JP4064081B2 - 荷重軽減装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フライホイール式蓄電装置におけるフライホイール回転体等のターゲットの荷重を軽減する荷重軽減装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は本発明を適用し得る従来のフライホイール式蓄電装置の概略的な構成図である。
図7において、フライホイール装置(以下、FW装置と言う)1は、フライホイール回転体2と、このフライホイール回転体2を軸支する上側の軸受3及び下側の軸受4とから構成されている。
【0003】
次に、構成によるフライホイール式蓄電装置の動作について説明する。
通常時は、フライホイール回転体2の図示しないモータ/ジェネレータ部に電力が供給されることにより、FW装置1はモータとして動作し、フライホイール回転体2が回転することにより電気エネルギー−運動エネルギー変換が行われ、供給された電力は回転エネルギーとして蓄積される。FW装置1は必要に応じて発電機として動作し、フライホイール回転体2の回転エネルギーが電力に変換されて負荷に供給される。
【0004】
フライホイール式蓄電装置においては、フライホイール回転体2を軸支する軸受3、4の負荷を軽減して軸受の損失を低減し、軸受の長寿命化を図るために、フライホイール回転体2の荷重を軽減する荷重軽減装置が設けられている。
【0005】
図7(a)(b)は従来のフライホイール用荷重軽減装置を示すもので、フライホイール回転体2の上方に配された磁性体からなるリング状の継鉄10の下面に、それぞれリング状をなす磁極11,12が設けられてなるものである。磁極11,12は厚さ方向に着磁され、表面は、図示のように互いにN極とS極が向かい合うように配される。磁極には永久磁石が用いられるが、どちらか片方はリング状の継鉄であってもよい。
【0006】
上記構成によれば、磁極11、12による磁力が荷重を軽減すべきターゲットとしてのフライホイール回転体2の自重の50〜100%をつり上げるように作用し、これによって軸受3、4の負荷を軽減することができる。また、電磁石を用いないので、磁力を発生させるための電力が不要であるという利点もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の荷重軽減装置においては、大型でリング状の永久磁石を一体物で製造するのは難しく、また、着磁装置も大がかりなものを必要とし、コストが極めて高くなるという問題があった。
【0008】
本発明は上記の問題を解決するためになされたもので、製造の容易な荷重軽減装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明による荷重軽減装置は、基体上に厚さ方向に着磁された複数のタイル状永久磁石を隣り合う永久磁石の相互間に所定間隔を以って一列にかつリング状に配列するとともに、厚さtを有するように2段に重ねとし、一方の段と他方の段の前記永久磁石をその配列方向に沿って互いに半分ずつずらせて重ねるものとし、この永久磁石の吸引力を荷重を軽減すべきターゲットに作用させることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明による他の荷重軽減装置は、基体上に厚さtを有し厚さ方向に着磁された複数のタイル状永久磁石を所定間隔を以って単列あるいは複数列のリング状に配列してなり、各列の永久磁石と対向して荷重を軽減すべきターゲットを配することを特徴とするものである。
【0011】
【作用】
従って、本発明によれば、タイル状の小片に形成された複数の永久磁石を基体上に設けたので、どのような吸引力、大きさのものでも容易に製造が可能であり、また、大がかりな着磁装置も不要となり、大幅なコストダウンを図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1、図2は本発明の参考例となる荷重軽減装置を示す要部の平面図及び断面図である。尚、この図示される部分は図7(b)のAで示す円内の部分に相当している。
図1、図2において、リング状基体としての継鉄10の一の面に、タイル状の多数の永久磁石14が所定間隔a1 を以って2列にリング状に配列されて接着されている。タイル状永久磁石14は厚さtを有し、厚さ方向に着磁されており、第1の列においてはN極が荷重を軽減すべきターゲット(例えばフライホイール用回転体2)と対向して配され、第2の列においてはS極が上記ターゲットと対向して配されている。また、各N極とS極とは向かい合って配されている。
このように磁極を配することにより、図2に示すような磁束密度による磁力が発生し、ターゲットを吸引することができる。
【0013】
