JP4059716B2 - 光機能デバイス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光機能デバイスに係り、特に、所定の光機能を有する光機能素子を内部に収納して封止する封止構造を有すると共に、外部と前記光機能素子との間で光を透過可能とするための光透過構造を有する光機能デバイスにおいて、信頼性を保持し得るようにした光機能デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、上述したような封止構造及び光透過構造を有する光機能デバイスの代表例として、特開平2001−174291号公報に開示されている光学式エンコーダの断面構造を示している。
【0003】
この図5に示す光学式エンコーダでは、一般的な封止構造として、次に示すような構成となっている。
【0004】
すなわち、図5に示すように、セラミックパッケージ101の内部底面にAgペーストなどの接着材(図示なし)を介して光機能素子としての光検出機能素子であるフォトディテクタ(PD)アレイ102を集積したICチップ103が張り付けられている。
【0005】
このICチップ103上には、Alなどで形成された電極ランドが形成されており(図示なし)、この電極ランド上にAgペーストなどの接着材を介して光機能素子としての面発光レーザ(SEL)104がダイボンドされている。
【0006】
また、このSEL104の上部電極(図示なし)やICの電極パッド(図示なし)はAuワイヤー(図示なし)により、セラミックパッケージに形成された電極(図示なし)に接続される。
【0007】
さらに、セラミックパッケージ101の上面には、樹脂接着材(図示なし)を介してガラス材105が接着されている。
【0008】
これにより、光機能素子としてのPDアレイ102をセラミックパッケージ101の内部に収納して封止する封止構造及び外部と前記光機能素子としてのPDアレイ102及びSEL104との間で光を透過可能とするための光透過構造を有する光学式エンコーダが形成される。
【0009】
なお、図5中、参照符号201はスケール、参照符号210はスケールパターン、参照符号106は回折格子である。
【0010】
すなわち、このように形成される光学式エンコーダでは、SEL104から照射される光ビームがガラス材105による光透過構造及び回折格子106を介してスケール201のスケールパターン210で反射され、この反射光が、再び、ガラス材105による光透過構造及び回折格子106を介して封止構造内部の光(検出)機能素子としてのPDアレイ102に入射されることにより、スケール201のx方向の変位を検出することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来技術による光機能デバイスおいては、解決すべき課題として、以下のような問題点を有している。
【0012】
まず、光機能デバイスが、高温、高湿度環境下に曝されると、水分が樹脂接着剤を通して光機能デバイスの内部に進入し、内部の腐食しやすい材料が腐食して、動作不良を起こしやすいという点で信頼性の低下を招くという問題点がある。
【0013】
図5に示す光学式エンコーダの例では、Al電極ランドが酸化し、電気的な接触不良が発生しやすい。
【0014】
また、光機能デバイスが、高温、高湿度環境下から室温または、それ以下の低温に環境下に変化すると、機能部品内部に結露が発生し、さらに腐食が進むだけでなく、光透過構造(ガラス)や光源、PDアレイ上に付着した結露により、光の投光および受光状態が変化するため、動作不良や検出誤差を生じやすいという点で信頼性の低下を招くという問題点がある。
【0015】
また、光機能デバイスの実装工程や経時変化で接着材等に含まれる揮発性分が、光透過構造(ガラス)や光源、PD上に付着して汚れを発生させるため、光の投光および受光状態が変化し、動作不良や検出誤差を生じやすいという点で信頼性の低下を招くという問題点がある。
【0016】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、所定の光機能を有する光機能素子を内部に収納して封止する封止構造を有すると共に、外部と前記光機能素子との間で光を透過可能とするための光透過構造を有する光機能デバイスにおいて、封止構造内部の所定部分に信頼性を保持し得る信頼性保持機能部材を備えることにより、光機能素子の正常機能を確保すると共に、長期的な信頼性を確保することができるようにした光機能デバイスを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題を解決するために、
(1) 光検出機能素子及び光源のうちの少なくとも一方を含む所定の光機能を有する光機能素子と、
