JP4062199B2 - 車両および車両の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両および車両の制御方法に関し、詳しくは、駆動輪に接続された駆動軸に動力を出力可能な原動機を備える車両およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両としては、制動時にブレーキ油圧をパルス状に変化させたときに検出される車輪速度の振動成分に基づいて路面の摩擦係数を推定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、路面状態や運転状態に基づいてスリップやロックが判定されたときに、その状態が収束するまで駆動軸に出力されるトルクの変化を禁止するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−313327号公報
【特許文献2】
特開平7−143618号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、路面状態を的確に把握して駆動輪の空転に対処することは、車両の安定走行を図る上で重要な問題として挙げることができる。特に、氷盤など極めて小さい摩擦係数の路面状態を推定してこれに対処できれば、車両の走行安定性を大きく向上させることができる。
【0006】
本発明の車両および車両の制御方法は、こうした問題を解決し、摩擦係数の小さい路面の状態をより適切に推定して、これに対処することを目的の一つとする。また、本発明の車両および車両の制御方法は、車両の走行安定性をより向上させることを目的の一つとする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の車両および車両の制御方法は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明の車両は、
駆動輪に接続された駆動軸に動力を出力可能な原動機を備える車両であって、
前記駆動輪の空転によるスリップを検出するスリップ検出手段と、
該スリップ検出手段によりスリップが検出されたとき、前記駆動軸に出力されるトルクが制限されるよう前記原動機を駆動制御する制御手段と、
前記駆動軸の回転状態を検出する回転状態検出手段と、
該制御手段によるトルクの制限の最中に前記回転状態検出手段により検出された駆動軸の回転状態に基づいて走行路面の状態を推定する路面状態推定手段と、
該推定された走行路面の状態に基づいて前記制御手段によるトルクの制限を調整するトルク制限調整手段と
を備えることを要旨とする。
【0009】
この本発明の車両では、スリップが検出されたときに駆動輪に接続された駆動軸に出力されるトルクが制限されるよう原動機を駆動制御し、このトルクの制限の最中に検出された駆動軸の回転状態に基づいて走行路面の状態を推定し、推定された走行路面の状態に基づいてトルクの制限を調整する。スリップの検出に伴うトルクの制限の最中は、走行路面の状態によって駆動軸の回転状態が変わるから、トルクの制限の最中の駆動軸の回転状態を解析することにより走行路面の状態をより適切に把握できる。このように路面状態を推定してから駆動軸に出力されるトルクの制限を調整するから、スリップを効果的に抑制させることができる。ここで、「原動機」としては、制御における応答性が速い電動機または発電電動機が好ましい。
【0010】
こうした本発明の車両において、前記回転状態検出手段は、前記駆動軸の回転角加速度を検出する回転角加速度検出手段であり、前記路面状態推定手段は、前記検出された駆動軸の回転角加速度に基づいて前記走行路面の状態を推定する手段であるものとすることもできる。ここで、「回転角加速度検出手段」には、回転角加速度を直接検出するものが含まれる他、駆動軸の回転角速度を検出すると共に検出された回転角速度に基づいて駆動軸の回転角加速度を演算するものが含まれる。この態様の本発明の車両において、前記スリップ検出手段は、前記回転角加速度検出手段により検出された駆動軸の回転角加速度に基づいてスリップを検出する手段であり、前記制御手段は、前記検出された駆動軸の回転角加速度に基づいて制限トルクを設定し、該設定した制限トルクに基づいて前記原動機を駆動制御する手段であるものとすることもできる。
【0011】
制限トルクを設定して原動機を駆動制御する態様の本発明の車両において、前記制御手段は、前記検出された駆動軸の回転角加速度が大きくなるほど制限が大きくなる傾向に前記制限トルクを設定する手段であるものとすることもできる。
【0012】
また、制限トルクを設定して原動機を駆動制御する態様の本発明の車両において、前記制御手段は、時間の経過と共に段階的に前記設定した制限トルクまで前記駆動軸に出力されるトルクが制限されるよう前記原動機を駆動制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、トルクの制限に伴うショックを抑制させることができる。この態様の本発明の車両において、前記制御手段は、時間の経過と共に大きくなる制限比率をもって前記駆動軸に出力されるトルクが制限されるよう前記原動機を駆動制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、トルクの制限に伴うショックを抑制させながらスリップの収束性をより向上させることができる。
【0013】
