JP4053736B2 - イオン発生装置、イオン照射装置およびイオン発生方法 - Google Patents

イオン発生装置、イオン照射装置およびイオン発生方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体技術におけるイオン発生装置、イオン照射装置およびイオン発生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ULSIの集積化が進み、素子寸法が縮小化されるに伴い、浅いpn接合の形成はその重要性を増してきている。浅いpn接合は、従来より、ドーピング技術の一つであるイオン注入と、熱処理(アニール)との組み合わせにより行われている。
【0003】
しかし、p型ドーパントとしてB(ボロン)を用いる浅いpn接合の形成は、困難な点が多い。その理由としては、軽元素であるBはイオン注入時のチャネリングテイルが顕著であることと、Si中でBの拡散係数が大きいことがあげられる。これらはpチャネル型MOSトランジスタの短チャネル効果の原因となる。
【0004】
このようなBのイオン注入の問題は、素子の微細化が進むほど、より一層顕在する。そのため、浅いpn接合の形成を目指して、イオン注入時のチャネリング抑制・拡散抑制のための様々な工夫がなされている。
【0005】
その一つとして、p型ドーパントとしてBF2 を用いることがあげられる。その理由は、BF2 のような分子のイオン注入では、同じ加速電圧の場合、単体Bよりも浅く注入できるからである。例えば、単体Bを加速電圧200eVでイオン注入したときと同じ飛程距離を、BF2 では約900eVの加速電圧で得られる。
【0006】
しかし、BF2 のイオン注入には以下のような問題がある。すなわち、BよりもF(フッ素)の濃度の方が高くなるために、熱処理後におけるF起因のBの外方拡散や、注入欠陥にFがトラップされることによるFの不動化が発生し、その結果としてBの活性化率が低下し、p型拡散層の抵抗(シート抵抗、コンタクト抵抗)が増加するという問題が生じる。
【0007】
他の方法としては、イオン注入によるBの導入前に、Si基板を予めアモルファス化しておくというプリアモルファス化法がある。Si基板のアモルファス化は、例えばSi,Geといった基板元素(Si)と同族の元素のイオン注入により行うことができる。
【0008】
Si基板のアモルファス化は、As、P、Sb等のn型ドーパントのイオン注入により行うこともできるが、この場合、p型拡散層のキャリア濃度の低下を招くという問題がある。
【0009】
また、In,Ga等の重元素をp型ドーパントとして用いることも考えられるが、この種の重元素を高濃度にイオン注入する場合には、増速拡散が顕在化するため、低温プロセスでなくては使用が困難であるという問題がある。
【0010】
以上の理由から、Si基板のアモルファス化は、一般には、Si,Geといった基板元素と同族元素のイオン注入により行う。図12に、Geイオン注入、BF2 イオンのプリアモルファス化法にて得られた、p型拡散層の抵抗(シート抵抗、コンタクト抵抗)のGeイオンの加速電圧依存性を示す。また、図13に、同プリアモルファス化法にて得られたp型拡散層層の不純物の濃度分布およびBF2 の単独のイオン注入方法にて得られたp型拡散層の不純物の濃度分布のそれぞれを示す。
【0011】
しかし、基板元素と同族元素のイオン注入を行うプリアモルファス化法には、以下のような問題がある。すなわち、本発明者等の研究によれば、図14に示すように、上記プリアモルファス化法は、B単独のイオン注入よりもp型拡散層の抵抗が高くなるという問題があることが分かった。これは、中性イオン(Siイオン、Geイオンの)の存在により、電気的に活性なドーパント(B)の濃度が低下するからである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、浅いpn接合を形成する方法として、BF2 の単独のイオン注入による方法、またはプリアモルファス化法を用いた2回のイオン注入による方法が知られていたが、いずれの場合もp型拡散層の抵抗が高くなるという問題があった。
【0013】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、p型拡散層の抵抗が低く、かつ接合深さの浅いpn接合を形成するために有効なイオンを発生することができるイオン発生装置、イオン照射装置およびイオン発生方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0015】
本発明に係るイオン発生装置は、複数の元素で構成された物質を含む材料板を内部に保持できる容器と、前記材料板に対して物理的エッチングおよび化学的エッチングの作用を有するガスを前記容器の内部に導入するガス導入手段と、前記複数の元素で構成された物質をイオン化するイオン化手段と、前記容器内のイオンを前記容器外に導出するイオン導出手段とを備え、前記複数の元素で構成された物質は、p型ドーパントしての3族元素と4族元素との化合物であることを特徴とする
【0016】
本発明に係るイオン照射装置は、上記本発明に係るイオン発生装置と、このイオン発生装置で発生した複数の元素で構成された物質のイオンを試料に照射する照射手段とを備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るイオン発生方法は、複数の元素で構成された物質を含む材料板に対して、物理的エッチングおよび化学的エッチングの作用を有するガスを生成する工程と、前記材料板に前記ガスによって物理的および化学的にエッチングし、前記材料板から前記複数の元素で構成された物質を発生させる工程と、前記複数の元素で構成された物質をイオン化する工程とを有することを特徴とする。
【0018】
上記本発明の装置・方法において、例えば複数の元素で構成された物質を含む材料板として、GeBまたはGeB2 等の3族元素と4族元素との化合物(3族4族化合物)を使用すれば、3族4族化合物が物理的エッチングおよび化学的エッチングされることにより、イオン注入またはイオン照射において必要される量の3族4族化合物のイオンを容易に発生することができる。
