JP4064110B2 - 超音波モータ駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、超音波モータの駆動周波数を適切に制御する超音波モータ駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
円環または円盤タイプ超音波モータは、位相の異なる2つの交流駆動電圧を振動子(ステータ)に張り付けてある圧電素子に印加して振動子の表面に弾性振動の進行波を励起させることにより、振動子の表面に加圧接触させた移動子(ロータ)に進行波と逆の方向に回転する円運動を生じさせ、振動子と移動子間の摩擦力により移動子を移動させている。このような超音波モータでは、その共振周波数でモータを駆動させれば、最も駆動効率が良くなるとともに回転速度が最速となることが知られている。
【0003】
そこで超音波モータを共振周波数で駆動制御しようとする場合に従来では、超音波モータの駆動周波数を共振周波数よりも十分に高い周波数から徐々に下げていき、共振状態となったときに駆動周波数を固定して共振状態を維持していた。これは、超音波モータの共振周波数が負荷トルクや周囲温度の変化により変動するためで、何らかの原因により共振周波数が高周波数側へシフトしてしまった場合でも安定して超音波モータを起動できるように通常の共振周波数よりも十分に高い駆動周波数から徐々に下げていく必要がある。
【0004】
しかしながら、通常の状態(共振周波数がシフトしていない)の場合若しくは共振周波数が低周波数側へシフトしてしまった場合に、従来のように通常の共振周波数よりも十分に高い駆動周波数から掃引を開始したのでは、超音波モータが起動するまでに時間がかかり、応答性低下の要因となってしまう。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、共振周波数が変動した場合でも、超音波モータの迅速な起動および安定駆動を可能にする超音波モータ駆動制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【発明の概要】
本発明は、超音波モータと、この超音波モータの駆動周波数を初期駆動周波数から変化させることにより、該超音波モータを起動させる駆動制御手段と、前記超音波モータが回転を開始したときの駆動周波数に基づき、初期駆動周波数データを算出する演算手段と、該算出された初期駆動周波数データに基づき、次に前記超音波モータを起動させるときの初期駆動周波数を設定する設定手段と、前記超音波モータの起動毎に、該超音波モータが回転を開始したときの駆動周波数を起動周波数データとして記憶する周波数記憶手段と、前記超音波モータの起動毎に、該超音波モータが回転し始めてから所定時間経過後の前記超音波モータの回転速度を測定する速度測定手段と、この測定された回転速度を速度データとして記憶し、少なくとも前回の速度データと今回の速度データの記憶を保持する速度記憶手段と、前記前回の速度データと前記今回の速度データとの差が所定値以上あるか否かを判定する判定手段とを備え、前記演算手段は、前記周波数記憶手段に記憶されている起動周波数データに基づいて前記初期駆動周波数データを算出し、前記駆動制御手段は、前記判定手段によって速度データ差が所定値以上あると判定された場合は、前記周波数記憶手段に記憶されている起動周波数データを全て消去することを特徴としている。
【0007】
このように前回超音波モータが回転を開始したときの駆動周波数に応じて次回起動時の初期駆動周波数を変化させれば、超音波モータが回転し始めるまでの起動時間を短縮することができ、応答性が改善される。本発明の超音波モータ駆動制御装置において、判定手段によって速度データ差が所定値以上あると判定された場合は、負荷トルクが前回駆動時から変化している場合であり、超音波モータの共振周波数が変動している可能性がある。よって、駆動制御手段は、周波数記憶手段に記憶されている起動周波数データを全て消去することとした。なお、駆動制御手段は、超音波モータを安定駆動させるため、超音波モータの駆動周波数を初期駆動周波数から低減して超音波モータを起動させることが好ましい。
【0008】
