JP4058320B2 - 光モジュール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信システムの拡大に伴い、光モジュールの需要が急速に高まっている。このため、光モジュールの高速化、小型化、低コスト化および高信頼化が必要となっている。特に、低コスト化のため光モジュールの組み立てを簡略化する必要があり、半導体基板上に光半導体部品、レンズ等の光学部品を搭載する技術が注目されている。例えば、シリコン基板を選択エッチングすることによって、基板表面に精度よく溝を形成し、この溝上に光学部品を配置することにより、光学部品を高精度に位置決めして組み立てることができる。
【0003】
例えば、このような光モジュールの例としては、以下の文献がある。
【0004】
前記特開2002−190636号公報では、光学部品を支持基盤の表面上に接着する樹脂を有する構造が開示されている。
【0005】
また、特開2002−141597号公報では、エッチングにより角錐溝を形成し、角錐穴の球レンズの出射側の一部を削除される構造がが開示されている。
【特許文献1】
特開2002−190636号公報
【特許文献2】
特開2002−141597号公報
【0006】
【発明が解明しようとする課題】
しかしながら、上記文献の形態では、環境温度の変化、あるいは半導体レーザ素子の駆動時に発生する熱による温度変化により、光モジュールに搭載されている球レンズが位置ずれを起こし、その結果、光結合効率が低下するという課題に対する対策について十分でない。
【0007】
本発明者は、検討の結果、レンズ、シリコン基板、および球レンズとシリコン基板を接合するためのはんだの熱膨張係数の違いに起因して、レンズが基板により位置が拘束されると、はんだと球レンズとの界面部にはく離が発生する恐れがあることに起因することを見出した。
【0008】
そこで、本発明では、環境温度変化に対して光学部品の位置ずれを起こさない信頼性の高い光モジュールを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の光モジュールは、例えば以下の形態をとることができる。これにより、球レンズ下に発生する応力値を低減し、環境温度が変化しても、基板とレンズとの界面での剥離を防止して、高信頼性の製品を提供できる。また、これにより組み立て工程が容易で精度が高い製品を形成することができる
【0010】
(1)シリコン基板と、前記シリコン基板上に設置されるレーザ素子と、前記シリコン基板上に設置されるレンズと、前記シリコン基板の基板表面に対して斜面を有する凹状のレンズ固定部と、前記レンズ固定部は、設置される前記レンズと前記レンズ固定部を形成する前記シリコン基板との間に配置され、前記レンズを固定する金属はんだである接着剤と、前記接着剤と前記固定部を形成する前記シリコン基板との間に配置される充填剤と、を有し、前記充填剤は、前記接着剤より線膨張係数が小さいことを特徴とする光モジュールである。
【0011】
また、本発明は、主に光通信用に使用される光モジュール、特に光学部品を基板上に接合した光モジュールに好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に幾つかの実施例を挙げ、本発明の光モジュールについて、詳細に説明する。
なお、本発明は、本明細書に記載した形態に限定するのではなく、当業者における既存の公知例或は新たに生じる公知例を組合せることを妨げるものではない。(実施例1)
本発明における第一の実施例である光モジュールを図1、5、9を用いて説明する。
図1は、本発明の光モジュールにおいて、基板として例えばシリコン基板1に半導体レーザ素子2およびレンズとして球レンズ3を搭載した場合におけるレンズ固定部である球レンズ搭載部を示す。本光モジュールでは、基板1に形成され、基板1の表面より低い底面と、前記底面と基板1の表面とを連絡する斜面を有するレンズ固定部を形成している。具体的には、シリコン基板1に断面が台形状の溝(以降、四角錐台溝4)が形成されて、そしてこの台形溝の斜面上に球レンズ3が接着剤で固定されて形成される。接着剤としては例えば金属はんだで固定される。また、破線22は台形溝の稜線、破線23は、台形溝の底面と斜面によってつくられる交線を示す。図1のハッチングは、はんだ部5とシリコン基板1およびレンズ3との区別を明確にするために付けたものであり、断面部分を示すものではない。このことは後述する図2、図4、図7、図12、図15及び図16においても同様である。
