JP4067323B2 - フライ調理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フライ調理方法に関するものであり、更に詳細には、フライ調理品の品質を好適に保持することのできるフライ調理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フライ調理において、フライ調理品の品質を好適にすること、及び使用するフライ油の熱酸化による劣化を抑制し、フライ調理品の栄養価値を高めることは重要である。
【0003】
油脂を加熱する調理方法としては、てんぷらやフライおよび炒め物などがある。てんぷらやフライに代表されるフライ調理方法は、油脂を熱媒体として高温で加熱するため、フライ素材全体をムラなく、短時間で調理することができる。また、フライ衣に吸着される油脂は、フライ食品に旨味を与え、食品全体の調味バランスを整えるものであり、このような油脂を用いたフライ調理方法は優れた調理方法である。フライ調理方法の場合、使用する油脂は酸素(空気)が存在する状態で、140℃を超える高温に曝されるため、空気中の酸素との熱酸化反応により油脂の劣化を避けられない。この際、熱酸化重合と呼ばれる重合反応と油脂の分解反応が起こる。劣化した油脂を用いてフライ調理を行うと、フライ食品の風味を損なうだけでなく(油化学.30.548-552.(1981)、J. Am. Oil Chem. Soc., 74. 347 (1997))、栄養的価値も低減してしまう(油化学.21.13-19.(1972))。
【0004】
トコフェロール・トコトリエノール類は、植物油脂類に多く含まれる天然抗酸化成分として、広く知られている。日本農林規格にも、油脂の酸化防止剤として登録されており、各種加工食品にも用いられている。油脂に含まれるトコフェロール・トコトリエノール類は、油脂の加熱により、徐々に破壊され、油脂中の含有量は減少する。加熱された油脂中のトコフェロール・トコトリエノール類の残存率が高いことは、加熱油の劣化が進んでいないことを示す。トコフェロール・トコトリエノール類を含む各種酸化防止剤を利用することによって、フライ油の劣化を抑制することは数多く報告されているが、もともと油脂に含まれている天然のトコフェロール・トコトリエノール類を保持する技術開発については現在のところ報告されていない。トコフェロール・トコトリエノール類の残存率が高いことは、フライ油の劣化進行が遅延されている、フライ製品の風味劣化が抑制されている、フライ製品の栄養的価値低下が抑制されている、その風味向上による製品価値が向上することを示している。
【0005】
一方、生体内には、トコフェロールやシステイン、グルタチオンなどフリーラジカル反応性物質が存在しており、これらの物質は抗酸化的に作用している。トコフェロール類の生理作用は、基本的には生体内抗酸化剤としての機能に基づくものである。生体内の脂質の過酸化反応を起こす要因は、活性酸素であるとされている。この活性酸素は、高度不飽和酸(PUFA)に作用し、脂質過酸化反応を引起こす。活性酸素種のうち、直接脂質の過酸化反応を引起こすのは、二重結合に付加して過酸化物(hydroperoxide;HPO)を集積する一重項酸素とフリーラジカル反応を開始するラジカル類である。トコフェロール・トコトリエノール類と活性酸素種の反応は、一重項酸素のクエンチャー作用とフリーラジカル反応停止効力とされている。フライ製品中のトコフェロール・トコトリエノール類の残存率が高ければ、そのフライ製品を食することにより、トコフェロール・トコトリエノール類を多く体内に摂取し、積極的に体内の抗酸化力を高めることになる。
【0006】
食用油の過熱時の変化は、高温で反応が進むため、その反応速度が高く、詳細は明らかにされていないが、熱酸化反応時の生成物から考えて、HPOが瞬間的に生成し、HPOが破壊して各種ラジカルが生成され、ラジカル同士が結合して二量体などが生成する。この二量体は、常温で進行する酸化反応である自動酸化反応により生成する重合物のように酸素を含んだものでなく、炭素−炭素結合による二量体や三量体が主として生ずる。金田らは、熱酸化重合油の毒性について詳細な研究を行い、その毒性の本体として、−OH、=O、エポキシ等の官能基を多く含有するグリセリド二量体を分離した(油化学.21.13-19.(1972))。このグリセリド二量体は、消化管内でかなり加水分解されるが、グリセリド二量体を形成するグリセリド間の結合は切断し難く、そのままの状態で吸収されると考えられている。有毒なグリセリド二量体は完全には加水分解されず、一部は脂肪酸二量体のまま体内に吸収され、含有官能基が酵素系に作用して毒性を呈すると推定されている。
【0007】
−OH、=O、エポキシ等の官能基を含むグリセリドは、ヘキサン・ジエチルエーテルを移動相としたシリカゲルカラムクロマログラフィーにより、高極性分画として分離することができる。このような極性物質量は、日本では公的なフライ油劣化指標とされていないが、ヨーロッパ諸国においては、極性物質量がフライ油劣化指標として、よく使用されている。ドイツでは、極性物質量が27%以下であると使用限界が定められている。
【0008】