好ましくは、周波数記憶手段に超音波モータの共振周波数データをも記憶させ、この共振周波数データと起動周波数データの平均値とを用いて、演算手段に初期駆動周波数データを算出させる。具体的には例えば、起動周波数データの平均値と共振周波数データとの差分を所定倍した値を起動周波数データの平均値に加算し、これを初期駆動周波数データとする。この場合には、前回駆動時の共振周波数よりも高周波側であって、且つ、前回駆動時の起動周波数に近い初期駆動周波数を設定できる。なお、周波数記憶手段は、超音波モータの回転速度が最高速度に達したときの駆動周波数を、共振周波数データとして記憶することが好ましい。
また演算手段は、上述の共振周波数データを用いずに、初期駆動周波数データを算出してもよい。例えば、起動周波数データの平均値よりも所定の割合だけ高い値を、初期駆動周波数データとして算出することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明を適用した超音波モータ駆動制御装置の制御系を示すブロック図である。この図1には、本装置により制御される超音波モータがカメラのオートフォーカスレンズを駆動する実施形態を示している。
【0014】
超音波モータ(USM)10は、詳細は図示しないが、圧電体を備えた振動子と移動子とが互いに接触しており、圧電体に90°位相の異なる電圧が印加されると、振動子が振動して弾性振動の進行波が励起される結果、移動子が前記進行波の進行方向と逆向きに移動して被駆動体を駆動するように構成されている。この超音波モータ10には、振動子が弾性振動したときの振幅に比例した振幅電圧VDを検出するセンサ電極Sが設けられている。超音波モータ10が回転すると、超音波モータ10の駆動周波数に対応した交流信号(=振幅電圧VD)がセンサ電極Sから出力される。図8(a)に超音波モータの駆動周波数に対する回転数の相関特性を、図8(b)には同じく駆動周波数に対する振幅電圧の相関特性をそれぞれ示す。
【0015】
本装置は、超音波モータ10の駆動制御手段としてレンズCPU20を備えている。レンズCPU20は、カメラCPU30との間でデータ通信を行い、カメラ側から入力した制御信号に基づく動作を行う。カメラ側からの制御信号には、超音波モータ10の駆動開始命令や超音波モータ10の駆動量(駆動パルス数)を指定する信号などが含まれる。
【0016】
レンズCPU20は、制御用プログラム等を格納したROM20d、制御用データを一時的に記憶するRAM20c、A/D変換入力ポート20a及びカウンタ20bを備え、カメラ側の電源ラインVccから電力供給を受けて動作する。A/D変換入力ポート20aは、周囲温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタRtと抵抗Rの接続点に接続されていて、レンズCPU20は、A/D変換入力ポート20aの入力変化(サーミスタRtの抵抗値変化)に基づき、周囲温度を検知することができる。カウンタ20bは、超音波モータ10の回転量に応じてパルスエンコーダ21から出力されるパルスを入力する毎に1ダウンカウントするカウンタである。レンズCPU20は、所定時間内におけるカウンタ20bの変化値に基づき超音波モータ10の回転速度を測定することができる。
【0017】
レンズCPU20には、超音波モータ駆動回路22及び書き換え可能な不揮発性メモリであるEEPROM23が接続されている。超音波モータ駆動回路22は、レンズCPU20からの指令に応じた駆動電圧(周波数信号)を超音波モータ10に供給する回路である。EEPROM23は各種データを格納するメモリ手段であって、レンズCPU20は必要に応じてEEPROM23に対してデータの読み出し/書き込みを行なう。
【0018】
上記構成に基づき、モータ駆動制御処理の概要を説明する。
レンズCPU20は、超音波モータ駆動回路22を介して、初期駆動周波数を有する駆動電圧を超音波モータ10に印加し、超音波モータ10の駆動周波数を初期駆動周波数から徐々に低減することで超音波モータ10を起動させる。超音波モータ10の起動後(回転開始後)は、さらに超音波モータ10の駆動周波数を低減して超音波モータ10を加速させ、超音波モータ10を最速(一定速)で回転駆動させる。この超音波モータ10の加速及び一定速駆動は、超音波モータ10のセンサ電極Sが出力した振幅電圧VDに基づいて制御される。そしてレンズCPU20は、カウンタ20bのカウンタ値に基づいて超音波モータ10の駆動量を検知し、超音波モータ10の駆動量が所定量に達したら超音波モータ10を減速させ、超音波モータ10の回転を停止させる。
