JP4061865B2 - 水質浄化構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所望の浄化水域を沿岸部に形成する際に構築される水質浄化構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウオーターフロントにおいてアメニティに富んだ親水空間を確保するためには、水質を浄化して良好な水環境を形成することが不可欠であるが、その目的達成手段として水質浄化堤が注目されている。
【0003】
水質浄化堤は、礫や砕石からなる堤体材を海底からほぼ台形状に積み上げ、これを所定の被覆石で被覆したものであり、所定の水域を取り囲むようにして構築しておけば、自然生態系の水質浄化機能によって清浄な水質の内水域を創出することができる。
【0004】
すなわち、干潮から満潮に移行する際は、外水域の海水が水質浄化堤の堤体材の間隙を通って内水域に移動するが、そのときに海水中に含まれるプランクトン等の汚濁成分は、堤体材の表面に付着形成された微生物群からなる生物膜によって付着あるいは捕捉され、さらに礫間に棲息する貝類や甲殻類によって摂取され除去される。
【0005】
一方、かかる生物膜による汚濁物質除去作用によって堤体材の目詰まりが防止されるため、満潮から干潮に移行する際も、人工的なメンテナンスを何ら必要とすることなく、内水域の海水は水質浄化堤の堤体材の間隙を通って外水域へと移動することとなり、かかる往復流によって内水域の水交換も可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、沿岸部においては、一般河川からの流入負荷等が原因で水質の富栄養化、すなわちリンや窒素といった栄養塩類が高い濃度で溶出した状態になっていることが多く、上述した水質浄化機能をもってしても、かかる富栄養化を改善できるものではない。
【0007】
したがって、このような富栄養化した内水域に太陽光が差し込むと、該内水域では水質浄化機能によって透明度が増している分だけ、該太陽光は、内水域の底層部まで透過し、内水域に溶出している栄養塩で大量の藻類が増殖するとともに、かかる藻類はやがて枯れ死し、海底に堆積する。
【0008】
そして、内水域の底層では、枯死した藻類の有機物分解で多量の酸素が消費され嫌気性の環境となって貧酸素化するとともに、かかる貧酸素化によって、アンモニアや硫化水素などが底質や水中の有機物から溶出し、貧酸素化と相まって多くの水生生物が死滅する原因となるとともに、栄養塩類の溶出によって水質の富栄養化がさらに進行するといった悪循環をもたらす。
【0009】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、内水域の水質を浄化するとともに浄化された水質を長期間維持することが可能な水質浄化構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る水質浄化構造は請求項1に記載したように、海、湖沼等の沿岸部の水底に細粒層を敷設するとともに該細粒層に連なるようにして沖合方向の水底に粗粒層を敷設する一方、前記沿岸部の沖合に外水域と内水域とを隔てる所定の堰体を備えてなり、該堰体を前記粗粒層及び前記細粒層を介して外水域と内水域との間で水交換が行われ前記粗粒層及び前記細粒層の天端よりも上層においては非交換となるようにかつ前記粗粒層が内水域側で非露出となるように構成してなるものである。
【0011】
また、本発明に係る水質浄化構造は、前記堰体を底版及び該底版の縁部から立設された遮断壁とからなるL字断面部材で構成し、該底版が前記粗粒層を覆うように前記堰体を設置するとともに前記底版の上に礫、砕石等の堤体材を積み上げたものである。
【0012】
また、本発明に係る水質浄化構造は、前記堰体を底版及び該底版の中央近傍から立設された遮断壁とからなる逆T字断面部材で構成し、該底版が前記粗粒層を覆うように前記堰体を設置するとともに前記底版の外水域側又は内水域側の上に礫、砕石等の堤体材を積み上げたものである。
【0013】