前記光機能素子を内部に収納して封止する封止構造を有すると共に、外部と前記光機能素子との間で光を透過可能とするための光透過構造を有するパッケージと、
前記パッケージの前記封止構造の内側における前記光機能素子による出入射光路上の前記光透過構造の表面に薄膜状に形成される結露抑制機能部材及びクリーニング機能部材のうちの少なくとも一方を含む光透過性を有する信頼性保持機能部材と、
を有することを特徴とする光機能デバイスが提供される。
【0018】
(対応する発明の実施の形態)
この発明に関する実施の形態は、後述する第乃至第の実施の形態が対応する。
【0019】
上記構成要素中の「所定の光機能を有する光機能素子」とは、例えば、光機能を有する半導体IC部品、電化結合素子(CCD)やCMOSイメージャ、静電センサ、赤外センサ、ホトデテクタ(PD)等の画像や電位、光の検出素子、発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)等の発光素子、マイクロマシンミラーや可変焦点レンズなどのマイクロ・エレクトロ・メカニカルシステム(MEMS)部品などが該当する。
【0020】
従って、上記構成要素中の「光機能デバイス」とは、上に例示したような「所定の光機能を有する光機能素子」を構成要素とする各種の光電子デバイスや光学デバイス、光メカニック部品及びこれらを集積したデバイスを意味する。
【0022】
(作用)
信頼性保持機能部材として結露抑制機能部材を含むものでは、封止構造の内部が露点以下になっても、結露抑制機能部材を付着させた部分の結露が抑えられ、腐食等による故障や劣化を抑制するだけでなく、結露による光学特性の変化が引き起こす動作不良を抑制する。
【0023】
信頼性保持機能部材としてクリーニング機能部材を含むものでは、クリーニング機能部材により内部の揮発性分がクリーニングされ、光透過構造やそのほかの機能部材に付着する汚れを抑えるため、内部汚れによる機能劣化や、光学特性の変化が引き起こす動作不良を抑制する。
【0024】
これらにより、機能素子の正常機能を確保すると共に、長期的な信頼性を確保する。
【0028】
これらの作用により、光機能素子の正常機能を確保すると共に、長期的な信頼性を確保する。
【0029】
また、本発明によると、上記課題を解決するために、
)前記信頼性保持機能部材は、前記光機能素子に含まれる前記光検出機能素子及び前記光源のうちの少なくとも一方の表面に光透過性を有し薄膜状に形成されていることを特徴とする()記載の光機能デバイスが提供される。
【0030】
(対応する発明の実施の形態)
この発明に関する実施の形態は、後述する第3の実施の形態が対応する。
【0031】
(作用)
信頼性保持機能部材としての結露抑制機能部材あるいは前記クリーニング機能部材を光源の光出射表面、及びまたは、光検出機能素子の受光面上に薄膜状に形成できるため、光透過構造部分だけでなく、光源の光出射表面、及びまたは、光検出機能素子の受光面上の結露や汚れを効率的に抑制する。
【0032】
これらの作用により、光機能素子の正常機能を確保すると共に、長期的な信頼性を確保する。
【0033】
また、本発明によると、上記課題を解決するために、
)前記信頼性保持機能部材として、前記結露抑制機能部材を含み、前記結露抑制機能部材は、酸化チタン及び超親水性材料の内の少なくとも一つを構成成分とすることを特徴とする(2)記載の光機能デバイスが提供される。
【0034】
(対応する発明の実施の形態)
この発明に関する実施の形態は、後述する第2及び第3の実施の形態が対応する。
【0035】
封止構造の内部が露点以下になっても、酸化チタンもしくは超親水性材料の結露抑制効果により、酸化チタンもしくは超親水性材料を付着させた部分の結露が抑えられ、腐食等による故障や劣化を抑制するだけでなく、結露による光学特性の変化が引き起こす動作不良を抑制する。
【0036】
これらの作用により、光機能素子の正常機能を確保すると共に、長期的な信頼性を確保する。
【0037】
また、本発明によると、上記課題を解決するために、
)前記信頼性保持機能部材として、前記結露抑制機能部材を含み、前記結露抑制機能部材は、酸化チタン及び超親水性材料の内の少なくとも一つを構成成分とすることを特徴とする(2)記載の光機能デバイスが提供される。
【0038】
(対応する発明の実施の形態)
この発明に関する実施の形態は、後述する第2及び第3の実施の形態が対応する。
【0039】
(作用)
クリーニング機能部材により内部の揮発性成分がクリーニングされ、光透過構造やそのほかの機能部材に付着する汚れを抑えるため、内部汚れによる機能劣化や、光学特性の変化が引き起こす動作不良を抑制する。
これらの作用により、光機能素子の正常機能を確保すると共に、長期的な信頼性を確保する。