【0019】
本実施形態は、上記モータ駆動制御処理において、超音波モータ10の共振周波数よりも高い周波数であって且つモータ起動時間が最短となるように、初期駆動周波数を変化させることに特徴を有している。レンズCPU20は、超音波モータ10が回転開始したときの駆動周波数を起動周波数データfs[n]とし、超音波モータ10の回転速度が最高速度に達したときの駆動周波数を共振周波数データfrとしてそれぞれEEPROM23に記憶し、これら起動周波数データfs[n]及び共振周波数データfrを用いて初期駆動周波数データfinitを算出する。初期駆動周波数データfinitは、次に超音波モータ10を駆動させるときの初期駆動周波数を設定するためのデータであって、EEPROM23に記憶される。レンズCPU20は、超音波モータ10の駆動前にEEPROM23から初期駆動周波数データfinitを読み出して初期駆動周波数を設定し、該初期駆動周波数から駆動周波数の掃引を開始する。
【0020】
このように初期駆動周波数を可変とし、且つ、共振周波数よりも高い周波数であってモータ起動時間を最短に抑えるように、EEPROM23に記憶した過去のデータに基づいて初期駆動周波数を設定すれば、超音波モータ10を共振周波数よりも高周波数側で起動させることができ、起動後も安定に駆動させることが可能となる。またモータ起動時間が短縮されるから、応答性の向上も図れる。なお、超音波モータには駆動周波数が共振周波数よりも低くなると、急激に性能が悪化するという特性もあるが、本実施形態ではこのような事態を招くこともない。
【0021】
また本実施形態では、前回駆動時から周囲温度や負荷トルクが一定値以上変化している場合は超音波モータ10の共振周波数も変動したと考えられるため、レンズCPU20が、EEPROM23に記憶してある起動周波数データfs[n]、共振周波数データfrなどの超音波モータ駆動に関するデータを全消去する。EEPROM23に超音波モータ駆動に関するデータの記憶がない場合には、共振周波数が高周波数側にシフトした場合を考慮して、レンズCPU20が制御可能な最高駆動周波数を初期駆動周波数として設定し、最高駆動周波数から駆動周波数の掃引を行なう。これにより、周囲温度及び負荷トルクの変化に応じて共振周波数が変動した場合でも、超音波モータ10を確実に起動させて安定に駆動することができる。
【0022】
次に、図2〜図6を参照して、本装置の制御動作をより詳細に説明する。図2は本装置のメイン処理を示すフローチャートである。この処理にはカメラの電源がオンされたときに入り、電源オン状態ではS13〜S19の処理が繰り返し実行される。
この処理に入ると先ず、EEPROM23に記憶された起動周波数データfs[n]を全て消去し(n=0)、初期駆動周波数としてレンズCPU20の制御可能な最高駆動周波数をセットする(S11)。次に、カメラCPU30との間でデータ通信を実行し(S13)、この通信により駆動開始命令を入力したかどうかをチェックする(S15)。駆動開始命令を入力していなければS13へ戻り、駆動開始命令を入力するまでS13、S15の処理を繰り返す(S15;N)。そして駆動開始命令を入力したときは(S15;Y)、カメラ側で設定された駆動パルス数をカウンタ20bにセットし(S17)、駆動処理(S19)を実行する。
【0023】
S19で実行される駆動処理について、図3を参照して詳細に説明する。この処理に入ると先ず、USM起動処理を実行して超音波モータ10を起動させる(S21)。USM起動処理では、超音波モータ10の駆動周波数を初期駆動周波数から徐々に低減して超音波モータ10を起動(回転開始)させる。このUSM起動処理においてレンズCPU20は、駆動周波数の掃引を開始してからパルスエンコーダ21の出力を最初に検知したとき、超音波モータ10が起動(回転開始)したと判断する。
【0024】
超音波モータ10が起動したら、超音波モータ10の駆動周波数をさらに低減して超音波モータ10の回転速度を加速し(S23)、超音波モータ10のセンサ電極Sから出力される振幅電圧VDがある規定値に達したときの駆動周波数を共振周波数データfrとしてEEPROM23に記憶して(S25)、記憶した共振周波数データfrに基づき超音波モータ10を一定速駆動(最速駆動)する(S27)。この加速・一定速駆動は、超音波モータ10のセンサ電極Sから出力される振幅電圧VDに基づいて制御されるが、本発明とは直接関係がないので詳細な説明を省略する。