また、本発明に係る水質浄化構造は、前記堰体を底版及び該底版の中央近傍から立設され下方に通水開口が形成された遮断壁とからなる逆T字断面部材で構成し、該堰体を前記底版の外水域側に前記粗粒層が内水域側に前記細粒層がそれぞれ載置されるように前記水底に設置したものである。
【0014】
また、本発明に係る水質浄化構造は、前記堰体をケーソンで構成するとともに前記粗粒層を該ケーソンが設置されるマウンドで構成したものである。
【0015】
また、本発明に係る水質浄化構造は、前記堰体に当接するように又は該堰体に接合又は一体化された状態で所定の止水板をその下方に通水空間が確保されるようにして前記細粒層に設けたものである。
【0016】
また、本発明に係る水質浄化構造は、前記細粒層を干潮時にその天端が大気に露出するように構成したものである。
【0017】
また、本発明に係る水質浄化構造は、前記細粒層の上に生育した藻類又は該細粒層上に枯死してなる堆積物を捕食する生物体を前記内水域に投入したものである。
【0018】
本発明に係る水質浄化構造においては、沿岸部の沖合に外水域と内水域とを隔てる所定の堰体を備えるにあたり、海、湖沼等の沿岸部の水底に細粒層を敷設するとともに該細粒層に連なるようにして沖合方向の水底に粗粒層を敷設し、これら粗粒層及び細粒層を介して外水域と内水域との間で水交換が行われ、粗粒層及び細粒層の天端よりも上層においては外水域と内水域との間で水が非交換となるようにかつ粗粒層が内水域側で非露出となるように上述の堰体を構成する。
【0019】
このようにすると、干潮から満潮に移行する際、外水域の水は粗粒層を通過し、次いで、細粒層内に浸透して内水域に流入するが、外水域の水が粗粒層を通過する際、外水域の水に含まれるプランクトン等の汚濁成分は、粗粒層の表面に付着形成された微生物群からなる生物膜によって付着あるいは捕捉され、さらに礫間に棲息する貝類や甲殻類によって摂取され除去される。
【0020】
そして、このように汚濁成分が概ね除去された外水域からの流入水は、細粒層内に浸透するが、その水に含まれている微細な汚濁物質は、細粒層内の濾過作用及び微生物による分解作用によってさらに除去され、しかる後、内水域に流入する。
【0021】
したがって、外水域に含まれていた汚濁物質は、従来の石積み浄化堤よりもさらに除去された状態で内水域に流入することとなる。
【0022】
一方、上述したような粗粒層及び細粒層における水質浄化機能によって酸素消費されるため、外水域から粗粒層及び細粒層を通ってきた水の溶存酸素濃度は低くなっている。
【0023】
そのため、外水域からの流入水に含まれている栄養塩類のうち、硝酸態窒素(NO3―N)については、細粒層内の脱窒菌による脱窒作用により、窒素ガスへと変化し、細粒層を抜けて浮上した後、大気中へと放出される。
【0024】
また、アンモニア態窒素(NH4―N)、リンその他の栄養塩類については、細粒層の上で生育した藻類の生育に必要な栄養源として該藻類に取り込まれる。
【0025】
すなわち、上述した粗粒層及び細粒層での汚濁物質の除去効果によって内水域の透明度が上昇し、太陽光が透過しやすくなって細粒層上で藻類が生育しやすくなるが、上述したその他の栄養塩類は、かかる藻類が生育するための栄養源として消費される。
【0026】
したがって、いずれにしろ、外水域からの流入水に含まれている栄養塩類は、内水域には流入しない。
【0027】
ここで、藻類の生育が過剰になるようであれば、適宜これを除去し、その枯死による有機物堆積、該有機物分解に伴う貧酸素化及びその結果としての栄養塩類の溶出を回避するのが望ましい。
【0028】
なお、既に述べたように、粗粒層及び細粒層における水質浄化機能によって酸素消費されるため、外水域から粗粒層及び細粒層を通ってきた水の溶存酸素濃度は低くなっているが、細粒層の上で生育する藻類からの酸素供給により、内水域の溶存酸素濃度は確保され、内水域内での水棲生物の環境は良好に維持される。
【0029】
また、堰体は、粗粒層及び細粒層の天端よりも上層においては非交換となるようにかつ粗粒層が内水域側で非露出となるように構成してあるため、外水域の水は、必ず粗粒層及び細粒層の両方を通過した後、内水域に直接流入することとなり、かくして上述した作用を確実に期待することができる。