【0040】
また、本発明によると、上記課題を解決するために、
前記薄膜状に形成されている光透過性を有する前記信頼性保持機能部材の厚さtは、前記光検出機能素子によって検出される光の波長または前記光源からの光の波長の中心値をλとするとき、t=(2n−1)λ/4(但し、nは任意の自然数)を満たすように形成されていることを特徴とする(2)記載の光機能デバイスが提供される。
【0041】
(対応する発明の実施の形態)
この発明に関する実施の形態は、後述する第2及び第3の実施の形態が対応する。
【0042】
薄膜状に形成されている光透過性を有する信頼性保持機能部材の厚さtは、検出する光波長の中心値をλ、任意の自然数をnとすると、およそt=(2n−1)λ/4になるように形成することにより、前記光透過性部材の反射率を低減する。
【0059】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0060】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態による光機能デバイスの構成を示す断面図である。
【0061】
この図1に示す第1の実施の形態は、本発明による光機能デバイスの一例として、光学式センサについて示している。
【0062】
この発明の第1の実施の形態による光機能デバイスの一例としての光学式センサは、次のように構成されている。
【0063】
すなわち、図1に示すように、この第1の実施の形態による光機能デバイスでは、セラミックパッケージ1の内部底面にAgペースト2を介して光検出機能素子として機能するPD10を集積したICチップ3が張り付けられている。
【0064】
このICチップ3上には、Alパターンで形成された電極ランド4が形成されており、この電極ランド4上にAgペースト2を介して、光源として機能する面発光レーザ(SEL)5がダイボンドされている。
【0065】
また、SEL5の上部電極6やICの電極パッド7は、Auワイヤー8により、セラミックパッケージ1に形成された電極9に接続されている。
【0066】
さらに、セラミックパッケージ1の上面は樹脂接着材11を介して光透過構造であるガラス部材12が接着されている。
【0067】
そして、セラミックパッケージ1とガラス材12は、光機能デバイスの内部に配置されているICチップ3や光源5や電極、ワイヤー等を封止するように構成されている。
【0068】
さらに、この光機能デバイスの内部には、信頼性保持機能部材30としての吸湿機能部材(例えば、活性炭)または結露抑制機能部材(例えば、酸化チタン)あるいはクリーニング機能部材(例えば酸化チタンやハロゲン触媒)のうち少なくとも一つが図中の参照符号30に示す位置に配置されている。
【0069】
ここで、ハロゲン触媒として利用できるのは、例えば、ヨウ素を固形化した材料などが相当する。
【0070】
なお、ICチップ3には、PD10の出力信号の処理回路やSELドライブ回路が集積されている。
【0071】
そして、参照符号22は、当該光学式センサの検出対象部材を示している。
【0072】
また、図示してないが、セラミックパッケージ1に形成された配線構造により、外部の電源よりICチップに電源の供給がなされると共に、PD10の出力信号の処理回路回路からの出力が外部のシステムの接続回路に接続されている。
【0073】
次に、以上のように構成されるこの発明の第1の実施の形態による光機能デバイスの一例としての光学式センサの作用を説明する。
【0074】
すなわち、当該光学式センサのSEL5は、ICチップ3のドライブ回路により駆動されてレーザビーム20を出力する。
【0075】
このレーザビーム20は、ガラス材12を通過して当該光学式センサの検出対象部材22に照射される。
【0076】
そして、この検出対象部材22で反射されたレーザビーム21は、再度、当該光学式センサのガラス部材12を透過した後、ICチップ上のPD10により検出される。
【0077】
なお、図1においては、レーザビームの拡がりに関して、SEL5から検出対象部材22に向かうビームを参照符号20で示し、検出対象部材22からPD10に向かうビームを参照符号21で示している。
【0078】
そして、当該光学式センサの内部に備えられる信頼性保持機能部材30が吸湿機能部材である場合には、封止構造の内部の湿度が上昇したとき、この吸湿機能部材により湿度上昇を抑え、腐食等による故障や劣化を抑制するとともに、結露も抑制する。
【0079】
さらに、信頼性保持機能部材30がクリーニング機能部材である場合には、このクリーニング機能部材によるクリーニング機能により内部の揮発性分がクリーニングされ、光透過構造やそのほかの機能部材に付着する汚れを抑えるため、内部汚れによる機能劣化や、光学特性の変化が引き起こす動作不良を抑制することができる。
