JP4065574B2 - 細胞内蛋白質抗原および血清中の特異的細胞内蛋白質抗原に対する抗体の存在を同定するための方法 - Google Patents

細胞内蛋白質抗原および血清中の特異的細胞内蛋白質抗原に対する抗体の存在を同定するための方法 Download PDF

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1.緒言
本発明は、癌患者、あるいは癌のリスクのある患者が自己抗体を産生する可能性のある細胞内蛋白質抗原を同定するための方法に関するものである。本発明の方法には、二次元ゲル電気泳動の後、ウェスタンブロット分析を実施することにより細胞内蛋白質抗原を同定するために患者から採取した血清を使用することが含まれる。このような蛋白質抗原を同定することにより、疾患のスクリーニング、診断および予後のために利用し得る新しいマーカーが得られる。本発明はまた、特異的な蛋白質抗原に対する抗体を持つ可能性のある個人からの血清中でこのような抗体の存在を検出するために開発したイムノアッセイにおいて同定された蛋白質抗原を利用することも提供するものである。本発明はさらに、このような蛋白質抗原を発現している患者において免疫反応を促進するために同定された抗原をイムノゲンとして使用することにも関連する。本発明は、肺癌患者から採取した血清中で、腫瘍特異抗原に対して反応性を有する循環自己抗体の量の増加が認められた、という例により実証される。また、神経芽細胞腫患者の血清中で、数種の特異的β−チューブリンイソフォームに対して反応性を有する循環自己抗体の量の増加が認められた。
2.発明の背景
自己免疫疾患や心臓血管系疾患など、ある種の疾患の患者では、正常な、あるいは異常な細胞内蛋白質に対する自己抗体が産生されることが知られており、場合によっては疾患による明白な症状が発現する以前に既に産生されることもある。しかし、このような自己抗体が癌患者で検出されることはほとんどない。組織蛋白質に対する抗体、例えばp53などは、種々のタイプの癌あるいは他の疾患のための早期マーカーとなり得る。血清中、あるいは他の組織および体液中においてこれらの抗体やそれに対応する抗原を検出することは、特定のタイプの癌あるいは他の疾患のリスクの指標、診断用マーカー、あるいは予後の指標として有用であると考えられる。
細胞抗原に対する自己抗体を検出することと、自己抗体の産生を誘発した蛋白質を同定することは、さまざまなアプローチによって成功している。例えば、増殖細胞核抗原(PCNA)は当初、エリテマトーデスの患者数人から検出された抗体に結合する核抗原として報告された(Miyachi,K., Fritzler,M.J.およびTan,E.M., 1978, J.Immunol 121:2228−2234)。その後、核染色を呈するマイトジェン刺激リンパ球はこの抗体に反応するのに、静止状態のリンパ球は反応しないことが認められた。このことから最終的に、狼瘡中のこの抗体によって認識される蛋白質が同定され、PCNAと命名された(Tan,E.M., Ogata,K.およびTakasaki,Y. 1987, J.Rheumatol., 13:89−96)。他のいくつかの例では、候補となる蛋白質を選び出し、患者において抗体を誘発する作用があるかどうか検討した。同様に、p53についても研究が行なわれた(Crawford,L.V., Firm,D.C.,Bulbrook,R.D., 1984, Int J Cancer 30:403−408)。また、SEREXと呼ばれる手法は、腫瘍抗原を同定するために組換え型cDNA発現ライブラリーの血清学的分析に基づいて行なうものである(Old,L., et al. 1998, J.Exp.Med. 187:1163−1167)。このように、自己抗体が産生される可能性のある蛋白質を検出するために、多くのアプローチが行われてきた。
組織あるいは体液のような複雑な混合物中で蛋白質を分離するために、2種類の電気泳動法の併用(いわゆる「二次元」または「2D」電気泳動)が広く用いられている。第一段階の電気泳動は、一般に電荷に基づいて蛋白質を分離する。第二段階の電気泳動は、一般に分子量に基づいて蛋白質を分離する。高解像二次元電気泳動を利用することにより、数千種類もの蛋白質を同時に分離することが可能であり、分析した蛋白質混合物の蛋白質総マップを作成することができる。分離した蛋白質は、クマシーブルーあるいは銀など種々の染色液を用いて染色することにより、ゲル上で見ることができる。またこれとは別に、25Sメチオニンなどのアイソトープで標識した蛋白質を含有する混合物は、オートラジオグラフィーの手法によって視覚化することができる。
二次元電気泳動によって分離した多数の蛋白質の中で、特異的な抗体と反応する蛋白質を同定するための方法が開発されている。ウェスタンブロットの手法を用いれば、蛋白質の量が十分であり抗体が十分に特異的でその力価も十分に高い、すなわち親和性および結合活性が十分に高い時に当該抗体が反応する蛋白質を容易に同定することができる。腫瘍あるいは前腫瘍段階の病変中に存在する未知の蛋白質抗原に対する未知の抗体を含有する可能性のある全血清を使用して二次元ゲルのウェスタンブロットを行なったという報告は、まだされていない。このような手法は、非特異的な反応が多数存在し結果の解釈が困難であるため、理論的には複雑なものになると考えられる。したがって、本発明の方法、すなわち腫瘍あるいは前腫瘍病変のある患者の血清中に自己抗体が存在する新しい抗原を同定するために複雑な蛋白質混合物の二次元ゲル電気泳動を行ない、そのウェスタンブロットを用いるという方法は、まったく新しいものである。
3.発明の要約
本発明の目的は、細胞内蛋白質抗原を同定するための手法、および癌あるいは前癌病変のある患者の血清中において特異的な細胞内蛋白質抗原に対する抗体を検出するための手法を提供することである。このような蛋白質抗原を同定することにより、疾患のスクリーニング、診断および予後のために利用し得る新しいマーカーが得られる。