【0030】
粗粒層は、例えば礫や砕石で構成することが考えられるが、表面に生物膜が形成されて汚濁物質を捕捉除去できる粗粒体で構成するのであれば、該粗粒体の形状、寸法、材質等は任意である。例えば、環境上あるいはpH上、問題がないのであれば、コンクリートガラを使用することも可能である。
【0031】
細粒層は、例えば砂で構成することが考えられるが、粗粒層で除去しきれなかった残りの汚濁物質を捕捉除去できるフィルター機能を有する細粒体で構成するのであれば、該細粒体の形状、粒径、材質等はやはり任意であり、例えば下層を礫、上層を砂で構成することも考えられる。
【0032】
堰体は、粗粒層及び細粒層を介して外水域と内水域との間で水交換が行われ粗粒層及び細粒層の天端よりも上層においては非交換となるようにかつ粗粒層が内水域側で非露出となるように構成するのであれば、どのように構成するかは任意であり、さまざまな態様が考えられる。
【0033】
例えば、かかる堰体を底版及び該底版の縁部から立設された遮断壁とからなるL字断面部材で構成し、設置の際には、該底版が粗粒層を覆うようにするとともに、設置された後、底版の上に礫、砕石等の堤体材を積み上げる構成が考えられる。
【0034】
かかる構成においては、底版の上に積み上げられた礫、砕石等の堤体材の重量によって堤体の転倒を防止するとともに、遮断壁が外水域側にくるように堰体を設置した場合には、かかる堤体材は、内水域におけるアメニティーの向上に寄与させることが可能であり、逆に遮断壁が内水域側にくるように堰体を設置した場合には、かかる堤体材に消波機能を持たせることも可能である。なお、後者の場合には、溶存酸素層度が高い表層水の流入を阻害することがないよう、外水域側の底版に表層水流入開口を形成しておくのが望ましい。
【0035】
また、かかる堤体を底版及び該底版の中央近傍から立設された遮断壁とからなる逆T字断面部材で構成し、設置の際には、該底版が粗粒層を覆うようにするとともに、設置された後、底版の外水域側又は内水域側の上に礫、砕石等の堤体材を積み上げる構成が考えられる。
【0036】
なお、堤体材の作用は、上述したものと同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0037】
また、かかる堰体を底版及び該底版の中央近傍から立設され下方に通水開口が形成された遮断壁とからなる逆T字断面部材で構成し、設置の際には、底版の外水域側に粗粒層が内水域側に細粒層がそれぞれ載置されるように堰体を水底に設置する。
【0038】
かかる構成においては、上述した2つの構成とは異なり、堰体を予め水底に設置し、その後で上述したように粗粒層及び細粒層を底版上に載置されるように敷設する。このようにすると、外水域の水は、粗粒層を通過した後、遮断壁に形成された通水開口を通って内水域側に配置された細粒層に浸透する。
【0039】
また、かかる堰体をケーソンで構成するとともに粗粒層を該ケーソンが設置されるマウンドで構成したすることも考えられる。
【0040】
ここで、細粒層については、すべて内水域に露出させたとしても、粗粒層を通ってきた外水域の水をある程度浸透させることはできるが、前記堰体に当接するように又は該堰体に接合又は一体化された状態で所定の止水板をその下方に通水空間が確保されるようにして前記細粒層に設けたならば、止水板が載置された箇所では、内水域に流入することはできないため、外水域からの水を確実に細粒層に通過させることが可能となり、上述した細粒層での汚濁物質除去機能及び脱窒作用を確実に発揮させることが可能となる。
【0041】
また、細粒層を干潮時にその天端が大気に露出するように構成したならば、細粒層の表層付近に十分な酸素を供給することが可能となり、上述した藻類の光合成による酸素供給と合わせて、満潮時における内水域の溶存酸素濃度をさらに向上させることが可能となる。なお、かかる構成においては、細粒層は、いわゆる干潟となる。
【0042】