【0025】
そして所定時間(または所定パルス分)だけ一定速駆動したら、パルスエンコーダ21の出力、即ちカウンタ20bの値に基づき超音波モータ10の回転速度を減速して超音波モータ10の回転を停止させ(S29)、初期駆動周波数データfinitの算出処理を実行してリターンする(S31)。初期駆動周波数データfinitは、次回駆動時の初期駆動周波数を設定するためのデータである。
【0026】
S21で実行されるUSM起動処理について、図4を参照して詳細に説明する。この処理に入ると先ず、A/D変換入力ポート20aの入力値に基づき周囲温度を検出し、その検出温度をEEPROM23に記憶する(S41、S43)。次に、EEPROM23に記憶されている起動周波数データの個数を示す変数nが0より大きいか否かをチェックする(S45)。変数nが0より大きくないとき、即ち変数nが0であれば、過去のデータがないので、レンズCPU20の制御可能な最高駆動周波数を初期駆動周波数として設定し、S57へ進む(S45;N、S47)。
【0027】
変数nが0より大きければ(S45;Y)、EEPROM23から前回の検出温度と今回の検出温度を読み出し、前回の検出温度と現在の検出温度との差の絶対値が所定値以上あるか否かをチェックする(S49)。前回検出時と今回検出時の温度差が所定値以上なかったときは(S49;N)、前回駆動時(S31)にて算出した初期駆動周波数データfinitをEEPROM23から読み込んで初期駆動周波数として設定し、S57へ進む(S51)。すなわち、今回のモータ駆動は前回のモータ駆動時とほぼ同じ条件であるとみなせるので、前回のモータ駆動時において算出した初期駆動周波数データfinitに対応する初期駆動周波数から、超音波モータ10の駆動周波数の掃引を開始する。これにより、共振周波数よりも高周波数側であって且つ共振周波数に近い駆動周波数からモータ駆動を開始でき、起動までの時間が短縮できる。一方、S49にて前回検出時と今回検出時の温度差が所定値以上あれば、周囲温度が前回駆動時から大きく変化したことを意味する。この場合には共振周波数が大きく変動しているときがある。そこで前回検出時と今回検出時の温度差が所定値以上ある場合は、レンズCPU20の制御可能な最高駆動周波数を初期駆動周波数として設定し、EEPROM23に記憶された起動周波数データfs[n]を全消去してS57へ進む(S49;Y、S53、S55)。
【0028】
S57では、S47、S51、S53のいずれかで設定した初期駆動周波数を有する駆動電圧を、超音波モータ駆動回路22を介して超音波モータ10に印加する。そして、パルスエンコーダ21の出力を検知したか否かにより超音波モータ10が起動(回転開始)したか否かをチェックする(S59)。超音波モータ10が起動していなければ(S59;N)、超音波モータ10の現在の駆動周波数がレンズCPU20の制御可能な最低駆動周波数であるか否かをチェックし(S61)、現在の駆動周波数が最低駆動周波数でなければ、駆動周波数を所定値下げてS59へ戻る(S61;N、S63)。そして超音波モータ10が起動しない間は、駆動周波数が最低駆動周波数に達するまで、S59〜S63の処理を繰り返して駆動周波数を掃引する。そして超音波モータ10が起動する前に駆動周波数が最低駆動周波数に達した場合は(S59;N、S61;Y)、EEPROM23に記憶された起動周波数データfs[n]を全消去し(n=0)、レンズCPU20の制御可能な最高駆動周波数を、今回駆動時の起動周波数データfscurとして設定しS77へ進む(S65、S67)。
【0029】
超音波モータ10が起動(回転開始)したら(S59;Y)、該回転開始時の駆動周波数を今回駆動時の起動周波数データfscurとして設定し(S68)、回転開始後所定時間内のカウンタ20bの変化値により超音波モータ10の回転速度を測定し(S69)、測定した現在の回転速度をEEPROM23に記憶して(S71)、変数nが0より大きいか否かをチェックする(S73)。変数nが0より大きければ、EEPROM23から前回の回転速度と今回の回転速度を読み出して、前回の回転速度と今回の回転速度との差の絶対値が所定値以上か否かをチェックする(S73;Y、S75)。前回駆動時と今回駆動時との回転速度差が所定値以上あれば、負荷トルクが大きく変動したことを意味する。この場合には共振周波数が変動しているときがある。