に溜まった空気はタンク本体2aの上部に設けられた空気排出口2gから濾過タンク2の外部に排出される。
【0044】
上記エアバブリング運転は、例えば、先ず、カートリッジ型モジュール4内に原水を張った状態、即ち、カートリッジ型モジュール4内で原水が静止して滞留した状態か、濾過タンク2内の原水が循環している状態で、空気または窒素ガスを供給する。
【0045】
この時、各カートリッジ型モジュール4の中空糸膜3に供給される空気または窒素ガスの流量が制限オリフィス17の作用により均一となって、該中空糸膜3に過大な振動を与えないで該中空糸膜3に蓄積した懸濁物質を排除するエアバブリング運転が良好に実施出来るようになっている。
【0046】
制限オリフィス17の孔18aを通過する気体の量は、カートリッジ型モジュール4の膜面積や懸濁物質の中空糸膜3面への蓄積量によって最適化される。例えば、空気の設定流量を5[Nm3/hr]とした時、制限オリフィス17の孔18aの径を2.8mm〜5mmに設定することにより該制限オリフィス17の差圧を0.01Pa〜0.1Paの範囲内に設定することが出来る。
【0047】
また、空気の設定流量を10[Nm3/hr]とした時は、制限オリフィス17の孔18aの径を3.9mm〜7mmに設定すれば差圧を0.01Pa〜0.1Paの範囲内に設定することが出来る。
【0048】
また、同一のタンク型濾過装置に用いられる制限オリフィス17の差圧のバラツキは、設定値の0.7倍以上1.3倍以下であれば使用出来るが、実質的に同じ差圧を有する物を使用することが好ましい。これにより各カートリッジ型モジュール4の中空糸膜3に供給される気体の流量が制限オリフィス17の作用により均一となる。
【0049】
そして、前述した逆洗運転を行って処理水取出口2dから供給された濾水がカートリッジ型モジュール4の中空糸膜3の外側を流通して、上述のように剥離した懸濁物質を押し流し、剥離した懸濁物質を含む濾水は供給水入口2cから濾過タンク2の外部に排出されて図示しない廃液タンクに収容される。
【0050】
尚、本実施形態では空気や窒素ガス等の気体を供給して中空糸膜3を洗浄するように構成したが、他の構成として制限オリフィス17を介して薬液等の液体をカートリッジ型モジュール4に均一に分配して供給するように構成しても良く、この場合、カートリッジ型モジュール4に薬液等の液体を供給する目的で、図示しない薬液供給装置を設け、該薬液供給装置により供給された薬液が薬液供給室7に導かれて分離板5の薬液供給口となるノズル5aに設けた制限オリフィス17の板部材18の孔18aから均一に分配して供給され、前述と同様に各カートリッジ型モジュール4のカートリッジ筒13のスカート部13aから接着層14の貫通穴14aを通過してカートリッジ筒13の内部に供給されて中空糸膜3に蓄積した懸濁物質を排除する。
【0051】
上記構成によれば、カートリッジ型モジュール4の下部から中空糸膜3に気体または液体を供給するための供給口となるノズル5aに該気体または液体を均一に分配する制限オリフィス17を設けたことで、各制限オリフィス17に供給された気体または液体は所定の径で形成された孔18aを流通することによりノズル5aの上下方向の位置レベルが一定でなくても各カートリッジ型モジュール4に供給される気体または液体の流量が所定の流量に一定化されて均一化され、各カートリッジ型モジュール4の中空糸膜3に過大な振動を与えないで該中空糸膜3に蓄積した懸濁物質を排除するエアバブリング運転が良好に実施出来る。
【0052】
これにより、各カートリッジ型モジュール4毎に均一に気体または液体を供給することで濾過膜洗浄のバラツキを低減することが出来、気体または液体の供給量が過剰になって中空糸膜3の物性が低下したり破断する虞がない。
【0053】
また、制限オリフィス17が中空糸膜3に気体または液体を供給するための供給口となるノズル5aの端部に所定の大きさの孔18aを形成した板部材18を当接させ、該板部材18を袋ナット19により保持すると共に該袋ナット19をノズル5aの外周部に形成したネジ溝5bに螺合締着して取り付けられたことで、制限オリフィス17の取り付け取り外しが容易に出来るため該制限オリフィス17の交換作業が容易であり、制限オリフィス17の板部材18の孔18aが詰まった場合にも清掃作業が容易に出来る。
【0054】
また、中空糸膜3に気体または液体を供給するための供給口となるノズル5aが濾過タンク2の内部空間を仕切る分離板5に一体的に設けられた場合には、濾過タンク2の内部空間を仕切る分離板5が濾過膜洗浄装置の一部品を兼ねるので部品点数を削減して部品コストを低減すると共に装置の小型化を図ることが出来る。
【0055】
次に図3〜図5を用いて本発明に係るタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置の第2実施形態について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
本実施形態では、濾過タンク2の内部空間が仕切板6のみにより2分割されており、供給水室8へ供給される原水はタンク本体2aの下部に設けられた供給水入口2cから供給されるようになっている。
【0057】
そして、カートリッジ型モジュール4の中空糸膜3に気体または液体を供給するための供給口はカートリッジ型モジュール4の下部に配置された図4に示すような枝状配管31に連通して起立したノズル31cにより構成されている。尚、枝状配管31は母管31aと枝管31bにより枝状に形成されている。
