JP4061371B2 - 複合液体フィラメントをメルトブローする装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、包括的には熱可塑性フィラメントを計量分配するメルトブロー装置に、特に複合フィラメント(multi-component filament)をメルトブロー(meltblow)する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
メルトブロー技法は、たとえば、接着剤計量分配および不織布材の製造を含む様々な用途および産業に使用されている。この技法は一般的に、一列に並んだ放出口から熱可塑性材料の微細径フィラメントを押し出す段階と、放出直後の押し出しフィラメントに加圧空気を当てる段階とを含む。加圧空気は、放出フィラメントの両側に連続シートまたはカーテンとして、またはフィラメント放出口と組み合わされた個別流として放出することができる。加圧空気は、しばしば処理または一次空気(primary air)と呼ばれる。この空気は、フィラメントが空気中を運ばれる間に、フィラメント径を引き絞って細くする。その後、フィラメントは基材またはキャリヤ上に無作為に分散される。
【0003】
一定の用途では、各フィラメントの個々の断面部分を形成するために多種類の熱可塑性液体材料を使用することが望ましい。これらの複合フィラメントは多くの場合に2成分を含み、したがって、コンジュゲートフィラメント(bicomponent filaments)と呼ばれる。たとえば、衣服産業で使用する不織布材を製造する時、外装部/芯部(sheath-core)構造を有するコンジュゲートフィラメントを生じることが望ましいであろう。外装部は、人の皮膚に快適であるソフトな材料で形成し、芯部は、衣服に耐久性を与えるために引張り強さを高めた、強いが快適さの点で劣る材料で形成することができる。別の重要な考慮点として、材料のコストがある。たとえば、低価格の材料の芯部をもっと高価な材料の外装部と組み合わせることができる。たとえば、芯部をポリプロピレンまたはナイロンで形成し、外装部をポリエステルまたはコポリエステル(co-polyester)で形成することができる。並列(side-by-side)、チップ(tipped)およびマイクロデニール(microdenier)を含む他の多くの複合繊維形態が存在し、その各々に特定の用途がある。成分液体の1つまたは複数を使用して、様々な材料特性を制御することができる。これには、たとえば、熱、化学、電気、光学、芳香、抗菌特性が含まれる。同様に、所望断面形態のフィラメントを生じるために、多数液体成分を放出直前に結合させるための多くの形式のダイチップが存在する。
【0004】
複合メルトブロー装置(multi-component meltblowing apparatus)に伴う1つの問題は、個々の成分液体を複合ダイチップ(multi-component die tip)へ送るために使用されるマニホルドのコストおよび複雑さに関係している。一般的なマニホルドでは、適当な圧力および温度状態で適当な流量の各成分液体がダイチップに達するように、ダイチップに通じる多くの様々な通路を加工しなければならない。したがって、これらのマニホルドは、複合メルトブロー装置の比較的複雑で高価な部品である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの理由から、容易に製造できるが、各成分液体を複合ダイチップへ効果的に送る必要性を満たすマニホルドシステムを有するメルトブロー装置を提供することが望ましいであろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明は、複合ダイチップと連結された独特のマニホルド構造体を含む、多種類の液体材料を複合フィラメントにメルトブローする装置を提供している。1つの一般的な態様では、装置は、両側の第1および第2表面を有する中間マニホルド部材を含む。第1および第2外側マニホルド部材が、それぞれ両側の第1および第2表面と組み合わされ、それぞれの対向表面を有する。各対向表面は、それぞれ中間マニホルド部材の両側の第1および第2表面の一方に隣接している。第1外側マニホルドの対向表面と中間マニホルド部材の第1表面との間に第1チャネルが形成されている。第2外側マニホルド部材の対向表面と中間マニホルド部材の第2表面との間に第2チャネルが形成されている。第1および第2チャネルは、それぞれ第1および第2液体を受け取る入口と、それぞれ第1および第2液体を放出する出口とを有する。これらの入口および出口は、中間マニホルド部材内か、外側マニホルド部材内か、中間マニホルド部材およびそれぞれの外側マニホルド部材間に形成することができる。第1および第2チャネルは、中間マニホルド部材の両側の第1および第2表面に形成された凹部(recess)か、第1および第2外側マニホルド部材の対向表面に形成された凹部か、必要なチャネルを形成するそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0007】