また、本発明の車両において、前記路面状態推定手段は、前記走行路面の状態として少なくとも氷盤などの摩擦係数が極めて小さい極低μ路か否かを識別可能に推定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、摩擦係数が極めて小さい極低μ路におけるスリップに対する対処が可能となる。この態様の本発明の車両において、前記路面状態推定手段は、前記検出された回転角加速度が負の所定値を下回ったときには前記極低μ路でないと推定し、前記検出された回転角加速度が前記負の所定値を下回らなかったときには前記極低μ路と推定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より適切に極低μ路を推定することができる。制限トルクを設定すると共に走行路面の状態として少なくとも極低μ路を推定する態様の本発明の車両において、前記トルク制限調整手段は、前記路面状態推定手段により前記走行路面の状態として前記極低μ路でないと推定されたときには、前記設定した制限トルクに拘わらず該極低μ路でないと推定した時点における前記制御手段によるトルクの制限が維持されるよう前記原動機を駆動制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、走行路面の状態に応じて過度のトルクの制限を防止することができる。
【0014】
走行路面の状態として少なくとも極低μ路を推定する態様の本発明の車両において、前記トルク制限調整手段は、前記路面状態推定手段により推定された走行路面の状態に応じた態様をもって前記駆動軸に出力されるトルクの制限を解除する手段であるものとすることもできる。こうすれば、極低μ路か否かによりより適切なトルクの制限の解除を実施することができ、再スリップを効果的に防止することができる。
【0015】
この走行路面の状態に応じた態様をもってトルクの制限を解除する態様の本発明の車両において、前記車両の駆動輪の回転角速度と非駆動輪の回転角速度とを検出する回転角速度検出手段を備え、前記トルク制限調整手段は、前記路面状態推定手段により前記路面状態として前記極低μ路でないと推定されたときには、前記検出された駆動輪の回転角速度と非駆動輪の回転角速度とに基づいて前記駆動軸に出力されるトルクの制限を解除する手段であるものとすることもできる。この態様の本発明の車両において、前記トルク制限調整手段は、前記駆動輪の回転角速度と前記非駆動輪の回転角速度との偏差が所定偏差以下となったときに、前記トルクの制限を解除する手段であるものとすることもできる。また、これらの態様の本発明の車両において、前記トルク制限調整手段は、時間の経過と共に段階的に前記トルクの制限を解除する手段であるものとすることもできる。こうすれば、トルクの制限を解除する際のショックや再スリップなどを防止することができる。この態様の本発明の車両において、前記トルク制限調整手段は、アクセル操作量が多いほど短時間で前記トルクの制限を解除する手段であるものとすることもできる。こうすれば、運転者のトルクの要求にある程度対応することができる。
【0016】
また、駆動軸の回転角加速度に基づいて推定された走行路面の状態に応じた態様をもってトルクの制限を解除する態様の本発明の車両において、前記トルク制限調整手段は、前記路面状態推定手段により前記走行路面の状態として前記極低μ路と推定されたときには、前記検出される回転角加速度が負の回転角加速度から上昇する途中の所定のタイミングをもって前記トルクの制限を解除する手段であるものとすることもできる。こうすれば、駆動軸に作用している回転角加速度の方向と一致する方向にトルクを出力できるから、トルクの制限を解除する際の軸のねじれに伴うショックなどを防止することができる。この態様の本発明の車両において、前記所定のタイミングは、前記検出される回転角加速度が負から正へ移行するタイミングであるものとすることもできる。こうすれば、より確実にショックを防止することができる。
【0017】
また、本発明の車両において、前記路面状態推定手段は、前記走行路面の状態として前記前記回転状態検出手段により検出された駆動軸の回転状態に基づいて前記スリップ検出手段により検出されたスリップの収束状態を判定する手段であり、前記トルク制限調整手段は、前記判定されたスリップの収束状態に基づいて前記制御手段によるトルクの制限を調整する手段であるものとすることもできる。
【0018】
本発明の車両の制御方法は、
駆動輪に接続された駆動軸に動力を出力可能な原動機を備える車両の制御方法であって、
(a)前記駆動輪の空転によるスリップを検出するステップと、
(b)該ステップ(a)スリップが検出されたとき、前記駆動軸に出力されるトルクが制限されるよう前記原動機を駆動制御するステップと、
(c)前記駆動軸の回転状態を検出するステップと、
(d)該ステップ(b)によるトルクの制限の最中に前記ステップ(c)により検出された駆動軸の回転状態に基づいて走行路面の状態を推定するステップと、
(e)該推定された走行路面の状態に基づいて前記ステップ(b)によるトルクの制限を調整するステップと
を備えることを要旨とする。
【0019】
スリップが検出されたときに駆動輪に接続された駆動軸に出力されるトルクが制限されるよう原動機を駆動制御し、このトルクの制限の最中に検出された駆動軸の回転状態に基づいて走行路面の状態を推定し、推定された走行路面の状態に基づいてトルクの制限を調整する。スリップの検出に伴うトルクの制限の最中は、走行路面の状態によって駆動軸の回転状態が変わるから、トルクの制限の最中の駆動軸の回転状態を解析することにより走行路面の状態をより適切に把握できる。このように路面状態を推定してから駆動軸に出力されるトルクの制限を調整するから、スリップを効果的に抑制させることができる。ここで、「原動機」としては、制御における応答性が速い電動機または発電電動機が好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の自動車20は、図示するように、バッテリ26からインバータ回路24を介して供給された電力を用いてディファレンシャルギヤ29を介して駆動輪62a,62bに機械的に接続された駆動軸28に動力の出力が可能なモータ22と、車両全体をコントロールする電子制御ユニット70とを備える。