厚生労働省による弁当及び惣菜についての環食第161号の衛生規範では、フライ油のカルボニル価50meq/kgを使用限界として定めている。カルボニル化合物は、HPOの分解にともなって増加する物質である。高極性物質の中でもカルボニル化合物が毒性を有することは、過去の報告からも明らかであり、それらを低減することにより加熱フライ油の栄養的価値を高めることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
油脂を加熱することにより、油脂の栄養効果が大幅に低減すること(加熱劣化)は、従来から知られているが、そのような加熱劣化した油脂の管理は、酸価や色度に代表される化学的・物理的分析値によっている。酸価や色度は油脂の劣化を示す値ではあるが、その栄養的価値を示すものではなく、このような栄養的価値を指標とし、フライ調理品の品質を十分に好適に保持することのできるフライ調理方法が望まれていた。
従って、本発明の目的は、フライ調理品の品質を好適に保持することのできるフライ調理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討し、未加熱時の油脂中の特定の化合物含量と、加熱後の該化合物含量との関係とを検討した結果、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明はフライ調理器内に充填された油脂を用いて具材をフライ調理するフライ調理方法であって、上記フライ調理器内に充填された油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度を、未加熱時の油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度の0.66倍以上の濃度に維持しながら具材をフライ調理することを特徴とするフライ調理方法を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、フライ調理器内に充填された油脂を用いて具材をフライ調理するフライ調理方法であって、未加熱時の油脂中に含有される極性物質に対する、上記フライ調理器内に充填された油脂中に含有される極性物質の増加量を、油脂の質量に対し10質量%以下に維持しながら具材をフライ調理することを特徴とするフライ調理方法を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、フライ調理器内に充填された油脂を用いて具材をフライ調理するフライ調理方法であって、上記フライ調理器内に充填された油脂のカルボニル価を、15meq/kg以下に維持しながら具材をフライ調理することを特徴とするフライ調理方法を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、フライ調理器内に充填された油脂を用いて具材をフライ調理するフライ調理方法であって、前記油脂の回転率を2%以上とすることを特徴とする、フライ調理方法を提供するものである。
また、本発明は、上述したフライ調理方法により調理されたフライ調理品を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のフライ調理方法について説明する。
まず、本発明のフライ調理方法の第1の実施形態について説明する。
本発明のフライ調理方法の第1の実施形態は、フライ調理器内に充填された油脂を用いて具材をフライ調理するフライ調理方法であって、上記フライ調理器内に充填された油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度を、未加熱時の油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度の0.66倍以上の濃度に維持しながら具材をフライ調理することを特徴とする。
【0016】
本発明のフライ調理方法は、油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度を、上述のように、未加熱時の油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度の0.66倍以上の濃度に維持しながら具材をフライ調理する。また、トコフェロール及びトコトリエノール総濃度は、未加熱時の油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度の0.75倍以上の濃度に維持しながら具材をフライ調理することが好ましく、0.80倍以上の濃度に維持しながら具材をフライ調理することが更に好ましい。
油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度を、上記濃度に維持しながら具材をフライ調理することにより、得られるフライ調理品の栄養的価値を高めることができる。
【0017】
なお、本明細書において、トコフェロール及びトコトリエノール総濃度は、阿部らの方法(栄養と食糧 Vol.28 No.8 453〜445 1975)に準じ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に蛍光分光光度計を組合せ、定量したものである。
【0018】