ダイチップが、マニホルド部材に近接した位置に連結されており、複数の複合フィラメント放出出口を有する。ダイチップはさらに、第1および第2液体をそれぞれ第1および第2チャネルから受け取ることができる少なくとも第1および第2液体分配通路を有する。液体結合部材が、第1および第2液体分配通路とフィラメント放出出口との間を連通させている。液体結合部材は、第1および第2液体を受け取り、放出する直前にこれらの液体を結合して所望の断面形態のそれぞれの複合フィラメントにする。ダイチップから放出される時の複合フィラメントに当たるように加圧空気を供給するために、空気放出出口がフィラメント放出出口に近接した位置に設けられている。
【0008】
マニホルド構造体のさらに特定の好適な実施形態では、第1および第2外側マニホルド部材は、それぞれの対向表面にそれぞれの凹部を、さらに好ましくは複数の凹部を有する。中間マニホルド部材は、第1および第2外側マニホルド部材のそれぞれの対向表面間に連結されている。中間マニホルド部材の両側の第1および第2表面の凹部は、第1および第2外側マニホルド部材の対向表面の対応凹部と連通し、好ましくはそれらと整合している。連通した凹部が協働して、各々が中間マニホルド部材の両側にダイチップと連通する流体入口および流体出口を有する少なくとも第1および第2チャネルを、好ましくは、第1および第2チャネルを複数、形成する。
【0009】
好適な実施形態の以下の詳細な説明を添付図面と組み合わせて検討すれば、当該技術分野の専門家には本発明の様々な利点、目的および特徴が容易に明らかになるであろう。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1および図2を参照すると、本発明の原理に従って構成されたメルトブロー装置10は、第1および第2外側マニホルド部材12、14を含む。中間マニホルド部材16が、外側マニホルド部材12、14間に挟んだ状態で連結されている。ダイチップ18が、液体および空気分配部材20と共に、外側マニホルド部材12、14と中間マニホルド部材16とに連結されている。ねじ付き締結具(図示せず)が、それぞれの外側マニホルド部材12、14の穴22および24に挿通されて、中間マニホルド部材16の雌ねじ付き穴26にねじ込まれている。穴26だけが示されているが、マニホルド部材16の反対側も同様なねじ穴を有することは理解されるであろう。液体供給ブロック30が、中間マニホルド部材16の上表面に取り付けられており、第1および第2種類の液体、たとえば熱可塑性材料を送り込むための複数のポンプ32a、32bを含む。第1種類の液体は、中間マニホルド部材16の上部の各入口40に送り込まれ、第2種類の液体は、各入口42に送り込まれる。この好適な実施形態では3セットのポンプ32a、32bが示されているが、設けるポンプセット32a、32bの数を増減することができることは理解されるであろう。あるいは、マニホルド12、14、16に多種類の液体を供給する別の方法を代わりに用いてもよい。また、3成分以上の液体からフィラメントを形成するために、本発明の並列マニホルド概念を使用することもできる。
【0011】
図2に最もわかりやすく示されているように、外側マニホルド部材12、14はそれぞれ、液体供給入口40、42に連通した対向ノッチ44、46を含む。対応のノッチ48、50が、中間マニホルド部材16の両側面に形成されているため、入口40、42から成分液体を受け取るためにそれぞれのチャネル52、54が形成されている。凹部56、58が外側マニホルド12、14の対向側部に形成されて、中間マニホルド部材16の両側部に形成された対応の凹部60、62と整合している。これらの整合凹部がそれぞれチャネル64、66を形成しており、これらのチャネルはそれぞれの上端部でチャネル52、54と連通していると共に、下端部に放出出口70、72を有する。あるいは、チャネル64、66を中間マニホルド部材16だけに、または外側マニホルド部材12、14だけに形成された凹部によって形成することもでき、その場合、隣接するマニホルド部材はカバープレートとして機能するであろう。放出出口70、72は、締結具74によって中間マニホルド16に取り付けられた液体および空気分配部材またはプレート20に隣接している。図1からわかるように、それぞれ凹部56、60と凹部58、62との間に形成された各チャネル64、66は、マニホルド部材12、14、16の長手部分に対して入口チャネル52、54から出口70、72まで長手方向に発散する、すなわち広がっている。