【0080】
これらの作用効果により、光機能素子の正常機能を確保し、また、長期的な信頼性を確保することができる。
【0081】
なお、この発明の第1の実施の形態の各構成は、以下のような各種の変形、変更が可能である。
【0082】
ここで、クリーニング機能部材としては、酸化チタンやハロゲン触媒に限らず、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化銀、酸化マンガン、酸化銅、酸化鉄、酸化スズ、酸化バナジウム、酸化ニオブなどの金属酸化物半導体光触媒もしくは、硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化インジウム、硫化鉛、硫化銅、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化アンチモン、硫化ビスマスなどの金属硫化物半導体光触媒、あるいはCdS/TiO2,CdS/AgI,CdS/ZnO,CdS/PbS,、CdS/HgS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSeなどの混合半導体光触媒、さらには白金、銀、鉛などの金属を少量担持させた光反応半導体物質などの光触媒などでもよい。
【0083】
さらに、クリーニング機能部材は、ICチップ3上に形成するようにしてもよい。
【0084】
また、光機能デバイスとしては、本実施の形態の光学式センサに限らず、光半導体IC部品、CCDやCMOSイメージャ、静電センサ、赤外センサ、PD等の画像や電位、光の検出素子、LEDやLD等の発光素子、マイクロマシンミラーや可変焦点レンズなどのMEMS部品などの封止構造を有する各種の光機能デバイスに適用してもよい。
【0085】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態による光機能デバイスの構成を示す断面図である。
【0086】
この図2に示す第2の実施の形態は、本発明による光機能デバイスの一例として、光学式センサについて示している。
【0087】
この発明の第2の実施の形態による光機能デバイスの一例としての光学式センサは、次のように構成されている。
【0088】
以下に、この発明の第2の実施の形態を説明するが、前述した第1の実施の形態と共通部分は省略して、異なる部分について説明するものとする。
【0089】
すなわち、図2に示すように、光透過構造であるガラス部材12に対して、当該光学式センサ構造の内側の全面あるいは一部分に、信頼性保持機能部材31として示す薄膜状の結露抑制機能部材(例えば、酸化チタン)あるいはクリーニング機能部材(例えば、酸化チタンやハロゲン触媒)が形成されている。
【0090】
この薄膜状の信頼性保持機能部材31としての結露抑制機能部材あるいはクリーニング機能部材は、SEL5から投光される光の中心波長をλとすると、ほぼλ/4の奇数倍すなわちnを自然数としたとき(2n−1)λ/4の厚さに、その膜厚が設定されている。
【0091】
また、この薄膜状の信頼性保持機能部材31としての結露抑制機能部材あるいはクリーニング機能部材は、樹脂材に結露抑制機能部材あるいはクリーニング機能部材の成分を混ぜた材料で形成する場合には、例えば、コーティング法でガラス材にそれらの材料を塗布し、熱や紫外線等により固化させる方法によって形成することができる。
【0092】
この薄膜状の信頼性保持機能部材31としての結露抑制機能部材あるいはクリーニング機能部材が、金属性材料や半導体材料もしくは誘電体材料で形成される場合には、例えば、スパッタ法や蒸着法もしくは化学気相蒸着(CVD)法などの方法によって形成することができる。
【0093】
次に、以上のように構成されるこの発明の第2の実施の形態と作用について説明するが、前述した第1の実施の形態と共通部分は省略して、異なる部分について、以下に、説明するものとする。
【0094】
すなわち、この発明の第2の実施の形態では、前記信頼性保持機能部材31としての結露抑制機能部材あるいは前記クリーニング機能部材を前記光透過構造の内側に薄膜状に形成することができるため、前記光透過構造の結露や汚れを効率的に抑制し、光機能素子としての正常機能を確保すると共に、長期的な信頼性を確保することができる。
【0095】
特に、前記信頼性保持機能部材31が結露抑制機能部材である場合には、封止構造の内部が露点以下になっても、結露抑制機能部材を付着させた部分の結露が抑えられ、結露による光学特性の変化が引き起こす動作不良を抑制することができる。
【0096】
そして、この薄膜状の信頼性保持機能部材31としての結露抑制機能部材あるいはクリーニング機能部材は、ほぼλ/4の奇数倍の厚さにその膜厚が設定されていることにより、光の透過部分における反射率を低減する効果もある。