本実施の形態によれば、永久磁石14をタイル状の小片に形成して、その多数をリング状に2列に配列したので、どのような吸引力、大きさのものでも容易に製造が可能であり、また、着磁装置も大がかりなものは不要となり、コストを大幅に軽減することができる。なお、図1では、2列の永久磁石でN極S極を向かい合わせに配した形態を示したが、永久磁石は1列だけでもよい。この場合、他方の列はリング状の継鉄が用いられる。
【0014】
次に、本発明の第1、第2、第3の実施の形態について説明する。
上述した参考例では、次のような問題が生じる。
多数のタイル状の永久磁石14を継鉄10上に貼りつけると、各磁石の間に隙間が生じることは避けられない。例えば図3(a)のように、永久磁石を長方形に形成する場合、磁石と磁石との間をどんなに詰めても、bで示すような隙間が必ず生じ、また、永久磁石を扇形にすると、見かけ上の隙間はなくせても、図3(b)のように隣り合う磁極同士で反発をするため、隙間を完全にゼロにすることはできない。
【0015】
また、扇形の磁石を作るには、専用の砥石が必要で製作コストが高くなってしまう。着磁前であれば、隙間をゼロにした配置ができるが、完成した荷重軽減装置全体を着磁するために大がかりな着磁装置が必要となり、コスト高となる。
【0016】
上述した磁石間の隙間により、図2に示すように磁束密度のむらが生じる。即ち、この磁束密度においては、磁石の隙間a1 の所で急激に減少する高さh0 の谷が生じている。このような磁束密度のむらがあると、フライホイール回転体の表面に渦電流が発生し、発熱の原因になると共に、回転体の回転を妨げる抵抗力が発生し、これがエネルギー損失となってしまう。
【0017】
以下に説明する第1、第2の実施の形態は、上述した磁束密度のむらを低減して、渦電流損を低減するためのものであり、第3の実施の形態は渦電流の発生を抑えるためのものである。
【0018】
図4は第1の実施の形態を示すものである。
本実施の形態においては、永久磁石14として厚さ1/2tのものを用い、これを所定間隔a2 を以って2段に重ねて設けている。その場合、図示のように一段目の磁石の着磁方向と二段目の磁石の着磁方向とが逆方向に着磁され、また、一段目の磁石と二段目の磁石とはその配列方向(リング方向)に半分づつずらして重ねられている。
【0019】
上記構成によれば、磁束密度が急激に落ち込む谷の高さは、距離が遠いほど、また、磁石の厚さが薄いほど小さくなる性質があるので、図4に示すように、磁束密度が急激に減少する谷の高さh1 、h2 を図2のh0 に比べて大幅に小さくすることができる。
また、各磁石は同じ厚さのものを2段に重ねると共に、半分づつずらして重ねたことにより、一段の磁石の厚さが減り、互いの反発力を減らすことができる。これによって、磁石間の隙間a2 を図1、図2の隙間a1 の1/2以下にすることができる。
さらに、一段目と二段目の境界では異極同士の吸引力が働くので、互いを引き寄せる力として作用することになり、このため隙間a2 をさらに小さくすることができる。
【0020】
従って、本実施の形態によれば、磁束密度のむらを低減することができ、従って、渦電流を低減させてエネルギー損失を抑えることができる。
【0021】
図5は第2の実施の形態を示すものである。
本実施の形態においては、永久磁石14として厚さt1 のものと厚さt2 (<t1 )のものとを用い、これを2段に重ねて設けている。その場合、図4と同様に、各段の磁石の着磁方向が互いに逆方向に着磁され、かつ、各段の磁石は互いにその配列方向(リング方向)に半分づつずらして重ねられている。また、ターゲット側の段に厚さt2 の薄い方の磁石が用いられている。
【0022】
本実施の形態によれば、ターゲットに近い側の永久磁石に薄いものを使用したことにより、図示のように磁束密度の谷の高さh3 をさらに低くすることができる。尚、図5におけるh3 は図4のh1 より低く、h2 より若干高くなっているが、図5の磁束密度全体としては図4に比べて磁束密度のむらはかなり少なくなっている。
【0023】
図6は第3の実施の形態を示すものである。
本実施の形態は、ターゲットとしてのフライホイール回転体2の表面に図示のように同心円状の多数の細溝15(あるいはアナログレコードの溝のようなスパイラル状に連続した溝)を設けたものである。
【0024】
本実施の形態によれば、渦電流はターゲットの表面に発生するので、多数の細溝15を設けたことにより、渦電流のループを断ち切ることができる。これによって、永久磁石側の磁束密度にむらがあっても、渦電流による損失を問題にならない程度のレベルまで低減することができる。
【0025】
尚、細溝15の深さと密度は発生する渦電流のループを切ることができるような適当なサイズが選ばれる。
