JP4068935B2 - 水素の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水に冷熱サイクルを作用させて水の分解を生起させることにより水素を製造する方法に関する。より詳しく述べると、閉鎖系で水の冷熱サイクルを行い、特に、特定冷却速度で水の高温加圧状態と低温減圧状態とを交互に繰り返すことにより比較的低温で水を分解して水素を得る、水素の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、石油等の既存の資源の枯渇化や二酸化炭素の放出等の観点から、石油に代わる代替燃料として水素が注目されている。
従来、このようなエネルギ源として水素を製造するには水、メタノール等の電気分解が一般的であった。
例えば、水を電気分解する場合、下記式(1)の反応に従って水素を発生させる。
2O → H2 +1/2O2 …(1)
【0003】
この場合、水の電気分解により水素を得るには、理論上、標準状態で1.23Vの電位差が必要とされるが、水は高い電気抵抗を有するため、実際にはこれ以上の電位差が水の電気分解に必要とされる。そこで、電力コストを下げるべく、例えば、水にアルカリ等の電解質を溶解させることにより比較的低い電位差で水を電気分解させて水素を製造することが可能である。しかし、このような水溶液の電気分解では、水溶液のpH調整や電気抵抗の設定等の作業負荷が増えるうえ、電極に適用する触媒の調製によりコストアップを招くという問題がある。さらに、このようにアルカリ等の電解質を水に溶解させて水の電気分解を行う場合でも、なお2.0V程度という比較的高い電位差が要求される。
【0004】
水素を発生させる他の方法として、水の熱分解による方法が考えられる。しかし、水を熱分解して水素を得るには4300℃程度の高温下で行う必要があり、さらに大きなエネルギが必要となって実用的ではない。
【0005】
一方、外部からエネルギを加えることなく、化学反応により水素を発生させる方法として、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属類を水に添加してこれらの金属と水とを化学反応させる方法が挙げられる。しかし、これらの金属は比較的高い純度が要求されることから高価なものとなり、またこれらの化学反応は急激に進行するので反応の制御が難しく、このような点が化学反応による水素製造の実機での障害となっている。
【0006】
また、メタノールやガソリン等の炭化水素を改質して水素を製造する手法もあるが、反応時のCO、CO2等の副産物の生成を伴うため、そのままではクリーンなエネルギとして使用するのが困難であり、この手法を実用化するには、これらの副産物を除去する対策を別途講じる必要がある。
【0007】
さらに、珪素の微粉末に水を接触させることにより比較的簡便に水素を製造できる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平4−59601号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような従来の水素の製造方法を踏まえ、本発明は、水素の製造方法への一つのアプローチとして、閉鎖系内で、水の温度を上下させて行う水の冷熱サイクルにより、水を分解して水素を得ることができる水素の製造方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、水を熱的に分解する方法について鋭意検討を行った。その結果、閉鎖系で水の温度を上下させて水に冷熱サイクルを作用させながら、閉鎖系における気相中の化学種の濃度変化を定量的に測定したところ、0〜120℃という極めて低い温度範囲で、前記閉鎖系内にて水素の量が増加する現象を見い出した。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0011】
すなわち、本発明に係る水素の製造方法は、耐圧容器に水を封入し、前記水の温度が100℃以上、かつ前記水を封入した耐圧容器の内圧が1気圧以上である高温加圧状態と、前記水の温度が100℃未満、かつ前記耐圧容器の内圧が1気圧未満である低温減圧状態とを交互に生じさせる水の冷熱サイクルを繰り返すことにより、前記水を分解して水素を得る水素の製造方法として構成される。
【0012】
このように構成すれば、前記水が封入された耐圧容器内で、前記水に冷熱サイクルを繰り返し作用させることにより、水の電気分解等のように、電力を直接的に用いずに水を分解して水素を製造することができる。このような水の冷熱サイクルによる水の分解は前記耐圧容器内の閉鎖系での高温加圧時及び低温減圧時に生じるため、容易に水の分解を停止させることができて、水素製造の操業が容易に制御することができる。
【0013】
