JP4056358B2 - 医療用易剥離性多層容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療器具を収納又は持ち運びするのに用いるプラスチック製のトレー等の容器であって、特に手術や検査に用いる器具を収納するための、表面が無菌状態で且つ無菌表面を容易に発生させることが可能なプラスチック製容器に関する。尚、本発明において樹脂組成物の配合組成を表す単位は、特に断らない限り質量基準の値である。
【0002】
【従来の技術】
従来、手術器具、検査器具及び処置器具等の医療器具は、病院の手術室や検査室で行われる各種手術、検査及び処置等に際して、患者への二次感染を防ぐため、予め消毒あるいは滅菌処理された清潔なものを準備した上で使用されている。近年、医療現場においては、医療の際に用いる各種の医療器具、特に注射器、ガーゼ、綿球、ピンセット及び止血テープ等の滅菌処理を要する医療器具や、これらの器具を整理して収納したり、使用中の器具を洗浄したり、摘出した患部等を収納するためのトレー、ボール及びバット等の容器等 を、プラスチック製袋に詰めて封止しこれを医療キットパックとして滅菌処理して用いることが普及してきている(例えば非特許文献1参照)。この医療キットパックは、必要な作業別毎に予めまとめてセットされていることから、作業に入る前に必要な医療器具を取り揃えて準備しておく手間が軽減され、開封後すぐに使用することができ、しかも使用後はそのまま廃棄すればよく、滅菌作業の合理化、滅菌装置の簡素化及び院内感染の予防等の面から有効に活用されている。
【0003】
しかしながら、キットパックとして滅菌処理する方法は、前記のように医療作業の効率化に有効である反面、種々の器具を同じキットパックで処理することから、これら器具のトレイ等の容器は、一旦滅菌作業は行われているものの、キットパックから取り出して使用している際に、作業環境中のほこりや、手術現場や処置室で発生した血液等で汚染される危険性があった。従って滅菌処理したキットパックから取り出して、使用直前まで表面を確実かつ簡便に無菌状態に保つ手段が望まれていた。一方で検査室で用いられるトレイ等の容器についても、一旦滅菌したトレイ等の容器の表面に、その使用前にほこりが付いたり、空気中の細菌が付着する可能性があり、前記と同様に使用直前までその表面を保護する簡便な手段が求められていた。
【0004】
一方で表層が易剥離性の薄膜で被覆されていて、その薄膜を剥離することで無菌表面を有する容器が提案されている(特許文献1〜3参照)。これらの発明は、前記のキットパックで滅菌処理した後、医療現場での手術等の際にその薄膜を剥離して使用する用途を目指したものではなく、前記の本発明の目的での使用においては、その剥離作業性の容易さの点で十分なものではなかった。更に本発明の用途である医療器具や手術により摘出した臓器等を収納しておく容器について、臓器等を収納する直前に予めキットパック等で滅菌した容器の表層を剥離することによって無菌表面を作りだすことができる容器、及びその容器を成形する為の多層シートが提案されている(特願2002−173699号)。この容器は表層を基材層から剥離する操作で無菌表面を持つ容器とすることができ、医療現場で極めて有用なものである。しかしながら該表層を基材層から剥離する際のきっかけについて、ハーフカットやミシン目を入れる方法が提示されているものの、その方法では必ずしも容易に剥離のきっかけが取れない場合が有り、その作業性の改善が求められていた。
【0005】
【非特許文献1】
古橋 正吉著「滅菌・消毒マニュアル」日本医事新報社、1999年1月第1版、272頁
【特許文献1】
特開昭63−143943号公報
【特許文献2】
特開平1−250246号公報
【特許文献3】
特開平3−210252号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、前記の医療器具や手術により摘出した臓器等を収納しておく容器において、その無菌表面を容易に作りだすことができ、且つその容器を使用する直前まで表面を無菌状態に保つことのできる容器において、その表層の剥離性が改善された医療用易剥離性多層容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決することを目的として鋭意検討した結果、特定組成の樹脂多層シート及びそれからなる成形品において、基材層と表層をその界面において剥離可能とし、使用直前に表層を剥離する際の剥離きっかけ部にその両端が切断されている折り込み線を設けることにより、界面が実質的に無菌である容器が極めて容易に得られることを見出し本発明に至った。
