JP4064432B2 - E型肝炎ウイルス中空粒子、それをコードする遺伝子及びそれらの遺伝子を含む組換えベクターの作製方法と利用方法 - Google Patents
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Description
この工程の技術は従来の公知の常法、例えばフェノール抽出法等が例示される。今回は、0.5mlのサル胆汁からRNA extraction kitであるRNAzolを用いてRNAを抽出した。次に、Oligotex-dT30(Super)でmRNAを分離精製した。
この工程は例えば逆転写酵素を用いる公知の常法により実施する事が可能である。今回は、Oligo(dT)12-18をプライマーに、AMV(Avian Myeloblastosis Virus)(生化学工業社製)由来逆転写酵素でcDNAを調製した。
この工程で使用可能なクローニングベクターとしては、大腸菌に代表される原核細胞を宿主とするプラスミド、及び、λファージ等に代表されるバクテリオファージ由来のベクター等公知のものを使用する事が出来る。この工程に於いてはクローニングベクターとその宿主細胞とを適当に組み合わせて使用する事が望ましい。クローニングベクターの具体的な例としては、pBR322,pBR325,pBR327,pBR328,pUC7,pUC8,pUC9,pUC19等が例示される。遺伝子の挿入方法は公知の常法に従えばよい。これらのベクターの構築にあたっては、遺伝子操作の容易である大腸菌系を使用する事が望ましい。また、使用するプラスミドベクターは特に限定されるものではない。今回は、産生したRNA:DNAハイブリットを鋳型として、以下のプライマーセットを用いてPCR法によるウイルス遺伝子の増幅を試みた。
HEV-U2 5'- CAACAGAAAGAAGGGGGGCACAAG-3' 7138-7161
プラスミドクローンpHEV(D2U2)を制限酵素 NruI及びXbaIで消化切断し、アガロースゲル電気泳動法によって分離後、精製し、制限酵素SmaI及びXbaIで消化切断したバキュロウイルストランスファーベクターpVL1393と結合し、トランスファーベクターpVL(D2U2)を作製した。
この工程では発現ベクターと当該ベクターが感染・増殖可能である宿主細胞を選択し適宜組み合わせて使用する事が望ましい。この工程で特に留意すべき点としてはORF2をコードする遺伝子と公知の発現ベクターとを単純に連結したのみでは抗原性を有するHEV ORF2蛋白質の発現は期待できない。E型肝炎ウイルス ORF2をコードする遺伝子と公知の発現ベクターとの連結には概略的に以下に示す様な工夫を必要とする。
HEV-U14 5'-GGTCTAGACTATAACTCCCGAGTTTTACCCACCTTCATCTT-3'
d)発現産物の収量を高める。
e)発現産物を細胞外へ分泌させ精製方法を容易にする。これらの工夫は主として発現ベクター側の改編によって達成可能である。
組換えバキュロウイルスの作製に当たっては、まずバキュロウイルスの増殖に非必須な遺伝子領域内にE型肝炎ウイルス抗原蛋白質をコードする遺伝子の一部分を挿入する。ここでは一般に、トランスファーベクターとして、例えば、pAcYM1(J.General Virology,Vol.68,pp.1233-1250,1987)などが例示され、市販のものを用いることもできる。
前項組換えウイルスを5日間培養した後、培養上清を例えばTC100等の昆虫細胞培養用メディウムを用いて10倍に希釈した。その0.1mlをとり、直径3.5cmのプラスチックシャーレに培養した3×106個のSf9細胞に接種した。26.5℃、30分間吸着後1%アガロースME(低融点アガロース)を含むTC 100培養液2mlを重層し26.5℃で培養した。更に、培養開始後4日目に0.005%のニュートラルレッドを含むメディウム1mlを重層して出現したプラークを計測した。更に2代のプラーククローニングを行って組換えウイルスを純化した。3代目のプラークをパスツールピペットで分離し、1mlのTC100メディウムに懸濁し、その0.1mlを106個のSf9細胞に接種した。吸着後TC100培養液を用いて5日間培養し、その上清を種ウイルス(Ac(D13U14))とした。