また、本発明の水の冷熱サイクルは、水の温度が0〜120℃で行われることが望ましい。このように構成すれば、前記水が封入された耐圧容器内で生じる水の分解が促進される。そして、0〜120℃という比較的低温で水を分解するので、水素製造のエネルギコストを抑えることができる。
【0014】
さらに、本発明は、前記水の冷熱サイクルが冷却速度を10℃/min以上として行われることが望ましい。このように構成すれば、前記水の分解をより促進させることができる。そして、このように前記水を急冷することにより、水の分解で発生した酸素の水への溶解を促進させることができるため、水の分解とは逆に進行する反応を抑えて水素を効率的に製造することができる。
【0015】
そして、本発明は、前記高温加圧状態を形成する前に、予め水に溶存している酸素を除去することが望ましい。このように構成すれば、前記水の分解で発生した酸素を水に溶解し易くなり、前記水の分解とは逆に進行する反応(水素と酸素との反応により水が生成される反応)が抑えられて、水素の生成効率をより高めることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る1例の実施形態について詳細に説明する。
本発明は、閉鎖系で、特定の温度範囲、さらには、特定の冷却速度にて、水の温度を上下させる水の冷熱サイクルにより、熱エネルギのみで水を分解して、水素が得られるようにするものである。
【0017】
一般に、水を熱的に分解するには約4300℃という高温が必要とされる。また、ゼオライト系等の触媒を用いることにより約500℃で水を分解できるという報告例もある。このような従来得られている知見を踏まえつつ、本発明者らは種々の実験を試み、閉鎖系内で水の温度を上下させる水の冷熱サイクルを繰り返し作用させることにより、閉鎖系内で水の高温加圧状態と低温減圧状態と繰り返し生じさせ、水の電気分解によらず、また触媒を用いずに、しかも0〜120℃という極めて低い温度で、水を分解して効率的に水素を製造することを可能にした。
【0018】
本発明で形成する閉鎖系は、各種のガラスや各種の金属材料で構成される耐圧容器で具現される。そして、本発明では、このような耐圧容器に各種の構成部材を設けた水素発生装置を用いることができる。図1は、本発明で用いることができる水素発生装置1の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、この水素発生装置1は、耐圧容器2に、水3を供給するための配管で構成される水供給部4、耐圧容器2内で生成された水素、酸素、または水等の気体を外部に排出する、あるいは気体を吸気するための配管で構成される気体吸気排出部5、耐圧容器2内の水3を排出する配管から構成される水抜き部6、及び耐圧容器2の内圧を所定範囲に保持する圧力制御弁7を有する配管で構成される圧力制御部8が、蓋部材9を介して備えられて構成され、この蓋部材9は、耐圧容器2のフランジ10にガスケット11を介してボルト12で取り付けられている。
【0019】
そして、耐圧容器2には、側壁を加熱する加熱コイルから構成される加熱手段13、耐圧容器2を冷却する冷却手段14、耐圧容器2内の圧力を計測する圧力センサ15、耐圧容器2内の水の温度を計測する温度センサ16が備えられるとともに、水供給部4、気体吸気排出部5、及び水抜き部6には、耐圧容器2内を気密に保持するバルブ17、18、19が備えられている。
【0020】
さらに、この耐圧容器2には、耐圧容器2内の水3の量を測定する水量計測手段(図示省略)、耐圧容器2に水3を送入するポンプ(図示省略)、耐圧容器2内で生成された気体を排出部4から排出するポンプ(図示省略)、耐圧容器2の内部を外部から覗くためのビューポート(図示省略)が適宜備えられる。
【0021】
本発明は、このような耐圧容器2内に水3を封入し、後記のようにして水に冷熱サイクルを繰り返し作用させることにより、耐圧容器2内で、高温加圧状態と低温減圧状態とを生じさせて、水3の分解を生じさせ、水素と酸素とを発生させる。そして、このようにして生成された水素や酸素、または水3等の気体を外部に排出して、別途備えられる、気体分離膜等による気体分離手段によって水素の純度を高めて水素を製造するものである。以下に、本発明で必要とされる条件について説明する。
【0022】
[耐圧容器]
本発明で用いられる水を封するための耐圧容器2(例えば、図1参照)は、材質や、容積または形状について特に限定されるものではなく、良好な耐蝕性、充分な耐熱性及び耐圧性を備え、気密性を保持できるような材料、容積及び形状であれば用いることができる。すなわち、本発明では、各種のステンレス鋼等の金属材料、ガラス、各種のセラミックス材料等で、容積と形状が適宜設定されたものを使用することができる。
【0023】
[水]
本発明で用いられる水は特に限定されるものではなく、水の分解を阻害するような成分や、環境や人体に悪影響を及ぼす量の成分を含まないものであればよく、本発明では、通常の水道水やイオン交換水等の水を用いることが可能である。また、本発明で用いられる水の量は特に限定されるものではなく、必要に応じて調節することができる。