【0021】
モータ22は、例えば、電動機として機能すると共に発電機としても機能する周知の同期発電電動機として構成され、インバータ回路24は、バッテリ26からの電力をモータ22の駆動に適した電力に変換する複数のスイッチング素子により構成されている。
【0022】
電子制御ユニット70は、CPU72を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶したROM74と、一時的にデータを記憶するRAM76と、入出力ポート(図示せず)とを備える。この電子制御ユニット70には、モータ22の回転軸(駆動軸28)の回転位置を検出する回転位置検出センサ32からの回転位置θdや、駆動輪62a,62bの各回転角速度を検出する車輪速センサ34a,34bからの車輪速、非駆動輪64a,64bの各回転角速度を検出する車輪速センサ36a,36bからの車輪速、車両の走行速度を検出する車速センサ52からの車速V、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBPなどが入力ポートを介して入力されている。また、電子制御ユニット70からは、インバータ回路24のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0023】
こうして構成された自動車20の動作、特に、駆動輪62a,62bの空転によるスリップが発生したか否かを判定してモータ22を駆動制御する際の動作について説明する。図2は、実施例の自動車20の電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、8msec毎)に繰り返し実行される。
【0024】
駆動制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ52からの車速V、車輪速センサ34a,34b,36a,36bからの各車輪速に基づいて算出される車輪速Vf,Vr、回転位置検出センサ32からの回転位置θdに基づいて算出される駆動軸28の回転数Ndなどを入力し(ステップS100)、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸28に出力すべき要求トルクTd*を設定する(ステップS102)。ここで、車輪速Vf,Vrは、それぞれ車輪速センサ34a,34bからの駆動輪62a,62bの各車輪速の平均と車輪速センサ36a,36bからの非駆動輪64a,64bの各車輪速の平均とを用いるものとした。また、要求トルクTd*の設定は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTd*との関係を予め求めてマップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると、マップから対応する要求トルクTd*を導出するものとした。このマップの一例を図3に示す。
【0025】
続いて、入力した駆動軸28の回転数Ndに基づいて駆動軸28の回転角加速度αを計算すると共に(ステップS104)、駆動輪62a,62bの各車輪速の平均(車輪速Vf)から非駆動輪64a,64bの各車輪速の平均(車輪速Vr)を減じて車輪速差ΔVを計算し(ステップS106)、計算した回転角加速度αや車輪速差ΔVに基づいて駆動輪62a,62bにスリップが発生したか否か或いは発生したスリップが収束したか否かを判定するスリップ判定処理を行なう(ステップS108)。ここで、回転角加速度αの計算は、実施例では、今回のルーチンで入力された現回転数Ndから前回のルーチンで入力された前回回転数Ndを減じる(現回転数Nd−前回回転数Nd)ことにより行なうものとした。なお、回転角加速度αの単位は、回転数Ndの単位を1分間あたりの回転数[rpm]で示すと、実施例では、本ルーチンの実行時間間隔は8msecであるから、[rpm/8msec]となる。勿論、回転数の時間変化率として示すことができれば、如何なる単位を採用するものとしても構わない。また、回転角加速度αは、誤差を小さくするために、それぞれ今回のルーチンから過去数回(例えば、3回)に亘って計算された角加速度の平均を用いるものとしても構わない。以下、スリップ判定処理の内容について詳細に説明する。
【0026】
図4は、実施例の自動車20の電子制御ユニット70により実行されるスリップ判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このスリップ判定処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70のCPU72は、図2の駆動制御ルーチンのステップS104で計算された回転角加速度αが、空転によるスリップが発生したとみなすことのできる閾値αslipを超えているか否かを判定し(ステップS150)、回転角加速度αが閾値αslipを超えていると判定されると、駆動輪62a,62bが空転してスリップが発生したと判断し、スリップの発生を示すスリップ発生フラグF1を値1にセットして(ステップS152)、本ルーチンを終了する。これにより後述するスリップ発生時処理ルーチンの実行により駆動軸28に出力されるトルクの制限が実施される。
【0027】