本発明には、二次元ゲル電気泳動の後、分離した蛋白質を膜上に移すことにより抗原を含有する蛋白質混合物を分離することが含まれる。蛋白質混合物中の特異的な抗原は、膜を患者の血清で処理した後、第一の抗体に特異的に結合する第二の標識抗体を用いて特異的に結合した抗体を検出することにより、検出する。対照血清と比較して自己抗体の存在が疑われる血清の存在下で分離した蛋白質抗原の顕在性が認められれば、それらの抗原は疾患特異的抗原であると考えられる。二次元分析のための蛋白質の出所としては、未分画の腫瘍、分離した癌細胞あるいは腫瘍浸潤細胞、もしくは培養細胞株または分泌蛋白質、膜蛋白質、サイトゾル蛋白質あるいは核蛋白質などの非細胞蛋白質画分が含まれる。
本発明はまた、特異的な蛋白質抗原に対する血清抗体の存在を検出するために開発したイムノアッセイにおいて同定された蛋白質抗原を利用することにも関連する。このようなイムノアッセイは、疾患のスクリーニング、診断および予後のために利用し得る。本発明に基づき、患者の標本中の抗体量測定値を用いて、癌などの疾患の早期診断を行なうことができる。さらに、血清中の抗体量をモニタリングすることにより、疾患の進行を予想することができる。
また、本発明はさらに、同定した蛋白質抗原を腫瘍細胞に対する宿主の免疫反応を促進するためのイムノゲンとして利用することにも関連する。このようなアプローチは、特定の癌がある患者において腫瘍細胞の増殖を阻害したり腫瘍細胞を容易に殺したりするための方法として利用できるものと期待される。
以下に記載する本発明の具体的な態様の中で、神経芽細胞腫の患者の血清中から特異的β−チューブリンイソフォームに対して反応性を有する循環自己抗体、およびその分解産物が検出された。神経芽細胞腫の患者においてβ−チューブリンイソフォームが免疫原性を有するという知見は、神経芽細胞腫や、これらのβ−チューブリンが発現されている他の癌の診断方法を開発するための根拠となるだけでなく、疾患のための各種治療法の予後を監視する手段を提供するものである。また、腫瘍細胞中に特異的なβ−チューブリンイソフォームが発現されているという発見は、腫瘍細胞に対する免疫反応を促進するためのイムノゲンとして特異的β−チューブリンイソフォームを使用する方法を提供するものである。
4.図の簡単な説明
図1A.肺腺癌患者からの血清で処理した肺腺癌のウェスタンブロット。
図1B.肺腺癌患者からの血清で処理した正常な肺。
図2.新たに神経芽細胞腫と診断された患者からの血清で処理した神経芽細胞腫初代培養SY5Y溶解産物を二次元ゲルにより分離し、ウェスタンブロットを行なったもの。SY5Y蛋白質を尿素カクテル中に溶解し、可溶化した蛋白質40μgを両性担体ベース(pH3.8)のチューブゲル上に添加した後、一次元において12,000ボルト時で分離した。一次元チューブゲルを平衡化した後、二次元ゲルを含有するカセット上に添加した。二次元における電気泳動は、平衡化緩衝液中に存在するトラッキング染料が一次元ゲルに関して二次元ゲルの反対側に到達するまで行なった。電気泳動の後、分離した蛋白質をフッ化ポリビニリデン(PVDF)膜上に移した。膜は予めブロッキング緩衝液と共にインキュベートした後、腫瘍を分析したのと同一の神経芽細胞腫患者から採取した血清と共にインキュベートした。血清は1:100の希釈で使用し、室温において1時間インキュベートした。膜を緩衝液で3回洗浄した後、ウサギ抗ヒトIgG抗体と共に1時間インキュベートした。反応性を有する蛋白質をルミノールにより検出した。LP1とラベルした結合蛋白質のスポットは、患者の血清中に抗体が存在するβ−チューブリンイソフォームを含有することが確認された。他の種類の癌患者の血清あるいは正常な個人の血清と共にインキュベートした同様のブロット中には、この蛋白質スポットは検出されなかった。
図3.新たにウィルムス腫瘍と診断された患者の血清で処理した神経芽細胞腫蛋白質溶解産物を二次元ゲルで分離しウェスタンブロットを行なったもの。ウェスタンブロットの条件は図2の場合と同様である。LP1の部分には反応性が認められない。
図4.新たに神経芽細胞腫と診断された患者の血清で処理したSY5Y蛋白質溶解産物を二次元ゲルで分離し、ウェスタンブロットを行なったもの。ウェスタンブロットの条件は図2の場合と同様であるが、膜はウサギ抗ヒトIgM抗体と共に1時間インキュベートした。反応性を有する蛋白質をルミノールにより検出した。T1、T2およびT3と表示した低分子量の蛋白質は、β−チューブリンイソフォームを含有することが確認された。対照血清と共にインキュベートした同様のブロット中には、この蛋白質は検出されなかった。
図5.β−チューブリンBIおよびB IIと反応するモノクローナル抗体で処理したSY5Y蛋白質のウェスタンブロット。反応性を有するスポットはLP1、およびT1−T3であることが確認される。
図6.チューブリンB IIIと反応するモノクローナル抗体で処理したSY5Y蛋白質のウェスタンブロット。反応性を有するスポットはLP1、およびT1−T3であることが確認される。
図7.SY5Y蛋白質のブロットをクマシーブルーで染色したもの。アミノ酸配列分析のためにLP1スポットを切り出す際にも同様のブロットを使用した。
5.発明の詳細な説明
本発明は非常に有用な目的、すなわち各種癌の患者、もしくはそのリスクのある患者が腫瘍細胞蛋白質抗原に対する自己抗体をもっている新しい蛋白質抗原を同定するという目的を達成した。このような蛋白質抗原は、さらに精製することができ、感度が高く迅速な免疫吸着剤アッセイもしくはその他の手段によって患者の血清中にこのような抗原に対する循環抗体がないかどうかスクリーニングするために利用することができる。本発明はまた、同定された蛋白質抗原の発現を特徴とする疾患にかかった患者を免疫するために新しい蛋白質抗原を使用することにも関連する。このような抗原に対する免疫反応を刺激するのは、腫瘍細胞をより効果的に攻撃することを目的としている;特に腫瘍細胞の増殖を阻害したり、腫瘍細胞を容易に殺せるようにするためである。
