JP4059758B2 - レーザ装置用主放電電極の製造方法 - Google Patents

レーザ装置用主放電電極の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスレーザ装置用主放電電極製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、一般的なエキシマレーザ装置の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るエキシマレーザ装置11の構成を示す正面断面図、図2はそのA−A視断面図である。
図1、図2において、エキシマレーザ装置11は、ハロゲンガスを含むレーザガスを封止する金属製のレーザチャンバ12を備えている。レーザチャンバ12の前後部には、レーザ光21を透過するウィンドウ17,19がそれぞれ付設されている。
【0003】
レーザチャンバ12の内部には、所定の間隙を有して、アノード14及びカソード15からなる主放電電極14,15が設置されている。主放電電極14,15の材質としては、銅やニッケル等の金属が用いられる。
レーザチャンバ12の上部には開口部35が設けられ、絶縁性のカソードホルダ51がその開口部35を封止している。カソードホルダ51には、主放電電極のうちのカソード15が固定されており、高圧電源23の高圧HV側に、図示しない電流導入手段によって電気的に接続されている。また、レーザチャンバ12は高圧電源23の接地GND側に、電気的に接続されている。
【0004】
レーザチャンバ12の内部には、カソードホルダ51と対向して、金属製のアノードホルダ50が設置されている。アノードホルダ50は、図示しない金属プレートにより、レーザチャンバ12から吊るされた状態で固定されている。アノードホルダ50にはアノード14が固定されており、これによりアノード14は、高圧電源23の接地GND側に、電気的に接続されることになる。
またレーザチャンバ12の内部には、レーザガスを主放電電極14,15間の放電空間37に送り込む貫流ファン24と、主放電によって加熱されたレーザガスを冷却する熱交換器13とが、それぞれ所定位置に設置されている。
【0005】
主放電電極14,15のうち、アノード14の両側には、高圧側HVに接続された金属製の棒状の内部導電体38A,38Aと、その外周部を包囲する誘電体38B,38Bとで構成された予備電離電極38,38が、アノードホルダ50上に固定されている。
高圧電源23から、内部導電体38A,38Aとアノード14との間に高電圧が印加されると、両者の間に、コロナ状の予備電離放電が起きる。これにより、紫外線の予備電離光が発生し、放電空間37のレーザガスを電離する。これを、予備電離と呼ぶ。
【0006】
予備電離の直後に、主放電電極14,15間には、高圧電源23からパルス状の高電圧が印加される。これにより、主放電が起きてレーザガスが励起され、レーザ光21が発生する。
発生したレーザ光21は、レーザチャンバ12の前後部にそれぞれ配置されたフロントミラー16とリアミラー18との間で反射を繰り返すうち、主放電によって増幅され、その一部がフロントミラー16を部分透過して前方(図1中右方)へ出射する。
【0007】
【特許文献1】
特開平2001−332786号公報(第1図、第2図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来技術には、次に述べるような問題がある。
即ち、主放電の際に、これに起因する熱や衝撃、及びハロゲン侵蝕による腐食によって、主放電電極14,15の放電空間37に面する表面が、次第に溶融したり摩耗したりする。尚、以下の説明においては、放電空間37に面する主放電電極14,15の表面を、主放電電極表面と呼ぶ。
主放電電極14,15の材質中に、水素が混入していると、主放電の際にこの水素が遊離してレーザガスと反応し、HF等を生成して、レーザ光21を吸収したり主放電を不安定にしたりすることがある。
従って、レーザ光21の出力を安定に、かつ高出力にするためには、主放電電極14,15の材質を水素の混じらないものにして、主放電を安定に行なう必要がある。
【0009】
ところが、主放電電極14,15は長手方向に数十cm程度の長さを有しているため、水素を含まないような純度の高い材質を用いると、主放電電極14,15が高価なものになる。しかも、高純度の材質でそのような細長い主放電電極14,15を加工するには、技術的困難が伴う。