【0013】
図5は、図1のA−A’断面である。前記レンズ搭載部の具体構造を示している。シリコン基板には、四角錐台溝4があり、球レンズ3はこの四角錐台溝部に配置され、例えばSnAgはんだ5で固定する。四角錐台溝4は、通常ホトエッチングの手法で形成でき、例えば、深さの精度は約±12μmでコントロールする。異方性エッチングのためのエッチャントとしては、例えばKOHを用いることができる。
【0014】
また、図5に示した断面は、前記レンズ搭載部は、レンズ3の両側に前記斜面が位置し、レンズ3の中心と前記斜面の前記レンズ3の中心に最も近接する領域を通る断面として以下の規定をすることができる。この断面形状において、斜面を延長して交わる交点Aとレンズ3中心を結ぶ線分における、前記底面Cと前記レンズ1の前記交点側の端部Bとの距離hは前記交点Aと前記レンズ1の前記交点側の端部Bとの距離hの0.4倍未満になるよう形成されることができる。(h/h<0.4)。これにより、前記本願発明の課題の解決に寄与することができる。
【0015】
十分な効果を得る好ましい形態としては、本光モジュールでは、h/h<0.3となっていることが好ましい。これにより、以下に説明するように、球レンズ3とシリコン基板1とを接合しているはんだ5にき裂や剥離が発生することを抑制でき、レンズの位置ずれを防止することが出来る。また、Bはレンズ最下点として測定することもできる。
【0016】
また、図9は、本発明の第一の実施形態である光モジュールの全体図を示している。光モジュール内には、光ファイバ12の連結部が枠体32に設置されている。およびペルチェ素子11は搭載基板31に設置され、ペルチェ素子11に搭載されたステム10が形成されており、そのステム10上には、アイソレータ9、フォトダイオード8およびシリコン基板1が搭載されている。ステム10としては、CuW合金などを用いることができる。
【0017】
次に、本発明の光モジュールによるレンズ位置ずれ防止効果を、比較例の光モジュール構造と比較して説明する。
図2は比較例の構造である光モジュールの球レンズ搭載部を示す図であり、シリコン基板26に四角錐状の溝(以降、四角錐溝6)が形成されており、このV溝の斜面上に球レンズ3がはんだ付けされている。破線24は、V溝の稜線を示している。また、図3は、図2中のB−B’断面である。以下、このような四角錐溝6の溝構造をV溝構造と記す。また、図1および図5に示した本発明の四角錐台溝4の溝構造を台形溝構造と記す。
【0018】
まず、比較例の構造である図2,3のV溝構造で光モジュールの動作温度範囲である−40℃と85℃で温度を変化させた場合に、球レンズの位置ずれの原因となる球レンズとはんだの界面でのはく離が発生する場合がある理由についての検討内容を説明する。
【0019】
一般に、はんだの熱膨張係数は球レンズとシリコン基板の熱膨張係数と比較して大きい。よって、高温から低温に環境温度を変化させた場合に、はんだには引張応力が発生し、球レンズとはんだとの界面において剥離が発生する場合がある。そこで、はんだに発生する応力値を求めるため、図4に示す球レンズとV溝が接する断面CC’および稜線を通る断面DD’の2断面において2次元軸対象モデルで応力解析を行った。解析条件は、球レンズの接合を行う240℃から−40℃への冷却とした。応力解析に用いた材料定数を表1に示す。
【0020】
【表1】
Figure 0004058320
球レンズ直下の応力値は断面CC’のモデルで257(MPa)、断面DD’のモデルで35(MPa)となった。実際の球レンズ直下の応力値はこの値の平均値程度にあると考えられ、はんだの破断応力値(SnAgはんだの場合、約80 MPa)を越えている。このため界面部において剥離が生じたと考えられる。そこで、本実施例では、V溝構造を台形溝構造とすることによって、レンズ最下点から溝底面部までの距離を短くし、レンズ直下に発生する応力値を下げるものである。