具体的には、癌患者が抗体を産生している新しい蛋白質抗原を同定するための方法は、以下の工程から構成される:
(a)細胞の標本から蛋白質を抽出する;
(b)二次元電気泳動によって抽出した蛋白質を分離する;
(c)二次元電気泳動によって分離した蛋白質を膜に移す;
(d)癌があることがわかっている被験者からの抗血清と共に膜をインキュベートする;
(e)患者血清中の自己抗体が結合した蛋白質を検出する;そして
(f)被験者の血清試料中の抗体が結合した蛋白質と、対照血清試料中の抗体が結合した蛋白質とを比較する、
ここで、被験者の血清中の抗体は結合したが対照血清中の抗体は結合しなかった蛋白質は、癌のある被験者が自己抗体を産生する蛋白質として同定される。
二次元電気泳動の手法によって、血清中に自己抗体が存在する抗原を含有する可能性のある種々の蛋白質混合物を調製し個々の蛋白質に分離することができる。全細胞抽出物や体液についても、自己抗体を誘発した蛋白質の有無を分析することができる。これとは別に、分泌蛋白質、核蛋白質あるいは膜蛋白質などの蛋白質も二次元電気泳動にかけることができ、このような蛋白質の混合物中の量を増加させるために自己抗体を誘発した蛋白質について個々に分析することが可能である。また、混合物中に数mgの蛋白質を含有する試料を電気泳動ゲルに添加して、自己抗体を誘発した蛋白質の量を増加させることもできる。
本発明に特有の利点は、抗原の特性に関する予備知識を必要としない、ということである。二次元分離法を用いることにより、複数の抗原に対する自己抗体を検出することができる。また、二次元ゲルのパターンにおける特定の蛋白質との血清の反応性パターンは、特定の癌の診断指標、あるいは特定の癌のリスクの指標となり得る。
本発明は、肺癌あるいは神経芽細胞腫の患者のように自己抗体をもつ患者からの血清を用いて、特定の組織、例えば腫瘍の細胞や、代表的な細胞タイプ中で発現しており患者がそれに対する自己抗体を産生している蛋白質抗原を同定することができる、との発明に基づくものである。以下に記載するように、神経芽細胞腫患者からの血清には、β−チューブリンイソフォームに特異的な抗体が含まれていた。
5.1.疾患に関連する蛋白質抗原の同定
本発明は、癌患者が自己抗体を産生する可能性のある細胞内蛋白質抗原を同定するための方法を提供するものである。この方法は、癌患者からの血清と、癌のない対照者からの血清を使用することによって、有効性が実証される。血清のように自己抗体を含有する可能性のある体液を、特定の癌のあることがわかっている患者から採取する。抗体を含有する同様の体液を、癌のない対照者から採取する。また、腫瘍組織および対照として使用する正常組織も採取する。さらに、もしくはこれとは別に、同一の疾患をもつ他の患者からの腫瘍組織および他の正常者からの対照組織を使用することもできる。また、必ずしも原発組織を使用する必要はない;培養液中で増殖した細胞であっても、腫瘍組織あるいは対照として適切な代用試料となる。また、このような組織あるいは培養中のこのような細胞から蛋白質を調製することもできる。このような蛋白質には、分泌蛋白質、核蛋白質、膜蛋白質あるいは他の非細胞画分も含まれる。
二次元ゲル電気泳動は、蛋白質の複雑な混合物の中の蛋白質を分離するために使用する。一次元の電気泳動は一般に電荷に基づいて蛋白質を分離するものであり、SDS PAGEと呼ばれる二次元の電気泳動は大きさに基づいて蛋白質を分離する。
二次元ゲル電気泳動を開始する前に、組織全体あるいは細胞の画分を、本分野の専門家に知られている種々の可溶化カクテルのうちの1種を用いて溶解する。例えば、蒸留脱イオン水(1リットル)中8Mの尿素、Nonidet P−40界面活性剤20ml、両性電解質(pH3.5−10)20ml、2−メルカプトエタノール20ml、および0.2mMのフェニルメチルスルホニルフッ素(PMSF)から成る細胞溶解緩衝液を添加することによって、組織を可溶化することができる。
等電点電気泳動は電荷の変動に対する感受性が高いので、不適切な試料調製によって生じる可能性のある蛋白質の変化(例えば、蛋白質溶解、グルタミンおよびアスパラギンの脱アミド、シスチンからシスチン酸への酸化、カルバミル化)を最小限に抑えることが重要である。したがって、一旦可溶化した後は、蛋白質の顕著な変化を防ぐために−80℃で凍結保存し、保存期間は短期間(1ヵ月以内)にとどめる。
個々のゲルには、蛋白質70μgを含有する約30μlの試料を添加することができる。調製した蛋白質試料は、電荷に基づいて蛋白質を分離する一次元での等電点電気泳動による分離のために電気泳動用ゲル上に添加する。両性担体ベースによる分離のためのチューブゲル、あるいは不動化勾配ベースによる分離のためのゲルストリップなど、一次元ゲル用に調製した試料の中で使用できるものもある。一次元分離の後、蛋白質を二次元ゲル上に移し、平衡化の手順を行なった後、分子量に基づいて蛋白質を分離するSDS PAGEを用いて分離する。個々の試料から複数のゲルを調製することができる。
二次元電気泳動の方法は、本分野の専門家によく知られたものである。例えば、両性担体ベースの二次元ゲル電気泳動は、以前の報告に従って実施することができる(Strahier et al, Journal of Clinical Investigation, 85:200−207, 1990)。ほとんどの場合、試料をすぐに等電点電気泳動ゲル(IEF)上に添加する。一次元ゲルは、1リットル当たり50mlの両性電解質を含有する(pH3.5−10)。一般に、等電点電気泳動は最初の10時間は1,200Vで、さらに最後の2時間は1,500Vで行なう。通常、同時に20本のゲルを泳動できる。SDS PAGEによる二次元分離のために、11.4−14.0g/mlのアクリルアミド勾配を使用する。ゲル上の蛋白質スポットが見えるようにしたい場合には、Merrilら(Merril et al, Science, 211:1437−1438, 1961)の銀染色手法によって可視化が可能である。