本発明のフライ調理方法は、未加熱時の油脂中に含有される極性物質に対する、前記フライ調理器内に充填された油脂中に含有される極性物質の増加量を、油脂の質量に対し10質量%以下に維持しながら具材をフライ調理することが好ましい。極性物質の増加量は、油脂の質量に対し8質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが最も好ましい。
油脂中に含有される極性物質増加量を上記範囲内に維持しながら具材をフライ調理することにより、有害物質含有量の低いフライ調理品を得ることができる。なお、極性物質とは、−OH、=O、エポキシ等の官能基を含むグリセリドの他、油脂の分解物である、遊離脂肪酸、カルボニル化合物及びヒドロキシ化合物等が挙げられる。
【0019】
また、本発明のフライ調理方法は、未加熱時の油脂中に含有される二量体極性物質に対する、前記フライ調理器内に充填された油脂中に含有される二量体極性物質の増加量を、油脂の質量に対し2質量%以下に維持しながら具材をフライ調理することが好ましい。また、二量体極性物質の増加量は油脂の質量に対し、1.5質量%以下であることが更に好ましく、1.0質量%以下であることが最も好ましい。
【0020】
なお、本明細書において、極性物質濃度は、基準油脂分析法(2.5.5#1996)に従い測定した。また、二量体濃度は、HPLCに屈折率測定装置を組み合わせて測定した。
【0021】
本発明のフライ調理方法は、油脂のカルボニル価を、15meq/kg以下に維持しながら具材をフライ調理することが好ましい。油脂のカルボニル価は、12meq/kg以下に維持することが更に好ましく、10meq/kg以下に維持することが最も好ましい。
油脂のカルボニル価を上記範囲内に維持しながら具材をフライ調理することにより、得られるフライ調理品の風味が優れたものとなる。
【0022】
なお、本明細書において、油脂のカルボニル価は、基準油脂分析法(2.5
.4_1996)に従い測定した。
【0023】
本発明においてフライ調理用に使用される食用油脂には、植物性油脂、動物性油脂、ジグリセリドおよび食用精製加工油脂が含まれるが、これらの油脂としては、脱臭工程前の脱色油のほか、抽出油、原油、脱酸油、脱ガム油、脱ロウ油等の工程油および精製油も用いることができる。
上記植物性油脂としては、例えば大豆油、大豆胚芽油、菜種油、コーン油、ゴマ油、ゴマサラダ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パームオレイン、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、藻類油およびこれらの分別油が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
上記動物性油脂としては、牛脂、ラード、鶏油、乳脂、魚油、アザラシ油、およびこれらの分別油が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記ジグリセリドは、グリセリンと動植物油由来の脂肪酸のジエステルであり、油脂を加水分解後精製したもの、またはグリセリンと脂肪酸をエステル化し、精製したものが挙げられるができるが、これらに限定されるものではない。上記食用精製加工油脂としては、例えば前記植物性油脂、動物性油脂の水素添加油、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、トリアセチン等の合成油脂、およびエステル交換油(MLCT)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0024】
なお、本明細書において、フライ調理方法とは、フライ、から揚げ、天ぷら、衣揚げ、揚げせんべい、スナック菓子等の比較的多量の油脂を熱媒として使用する加熱調理方法をいい、具材の種類、形態等は特に制限されない。フライ調理方法に供される具材としては、コロッケ、とんかつ、メンチカツ、から揚げ、魚介類フライ、肉類フライ、野菜類フライ、かき揚げ、天ぷら、ハムカツ、フライドポテト、揚げ肉団子、プリフライタイプの天ぷら、油揚げ米菓(揚げ煎餅等)、油揚げスナック、油揚げ、さつま揚げ、アメリカンドッグ、カレーパン、ピロシキ、春巻等が含まれる。
【0025】
本発明のフライ調理方法の第2の実施形態は、フライ調理器内に充填された油脂を用いて具材をフライ調理するフライ調理方法であって、未加熱時の油脂中に含有される極性物質に対する、上記フライ調理器内に充填された油脂中に含有される極性物質の増加量を、油脂の質量に対し10質量%以下に維持しながら具材をフライ調理することを特徴とする。
【0026】
本発明のフライ調理方法は、上述したように未加熱時の油脂中に含有される極性物質に対する、前記フライ調理器内に充填された油脂中に含有される極性物質の増加量を、油脂の質量に対し10質量%以下に維持しながら具材をフライ調理する。また、極性物質濃度の増加量は、油脂の質量に対し8質量%以下に維持することが好ましく、5質量%以下に維持することが更に好ましい。
油脂中に含有される極性物質濃度を上記範囲内に維持しながら具材をフライ調理することにより、有害物質含有量の低いフライ調理品を得ることができる。
【0027】