【0021】
次に、本発明の光モジュールにおいて、レンズ最下点から溝底面部までの距離を短くすると応力値が低減する理由について説明する。はんだのヤング率は、レンズおよびシリコン基板のヤング率と比較して約4分の1程度と小さいため、温度変化によるレンズの変位は、溝の形状によらず、レンズとシリコンの線膨張係数の差に依存している。この差でほぼ一意に決定することができる。
【0022】
例えば、環境温度を高温から低温に下げた場合には、球レンズの線膨張係数はシリコン基板の線膨張係数より大きいため、球レンズは下方へ移動する。この移動した距離分だけ、はんだに発生する引張応力は低減される。溝形状に依らずレンズの移動する距離は同じであるため、はんだ部長さの短い台形溝の方がはんだに発生する引張応力が低減される。
【0023】
図10に、応力解析で得られたh4/h3値とレンズ直下の応力値との関係を示す。実際にレンズ直下に発生する応力値は断面CC’での応力値と断面DD’での応力値の平均値程度になると考えられる。図10には、断面CC’での応力値と断面DD’での応力値の平均値も示した。図10に示すように、曲線の傾向からはんだに発生する応力が低減し始めるのは、h4/h3<0.4である。h4/h3<0.3にすることにより、実用に好ましい効果が出始める、例えばレンズ直下に発生するはんだの応力値が、安定してはんだの破断応力値80(MPa)以下とすることができる。さらに好ましくは、h/h<0.2にすることにより破断応力とのマージンが大きくなるので、高信頼性の形態にすることができるので好ましい。なお、これらの値の下限は、h4が0の場合であることが考えられる。また、製造上の精度やその他の都合により0.1未満で0に近い値を選択することも考えられる。
【0024】
すなわち本実施例で例示したように、少なくとも、レンズの最下点から四角錐台溝底面までの距離h4が、球レンズの最下点から溝斜面を延長した場合にできる交点までの距離h3の0.3倍未満となっている場合には、はんだにはき裂が発生することを効果的に抑制することができることがわかった。熱負荷が加わっても、球レンズ3とシリコン基板1とを接合しているはんだ5に破断応力以上の応力が加わることを効果的に抑制し、はんだ5にき裂や剥離が発生することを抑制できる。これにより、レンズの位置ずれを効果的に防止することが出来る。
【0025】
上記応力解析は、はんだ材が金属はんだのSnAgの場合について示したが、他のはんだ材の場合についても、適応することができる。図10に示した曲線の位置は多少上下方向に移動することが考えられるが、多少の変動があったとしても前記規定によりき裂や剥離の抑制に寄与することができる。なお、例えば、レーザ端面の汚染の観点からは樹脂の接着剤より金属接着剤を用いることが好ましい。
【0026】
このような距離h4と距離h3との関係を満たす台形溝を形成することによって、環境温度の変化、あるいは半導体レーザ素子の駆動時に発生する熱により温度変化が生じても、光モジュールに搭載されている球レンズが位置ずれを起こすことを効果的に抑制できる。
【0027】
(実施例2)
本発明における第二の実施例である光モジュールを図1、6、9を用いて説明する。図9は、本発明の第二の実施形態である光モジュールの全体図を示しており、基本的には第一の実施例と同様にすることができる。図1は、光モジュールの球レンズ搭載部の構造を示しており、第一の実施例と同様である。また、図6に示した図1のA−A’断面において、レンズが前記底面と最も短い距離BCをhとする。また、A−A’断面における台形溝の底辺部CDの距離をaとする。本実施例の特徴としては、底面CDの幅aは、前記レンズが前記底面と最も短い距離BChの少なくとも2より大きくなるよう形成されている(a/h>2)。より好ましくは、a/h>4である。なお、BCは前記規定により測定することが困難な場合は、レンズ最下点から台形溝底面までの距離ということもできる。
【0028】