これとは別に、不動化pH勾配(IPG)二次元ゲルを使用することもできる(Hanash S.M. et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:5709−5713)。試料は、上述のように細胞溶解用緩衝液を用いて調製する。一次元分離のために、pH4−10の範囲の分離が可能である不動化pH勾配を使用する。二次元は、上述の両性担体ゲルと同一である。IPGゲルは、カルボキシル基または特定のpK値をもつ3級アミノ基のあるアクリルアミド誘導体を用いて調製する。pH直線勾配は、2チャンバー微小勾配作成装置を用いて密度の高い酸性溶液と密度の低い塩基性溶液から調製する。pH勾配は、グリセロールの直線勾配を同時に用いることによって、イモビラインアクリルアミド−ビスアクリルアミド基剤を重合させる間に安定化する。狭い範囲のpH勾配(1pHユニット)あるいは広い範囲のpH勾配(>1pHユニット、6pHユニットまで)のためのpH制限溶液用にイモビラインを希釈したイモビライン緩衝液混合物の組成が発表されている(Gianazza et al, Electrophoresis6:113(1985)およびLKB application Note 324(1984))。
二次元では、SDSゲルの中で分子量に基づき蛋白質を分離する。11.5から14%(架橋度2.6%)のアクリルアミド勾配によって、分子量10,000から100,000Daまでの蛋白質を効果的に分離することができる。この範囲より外側にある蛋白質については、分離能が低下する可能性がある。分子量10,000Da未満の蛋白質は、先頭の染料の近くに泳動されるので、分離能が低くなる。
分離した後、蛋白質を二次元ゲルからウェスタンブロット用に通常使用される膜上に移す。ウェスタンブロットとその後蛋白質を可視化するための方法も、本分野においてよく知られた技術である(Sambrook et al,「分子クローニング、実験室マニュアル」第2版,第3巻,1989,Cold Spring Harbor)。標準的な手法を用いてもよいし、塩基性あるいは酸性の強い、もしくは脂溶性の蛋白質など、特殊な蛋白質の特定の分野において知られている改良手順を用いてもよい。(例えば、Ausubel, et al., 1989,分子生物学における最新の実験手順,Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.を参照)。患者の血清および対照血清をインキュベーション工程で使用する前に、ウェスタンブロット分析の手順と同様、例えば血清容積1に対して緩衝液容積100というように、種々の濃度に希釈する。インキュベーション工程の前に血清を予備精製することにより、非特異的な結合を最小限に抑えることができる。ウェスタンブロット分析の手順の中で第一抗体に特異的な第二抗体を使用し、第一抗体に対して反応した蛋白質が見えるようにする。
蛋白質によっては、血清中の抗体と非特異的に反応した結果、スポットとして見えるものもあると予想される。特異的な自己抗体を誘発した蛋白質に相当するスポットと非特異的なスポットとは、患者の血清によって調製したウェスタンブロットと対照血清からのブロットにおける存在を比較する、かつ/または疾患のある組織あるいは細胞株または抽出物におけるスポットと対照の組織、細胞株または抽出物のスポットとを比較することによって識別することができる。
ウェスタンブロットに使用したのと同一の蛋白質試料の二次元ゲルにおける蛋白質スポットは、染色手法を用いることにより、あるいはオートラジオグラフィーにより、可視化することができる。ウェスタンブロットの中で注目するスポットと適合するゲル中のスポットは、ゲルとブロットの重層あるいはマッチングによって同定する。自己抗体を誘発したと思われる蛋白質を含有するスポットが二次元ゲル上で同定できたら、二次元ゲルから蛋白質を抽出し、構造分析かつ/またはその蛋白質に対する抗体を作成するために利用することができる。自動アミノ酸配列分析装置を用いて直接配列を決定することにより、当該蛋白質のアミノ酸配列を知ることができる。
注目する蛋白質が同定されたら、分離して、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、およびサイズ分離カラムクロマトグラフィー)、遠心、溶解度差などの標準的手法を用いることにより、あるいは蛋白質精製のための何らかの標準的手法を用いることにより、精製することができる。このようにして精製した蛋白質は、被験者の血清中における自己抗体の存在を検出するために計画したイムノアッセイ中で使用することもできるし、またこれとは別に、このようにして調製した蛋白質試料を以下に示すように免疫のために使用することもできる。
本発明は、神経芽細胞腫患者の血清中で、数種類の特異的β−チューブリンイソフォームに対して反応性を有する循環自己抗体およびその分解産物の量の増加が認められた、という例により実証される。神経芽細胞腫あるいはβ−チューブリンイソフォームが発現される他の疾患のリスクのある個人をスクリーニングする際に、血清中あるいは他の体液中におけるβ−チューブリンイソフォームまたはその分解産物の検出かつ/または定量を利用することができる。また、治療中の神経芽細胞腫患者、あるいは疾患が寛解した患者においては特異的β−チューブリンイソフォームに対する自己抗体が検出されなかったことから、自己抗体を測定することにより疾患の進行を予想することができると考えられる。このように、チューブリン自己抗体の特異的サブタイプは、診断、予後、あるいは治療上重要な意味を持つと思われる。
5.2.イムノアッセイ