【0008】
即ち本発明は、少なくとも基材層及び表層の2層の熱可塑性樹脂層を有する易剥離性共押出多層シートを表層が内面となるように成形してなる容器であって、剥離きっかけ部が、容器のコーナー部に容器外縁にはみ出して設けられ、はみだした根元付近に、剥離きっかけ部を容易に折るための両端が切断された折り込み線を有することを特徴とする医療用易剥離性多層容器である。又、剥離きっかけ部の根本付近の折り込み線の両端が切断されており、未切断部の長さが1.2〜2.2mmであり、且つ未切断部が、折り込み線の全長の20〜30%であることが好ましい。更に、基材層が下記の(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有し、表層がポリオレフィン系樹脂からなり、基材層が150〜1500μmで、表層が10〜100μmの厚さの易剥離性多層シートを熱成形してなり、基材層と表層間の180度剥離強度が0.15〜3.0N/25mmであることが好ましい。
(a): ポリスチレン 0〜80%
(b): スチレン−ブタジエングラフト共重合体 20〜98%
(c): スチレン系ブロック共重合体 2〜7%
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の医療器具用多層シートと成形品及びそれらの製造方法について詳細に説明する。
【0010】
一般に医療器具に使用されている、トレイ、ボウル及びバット等のプラスチック製器具は、プラスチック原料からシート状に成形された後、真空成形等の熱成形されるか、原料ペレットから直接射出成形により製造され、使用目的毎にキットパックとよばれるセットにまとめられ、キット単位で滅菌処理され使用するまで保管される。そのトレイの代表的な形状を図3に示した。しかしながら、前記のようにキットの中には様々な器具が同時に保管されており、開封後使用する迄に再度汚染される危険性があった。
【0011】
本発明の多層容器は、図2に示すように、基材層(1)と表層(2)から構成される。また、このシートから熱成形により成形された図3に示す成形品は、表層(2)と基材層(1)間の剥離強度が、0.15〜3.0N/25mmに調整されており、剥離きっかけ部(3)も成形品を製品抜きする際に形成することが可能であり、その剥離きっかけ部をつまんで折り込み線(4)で、容器内側へ折りこむ事により表層(2)を基材層(1)から容易に剥離することができ、残された基材層(1)からなる成形体を容器として用いることで、容易にその表面が無菌状態の容器を得ることが出来る。また表層(2)は、必要に応じ、基材層(1)の両側に設けることも可能である。
【0012】
本発明でいう剥離強度は、JIS−K6854−2法により測定した基材層(1)と表層間(2)の180度剥離強度であり、本発明に用いる多層シートでは、0.10〜2.0N/25mmであり、好ましくは0.10〜1.5N/25mmである。0.10N/25mm未満では、多層シートを製膜する段階で冷却、巻き取る際、ロールに巻かれたシートを搬送する際に基材層(1)と表層(2)が剥離する危険がある。又、2.0N/25mmを越えると、この多層シートを熱成形により容器に成形したときに、容器での剥離強度が高くなりすぎる。
【0013】
一方で、この多層シートを熱成形した容器における基材層(1)と表層(2)間の180度剥離強度は、実用性からみて、0.15〜3.0N/25mmであり、好ましくは0.15〜2.0N/25mmである。0.15N/25mm未満では、使用前のハンドリング中に意図せずに剥離する可能性が有る。一方で、剥離強度が3.0N/25mmを越えると、容器の使用直前に、基材層(1)から表層(2)を手で剥離する際に、多大な力を要して迅速な作業が困難となるか、更に剥離強度が強い場合は、手による剥離ができない。
【0014】
本発明の多層容器は、図3及び図4に示したのように容器のコーナー部に表層(2)を基材層(1)から剥離し易いように剥離きっかけ部(3)が容器外縁にはみ出して設けられている又、この剥離きっかけ部(3)の根本には剥離を容易にするために前記の折り込み線(4)が設けられている。表層(2)を剥離する際は、この剥離きっかけ部(3)を手で折り、容器の内側に引っ張るように剥がす。