本発明のフライ調理方法は、油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度を、未加熱時の油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度の0.66倍以上の濃度に維持しながら具材をフライ調理することが好ましい。また、トコフェロール及びトコトリエノール総濃度は、未加熱時の油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度の0.75倍以上の濃度に維持しながら具材をフライ調理することが更に好ましく、0.80倍以上の濃度に維持しながら具材をフライ調理することが最も好ましい。
油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度を、上記濃度に維持しながら具材をフライ調理することにより、得られるフライ調理品の栄養的価値を高めることができる。
【0028】
本発明のフライ調理方法は、油脂のカルボニル価を、15meq/kg以下に維持しながら具材をフライ調理することが好ましい。油脂のカルボニル価は、12meq/kg以下に維持することが更に好ましく、10meq/kg以下に維持することが最も好ましい。
油脂のカルボニル価を上記範囲内に維持しながら具材をフライ調理することにより、得られるフライ調理品の風味が優れたものとなる。
また、上述した、本発明のフライ調理方法の第2の実施形態において用いられる油脂についても、第1の実施形態において説明したものと同様である。
【0029】
本発明のフライ調理方法の第3の実施形態は、フライ調理器内に充填された油脂を用いて具材をフライ調理するフライ調理方法であって、上記フライ調理器内に充填された油脂のカルボニル価を、15meq/kg以下に維持しながら具材をフライ調理することを特徴とする。
【0030】
本発明のフライ調理方法は、油脂のカルボニル価を、15meq/kg以下に維持しながら具材をフライ調理する。油脂中のカルボニル化合物濃度は、12meq/kg以下に維持することが好ましく、10meq/kg以下に維持することが更に好ましい。
油脂のカルボニル価を上記範囲内に維持しながら具材をフライ調理することにより、得られるフライ調理品の風味が優れたものとなる。
【0031】
本発明のフライ調理方法は、油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度を、未加熱時の油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度の0.66倍以上の濃度に維持しながら具材をフライ調理することが好ましい。また、トコフェロール及びトコトリエノール総濃度は、未加熱時の油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度の0.75倍以上の濃度に維持しながら具材をフライ調理することが更に好ましく、0.80倍以上の濃度に維持しながら具材をフライ調理することが最も好ましい。
油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度を、上記濃度に維持しながら具材をフライ調理することにより、得られるフライ調理品の栄養的価値を高めることができる。
【0032】
本発明のフライ調理方法は、未加熱時の油脂中に含有される極性物質に対する、前記フライ調理器内に充填された油脂中に含有される極性物質の増加量を、油脂の質量に対し10質量%以下に維持しながら具材をフライ調理することが好ましい。また、極性物質の増加量を8質量%以下に維持しながらフライ調理することが更に好ましく、5質量%以下に維持しながらフライ調理することが最も好ましい。
油脂中に含有される極性物質濃度を上記範囲内に維持しながら具材をフライ調理することにより、有害物質含有量の低いフライ調理品を得ることができる。
また、上述した、本発明のフライ調理方法の第3の実施形態において用いられる油脂についても、第1の実施形態において説明したものと同様である。
【0033】
本発明のフライ調理方法は、上述したように、油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度、極性物質濃度、又は油脂のカルボニル価を特定の範囲に維持しながらフライ調理を行うものである。すなわち、本発明のフライ調理方法は、トコフェロール及びトコトリエノール総濃度、極性物質増加量、又は油脂のカルボニル価の少なくとも1以上を上記の範囲に維持しながらフライ調理を行うものである。
また、本発明のフライ調理方法は、前記第1〜第3の実施形態のいずれにおいても、油脂の回転率を2%以上とすることが好ましく、3%以上とすることが更に好ましく、4%以上とすることが最も好ましい。かかる油脂の回転率については後述する。
【0034】
本発明のフライ調理方法の第4の実施形態は、フライ調理器内に充填された油脂を用いて具材をフライ調理するフライ調理方法であって、前記油脂の回転率を2%以上とすることを特徴とする。また、回転率は3%以上であることが更に好ましく、4%以上であることが最も好ましい。
【0035】