また、主放電電極14,15は、主放電によって次第にその主放電電極表面が摩耗するため、寿命も短く、高価な主放電電極14,15を用いると、エキシマレーザ装置11のコストがいっそう高くなるという問題がある。
しかも、主放電電極14,15の材質の純度が主放電に与える影響は、その主放電表面のわずかな深さまでであるため、主放電電極14,15全体に高価な材質を使用しても、主放電電極表面以外の部位は主放電の安定化に寄与しない。
【0010】
このような問題を解決するために、主放電電極14,15の表面に誘電体の膜を形成し、放電の安定化を図る技術も知られている(例えば特許文献1)。しかしながら、形成された誘電体の膜の内部からも水素が発生してHF等が発生し、レーザ光21を吸収したり主放電を不安定にしたりすることがある。
【0011】
本発明は、上記の問題に着目してなされたものであり、安定な主放電が可能なレーザ装置用主放電電極製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、
表面の少なくとも一部に膜が形成されたレーザ装置用主放電電極製造方法において、
前記膜が、プラズマ溶射の作動ガス中に、又は電子ビーム照射の雰囲気ガス中に水素を添加しない状態で形成されている。
これにより、膜から水素が遊離することがなく、これに起因するレーザ光の出力低下が起きない。また、プラズマ溶射又は電子ビーム照射により、膜を強固に主放電電極に固着することができる。
【0014】
また本発明のレーザ装置用主放電電極製造方法によれば、
前記膜は、プラズマ溶射の作動ガス中に、又は電子ビーム照射の雰囲気ガス中にキセノン及び酸素の少なくともいずれか一方を添加して形成されている。
キセノンによれば、ArFエキシマレーザ装置における、レーザ光の出力が増加する。また、酸素によれば、ArFエキシマレーザ装置のレーザ光の出力が増加する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しながら、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
まず、第1実施形態を説明する。エキシマレーザ装置11の概略構成は、図1に示したものと同様であり、説明を省略する。
図3に、第1実施形態に係る主放電電極14,15及びその間の放電空間37を、長手方向から見た断面図、図4にアノード14のB−B視断面図を示す。以下、主放電電極としてアノード14を代表させるが、カソード15も同様である。
【0025】
図3、図4に示すように、主放電電極14,15は、金属からなるボディ部70と、その放電空間37に面する表面に形成された、絶縁物からなる薄い絶縁表面層71とを備えている。絶縁表面層71の厚さは、例えば0.1〜1mm程度である。
ボディ部70の材質としては、アルミニウム、ニッケル、真鍮、銅、鉄、ステンレス、コバルト等の金属が用いられる。
【0026】
また、絶縁表面層71を形成する絶縁物の材質としては、例えば、アルミナ(酸化アルミ)やジルコニア(酸化ジルコニウム)等の酸化物、窒化アルミ等の窒化物、或いは塩化ナトリウム、塩化アルミニウム、塩化カリウム等の塩化物が好適である。
さらには、フッ化銅、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化ナトリウム、又はフッ化カリウム等のフッ化物でもよい。
【0027】
このとき、絶縁物は、レーザガス中のハロゲンガスに対し、耐腐食性を有している必要がある。例えばレーザガス中にフッ素が含まれる場合には、絶縁物として酸化物、窒化物、又はフッ化物が用いられる。また、レーザガス中に塩素が含まれる場合には、酸化物、窒化物、又は塩化物が用いられる。
【0028】
また絶縁物は、ボディ部70に用いられる金属材質よりも、硬度が高いこと、融点が高いこと、及びハロゲンガスに対する耐腐食性が大きいことのうち、少なくともいずれか一つの条件を満たしていることが望ましい。これは、主放電の衝撃や熱による、主放電電極14,15の損傷を防止するためである。
さらに絶縁物は、ボディ部70に用いられる金属材質よりも、内部の水素濃度が低いようにすることが望ましく、これによって水素の遊離に基づくHFの生成を防止できる。
【0029】
例えば、ボディ部70を銅によって形成した場合には、絶縁物としてはアルミナ等が好適である。即ち、アルミナの硬度は銅よりも高く、その融点(約2000度)は、銅の融点(約1080度)よりも高い。或いは、ボディ部70が銅の際に、絶縁物を窒化アルミニウムとしてもよい。