【0058】
そして、枝状配管31の上部に懸垂して支持された夫々のカートリッジ型モジュール4に対向して起立したノズル31cの端部には、前記第1実施形態と同様に制限オリフィス17が設けられている。
【0059】
制限オリフィス17は、図5に示すように、枝状配管31に連通して起立したノズル31cの端部に所定の大きさの孔18aを形成した板部材18をガスケット20を介在させて当接させ、該板部材18を袋ナット19により保持すると共に該袋ナット19をノズル31cの外周部に形成したネジ溝31dに螺合締着して取り付けられている。
【0060】
上記構成において、タンク型濾過装置1による濾過運転時には、図示しないポンプにより濾過タンク2のタンク本体2aの下部に設けられた供給水入口2cから供給水室8に供給された原水は該供給水室8に充満すると共にカートリッジ筒13のスカート部13aから接着層14の貫通穴14aを通過してカートリッジ筒13の内部に導かれる。
【0061】
カートリッジ筒13の内部で中空糸膜3の外周部近傍の原水は該中空糸膜3の外部から内部に加圧濾過されて該中空糸膜3の開口された上端部から処理水室10に導かれ、該処理水室10に収容された濾水は蓋2bの上部に設けられた処理水取出口2dから濾過タンク2の外部に取り出される。
【0062】
一方、逆洗時は処理水取出口2dから濾水を供給して供給水室8に逆流させ、中空糸膜3に蓄積した懸濁物質を排除してタンク本体2aの下部に設けられた供給水入口2cから濾過タンク2の外部に排出される。
【0063】
また、エアバブリング時は供給水室8に原水を満たした状態で枝状配管31に接続され、タンク本体2aの下部に設けられた配管32から枝状配管31に空気を供給し、該枝状配管31に設けられたノズル31cから制限オリフィス17を介して均一に分配して供給され、原水が満たされた供給水室8の内部に流出して水中を気泡状となって各カートリッジ筒13のスカート部13aから接着層14の貫通穴14aを通過して各カートリッジ筒13の内部に導かれ、各カートリッジ型モジュール4内に流入して該カートリッジ型モジュール4内の水を攪拌すると共に各中空糸膜3を振動させて該中空糸膜3の表面に付着している懸濁物を剥離する。
【0064】
枝状配管31から制限オリフィス17に導かれた空気は板部材18の孔18aを流通することにより各カートリッジ型モジュール4に供給される空気の流量が所定の流量に一定化されて均一化され、供給水室8に充満した原水中に板部材18の孔18aから空気を吐出して該原水中に空気を混合してカートリッジ型モジュール4に供給することが出来る。
【0065】
これにより各カートリッジ型モジュール4の中空糸膜3に過大な振動を与えないで該中空糸膜3に蓄積した懸濁物質を排除するエアバブリング運転が良好に実施出来る。尚、供給水室8の上部に溜まった空気は前述と同様にタンク本体2aの上部に設けられた空気排出口2gから濾過タンク2の外部に排出される。
【0066】
そして、前述した逆洗運転を行って処理水取出口2dから供給された濾水がカートリッジ型モジュール4の中空糸膜3の外側を流通して、上述のように剥離した懸濁物質を押し流し、剥離した懸濁物質を含む濾水は供給水入口2cから濾過タンク2の外部に排出されて図示しない廃液タンクに収容される。
【0067】
また、他の構成として制限オリフィス17を介して薬液等の液体をカートリッジ型モジュール4に均一に分配して供給するように構成しても良く、この場合、カートリッジ型モジュール4に薬液等の液体を供給する目的で、図示しない薬液供給装置を設け、該薬液供給装置から配管32により供給された薬液が枝状配管31の薬液供給口となるノズル31cに設けた制限オリフィス17の板部材18の孔18aから均一に分配して供給され、前述と同様に各カートリッジ型モジュール4のカートリッジ筒13のスカート部13aから接着層14の貫通穴14aを通過してカートリッジ筒13の内部に供給されて中空糸膜3に蓄積した懸濁物質を排除する。
【0068】
上記構成によれば、カートリッジ型モジュール4の下部に濾過タンク2の内部空間を仕切る分離板が無い場合でも適用出来るので好ましい。他の構成は前記第1実施形態と略同様に構成され、同様な効果を得ることが出来る。
【0069】
尚、前記各実施形態では、制限オリフィス17を構成する孔18aを有する板部材18を袋ナット19によりノズル5a,31cに対して着脱可能に構成したが、他の構成としてノズル5a,31cの端部に溶接等により板部材18を固着したものでも良い。
【0070】
【発明の効果】
本発明は、上述の如き構成と作用とを有するので、カートリッジ型モジュールの下部から中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口に該気体または液体を均一に分配する制限オリフィスを設けたことで、各制限オリフィスに供給された気体または液体は所定の径で形成された孔を流通することにより各カートリッジ型モジュールに供給される気体または液体の流量が所定の流量に一定化されて均一化され、各カートリッジ型モジュールの中空糸膜に過大な振動を与えないで該中空糸膜に蓄積した懸濁物質を排除するエアバブリング運転が良好に実施出来る。
【0071】
これにより、各カートリッジ型モジュール毎に均一に気体または液体を供給することで濾過膜洗浄のバラツキを低減することが出来、気体または液体の供給量が過剰になって中空糸膜の物性が低下したり破断する虞がない。
【0072】