【0097】
なお、この発明の第2の実施の形態の各構成は、当然、第1の実施の形態と同様に各種の変形、変更が可能である。
【0098】
ここで、結露抑制機能部材は、酸化チタンに限らず超親水性特性をもつ材料であればよい。
【0099】
(第3の実施の形態)
図3は、本発明の第3の実施の形態による光機能デバイスの構成を示す断面図である。
【0100】
この図3に示す第3の実施の形態は、本発明による光機能デバイスの一例として、光学式センサについて示している。
【0101】
この発明の第3の実施の形態による光機能デバイスの一例としての光学式センサは、次のように構成されている。
【0102】
以下に、この発明の第3の実施の形態を説明するが、前述した第1及び第2の実施の形態と共通部分は省略して、異なる部分について説明するものとする。
【0103】
すなわち、図3に示すように、この発明の第3の実施の形態では、光源としてのSEL5の光出射表面、及び、PD10の受光面に、信頼性保持機能部材31としての薄膜状の結露抑制機能部材(例えば、酸化チタン)あるいはクリーニング機能部材(例えば、酸化チタンやハロゲン触媒)が形成されている。
【0104】
この薄膜状の信頼性保持機能部材31としての結露抑制機能部材あるいはクリーニング機能部材は、SEL5から投光される光の中心波長をλとすると、ほぼλ/4の奇数倍すなわちnを自然数としたとき(2n−1)λ/4の厚さに、その膜厚が設定されている。
【0105】
また、この薄膜状の信頼性保持機能部材31としての結露抑制機能部材あるいはクリーニング機能部材は、樹脂材に結露抑制機能部材あるいはクリーニング機能部材の成分を混ぜた材料で形成する場合には、例えば、コーティング法でガラス材にそれらの材料を塗布し、熱や紫外線等により固化させる方法によって形成することができる。
【0106】
この薄膜状の信頼性保持機能部材31としての結露抑制機能部材あるいはクリーニング機能部材が、金属性材料や半導体材料もしくは誘電体材料で形成される場合には、例えば、スパッタ法や蒸着法もしくは化学気相蒸着(CVD)法などの方法によって形成することができる。
【0107】
次に、以上のように構成されるこの発明の第3の実施の形態と作用について説明するが、前述した第1及び第2の実施の形態と共通部分は省略して、異なる部分について、以下に、説明するものとする。
【0108】
すなわち、この発明の第3の実施の形態では、前記信頼性保持機能部材31としての結露抑制機能部材あるいは前記クリーニング機能部材を前記光源としてSEL5の光出射表面、及び、PD10の受光面上に薄膜状に形成できるため、前記光透過構造部分だけでなく、光源としてSEL5の光出射表面、及び、PD10の受光面上の結露や汚れを効率的に抑制し、光機能素子としての正常機能を確保すると共に、長期的な信頼性を確保することができる。
【0109】
特に、前記信頼性保持機能部材31が結露抑制機能部材である場合には、封止構造の内部が露点以下になっても、結露抑制機能部材を付着させた部分の結露が抑えられ、結露による光学特性の変化が引き起こす動作不良を抑制することができる。
【0110】
そして、この薄膜状の信頼性保持機能部材31としての結露抑制機能部材あるいはクリーニング機能部材は、ほぼλ/4の奇数倍の厚さにその膜厚が設定されていることにより、光の透過部分における反射率を低減する効果もある。
【0111】
なお、この発明の第3の実施の形態の各構成は、当然、第1及び第2の実施の形態と同様に各種の変形、変更が可能である。
【0112】
(第4の実施の形態)
図4は、本発明の第4の実施の形態による光機能デバイスの構成を示す断面図である。
【0113】
この図4に示す第4の実施の形態は、本発明による光機能デバイスの一例として、光学式センサについて示している。
【0114】
この発明の第4の実施の形態による光機能デバイスの一例としての光学式センサは、次のように構成されている。
【0115】
以下に、この発明の第4の実施の形態を説明するが、前述した第1乃至第3の実施の形態と共通部分は省略して、異なる部分について、以下に、説明するものとする。
【0116】
すなわち、図4に示すように、この発明の第4の実施の形態では、電極ランド4、電極パッド7、セラミックパッケージに形成された電極9を含む各電極上もしくはその一部に薄膜状の信頼性保持機能部材31としてのクリーニング機能部材(例えば、酸化チタンやハロゲン触媒)が形成されている。
【0117】
この薄膜状の信頼性保持機能部材31としてのクリーニング機能部材は、例えば、スパッタ法や蒸着法もしくは化学気相蒸着(CVD)法などの方法により形成し、電極パターン形成時に同時に形成することができる。