【0024】
[水の冷熱サイクル]
本発明で行われる水の冷熱サイクルは、閉鎖系、例えば、図1に示すような密閉された耐圧容器2の中で、水に高温加圧状態と低温減圧状態とを交互に生じさせるものである。そして、本発明では、このような水の冷熱サイクルにより水の分解を生じさせることができる。このような水の冷熱サイクルで水が分解する現象は、本発明者らが実験によって知見したものであるが、次のような作用機序が関与していると推定される。
【0025】
すなわち、水の温度が上昇すると水分子間の水素結合の解離が促進され、また、水の温度が降下すると水分子間の水素結合の形成が促進されるが、このとき、水を急冷すると水分子間で水素結合が急激に形成されるため、水分子間の水素結合の形成に必要なエネルギが急速に増大し、その結果、一部の水分子で分子内の共有結合がエネルギ的に不安定な状態となる。そこで、このようなエネルギ的に不安定な状態を緩和するために、分子内(または分子間)で原子レベルのエネルギの移動が生じると考えられる。
【0026】
具体的には、水の温度の上昇時には水分子間の水素結合の解離が促進されるので、この水分子間の水素結合の解離によって発生したエネルギの一部は、水分子内に、例えば、水分子の回転運動やO−H伸縮振動として蓄積される。一方、このように水分子内にエネルギが蓄積された後、水の温度が降下すると、次第に水分子間で水素結合が形成されるため、水分子内のエネルギの一部が水分子間の水素結合の形成に消費されるようになると考えられる。
【0027】
ところで、気体の水が急速に冷却されると、水分子内に蓄積されたエネルギが水分子間の水素結合の形成に急激に消費されるが、冷却速度が過度に高くなると、水分子内に蓄積されたエネルギのみでは前記の水素結合の形成に不足し、その結果、一部の水分子で水素原子と酸素原子との共有結合が解離し、このときの解離エネルギが前記の水素結合の形成に消費されるようになると考えられる。本発明は、このような水分子のエネルギ移動に基づいて水の分解を生じさせ、水素を製造するものである。
【0028】
なお、このような水の分解は、閉鎖系での水の冷熱サイクルにより、高温加圧状態と低温減圧状態とを繰り返し生じさせることによって生起される現象であるが、このような現象は水の局在化領域で生じると考えられる。
【0029】
このような水の分解を生じさせるために、本発明では前記の水の冷熱サイクルを100℃以上、かつ前記水が封入された耐圧容器の内圧が1気圧以上である高温加圧状態と、100℃未満、かつ前記水が封入された耐圧容器の内圧が1気圧未満である低温減圧状態とを交互に生じさせることを必要とする。
【0030】
さらに、本発明では、水素の生成効率と水素の製造コストとを調和させるべく、この水の冷熱サイクルの温度を0〜120℃とすることが望ましい。
【0031】
[冷却速度]
また、本発明の水の分解は、前記したような高温加圧状態と低温減圧状態とを交互に繰り返すことにより生起されるが、本発明者らが前記水の分解の効率について調査したところ、特に、高温加圧状態から低温減圧状態に移行する際に水素の生成量が顕著に増大することが明らかとなった。そして、高温加圧状態から低温減圧状態への移行、すなわち、前記水の冷熱サイクルで冷却過程の条件について詳細に検討したところ、前記水の冷熱サイクルの温度が0〜120℃の場合、水素の発生量は、冷却速度が10℃/min以上で非線形的に増大することが明らかとなった。したがって、本発明では、閉鎖系内の水を、前記高温加圧状態から低温減圧状態へ移行させる際の冷却速度は、10℃/min以上とすることが望ましい。
【0032】
なお、本発明で、前記した10℃/min以上の冷却速度は、例えば、図1に示すような1例の水素製造装置1の耐圧容器2を冷凍庫のような冷却手段14の中に配置したり、あるいは、耐圧容器2の側壁内にウォータジャケットで構成される水冷機構を設けたりして具現することが可能である。また、その際の冷却手段14の条件設定は、所望の冷却速度に応じて適宜行うことができる。
【0033】
[水中の溶存酸素の除去]
また、本発明では、水の分解により発生した水素及び酸素の一部が反応して再び水を生成するが、このとき、前記水の分解により発生した酸素の水中への溶解を促進させるようにすれば、前記の水の生成量を抑えることが可能である。このため、本発明では、閉鎖系を形成することができる耐圧容器2に水を封入した後、水の冷熱サイクルを行う前に予め水中の溶存酸素を除去することが望ましい。
【0034】
この酸素の除去の方法としては、例えば、図1に示すよう水素製造装置1で、水供給部4から耐圧容器2に水3を封入した後、気体吸気排出部5からポンプ(図示省略)により耐圧容器2内の空気を排気し、続いて耐圧容器2内にアルゴン等の不活性ガスを、気体吸気排出部5から耐圧容器2内に送入した後、気体排気部4からポンプにより耐圧容器2内の不活性ガスを排気する。このようにして、耐圧容器2内への不活性ガスの送入と、耐圧容器2内からの不活性ガスの排気とを、適宜繰り返し行うことにより、耐圧容器2内に封入された水3の中の溶存酸素を除去することができる。