そこで前回駆動時と今回駆動時との回転速度差が所定値以上ある場合には、EEPROM23に記憶されている起動周波数データfs[n]を全消去し(n=0)、レンズCPU20の制御可能な最高駆動周波数を、今回駆動時の起動周波数データfscurとして設定し直してS77へ進む(S75;Y、S65、S67)。変数nが0より大きくないとき(S73;N)、または前回駆動時と今回駆動時との回転速度差が所定値以上ないときは(S75;N)、S65及びS67をスキップしてS77へ進む。前回駆動時と今回駆動時との回転速度差が所定値以上ない場合には、今回のモータ駆動は前回のモータ駆動時とほぼ同じ条件であるとみなせるので、過去のデータを用いて初期駆動周波数データfinitを算出することができる。S77では、起動周波数の記憶及び平均値算出処理を実行し、リターンする。
【0030】
S77で実行される起動周波数の記憶及び平均値算出処理について、図5を参照してより詳細に説明する。この処理に入ると先ず、EEPROM23に記憶された起動周波数データの個数を示す変数nが5以上か否かをチェックする(S81)。本実施形態ではEEPROM23に記憶可能な最大個数を5としており、S81ではEEPROM23に記憶可能な最大個数まで起動周波数データfs[n]が記憶されているか否かをチェックしている。
【0031】
変数nが5以上でなければ(S81;N)、変数nに+1加算し(S83)、n番目の起動周波数データfs[n]に今回駆動時の起動周波数データfscurを記憶し(S87)、EEPROM23に記憶されている全起動周波数データfs[n]の平均値fsavrを算出してリターンする(S89)。
【0032】
変数nが5以上であれば(S81;Y)、常に最新のデータを記憶しておくため、最も古い記憶値fs[1]を削除してから二番目に古い記憶値fs[2]をfs[1]として記憶し、同様にfs[3]をfs[2]、fs[4]をfs[3]、fs[5]をfs[4]として記憶しなおす(S85)。そして最新の起動周波数データfs[5]に今回駆動時の起動周波数データfscurを記憶し(S87)、EEPROM23に記憶されている全起動周波数データの平均値fsavrを算出してリターンする(S89)。
【0033】
S31で実行される初期駆動周波数の算出処理について、図6を参照してより詳細に説明する。この処理では、n個の起動周波数データfs[n]の平均値fsavr及び共振周波数データfrをEEPROM23から読み出して、finit=fsavr+(fsavr−fr)×0.1により初期駆動周波数データfinitを算出する(S91)。そして算出した初期駆動周波数データfinitがレンズCPU20の制御可能な最高駆動周波数よりも大きければ、初期駆動周波数データfinitを最高駆動周波数に設定し直してリターンする(S93;Y、S95)。算出した初期駆動周波数データfinitが最高駆動周波数よりも大きくなければ、S95をスキップしてリターンする(S93;N)。このように算出した初期駆動周波数データfinitに基づき初期駆動周波数を設定するので、常に最高駆動周波数から駆動周波数の掃引を行っていた従来に対して、超音波モータ10が起動するまでの時間を大幅に短縮することができる(図7参照)。
【0034】
なお本実施形態では、式;fsavr+(fsavr−fr)×0.1により初期駆動周波数データfinitを算出しているが、起動周波数データfs[n]の平均値fsavrよりも所定の割合だけ大きい値、例えばfsavr×1.1を初期駆動周波数データfinitとして設定することもできる。
【0035】
図9〜図11は、本装置によるモータ駆動制御処理の第2の実施形態を示している。この実施形態では、EEPROM23の代わりにRAM20cを制御処理中のメモリ手段として用い、EEPROM23をバックアップ用メモリとして用いている。
【0036】