フライ中の油脂の品質を一定以上に保つためには、まず、油の劣化を抑制することが重要である。しかし、これのみでは限界があり、比較的早い時間で油脂は使用限界に達する。そうなると、調理器の油槽中の油脂をすべて廃棄し、新油に交換する必要がある。この場合、新たに大量の新油が必要となる他、廃油の処理も併せればコスト面、環境面に悪影響が生じる。昨今、廃棄物の処理には特にコストや必要な手間が増えているため、大きな問題である。また、この廃油量、必要な新油量は、油槽が大きいほど多くなり、それぞれのコストも増加する。
【0036】
フライ調理中の油脂の品質を評価・管理するためには油脂中に存在する劣化物を一定量以下に抑制することが重要である。この劣化物を一定量以下に抑制する方法として、油槽中の油脂量に対する新油の添加量、すなわち、回転率を高くすることを視点として上記目的を達成している。本明細書において、回転率とは下式(1)から求められる値をいう。
回転率(%/時)=(時間当たりの給油量(g/時)÷油槽中の油脂量(g))×100(%)
【0037】
また、第4の実施形態においても、トコフェロール及びトコトリエノール総濃度、極性物質濃度、又は油脂のカルボニル価の少なくとも1以上を上記の濃度に維持しながらフライ調理を行うことが好ましい。トコフェロール及びトコトリエノール総濃度、極性物質増加量、又は油脂のカルボニル価の好ましい範囲は上述した第1〜第3の実施形態と同様である。
【0038】
本発明のフライ調理方法(前記第1〜第4の実施形態)は、特定の調理器を用いて行うことが好ましい。以下、本発明のフライ調理方法において好ましく用いられる調理器について説明する。
本発明のフライ調理方法において好ましく用いられるフライ調理器は、油面に対応する開口部の面積SBと該開口部から底までの深さHBとが、HB/SB 1/2 =0.8〜4.0なる関係を満たすフライ油槽を少なくとも1つ有するフライ調理器である。また、HB/SB 1/2 は0.9〜3.5であることが更に好ましく、1.0〜3.25であることが最も好ましい。
【0039】
本発明のフライ調理方法において好ましく用いられるフライ調理器の一例の斜視図を図1に示す。また、図2に、図1に示すフライ調理器10の概略断面図を示す。
【0040】
図1及び図2に示すように、フライ調理器10は、本体に並設された給油機構を備えたコントロールボックス40を備える。
フライ調理器10は、縦長の有底筒状油槽101を備えており、図1および図2において、油槽101は、4つの側壁と1つの底壁により規定される実質的に直方体の形状を有する。油槽101は、一定の間隔を隔てて、筺体102により囲まれており、全体として油槽101の形状を有する。油槽101の外側側面は、油槽101に充填される油脂を加熱するためのヒーターユニット103により囲包されている。また、油槽101の内面上部にフッ素樹脂コート層107を設けることにより、フッ素樹脂の有する低い伝熱性のために、油面付近の過加熱が抑制され、油脂の劣化が抑制されるとともに、油槽101からの放熱が抑制され、熱エネルギー使用量が低減されるので好ましい。
【0041】
また、筺体102には、好ましくは、フライ調理の際に具材を収容して油槽101中に設置するためのキャリアー60を昇降させるための昇降機構30が設けられている。キャリアー60は、昇降する支持部材31に懸垂されて油槽101中を昇降される。電源41をオンにし、スイッチ42を押すことにより、支持部材31とともにキャリアー60が下降し、油槽101中に浸漬されるとともに、ヒーターユニット103が駆動され、フライ調理を開始することができる。フライ設定時間が経過すると、キャリアー60が上昇し、フライ作業が完了する。なお、油槽101の外側には、油槽101の内面に至るまで温度センサー104が挿通されており、油槽101内のフライ油脂温度を検出するように設定されている。図1及び図2に示すフライ調理器において、油槽101は、油面OSに対応するその開口部の面積SBの平方根と開口部から底までの深さHBとが、HB/SB 1/2 =0.8〜4.0なる関係を満たすようになされている。油面OSに対する開口部とは、通常、油槽101容積の約70%の油脂を油槽101に充填したときに油脂により形成される油面における開口部のことをいう。また、HB/SB 1/2 は0.9〜3.5であることが更に好ましく、1.0〜3.25であることが最も好ましい。
【0042】
図1及び図2に示すように、油槽101の底部には、廃油となった油脂を油槽101から排出されるための排出ポート105が設けられ、排出ポート105には開閉コック106が設けられている。
【0043】
フライ調理器10は、図1に示すように、油槽101の開口を開閉するための開閉蓋20を備えることが好ましい。このような蓋20を備えることで、蓋20で油槽101を閉じることにより、放熱量を抑制し、熱エネルギーを削減することができる。また、臭気放散もより一層軽減されるとともに、蓋20を閉じることにより、酸素との接触が抑制されてフライ油脂の劣化が抑制される。この蓋20の開閉に連動して、蓋20を閉じるとフライ油脂設定温度を低下(例えば30℃低下)させて油脂の不要な加熱を防止し、他方蓋20を開けると、設定温度が元に戻り、フライ油脂の温度を急激に上昇させ、フライ開始に備えることができるように、温度調節機を駆動させるための蓋連動スイッチ21を設けることがさらに好ましい。
【0044】
