JP4064432B2 - E型肝炎ウイルス中空粒子、それをコードする遺伝子及びそれらの遺伝子を含む組換えベクターの作製方法と利用方法 - Google Patents

E型肝炎ウイルス中空粒子、それをコードする遺伝子及びそれらの遺伝子を含む組換えベクターの作製方法と利用方法 Download PDF

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Description

本発明は、E型肝炎ウイルスの中空粒子、並びに該中空粒子を作出する方法に関する。
E型肝炎はかつて経口型、水系、流行性非A非B型肝炎と呼ばれ、1990年、Reyesらによってその起因ウイルス遺伝子がクローニングされて以来、E型肝炎と呼ばれるようになった。(Reyes et al:Science,vol.247 1335-1339.1990) また、E型肝炎ウイルス(以下、「HEV」と呼ぶことがある)は最も最近そのウイルス遺伝子がクローニングされたウイルスでもある。現在までのところ、ビルマ株、中国株、パキスタン株、メキシコ株等でHEVの全遺伝子の塩基配列が決定されている。
これらのHEV株の解析により、次のことがわかっている。すなわち、HEV遺伝子はプラスセンスの1本鎖RNAから成り立つ。全長は7194塩基で更にこの3’端にポリA配列が付着している。読み取り枠(ORF)は3個あり、ORF1、ORF3、ORF2の順に一部重複しながら配列している。ORF1は約5000塩基、ORF2は約2000塩基、ORF3は369塩基である。ORF3は、ORF1と1塩基重複し、また、ORF2とは328塩基重複している。非コード領域は、5’端が27塩基、3’端が68塩基と短い。 ORF1は非構造蛋白質をコードし、0RF2は構造蛋白質をコードしている。ORF3にコードされる蛋白質の機能は不明である。ORF1からコードされるペプチドのアミノ酸配列を解析すると、メチルトランスフェラーゼ、パパイン様システインプロテアーゼ、ヘリカーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼの各ドメインが存在する。これら非構造蛋白質の様々な酵素活性がHEV遺伝子の複製や発現、粒子形成等に関与し、ウイルス増殖を可能にしている。ORF2から発現する蛋白質は構造蛋白質を形成するユニットになる。この構造蛋白質には少なくとも2個のB細胞エピトープ(抗原決定基)が存在する。ORF3の配列は短く、わずか123個のアミノ酸をコードするにすぎない。機能蛋白質としては短いが、患者血清中にこの蛋白質と反応する抗体が検出される事から何等かの機能を有するものと考えられる。
一方、E型肝炎の診断は現在、酵素抗体法(ELISA)による抗体測定法によって行われている。ReyesらはAbbott社と共同して融合発現蛋白質(Yabough PO, et al:Hepatitis E virus:identification of typecommon epitopes,J Viol 65: 5790-5797,1991)、内田らは化血研と共同して合成ペプチドを(Uchida T,et al:Anepidemic outbreak of hepatitis E in Yangon of Myanmer:antibody assay and animaltransmmision of the virus:Acta Pathol Jpn 43.94-98,1993)をそれぞれ抗原に使用した抗E型肝炎ウイルス特異抗体検出系を構築している。また、E型肝炎ウイルス構造蛋白質全長(ORF2)をバキュロウイルスを用いて発現している例も存在している。(Tsarev SA ,et al:ELISA forantibody to hepatitis E virus (HEV) based on complete open reading frame-2 protein expressed in insect cells: identification of HEV infection in primates.J Infect Dis 168:369-378,1993)これらの各特異抗体検出系にはそれぞれ問題点が存在している。
まず、大腸菌による融合蛋白質を用いた抗体検出系では、偽陽性が多すぎる事。一方、合成ペプチドを用いた特異抗体検出系は偽陰性が検出される状況にある。(内田俊和:E型肝炎ウイルスの分子生物学的研究:日本臨床 53巻 901−905:1995増刊号)HEVの感染はまた特異抗体のみの検出ではなく、PCR法によって直接遺伝子診断することも可能になっている。HEVは血清中に潜伏期や肝機能の指標であるトランスアミナーゼが高値の間について高力価でウイルス血症状態にある事も知られている。(Uchida T,et al: Virlence of hepatitis E virus with serial passage to cynomolgus monkeys and identification of viremia.In:Viral Hepatitis and Liver Disease,p526-527, Williams & Wilkins,Baltimore,1991.)
Reyes et al:Science,vol.247 1335-1339.1990 Yabough PO, et al:Hepatitis E virus:identification of typecommon epitopes,J Viol 65: 5790-5797,1991 Uchida T,et al:Anepidemic outbreak of hepatitis E in Yangon of Myanmer:antibody assay and animaltransmmision of the virus:Acta Pathol Jpn 43.94-98,1993 Tsarev SA ,et al:ELISA forantibody to hepatitis E virus (HEV) based on complete open reading frame-2 protein expressed in insect cells: identification of HEV infection in primates.J Infect Dis 168:369-378,1993 内田俊和:E型肝炎ウイルスの分子生物学的研究:日本臨床 53巻 901−905:1995増刊号 Uchida T,et al: Virlence of hepatitis E virus with serial passage to cynomolgus monkeys and identification of viremia.In:Viral Hepatitis and Liver Disease,p526-527, Williams & Wilkins,Baltimore,1991
従来技術では、HEVの粒子を遺伝子工学的に生産することには成功していないし、HEVを感染させた細胞を培養することによりHEV粒子を生産することにすら成功していない。すなわち、従来のHEVの検出のために行なわれているELISA等は、粒子以外のウイルス由来のタンパク質を抗原として用いている。このため、上記のように測定精度に満足できない。また、人為的にHEV粒子を得ることに成功していないため、HEVワクチンは開発のめどすら立っていない。