【0035】
さらに、このとき、耐圧容器2内に封入された水3を加熱手段13により適宜温度に加熱して前記のようにして酸素を除去すれば、酸素の除去効率をより高めることが可能である。そして、このようにして水3の中の溶存酸素を充分に除去した後、気体吸気排出部5のバルブ18を閉じて耐圧容器2の内部を密閉し、前記した水の冷熱サイクルを行うことができる。
【0036】
[水素の分離方法]
本発明により製造された水素は、同時に発生した酸素等の気体とともにこの閉鎖系内から外部に排気され、このように排気された前記閉鎖系内の気体は、例えば、気体分離手段によって水素が選択的に分離され、濃度が高められた水素が得られるようにすることが望ましい。
なお、本発明は、この気体分離手段について特に限定するものではなく、従来公知の各種の気体分離手段を用いることができる。
【0037】
なお、本発明では、必要に応じて、閉鎖系内に封入された水の量を、センサ等を用いて監視する水量監視手段を設けることができ、さらに閉鎖系内に封入された水の量が適正範囲から外れると警報を発報する水量監視手段を設けてもよい。また、この閉鎖系の内圧を圧力センサにより監視する内圧監視手段を設けることができ、さらにこの内圧が適正範囲から外れると警報を発報する内圧監視手段等を設けてもよい。
【0038】
さらに、本発明では、前記水量監視手段を連動して閉鎖系内に水を補給する水水補給手段(図示省略)や、前記内圧監視手段と連動して圧力弁を開閉したり、加熱手段をON−OFFさせて閉鎖系内の温度を変化させたりするなどして、閉鎖系の内圧を制御する圧力制御部を設けることも可能である。
【0039】
本発明は、以上説明したような実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく限りにおいて適宜変更することが可能である。例えば、本発明の閉鎖系は、例えば、蓋による密閉が可能な、耐熱性及び耐圧性を有するガラスビンのみで具現することも可能である。
【0040】
このような本発明に係る水素の製造方法は、内燃機関や燃料電池などへクリーンなエネルギを提供する技術となり得る。特に、自動車の場合、冷却水を加熱して冷却する手段を設けるのみの比較的簡便な方法で、冷却水を有効な水素源とすることができるという可能性を秘めている。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明する。
【0042】
《実施例1》
図2は本発明に係る実施例で用いた水素製造装置21の断面を模式的に示す図である。この水素製造装置21は、図2に示すように、容積が100mlであるパイレックスガラス製の耐熱性と耐圧性とを有する耐圧容器20と、水供給部40と、蓋部材60とを備えるとともに、圧力センサ(図示省略)と、温度センサ(図示省略)とが設けられて構成されている。この実施例では、このような水素製造装置21を2セット準備し、それぞれ、実施例1及び比較例1とした。
【0043】
そして、これら実施例1及び比較例1の耐圧容器20にそれぞれ、水道の水30を50ml満たしてこの耐圧容器20の蓋部材60を開放したままで、ガスバーナ(図示省略)の加熱手段を用いて加熱した。そして、これら実施例1及び比較例1それぞれの耐圧容器20内の水30を沸騰させた後、それぞれの蓋部材60を締めて密閉し、さらに前記ガスバーナで再び加熱を行って、耐圧容器20内の水30の温度を120℃、内圧を1.34気圧として本発明の必要条件を満たす高温加圧状態とした。そして、これら実施例1及び比較例1に対して、引き続き以下のような実験を行った。
【0044】
まず、実施例1の耐圧容器20を、内部の温度が−20℃の冷凍庫(図示省略)の中に入れて10分間放置した。このとき、耐圧容器20内の水30の温度は0℃であり、内圧は0.93気圧である低温減圧状態であるとともに、冷却速度は10℃/minで、いずれも本発明の水の冷熱サイクルにおける冷却速度の必要条件を満たすものであった。その後、冷凍庫の中から実施例1の耐圧容器20を取り出して室温に戻した。
【0045】
一方、比較例1として、耐圧容器20内の水30の温度を120℃、内圧を1.34気圧としたものを、室温に3時間放置して、この耐圧容器20内の温度を25℃とした。このときの冷却速度は、7.2℃/minであり、本発明における水の冷熱サイクルの冷却速度の必要条件を満たさないものであった。
なお、前記実施例1及び比較例1の冷却速度はそれぞれ、前記温度センサ(図示省略)をペンレコーダに接続して測定された結果に基づいて算出されたものである。
【0046】