フライ調理器10に並設される、給油機構を備えたコントロールボックス40は、上記各種動作を自動制御するものである。
上記フライ調理器10は、油面から油底(平均値)までの距離HA(開口部から底までの深さHB)は10〜200cmであることが好ましく、10〜100cmであることが更に好ましく、10〜40cmであることが最も好ましい。また、表面積SA(開口部の面積SB)は30〜30,000cm2であることが好ましく、30〜3,000cm2であることが更に好ましく、30〜1,000cm2であることが最も好ましい。実際上、油面から油底までの距離が短すぎたり、表面積が狭すぎてもフライしにくい等の弊害が生じ、逆に、距離が大きすぎたり表面積が広すぎると、実際に使用する油槽が大きすぎ、現実に即しないこととなる。
【0045】
また、上述したように、本発明のフライ調理方法においては油脂の回転率を高くすることが好ましいが、給油量と油脂量との関係が重要である。油脂量(フライ調理器の油槽中の油脂量)については少ないほど回転率が高くなるということになる。従って、一定量の具材が少ない量の油脂で調理されること、つまり、具材の充填率が高いほど好ましいということになる。
【0046】
従って、本発明のフライ調理方法においては、好ましくは、調理時にフライ調理器の油槽に充填される具材の総体積に対する具材の総体積と油槽中の油脂の体積との和の百分率(具材総体積/(具材総体積+油脂体積)×100)で表される具材の充填率が12%以上、好ましくは14%以上、さらに好ましくは16%以上となるようにして上記条件の下でフライ調理を行う。具材の充填率が、これらの範囲より低いと回転率の向上に寄与できず、この範囲より高いと具材が多すぎることとなり、好適なフライ調理をすることができない場合もあり得るので好ましくない。なお、通常のフライ調理における充填率は4〜8%である。
【0047】
特に、具材の形状が偏平状である場合、その広い面を油面と垂直の関係となるようにし、調理を行うことで、具材の充填率を上げることができ、上記条件でフライ調理することができる。また、特に、偏平状の具材を、その広い面を油面と垂直の関係となるようにキャリアーに設置しフライ調理を行うことで、好適に上記フライ調理を行うことができる。ここで、垂直な関係とは完全な垂直のみを示すのではなく、具材が見た目に「立てた」状態であることをいう。
【0048】
更に、具材を油面より下になるように設置しフライを行うことで、上記充填率を上げることができる。これにより上述の通り、回転率を高くすることができ、油脂の品質を好適に維持することに寄与する。さらに下記に示すように、作業環境、フライ調理品への好適な効果を得ることができる。
【0049】
つまり、具材の充填率を上げることにより、具材の量に対し、通常に比べ小さな油槽、すなわち少ない油脂量でフライ調理することができる。これは、油槽自体を小さくすることができるため機器をコンパクトにできるという作業面での効果や、使用する油量が少なくて済むというコスト面での効果、発生する廃油が少ないという環境上等の効果を有する。
【0050】
油槽の油脂量を減らすためには、扁平な形状の底の浅い油槽等を使用することもできるが、その場合、油面の面積が広いため油脂が劣化し易いこと、また、底が浅いため加熱器に付着して焦げた衣が具材に再付着して具材の品質や外観を損ねる等の悪影響がある。これに対し上記フライ調理器を用いた場合は、縦形の油槽で前述の本発明の条件を満たす場合において、上述の劣化抑制やフライ調理品への好適な効果を得ながら、油槽の油脂量を少なくし、回転率を上げることができる。
【0051】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。
実施例1
下記試験条件で、図1に示すフライ調理器(本実施例においてフライ調理器Aという)を用いてフライ調理を行い、フライ油の劣化状態(トコフェロール及びトコトリエノール濃度、極性物質増加量、カルボニル価)を測定した。
試験条件:
フライ調理器A:
横9cm、縦16cm、高さ17cmの油槽、開口部面積144cm2
油槽体積のほぼ70%に相当する油を添加
フライ油:菜種油+パームオレイン(7:3)
張り込み油量:1.50kg
温度設定:具材を投入していないときの油温が180℃となるよう設定
加熱時間:8時間/日
フライ日数:9日間
具材:冷凍コロッケ
フライ数量:4個/回
フライ回数:2回/時間(=16回/8時間)
差し油:吸油による減少分を1日に3回に分けて補給。
【0052】
比較例1
従来より、フライ調理器として用いられている、エイシン電気(株)製:EF−3L型を用い、実施例1と同様にフライ調理を行った。張り込み油量は、3.00kgとした。
なお、トコフェロール及びトコトリエノール濃度、極性物質増加量及びカルボニル価は以下のように測定した。
トコフェロール及びトコトリエノール濃度は、阿部らの方法(栄養と食糧Vol.28 No.8 453〜445 1975)に準じ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に蛍光分光光度計を組合せ、定量した。
極性物質増加量は、基準油脂分析法(2.5.5#1996)に従い測定した。本極性物質中の二量体濃度は、HPLCに屈折率測定装置を組合せ測定した。