本発明に基づき、同定された腫瘍特異的蛋白質抗原に対して反応性を有する自己抗体の測定を用いて癌のような疾患の早期診断を行なうことができる。さらに、自己抗体の量をモニタリングすることにより、疾患の進行を予想することができる。患者からの試料中の自己抗体を検出するための方法として、いくつかの方法の中から選ぶことができる。例えば、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着剤アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、免疫放射線量測定アッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ他多数の手法を用いた競合的、あるいは非競合的なアッセイシステムを含むイムノアッセイが挙げられる。ただし、これらに限定されるわけではない。
このようなイムノアッセイは、被験者からの血清試料と、蛋白質抗原を含有する試料とを特異的な抗原−抗体結合が起こり得る条件下で接触させ、自己抗体による免疫特異的な結合を検出し、またその量を測定する、という方法によって行なう。具体的には、例えば組織画分によるこのような自己抗体の結合を利用して、自己抗体が検出されることが疾患の存在を示唆するような状況において自己抗体の存在を検出することができる。試料中の自己抗体の量を、体内の一部から、あるいは疾患のない被験者からの類似試料中に存在する量と比較する。
本発明のイムノアッセイは、被験者の血清中の自己抗体の検出のために設計されたアッセイのみに限定されるわけではなく、被験者の試料中における同定された蛋白質抗原の発現を検出するためのイムノアッセイも含む。この目的のために、抗体を産生するために精製した蛋白質抗原を使用し、その抗体を本発明に従って使用することができる。例えば、本発明の方法により同定した蛋白質抗原を調製用ゲルで調製し、ゲルから溶出し、イムノゲンに対して免疫特異的に結合する抗体を産生するためのイムノゲンとして使用することができる。抗体は、本分野の専門家に知られた方法により作成する。このような抗体として、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖、Fabフラグメント、およびFab発現ライブラリーが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
抗体は、上述のイムノアッセイのようなアッセイにおいて使用し、個人の癌の検出、予後予測、診断、あるいは監視を行なったりその治療を監視したりすることができる。特に、このようなイムノアッセイは被験者からの試料と抗体とを免疫特異的な結合が起こり得る条件下で接触させ、抗体による免疫特異的な結合を検出し、またその量を測定する、という方法によって行なう。また、抗体以外の試薬、例えば核酸分子、ポリペプチドもしくはβ−チューブリンイソフォームに特異的に結合する化学物質などを用いてβ−チューブリンイソフォームの発現を検出するためのアッセイを行なうこともできる。
具体的には、組織画分によるこのような自己抗体の結合を利用して、蛋白質が発現していることが疾患の存在を示唆するような状況において蛋白質の発現を検出することができる。発現された蛋白質の量を、体内の一部から、あるいは疾患のない被験者からの類似試料中に存在する量と比較する。
5.3.免疫
特定の癌に関連する新しい蛋白質抗原に対する自己抗体を同定するという技術は、疾患の免疫療法の根拠を与えるものである。患者を蛋白質抗原で免疫し、腫瘍細胞を容易に殺せるような、あるいは腫瘍細胞の増殖を阻害するような免疫反応を誘発することができる。蛋白質抗原は、蛋白質精製のための上述の方法を用いて調製することができる。
本発明の1つの態様では、癌患者が自己抗体を産生した蛋白質抗原の精製物から成るイムノゲンを使用して免疫反応を誘発する。蛋白質抗原を投与する際には、蛋白質抗原に対する免疫反応を増強するために適切なアジュバントと共に製剤化することもできる。適切なアジュバントとして、例えば水酸化アルミニウムのような無機質ゲル、リソレクチンのような界面活性剤、プルロニックポリオール、多価陰イオン、ペプチド、油脂エマルジョン、そしておそらくBCG(bacilli Calmett-Guerin)および(Corynebacterium parvum)のようにヒトにおいて有用なアジュバントが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。上述の製剤を投与するための方法として多くの経路が考えられる;経口、経皮、筋肉内、腹腔内、静脈内、および皮下の経路が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
下記の例に示す結果について以下に考察する。特に、第7項に示すデータは、特異的なβ−チューブリンイソフォームが神経芽細胞腫のある被験者の腫瘍中に発現されていることを実証するものである。癌におけるβ−チューブリンイソフォームの抗原特性についての知識を利用して、腫瘍に対する免疫反応を促進するための中間標的としてβ−チューブリンイソフォームまたはペプチドを使用する癌のための免疫療法、あるいは中間標的としてβ−チューブリンイソフォームの全部もしくは一部をコードする遺伝子を使用する遺伝子療法における治療戦略を考案することができる。また、β−チューブリンIIIは、他の種類のチューブリンとは異なるC−末端の短い配列をもつ。このため、この配列を含有するペプチドをイムノゲンとして使用し、β−チューブリンIIIを発現する腫瘍に対して特異的に反応する抗体を産生させることができる。
6.例:癌患者から分離した血清を用いた腫瘍特異的抗原の検出