もし、HEVの中空粒子であってHEVと同等の抗原性を有するものが得られれば、安全なワクチンとしての利用が可能であるし、また、ウイルス中空粒子の抗原性は、粒子以外のタンパク質の抗原性と比較して、より天然のウイルス粒子の抗原性に近い又は天然のウイルス粒子の抗原性と同じであると考えられるので、免疫測定のための試薬としても、従来のように粒子化していないタンパク質を用いるよりも測定精度が高いと考えられる。さらに、粒子化したタンパク質は粒子化していないタンパク質に比較して遥かに精製が容易である。また、新規なHEVの遺伝子をクローニングしてその塩基配列を決定することにより、その新規なHEVの診断に有用なウイルス粒子を利用することが可能になる。
従って、本発明の目的は、HEVの抗原性を有する直径約25nmのHEV中空粒子、及びその製造方法を提供することである。
本願発明者らは、ミャンマーで発生したE型肝炎の患者の便から新規なHEV株を分離し、その遺伝子をクローニングし、塩基配列を決定した。さらに、本願発明者らは、この新規なHEV遺伝子のORF2のうち336nt〜1980ntの領域のみを発現させることにより、HEVの抗原性を有する中空粒子を生産することが可能であることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドであって、E型肝炎ウイルスの抗原性を有するポリペプチドから成るE型肝炎ウイルスの直径約25nmの中空粒子をコードするDNAを、バキュロウイルスベクターのバキュロウイルス遺伝子非必須領域内に挿入して組換えバキュロウイルスベクターを調製し、該組換えバキュロウイルスベクターを昆虫細胞Sf9に導入することで該組換えバキュロウィルスベクターの感染力価を上昇させた後に、該組換えバキュロウイルスベクターを昆虫細胞Tn5に導入することにより、該昆虫細胞中で前記中空粒子を構築させることを含む、E型肝炎ウイルスの直径約25nmの中空粒子の作出方法を提供する。さらに、本発明は、 上記方法により得られ得る、E型肝炎ウイルスの直径約25nmの中空粒子を提供する。
本発明により、HEVの直径約25nmの中空粒子、及びその製造方法が初めて提供された。HEVの中空粒子はHEVと抗原性が同一又は少なくとも極めて近似していると考えられるので、HEVの中空粒子を利用した免疫測定によりHEVを従来よりも正確に測定することが可能になる。また、本発明の中空粒子により、安全なHEVワクチンを開発することが可能になった。
本願発明者らは、下記実施例で詳述する方法により、ミャンマーで発生したE型肝炎の患者の便から新規なHEV株を分離し、その遺伝子をクローニングし、塩基配列を決定した。該新規HEV株の遺伝子中のORF1、ORF2及びORF3の塩基配列及びそれによりコードされる推定アミノ酸配列並びに全遺伝子の塩基配列をそれぞれ配列表の配列番号2、3、4及び5に示す。
さらに、本願発明者らは、この新規なHEV遺伝子のORF2のうち336nt〜1980ntの領域(アミノ酸では第112〜第660番目のアミノ酸)のみを発現させることにより、HEVの抗原性を有する直径約25nmの中空粒子を生産することが可能であることを見出した。この中空粒子のアミノ酸配列及びそれをコードするDNAの塩基配列を配列表の配列番号1に示す。下記比較例1に示すように、ORF2の全長を発現させた場合には粒子は形成されない。それにもかかわらず、HEVのORF2によりコードされるポリペプチドのN末端側111アミノ酸を欠失させることにより直径約25nmのHEV中空粒子が形成されるという知見は驚くべき知見であり、本願発明はこの知見を基礎としている。
なお、HEVの抗原性を有する直径約25nmの中空粒子を構成するポリペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列を有するものに限定されるものではなく、該アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が置換し、欠失し、挿入され又は端部に付加されたアミノ酸配列であって、配列番号1に記載のアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上の相同性を有する、HEVの抗原性を有する直径約25nmの中空粒子も本発明の範囲に含まれる。なお、ここで、「HEVの抗原性を有する」とは、抗HEV抗体と検出可能な程度に免疫反応を起こすという意味である。
本発明は、上記HEVの直径約25nmの中空粒子をコードするDNAを含み、宿主細胞中で該DNAを発現することができる組換えベクターをも提供する。この組換えベクターは、適当な宿主細胞中で中空粒子の生産が可能なものならば特に限定されないが、バキュロウイルス遺伝子非必須領域内に上記本発明のDNAが挿入されて得られる組換えバキュロウイルスベクターであることが好ましい。この場合には宿主細胞は昆虫細胞が好ましく、特にTn5細胞(文献及び入手先:Wicham, T. J. et al., (1992) Biotechnol. Prog. 8:391-396; Davis, T.R. et al., (1993) In Vitro Cell. & Dev. 29A:388-390; Invitrogen Corporationより市販)が好ましい。特に、下記実施例で作製された組換えバキュロウイルスベクターを昆虫細胞であるSf9細胞中で発現させると、DNAの発現は確認されたが中空粒子は構築されなかった。これに対し、Tn5細胞中では直径約25nmの中空粒子が生産された。
本発明のHEV中空粒子は、下記実施例において具体的に記載するように、HEVタンパクと同じ抗原性を有している。従って、該中空粒子は、HEV又は抗HEV抗体を測定する免疫測定のための試薬として用いることができる。また、抗HEV抗体を動物に生産させるための免疫原として用いることもできる。さらに、その精製が容易でかつ安全性が高いので、HEVに対するワクチンとしても用いることができる。さらに、クリオ電子顕微鏡或いはエックス線結晶解析による粒子の三次構造解析が考えられる。更に、精製粒子をプローブとして宿主細胞レセプター分子の分離同定、レセプター分子を高度に発現する形質転換細胞の樹立さらにまた、レセプター分子を発現するトランスジェニックマウスの作出も考えられる。
以下、本発明のDNAのクローニング、該遺伝子の発現方法及び得られた中空粒子に対する特異抗体の作出等について、各工程毎により詳細に説明する。もっとも、以下に記載する各方法はあくまで好ましい方法を例として示すものであり、これらに限定されるものではない。
(1) E型肝炎ウイルスのRNAを抽出する工程:
この工程の技術は従来の公知の常法、例えばフェノール抽出法等が例示される。今回は、0.5mlのサル胆汁からRNA extraction kitであるRNAzolを用いてRNAを抽出した。次に、Oligotex-dT30(Super)でmRNAを分離精製した。
(2) E型肝炎ウイルスRNAに相補的な二本鎖cDNAを調製する工程:
この工程は例えば逆転写酵素を用いる公知の常法により実施する事が可能である。今回は、Oligo(dT)12-18をプライマーに、AMV(Avian Myeloblastosis Virus)(生化学工業社製)由来逆転写酵素でcDNAを調製した。
(3) 当該ウイルスcDNAをクローニングする工程:
この工程で使用可能なクローニングベクターとしては、大腸菌に代表される原核細胞を宿主とするプラスミド、及び、λファージ等に代表されるバクテリオファージ由来のベクター等公知のものを使用する事が出来る。この工程に於いてはクローニングベクターとその宿主細胞とを適当に組み合わせて使用する事が望ましい。クローニングベクターの具体的な例としては、pBR322,pBR325,pBR327,pBR328,pUC7,pUC8,pUC9,pUC19等が例示される。遺伝子の挿入方法は公知の常法に従えばよい。これらのベクターの構築にあたっては、遺伝子操作の容易である大腸菌系を使用する事が望ましい。また、使用するプラスミドベクターは特に限定されるものではない。今回は、産生したRNA:DNAハイブリットを鋳型として、以下のプライマーセットを用いてPCR法によるウイルス遺伝子の増幅を試みた。
HEV-D2 5'- TGGGTTCGCGACCATGCGACCCTCG-3' 5134-5157
HEV-U2 5'- CAACAGAAAGAAGGGGGGCACAAG-3' 7138-7161
これらの領域はAmplitaq(TAKARA社製)を用いてORF2を含む2028塩基をPCR法を用いて増幅した。また、PCR法の条件は96℃ 1.5分間、72℃3分間を1サイクルとして40サイクル行った。増複産物はアガロースゲル電気泳動法によって分離精製し、クローニングベクターpCRII(インビトロジェン社製)にTAクローニングを行った。これらのクローンからpHEV(D2U2)を得た。
(4) (3)で示されたpHEV(D2U2)クローンに関して、E型肝炎ウイルスのORF2遺伝子全領域を発現させる工程:
プラスミドクローンpHEV(D2U2)を制限酵素 NruI及びXbaIで消化切断し、アガロースゲル電気泳動法によって分離後、精製し、制限酵素SmaI及びXbaIで消化切断したバキュロウイルストランスファーベクターpVL1393と結合し、トランスファーベクターpVL(D2U2)を作製した。
クローニングされたE型肝炎ウイルスのORF2遺伝子内の領域を発現させる工程:
この工程では発現ベクターと当該ベクターが感染・増殖可能である宿主細胞を選択し適宜組み合わせて使用する事が望ましい。この工程で特に留意すべき点としてはORF2をコードする遺伝子と公知の発現ベクターとを単純に連結したのみでは抗原性を有するHEV ORF2蛋白質の発現は期待できない。E型肝炎ウイルス ORF2をコードする遺伝子と公知の発現ベクターとの連結には概略的に以下に示す様な工夫を必要とする。
a)HEV ORF2の一部を発現ベクター内に組み込むため、遺伝子の翻訳開始及び終止領域を目的のフラグメントの前後にフレームを予め合わせた上で補充する必要がある。
b)希望の抗原活性及び免疫原性を有する発現産物を獲得するために、ORF2遺伝子の一部またどの部分を発現ベクター内に連結するのかを決定する。
今回、ORF2の112番目のアミノ酸(塩基配列5480)からC末端まで(ORF2のアミノ酸配列 660、塩基配列 7126)を発現するため、プライマーセットを用いて、RNA:DNAハイブリッドを鋳型にして約1.7kbのDNAをPCRで増幅した。以下に使用したプライマーセットを示す。
HEV-D13 5'-AAGGATCCATGGCGGTCGCTCCAGCCCATGACACCCCGCCAGT-3'
HEV-U14 5'-GGTCTAGACTATAACTCCCGAGTTTTACCCACCTTCATCTT-3'
このプライマーセットによって増幅された産物は、制限酵素XbaI及びBamHIの配列を含む為、これらの制限酵素サイトで消化切断し、アガロースゲル電気泳動法によって分離精製後、バキュロウイルストランスファーベクターpVL1393と結合しpVL(D13U14)を作製した。
c)発現産物の抗原性並びに免疫原性を高める為に発現する領域を限定する。
d)発現産物の収量を高める。
e)発現産物を細胞外へ分泌させ精製方法を容易にする。これらの工夫は主として発現ベクター側の改編によって達成可能である。
(5) 組換えバキュロウイルスを作製する工程:
組換えバキュロウイルスの作製に当たっては、まずバキュロウイルスの増殖に非必須な遺伝子領域内にE型肝炎ウイルス抗原蛋白質をコードする遺伝子の一部分を挿入する。ここでは一般に、トランスファーベクターとして、例えば、pAcYM1(J.General Virology,Vol.68,pp.1233-1250,1987)などが例示され、市販のものを用いることもできる。
これらのトランスファーベクターと野生株バキュロウイルスを昆虫細胞、例えばSf9細胞内にリポフェクチン(GIBCO BRL社製)等の物質を用いて導入し、昆虫細胞中に於て相同組換えがおこり組換えバキュロウイルスの作製が可能となる。具体的には、0.5μgの直鎖状バキュロウイルスDNA(Baculo-Gold PHARMINGEN社製)と1μgのトランスファーベクターを8μlの蒸留水に溶解し、2倍希釈した等量のリポフェクチンと混合して室温で15分間放置する。Ex cell 400培養液に懸濁した1×105個のSf9細胞を26.5℃で30分間プラスティックシャーレ(直径3.5cm)内に吸着後、DNA混合液を細胞に滴下し26.5℃で培養した。24時間後、培養液を8%牛胎児血清を含むTC100(GIBCO BRL社製)培地に交換し、更に、培養を継続した。
(6) 組換えウイルスの力価を測定する工程:
前項組換えウイルスを5日間培養した後、培養上清を例えばTC100等の昆虫細胞培養用メディウムを用いて10倍に希釈した。その0.1mlをとり、直径3.5cmのプラスチックシャーレに培養した3×106個のSf9細胞に接種した。26.5℃、30分間吸着後1%アガロースME(低融点アガロース)を含むTC 100培養液2mlを重層し26.5℃で培養した。更に、培養開始後4日目に0.005%のニュートラルレッドを含むメディウム1mlを重層して出現したプラークを計測した。更に2代のプラーククローニングを行って組換えウイルスを純化した。3代目のプラークをパスツールピペットで分離し、1mlのTC100メディウムに懸濁し、その0.1mlを106個のSf9細胞に接種した。吸着後TC100培養液を用いて5日間培養し、その上清を種ウイルス(Ac(D13U14))とした。
(7) 組換えバキュロウイルスを用いたE型肝炎ウイルス抗原蛋白質の産生工程:
宿主細胞としては、昆虫細胞、例えば、Sf9及びTn5細胞等が例示される。これらの昆虫細胞に対して前記組換えバキュロウイルスをMOI(Multiplicity of infection)10で感染させる。この時、組換えウイルス液を細胞に滴下させ、靜かに振とうさせながら約30分程度吸着させた。その後、例えば、TC100、EXcell 400等の昆虫細胞用培地に10%FCS、2%BTBを添加し、26.5℃、72hr培養後発現蛋白質即ちE型肝炎ウイルス抗原蛋白質の回収を行う。
(8) 発現蛋白質の同定方法:
組換えウイルス感染培養細胞及び培養上清を経時的に採取した。これらの採取した感染培養細胞及び培養上清に関して、SDS-PAGEで分離後蛋白質をクマシーブルー染色で検出し、予想される分子量の妥当性を検討した。また、SDS-PAGEで蛋白質を分離後ニトロセルロース膜に転写し、E型肝炎患者急性期及び回復期血清によるウエスターンブロッティング法で発現蛋白質を同定した。培養細胞では上記血清と反応後蛍光標識した抗IgG抗体による蛍光抗体法で発現蛋白質を確認した。また、感染細胞の電子顕微鏡用超薄切片を作製し、血清と反応後金コロイド標識した抗ヒトIgG抗体によるイムノゴールド法で発現蛋白質を同定した。培養上清に関しては上清そのものを、或いは、PEG6000で沈殿濃縮したものをウラニル酢酸でネガティブ染色し、電子顕微鏡で検鏡し直接ウイルス様粒子を検出した。