カルボニル価は、基準油脂分析法(2.5.4#1996)に従い測定した。
【0053】
連続フライ試験1日(8時間)の油脂消費量及びフライ油の回転率を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表1において、フライ油回転率は以下の式により求めた値である。
フライ油回転率(%)=(総差し油量)/(フライ調理器への張り込み油脂量)/8×100
表1に示すように、実施例1における油脂の回転率は6.0%/時間と高い回転率であり、比較例1においては3.9%/時間であった。実施例1及び比較例1においては、吸油しやすいコロッケをフライ調理しているため、油の回転率が高く、フライ油にとっては良好な条件である。
【0056】
8時間ずつ9日間フライ調理を行った後の油脂の分析結果を表2〜表4に示す。表2には、トコフェロール及びトコトリエノール総濃度、及び未加熱油脂に対する含有割合(残存率)を示す。表3に極性物質の増加量を、また表4にカルボニル価を示す。
【0057】
【表2】
【0058】
表2から明らかなように、実施例1においては、油脂中のトコフェロール及びトコトリエノールは88%以上が破壊されずに残存した。また、比較例1においては65%が残存したにすぎなかった。トコフェロール及びトコトリエノールの消費の観点から考察すると、実施例1は12%、比較例1は35%のトコフェロール及びトコトリエノールを消費したことになる。実施例1のトコフェロール及びトコトリエノールの消費は、比較例1の約1/3であった。
【0059】
【表3】
【0060】
表3中の数字は全て質量%であり、増加量は油脂の質量に対する量で表している。
表3から明らかなように、実施例1においては、油脂中の極性物質量は、油脂の質量に対し5.35質量%増加した。比較例1においては10.05質量%であった。比較例1における極性物質の増加量は実施例1の約2倍であった。
実施例1においては、極性物質中に含まれる二量体分画増加量は0.90質量%であり、比較例1においては2.26質量%であった。比較例1においては、毒性の強い、−OH、=O、エポキシ等の官能基を含むグリセリド二量体を多く含むと考えられる二量体分画増加量は、実施例1と比べ、約2.5倍であった。
【0061】
【表4】
【0062】
表4から明らかなように、実施例1におけるカルボニル価は12.9meq/kgであり、比較例1におけるカルボニル価は26.0meq/kgであった。比較例1においては、カルボニル価は実施例1の約2倍であった。ラクトンに代表されるカルボニル化合物は、フライ製品の風味に大きく影響するので、実施例1ではフライ油の劣化を抑制できるだけでなく、風味に優れたフライ製品を提供できる。
【0063】
実施例2
下記試験条件で、図1に示すフライ調理器(本実施例においてフライ調理器Bという)を用いてフライ調理を行い、フライ油の劣化状態(トコフェロール及びトコトリエノール濃度、極性物質増加量、カルボニル価)を測定した。
試験条件:
フライ調理器A:
横10cm、縦18cm、高さ18cmの油槽、開口部面積180cm2
油槽体積のほぼ70%に相当する油を添加
フライ油:菜種油+パームオレイン(7:3)
張り込み油量:本発明品=1.80kg
温度設定:具材を投入していないときの油温が180℃となるよう設定
加熱時間:8時間/日
フライ日数:11日間
具材:冷凍コロッケ、冷凍鶏唐揚げ、フライドポテト
フライ数量:1時間に冷凍コロッケ3個、冷凍鶏唐揚げ7個、フライドポテト250g。
差し油:吸油による減少分を1日に1回補給。
【0064】
比較例2
従来より、フライ調理器として用いられている、エイシン電気(株)製:EF−5L型を用い、実施例2と同様にフライ調理を行った。張り込み油量は、4.00kgとした。
比較例3
従来より、フライ調理器として用いられている、MACH(株)製:MF−8型を用い、実施例2と同様にフライ調理を行った。張り込み油量は、8.00kgとした。
【0065】
連続フライ試験1日(8時間)の油脂消費量及びフライ油の回転率を表5に示す。
【0066】
【表5】
【0067】
表5に示すように、実施例2における油脂の回転率は2.1%/時間であり、比較例2及び比較例3においてはそれぞれ1.2%/時間及び0.6%/時間であった。実施例2、比較例2及び比較例3は、吸油の少ない、低回転率の試験系であり、フライ油にとっては過酷な条件である。
【0068】
8時間ずつ11日間フライ調理を行った後の油脂の分析結果を表6〜表8に示す。表6は、トコフェロール及びトコトリエノール総濃度、及び未加熱油脂に対する含有割合(残存率)を示す。表7に極性物質の増加量を、また表8にカルボニル価を示す。
【0069】
【表6】
【0070】
表6から明らかなように、実施例2においては、油脂中のトコフェロール及びトコトリエノールは66.7%以上が破壊されずに残存した。また、比較例2及び比較例3においては、それぞれ40.0%及び31.7%が残存したにすぎなかった。トコフェロール及びトコトリエノールの消費の観点から考察すると、実施例2は33.3%、比較例2は60.0%、比較例3は68.3%のトコフェロール及びトコトリエノールを消費したことになる。実施例1のトコフェロール及びトコトリエノールの消費量は、比較例2及び3の約55〜49%であった。