【0030】
次に、このような絶縁表面層71を形成する方法について、詳細に説明する。本発明においては、絶縁表面層71の形成は溶射によって行なわれる。
図5に、第1実施形態に係る、溶射装置40の構成図を示す。図5において、溶射装置40はアノード14を内部に設置する溶射チャンバ41を備えている。
【0031】
溶射チャンバ41は、絶縁物を主放電電極14,15に吹きつける溶射トーチ42を備えている。図6に、プラズマジェット式の溶射トーチ42の説明図を示す。溶射トーチ42は、陰極43と、陽極である溶射ノズル44との間に高電圧を印加してアーク放電を生じさせる。ここに、後方から作動ガス45を螺旋状に吹き込むことにより、作動ガス45がイオン化してプラズマ状態となる。
【0032】
このイオン化したプラズマが、元の状態に戻るときに大量の熱を放出して膨張し、数万度の熱プラズマのジェット噴流52となって、噴出する。この熱プラズマに、絶縁表面層71の材質となる絶縁物49を投入することにより、溶融した絶縁物が主放電電極14,15に吹きつけられ、ボディ部70の表面を溶かして一体化し、絶縁表面層71を形成する。
【0033】
溶射によって絶縁表面層71を形成した後は、研磨などの精密加工を施し、絶縁表面層71の形状を整える。これにより、放電空間37に面した部分に絶縁表面層71が形成された、主放電電極14,15が形成される。
【0034】
本発明においては、このようなプラズマ溶射を、低圧中で行なうことにより、絶縁表面層71に不純物が混じらないようにしている。このような溶射法は、例えばVPS(Vacuum Plasma Spraying)溶射法と呼ばれている。
【0035】
溶射チャンバ41には、真空ポンプ48が接続されており、内部を例えば数mmTorr程度まで真空引きすることができる。
即ち、真空ポンプ48によって、溶射チャンバ41内部を数mmTorrまで真空引きを行ない、ヘリウム、ネオン、アルゴン、又はクリプトン等の不活性ガス(以下、アルゴンで代表させる)を含む作動ガス45を流しながら溶射を開始する。図5中、46はアルゴンのガスボンベである。
このとき、真空ポンプ48によって真空引きを続けており、溶射チャンバ41内部の圧力は、例えば数十Torrとなっている。
【0036】
一般的なVPS溶射法においては、安定にプラズマを発生させるために、作動ガス45として、アルゴンに数%〜数十%の水素を添加することが行なわれている。しかしながら、本実施形態では水素を添加しないことにより、主放電電極14,15の絶縁表面層71に、水素が含まれることを防止する。
これにより、主放電時に主放電電極14,15から水素が発生することが少なくなるので、HFの生成によるレーザ光21の出力低下が起きにくくなる。
【0037】
以上説明したように第1実施形態によれば、主放電電極14,15の金属製のボディ部70の、放電空間37に面する表面に、絶縁物の絶縁表面層71を形成している。これにより、主放電時に主放電電極14,15から不純物が発生することが少なくなるので、放電空間37に不純物が混入してレーザ光21の出力が低下することが少ない。
【0038】
また、絶縁物の絶縁表面層71を形成することにより、主放電の熱や衝撃によって、ボディ部70が損傷することが少なくなる。また、絶縁表面層71を介して主放電が行なわれるので、衝撃が小さく安定した主放電を行なうことができ、絶縁表面層71の損傷も小さい。
【0039】
また、金属の主放電電極14,15同士で主放電を行なう場合、主放電電極表面の形状が主放電の安定性に大きく影響する。これに対し、絶縁物を介して主放電を行なうことで、絶縁表面層71が多少損傷しても、主放電が不安定になりにくい。
【0040】
また、例えば絶縁表面層71が損傷したり摩耗したりした場合にも、ボディ部70は無傷に近い形で残っているので、再度絶縁表面層71を形成することにより、主放電電極14,15を長期間にわたって使用することが可能である。
【0041】
さらに、絶縁表面層71をプラズマ溶射によって形成している。プラズマ溶射は、溶射材料がボディ部70に強固に固着するので、主放電によって絶縁表面層71がボディ部70から剥がれるというようなことが少なく、主放電が不安定になりにくい。
【0042】