目的のE型肝炎ウイルス中空化粒子抗原の発現は昆虫細胞Tn5 cellを使用した。Ac(D13U14)をMOI:10でTn5 cellに接種し、26.5℃、30分間吸着後、Ex cell 405培養液を加えて培養した。
(9) 発現蛋白質即ちE型肝炎ウイルス抗原蛋白質の精製に関する工程:
Tn5 cell培養上清を1,000xgで10分間遠心して夾雑物を取り除き、更に、10,000xgで、30分間遠心してバキュロウイルスを取り除いた。10%蔗糖を含むリン酸緩衝液(pH7.2)10mlに前出の上清を重層してベックマンSW28ローターで100,000xg、3時間遠心してウイルス様中空化粒子を沈査に回収した。1mlのリン酸緩衝液(pH7.2)に懸濁して10%〜40%蔗糖勾配に重層後ベックマンSW41ローターで100,000xg、3時間遠心してウイルス様中空化粒子を20%と10%蔗糖液の中間に回収した。白乳色のバンドを回収しリン酸緩衝液で5倍希釈後、ベックマン SW50.1 ローターで100,000xg、3時間遠心後、ウイルス様粒子化抗原を回収した。
(10) 精製発現蛋白質の抗原性の確認工程:
精製ウイルス様中空粒子をSDS-PAGEで分離し、ニトロセルロース膜へ転写後E型肝炎患者回復期血清を用いたウエスタンブロッティングを行った。精製ウイルス様中空化粒子抗原をE型肝炎患者回復期血清と混合し、37℃で1時間反応後、ベックマンSW50.1ローターで100,000xg、3時間遠心し、沈査を電子顕微鏡で検鏡してウイルス凝集像を検出した。
(11) E型肝炎ウイルス特異抗体の作出工程:
初回免疫:1mgの精製中空粒子を含む1mlのリン酸緩衝液(pH7.2)と1mlのFreund incompleteアジュバントを混合し、2kgのNew Zealand Whiteウサギに皮下注射した。
ブースター:一ヶ月後に0.5mgの中空粒子0.5mlとFreund incompleteアジュバント0.5mlを混合して皮下に一回目を、更に一週間後に同様に皮下に二回目を注射した。5日後に全採血し、血清を分離した。塩化セシウム中に於ける浮上密度は1.29g/cm3である。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
E型肝炎ウイルスの全塩基配列決定の為のPCRとクローニング
(1)E型肝炎ウイルスRNAの抽出
1986年ミャンマーの首都ヤンゴンでE型肝炎の散発発生があり、患者10名から糞便を得た。これらをプールして10%浮遊液(リン酸緩衝液)を調製し、6000rpm 10分間、4℃の遠心法で部分精製後ポアサイズ0.25umのミリポアフィルター(ミリポア社製)を用いて濾過後、rhesus monkyに静脈注射した。その後、肝炎発生後、胆汁を採取し、ミリポアフィルターを用いて精製し、rhesus monkeyを用いて継代した。そして、RNA抽出には6代継代後の胆汁を使用した。(Microviol Immunol 36:67-79(1992))0.5mlの胆汁に対して400から800μlのRNAzol(Biotex Laboratories製)を加え、更にその1/5volumeのクロロホルムを加えて十分撹拌したのち10,500×gで20分間遠心沈殿を行った。遠心後、上層部分を新しい遠心チューブに移し、等量のイソプロパノールを加え−20℃で一晩エタノール沈殿を行った。
エタノール沈殿状態のサンプルを10,500×g 、20分の条件で遠心し、沈査を75%エタノールを用いて一回洗浄した。次にペレットを真空乾燥させ、100から200μlの分子生物学グレードの水(Sigma Chemical Co.Ltd., Dorset,United Kingdom)に再浮遊させた。500μlのサンプルに対して等量のphenol及びクロロホルムを加え、mRNA抽出をおこなった。
抽出済みのTotal RNAを用いてmRNAを抽出し、Oligotex-dT30(Super)でmRNAを分離精製した。
(2)cDNAの調製及びPCRによる増幅
分離精製したRNAとoligo(dT)12-18プライマーを使用して、AMV由来逆転写酵素(生化学工業社製)でcDNAを調製した。さらに、これらのRNA:DNA hybrideを鋳型としてプライマーEP1/P59,EP2/P42,EP5/EP6,D2/U2,P124/P126の各プライマーセットによってそれぞれ2060,2566,2386,2028,1040bpを増幅した。PCRの増幅条件は、96℃ 1.5分間、72℃ 3分間を1サイクルとして40回繰り返した。
(3)E型肝炎ウイルス遺伝子のクローニング及び塩基配列の決定
上記条件においてPCRによって増幅された遺伝子は、0.7%アガロースゲルを用いて分離後、増幅断片が単一で有ることをエチジウムブロマイド染色によって確認し、Bandprep(ファルマシア製)を用いて回収した。次に、回収した増幅断片の一部を用いて、クローニングベクターpCR2.1(ストラタジーン社製)にTA法によってクローニングし、pHEV(1-6)(1-2060),pHEV(138)(1458-3023),pHEV(100-10)(2925-5310),pHEV(D2U2)(5134-7161),pHEV(7)(6161-7200)を得た。
E型肝炎ウイルス遺伝子塩基配列の決定は、各領域に全体で53個のシークエンシングプライマーを設定し、dye tarmination法によりサイクルシークエンシングキットFS(パーキンエルマー社製)を用いてラベリング反応を行った。この際使用したE型肝炎ウイルス遺伝子のDNA濃度は0.2μg/μlであり、シークエンシングプライマーの濃度は0.3pmolである。更に、反応終了後、セントリプレップスピンカラム(パーキンエルマー社)を用いて過剰量の蛍光色素を除外した。
この反応液を真空凍結乾燥機によって完全に乾燥させ、専用のサンプルバッファー(パーキンエルマー社製)25μlに浮遊させる。更に、攪拌後遠心沈殿させ95℃で2分間の加熱操作を行い、急冷後オートシークエンサー(ABI Genetic analyzer 310)で解析した。以下に今回使用したシークエンシングプライマーを記載する。
5' → 3' DOWN PRIMER
1. EP1-AGGCAGACCACATATGTGGT (1-24)
2. P109-TTGTTTTCCGCCCCGAGGTT (191-210)
3. P73-TTCCCGCCGAAACTGGCATC (491-510)
4. P128-CGGTCTACCGAGGTCTATGT (874-893)
5. P58-ATATTTGGGACCGTCTTATG (980-999)
6. P95-CCAGGCTATATCCAAGGGGA (1191-1210)
7. EP10-GATCCACGGGTGTTGGTTTT (1360-1379)
8. EP2-TGGTCAGGAGTGCACCTGTTTCCT (1458-1481)
9. P84-CTTGACCATCGGGCGGTT (1902-1920)
10. P137-CATTCGCTGACCGGTAACTT (2011-2030)
11. EP3-CTTAGGTCTTATGTCTGAGCCTTC (2181-2204)
12. P75-TACCAAAGGTACCCCGCCTC (2491-2510)