宿主細胞としては、昆虫細胞、例えば、Sf9及びTn5細胞等が例示される。これらの昆虫細胞に対して前記組換えバキュロウイルスをMOI(Multiplicity of infection)10で感染させる。この時、組換えウイルス液を細胞に滴下させ、靜かに振とうさせながら約30分程度吸着させた。その後、例えば、TC100、EXcell 400等の昆虫細胞用培地に10%FCS、2%BTBを添加し、26.5℃、72hr培養後発現蛋白質即ちE型肝炎ウイルス抗原蛋白質の回収を行う。
組換えウイルス感染培養細胞及び培養上清を経時的に採取した。これらの採取した感染培養細胞及び培養上清に関して、SDS-PAGEで分離後蛋白質をクマシーブルー染色で検出し、予想される分子量の妥当性を検討した。また、SDS-PAGEで蛋白質を分離後ニトロセルロース膜に転写し、E型肝炎患者急性期及び回復期血清によるウエスターンブロッティング法で発現蛋白質を同定した。培養細胞では上記血清と反応後蛍光標識した抗IgG抗体による蛍光抗体法で発現蛋白質を確認した。また、感染細胞の電子顕微鏡用超薄切片を作製し、血清と反応後金コロイド標識した抗ヒトIgG抗体によるイムノゴールド法で発現蛋白質を同定した。培養上清に関しては上清そのものを、或いは、PEG6000で沈殿濃縮したものをウラニル酢酸でネガティブ染色し、電子顕微鏡で検鏡し直接ウイルス様粒子を検出した。
Tn5 cell培養上清を1,000xgで10分間遠心して夾雑物を取り除き、更に、10,000xgで、30分間遠心してバキュロウイルスを取り除いた。10%蔗糖を含むリン酸緩衝液(pH7.2)10mlに前出の上清を重層してベックマンSW28ローターで100,000xg、3時間遠心してウイルス様中空化粒子を沈査に回収した。1mlのリン酸緩衝液(pH7.2)に懸濁して10%〜40%蔗糖勾配に重層後ベックマンSW41ローターで100,000xg、3時間遠心してウイルス様中空化粒子を20%と10%蔗糖液の中間に回収した。白乳色のバンドを回収しリン酸緩衝液で5倍希釈後、ベックマン SW50.1 ローターで100,000xg、3時間遠心後、ウイルス様粒子化抗原を回収した。
精製ウイルス様中空粒子をSDS-PAGEで分離し、ニトロセルロース膜へ転写後E型肝炎患者回復期血清を用いたウエスタンブロッティングを行った。精製ウイルス様中空化粒子抗原をE型肝炎患者回復期血清と混合し、37℃で1時間反応後、ベックマンSW50.1ローターで100,000xg、3時間遠心し、沈査を電子顕微鏡で検鏡してウイルス凝集像を検出した。
初回免疫:1mgの精製中空粒子を含む1mlのリン酸緩衝液(pH7.2)と1mlのFreund incompleteアジュバントを混合し、2kgのNew Zealand Whiteウサギに皮下注射した。
E型肝炎ウイルスの全塩基配列決定の為のPCRとクローニング
(1)E型肝炎ウイルスRNAの抽出
1986年ミャンマーの首都ヤンゴンでE型肝炎の散発発生があり、患者10名から糞便を得た。これらをプールして10%浮遊液(リン酸緩衝液)を調製し、6000rpm 10分間、4℃の遠心法で部分精製後ポアサイズ0.25umのミリポアフィルター(ミリポア社製)を用いて濾過後、rhesus monkyに静脈注射した。その後、肝炎発生後、胆汁を採取し、ミリポアフィルターを用いて精製し、rhesus monkeyを用いて継代した。そして、RNA抽出には6代継代後の胆汁を使用した。(Microviol Immunol 36:67-79(1992))0.5mlの胆汁に対して400から800μlのRNAzol(Biotex Laboratories製)を加え、更にその1/5volumeのクロロホルムを加えて十分撹拌したのち10,500×gで20分間遠心沈殿を行った。遠心後、上層部分を新しい遠心チューブに移し、等量のイソプロパノールを加え−20℃で一晩エタノール沈殿を行った。
分離精製したRNAとoligo(dT)12-18プライマーを使用して、AMV由来逆転写酵素(生化学工業社製)でcDNAを調製した。さらに、これらのRNA:DNA hybrideを鋳型としてプライマーEP1/P59,EP2/P42,EP5/EP6,D2/U2,P124/P126の各プライマーセットによってそれぞれ2060,2566,2386,2028,1040bpを増幅した。PCRの増幅条件は、96℃ 1.5分間、72℃ 3分間を1サイクルとして40回繰り返した。
上記条件においてPCRによって増幅された遺伝子は、0.7%アガロースゲルを用いて分離後、増幅断片が単一で有ることをエチジウムブロマイド染色によって確認し、Bandprep(ファルマシア製)を用いて回収した。次に、回収した増幅断片の一部を用いて、クローニングベクターpCR2.1(ストラタジーン社製)にTA法によってクローニングし、pHEV(1-6)(1-2060),pHEV(138)(1458-3023),pHEV(100-10)(2925-5310),pHEV(D2U2)(5134-7161),pHEV(7)(6161-7200)を得た。