回転角加速度αが閾値αslipを超えていないと判定されると、スリップ発生フラグF1の値が値1であるか否かを判定する(ステップS154)。スリップ発生フラグF1が値1でないと判定されると、スリップは発生しておらずグリップの状態にあると判断して、本ルーチンを終了する。一方、スリップ発生フラグF1が値1であると判定されたときには、後述するステップS162の処理により路面が氷盤などの極めて小さい摩擦係数の路面としての極低μ路の状態でないとの判定がなされたか否かを判定する(ステップS156)。いま、スリップが発生した直後を考えているから、極低μ路でないとの判定はなされず、次に、回転角加速度αがゼロ未満であるか否かの判定を行なう(ステップS158)。回転角加速度αがゼロ未満であると判定されると、更に、路面の状態が上述の極低μ路の状態であるか否かを判定するために回転角加速度αが負の所定値αref未満であるか否かを判定する(ステップS160)。これは、路面が極低μ路の状態にあるときには、発生したスリップに対して後述するスリップ発生時処理ルーチンの実行により駆動軸28に出力するトルクに制限を施しても駆動軸28の回転数Ndは緩やかにしか下降せず、回転角加速度αとしては摩擦係数が比較的大きい路面状態に比して高い値を維持するという理由に基づく。回転角加速度αが負の所定値αref未満になったと判定されると、路面は摩擦係数が比較的大きく極低μ路の状態ではないと判定して(ステップS162)、本ルーチンを終了する。一方、回転角加速度αが負の所定未満でないと判定されると、路面状態の判定は未だ行なうことができる段階にないと判断し、本ルーチンを終了する。
【0028】
ステップS160で回転角加速度αが負の所定値αref未満となりステップS162で路面は極低μ路の状態ではないと判定されると、次回のスリップ判定処理ルーチンの実行からステップS156で肯定的な判定がなされるから、次に、図2の駆動制御ルーチンのステップS106で計算された車輪速差ΔVが所定値Vref未満であるか否かを判定し(ステップS164)、車輪速差ΔVが所定値Vref未満となったときに、発生したスリップは収束したと判断してスリップの収束を示すスリップ収束フラグF2を値1にセットして(ステップS170)、本ルーチンを終了する。一方、車輪速差ΔVが所定値Vref未満でないと判定されると、発生したスリップは未だ収束していないと判断して、本ルーチンを終了する。このように、路面が極低μ路の状態ではないと判定されると、車輪速差ΔVが所定値Vref未満となった時点でスリップが収束したと判断するのである。
【0029】
ステップS158で回転角加速度αが負の値ではない、すなわちゼロ以上と判定されたとき、前回の図2の駆動制御ルーチンのステップS104で計算された前回回転角加速度αが負の値であるか否かを判定する(ステップS166)。前回回転角加速度αが負の値であると判定されると、回転角加速度αが負の所定値αref未満とならないまま、すなわち極低μ路との判定がなされないまま回転角加速度αが負の値からゼロクロス点を横切った場合であるから、路面は極低μ路の状態にあると判定すると共に(ステップS168)、発生したスリップは収束しており後述するスリップ発生時処理ルーチンの実行に伴うトルクの制限を解除するのに適切なタイミングであると判断し、スリップ収束フラグF2を値1にセットして(ステップS170)、本ルーチンを終了する。これにより、駆動軸28に作用している回転角加速度αの方向と一致する方向にトルクを作用させることができるから、トルクの制限の解除に伴って発生する駆動軸28のねじれによる振動を効果的に防止することができる。なお、回転角加速度αはゼロ以上であるがステップS166で前回回転角加速度αは負の値でないと判定されると、発生したスリップは収束していないか或いはトルクの制限を解除するタイミングとして不適当であると判断して、本ルーチンを終了する。このように、路面状態が極低μ路であるときには、回転角加速度αが負の値からゼロクロス点を横切ったタイミングでトルクの制限を解除するのである。以上が、スリップ判定処理ルーチンの処理である。
【0030】
図2の駆動制御ルーチンに戻って、このようにしてスリップ判定処理がなされると、判定結果に応じた処理を行なう(ステップS110〜S118)。具体的には、スリップ発生フラグF1とスリップ収束フラグF2が共に値0でありスリップは発生していない(グリップの状態)と判定されたときには、ステップS102で設定された要求トルクTd*をモータ22の目標トルクTm*に設定して(ステップS112)、設定した目標トルクTm*に基づいてモータ22を駆動制御して(ステップS118)、本ルーチンを終了する。また、スリップ発生フラグF1が値1でスリップ収束フラグF2が値0でありスリップが発生したと判定されたときにはスリップ発生時処理を行ない(ステップS114)、スリップ発生フラグF1とスリップ収束フラグF2が共に値1であり発生したスリップが収束したと判定されたときにはスリップ収束時処理を行なって(ステップS116)、各々の処理において設定されたモータ22の目標トルクTm*に基づいてモータ22を駆動制御して(ステップS118)、本ルーチンを終了する。なお、モータ22の駆動制御は、具体的には、目標トルクTm*に見合うトルクが駆動軸28に出力されるようインバータ回路24のスイッチング素子にスイッチング制御信号を出力することにより行なわれる。以下、スリップ発生時処理とスリップ収束時処理とを順に詳細に説明する。
【0031】