13. EP5-CGTTGTTCAGTACCAGTTTACTGC (2925-2948)
14. P112-CTTTGCTGCTTTTAACCCGC (3051-3070)
15. P97-CTTGGCGACCCGAACCAGAT (3181-3200)
16. P118-AGACCTGTCCCTGTT (3781-3795)
17. P129-CGCAAGGCCGTGCTGTCCAC (3931-3950)
18. P120-CATGGTCGAGAAGGGCC (4088-4105)
20. P104-CAGGCCCCGAAGGAGTC (4534-4550)
21. P99-CGCTCCCTGATGTTGTGCGCT (4820-4840)
22. P138-TAACCTGATTGGTATGCTAC (5001-5020)
23. EP11-ATGAATAACATGTCTTTTGCTGCGCC (5106-5131)
24. P123-GCCTATGTTGCCCGCGCCAC (5188-5207)
25. EP7-AGTGCCTGATGTCGACTCTCG (5509-5529)
26. P116-CCCAAGTGAGCGCCTAC (5884-5900)
27. P124-GCCGAGCTCACCACCACGGC (6161-6180)
28. P21-GCGCCTTAAGATGAAGG (7089-7106)
3' → 5'REVERSE PRIMER
29. P126-TTTTTTCAGGGAGCGCGGAA (7202-7181)
30. HEVU2-CAACAGAAAGAAGGGGGGCACAAG (7161-7138)
31. P94-CGGGACCAGCACCCAG (6933-6908)
32. P140-GATGTATACAACTTAACAGT (6390-6371)
33. EP8-TTACGGGTGAGCCATGTATGC (6002-5981)
34. EP12-GTCATGGGCTGGAGCGACCGCGGTTA (5500-5475)
35. EP6-TAGGGGATTGCGAAGGGCTGA (5310-5475)
36. EP4-GCAAAAACATGAGGAGCAGCAACA (5189-5166)
37. P127-GGAAATCCACCTTCAACTTC (4771-4751)
38. P119-GCGGAAGTCATAACAGTG (4650-4633)
39. P130-GAGAGAGTCGCGGACATCAG (4020-4001)
40. P23-TGCGGCAGTGCACAATGTCTG (3913-3893)
41. 98-GGCGCTGGTGACCAATTTCG (3670-3651)
42. P106-GCGGGTTAAAAGCAGCAAAG (3070-3051)
43. P61-GGCATTACGCAACTCACGCG (3036-3017)
44. P42-TCACGCGTCGGGACCACGACA (3023-3003)
45. P85-TGGGTTATGTTCCAACCTA (2619-2601)
46. P76-GGCCGCGCCGTCGCGCATCAC (2550-2530)
47. P114-CCGTCTGGTGGGTTATGGCC (2350-2331)
48. P59-AGGCCAATGAGTCCCTCAGG (2060-2041)
49. 96-TGACTGGCATCGAAGGAGAG (1820-1801)
50. P57-GCCGCGAAGGTAGGTCATTAA (1065-1045)
51. P132-CAGCATGGAAGGTCGACTTA (970-951)
52. P122-CCAATTTCAAGACAACGGC (296-278)
53. P105-AGAAAAGGCCTAACTACCAC (140-121)
その結果、ORF1、ORF2、ORF3の各遺伝子の塩基配列は既に報告されているE型肝炎ウイルス遺伝子の塩基配列と比較し、それぞれ以下の様な相同性を示していた。更に、アミノ酸配列での相同性に関しても同様に比較した。その結果、各領域の相同性は、以下の表中の様であった。なお、表1中、本発明により単離されたHEVは「Burma/86(Li)」と表示されている。
Figure 0004064432
(4) HEV(1-7200)の構築及び形質転換体の作製
実施例1−(3)中に記載のpHEV(1-6)(1-2060), pHEV(138)(1458-3023), pHEV(100-10)(2925-5310), pHEVD2U2(5134-7161), pHEV(7)(6161-7200)から(i)pHEV(1-6)(1-2060)を制限酵素EcoRIを用いて消化し、発現ベクターpGEM-3のEcoRI部位内に再クローニングした。(ii)このクローンを制限酵素ApaLI及びBamHIを用いて部分消化を行ない、前述のpGEM-3内にHEV遺伝子の1-1468の部分を残し他の領域はアガロースゲルで分離した。(iii)pHEV(138)(1458-3023)のクローンに対して(ii)同様に制限酵素ApaLI及びBamHIを用いて部分消化を行ないHEV遺伝子の1468-2960の領域をアガロースゲルを用いて分離精製した。(iv) (ii)(iii)の2つの領域を用いてライゲーション反応を行ない(i)で得られた発現ベクターpGEM-3内にHEV遺伝子の1-2960の領域をクローニングした。(v)さらにpHEV(100-10)(2925-5310)を制限酵素BamHIを用いて消化を行ないHEV遺伝子のうち2960-5310を含む領域を切り出しアガロースゲルを用いて精製単離した。この遺伝子断片(2960-5310)と(iv)で得られたクローン化DNAとを制限酵素BamHI部位同士でライゲーションを行ない、E型肝炎ウイルス遺伝子1-5310までを含むpGEM-3クローンを得た(HEV-ORF1)。(vi)pHEV(D2U2)(5134-7161)及びpHEV(7)(6161-7200)を制限酵素KpnIで消化し、pHEV(D2U2)(5134-7161)から単離した遺伝子断片とpHEV(7)(6161-7200)から得られた発現ベクターを含む遺伝子断片同士のライゲーションを行ないクローン化した(1-5310)。(vii)前述のクローンとpHEV(100-10)(2925-5310)を制限酵素NurIを用いて消化しE型肝炎ウイルス遺伝子の(3600-7200)までを含む領域をクローン化した(N-9クローン)。(viii)HEV-ORF1及びN-9の両クローンを制限酵素SfiI及びXbaIを用いて消化し、HEV-ORF1から得られたHEV遺伝子の(1-3966pGEM-3)とN-9より得られたHEV遺伝子の(3966-7200)を含む断片をそれぞれ単離精製した後ライゲーションした。
その結果、発現ベクターのpGEM-3のマルチクローニングサイト内にE型肝炎ウイルス全塩基配列を包含するHEV(1-7200)を得た。
これらのE型肝炎ウイルス全塩基配列を含むHEV(1-7200)クローンは、GIBCO BRL社製エレクトロポレーションシステムを用い、さらに大腸菌DH10B細胞を宿主として形質転換した。
上記方法により作製され、E型肝炎ウイルス全塩基配列を含むHEV(1-7200)クローンを有する大腸菌DH10B株は、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されており、その受託番号はFERM P-16072である。