上述したように、藻類の生育が過剰になるようであれば、適宜これを除去するのが望ましいが、前記細粒層の上に生育した藻類又は該細粒層上に枯死してなる堆積物を捕食する生物体を前記内水域に投入した場合においては、藻類の生育が抑制されるとともに枯死による堆積物の量が減少するので、人手によって除去する必要がなくなる。
【0043】
生物体は、藻類やその枯死してなる堆積物を捕食するものであれば、なんでもよいが例えばナマコを内水域に投入することが考えられる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る水質浄化構造の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図1は、本実施形態に係る水質浄化構造を示した断面図である。同図でわかるように、本実施形態に係る水質浄化構造1は、沿岸部2の水底である海底6に細粒層を干潮時にその天端が大気に露出するように、すなわち干潟7として敷設し、該干潟に連なるようにして沖合方向の海底に粗粒層である礫層8を敷設するとともに、沿岸部2の沖合に堰体3を設けて外水域4と内水域5とを隔ててある。
【0046】
堰体3は、底版9及び該底版の縁部から立設された遮断壁10とからなるL字断面部材で構成してあり、遮断壁10が外水域4側にくるようにかつ底版9が内水域5側の礫層8を覆うように設置してある。なお、底版9の上には、礫、砕石等の堤体材11aを積み上げてあり、親水空間の快適性が向上するように構成してある。
【0047】
ここで、堤体3は、礫層8及び干潟7を介して外水域4と内水域5との間で水交換が行われるようにかつ礫層8が内水域5側で非露出となるように、礫層8の内水域5側を底版9で覆ってあるとともに、礫層8及び干潟7の天端よりも上層においては、遮断壁10によって外水域4と内水域5との間で水が非交換となるように構成してある。なお、外水域4側の礫層8の上には、礫、砕石等の堤体材11bを積み上げてあり、外水域4における波浪を生波するようになっている。
【0048】
堤体3は、具体的には、海水移動や透水を遮断できる材料、例えばRCで製作することが考えられる。
【0049】
底版9の内水域5側方には、該底版との間に隙間ができないように止水板12を当接配置してあり、外水域4から流入してきた水を干潟7に確実に通すことができるようになっている。
【0050】
止水板12は、鋼板やプレキャストコンクリート版で構成することが可能であり、同図に示すように下方に通水空間が確保された状態で干潟7内に埋設配置するようにしてもよいが、単に干潟7の上に載置するようにしてもかまわない。
【0051】
本実施形態に係る水質浄化構造1においては、沿岸部2の沖合に外水域4と内水域5とを隔てる堰体3を備えるにあたり、沿岸部2の海底6に干潟7を敷設するとともに該干潟に連なるようにして沖合方向の海底に礫層8を敷設し、図2に示すように、これら礫層8及び干潟7を介して外水域4と内水域5との間で水交換が行われ、礫層8及び干潟7の天端よりも上層においては外水域4と内水域5との間で水が非交換となるようにかつ礫層8が内水域5側で非露出となるように堰体3を構成してある。
【0052】
このようにすると、干潮から満潮に移行する際、外水域4の表層水、中層水及び底層水は、同図に示すように礫層8を通過し、次いで、干潟7内に浸透して内水域5に流入するが、外水域4の水が礫層8を通過する際、外水域4の水に含まれるプランクトン等の汚濁成分は、礫層8の表面に付着形成された微生物群からなる生物膜によって付着あるいは捕捉され、さらに礫間に棲息する貝類や甲殻類によって摂取され除去される。
【0053】
そして、このように汚濁成分が概ね除去された外水域4からの流入水は、引き続いて干潟7内に浸透するが、その水に含まれている微細な汚濁物質は、干潟7内の濾過作用及び微生物による分解作用によってさらに除去され、しかる後、内水域5に流入する。
【0054】
したがって、外水域4の水は、同図矢印に示すように従来の石積み浄化堤よりもさらに汚濁物質が除去された状態で内水域5に流入することとなる。
【0055】