スリップ発生時処理は、発生したスリップを抑制するために駆動軸28に要求される要求トルクTd*に制限を加えてモータ22の目標トルクTm*を設定する処理であり、図5のスリップ発生時処理ルーチンによって実行される。このスリップ発生時処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70のCPU72は、まず、図2の駆動制御ルーチンのステップS104で計算した回転角加速度αがピーク値αpeakを超えているか否かを判定して(ステップS200)、回転角加速度αがピーク値αpeakを超えているときにはピーク値αpeakをその回転角加速度αに更新する処理を行なう(ステップS202)。ここで、ピーク値αpeakは、基本的には、スリップの発生により回転角加速度αが上昇してピークを示すときの値であり、初期値としては値0が設定されている。したがって、回転角加速度αが上昇してピークに達するまでの間はピーク値αpeakを回転角加速度αの値に順次更新していき、回転角加速度αがピークに達した時点でその回転角加速度αがピーク値αpeakとして固定されることになる。こうしてピーク値αpeakが設定されると、このピーク値αpeakに基づいて発生したスリップを抑制するためにモータ22から出力してもよいトルクの上限値であるトルク上限値Tmaxを設定する処理を行なう(ステップS204)。この処理は、実施例では、図6に例示するトルク上限値設定マップの横軸を回転角加速度αに置き換えて用いることにより行なった。このマップでは、図示するように、回転角加速度αが大きくなるほどトルク上限値Tmaxが小さくなる特性を有している。したがって、回転角加速度αが上昇してピーク値αpeakが大きくなるほど、即ちスリップの程度が大きいほど、トルク上限値Tmaxとして小さな値が設定され、その分モータ22から出力されるトルクが制限されることになる。
【0032】
こうして、トルク上限値Tmaxが設定されると、次に、このスリップ発生時処理ルーチンの実行が初回の実行であるか否かを判定する(ステップS206)。いま、スリップ発生時処理ルーチンの初回の実行を考えているから、初回の実行であると判定され、スリップが発生したときに駆動軸28に出力されているトルクをスリップ発生トルクTmslipとして設定すると共に(ステップS208)、設定したトルク上限値Tmaxを調整するための調整トルクTLを初期トルクT0に設定する(ステップS210)。ここで、スリップ発生トルクTmslipは、実施例では、前回の図2の駆動制御ルーチンで設定されたモータ22の前回目標トルクTm*を設定するものとした。また、初期トルクT0は、トルク上限値Tmaxによる駆動軸28への要求トルクTd*に対する急激な制限を抑制するために設定されるトルクである。
【0033】
こうして調整トルクTLが設定されると、設定した調整トルクTLが設定したトルク上限値Tmaxよりも大きいか否かを判定し(ステップS220)、調整トルクTLがトルク上限値Tmaxよりも大きいと判定されると、トルク上限値Tmaxを調整トルクTLとなるよう調整し(ステップS222)、調整したトルク上限値Tmaxと図2の駆動制御ルーチンのステップS102で設定された要求トルクTd*とのうち小さい方をモータ22の目標トルクTm*として設定して(ステップS224)、本ルーチンを終了する。これにより、要求トルクTd*は調整トルクTLに調整されたトルク上限値Tmaxにより制限されて、モータ22の目標トルクTm*が設定されることになるから、スリップを抑制させるために駆動軸28に出力されるトルクが急激に制限されるのを防止でき、トルクショックを抑制することができる。なお、調整トルクTLがトルク上限値Tmax以下と判定されると、ステップS204で設定したトルク上限値Tmaxと図2の駆動制御ルーチンのステップS102で設定された要求トルクTd*とのうち小さい方をモータ22の目標トルクTm*として設定して(ステップS224)、本ルーチンを終了する。
【0034】
スリップ発生時処理ルーチンが繰り返し実行されて、ステップS206で初回の実行でないと判定されると、図4のスリップ判定処理ルーチンのステップS162の処理により路面が極低μ路の状態ではないとの判定がなされたか否かを判定し(ステップS212)、現時点では極低μ路の状態ではないとの判定がなされていないと判定されると、本ルーチンの実行が開始されてから所定時間が経過するまでは(ステップS214)、第1の値T1を前回の調整トルクTLから減じて調整トルクTLを更新し(ステップS216)、スリップ発生時処理ルーチンの実行が開始されてから所定時間が経過したときには(ステップS214)、第1の値T1よりも大きい値の第2の値T2を前回の調整トルクTLから減じて調整トルクTLを更新する(ステップS218)。このように、スリップ発生時処理ルーチンが繰り返し実行されるたびに、調整トルクTLを徐々に小さいトルクに更新していくから、駆動軸28に出力されるトルクの制限に伴うショックを緩和させながら最終的にはステップS204で設定されたトルク上限値Tmaxをもってモータ22の目標トルクTm*を制限して、スリップを収束させることができる。また、調整トルクTLの更新は、第1の値T1を前回の調整トルクTLから減じて行ない、時間の経過と共に第1の値T1よりも大きい値である第2の値T2を前回の調整トルクTLから減じて行なうから、スリップの収束性をより向上させることができる。ステップS212の処理で路面が極低μ路の状態ではないとの判定がなされたと判定されると、ステップS204で設定されたトルク上限値Tmaxまでモータ22の目標トルクTm*を制限しなくてもスリップは収束可能であると判断して、調整トルクTLの更新を行なわずに、トルク上限値Tmaxを調整すると共に(ステップS220,222)、モータ22の目標トルクTm*を設定する処理を行なって(ステップS224)、本ルーチンを終了する。これにより、駆動軸28に出力されるトルクが過度に制限されることなく、スリップが収束することになる。以上が、スリップ発生時処理ルーチンの処理である。