【0118】
次に、この発明の第4の実施の形態と作用について説明するが、第1乃至第3の実施の形態と共通部分は省略して、以下に説明する。
【0119】
すなわち、この発明の第4の実施の形態では、前記薄膜状の信頼性保持機能部材31としてのクリーニング機能部材を、電極ランド4、電極パッド7及び電極9を含む各電極上もしくはその一部に形成することにより、前記光透過構造部分、光源としてのSEL5の光出射表面、及び、PD10の受光面上だけではなく、電極ランド4、電極パッド7、電極9上の酸化もしくは汚れ付着を効率的に防止することができる。
【0120】
従って、この発明の第4の実施の形態によれば、光機能素子の電気的導通性を良好に維持することが可能となり、光機能素子の長期的な信頼性を確保することができる。
【0121】
なお、この発明の第4の実施の形態の各構成は、当然、第1乃至第3の実施の形態と同様な各種の変形、変更が可能である。
【0122】
【発明の効果】
従って、以上説明したように、本発明によれば、所定の光機能を有する光機能素子を内部に収納して封止する封止構造を有すると共に、外部と前記光機能素子との間で光を透過可能とするための光透過構造を有する光機能デバイスにおいて、封止構造内部の所定部分に信頼性を保持し得る信頼性保持機能部材を備えることにより、光機能素子の正常機能を確保すると共に、長期的な信頼性を確保することができるようにした光機能デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態による光機能デバイスの一例として、光学式センサの構成を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施の形態による光機能デバイスの一例として、光学式センサの構成を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第3の実施の形態による光機能デバイスの一例として、光学式センサの構成を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の第4の実施の形態による光機能デバイスの一例として、光学式センサの構成を示す断面図である。
【図5】図5は、封止構造及び光透過構造を有する光機能デバイスの代表例として、特開平2001−174291号公報に開示されている従来の光学式エンコーダの断面構造を示す図である。
【符号の説明】
1…セラミックパッケージ、
2…Agペースト、
3…ICチップ、
4…電極ランド、
5…面発光レーザ(SEL)、
6…上部電極、
7…電極パッド、
8…Auワイヤー、
9…電極、
10…ホトデテクタ(PD)、
11…樹脂接着材、
12…ガラス部材、
20…レーザビーム、
21…レーザビーム、
22…検出対象物、
30…信頼性保持機能部材、
31…信頼性保持機能部材。

Claims (5)

  1. 光検出機能素子及び光源のうちの少なくとも一方を含む所定の光機能を有する光機能素子と、
    前記光機能素子を内部に収納して封止する封止構造を有すると共に、外部と前記光機能素子との間で光を透過可能とするための光透過構造を有するパッケージと、
    前記パッケージの前記封止構造の内側における前記光機能素子による出入射光路上の前記光透過構造の表面に薄膜状に形成される結露抑制機能部材及びクリーニング機能部材のうちの少なくとも一方を含む光透過性を有する信頼性保持機能部材と、
    を有することを特徴とする光機能デバイス。
  2. 前記信頼性保持機能部材は、前記光機能素子に含まれる前記光検出機能素子及び前記光源のうちの少なくとも一方の表面に光透過性を有し薄膜状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の光機能デバイス。
  3. 前記信頼性保持機能部材として、前記結露抑制機能部材を含み、前記結露抑制機能部材は、酸化チタン及び超親水性材料の内の少なくとも一つを構成成分とすることを特徴とする請求項2記載の光機能デバイス。
  4. 前記信頼性保持機能部材として、前記クリーニング機能部材を含み、前記クリーニング機能部材は、ハロゲン触媒、酸化チタン及び光触媒の内の少なくとも一つを構成成分とすることを特徴とする請求項2記載の光機能デバイス。
  5. 前記薄膜状に形成されている光透過性を有する前記信頼性保持機能部材の厚さtは、前記光検出機能素子によって検出される光の波長または前記光源からの光の波長の中心値をλとするとき、t=(2n−1)λ/4(但し、nは任意の自然数)を満たすように形成されていることを特徴とする請求項2記載の光機能デバイス。
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