また、図6においては、継鉄10及び永久磁石14の構造は、図1の参考例のものを用いているが、図4、図5の第1、第2の実施の形態のものを用いれば、さらに効果を上げることができる。
【0026】
以上述べた各実施の形態においては、荷重軽減装置のターゲットとしてフライホイール式蓄電装置におけるフライホイール回転体を想定したが、本発明はこれに限ることなく、他の装置においてその荷重を軽減して負担を軽くしたいものをターゲットとすることができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、基体上に厚さtを有し厚さ方向に着磁された複数のタイル状の永久磁石を隣り合う永久磁石の相互間に所定間隔を以って一列にかつリング状に配列し、各永久磁石と対向して荷重を軽減すべきターゲットを配するようにしたから、大がかりな着磁装置を必要とせず、所望の吸引力及び大きさを有する荷重軽減装置を容易に製造することができ、大幅なコストダウンをはかることができる。
【0028】
また、前記永久磁石に厚さ1/2tのものを用いて2段に重ねて配置し、さらには、前記ターゲットに対向する側の段の永久磁石の厚さをその反対側の段の永久磁石の厚さより薄くすると共に、一方の段と他方の段の永久磁石をその配列方向に沿って互いに半分づつずらせて重ねたので、磁束密度のむらを軽減して渦電流による損失を抑えることができる。
【0029】
前記リング状に配列された永久磁石を複数列設け、互いに隣り合う列の永久磁石の極性を互いに逆に設定したので、これら複数列の永久磁石からの磁束をターゲットに作用させることができる。また、前記永久磁石がなす列と列との間に継鉄を設けてなり、該継鉄を介して互いに隣り合う列の永久磁石の極性が等しく設定されたので、この継鉄を分極させて、ターゲットに磁力を作用させることができる。
【0030】
また前記ターゲットは回転体であって、前記永久磁石と対向する面に複数の溝が設けられているので、回転体としてのターゲット表面に発生する渦電流のループを遮断して、損失を低減することができる。
【0031】
さらに本発明は、フライホイール式蓄電装置におけるフライホイール回転体をターゲットとすることにより、フライホイール回転体の軸受の負担を軽くし、軸受の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例による荷重軽減装置の要部を示す平面図である。
【図2】 図1のA−A線断面図である。
【図3】 参考例の問題点を説明するための要部の拡大図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態による荷重軽減装置の要部を示す断面図である。
【図5】 本発明の第2の実施の形態による荷重軽減装置の要部を示す断面図である。
【図6】 本発明の第3の実施の形態による荷重軽減装置の要部を示す断面図である。
【図7】 従来の荷重軽減装置を示す 要部の構成図である。
【符号の説明】
2 フライホイール用回転体
10 継鉄
11、12 磁極
14 永久磁石

Claims (7)

  1. 基体上に厚さ方向に着磁された複数のタイル状の永久磁石を隣り合う永久磁石の相互間に所定間隔を以って一列にかつリング状に配列するとともに、厚さtを有するように2段重ねとし、一方の段と他方の段の前記永久磁石をその配列方向に沿って互いに半分ずつずらせて重ねてなり、
    各永久磁石と対向して荷重を軽減すべきターゲットを配することを特徴とする荷重軽減装置。
  2. 前記永久磁石に厚さ1/2tのものを用いて2段に重ねて配置したことを特徴とする請求項1記載の荷重軽減装置。
  3. 記ターゲットに対向する側の段の前記永久磁石の厚さをその反対側の段の前記永久磁石の厚さより薄くしたことを特徴とする請求項1記載の荷重軽減装置。
  4. 前記リング状に配列された永久磁石を複数列設け、互いに隣り合う列の永久磁石の極性を互いに逆に設定したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の荷重軽減装置。
  5. 前記永久磁石がなす列と列との間に継鉄を設けてなり、該継鉄を介して互いに隣り合う列の永久磁石の極性が等しく設定されたことを特徴とする請求項4に記載の荷重軽減装置。
  6. 前記ターゲットは回転体であって、前記永久磁石と対向する面に複数の溝が設けられたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の荷重軽減装置。
  7. 前記ターゲットが、フライホイール式蓄電装置におけるフライホイール回転体であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の荷重軽減装置。
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