図9は、第2の実施形態のメイン処理に関するフローチャートである。メイン処理に入ると先ず、モータ駆動制御に関するデータをEEPROM23から読み込んでRAM20cにメモリする(S100)。モータ駆動制御に関するデータには、起動周波数データfs[n]や初期駆動周波数データfinitなどが含まれている。モータ駆動制御に関するデータをRAM20cにメモリしたら、S110以降の処理を行なう。S110、S130、S150、S170及びS190の処理は、上述した図2のS11、S13、S15、S17及びS19の処理と同様なので説明を省略する。以下では、図2の実施形態では実行しない、S160−1及びS160−2の処理について説明する。S160−1は、駆動開始命令を入力していないとS150にて判断したとき実行される。S160−1では、駆動開始命令を入力しない状態のままで所定時間が経過したか否かをチェックする。そして所定時間経過していなかったらS130へ戻り(S160−1;N)、所定時間経過していたらRAM20c内のモータ駆動制御に関するデータをEEPROM23にメモリしてS130へ戻る(S160−1;Y、S160−2)。
【0037】
図10は、S190で実行される駆動処理に関するフローチャートであり、図3の駆動処理とほぼ同じである。すなわち、図10のS210、S230及びS270〜S310は、図3のS21、S23及びS27〜S31に対応している。これに対し、S250の処理は、共振周波数データfrをEEPROM23の代わりにRAM20cにメモリする点で、図3のS25と異なる。
【0038】
図11は、S210で実行されるUSM起動処理に関するフローチャートであり、図4のUSM起動処理とほぼ同じである。すなわち、図11のS410、S450〜S530、S570〜S630、S670、S690及びS730〜S770の処理は、図4のS41、S45〜S53、S57〜S63、S67、S69及びS73〜S77の処理に対応しており、S430、S550、S650及びS710の処理が図4とは異なっている。S430では、検出した温度を、EEPROM23ではなくRAM20cへメモリする。またS550及びS650では、EEPROM23ではなくRAM20cに記憶された起動周波数データfs[n]を全て消去する。そしてS710では、測定した回転速度を、EEPROM23ではなくRAM20cにメモリする。
【0039】
このように制御中のメモリ手段としてRAM20cを用いれば、EEPROM23を使用する場合よりも処理速度が高速化するため実際的である。なお、電源が切断されたり所定時間以上なにも操作されなかった場合には、周囲環境が変化しているおそれがあるため、モータ駆動制御に関するデータを保持する必要はないとみなして全データを消去する構成にすることもできる。すなわち、モータ駆動制御に関するデータのバックアップをEEPROM23にとる必要がなくなり、EEPROM23が不要となる。
【0040】
以上では、本装置により制御される超音波モータがカメラのオートフォーカスレンズを駆動する実施形態について説明したが、超音波モータの被駆動体としては、カメラのオートフォーカスレンズだけでなく、ズームレンズや他の光学機器でもよいのは勿論である。特に、超音波モータを起動−停止−起動させる動作を頻繁に行う機器に本装置を適用すれば、より顕著な効果を発揮する。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、超音波モータが起動するまでの時間が大幅に短縮して応答性が向上するとともに、必ず共振周波数よりも高周波数側でモータが起動して起動後も安定に駆動させることができる。また本発明によれば、周囲温度または負荷トルクの変化に伴い共振周波数が変動した場合でも、超音波モータを確実に起動して安定に駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した超音波モータ駆動制御装置の制御系を示すブロック図である。
【図2】 同装置のメイン処理に関するフローチャートである。
【図3】 同装置の駆動処理に関するフローチャートである。
【図4】 同装置のUSM起動処理に関するフローチャートである。
【図5】 同装置の起動周波数の記憶及び平均値算出処理に関するフローチャートである。
【図6】 同装置の初期駆動周波数データ算出処理に関するフローチャートである。
【図7】 超音波モータの回転速度変化を時系列で示した図である。
【図8】 (a)超音波モータの駆動周波数に対する回転数の相関特性を示す図である。(b)超音波モータの駆動周波数に対する振幅電圧の相関特性を示す図である。
【図9】 図2とは別実施例のメイン処理に関するフローチャートである。
【図10】 図3とは別実施例の駆動処理に関するフローチャートである。
【図11】 図4とは別実施例のUSM起動処理に関するフローチャートである。
【符号の説明】
10 超音波モータ(USM)
20 レンズCPU