【0071】
【表7】
【0072】
表7中の数字は全て質量%であり、増加量は油脂の質量に対する量で表している。
表7から明らかなように、実施例2においては、油脂中の極性物質量は、油脂の質量に対し9.95質量%増加した。比較例2及び比較例3においては、それぞれ18.25質量%及び19.15質量%であった。比較例2及び比較例3における極性物質の増加量は実施例2の2倍以上であった。
実施例1においては、極性物質中に含まれる二量体分画増加量は1.40質量%であり、比較例2及び比較例3においては、それぞれ3.50質量%及び3.0質量%であった。比較例2及び比較例3においては、毒性の強い、−OH、=O、エポキシ等の官能基を含むグリセリド二量体を多く含むと考えられる二量体分画増加量は、実施例2と比べ、2倍以上であった。
【0073】
【表8】
【0074】
表8から明らかなように、実施例2におけるカルボニル価は8.8meq/kgであり、比較例2及び比較例3におけるカルボニル価は、それぞれ18.0meq/kg及び19.0meq/kgであった。比較例2及び比較例3においては、カルボニル価は実施例2の2倍以上であった。ラクトンに代表されるカルボニル化合物は、フライ製品の風味に大きく影響するので、実施例2ではフライ油の劣化を抑制できるだけでなく、風味に優れたフライ製品を提供できる。
また、実施例2、比較例2及び比較例3においては、カルボニル価を経時的に測定した。その結果を図3に示す。
なお、測定は、0、33、66及び88時間にて行った。測定価を表9に示す。
【0075】
【表9】
【0076】
表9中の数字の単位は全てmeq/kgである。図3及び表9から明らかなように、比較例2及び比較例3においてはカルボニル価は実施例2の約2倍以上であり、ある程度の時間の経過により、カルボニル価は定常的になることがわかる。
【0077】
【発明の効果】
本発明のフライ調理方法によれば、栄養的に有用なトコフェロールを加熱による破壊から守ることができ、その残存量を確保することが可能である。また、油脂を加熱することにより油脂中に蓄積され、栄養的価値を著しく損なう劣化成分である、極性物質量及びカルボニル価を大幅に削減することができる。特に、本発明により、加熱フライ油の毒性成分である、二量体分画及びカルボニル化合物を半減させることが可能であり、フライ調理品の栄養的価値が著しく改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフライ調理方法において好ましく用いられるフライ調理器の一例の斜視図を示す図である。
【図2】 図1に示すフライ調理器10の概略断面図を示す図である。
【図3】 加熱時間による、油脂中のカルボニル価の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10 フライ調理器 20 蓋
21 蓋連動スイッチ 30 昇降機構
31 支持部材 40 コントロールボックス
41 電源 42 スイッチ
60 キャリアー 101 油槽
102 筺体 103 ヒーターユニット
104 温度センサー 105 排出ポート
106 開閉コック 107 フッ素樹脂コート層
Claims (5)
- フライ調理器内に充填された油脂を用いて具材を180℃付近でフライ調理するフライ調理方法であって、
上記フライ調理器が、油面に対応する開口部の面積SBと該開口部から底までの深さHBとが、HB/SB1/2=1.0〜3.25なる関係を満たし、開口部の面積SBが30〜1,000cm 2 であり、開口部から底までの深さHBが10〜40cmであるフライ調理器を少なくとも1つ有するフライ調理器であり、
上記油脂の回転率を2%/時間以上とし、
調理時に油槽に充填する具材の充填率を12%以上とし、
上記フライ調理器内に充填された油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度を、未加熱時の油脂中に含有されるトコフェロール及びトコトリエノール総濃度の0.66倍以上の濃度に維持しながら具材をフライ調理することを特徴とするフライ調理方法。 - 未加熱時の油脂中に含有される極性物質に対する、前記フライ調理器内に充填された油脂中に含有される極性物質の増加量を、油脂の質量に対し10質量%以下に維持しながら具材をフライ調理する、請求項1に記載のフライ調理方法。
- 未加熱時の油脂中に含有される二量体極性物質に対する、前記フライ調理器内に充填された油脂中に含有される二量体極性物質の増加量を、油脂の質量に対し2質量%以下に維持しながら具材をフライ調理する、請求項1又は2に記載のフライ調理方法。
- 前記フライ調理器内に充填された油脂のカルボニル価を、15meq/kg以下に維持しながら具材をフライ調理する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフライ調理方法。
- 前記具材の形状が偏平状であり、該具材の広い面を油面に対して垂直になるようにしてフライ調理する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフライ調理方法。
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