【0035】
スリップ収束時処理は、発生したスリップが収束したときに要求トルクTd*に掛けられていた制限を解除(緩和)するための処理であり、図7のスリップ収束時処理ルーチンにより実行される。スリップ収束時処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70のCPU72は、まず、図5のスリップ発生時処理ルーチンのステップS208で設定されているスリップ発生トルクTmslipに所定の係数Kを乗じてトルク上限値Tmaxを設定し(ステップS300)、図2の駆動制御ルーチンのステップS102で設定した要求トルクTd*を設定したトルク上限値Tmaxでガードする処理を行なう(ステップS302)。ここで、係数Kは、再スリップを防止するために値0〜値1の範囲内で設定される。そして、スリップ収束時処理ルーチンの初回の実行が開始されてから所定時間経過したか否かを判定する(ステップS304)。所定時間が経過していないと判定されると、そのまま本ルーチンを終了し、所定時間が経過したと判定されると、スリップ発生フラグF1とスリップ収束フラグF2を共に値0にリセットする処理を行なって(ステップS306)、本ルーチンを終了する。したがって、スリップ収束時処理ルーチンの初回の実行が開始されてから所定時間が経過するまでは、スリップが発生したときに駆動軸28に出力されていたトルクに対して所定の割合のトルク(Tmslip・K)をもって要求トルクTd*が制限され、所定時間が経過したときに、トルク上限値Tmaxによる制限が完全に解除されて、モータ22の目標トルクTm*として要求トルクTd*が設定されてモータ22が駆動制御されることになる。
【0036】
図8に、スリップの発生により駆動軸28に出力するトルクを制限する際の駆動輪62a,62bの車輪速Vfおよび非駆動輪64a,64bの車輪速Vrと駆動軸28の回転角加速度αとモータ22の目標トルクTm*の時間変化の様子を説明する説明図である。図8中実線の車輪速Vfおよび車輪速Vr,回転角加速度α,目標トルクTm*は、雪路などの低μ路を走行しているときにスリップが発生したときの時間変化の様子を示し、図8中破線の車輪速Vfおよび車輪速Vr,回転角加速度α,目標トルクTm*は、氷盤などの極低μ路を走行しているときにスリップが発生したときの時間変化の様子を示す。雪路などの低μ路を走行しているときに駆動軸28の回転角加速度αが時刻t1に閾値αslipを超えてスリップが発生したと判定されると、それに伴って回転角加速度αに応じてトルク上限値Tmaxが設定される。このとき、まず、時刻t2に初期トルクT0まで要求トルクTd*が制限されてモータ22の目標トルクTm*が引き下げられ、その後、回転角加速度αがピークのときのトルク上限値Tmaxに向けて時間の経過と共に徐々にモータ22の目標トルクTm*が引き下げられる。回転角加速度αが時刻t3に負の所定値αref未満となると、路面は氷盤路などの極低μ路の状態ではないと判定されるから、そのときの要求トルクTd*の制限が維持されてモータ22の目標トルクTm*は一定となる。そして、駆動輪62a,62bの車輪速Vfと非駆動輪64a,64bの車輪速Vrとの偏差である車輪速差ΔVが時刻t4に所定値Vref未満となってスリップが収束すると、要求トルクTd*の制限が解除されてモータ22の目標トルクTm*は引き上げられていく。一方、氷盤路などの極低μ路を走行しているときに駆動軸28の回転角加速度αが時刻t1に閾値αslipを超えてスリップが発生したと判定されると、上述の雪路などの低μ路の走行時と同様に要求トルクTd*が制限されてモータ22の目標トルクTm*が引き下げられる。路面が極低μ路の状態のときには回転角加速度αは負の所定値αref未満となることがないから、モータ22の目標トルクTm*は回転角加速度αがピークのときのトルク上限値Tmaxまで引き下げられる。回転角加速度αが時刻t5に負の値から上昇してゼロクロス点を横切ると、要求トルクTd*の制限が解除されてモータ22の目標トルクTm*は引き上げられていく。
【0037】
以上説明した実施例の自動車20によれば、スリップの発生により駆動軸28に出力されるトルクが制限されている最中に駆動軸28の回転角加速度αに基づいて路面の状態を推定し、推定した路面の状態に基づいて駆動軸28に出力されるトルクの制限を調整するから、路面の状態に拘わらず発生したスリップを効果的に収束させることができる。特に、路面が氷盤などの極低μ路の状態にあるか否かを識別可能に判定して、極低μ路の状態に対処するから、極低μ路を走行しているときに発生したスリップに対する収束性をより向上させることができる。
【0038】
実施例の自動車20では、路面が極低μ路の状態ではないと判定された以降(図5のスリップ発生時処理ルーチンのステップS212で肯定的な判定がなされた以降)は、トルク上限値Tmaxを調整するための調整トルクTLの更新を行なわずに判定された時点における駆動軸28への要求トルクTd*に対する制限を維持するものとしたが、調整トルクTLが小さくなるよう更新して、回転角加速度αがピークに達したときに図5のマップを用いて設定されるトルク上限値Tmaxとなるまで駆動軸28への要求トルクTd*に対する制限を大きくしていくものとしてもよい。
【0039】