また、プラズマ溶射を、VPS溶射法を用いて、所定の作動ガス45の低圧雰囲気中で行なっている。これにより、溶射時に有機物等の不純物が絶縁表面層71に混入するようなことが少なく、主放電によって不純物が放電空間37に飛び散るようなことが少ない。
【0043】
さらには、作動ガス45としてアルゴン等の不活性ガスを用いているので、作動ガス45とボディ部70や絶縁体との間で、化学反応が起きることが少ない。しかも、この作動ガス45中から水素を除去しているので、主放電時にHFの生成が起きにくく、HFによるレーザ光21の出力低下が起きにくい。
【0044】
図7に、本実施形態に係るプラズマ溶射により、絶縁表面層71を形成した主放電電極14,15によるレーザ光21の出力特性の比較をグラフで示す。図7において、横軸が主放電の入力エネルギーであり、縦軸がレーザ光21の出力エネルギーである。
【0045】
また図7において、Hが水素を含んだ作動ガス45でプラズマ溶射を行なったアノード14及びカソード15を用いた場合、ACが、水素を含まない作動ガス45でプラズマ溶射を行なったアノード14及びカソード15を用いた場合である。また、Cは、アノード14のみが水素を含まず、カソード15は水素を含んでいる場合の出力特性である。
【0046】
図7に示すように、水素を含まない作動ガス45で、アノード14及びカソード15のプラズマ溶射を行なった場合(AC)が、最も出力が高くなっている。そして、水素を含んだ作動ガス45で、アノード14及びカソード15のプラズマ溶射を行なった場合(H)が、最も出力が低くなっている。
このように、作動ガス45に水素を含まないようにして、溶射を行なうことにより、レーザ光21の出力を増大させることができる。
【0047】
次に、第2実施形態を説明する。
図8に、第2実施形態に係る、溶射装置40の構成図を示す。溶射チャンバ41には、アルゴンのボンベ46に加えて、添加ガスのボンベ47が接続されている。
即ち、第2実施形態においては、作動ガス45として不活性ガスに添加ガスを加えている。
【0048】
まず、添加ガスとして酸素を加えた場合について、説明する。
図9に、レーザガスに酸素を添加した場合の、レーザ光21の出力特性を示す。図9において、横軸が酸素の添加濃度(ppm)、縦軸がレーザ光21の出力エネルギーである。図9に示すように、酸素をレーザガス中に5〜50ppm程度混入させたとき、レーザ光21の出力エネルギーが大きくなっている。さらに望ましくは、5〜30ppm程度混入させるのがよい。
【0049】
プラズマ溶射時に、アルゴン等の不活性ガスに加え、作動ガス45中に酸素を加えることにより、絶縁表面層71に酸素が微量含まれることになる。主放電時に、この酸素が、絶縁表面層71から放電空間37へと遊離する。これにより、レーザガスに酸素を加えた場合と同様の効果が得られ、レーザ光21の出力が増大する。
尚、作動ガス45への酸素の添加量は、レーザガス中に5〜30ppm程度の酸素を混入させたときと、放電空間37の酸素濃度が略同一になるように添加すればよい。
【0050】
次に、作動ガス45に添加ガスとして、キセノンを加えた場合について、説明する。
図10に、ArFエキシマレーザ装置において、レーザガスにキセノンを添加した場合の、レーザ光21の出力特性を示す。図10において、横軸がキセノンの添加濃度(ppm)、縦軸がレーザ光21の出力エネルギーである。図10に示すように、キセノンをレーザガス中に5〜20ppm程度混入させたとき、レーザ光21の出力エネルギーが大きくなっている。
【0051】
即ち、ArFエキシマレーザ装置用の主放電電極14,15を製造する際に、作動ガス45にアルゴン等の不活性ガスに加えてキセノンを混入させる。作動ガス45へのキセノンの添加量は、レーザガス中に5〜20ppm程度のキセノンを混入させたときと、放電空間37のキセノン濃度が略同一になるように添加すればよい。
【0052】
これにより、絶縁表面層71にキセノンが微量含まれることになり、主放電時に、このキセノンが絶縁表面層71から放電空間37へと遊離する。これにより、レーザガスにキセノンを加えたのと同様の効果が得られ、ArFエキシマレーザ装置のレーザ光21の出力が増大する。
但し、このようにキセノンによってレーザ光21の出力が増大するのは、レーザガスとして、アルゴン、フッ素、及びネオンやヘリウム等の不活性ガスを用いる、ArFエキシマレーザ装置の場合に限られる。
【0053】
尚、上記説明においては、表面層を絶縁物で形成する場合についてのみ、説明したが、これに限られるものではなく、表面層を金属で形成した金属表面層としてもよい。以下に、詳細に説明する。