一方、上述したような礫層8及び干潟7における水質浄化機能によって外水域4からの流入水の溶存酸素が消費されるため、外水域4からの流入水は、礫層8、干潟7と通過するにしたがって溶存酸素濃度が低下し、該干潟内では貧酸素化する。
【0056】
そのため、外水域4からの流入水に含まれている栄養塩類のうち、硝酸態窒素(NO3―N)については、干潟7内の脱窒菌による脱窒作用により、窒素ガスへと変化し、干潟7を抜けて浮上した後、大気中へと放出される。
【0057】
また、アンモニア態窒素(NH4―N)、リンその他の栄養塩類については、干潟7の上で生育した藻類21の生育に必要な栄養源として該藻類に取り込まれる。
【0058】
すなわち、上述した礫層8及び干潟7での汚濁物質の除去効果によって内水域5の透明度が上昇し、太陽光が透過しやすくなって干潟7上で藻類が生育しやすくなるが、上述したその他の栄養塩類は、かかる藻類が生育するための栄養源として消費される。
【0059】
したがって、いずれにしろ、外水域4からの流入水に含まれている栄養塩類は、内水域5には流入しない。
【0060】
しかも、礫層8及び干潟7における水質浄化機能によって外水域4からの流入水は溶存酸素濃度が低下しているが、干潟7上で生育する藻類21からの光合成に伴う酸素供給により、内水域5の溶存酸素濃度は確保され、内水域5内での水棲生物の環境は良好に維持される。
【0061】
ここで、藻類21の生育が過剰になるようであれば、適宜これを除去し、その枯死による有機物堆積、該有機物分解に伴う貧酸素化及びその結果としての栄養塩類の溶出を回避するのが望ましい。
【0062】
次に、満潮から干潮に移行する際、それまで水面下にあった干潟7は、大気に露出されるため、ここでも、干潟7内に酸素が入り込み、次の満潮の際に外水域4からの流入水に溶け込んで溶存酸素濃度を高める。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る水質浄化構造1によれば、沿岸部2の沖合に外水域4と内水域5とを隔てる堰体3を備えるにあたり、海底6に干潟7を敷設するとともに該干潟に連なるようにして沖合方向の海底に礫層8を敷設し、これら礫層8及び干潟7を介して外水域4と内水域5との間で水交換が行われ、礫層8及び干潟7の天端よりも上層においては外水域4と内水域5との間で水が非交換となるようにかつ礫層8が内水域5側で非露出となるように堰体3を構成したので、干潮から満潮に移行する際、礫層8の浄化作用及び干潟7の浄化及びフィルター作用によって、外水域4に含まれている汚濁物質を十分に除去した上で内水域5に流入させることが可能となる。
【0064】
また、本実施形態に係る水質浄化構造1によれば、外水域4からの流入水に含まれている栄養塩類のうち、硝酸態窒素(NO3―N)については、干潟7に含まれている脱窒菌の作用によって脱窒され、その他の栄養塩類については、干潟7の上で生育する藻類21の栄養源として消費され、いずれにしても、外水域4の栄養塩類が内水域5に流入するおそれがなくなる。
【0065】
また、本実施形態に係る水質浄化構造1によれば、外水域4からの流入水の溶存酸素濃度が礫層8及び干潟7を通過している間に貧酸素化するものの、藻類21の光合成による酸素供給作用及び干潮時に干潟7が大気に曝されることによる該干潟への酸素の吸収作用により、内水域の溶存酸素濃度を十分確保することが可能となり、水棲生物に適した環境を維持することが可能となる。
【0066】
また、本実施形態に係る水質浄化構造1によれば、堰体3を底版9及び該底版の縁部から立設された遮断壁10とからなるL字断面部材で構成し、遮断壁10が外水域4側にくるようにかつ底版9が礫層8を覆うように設置するとともに、底版9の上に礫、砕石等の堤体材11aを積み上げるようにしたので、底版9の上に積み上げられた堤体材11aの重量によって堤体3の転倒を防止するとともに、内水域5におけるアメニティーを向上させることが可能となる。
【0067】