【0012】
液体および空気分配部材20は、第1および第2成分液体を受け取るように、それぞれ出口70、72と整合して連通する長手方向スロット76、78を含む。スロット76、78はさらに、部材20に沿って長手方向に延在する複数の垂直向き通路84、86を経て、液体および空気分配部材の反対面に形成された長手方向スロット80、82と連通している。それぞれのブロック93、95の上表面に沿って長手方向に形成されたそれぞれのスロット90、92が、第1および第2種類の液体を、それぞれブロック93、95の長手に沿ったスロット98、100と連通した複数の通路94および複数の通路96へ送る。スロット98、100は、出口103(図3を参照)から複合フィラメントを生じるのに適した構造を有する複数の垂直に重ねた(vertically stacked)プレート102a、102b、102c、102dから形成することができる結合部材102に第1および第2液体を移送する。本例では、生産されるフィラメントは、コンジュゲートフィラメントである。多くの異なったプレート構造を使用することもでき、従来のエッチング技法によって形成してもよい。プレートの特定構造や、プレートのスロット、凹部およびオリフィスの形状は、所望の複合フィラメント構造、たとえば、外装部/芯部や並列などの構造によって決まる。この従来構造体は発明的概念の一部を構成していないので、ここでは詳細を述べない。
【0013】
外側マニホルド部材12、14はさらに、外側マニホルド部材12、14のそれぞれの下表面に沿って長手方向に延在する1対のスロット114、116に加圧処理空気を供給するための複数の空気供給通路110、112を含む。スロット114、116はそれぞれ、部材20の上表面に形成された対応の長手方向スロット118、120と連通している。複数の垂直向き通路122、124が、加圧空気をスロット118、120から部材20の反対の下表面に形成されたそれぞれのスロット126、128へ送る。スロット126、128は、ブロック93とブロック95に隣接する位置に保持された別のブロック133とにそれぞれ形成された対応の整合スロット130、132と連通している。ブロック93、133内のそれぞれの通路134、136は、加圧処理空気を、それぞれの上表面にチャネル144、146を形成したそれぞれの空気分配プレート140、142へ送る。これらのチャネルは、加圧空気を結合部材102の液体フィラメント放出出口の方にほぼ向かう集束シートとして送る放出部分148、150を有する。シート状空気は、基材またはキャリヤ上に付着する前の放出フィラメントを引き絞る、すなわち細くする。各外側マニホルド部材12、14の長手に沿って位置する穴160、162が、2つの液体および処理空気を適当な放出温度まで加熱するためのヒーターロッドを収容する。また、温度を制御するために、温度感知装置(図示せず)、たとえば、RTDまたはサーモカップルをマニホルド部材12、14内に設けてもよい。
【0014】
図示されていないが、空気分配プレート140、142をブロック93、95に固定するために適当な締結具が使用され、ブロック133をブロック95に固定するために、さらに別の締結具が使用されている。スロット80、90および82、92間だけにガスケットが図示されているが、望ましくない漏出を防止するために、空気または流体移送が行われるすべての部材間にさらなるガスケットを使用してもよい。
【0015】
本発明が様々な好適な実施形態の記載によって説明され、これらの実施形態がある程度詳細に記載されているが、添付の請求項の範囲をそのような詳細によって限定またはいずれの意味でも制限することは、本出願人の意図するところではない。さらなる利点および変更が、当該技術分野の専門家には容易に明らかになるであろう。ユーザの必要または好みに応じて、本発明の様々な特徴を単独で、または多くを組み合わせて使用してもよい。これは、本発明と共に、現時点で知られている本発明を実行する好適な方法を説明している。しかし、本発明自体は、添付の請求項のみによって定義されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された複合フィラメントメルトブロー装置(multi-component meltblowing apparatus)の分解斜視図である。
【図2】ほぼ図1の2−2線に沿った断面図であり、装置が組み立てた状態に示されている。
【図3】図2の3−3線に沿って見た本発明の出口の拡大図である。
【符号の説明】
12、14 外側マニホルド部材
16 中間マニホルド部材
18 ダイチップ
40、42 入口
52、54、64、66 チャネル
70、72 出口
94、96 通路
102 液体結合部材