【0015】
剥離きっかけ部(3)の折り込み線(4)は、図1に示すようにその両端が切断されており、その中央に切断部(5)を設け、その両側に未切断部(6)を設ける事が好ましい。又、必要に応じて、切断部(5)の中央に未切断部を設けることも出来る。切断部(5)は、基材層(1)及び表層(2)共切断されている。折り込み線(4)は、その両端が切断されている事により、剥離きっかけ部(3)が折り曲げ易くなっている。一方でその両端が切断されていない場合は、非常に折りにくく、無理に折ると容器を変形させるか、容器が白化してしまい容器外観を損なう危険がある。折り込み線(4)に設ける未切断部(6)のそれぞれの長さは1.2〜2.2mmの範囲が好ましい。1.2mm未満だと容器を搬送する際に折り込み線(4)が、意図せずに切断される可能性がある。さらに未切断部(6)が2.3mmを越えると剥離きっかけ部(3)が折りにくくなる傾向があり、無理に折ると容器を変形させるか、容器が白化してしまい容器外観を損なう恐れがある。また、折り込み線(4)の未切断部(6)の合計の長さは、(4)の全長の20〜30%の長さで有ることが好ましい。20%未満だと容器を搬送する際に折り込み線(4)が、意図せずに切断される危険がある。一方で30%を越えると折りにくく、無理に折ると容器を変形させるか、容器が白化してしまい容器外観を損なう恐れがある。以上のような部分折り込み線の形状は、シートを熱成形した本発明の容器を製品抜きする際に、対応する形状を有する抜き刃を用いるて形成する事ができる。
【0016】
本発明で基材層(1)に用いる樹脂は、医療用に使用でき、且つ前記のような表層(2)との剥離強度に調整できるものであれば良いが、そのような特性を有するものとして、(a)ポリスチレン、(b)スチレン−ブタジエングラフト共重合体、及び(c)スチレン系ブロック共重合体を含有する組成物が好ましい。ここで(a)ポリスチレンとは、一般の透明ポリスチレンであり、塊状ラジカル重合法、縣濁重合法又はアニオン重合法等の既知の重合法により得られたものである。このポリスチレンは、基材層(1)に0〜80%の範囲で含有されるのが好ましい。80%を超えると、基材層(1)が脆くなり、容器の衝撃強度が低下するため、使用中に容器の割れを生じる恐れがある。
【0017】
次に基材層(1)に用いる(b)スチレン−ブタジエングラフト共重合体は、ゴム成分を2〜15%含有するいわゆる耐衝撃性ポリスチレンである。基材層(1)の含有量は、20〜98%が好ましい。含有量が20%未満では基材層(1)の衝撃強度の補強効果が小さく、使用中に容器の割れを生じる恐れがあり好ましくない。また、98%を超えると表層(2)との接着性が弱く、多層シートを作る段階で基材層(1)と表層(2)が剥離することがあり好ましくない。
【0018】
前記の(a)ポリスチレン及び(b)スチレン−ブタジエングラフト共重合体のメルトインデックスは、溶融押出性と熱成形性などの点からいずれも0.5〜10g/10分の範囲が好ましく、より好ましくは1〜6g/10分の範囲である。
【0019】
又、基材層(1)に用いる(c)スチレン系ブロック共重合体とは、スチレン系単量体及び共役ジエン単量体の連鎖を有した共重合体又はそれらの水素添加物であり、一般的には、その重合体中のスチレン系単量体の比率は10〜90%で、重量平均分子量は6万〜25万の範囲のものである。尚、本発明においてスチレン系単量体とは、スチレン又は、α−メチルスチレン等であり、共役ジエン系単量体とは、ブタジエン又はイソプレン等である。
【0020】
前記の(c)スチレン系ブロック共重合体の、スチレン系単量体及び共役ジエン系単量体の連鎖の形態は特に限定されるものではなく、それぞれの単量体の連鎖が連結した共重合体のみならず、例えば前記の連鎖を複数回繰り返したいわゆる「マルチブロック共重合体」であっても良く、一方で、スチレン系単量体及びジエン系単量体からなる連鎖を3〜5個、多官能性化合物により結合させたいわゆる「星型ブロック共重合体」であっても良い。又、その分子構造としては、それぞれの連鎖が完全連鎖もしくは、特開昭48−48456号公報に見られる如く、スチレン系連鎖とジエン系連鎖の間に、それらの連鎖の比率が連続的に変化した遷移部を有するいわゆる「テーパードブロック構造」を持つもののいずれでもよい。 具体例としては、電気化学工業社製のデンカSTR−TR、デンカ−クリアレン、JSR社製JSR−TR、旭化成社製タフプレン、ソルプレン、アサフレックス、タフテック、フィルップス社製ソルプレン、Kレジン、シェル化学社製カリフレックスTR、クレイトンG、クラレ社製セプトン等があげられる。