その後、前記実施例1及び比較例1それぞれの耐圧容器20の水供給部40に配管(図示省略)を取り付け、この配管をガスクロマトグラフィ装置に連結して、耐圧容器20内の気体の濃度をGLサイエンス社製のGC323によるガスクロマトグラフィで分析した。その結果を以下の表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0004068935
【0048】
表1に示すように、本発明の必要条件を満たす冷却速度で水の冷熱サイクルを行った実施例1は、本発明の必要条件を満たさない比較例1に比べて、有意に水素濃度が増加していることがわかる。
【0049】
《実施例2》
前記実施例1で行った高温加圧状態(水30の温度:120℃、耐圧容器20の内圧:1.34気圧)と、低温減圧状態(水30の温度:0℃、耐圧容器20の内圧:0.93気圧)の水の冷熱サイクル(冷却速度:10℃/min)を計3回繰り返し、これを実施例2とした。一方、前記比較例1で行った高温加圧状態(水の温度:120℃、耐圧容器20の内圧:1.34気圧)と、低温減圧状態(水の温度:25℃、耐圧容器20の内圧:1.00気圧)の水の冷熱サイクル(冷却速度:7.2℃/min)を計3回繰り返し、これを比較例2とした。そして前記実施例1及び比較例1と同様にして耐圧容器20内の気体の濃度をGLサイエンス社製GC323によるガスクロマトグラフィで分析した。その結果を以下の表2に示す。
【0050】
【表2】
Figure 0004068935
【0051】
表2に示すように、本発明の必要条件を満たす冷却速度で水の冷熱サイクルを行った実施例2は、本発明の必要条件を満たさない比較例2に比べて、有意な差を有して水素濃度が増加していることがわかる。また、この実施例2は前記実施例1に比べて水素濃度が増加しており、このことから前記の水の冷熱サイクルを1回のみ行ったものよりも3回行ったものの方でより高い水素濃度が得られることがわかる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したとおりに構成される本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、水が封入された耐圧容器内で、水に冷熱サイクルを繰り返し作用させることにより、電力を用いずに水を分解して水素を製造することができる。この水の分解は前記耐圧容器内の閉鎖系での加圧時及び減圧時に生じるため、比較的容易に水の分解を停止させることができて、水素製造の操業を比較的容易に制御することができる。
【0053】
また、前記水が封入された耐圧容器内で生じる水の分解を促進させることができる。そして、0〜120℃という比較的低温で水を分解するので、水素製造のエネルギコストを抑えることができる。
【0054】
さらに、水の分解を、より一層促進させることができる。そして、このように水を急冷することにより、水の分解で発生した酸素の水への溶解を促進させることができるため、水の分解とは逆方向に進行する反応を抑えて水素を効率的に製造することができる。
【0055】
そして、前記水の分解で発生した酸素を水に溶解し易くなり、前記水の分解の逆反応(水素と酸素との反応により水が生成される反応)が抑えられて、水素の生成効率を一段と高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる1例の水素製造装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明に係る実施例で用いた水素製造装置を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 水素製造装置
2 耐圧容器
3 水
4 水供給部
5 気体吸気排出部
6 水抜き部
7 圧力制御弁
8 圧力制御部
9 蓋部材
10 フランジ
11 ガスケット
12 ボルト
13 加熱手段
14 冷却手段
15 圧力センサ
16 温度センサ
17、18、19 バルブ
20 耐圧容器
21 水素製造装置
30 水(水道水)
40 水供給部
60 蓋部材

Claims (3)

  1. 耐圧容器に水を封入し、前記水の温度が100℃以上、かつ前記耐圧容器の内圧が1気圧以上である高温加圧状態と、前記水の温度が100℃未満、かつ前記耐圧容器の内圧が1気圧未満である低温減圧状態とを交互に生じさせる水の冷熱サイクルを繰り返すことにより、前記水を分解して水素を得
    前記水の冷熱サイクルは、前記水の冷却速度が10℃/min以上で行われる
    ことを特徴とする水素の製造方法。
  2. 前記水の冷熱サイクルは、前記水の温度が0〜120℃で行われることを特徴とする請求項1に記載の水素の製造方法。
  3. 前記耐圧容器に水を封入した後、前記高温加圧状態を形成する前に、前記水に溶存している酸素を除去することを特徴とする請求項1または請求項に記載の水素の製造方法。
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