実施例の自動車20では、スリップの発生に伴う駆動軸28への要求トルクTd*に対する制限を時間の経過と共に徐々に大きくするものとしたが、スリップの発生に伴う要求トルクTd*に対する制限を一度で行なうものとしてもよい。また、実施例の自動車20では、駆動軸28への要求トルクTd*に対する制限を時間の経過と共に大きくなる比率をもって徐々に大きくするものとしたが、駆動軸28への要求トルクTd*に対する制限を一定の比率をもって時間の経過と共に徐々に大きくするものとしてもよい。
【0040】
実施例の自動車20では、路面が極低μ路の状態ではないと判定されたとき、駆動輪62a,62bの車輪速Vfと非駆動輪64a,64bの車輪速Vrとの偏差(車輪速差ΔV)に基づいて要求トルクTd*に対する制限を解除(緩和)するものとしたが、回転角加速度αに基づいて要求トルクTd*に対する制限を解除するものとしてもよい。例えば、回転角加速度αが負の値(ゼロ未満)となってから所定時間が経過したときや回転角加速度αが負の所定値αref未満となったとき、回転角加速度αが負の所定値αref未満となってから所定時間が経過したときなどのタイミングで要求トルクTd*に対する制限を解除するものとしてもよい。
【0041】
実施例の自動車20では、路面が極低μ路の状態であると判定されたとき、回転角加速度αが負の値から上昇してゼロを横切るタイミングで駆動軸28に出力されるトルクの制限を解除するものとしたが、回転角加速度αが負の値から上昇している途中における何れのタイミングで駆動軸28に出力されるトルクの制限を解除するものとしても差し支えない。
【0042】
実施例の自動車20では、駆動軸28に出力されるトルクを制限している最中に駆動軸28の回転角加速度αが負の所定値αref未満となったか否かを判定することにより路面の状態を推定するものとしたが、他の手法を用いて路面の状態を推定するものとしてもよい。例えば、駆動軸28の回転角加速度αの負のピークを検出し、この負のピークの大きさに基づいて路面の状態を判定するものとしてもよい。また、回転角加速度αの代わりに或いは回転角加速度αと併せて駆動輪62a,62bの車輪速Vfなどを用いて路面の状態を推定するものとしてもよい。
【0043】
実施例では、駆動輪62a,68bに接続された駆動軸に直接的に動力の出力が可能に機械的に接続されたモータ22を備える自動車20に適用して説明したが、駆動軸に動力の出力が可能な電動機を備える車両であれば、如何なる構成の車両に適用するものとしても構わない。例えば、エンジンと、エンジンの出力軸に接続されたジェネレータと、ジェネレータからの発電電力を用いて駆動軸に動力を出力するモータとを備えるいわゆるシリーズ型のハイブリッド自動車に適用するものとしてもよい。また、図9に示すように、エンジン122と、エンジン122に接続されたプラネタリギヤ126と、プラネタリギヤ126に接続された発電可能なモータ124と、同じくプラネタリギヤ126に接続されると共に駆動輪62a,62bに接続された駆動軸に動力が出力可能に駆動軸に機械的に接続されたモータ22とを備えるいわゆる機械分配型のハイブリッド自動車120に適用することもできるし、図10に示すように、エンジンの222の出力軸に接続されたインナーロータ224aと駆動輪62a,62bに接続された駆動軸に取り付けられたアウターロータ224bとを有しインナーロータ224aとアウターロータ224bとの電磁的な作用により相対的に回転するモータ224と、駆動軸に動力が出力可能に駆動軸に機械的に接続されたモータ22と備えるいわゆる電気分配型のハイブリッド自動車220に適用することもできる。或いは、図11に示すように、駆動輪62a,62bに接続された駆動軸に変速機324(無段変速機や有段の自動変速機など)を介して接続されたモータ22と、クラッチCLを介してモータ22の回転軸と接続されたエンジン322とを備えるハイブリッド自動車320に適用することもできる。このとき、駆動輪にスリップが発生したときの制御としては、制御における出力応答性の速さなどから主に駆動軸に機械的に接続されたモータを制御することにより駆動軸に出力されるトルクを制限するが、このモータの制御と協調して他のモータを制御したりエンジンを制御したりするものとしてもよい。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】 実施例の自動車20の電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】 アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTd*との関係を示すマップである。
【図4】 実施例の自動車20の電子制御ユニット70により実行されるスリップ判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図5】 実施例の自動車20の電子制御ユニット70により実行されるスリップ発生時処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図6】 駆動軸28の回転角加速度αとトルク上限値Tmaxとの関係を示すマップである。
【図7】 実施例の自動車20の電子制御ユニット70により実行されるスリップ収束時処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】 スリップの発生により駆動軸28に出力するトルクを制限する際の駆動輪62a,62bの車輪速Vfおよび非駆動輪64a,64bの車輪速Vrと駆動軸28の回転角加速度αとモータ22の目標トルクTm*の時間変化の様子を示す説明図である。