1. EP1-AGGCAGACCACATATGTGGT (1-24)
2. P109-TTGTTTTCCGCCCCGAGGTT (191-210)
3. P73-TTCCCGCCGAAACTGGCATC (491-510)
4. P128-CGGTCTACCGAGGTCTATGT (874-893)
5. P58-ATATTTGGGACCGTCTTATG (980-999)
6. P95-CCAGGCTATATCCAAGGGGA (1191-1210)
7. EP10-GATCCACGGGTGTTGGTTTT (1360-1379)
8. EP2-TGGTCAGGAGTGCACCTGTTTCCT (1458-1481)
9. P84-CTTGACCATCGGGCGGTT (1902-1920)
10. P137-CATTCGCTGACCGGTAACTT (2011-2030)
11. EP3-CTTAGGTCTTATGTCTGAGCCTTC (2181-2204)
12. P75-TACCAAAGGTACCCCGCCTC (2491-2510)
13. EP5-CGTTGTTCAGTACCAGTTTACTGC (2925-2948)
14. P112-CTTTGCTGCTTTTAACCCGC (3051-3070)
15. P97-CTTGGCGACCCGAACCAGAT (3181-3200)
16. P118-AGACCTGTCCCTGTT (3781-3795)
17. P129-CGCAAGGCCGTGCTGTCCAC (3931-3950)
18. P120-CATGGTCGAGAAGGGCC (4088-4105)
20. P104-CAGGCCCCGAAGGAGTC (4534-4550)
21. P99-CGCTCCCTGATGTTGTGCGCT (4820-4840)
22. P138-TAACCTGATTGGTATGCTAC (5001-5020)
23. EP11-ATGAATAACATGTCTTTTGCTGCGCC (5106-5131)
24. P123-GCCTATGTTGCCCGCGCCAC (5188-5207)
25. EP7-AGTGCCTGATGTCGACTCTCG (5509-5529)
26. P116-CCCAAGTGAGCGCCTAC (5884-5900)
27. P124-GCCGAGCTCACCACCACGGC (6161-6180)
28. P21-GCGCCTTAAGATGAAGG (7089-7106)
3' → 5'REVERSE PRIMER
29. P126-TTTTTTCAGGGAGCGCGGAA (7202-7181)
30. HEVU2-CAACAGAAAGAAGGGGGGCACAAG (7161-7138)
31. P94-CGGGACCAGCACCCAG (6933-6908)
32. P140-GATGTATACAACTTAACAGT (6390-6371)
33. EP8-TTACGGGTGAGCCATGTATGC (6002-5981)
34. EP12-GTCATGGGCTGGAGCGACCGCGGTTA (5500-5475)
35. EP6-TAGGGGATTGCGAAGGGCTGA (5310-5475)
36. EP4-GCAAAAACATGAGGAGCAGCAACA (5189-5166)
37. P127-GGAAATCCACCTTCAACTTC (4771-4751)
38. P119-GCGGAAGTCATAACAGTG (4650-4633)
39. P130-GAGAGAGTCGCGGACATCAG (4020-4001)
40. P23-TGCGGCAGTGCACAATGTCTG (3913-3893)
41. 98-GGCGCTGGTGACCAATTTCG (3670-3651)
42. P106-GCGGGTTAAAAGCAGCAAAG (3070-3051)
43. P61-GGCATTACGCAACTCACGCG (3036-3017)
44. P42-TCACGCGTCGGGACCACGACA (3023-3003)
45. P85-TGGGTTATGTTCCAACCTA (2619-2601)
46. P76-GGCCGCGCCGTCGCGCATCAC (2550-2530)