103 フィラメント放出出口
148、150 加圧空気放出部分
Claims (6)
- 少なくとも第1及び第2液体材料をメルトブローして複合フィラメントにする装置であって、
それぞれ対向表面を有し、それぞれの対向表面に凹部を含む第1及び第2外側マニホルド部材と、
前記第1及び第2外側マニホルド部材の前記それぞれの対向表面の間に連結された中間マニホルド部材と、
前記中間マニホルド部材は、該第1及び第2液体材料を受け取るための第1及び第2液体供給入口を有しており、前記中間マニホルド部材は、それぞれ凹部を有する第1及び第2表面を両側に有しており、前記第1及び第2表面の前記凹部は、前記対向表面の前記凹部とそれぞれ連通して第1及び第2チャネルを形成しており、前記第1及び第2チャネルは、前記第1及び第2液体供給入口と連通しており、前記中間マニホルド部材は、該第1及び第2液体材料をそれぞれ放出する出口を有しており、
前記第1及び第2外側マニホルド部材と前記中間マニホルド部材とに連結されたダイチップと、
前記ダイチップは、複数の複合フィラメント放出出口、前記第1及び第2チャネルから該第1及び第2液体材料をそれぞれ受け取るように構成された少なくとも第1及び第2液体分配通路、前記第1及び第2液体分配通路と前記複数の複合フィラメント放出出口との間を連通する液体結合部材を含んでおり、前記液体結合部材は、該第1及び第2液体材料を受け取り該第1及び第2液体材料を結合してそれぞれの複合フィラメントにするように構成されており、前記ダイチップから放出されているときの該複合フィラメントに当たるように加圧空気を供給するために空気放出出口が前記複数の複合フィラメント放出出口に近接した位置に設けられており、
前記中間マニホルド部材に取り付けられた第1及び第2ポンプとを備え、
前記第1ポンプは、該第1液体材料を前記第1液体供給入口へ供給するように構成されており、前記第2ポンプは、該第2液体材料を前記第2液体供給入口へ供給するように構成されていることを特徴とする装置。 - 前記チャネルは、前記マニホルド部材の長手部分に沿って延在し、各チャネルは、対応する長手部分に沿ってそれぞれの入口からそれぞれの出口に向かう方向に広がっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- さらに、前記中間マニホルド部材の前記両側の前記第1及び第2表面に前記凹部を複数設け前記第1及び第2外側マニホルド部材の前記対向表面に前記凹部を複数設けることによりそれぞれ形成される複数の前記チャネルを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
- 第1及び第2液体材料をメルトブローして複合フィラメントにする方法であって、
該第1液体材料を中間マニホルド部材に配置された第1液体入口へ、該第1液体入口に連結された第1ポンプにより送る工程と、
該第2液体材料を該中間マニホルド部材に配置された第2液体入口へ、該第2液体入口に連結された第2ポンプにより送る工程と、
該中間マニホルド部材の第1外側表面と第1外側マニホルド部材の第1対向表面との間に該第1液体材料を通す工程と、
該中間マニホルド部材の第2外側表面と第2外側マニホルド部材の第2対向表面との間に該第2液体材料を通す工程と、
該中間マニホルド部材と該第1及び第2外側マニホルド部材との間に位置する通路から、ダイチップの長手方向に沿って延在する第1及び第2スロットへ該第1及び第2液体材料をそれぞれ流す工程と、
該第1及び第2液体材料からなる複合フィラメントを該ダイチップから放出する工程と、
該ダイチップからの加圧処理空気を該放出された複合フィラメントに当てる工程とを含むことを特徴とする方法。 - 該第1及び第2液体材料を通す工程は、
該第1液体材料を該中間マニホルド部材の該第1外側表面と該第1外側マニホルド部材の該第1対向表面との間に形成された凹部へ通す工程と、
該第2液体材料を該中間マニホルド部材の該第2外側表面と該第2外側マニホルド部材の該第2対向表面との間に形成された凹部へ通す工程とを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。 - 該第1及び第2液体材料を通す工程は、
該第1液体材料を該中間マニホルド部材の該第1外側表面と該第1外側マニホルド部材の該第1対向表面との間に形成された複数の凹部へ通す工程と、
該第2液体材料を該中間マニホルド部材の該第2外側表面と該第2外側マニホルド部材の該第2対向表面との間に形成された複数の凹部へ通す工程とを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
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