実施例2
バキュロウイルスを用いたORF2ウイルス抗原蛋白質の発現
(1)組換え転移ベクターの作製
実施例1−(3)で得たpHEV(D2U2)(5134-7161)(上記プライマーD2及びU2を用いてHEV遺伝子全長(配列番号5)の5134〜7161ntの2028bpの増幅領域を組込んだもの)を、制限酵素BamHI及びXbaIそれぞれ20ユニットで、37℃、2時間消化後、0.7%アガロースゲルを用いて電気泳動を行い挿入遺伝子断片の分離精製を行った。更に、精製断片をアガロースゲルから切り出しBandprep(ファルマシア社製)によって目的のフラグメントを精製した。
同様にして、バキュロウイルストランスファーベクターpVL1393(ストラタジーン社製 )5μgを制限酵素SmaI及びXbaI,或いはBamHI及びXbaI 20ユニット 37℃ 2時間の条件で消化した。そして、0.7%アガロースゲルを用いて電気泳動法によって分離精製した。更にまた、プラスミドベクターをゲルから切り出しBandprep(ファルマシア社製)によって精製した。
前述までに得られたE型肝炎ウイルスの全長ORF2フラグメントはバキュロウイルストランスファーベクターpVL1393/SmaI-XbaIsと5’欠損 ORF2フラグメント(転写開始コドン + 112aa-660aa,5’末端にBamHIを3’末端にXbaIを持つフラグメント)はバキュロウイルストランスファーベクターpVL1393/BamHI-XbaIとTAKARA ligation kit ver.2を用いて結合した。ligation反応の条件は、15℃ 30分間である。また、挿入遺伝子濃度は、125ngであり、ベクターDNA濃度は、25ngであった。さらに、全反応液容量は、8μlであった。
前項の反応液の全量を用いて、大腸菌K−12株系の例えばDH10B等の株を用いてGIBCO BRL社製エレクトロポレーションシステムにより用いて形質転換を行った。
さらに、形質転換後、得られた形質転換体を適当に20個程度選択し、LB培地を用いて液体培養を行う。それらの培養液から1.5mlをサンプリングしてFlexiPrep kit(ファルマシア社製)によりPlasmid DNAの精製を行った。そして、それらのDNAを用いて制限酵素によるマッピングを行い、目的のプラスミドpVL(D13U14)を取得した。
(2)組換えウイルスの作製
φ35mmのプラスティック製ディッシュ(住友ベークライト社製)を用いて、昆虫細胞Sf9細胞(Spodoptera frugiperda)は、10%牛胎児血清(FCS)を含む培地(TC100あるいは Excell 400)で、3〜4日培養した。次いで、φ35mmディッシュ(住友ベークライト社製)を用いて、1×106個/ディッシュ、培地量約1.5mlになる様に細胞を調整した。この状態で30〜40分間静置した後、無菌的に上記培地を除去し、1.5mlの無血清培地例えば(Ex cell 400またはGrace's medium)に交換した。
ここにBaculoGold linearized Baculovirus DNA 0.5μg(Pharmingen Co Ltd)及び1μgのpVL(D13U14)を8μlの精製水に溶解し、2倍希釈した等量のリポフェクチン(Gibco BRL Co Ltd)と混合後、室温で15分間放置した。このDNA混合物を上記無血清培地中に1滴ずつ静かに全体に滴下した。(Co-transfection)。そして、インキュベーター内に収納し、26〜26.5℃で3日間培養した。
Co-transfection後、約3日間経過した細胞培養上清約1mlを1.5ml遠心チューブに回収し、それらの各20μlを用いて10−1〜10−3 のウイルス力価まで無血清培地によって希釈し各々の100μlを1×106個/ディッシュ(φ35mm)に調整した細胞に接種し、約1時間静置して吸着させる。その後、組換えウイルス液を除去し、1%低融点寒天ゲル(Sea Plaque:宝酒造社製)2mlを重層し、ゲルが凝固した後、更に、1mlの培地を重層し、26〜26.5℃で3〜4日間培養する。更に、0.01%(W/V)ニュートラルレッド(10mMリン酸緩衝液)を1ml加え、プラークアッセイを行った。(J.gen.Virol;1977,36,361-364)ここで組換えウイルスである透明プラークを選択をした。
プラークアッセイによって得られた組換え体と思われるプラークをパスツールピペットによってゲル諸とも採取し、それらを細胞培養用培地400μlに浮遊し十分撹拌を行った。その後、アガロースゲルを3000rpm 5minの条件で遠心沈殿させた。この時得られた上清をプラークアッセイ時同様に、10−1〜10−3まで細胞培養用培地で希釈し、低融点寒天を用いてCo-transfection時同様にプラークアッセイを行いて組換えウイルスの精製を行った。
プラーク純化(plaque purification)によって得られた組換え体の感染力価を上昇させる為に更に昆虫細胞Sf9 cellに感染させた。この時も上記までと同様に、φ35mmディッシュに約1×106個/ディッシュの昆虫細胞Sf9細胞を用意し、約30分間静置後、培地の大部分を除去し、そこに得られた組換えウイルスを約100μl加え、約15分間隔で穏やかに振とう混和を行う。この操作は合計4回、約1時間に渡って行った。
次に、昆虫細胞用培地を1.5ml加え、3〜4日間培養を行ってその上清を採取した。この時、得られた上清を用いて75cm2培養フラスコ2本を用いて同様にSf9 cellを準備し、上清1mlを接種し、3〜4日間の培養以後、得られた上清をE型肝炎ウイルス構造蛋白質発現用高力価組換え体とした。
(3)E型肝炎ウイルス構造蛋白質(ORF2)の発現
φ35mmディッシュに昆虫細胞Tn5細胞(1×106 cells/ディッシュ)室温で30分間静置して吸着させた培地の大部分を吸引除去した後、前項記載の高力価組換えウイルス(1×107pfu/ml)をMOI5〜10になるように接種し、約15分間隔で穏やかに振とうしながら計4回、一時間に渡り、この操作を続けた。
その後、昆虫細胞培養用培地を0.5〜1ml添加し、3〜4日間、26〜26.5℃で培養を行いE型肝炎ウイルス構造蛋白質(ORF2)の発現を行った。
発現蛋白質は、10%SDS−PAGEを用いて電気泳動後、クマシーブルーで染色後目的とする蛋白質の分子量及び発現蛋白質量を観察した。その結果、発現蛋白質は予想される分子量を持つ蛋白質であることが確認された。
抗原性の確認は、実験的にE型肝炎ウイルスを感染させたカニクイザルの回復期血清並びにE型肝炎患者血清を用いたウエスタンブロッティング及び蛍光抗体法で行った。その結果、発現蛋白質と特異的に反応するバンドの存在と蛍光発色が確認され、発現蛋白質がE型肝炎ウイルス構造蛋白質である事を確認した。
精製ウイルス様中空化粒子をE型肝炎回復機期患者血清と混合し、37℃で一時間反応後、ベックマンSW50.1 ローターで100,000xg、3時間遠心し、沈査を4%Uranic acetateによる陰性染色後、電子顕微鏡で検鏡してウイルス凝集像を確認した。尚、倍率は約50,000倍で検鏡した。その結果、約25nmの中空円型のウイルス様粒子構造物であるいわゆる”Empty particle ”の凝集像を確認した。
(4)E型肝炎ウイルス発現蛋白質の精製と電子顕微鏡を用いたEmpty particleの確認