47. P114-CCGTCTGGTGGGTTATGGCC (2350-2331)
48. P59-AGGCCAATGAGTCCCTCAGG (2060-2041)
49. 96-TGACTGGCATCGAAGGAGAG (1820-1801)
50. P57-GCCGCGAAGGTAGGTCATTAA (1065-1045)
51. P132-CAGCATGGAAGGTCGACTTA (970-951)
52. P122-CCAATTTCAAGACAACGGC (296-278)
53. P105-AGAAAAGGCCTAACTACCAC (140-121)
実施例1−(3)中に記載のpHEV(1-6)(1-2060), pHEV(138)(1458-3023), pHEV(100-10)(2925-5310), pHEVD2U2(5134-7161), pHEV(7)(6161-7200)から(i)pHEV(1-6)(1-2060)を制限酵素EcoRIを用いて消化し、発現ベクターpGEM-3のEcoRI部位内に再クローニングした。(ii)このクローンを制限酵素ApaLI及びBamHIを用いて部分消化を行ない、前述のpGEM-3内にHEV遺伝子の1-1468の部分を残し他の領域はアガロースゲルで分離した。(iii)pHEV(138)(1458-3023)のクローンに対して(ii)同様に制限酵素ApaLI及びBamHIを用いて部分消化を行ないHEV遺伝子の1468-2960の領域をアガロースゲルを用いて分離精製した。(iv) (ii)(iii)の2つの領域を用いてライゲーション反応を行ない(i)で得られた発現ベクターpGEM-3内にHEV遺伝子の1-2960の領域をクローニングした。(v)さらにpHEV(100-10)(2925-5310)を制限酵素BamHIを用いて消化を行ないHEV遺伝子のうち2960-5310を含む領域を切り出しアガロースゲルを用いて精製単離した。この遺伝子断片(2960-5310)と(iv)で得られたクローン化DNAとを制限酵素BamHI部位同士でライゲーションを行ない、E型肝炎ウイルス遺伝子1-5310までを含むpGEM-3クローンを得た(HEV-ORF1)。(vi)pHEV(D2U2)(5134-7161)及びpHEV(7)(6161-7200)を制限酵素KpnIで消化し、pHEV(D2U2)(5134-7161)から単離した遺伝子断片とpHEV(7)(6161-7200)から得られた発現ベクターを含む遺伝子断片同士のライゲーションを行ないクローン化した(1-5310)。(vii)前述のクローンとpHEV(100-10)(2925-5310)を制限酵素NurIを用いて消化しE型肝炎ウイルス遺伝子の(3600-7200)までを含む領域をクローン化した(N-9クローン)。(viii)HEV-ORF1及びN-9の両クローンを制限酵素SfiI及びXbaIを用いて消化し、HEV-ORF1から得られたHEV遺伝子の(1-3966pGEM-3)とN-9より得られたHEV遺伝子の(3966-7200)を含む断片をそれぞれ単離精製した後ライゲーションした。
バキュロウイルスを用いたORF2ウイルス抗原蛋白質の発現
(1)組換え転移ベクターの作製
実施例1−(3)で得たpHEV(D2U2)(5134-7161)(上記プライマーD2及びU2を用いてHEV遺伝子全長(配列番号5)の5134〜7161ntの2028bpの増幅領域を組込んだもの)を、制限酵素BamHI及びXbaIそれぞれ20ユニットで、37℃、2時間消化後、0.7%アガロースゲルを用いて電気泳動を行い挿入遺伝子断片の分離精製を行った。更に、精製断片をアガロースゲルから切り出しBandprep(ファルマシア社製)によって目的のフラグメントを精製した。
φ35mmのプラスティック製ディッシュ(住友ベークライト社製)を用いて、昆虫細胞Sf9細胞(Spodoptera frugiperda)は、10%牛胎児血清(FCS)を含む培地(TC100あるいは Excell 400)で、3〜4日培養した。次いで、φ35mmディッシュ(住友ベークライト社製)を用いて、1×106個/ディッシュ、培地量約1.5mlになる様に細胞を調整した。この状態で30〜40分間静置した後、無菌的に上記培地を除去し、1.5mlの無血清培地例えば(Ex cell 400またはGrace's medium)に交換した。