即ち、主放電電極14,15全体を金属で形成する場合、主放電電極14,15の材質は、純度が高いほど好適である。これは、主放電電極14,15からの不純物の発生が抑えられるとともに、放電が安定となるためである。ところが、ボディ部70を含む主放電電極14,15全体を、純度が高い金属で形成すると高価となり、また、製作の難度が高い。
【0054】
そのため、主放電電極表面のみを、ボディ部70と同種の、しかも純度の高い金属によって構成することにより、主放電電極14,15の製作を容易にすることができる。これにより、主放電が安定し、しかも不純物が生成されにくいので、レーザ光21の出力低下も少なくなる。
そして、内部の水素濃度が低い、同種の金属で表面層を構成するようにすれば、HFの生成を防止することもできる。
【0055】
また、ボディ部70に用いられる金属よりも、硬度が高いこと、融点が高いこと、及びハロゲンガスに対する耐腐食性が大きいことのうち、少なくともいずれか一つの条件を満たし、かつ内部の水素濃度が低い異種の金属で表面層を構成してもよい。これにより、主放電電極14,15の主放電に対する耐性を向上させ、長寿命化させることが可能である。さらに、水素の含有率が小さいので、水素が遊離してHFが発生することも少ない。
【0056】
即ち、上記第1、第2実施形態において説明したように、作動ガス45としてアルゴン等の不活性ガスを用い、図8に示した絶縁物49と同様に金属を供給し、ボディ部70にプラズマ溶射する。このとき、水素を作動ガス45から除去したり、作動ガス45に添加ガスとして酸素を添加したり、ArFエキシマレーザ装置用の主放電電極14,15の場合にキセノンを添加したりすることにより、レーザ光21の出力の低下を防止することができる。
【0057】
次に、第3実施形態について説明する。
図11に、第3実施形態に係る電子ビーム照射装置60の構成図を示す。図11において、電子ビーム照射装置60は、主放電電極14,15を内部に設置する電子ビームチャンバ61と、電子ビーム63を照射する電子ビームノズル62とを備えている。
【0058】
製造時には、電子ビームチャンバ61の内部を、真空ポンプ48によって高真空まで排気するとともに、マスフローコントローラ64を用いて、ごく微量の雰囲気ガス65をその内部に送り込む。雰囲気ガス65は、主にアルゴン等の不活性ガスからなっており、第1実施形態において説明したものと同様に、水素を含まないようにすることにより、HFの発生を防止する。
【0059】
またArFエキシマレーザ装置の場合のみ、雰囲気ガス65に、酸素及びキセノンのいずれかを、添加ガスとして含んでもよい。図11においては、添加ガスを含むように描画されている。
尚、雰囲気ガス65の圧力は、電子ビーム63の進行を妨げない程度にすることが、必要となっている。
【0060】
電子ビームチャンバ61の内部には、主放電電極14,15が設置されている。主放電電極14,15のボディ部70の表面には、深さ0.005mm〜1.5mm程度の、複数の小孔74が設けられ、その内部には、ボディ部70と同種で、純度の高い金属73が埋め込まれている。或いは金属73としては、ボディ部70と異種で、硬度が高いこと、融点が高いこと、及びハロゲンガスに対する耐腐食性が大きいことのうち少なくともいずれか一つの条件を満たし、かつ、内部の水素濃度が低い異種の金属で表面層を構成してもよい。
電子ビーム63を主放電電極表面に照射すると、そこが局所的に加熱され、埋め込まれた金属73とボディ部70の表面とが、溶融して混ざり合う。
【0061】
主放電電極14,15が冷却すると、図12に示すように、ボディ部70の表層に金属表面層72が形成される。このとき、上述したように電子ビームチャンバ61の内部は、微量の雰囲気ガス65によって満たされているので、溶融時に雰囲気ガス65が金属表面層72の内部に取り込まれる。
そして、雰囲気ガス65が水素を含まない場合には、HFの生成が妨げられる。また、雰囲気ガス65が添加ガスを含む場合には、添加ガスが主放電時に放電空間37に遊離し、レーザ光21の出力を増加、又は主放電を安定化させる。
【0062】
或いは、ボディ部70の表面に金属73を載置して、電子ビーム63を照射してもよい。これにより、ボディ部70の表面及び金属73が溶融して混ざり合い、金属表面層72が形成される。
【0063】