本発明の方法を、腫瘍特異的抗原の同定のために肺癌の患者に適用した。このような試験の1つを以下に説明する。肺腺癌の標本を上述の手順に従い尿素カクテル中に溶解し、可溶化した蛋白質40μgを両性担体ベースのチューブゲル(pH3−8)上に添加した後、一次元において12,000ボルト時(700V×16hおよび1000V×2h)で等電点電気泳動を行なった。一次元のチューブゲルを平衡化した後、二次元ゲルを含有するカセット上に添加した。SDS PAGEを使用した二次元における電気泳動は、平衡化緩衝液中に存在するトラッキング染料が一次元ゲルに関して二次元ゲルの反対側に到達するまで行なった。電気泳動の後、分離した蛋白質をニトロセルロース膜上に移した。膜は予めブロッキング緩衝液と共にインキュベートした後、肺腺癌の患者から採取した血清と共に室温において1時間インキュベートした。血清は1/100の希釈で使用した(Tris緩衝食塩水(TBS);0.01%Tween 20;1.8g/100ml脱脂粉乳中に希釈)。膜を緩衝液で3回洗浄した後、ヒツジ抗ヒト抗体(Amershamから購入)と共に1時間インキュベートした。反応性を有する蛋白質をルミノールにより検出した。
患者の血清中に抗体が存在する腫瘍蛋白質の候補を図1Aに示す。図1Bに示すように、正常な肺の蛋白質を患者の血清と共にインキュベートしたブロットには、蛋白質のスポットは検出されなかった。
7.例:神経芽細胞腫患者の血清中におけるβ−チューブリンイソフォームに特異的な抗体の検出
本発明の方法を用いて、神経芽細胞腫の被験者からの血清が腫瘍蛋白質に対して反応性を有するかどうかスクリーニングした。神経芽細胞腫患者からの血清試料は、β−チューブリンイソフォームおよびその分解産物として同定された一連の神経芽細胞腫特異的蛋白質に対して反応性を有することが確認された。
7.1.材料および方法
神経芽細胞腫の患者、および肺癌、食道癌、肉腫およびウィルムス腫瘍を含めた他のタイプの腫瘍患者から血清を採取した。可溶化した蛋白質の出所として各種の腫瘍あるいは神経芽細胞腫の細胞株SY5Yを用い、各種のウェスタンブロットを調製した。SY5Y蛋白質を上述の手順に従い尿素カクテル中に溶解し、可溶化した蛋白質40μgを両性担体ベースのチューブゲル(pH3.8)上に添加した後、一次元において12,000ボルト時(700V×16hおよび1000V×2h)で等電点電気泳動を行なった。一次元のチューブゲルを平衡化した後、二次元ゲルを含有するカセット上に添加した。SDS PAGEを使用した二次元における電気泳動は、平衡化緩衝液中に存在するトラッキング染料が一次元ゲルに関して二次元ゲルの反対側に到達するまで行なった。
電気泳動の後、分離した蛋白質をフッ化ポリビニリデン膜(PVDF)(Millipore)上に移した。膜は予めブロッキング緩衝液と共にインキュベートした後、腫瘍を分析したのと同一の神経芽細胞腫患者から採取した血清と共にインキュベートした。血清は緩衝溶液(0.01%Tween 20;1.8g/100ml脱脂粉乳を含有するTris緩衝食塩水(TBS))で1:100に希釈し、室温において1時間インキュベートした。膜を緩衝液で3回洗浄した後、ウサギ抗ヒトIgG抗体(Amershamから購入)と共に1時間インキュベートした。反応性を有する蛋白質をルミノールにより検出した。LP1とラベルした結合蛋白質のスポットは、患者の血清中に自己抗体が存在するβ−チューブリンイソフォームを含有することが確認された。
神経芽細胞腫患者の血清のウェスタンブロット中には、数個の免疫反応スポットが出現した。これらのスポットは、他の腫瘍のウェスタンブロット、あるいは対照血清で処理した神経芽細胞腫のウェスタンブロット中には存在しなかった(図2および3)。IgGまたはIgMに対する第2抗体を使用したブロットにおいて観察された(それぞれ図2および図3)隣接する免疫反応性蛋白質をLP1と命名し、同一の腫瘍抽出物の二次元分離により同定した。マッチング手順の後に、等電点(pI)およびMWに基づき、銀あるいはクマシーブルーで染色することにより蛋白質全体を可視化した(図5)。アミノ酸配列分析およびチューブリンβ−イソフォームに対する既知の抗体との反応性を調べることにより、この蛋白質はチューブリンβ−イソフォームI型、II型およびIII型を含有すると同定された。
アミノ酸配列分析のために、神経芽細胞腫蛋白質の数種のブロットを調製し、クマシーブルーで染色した。免疫反応性を有するスポットの位置に出現した結合スポットをLP1と命名し、クマシーブルーで染色された4個の隣接する神経芽細胞腫ブロット領域から切り出し、切り出したそれぞれの蛋白質スポットに関してN末端のアミノ酸配列を決定した。N末端のアミノ酸配列を、既知のβ−チューブリンイソフォームのN末端配列と比較した。
β−チューブリンイソフォームのN末端配列として報告されているのは次のものである:
Figure 0004065574
図7においてLP1aからLP1dと命名したスポットを切り出し、各蛋白質のアミノ末端配列を決定した。アミノ酸配列は以下のとおりであった:
I.LP1a
メジャー−MREIVHIQAGQCGNQI(SEQ ID NO:1)
マイナー−EEGCVSLQVGQAGVQI(SEQ ID NO:5)
LP1のメジャー配列は、チューブリンイソフォームTBB1またはTBB3のものであり、マイナー配列はTBB2またはTBB5である。TBB1とTBB3は同一のN末端をもつが、C末端が異なる。サイクルによってはマイナーシグナルが存在する場合もある。TBB2およびTBB5は、第7位がIの代わりにLになっている。このサイクルでは、Lも観察された。しかし、これは他のマイナー残基と共に無関係の配列に由来するものと思われる。
II.LP1b
メジャー−MRECISIHVGQAGVQI(SEQ ID NO:3)
マイナー−MRLIVHAHAGQAGNQI(SEQ ID NO:6)
マイナー−MRLIVDAHAGQAGNQI(SEQ ID NO:7)
LP1bのメジャー配列はチューブリンイソフォームTBA1のものであり、マイナー配列はチューブリンイソフォームTBB1かつ/またはTBB3のものである。
III.LP1c
メジャー−MREIVHIQAGQCGNQI(SEQ ID NO:1)