20a A/D変換入力ポート
20b カウンタ
21 パルスエンコーダ
23 EEPROM
30 カメラCPU
Rt サーミスタ
Claims (11)
- 超音波モータと、
この超音波モータの駆動周波数を初期駆動周波数から変化させることにより、該超音波モータを起動させる駆動制御手段と、
前記超音波モータが回転を開始したときの駆動周波数に基づき、初期駆動周波数データを算出する演算手段と、
該算出された初期駆動周波数データに基づき、次に前記超音波モータを起動させるときの初期駆動周波数を設定する設定手段と、
前記超音波モータの起動毎に、該超音波モータが回転を開始したときの駆動周波数を起動周波数データとして記憶する周波数記憶手段と、
前記超音波モータの起動毎に、該超音波モータが回転し始めてから所定時間経過後の前記超音波モータの回転速度を測定する速度測定手段と、
この測定された回転速度を速度データとして記憶し、少なくとも前回の速度データと今回の速度データの記憶を保持する速度記憶手段と、
前記前回の速度データと前記今回の速度データとの差が所定値以上あるか否かを判定する判定手段とを備え、
前記演算手段は、前記周波数記憶手段に記憶されている起動周波数データに基づいて前記初期駆動周波数データを算出し、
前記駆動制御手段は、前記判定手段によって速度データ差が所定値以上あると判定された場合は、前記周波数記憶手段に記憶されている起動周波数データを全て消去することを特徴とする超音波モータ駆動制御装置。 - 請求項1記載の超音波モータ駆動制御装置において、前記駆動制御手段は、前記超音波モータの駆動周波数を前記初期駆動周波数から低減させることにより、前記超音波モータを起動させる超音波モータ駆動制御装置。
- 請求項1または2記載の超音波モータ駆動制御装置において、前記周波数記憶手段は、さらに、前記超音波モータの共振周波数データを記憶し、
前記演算手段は、この共振周波数データと前記起動周波数の平均値とを用いて前記初期駆動周波数データを算出する超音波モータ駆動制御装置。 - 請求項3記載の超音波モータ駆動制御装置において、前記演算手段は、前記共振周波数データと前記起動周波数データの平均値との差分を所定倍した値を、前記起動周波数の平均値に加算することにより、前記初期駆動周波数データを算出する超音波モータ駆動制御装置。
- 請求項3または4記載の超音波モータ駆動制御装置において、前記周波数記憶手段は、前記超音波モータの回転速度が最高速度に達したときの駆動周波数を、前記共振周波数データとして記憶する超音波モータ駆動制御装置。
- 請求項1または2記載の超音波モータ駆動制御装置において、前記演算手段は、前記起動周波数データの平均値よりも所定の割合だけ高い値を、前記初期駆動周波数データとして算出する超音波モータ駆動制御装置。
- 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の超音波モータ駆動制御装置において、前記駆動制御手段は、前記超音波モータの駆動周波数を該駆動制御手段の制御可能な最低値まで下げても前記超音波モータが起動しなかった場合には、前記周波数記憶手段に記憶されている起動周波数データを全て消去する超音波モータ駆動制御装置。
- 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の超音波モータ駆動制御装置において、前記設定手段は、前記周波数記憶手段に記憶されている起動周波数データが1つもない場合には、前記駆動制御手段が制御可能な最高駆動周波数を、前記初期駆動周波数として設定する超音波モータ駆動制御装置。
- 請求項1、3、4または6記載の超音波モータ駆動制御装置において、前記初期駆動周波数データは前記周波数記憶手段に記憶される超音波モータ駆動制御装置。
- 請求項1または2記載の超音波モータ駆動制御装置において、前記周波数記憶手段には、最新の起動周波数データを含む過去所定回数分の起動周波数データが格納される超音波モータ駆動制御装置。
- 請求項1ないし10のいずれか一項に記載の超音波モータ駆動制御装置において、前記設定手段は、前記演算手段が算出した初期駆動周波数データが前記駆動制御手段の制御可能な最高駆動周波数よりも高い場合は、該最高駆動周波数を前記初期駆動周波数として設定する超音波モータ駆動制御装置。
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