昆虫細胞Tn5細胞を用いて、表面積150cm2のプラスティック製細胞培養用ボトル5〜6本を用いて、大量にE型肝炎ウイルス構造蛋白質(ORF2)を発現させ精製に供試した。Tn5 cell培養上清を1,000xgで10分間遠心沈殿させて夾雑物を除き、更に、10,000xgで30分間遠心してバキュロウイルスを除外した。10%蔗糖を含むリン酸緩衝液(pH7.2)10mlに重層してベックマンSW28ローターで100,000xg 3時間遠心し、ウイルス様中空化粒子抗原を沈査として回収した。1mlのリン酸緩衝液(pH7.2)に懸濁してそれぞれ2mlの20%及び10%蔗糖液を重層したものにさらに、重層し、ベックマンSW50.1ローターで100,000xg、3時間遠心してウイルス様中空化粒子を20%と10%蔗糖液の中間に回収した。さらに、乳白色のバンドを回収しリン酸緩衝液で5倍希釈し、ベックマンSW50.1ローターで100,000xg、3時間遠心沈殿を行い、ウイルス様中空化粒子(Empty particle)抗原を回収し図中に示した様に電子顕微鏡下に確認した。
実施例3
バキュロウイルス発現E型肝炎ウイルス中空化粒子抗原を用いた抗E型肝炎ウイルス抗体の作製
(1)1mgの精製中空化粒子抗原を含む1mlのリン酸緩衝液(pH7.2)と1mlのFreund incompleteアジュバントを混合し、2KgのNew Zealand Whiteウサギに皮下注射した。
(2)一ヶ月後に0.5mgの中空化粒子抗原を含むリン酸緩衝液(pH7.2)0.5mlとFreund incomplete アジュバント0.5mlを混合して皮下に一回目の注射をした。更に、一週間後に、同様にして同じく皮下に二回目の注射を行った。この5日後に全採血し、血清成分を分離した。
(3)分離精製した血清は、バキュロウイルス発現抗原(Empty particle)を固相した平底ポリスチレンプレートを用いてELISAでボックスタイトレーションを行い抗体力価を決定した。
実施例4
バキュロウイルス発現蛋白質(Empty particle)を用いた抗HEV IgG特異抗体の検出
(1)バキュロウイルス発現蛋白質(Empty particle)固相プレートの作製
実施例2−(3)に記載のバキュロウイルス発現蛋白質(Empty particle)を50mM 炭酸バッファー(pH9.5)で各々0.1〜10μg/ml濃度に希釈し、ポリスチレン平型マイクロプレート(ダイナテック社製)に100μg/ウエルで分注し、4℃で1晩静置した。次にマイクロプレートを最終濃度0.05%Tween 20を含むPBS 200μl/ウエルで3〜4回洗浄後、最終濃度0.05%牛血清アルブミン(BSA)と0.05%Tween20を含む10mM PBS 200μl/ウエルを加えて4℃で一晩静置し、バキュロウイルス発現抗原(Empty particle)固相マイクロプレートを作製した。
(2)E型肝炎患者血清 検体を用いた抗HEV IgG抗体の検出
前述のバキュロウイルス発現抗原(Empty particle)固相マイクロプレート中のプレート保存液を除外し6回洗浄後、E型肝炎患者血清を0.5%BSAと0.05%Tween20を含む10mM PBS(pH7.2)で100倍に希釈し、その100μlを抗原固相マイクロプレートのウエルに加え、37℃で一時間反応させた。反応後、0.05%Tween20を含む5mM PBS 200μl/ウエルで6回洗浄した。ついで、0.05%Tween20を含む5mM PBSで約20,000〜40,000倍に希釈した抗ヒトIgGヤギパーオキシターゼ標識抗体(MBL)を100μl/ウエル加え、37℃で一時間反応させた。反応後、0.05%Tween20を含む5mM PBS 200μl/ウエルで6回洗浄した。洗浄後、3.3mg/mlのO−フェニレンジアミンを含む、0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液(pH 5.0)に、0.02%過酸化水素を加えた基質を100μl/ウエル加えて室温で約30分間反応させた。反応後、1.5N硫酸を100μl/ウエル加えて反応を停止させ、マイクロプレート用比色計を用いて、波長492nmで各ウエルのO.D.値を測定した。(表2)。
Figure 0004064432
*ORF2全長発現蛋白質によるウエスタンブロッティング
この結果より、E型肝炎ウイルスの0RF2の全長を発現させた抗原とE型肝炎ウイルス中空化粒子抗原を用いたIgG抗体検出ウエスタンブロッティングの成績を比較したところ陽性一致率及び陰性一致率共に100%の結果であった。
以上の結果より、バキュロウイルス発現蛋白質Enpty particleを用いた抗HEV-IgG特異抗体検出に於いて検出感度及び特異性共に文献上の他のアッセイとの比較よりも高いことから今回発現させた中空化粒子抗原の有効性が示唆される結果となった。
実施例5
バキュロウイルス発現蛋白質(Empty particle)を用いた抗E型肝炎ウイルスIgM特異抗体の検出
(1)抗バキュロウイルス発現蛋白質Empty particle抗体に対するパーオキシダーゼ標識
実施例2−(3)記載のバキュロウイルス発現蛋白質Empty particleの10〜500μg/mlを1mlとフロイントの完全アジュバント(Difco社製)1mlを等量混合し、エマルジョンを作製して、モルモットに免疫した。次いで不完全アジュバント(Difco社製)1mlを前術の抗原溶液と等量混合しエマルジョンを作製して2回追加免疫した。追加免疫した後、モルモットを全採血した。その血液から血清成分を分離し、硫安分画後、50mM Tris - HCl (pH7.6)で4℃、一晩透析した。次ぎに50mM Tris - HCl(pH7.6)で平衡化した。DEAE セファロースクロマトグラフィーにかけ、UV波長280nmでモニタリングし、O.D.のピークを集めてDEAE精製IgG画分とした。
このIgG抗体画分を過ヨーソ酸改良法〔酵素免疫測定法 ,2:91(1982)〕でパーオキシダーゼ標識した。即ちパーオキシターゼ4mg/mlになる様に蒸留水で溶解した。ついで、0.1M過ヨーソ酸ナトリウム0.2mlを加え、室温で約20分間反応させ、1mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)で一晩透析した。透析後、0.2M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)を0.02ml加え、pH9〜9.5にすると同時に前述したIgG抗体を8mg加えた。
室温で2時間反応させ、4mg/ml水酸化ホウ素ナトリウムを0.1ml加え、4℃で2時間反応させた反応後、10mMリン酸バッファーを用いてセファクリルS−200によるゲル濾過を行い、UV波長280nmでモニタリングしてパーオキシダーゼ標識抗体画分を集めた。
(2)E型肝炎患者血清を用いた抗E型肝炎ウイルスIgM特異抗体の検出
抗ヒトIgMモノクロナール抗体(MILS社製)を50mM炭酸バッファー(pH9.5)で500〜1000倍に希釈し、ダイナテック社製ポリスチレン平型分割マイクロプレート(高結合タイプ)に100μl/ウエル分注し、4℃、18時間以上静置した。静置後、マイクロプレートを0.05% Tween20を含む5mM PBS 200μl/ウエルで3〜4回洗浄後、0.5%BSAと0.05%Tween20を含む5mMPBS 200μl/ウエル加えて4℃、一晩静置後、抗ヒトIgMモノクロナール抗体固相マイクロプレートを用いて、抗E型肝炎ウイルスIgM特異抗体検出試薬を試作した。