φ35mmディッシュに昆虫細胞Tn5細胞(1×106 cells/ディッシュ)室温で30分間静置して吸着させた培地の大部分を吸引除去した後、前項記載の高力価組換えウイルス(1×107pfu/ml)をMOI5〜10になるように接種し、約15分間隔で穏やかに振とうしながら計4回、一時間に渡り、この操作を続けた。
昆虫細胞Tn5細胞を用いて、表面積150cm2のプラスティック製細胞培養用ボトル5〜6本を用いて、大量にE型肝炎ウイルス構造蛋白質(ORF2)を発現させ精製に供試した。Tn5 cell培養上清を1,000xgで10分間遠心沈殿させて夾雑物を除き、更に、10,000xgで30分間遠心してバキュロウイルスを除外した。10%蔗糖を含むリン酸緩衝液(pH7.2)10mlに重層してベックマンSW28ローターで100,000xg 3時間遠心し、ウイルス様中空化粒子抗原を沈査として回収した。1mlのリン酸緩衝液(pH7.2)に懸濁してそれぞれ2mlの20%及び10%蔗糖液を重層したものにさらに、重層し、ベックマンSW50.1ローターで100,000xg、3時間遠心してウイルス様中空化粒子を20%と10%蔗糖液の中間に回収した。さらに、乳白色のバンドを回収しリン酸緩衝液で5倍希釈し、ベックマンSW50.1ローターで100,000xg、3時間遠心沈殿を行い、ウイルス様中空化粒子(Empty particle)抗原を回収し図中に示した様に電子顕微鏡下に確認した。
バキュロウイルス発現E型肝炎ウイルス中空化粒子抗原を用いた抗E型肝炎ウイルス抗体の作製
(1)1mgの精製中空化粒子抗原を含む1mlのリン酸緩衝液(pH7.2)と1mlのFreund incompleteアジュバントを混合し、2KgのNew Zealand Whiteウサギに皮下注射した。
バキュロウイルス発現蛋白質(Empty particle)を用いた抗HEV IgG特異抗体の検出
(1)バキュロウイルス発現蛋白質(Empty particle)固相プレートの作製
実施例2−(3)に記載のバキュロウイルス発現蛋白質(Empty particle)を50mM 炭酸バッファー(pH9.5)で各々0.1〜10μg/ml濃度に希釈し、ポリスチレン平型マイクロプレート(ダイナテック社製)に100μg/ウエルで分注し、4℃で1晩静置した。次にマイクロプレートを最終濃度0.05%Tween 20を含むPBS 200μl/ウエルで3〜4回洗浄後、最終濃度0.05%牛血清アルブミン(BSA)と0.05%Tween20を含む10mM PBS 200μl/ウエルを加えて4℃で一晩静置し、バキュロウイルス発現抗原(Empty particle)固相マイクロプレートを作製した。
前述のバキュロウイルス発現抗原(Empty particle)固相マイクロプレート中のプレート保存液を除外し6回洗浄後、E型肝炎患者血清を0.5%BSAと0.05%Tween20を含む10mM PBS(pH7.2)で100倍に希釈し、その100μlを抗原固相マイクロプレートのウエルに加え、37℃で一時間反応させた。反応後、0.05%Tween20を含む5mM PBS 200μl/ウエルで6回洗浄した。ついで、0.05%Tween20を含む5mM PBSで約20,000〜40,000倍に希釈した抗ヒトIgGヤギパーオキシターゼ標識抗体(MBL)を100μl/ウエル加え、37℃で一時間反応させた。反応後、0.05%Tween20を含む5mM PBS 200μl/ウエルで6回洗浄した。洗浄後、3.3mg/mlのO−フェニレンジアミンを含む、0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液(pH 5.0)に、0.02%過酸化水素を加えた基質を100μl/ウエル加えて室温で約30分間反応させた。反応後、1.5N硫酸を100μl/ウエル加えて反応を停止させ、マイクロプレート用比色計を用いて、波長492nmで各ウエルのO.D.値を測定した。(表2)。
バキュロウイルス発現蛋白質(Empty particle)を用いた抗E型肝炎ウイルスIgM特異抗体の検出
(1)抗バキュロウイルス発現蛋白質Empty particle抗体に対するパーオキシダーゼ標識
実施例2−(3)記載のバキュロウイルス発現蛋白質Empty particleの10〜500μg/mlを1mlとフロイントの完全アジュバント(Difco社製)1mlを等量混合し、エマルジョンを作製して、モルモットに免疫した。次いで不完全アジュバント(Difco社製)1mlを前術の抗原溶液と等量混合しエマルジョンを作製して2回追加免疫した。追加免疫した後、モルモットを全採血した。その血液から血清成分を分離し、硫安分画後、50mM Tris - HCl (pH7.6)で4℃、一晩透析した。次ぎに50mM Tris - HCl(pH7.6)で平衡化した。DEAE セファロースクロマトグラフィーにかけ、UV波長280nmでモニタリングし、O.D.のピークを集めてDEAE精製IgG画分とした。