本実施形態では、礫層8を抜けた外水域4からの流入水を干潟7内に十分浸透させてから内水域5に流入させることで該干潟内での脱窒作用の実効化を図るようにしたが、これに代えて、止水板12がなくても、外水域4からの水が干潟7内に適度に浸透し、あるいは藻類21の栄養源となるのであれば、止水板12を省略してもかまわない。
【0068】
また、本実施形態では、細粒層を干潟7で構成したが、藻類21による酸素供給で内水域5の溶存酸素濃度が十分に確保できるのであれば、該細粒層を必ずしも干潮時に大気に露出させる必要はない。
【0069】
また、本実施形態では、止水板12を堰体3に当接させるようにしたが、これに代えて、本発明の止水板を堰体に溶接等で接合してもよいし、該堰体に一体化した状態で製作してもよい。
【0070】
また、本実施形態では、堰体3を底版9及び該底版の縁部から立設された遮断壁10とからなるL字断面部材で構成したが、本発明の堰体については、粗粒層及び細粒層を介して外水域と内水域との間で水交換が行われ粗粒層及び細粒層の天端よりも上層においては非交換となるようにかつ粗粒層が内水域側で非露出となるように構成するのであれば、どのように構成するかは任意であり、さまざまな変形例が考えられる。
【0071】
図3に示す変形例に係る水質浄化構造31の堰体3aは、上述の実施形態と同様、底版9a及び該底版の縁部から立設された遮断壁10とからなるL字断面部材で構成してあるが、遮断壁10については内水域5側にくるように位置決めしてある。ここで、底版9aにはスリット状の表層水流入開口32を形成してあり、外水域4の表層水の内水域5への取り込みを阻害しないように構成してある。
【0072】
なお、その他の構成及びその作用効果については、上述の実施形態とほぼ同様であるので、その詳細な説明については省略する。
【0073】
図4に示す変形例に係る水質浄化構造41の堰体3cは、底版42及び該底版の中央近傍から立設された遮断壁10とからなる逆T字断面部材で構成し、該底版が礫層8を覆うように設置してある。ここで、底版42の外水域4側にはスリット状の表層水流入開口43を形成してあり、外水域4の表層水の内水域5への取り込みを阻害しないように構成してある。
【0074】
なお、その他の構成及びその作用効果については、上述の実施形態とほぼ同様であるので、その詳細な説明については省略する。
【0075】
図5に示す変形例に係る水質浄化構造51の堰体3dは、底版52及び該底版の中央近傍から立設され下方にスリット状の通水開口53が形成された遮断壁10とからなる逆T字断面部材で構成してあり、設置の際には、底版52の外水域4側に礫層8が内水域5側に干潟7がそれぞれ載置されるように堰体3dを海底6に設置する。
【0076】
このようにすると、外水域4の水は、礫層8を通過した後、遮断壁10の下方に形成されたスリット状の通水開口53を通って内水域5側に配置された干潟7に浸透する。
【0077】
なお、その他の構成及びその作用効果については、上述の実施形態とほぼ同様であるので、その詳細な説明については省略する。
【0078】
図6に示す変形例に係る水質浄化構造61の堰体3eは、ケーソン62で構成してあり、該ケーソンが設置される捨石マウンド63を本発明の粗粒層としてある。
【0079】
なお、その他の構成及びその作用効果については、上述の実施形態とほぼ同様であるので、その詳細な説明については省略する。
【0080】
また、本実施形態及びその変形例では、内水域5の快適性を高めるために堤体材11aを積み上げるとともに、消波作用をもたせるために堤体材11bを積み上げるようにしたが、かかる構成については任意であり、いずれか一方、又は両方とも省略するようにしてもかまわない。
【0081】
また、本実施形態では、藻類21の生育が過剰になるようであれば、適宜これを除去するようにしたが、干潟7の上に生育した藻類21又は該干潟上に枯死してなる堆積物を捕食する生物体、例えばナマコを内水域5に投入した場合においては、藻類21の生育が抑制されるとともに枯死による堆積物の量が減少するので、人手によって除去する必要がなくなる。
【0082】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、細粒層として又は細粒層に混入させる形でゼオライトを使用するようにすれば、脱窒作用をさらに向上させることができる。