次に、抗E型肝炎ウイルスIgM特異抗体検出試薬のプレート中の保存液を除外した。ついで、E型肝炎患者血清を0.2%BSAと0.05%Tween20を含む10 mM PBSで200倍に希釈し、前述の抗ヒトIgMモノクローナル抗体固相マイクロプレートに100μl/ウエルに加え、室温で約1時間反応させた。反応後、0.05%Tween20を含む5mM PBSで0.05〜5.0μg/ml濃度に希釈し、それを100μl/ウエル加え、室温で約1時間反応させた。反応後、0.05%tween20を含む5mM PBS200μl/ウエルで3〜4回洗浄した。0.5%BSAと0.05%Tween20を含む5mM PBSで2000〜20000倍に希釈した前述、実施例2−(3)のバキュロウイルス発現蛋白質Empty particleに対するパーオキシターゼ標識モルモット抗体を100μl/ウエル加え、室温で約1時間反応させた。反応後、0.05%Tween20を含む5mM PBS 200μl/ウエルで3〜4回洗浄した。洗浄後、3.3mg/ml 0−フェニレンジアミンを含む0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液(pH5.0)に、最終濃度0.02%の過酸化水素水を加えた基質液を100μl/ウエル加えて室温で約30分間反応させた。 反応後、1.5N硫酸を100 μl/ウエル加えて反応を停止させ、マイクロプレート用比色計で波長492nmを用いて各ウエルのO.D.値を測定した。(表3)
Figure 0004064432
*ORF2全長発現蛋白質によるウエスタンブロッティング
この結果より、E型肝炎ウイルス ORF2の全長とE型肝炎ウイルス中空化粒子抗原をもちいた抗HEV-IgM特異抗体検出のウエスタンブロッティングの成績を比較したところ、陽性一致率及び陰性一致率ともに100%であった。
以上の結果より、バキュロウイルス発現蛋白質(Empty particle)を用いた抗HEV-IgM特異抗体の検出には、検出感度及び特異性共に、文献等に示されているよりも、高いため、これらの中空化粒子抗原の有効性が示唆された。
実施例6
E型肝炎ウイルス抗原の検出
(1)E型肝炎ウイルス抗原に対する抗体固相マイクロプレートの作製
実施例3記載の抗E型肝炎ウイルスウサギ抗体を50mM 炭酸バッファー(pH9.5)で0.1〜5.0μl/mlに希釈した。希釈後、ポリスチレン平型マイクロプレート(ダイナテック社製)に100μl/ウエル分注し、4℃で18時間以上静置した。静置後、マイクロプレートを0.05%Tween20を含む5mM PBS 200μl/ウエルで3〜4回洗浄後、0.5%BSAと0.05% Tween20を含む5mM PBSを200μl/ウエル加えて4℃一晩静置し、抗体固相マイクロプレートを作製した。
(2)E型肝炎患者便材料を用いたE型肝炎ウイルス抗原の検出
次に、抗体固相プレートを用いて、E型肝炎患者便材料よりE型肝炎ウイルスの検出を行った。前記述の抗体固相マイクロプレートウエル中のプレート保存液を除き、ついで、E型肝炎患者便材料10%ホモジネートを0.2%BSAと0.05%Tween20含む10mMPBSで200倍に希釈し、前記述の抗E型肝炎ウイルス抗体固相マイクロプレートに100μl/ウエル加え、室温(15〜25℃)で約1時間反応させた。反応後、0.05%Tween20を含む5mM PBS 200μl/ウエルで6回洗浄した。
0.05%BSAと0.05%Tween20を含む5mMPBSで2000〜5000倍に希釈したE型肝炎ウイルス中空化粒子抗原に対するパーオキシダーゼ標識モルモット抗体を100μl/ウエル加え、室温で約一時間反応させた。反応後、0.05%Tween20を含む5mMPBS200μl/ウエルで6回洗浄した。
洗浄後、3.3mg/ml O−フェニレンジアミンを含む0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液(pH 5.0)に、終濃度0.02%の過酸化水素水を加えた基質液を100μl/ウエルを加えて、室温で約30分間反応させた。反応後、1.5N硫酸を100μl/ウエル加えて反応を停止させ、マイクロプレート用比色計で波長492nmを用いて各ウエルのO.D.値を測定した。(表4)
Figure 0004064432
この結果から、バキュロウイルス発現抗原で免疫した抗E型肝炎ウイルス抗体を用いたE型肝炎ウイルス抗原検出系は有用である事が分かった。
参考例1
PCR法によるE型肝炎ウイルス遺伝子の検出
E型肝炎ウイルス感染患者血清中からHEV RNAをRNA抽出キットを用いて抽出した。
次に抽出したRNAを用いてcDNA合成キットにより、cDNAを合成した。合成済みのcDNAをPCR primerを用いて遺伝子の増幅を試みた。遺伝子増幅に際して選択した領域は、HEV ORF2の全領域をコードする1980bpを含む領域である。
尚、以下にE型肝炎ウイルス遺伝子 ORF2増幅用PCRプライマーの位置を示す。
First PCR Primer
HEV-D4 TGTAGAGAATGCTCAGCAAGGATAA (6391-6414)
HEV-U4 TAACTCCCGAGTTTTACCCACCTT (7103-7126)
Secondary PCR Primer
HEV-D5 CTGCCGAGTATGACCAGTCCACTTA (6576-6600)
HEX-U3 TTAAGGCGCTGAAGCTCAGCGA (7077-7098)
Figure 0004064432
比較例1 ORF2全長の発現
実施例1及び2と同様にして、ORF2の全長を切り出し、バキュロウイルスベクターに組込み、Tn5細胞で発現させた。細胞内には全長と考えられる72 KDa及びcleavage productと思われる58 kDaと50 kDaのタンパク質の産生が認められた。しかし、細胞培養上清中にはこれらのタンパク質の存在は認められなかった。また、細胞ライセートについても電子顕微鏡で何度も観察したが粒子は全く観察されなかった。さらに、培養上清についてPEG濃縮を行なったり、超遠心方によって培養上清をペレットにしてこれらを同様に電子顕微鏡で観察したが粒子は観察されなかった。これらの結果から、ORF2全長を発現させた場合にはウイルス粒子は形成されないものと考えられる。

Claims (2)

  1. 配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドであって、E型肝炎ウイルスの抗原性を有するポリペプチドから成るE型肝炎ウイルスの直径約25nmの中空粒子を産生するタンパク質をコードするDNAを、バキュロウイルスベクターのバキュロウイルス遺伝子非必須領域内に挿入して組換えバキュロウイルスベクターを調製し、該組換えバキュロウイルスベクターを昆虫細胞Sf9に導入することで該組換えバキュロウィルスベクターの感染力価を上昇させた後に、該組換えバキュロウイルスベクターを昆虫細胞Tn5に導入することにより、該昆虫細胞中で前記中空粒子を構築させることを含む、E型肝炎ウイルスの直径約25nmの中空粒子の作出方法。
  2. 請求項1に記載する方法により得られる、E型肝炎ウイルスの直径約25nmの中空粒子。
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