マイナー−MREIVHLQAGQCGNQI(SEQ ID NO:2)
LP1cのメジャー配列は、チューブリンイソフォームTBB1かつ/またはTBB3のものであり、おそらくある程度のTBB5かつ/またはTBB2チューブリンイソフォームが存在すると考えられる(Lin#7)。
IV.LP1d
メジャー−MREIVSIHVGQA(SEQ ID NO:8)
マイナー−MREXaaIHIXaaAGQXaa(SEQ ID NO:9)、ただし最初のXaaはCまたはT残基の存在を表す;2番目のXaaはQまたはP残基の存在を表す;そして3番目のXaaはC残基の存在を表す。
LP1dのメジャー配列はチューブリンイソフォームTBB1かつ/またはTBB3のものであり、TBA1チューブリンイソフォームも少量検出された。
イソフォーム特異的チューブリンβ抗体を用いた二次元ゲル電気泳動により分離した神経芽細胞腫の腫瘍蛋白質のウェスタンブロット分析に基づき、神経芽細胞腫およびSY5Y中にはβ−チューブリンイソフォームI型、II型およびIII型が多量に発現されていることが認められた(図5,6)。
神経芽細胞腫およびSY5Y細胞株のウェスタンブロット(第二抗体はIgMに対するものを使用)において観察された免疫反応性を有する別の蛋白質セットは、β−チューブリンイソフォームに特異的な抗体に対する反応性に基づき、β−チューブリンイソフォームの分解産物であることが確認された(図4)。この隣接蛋白質のセットはまた、等電点(pI)および分子量(MW)に基づく電気泳動の後、マッチング手順を行ない、銀またはクマシーブルーで染色することにより蛋白質を可視化した二次元分離においても、同一の腫瘍抽出物中に検出された(図7)。
イソフォーム特異的なβ−チューブリン抗体を用いた二次元ゲル電気泳動により分離した神経芽細胞腫およびSY5Y蛋白質のウェスタンブロット分析に基づき、神経芽細胞腫中にはβ−チューブリンイソフォームのI型およびII型、そしてIII型の分解産物が多量に発現されていることが明らかになった(図4,5および6)。
7.2.結果
神経芽細胞腫の蛋白質抗原を同定し、神経芽細胞腫蛋白質に対する血清中の自己抗体の存在を確認するために、神経芽細胞腫の患者からの血清を用いて高分解能二次元電気泳動の技術により分離した腫瘍蛋白質に対する反応性のスクリーニングを行なった。腫瘍蛋白質の二次元分離を行なった後、フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜上に移し、ウェスタンブロットの手法を用いて新たに神経芽細胞腫と診断された患者からの血清と共にインキュベートした(図2および4)。他の種類の癌患者および正常被験者からの血清も対照として同時に使用した(図3)。
第一抗体に向けた第二抗体と共にインキュベートした後、スポットを可視化することにより血清中に存在する抗体と反応した蛋白質を検出した。各種の神経芽細胞腫患者の血清に反応した各種腫瘍のウェスタンブロットと対照血清に反応したウェスタンブロットとを比較することにより、抗体の特異性を決定した。
神経芽細胞腫の患者からの血清と共にインキュベートした神経芽細胞腫および神経芽細胞腫細胞株のウェスタンブロットの中で、免疫反応性を有するスポットのうち、他の腫瘍のウェスタンブロットあるいは対照血清で処理した神経芽細胞腫のウェスタンブロット中には存在しないものがあった。神経芽細胞腫の免疫反応性蛋白質のうちの1セットは、銀あるいはクマシーブルーを用いた染色により蛋白質が検出された、神経芽細胞腫蛋白質の二次元分離の中に位置していた。この存在は、蛋白質の等電点(pI)および分子量を考慮に入れたマッチング手順に基づいて確認された。膜から溶出した後、アミノ酸配列分析、質量分析およびβ−チューブリンイソフォームに対する既知の抗体との反応性に基づき、免疫反応性を有するこの蛋白質抗原のセットはβ−チューブリンイソフォームであると同定された。β−チューブリンイソフォームは、二次元ゲル電気泳動により分離した神経芽細胞腫蛋白質のウェスタンブロット分析においてイソフォーム特異的なβ−チューブリン抗体と反応したことから、神経芽細胞腫中に多量に発現されていることが明らかになった。免疫反応性を有する別の蛋白質セットも、同様にβ−チューブリンイソフォームの分解産物であると同定された。このように、神経芽細胞腫の患者は、β−チューブリンイソフォームまたはその分解産物に対して自己抗体を産生していると考えられる。興味深いことに、寛解期にある、あるいは疾患の治療を受けた神経芽細胞腫患者から採取した血清中には、β−チューブリンに対して反応性を有する自己抗体は検出されなかった。癌においてβ−チューブリンイソフォームが免疫原性を有すると確認することにより、これらのイソフォームが発現されている癌の診断とスクリーニング検査のための根拠が得られ、またチューブリンを利用した新しい癌治療法の開発のための根拠が提供される。
自己抗体を誘発する蛋白質が同定されれば、組換えDNA技術あるいはその他の濃縮もしくは精製手順によって、それを多量に生産することが可能である。これらの蛋白質、あるいは当該蛋白質由来の配列に相当する合成ペプチドに対して特異的な抗体および抗血清を生産することができる。
本発明は、発明の1つの局面を例示することを目的とした例の中で公開した態様の範囲に限定されるものではなく、基本的に同等である組成あるいは方法のすべてが本発明の範囲内に属する。実際、本分野の専門家にとっては、ここに示し説明した例以外にも上述の説明から本発明には種々の応用範囲があること明らかになるであろう。このような応用範囲も請求の範囲内に入るものとする。
配列表
(1)一般情報
(i)出願人:ミシガン大学
(ii)発明の名称:細胞内蛋白質抗原および血清中の特異的細胞内蛋白質抗原に対する抗体の存在を同定するための方法
(iii)配列の数:9
(iv)通信先住所:
(A)受信人:Baker&Botts, L.L.P.