抗ヒトIgMモノクロナール抗体(MILS社製)を50mM炭酸バッファー(pH9.5)で500〜1000倍に希釈し、ダイナテック社製ポリスチレン平型分割マイクロプレート(高結合タイプ)に100μl/ウエル分注し、4℃、18時間以上静置した。静置後、マイクロプレートを0.05% Tween20を含む5mM PBS 200μl/ウエルで3〜4回洗浄後、0.5%BSAと0.05%Tween20を含む5mMPBS 200μl/ウエル加えて4℃、一晩静置後、抗ヒトIgMモノクロナール抗体固相マイクロプレートを用いて、抗E型肝炎ウイルスIgM特異抗体検出試薬を試作した。
E型肝炎ウイルス抗原の検出
(1)E型肝炎ウイルス抗原に対する抗体固相マイクロプレートの作製
実施例3記載の抗E型肝炎ウイルスウサギ抗体を50mM 炭酸バッファー(pH9.5)で0.1〜5.0μl/mlに希釈した。希釈後、ポリスチレン平型マイクロプレート(ダイナテック社製)に100μl/ウエル分注し、4℃で18時間以上静置した。静置後、マイクロプレートを0.05%Tween20を含む5mM PBS 200μl/ウエルで3〜4回洗浄後、0.5%BSAと0.05% Tween20を含む5mM PBSを200μl/ウエル加えて4℃一晩静置し、抗体固相マイクロプレートを作製した。
次に、抗体固相プレートを用いて、E型肝炎患者便材料よりE型肝炎ウイルスの検出を行った。前記述の抗体固相マイクロプレートウエル中のプレート保存液を除き、ついで、E型肝炎患者便材料10%ホモジネートを0.2%BSAと0.05%Tween20含む10mMPBSで200倍に希釈し、前記述の抗E型肝炎ウイルス抗体固相マイクロプレートに100μl/ウエル加え、室温(15〜25℃)で約1時間反応させた。反応後、0.05%Tween20を含む5mM PBS 200μl/ウエルで6回洗浄した。
PCR法によるE型肝炎ウイルス遺伝子の検出
E型肝炎ウイルス感染患者血清中からHEV RNAをRNA抽出キットを用いて抽出した。
HEV-D4 TGTAGAGAATGCTCAGCAAGGATAA (6391-6414)
HEV-U4 TAACTCCCGAGTTTTACCCACCTT (7103-7126)
Secondary PCR Primer
HEV-D5 CTGCCGAGTATGACCAGTCCACTTA (6576-6600)
HEX-U3 TTAAGGCGCTGAAGCTCAGCGA (7077-7098)
実施例1及び2と同様にして、ORF2の全長を切り出し、バキュロウイルスベクターに組込み、Tn5細胞で発現させた。細胞内には全長と考えられる72 KDa及びcleavage productと思われる58 kDaと50 kDaのタンパク質の産生が認められた。しかし、細胞培養上清中にはこれらのタンパク質の存在は認められなかった。また、細胞ライセートについても電子顕微鏡で何度も観察したが粒子は全く観察されなかった。さらに、培養上清についてPEG濃縮を行なったり、超遠心方によって培養上清をペレットにしてこれらを同様に電子顕微鏡で観察したが粒子は観察されなかった。これらの結果から、ORF2全長を発現させた場合にはウイルス粒子は形成されないものと考えられる。
Claims (2)
- 配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドであって、E型肝炎ウイルスの抗原性を有するポリペプチドから成るE型肝炎ウイルスの直径約25nmの中空粒子を産生するタンパク質をコードするDNAを、バキュロウイルスベクターのバキュロウイルス遺伝子非必須領域内に挿入して組換えバキュロウイルスベクターを調製し、該組換えバキュロウイルスベクターを昆虫細胞Sf9に導入することで該組換えバキュロウィルスベクターの感染力価を上昇させた後に、該組換えバキュロウイルスベクターを昆虫細胞Tn5に導入することにより、該昆虫細胞中で前記中空粒子を構築させることを含む、E型肝炎ウイルスの直径約25nmの中空粒子の作出方法。
- 請求項1に記載する方法により得られる、E型肝炎ウイルスの直径約25nmの中空粒子。
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