【0021】
また、前記のようにこれらのブロック共重合体を水素添加したスチレン−エチレンブチレン−スチレン(SEBS)、スチレン−エチレンプロピレン−スチレン(SEPS)などの飽和型スチレン系ブロック共重合体が使用できる。
【0022】
本発明の表層(2)に用いる樹脂は、医療用に使用でき、前記のように基材層(1)と適切な剥離強度を有するものであれば良く、そのような樹脂としてポリオレフィン系樹脂が使用できる。更に、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂又はエチレン酢酸ビニル共重合体等が使用できるが、基材との密着性からポリプロピレン系樹脂又は高圧法低密度ポリエチレンが好ましい。ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンを単独重合することによって得られるプロピレン単独重合体、または20%以下のコモノマー、例えばエチレン、アクリル酸エステル、マレイン酸等の不飽和有機酸およびその無水物、炭素数は4〜12個のα−オレフィン等の単量体単位をプロピレンと共重合して得られる共重合体が挙げられる。該重合体はランダム共重合体でもブロック共重合体でもグラフト共重合体でも良い。また、これらを単独で使用しても2種以上を使用しても良い。
【0023】
本発明で用いる多層シートの各層には、必要に応じて、公知の添加剤、たとえば、着色剤、熱安定剤、酸化防止剤などの安定剤、滑剤、界面活性剤、高分子タイプなどの帯電防止剤、充填剤、可塑剤などを配合することができる。
【0024】
又、この多層シートの基材層(1)の厚みは、容器を熱成形することが可能で、形状維持できる厚さが必要であるが、厚すぎると成形性や経済性の面で好ましくなく、150〜1500μmの範囲が好ましい。特に好ましくは、200〜1000μmの範囲である。また、表層(2)の厚みは、薄すぎると破断し、厚すぎても剥離調整が困難となり、経済的にも好ましくなく、10〜100μmの範囲が好ましい。更に好ましくは、20〜80μmの範囲である。
【0025】
本発明で用いる基材層(1)及び表層(2)からなる多層シートの製造には、共押出、押出ラミネート又はドライラミネートなどの各種の積層化手法が使用可能である。共押出法としては、通常の複数台の押出機で、フィードブロック法またはマルチマニホールド法などの既知の多層積層法を採用し、Tダイ法による共押出製膜で製造することが一般であり、界面の無菌状態の確保と製造コスト面から好ましい。
【0026】
前記多層シートは、ストレート法、ドレープ法又はプラグアシスト法などの通常真空成形や圧空成形、熱盤成形などの熱成形で成形することで、種々の形状の本発明の容器を得ることができる。得られた容器は、その成形品を製品抜きする際に、対応する形状を有する抜き刃を用いる事で、容器のコーナー部に前記の折り込み線(4)を有する剥離きっかけ部(3)を設ける。
【0027】
本発明のトレイ、ボウル及びバット等の容器の使用方法は、使用直前に基材層(1)から表層(2)を剥離して、無菌状態にある基材層(1)の表面を有する容器として、その表面に必要に応じて、各種の医療用器具を仮置きしたり、手術などの場合は摘出した患部等を収納するのに用いる。又、これらの容器を予め滅菌する方法は、特に限定されるものではないが、通常各種の医療器具等と一緒にプラスチック製の医療用キットパックとして滅菌処理される。
【0028】
【実施例】
以下本発明の実施例を比較例と対比して説明する。
(実施例1) 基材層として、ポリスチレン(東洋スチレン社製、GPPS、商品名;トーヨースチロールHRM23)50%、スチレン−ブタジエングラフト共重合体(東洋スチレン社製、HIPS、商品名;トーヨースチロールE640N)46%、及びスチレン−ブタジエンブロック共重合体(JSR社製、商品名;TR2000、スチレン40%、ブタジエン60%)4%を予めブレンドし、単軸押出機(シリンダ径65mm、L/D=32)にて、押出温度170〜210℃で溶融混練押出し、一方、表層としてポリプロピレン(サンアロマー社製、ランダムコポリマー、商品名;PF621S)単独で、単軸押出機(シリンダ径40mm、L/D=24)にて、押出温度210〜220℃で溶融押出し、フィードブロック法にて積層し、幅800mmのTダイにて基材層220μm、表層30μmの厚さの多層シートを作製した。得られた多層シートを真空成形機(浅野研究社製)により、縦17cm、横12cm、高さ0.8cmの図3に示す形状の容器に表層が内側になるように成形し、表1に示した寸法で製品抜きを行った。尚、剥離きっかけ部の根本付近の折り込み線の全長は12mmとなるようにした。