以上説明したように第3実施形態によれば、電子ビーム63によって主放電電極14,15を熱し、金属表面層72を形成している。これにより、ボディ部70の表面のみが局所的に熱せられるので、ボディ部70に熱ストレスが残りにくい。
【0064】
また、電子ビーム63照射時に、雰囲気ガス65としてアルゴン等の不活性ガスを使用し、これに水素を含まないようにすることで、主放電電極14,15からの水素の発生を防止して、レーザ光21の出力低下を防いでいる。
また、雰囲気ガス65に酸素を含ませることにより、レーザ光21の出力増大を図っている。また、ArFエキシマレーザ装置用主放電電極14,15においては、雰囲気ガス65にキセノンを含ませることにより、レーザ光21の出力増大を図っている。
【0065】
尚、上記各実施形態の説明は、キセノンの添加に関しては、ArFエキシマレーザ装置のみに応用が可能である。また、他のガスの添加や、水素を含まない不活性ガスを用いた製造法に関しては、あらゆるエキシマレーザ装置やフッ素分子レーザ装置等でも、同様に応用が可能である。
また、エキシマレーザ装置の共振器として、フロントミラー16とリアミラー18とを備えた例を示したが、例えばリアミラー18に替えて、レーザ光21の波長を狭帯域化するグレーティング等の狭帯域化光学素子を用いてもよい。
また、上記の説明においては、主放電電極14,15の両方について、全く同様に説明したが、片方だけに表面層を形成してもよく、異なる種類の表面層を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なエキシマレーザ装置の構成を示す正面断面図。
【図2】図1のA−A視断面図。
【図3】第1実施形態に係る主放電電極を長手方向から見た断面図。
【図4】図3のB−B視断面図。
【図5】第1実施形態に係る、溶射装置の構成図。
【図6】第1実施形態に係る、溶射トーチの説明図。
【図7】レーザ光の出力特性の比較を示すグラフ。
【図8】第2実施形態に係る、溶射装置の構成図。
【図9】レーザガスに酸素を添加した場合の、レーザ光の出力特性を示すグラフ。
【図10】レーザガスにキセノンを添加した場合の、レーザ光の出力特性を示すグラフ。
【図11】第3実施形態に係る電子ビーム照射装置の構成図。
【図12】主放電電極の拡大図。
【符号の説明】
11:エキシマレーザ装置、12:レーザチャンバ、13:熱交換器、14:主放電電極(アノード)、15:主放電電極(カソード)、16:フロントミラー、17:フロントウィンドウ、18:リアミラー、19:リアウィンドウ、21:レーザ光、23:高圧電源、24:貫流ファン、35:開口部、37:放電空間、38:予備電離、40:溶射装置、41:溶射チャンバ、42:溶射トーチ、43:陰極、44:溶射ノズル、45:作動ガス、46:アルゴンボンベ、47:添加ガスボンベ、48:真空ポンプ、49:絶縁物、50:アノードホルダ、51:カソードホルダ、52:ジェット噴流、60:電子ビーム照射装置、61:電子ビームチャンバ、62:電子ビームノズル、63:電子ビーム、64:マスフローコントローラ、65:雰囲気ガス、70:ボディ部、71:絶縁表面層、72:金属表面層、73:金属、74:小孔。

Claims (4)

  1. 表面の少なくとも一部に膜(71,72)が形成されたレーザ装置用主放電電極の製造方法において、
    前記膜(71,72)が、プラズマ溶射の作動ガス中に水素を添加しない状態で形成された
    ことを特徴とするレーザ装置用主放電電極の製造方法。
  2. 表面の少なくとも一部に膜(71,72)が形成されたレーザ装置用主放電電極の製造方法において、
    前記膜(71,72)電子ビーム照射の雰囲気ガス中に水素添加しない状態で形成された
    ことを特徴とするレーザ装置用主放電電極の製造方法
  3. 請求項1記載のレーザ装置用主放電電極の製造方法において
    前記膜(71,72)は、プラズマ溶射の作動ガス中にキセノン及び酸素の少なくともいずれか一方を添加して形成された
    ことを特徴とするレーザ装置用主放電電極の製造方法。
  4. 請求項2記載のレーザ装置用主放電電極の製造方法において
    前記膜(71,72)は、電子ビーム照射の雰囲気ガス中にキセノン及び酸素の少なくともいずれか一方を添加して形成された
    ことを特徴とするレーザ装置用主放電電極の製造方法
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