また、前記制限オリフィスが前記中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口の端部に所定の大きさの孔を形成した板部材を当接させ、該板部材を袋ナットにより保持すると共に該袋ナットを前記供給口の外周部に形成したネジ溝に螺合締着して取り付けられた場合には、制限オリフィスの取り付け取り外しが容易に出来るため該制限オリフィスの交換作業が容易であり、制限オリフィスが詰まった場合にも清掃作業が容易に出来る。
【0073】
また、前記制限オリフィスの孔径は、所定流量の気体または液体を流した時に該制限オリフィスの一次圧と二次圧との差圧が0.01Pa以上0.1Pa以下になるように構成すれば好ましい。
【0074】
また、前記中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口が濾過タンクの内部空間を仕切る分離板に一体的に設けられた場合には、濾過タンクの内部空間を仕切る分離板が濾過膜洗浄装置の一部品を兼ねるので部品点数を削減して部品コストを低減すると共に装置の小型化を図ることが出来る。
【0075】
また、前記中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口が前記カートリッジ型モジュールの下部に配置された枝状配管により構成された場合には、カートリッジ型モジュールの下部に濾過タンクの内部空間を仕切る分離板が無い場合でも適用出来るので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置の第1実施形態の構成を示す断面説明図である。
【図2】 (a)はカートリッジ型モジュールの下部の構成を示す要部拡大図、(b)は第1実施形態において分離板に形成された供給口に該気体または液体を均一に分配する制限オリフィスを設けた様子を示す要部拡大図である。
【図3】 本発明に係るタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置の第2実施形態の構成を示す断面説明図である。
【図4】 第2実施形態においてカートリッジ型モジュールの下部に配置され、中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口を有する枝状配管の構成を示す平面説明図である。
【図5】 第2実施形態において枝状配管に形成された供給口に該気体または液体を均一に分配する制限オリフィスを設けた様子を示す要部拡大図である。
【図6】 第1公知例を説明する図である。
【図7】 第2公知例を説明する図である。
【符号の説明】
1…タンク型濾過装置
2…濾過タンク
2a…タンク本体
2b…蓋
2c…供給水入口
2d…処理水取出口
2e…ドレーン排出口
2f…空気(薬液)供給口
2g…空気排出口
3…中空糸膜
4…カートリッジ型モジュール
5…分離板
5a…ノズル
5b…ネジ溝
6…仕切板
6a…貫通穴
6b…突出部
6c…溝部
7…空気(薬液)供給室
8…供給水室
9…パッキン
10…処理水室
11…接着層
12…カートリッジヘッド
13…カートリッジ筒
13a…スカート部
14…接着層
14a…貫通穴
15…Oリング
16…係止部材
17…制限オリフィス
18…板部材
18a…孔
19…袋ナット
20…ガスケット
31…枝状配管
31a…母管
31b…枝管
31c…ノズル
31d…ネジ溝
32…配管

Claims (4)

  1. 複数本の中空糸膜を束ねたカートリッジ型モジュールが濾過タンク内に懸垂して支持されるタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置において、
    前記カートリッジ型モジュールの下部から前記中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口に該気体または液体を均一に分配する制限オリフィスを設け、
    前記制限オリフィスは、前記中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口の端部に所定の大きさの孔を形成した板部材を当接させ、該板部材を袋ナットにより保持すると共に該袋ナットを前記供給口の外周部に形成したネジ溝に螺合締着して取り付けたことを特徴とするタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置。
  2. 前記制限オリフィスの孔径を、気体または液体を所定流量流した時の該制限オリフィスの一次圧と二次圧との差圧が0.01Pa以上0.1Pa以下になるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置。
  3. 前記中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口は、濾過タンクの内部空間を仕切る分離板に一体的に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置。
  4. 前記中空糸膜に気体または液体を供給するための供給口は、前記カートリッジ型モジュールの下部に配置された枝状配管により構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタンク型濾過装置の濾過膜洗浄装置。
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