ここで、レンズ直下でのはんだに発生する応力値とa/h値との関係のグラフを図11に示す。実際にレンズ直下に発生する応力値は断面CC’での応力値と断面DD’での応力値の平均値程度になると考えられる。図11には、断面CC’での応力値と断面DD’での応力値の平均値も示した。
【0029】
図10に示すように、曲線の傾向からはんだに発生する応力が低減し始めるのは、a/h4>2である。a/h4>4にすることにより、実用に好ましい効果が出始める、例えばレンズ直下に発生するはんだの応力値が、安定してはんだの破断応力値80(MPa)以下とすることができる。さらに好ましくは、a/h>6にすることにより破断応力とのマージンが大きくなるので、高信頼性の形態にすることができるので好ましい。
【0030】
前述した本光モジュールの好ましい形態は、上記条件a/h>4を満たしており、熱負荷が加わっても、球レンズ3とシリコン基板1とを接合しているはんだ5に破断応力以上の応力が加わることがなく、はんだ5にき裂や剥離が発生することを効果的に抑制できる。これにより、レンズの位置ずれを防止することが出来る。
【0031】
上記応力解析は、はんだ材がSnAgの場合について示したが、他のはんだ材の場合についても、同様に応力解析を行うことによって、球レンズ直下のはんだの応力が破断応力を超えない適正な距離aと距離h3との関係を導くことが出来る。そのような距離aと距離h3との関係を満たす台形溝を形成することによって、環境温度の変化、あるいは半導体レーザ素子の駆動時に発生する熱により温度変化が生じても、光モジュールに搭載されている球レンズが位置ずれを起こすことを抑制できる。
【0032】
(実施例3)
本発明における第三の実施例である光モジュールを図7、8、9を用いて説明する。図9は、本発明の第三の実施形態である光モジュールの全体図を示しており、基本的には第一の実施例と同様であることができる。図7は、光モジュールの球レンズ搭載部の構造を示している。また、図8は、図7のC−C’断面である。本実施例の特徴は、基板の基板表面に対して斜面を有する凹状のレンズ搭載部が形成されており、レンズ3と前記レンズ搭載部の前記搭載部を形成する前記基板との間に配置される、前記レンズを固定する接着剤と、前記接着剤と前記搭載部を形成する前記基板との間に配置される充填剤を有する形態にした点である。具体例としては、レンズ搭載部の一例として四角錐溝6内に、線膨張係数が前記接着剤であるはんだ5より小さい充填剤として応力緩和剤7を挿入した。さらに好ましくは、ヤング率が接着剤であるはんだ5より小さい充填剤としての応力緩和材7を選択する。応力緩和材7は、図中では球形のものを表示しているがその形状はこれに限らない。このような応力緩和材7を挿入することによって、例えば、環境温度が高温から低温に低下する場合に、はんだに発生する引張応力を低減させることができる。これにより、はんだの剥離を防止することができる。
【0033】
深さを充填剤で制御して実施例1の範囲にすることにより実施例1の作用効果を得ることができる。それにより、溝深さを容易にコントロールすることができる。
【0034】
または、応力緩和材の線膨張係数を、はんだの線膨張係数より小さくすることにより、例えば環境温度を高温から低温に下げた場合に、応力緩和材の収縮によって発生するはんだの引張応力を低減できる。また、応力緩和材のヤング率をはんだのヤング率より小さくすることによって、例えば環境温度を高温から低温に下げた場合に、応力緩和材が大きく変形し、はんだに発生する引張応力は低減される。
【0035】
具体的材料としては、前記規定を具備する周知の材料を用いることができる。
【0036】
また、このような構造を用いれば、基板の溝の作製はV溝構造にしておき、球レンズ、はんだ、基板のヤング率、線膨張係数が異なる場合においても、V溝に挿入する応力緩和材7の量を変化させることによって、はんだと球レンズとの界面での剥離を防止することができる。
(実施例4)