(B)通り:30 Rockefeller Plaza
(C)市:ニューヨーク
(D)州:ニューヨーク
(E)国:アメリカ合衆国
(F)郵便番号(ZIP):10112
(v)コンピューターの読込み形式:
(A)媒体:フロッピーディスク
(B)コンピューター:IBMコンパチブル
(C)オペレーションシステム:DOS
(D)ソフトウェア:FastSEQ Version 2.0
(vi)本出願のデータ:
(A)出願番号:
(B)出願日:1998年6月26日
(C)分類:
(vii)優先権主張出願のデータ:
(A)出願番号:
(B)出願日:
(viii)弁理士/代理人情報:
(A)名前:Seide, Rochelle K
(B)登録番号:32,300
(C)参照/名簿番号:31755-PCT
(ix)電話通信情報:
(A)電話:212-705-5000
(B)テレファックス:212-705-5020
(C)テレックス:
(2)配列番号:1の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:16アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:SEQ ID NO:1:
Figure 0004065574
(2)配列番号:2の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:16アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:SEQ ID NO:2:
Figure 0004065574
(2)配列番号:3の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:16アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:SEQ ID NO:3:
Figure 0004065574
(2)配列番号:4の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:16アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:SEQ ID NO:4:
Figure 0004065574
(2)配列番号:5の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:16アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:SEQ ID NO:5:
Figure 0004065574
(2)配列番号:6の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:16アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:SEQ ID NO:6:
Figure 0004065574
(2)配列番号:7の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:16アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:SEQ ID NO:7:
Figure 0004065574
(2)配列番号:8の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:12アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:SEQ ID NO:8:
Figure 0004065574
(2)配列番号:9の情報
(i)配列の特徴:
(A)長さ:12アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:なし
(xi)配列:SEQ ID NO:9:
Figure 0004065574

Claims (6)

  1. 神経芽細胞腫の患者が自己抗体を産生する蛋白質を同定するための方法であって、
    (a)細胞の試料から蛋白質を抽出し;
    (b)二次元電気泳動により抽出した蛋白質を分離し;
    (c)二次元電気泳動により分離した蛋白質をウェスタンブロット分析用の膜に移し;
    (d)神経芽細胞腫を有することが既知である被験者からの抗血清と共に膜をインキュベートし;
    (e)患者の血清中の自己抗体が結合した蛋白質を検出し;そして
    (f)被験者の血清試料中の自己抗体が結合した蛋白質と、対照血清試料中の抗体が結合した蛋白質とを比較する、
    ことからなり、被験者の血清中の抗体は結合したが対照血清中の抗体は結合しなかった蛋白質を、癌の被験者が自己抗体を産生する蛋白質として同定することを特徴とし、かつ該蛋白質がβ−チューブリンイソフォームである、上記方法。
  2. 被験者からの血清を試験する方法であって、
    (a)被験者から採取した血清試料において、β−チューブリンイソフォームに特異的な自己抗体の存在を検出する、
    ことからなり、β−チューブリンイソフォームに特異的な自己抗体の存在が癌の存在を指示することを特徴とする上記方法。
  3. 被験者が神経芽細胞腫患者である請求項記載の方法。
  4. 試料中の自己抗体の存在をイムノアッセイにより測定する方法であって、
    (a)β−チューブリンイソフォームを膜あるいは基質上に不動化し;
    (b)膜あるいは基質を被験者の血清試料と接触させ;そして
    (c)被験者の血清試料中の蛋白質に特異的な自己抗体の存在を検出する、
    ことからなり、自己抗体の存在が癌の存在を指示することを特徴とする請求項記載の方法。
  5. β−チューブリンイソフォームに特異的な免疫反応を被験者において促進するための医薬組成物であって、免疫反応を誘発するのに十分な量のβ−チューブリンイソフォームを活性成分として含む、医薬組成物。
  6. β−チューブリンイソフォームに特異的な免疫反応を被験者において促進するための医薬組成物であって、該被験者の免疫系から採取した細胞を活性成分として含む、医薬組成物。
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