【図9】 変形例の自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図10】 変形例の自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【図11】 変形例の自動車320の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
20,120,220,320 自動車、22 モータ、24 インバータ回路、26 バッテリ、28 駆動軸、29 ディファレンシャルギヤ、32 回転位置検出センサ、52 車速センサ、54 勾配センサ、56 蛇角センサ、62a,62b 駆動輪、70 電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、122,222,322 エンジン、124 モータ、126 プラネタリギヤ、224 モータ、224a インナロータ、224b アウタロータ、324 変速機。
Claims (14)
- 駆動輪に接続された駆動軸に動力を出力可能な原動機を備える車両であって、
前記駆動輪の空転によるスリップを検出するスリップ検出手段と、
該スリップ検出手段によりスリップが検出されたとき、前記駆動軸に出力されるトルクが制限されるよう前記原動機を駆動制御する制御手段と、
前記駆動軸の回転角加速度を検出する回転角加速度検出手段と、
該制御手段によるトルクの制限の最中に前記回転角加速度検出手段により検出された回転角加速度が負の所定値を下回ったときには氷盤などの摩擦係数が極めて小さい極低μ路でないと推定し前記検出された回転角加速度が前記負の所定値を下回らなかったときには前記極低μ路と推定して少なくとも該極低μ路を識別可能に走行路面の状態を推定する路面状態推定手段と、
該推定された走行路面の状態に基づいて前記制御手段によるトルクの制限を調整するトルク制限調整手段と
を備える車両。 - 請求項1記載の車両であって、
前記スリップ検出手段は、前記回転角加速度検出手段により検出された駆動軸の回転角加速度に基づいてスリップを検出する手段であり、
前記制御手段は、前記検出された駆動軸の回転角加速度に基づいて制限トルクを設定し、該設定した制限トルクに基づいて前記原動機を駆動制御する手段である
車両。 - 前記制御手段は、前記検出された駆動軸の回転角加速度が大きくなるほど制限が大きくなる傾向に前記制限トルクを設定する手段である請求項2記載の車両。
- 前記制御手段は、時間の経過と共に段階的に前記設定した制限トルクまで前記駆動軸に出力されるトルクが制限されるよう前記原動機を駆動制御する手段である請求項2または3記載の車両。
- 前記制御手段は、時間の経過と共に大きくなる制限比率をもって前記駆動軸に出力されるトルクが制限されるよう前記原動機を駆動制御する手段である請求項4記載の車両。
- 前記トルク制限調整手段は、前記路面状態推定手段により前記走行路面の状態として前記極低μ路でないと推定されたときには、前記設定した制限トルクに拘わらず該極低μ路でないと推定した時点における前記制御手段によるトルクの制限が維持されるよう前記原動機を駆動制御する手段である請求項2ないし5いずれか1項に記載の車両。
- 前記トルク制限調整手段は、前記路面状態推定手段により推定された走行路面の状態に応じた態様をもって前記駆動軸に出力されるトルクの制限を解除する手段である請求項1ないし6いずれか1項に記載の車両。
- 請求項7記載の車両であって、
前記車両の駆動輪の回転角速度と非駆動輪の回転角速度とを検出する回転角速度検出手段を備え、
前記トルク制限調整手段は、前記路面状態推定手段により前記路面状態として前記極低μ路でないと推定されたときには、前記検出された駆動輪の回転角速度と非駆動輪の回転角速度とに基づいて前記駆動軸に出力されるトルクの制限を解除する手段である
車両。 - 前記トルク制限調整手段は、前記駆動輪の回転角速度と前記非駆動輪の回転角速度との偏差が所定偏差以下となったときに、前記トルクの制限を解除する手段である請求項8記載の車両。
- 前記トルク制限調整手段は、時間の経過と共に段階的に前記トルクの制限を解除する手段である請求項8または9記載の車両。
- 前記トルク制限調整手段は、アクセル操作量が多いほど短時間で前記トルクの制限を解除する手段である請求項10記載の車両。
- 前記トルク制限調整手段は、前記路面状態推定手段により前記走行路面の状態として前記極低μ路と推定されたときには、前記検出される回転角加速度が負の回転角加速度から上昇する途中の所定のタイミングをもって前記トルクの制限を解除する手段である請求項7ないし11いずれか1項に記載の車両。
- 前記所定のタイミングは、前記検出される回転角加速度が負から正へ移行するタイミングである請求項12記載の車両。
- 駆動輪に接続された駆動軸に動力を出力可能な原動機を備える車両の制御方法であって、
(a)前記駆動輪の空転によるスリップを検出するステップと、
(b)該ステップ(a)スリップが検出されたとき、前記駆動軸に出力されるトルクが制限されるよう前記原動機を駆動制御するステップと、
(c)前記駆動軸の回転角加速度を検出するステップと、
(d)該ステップ(b)によるトルクの制限の最中に前記ステップ(c)によりにより検出された回転角加速度が負の所定値を下回ったときには氷盤などの摩擦係数が極めて小さい極低μ路でないと推定し前記検出された回転角加速度が前記負の所定値を下回らなかったときには前記極低μ路と推定して少なくとも該極低μ路を識別可能に走行路面の状態を推定するステップと、
(e)該推定された走行路面の状態に基づいて前記ステップ(b)によるトルクの制限を調整するステップと
を備える車両の制御方法。
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