本発明における第四の実施例である光モジュールを図9、12、13、14、15を用いて説明する。図9は、本発明の第四の実施形態である光モジュールの全体図を示しており、第一の実施例と同様である。図12は、光モジュールの球レンズ搭載部の詳細構造を示している。図13は、図12のA−A’断面である。図14は、図12のB−B’断面である。本実施例の光モジュールは、シリコン基板1上に、半導体レーザ素子2、球レンズ3を有している。シリコン基板には、錐台溝17があり、球レンズはこの錐台穴部に配置され、例えばSnAgはんだ5で固定する。
【0037】
本実施例の特徴は、基板の基板表面に対して斜面を有する凹状の球状レンズを固定するレンズ搭載部を備え、前記レンズ搭載部は、設置される前記レンズと前記レンズ搭載部の前記搭載部を形成する前記基板との間に配置される、前記レンズを固定する接着剤と、を備える。そして、前記接着剤は前記レンズの下部から前記レンズの下部の外側にまで及ぶよう形成されている点である。例えば、レンズが搭載される前記半導体基板上に形成される溝形状が、四角錐台形の溝形状の4角の少なくとも1角に新たな溝部が形成されている。
【0038】
錐台溝17は、通常ホトエッチングの手法で形成できる。比較例の構造の四角錐溝を作製する場合には、図16に示す四角形の斜線部19を異方性エッチングしたが、本実施例では、図15に示すような斜線部18を異方性エッチングする。異方性エッチングのためのエッチャントとしては、例えばKOHとIPAを用いることができる。このように図15に示すように、新たに追加エッチング領域20を形成してエッチングを行うことによって、図12に示すような錐台穴17ができる。
このような穴形状によって、はんだ17に自由表面を設けることによって、球レンズとシリコン基板の接合時に発生するレンズ直下の応力値を低下させることができる。これにより、はんだ中の剥離の発生を防止でき、レンズの位置ずれを防ぐことができる。
【0039】
また、別の効果として、このような追加溝部21を設けることによって、はんだ内に発生したボイドをレンズ直下からこの追加溝部21へ移動させることができる。
【0040】
図15では、エッチング領域として、比較例の四角形部の4角全てに新たな四角形部を形成しているが、少なくとも1箇所に新たな四角形部を形成しておけば同様の効果を得ることができる。また、4角に設けるエッチング領域の形状は四角形である必要はない。
【0041】
(実施例5)
本発明における第五の実施例である光モジュールを図17、18を用いて説明する。
【0042】
図17は、本発明の光モジュールにおいて、シリコン基板1に半導体レーザ素子2および円筒形レンズ33を搭載した円筒形レンズ搭載部を示す。本発明の光モジュールでは、シリコン基板1に断面形状が台形状の溝(以下、レール状溝34)が形成されている。このレール状溝34の斜面上に円筒形レンズ33がはんだ付けされている。また、破線22はレール状溝の稜線、破線23は、レール状溝の底面と斜面によってつくられる交線を示す。
【0043】
図18は、図17のA−A’断面である。シリコン基板には、レール状溝34があり、円筒形レンズ33はこのレール状溝部に配置され、例えばSnAgはんだ5で固定する。レール状溝34は、通常ホトエッチングの手法で形成でき、深さの精度は約±12μmでコントロールできる。異方性エッチングのためのエッチャントとしては、例えばKOHを用いることができる。
【0044】
また、図18に示した断面において、基板の斜面を延長した場合に交わる交点Aとレンズ最下点Bとの距離をh3とし、レンズ最下点から台形溝底面までの距離BCをh4とした場合、本発明の光モジュールでは、h4/h3<0.3となっている。これにより、以下に説明するように、円筒形レンズ33とシリコン基板1とを接合しているはんだ5にき裂や剥離が発生することがなく、レンズの位置ずれを防止することが出来る。前記断面及び距離の測定は、実施例1で規定に対応させるとすれば、前記中心は前記レンズの両端に形成される円の中心を通り円柱の高さの半分の位置に位置する領域を前記中心として測定される。
【0045】
実施例1および2と同様に、断面AA’での2次元応力解析を行い、レンズ直下でのはんだに発生する応力値とh4/h3値との関係を求めた。そのグラフを図19に示す。実際は、はんだは光軸方向に変形できるため、レンズ直下に発生する応力値は断面AA’での応力値よりも下がると考えられる。図19より、はんだに発生する応力が低減し始めるのは、h4/h3<0.4であり、はんだの破断応力値を超えない十分な効果が得られるのはh4/h3<0.3である。