【0083】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る水質浄化構造によれば、干潮から満潮に移行する際、粗粒層の浄化作用及び細粒層の浄化及びフィルター作用によって、外水域に含まれている汚濁物質を十分に除去した上で内水域に流入させることが可能となる。また、外水域からの流入水に含まれている栄養塩類のうち、硝酸態窒素(NO3―N)については、細粒層に含まれている脱窒菌の作用によって脱窒され、その他の栄養塩類については、細粒層の上で生育する藻類の栄養源として消費され、いずれにしても、外水域の栄養塩類が内水域に流入するおそれがなくなる。
【0084】
また、本実施形態に係る水質浄化構造によれば、外水域からの流入水の溶存酸素濃度が粗粒層及び細粒層を通過している間に貧酸素化するものの、藻類の光合成による酸素供給作用及び干潮時に細粒層が大気に曝されることによる該細粒層への酸素の吸収作用により、内水域の溶存酸素濃度を十分確保することが可能となり、水棲生物に適した環境を維持することが可能となる。
【0085】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る水質浄化構造を示した断面図。
【図2】本実施形態に係る水質浄化構造の作用を示す図。
【図3】変形例に係る水質浄化構造を示した断面図。
【図4】変形例に係る水質浄化構造を示した断面図。
【図5】変形例に係る水質浄化構造を示した断面図。
【図6】変形例に係る水質浄化構造を示した断面図。
【符号の説明】
1,21,31,41,51,61,62
水質浄化構造
2 沿岸部
3a,3b,3c,3d,3e
堤体
4 外水域
5 内水域
6 海底(水底)
7 干潟(細粒層)
8 礫層(粗粒層)
9 底版
10 遮断壁
12 止水板
21 藻類
63 捨石マウンド(粗粒層)

Claims (8)

  1. 海、湖沼等の沿岸部の水底に細粒層を敷設するとともに該細粒層に連なるようにして沖合方向の水底に粗粒層を敷設する一方、前記沿岸部の沖合に外水域と内水域とを隔てる所定の堰体を備えてなり、該堰体を前記粗粒層及び前記細粒層を介して外水域と内水域との間で水交換が行われ前記粗粒層及び前記細粒層の天端よりも上層においては非交換となるようにかつ前記粗粒層が内水域側で非露出となるように構成してなることを特徴とする水質浄化構造。
  2. 前記堰体を底版及び該底版の縁部から立設された遮断壁とからなるL字断面部材で構成し、該底版が前記粗粒層を覆うように前記堰体を設置するとともに前記底版の上に礫、砕石等の堤体材を積み上げた請求項1記載の水質浄化構造。
  3. 前記堰体を底版及び該底版の中央近傍から立設された遮断壁とからなる逆T字断面部材で構成し、該底版が前記粗粒層を覆うように前記堰体を設置するとともに前記底版の外水域側又は内水域側の上に礫、砕石等の堤体材を積み上げた請求項1記載の水質浄化構造。
  4. 前記堰体を底版及び該底版の中央近傍から立設され下方に通水開口が形成された遮断壁とからなる逆T字断面部材で構成し、該堰体を前記底版の外水域側に前記粗粒層が内水域側に前記細粒層がそれぞれ載置されるように前記水底に設置した請求項1記載の水質浄化構造。
  5. 前記堰体をケーソンで構成するとともに前記粗粒層を該ケーソンが設置されるマウンドで構成した請求項1記載の水質浄化構造。
  6. 前記堰体に当接するように又は該堰体に接合又は一体化された状態で所定の止水板をその下方に通水空間が確保されるようにして前記細粒層に設けた請求項1乃至請求項5のいずれか一記載の水質浄化構造。
  7. 前記細粒層を干潮時にその天端が大気に露出するように構成した請求項1記載の水質浄化構造。
  8. 前記細粒層の上に生育した藻類又は該細粒層上に枯死してなる堆積物を捕食する生物体を前記内水域に投入した請求項1記載の水質浄化構造。
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