【0029】
(実施例2〜6) 折り込み線の形状を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に多層シートの作製及び容器成形及び特性評価を行った。
【0030】
(比較例1〜3) 折り込み線の形状を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に多層シートの作製及び容器成形及び特性評価を行った。
【0031】
(特性評価) 各実施例及び比較例で得られた多層シート及び該成形容器の特性を、以下の方法で評価した。評価結果を表1に纏めて示す。
(1)折れ性
各実施例及び比較例の容器を用いて、剥離きっかけ部をつまんで剥離試験を行い、その際の折り込み線の折れ性を、以下の基準で評価した。(サンプル数:10)
◎ : スムーズに剥離きっかけ部が折れる。
○ : やや剥離きっかけ部が引っかかる場合がある。
△ : やや剥離きっかけ部が折れやすい。
× : 剥離きっかけ部が折れないか、又は簡単に折れてしまう。
(2)易剥離性
前記の各実施例及び比較例の容器を用いた剥離試験で、容器の表層と基材層の剥離性を、以下の基準で評価した。(サンプル数:10)
○ : スムーズに剥離が可能。
△ : やや剥離が重いが手で剥離可能。
× : 剥離時に表層の破れが生じるかもしくは剥離できない。
(3)剥離強度
実施例及び比較例で用いた多層シート及び成形容器の底面(平面部)の、基材層と表層間の180度剥離強度(25mm幅)を、JIS−K6854−2に準じて引張速度300mm/分で測定した。得られた剥離強度はいずれも、シートでは0.12〜0.15N/25mm、容器では0.20〜0.30N/25mmの範囲のものであった。
【0032】
剥離強度を除いた前記の評価結果を表1に示した。実施例の容器は、比較例のものと比較して折り込み線部の折れ性、及び表層と基材層の剥離性のいずれにおいても良好で、実用性の高いものであった。
【0033】
【表1】
Figure 0004056358
【0034】
【発明の効果】
本発明により得られた医療用易剥離性多層シートおよび成形品は、必要な時に容易に表層を剥離することができ、そのことによって容易に容器内面に無菌表面を発生させることができ、医療現場で使用されるトレイ、ボウル、バット等のプラスチック製器具又は、生化学関連のシャーレ等の器具などに有用であり、 使用時点まで再度汚染される危険がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の容器の一例の剥離きっかけ部の拡大図である。
【図2】 本発明に用いる多層シートの一例の断面図である。
【図3】 本発明の容器の一例の斜視図である。
【図4】 本発明の容器の一例の平面図である。
【符号の説明】
1 基材層
2 表層
3 剥離きっかけ部
4 折り込み線
5 切断部
6 未切断部

Claims (1)

  1. 基材層が下記の(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有し、表層がポリオレフィン系樹脂からなり、基材層が150〜1500μmで、表層が10〜100μmの厚さの易剥離性共押出多層シートを熱成形してなり、基材層と表層間の180度剥離強度が0.15〜3.0N/25mmである易剥離性多層容器において、
    剥離きっかけ部が、容器のコーナー部に容器外縁からはみ出して設けられ、はみだした根元付近に、剥離きっかけ部を容易に折るための両端が切断された折り込み線を有し、
    未切断部の長さが1.2〜2.2mmであり、且つ未切断部が、折り込み線の全長の20〜30%であることを特徴とする易剥離性多層容器。
    (a): ポリスチレン 0〜80%
    (b): スチレン−ブタジエングラフト共重合体 20〜98%
    (c): スチレン系ブロック共重合体 2〜7%
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