【0046】
上記応力解析は、はんだ材がSnAgの場合について示したが、他のはんだ材の場合についても、同様に応力解析を行うことによって、円筒形レンズ直下のはんだの応力が破断応力を超えない適正な距離h4と距離h3との関係を導くことが出来る。そのような距離h4と距離h3との関係を満たす台形溝を形成することによって、環境温度の変化、あるいは半導体レーザ素子の駆動時に発生する熱により温度変化が生じても、光モジュールに搭載されている球レンズが位置ずれを起こすことを抑制できる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の光モジュールは、環境温度が変化しても、基板とレンズとの界面での剥離を防止しできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第一の実施例である光モジュールの球レンズの搭載部図。
【図2】比較例の構造の光モジュールの球レンズ搭載部図。
【図3】比較例の構造の光モジュールの光軸に沿った断面B−B’。
【図4】比較例の構造の光モジュールの球レンズ搭載部図。
【図5】本発明における第一の実施例である光モジュールの光軸に沿った断面B−B’。
【図6】本発明における第二の実施例である光モジュールの光軸に沿った断面B−B’。
【図7】本発明における第三の実施例である光モジュールの球レンズ搭載部図。
【図8】本発明における第三の実施例である光モジュールの光軸に沿った断面C−C’。
【図9】本発明における第一、二、三および四の実施例である光モジュール全体図。
【図10】本発明における第一の実施例での球レンズ直下に発生する応力値。
【図11】本発明における第二の実施例での球レンズ直下に発生する応力値。
【図12】本発明における第四の実施例である光モジュールの球レンズ搭載部図。
【図13】本発明における第四の実施例である光モジュールの光軸に沿った断面A−A’。
【図14】本発明における第四の実施例である光モジュールの断面B−B’。
【図15】本発明における第四の実施例である光モジュールの基板部のエッチング領域図。
【図16】比較例の構造における光モジュールの基板部のエッチング領域図。
【図17】本発明における第五の実施例である光モジュールの円筒形レンズの搭載部図。
【図18】本発明における第五の実施例である光モジュールの光軸に垂直な断面A−A’。
【図19】本発明における第五の実施例での球レンズ直下に発生する応力値。
【符号の説明】
1…シリコン基板、
2…半導体レーザ素子、
3…球レンズ、
4…四角錐台溝、
5…はんだ、
6…四角錐溝、
7…応力緩和材、
8…フォトダイオード、
9…アイソレータ、
10…ステム、
11…ペルチェ素子、
12…光ファイバ、
13…ステム、
17…錐台溝、
18…エッチング領域、
19…エッチング領域、
20…追加エッチング領域、
21…追加溝部、
22…稜線、
23…台形溝底面と斜面にの交線、
24…V溝の稜線、
31…搭載基板
32…枠体
33…円筒形レンズ

Claims (2)

  1. シリコン基板と、
    前記シリコン基板上に設置されるレーザ素子と、
    前記シリコン基板上に設置されるレンズと、
    前記シリコン基板の基板表面に対して斜面を有する凹状のレンズ固定部と、
    前記レンズ固定部は、設置される前記レンズと前記レンズ固定部を形成する前記シリコン基板との間に配置され、前記レンズを固定する金属はんだである接着剤と、
    前記接着剤と前記固定部を形成する前記シリコン基板との間に配置される充填剤と、を有し、
    前記充填剤は、前記接着剤より線膨張係数が小さいことを特徴とする光モジュール。
  2. 請求項1において、前記充填剤は、前記接着剤よりヤング率が小さいことを特徴とする光モジュール。
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