【0019】
ここで、Ge等の4族元素はSi基板と同族の元素である。そのため、Si基板に3族4族化合物をイオン注入した後の熱処理(アニール)により、Ge等の4族元素はSiと容易に結合する。特にGeはSiに対して完全固溶体であるので望ましい。そのため、熱処理後におけるGe等の4族元素起因のB等の3族元素の外方拡散や、注入欠陥にGe等の4族元素がトラップされることによる4族元素の不動化の発生を防止できる。
【0020】
このようにB等の3族元素の外方拡散や、Ge等の4族元素の不動化を防止できれば、B等の3族元素の活性化率が低下し、p型拡散層の抵抗が増加するという問題は起こらない。また、3族4族化合物は、3族元素の単体のイオン注入よりも飛程距離を短くできる。したがって、p型拡散層の抵抗が低く、かつ結合深さの浅いpn接合を形成することが可能となる。
【0023】
本発明の上記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記載および添付図面によって明らかになるであろう。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明のイオン注入装置の理解を容易にするために、最初に従来のイオン注入装置について簡単に説明する。イオン注入装置の心臓部となるイオン源アークチャンバーには、熱電極を用いたフリーマン型、バーナス型およびマグネトロンを用いたマイクロ波型などがある。
【0025】
図4は、従来のバーナス型のイオン源アークチャンバーの断面構造を示したものであり、同図(a)はチャンバーの上面に平行な断面を、同図(b)はチャンバーの側面に平行な断面をそれぞれ示したものである。
【0026】
アークチャンバー51の一方の端面には絶縁支持部52およびリフレクター(スペーサー)53を介してフィラメント54が設けてあり、アークチャンバー51の他方の端面には絶縁支持部52を介して対向電極55が設けてある。
【0027】
ガス導入口56から例えばBF3 ガスを供給するとともに、フィラメント554から熱電子を放出させ、対向電極55によって熱電子の運動方向を反対方向に偏向することにより、アークチャンバー21内に導入されたBF3 ガスとの衝突確率を高めてイオン化を行う。そして、フロントプレート57に設けたイオン引き出し口58からイオンが取り出される。
【0028】
図5は、従来のフリーマン型のイオン源アークチャンバーの断面構造を示したものであり、同図(a)はチャンバーの上面に平行な断面を、同図(b)はチャンバーの側面に平行な断面をそれぞれ示したものである。
【0029】
アークチャンバー61の対向する面にそれぞれ絶縁支持部62を介してリフレクター63が設けてあり、この対向するリフレクター63間に棒状のフィラメント64が設けてある。
【0030】
フィラメント64から熱電子を放出させてプラズマを生じさせるとともに、電磁石65によるフィラメント64に平行な磁界と、フィラメント電流による回転磁界を発生させ、リフレクター63の作用によってアークチャンバー61内で熱電子を複雑に運動させることにより、フィラメント64から放出される熱電子とガス導入口66から供給されるガスとの衝突確率を高めている。そして、フロントプレート67に設けたイオン引き出し口68からイオンが取り出される。
【0031】
図6は、従来のマイクロ波型のイオン源アークチャンバーの断面構造を示したものである。これは、マグネトロン71で発生したマイクロ波を導波管72を通して放電箱73に導き、放電箱43内でプラズマを発生させ、引き出し電極74を通してイオンを取り出すというものである。
【0032】
従来のイオン注入装置では、一般的には、ガスまたは固体を昇華させてその蒸気を上述した各種イオン源アークチャンバー内に導入し、イオン化放電を行っている。
【0033】
しかし、従来のイオン注入装置では、例えばB(ボロン)とGe(ゲルマニウム)を同時にイオン化させるためには、例えばBF3 およびGeF4 といった二種類のガスを同時に放電させる必要がある。この場合、BとGeはそれぞれ独立した形でイオン化が行われるために、BとGeを同時にイオン注入することは不可能である。
【0034】
(第1の実施形態)
図1は、イオン注入装置の全体構成を示す模式図である。なお、本発明は、後述するようにイオン発生装置であるイオン源アークチャンバー1にその大きな特徴があり、図1に示したその他の構成は従来のイオン注入装置の構成と同様である。
【0035】
図1に示したイオン注入装置では、まずイオン源アークチャンバー1でイオンが生成され(その詳細については後述する。)、このイオンが引き出し電極2によって引き出され、分離電磁石3によって質量分離される。
【0036】
続いて、スリット4で完全に分離された3族元素および4族元素を含む分子(3族4族分子)のイオンは、加速器5によって加減速または無負荷により、所定の最終エネルギーを持つように制御される。そして、3族4族分子のイオンビームが四極レンズ6によって試料12(例えばn型Si基板)の表面に収束点を持つように収束される。
【0037】
続いて、走査電極7,8により試料面全体で注入量が一様に分布されるようにイオンビームが走査される。そして、残留ガスとの衝突などで生じる中性粒子を除去するために、偏向電極9によりイオンビームを曲げ、マスク10を通して試料表面にイオンビームが照射される。なお、図中、11はアースを示している。
【0038】
以下、図1に示したイオン源アークチャンバー1(イオン発生装置)およびその使用方法等の詳細について、図2および図3を参照して説明する。
【0039】
図2は、本実施形態のバーナス型のイオン源アークチャンバーの断面構造を示したものであり、同図(a)はチャンバーの上面に平行な断面を、同図(b)はチャンバーの側面に平行な断面を、同図(c)は、チャンバーの縦方向の側面に平行な断面をそれぞれ示したものである。
【0040】
基本的な構成は、図4に示した従来のバーナス型のイオン源アークチャンバーの構成と同様である。すなわち、タングステンまたはグラファイトから構成されたアークチャンバー21の一方の端面には絶縁支持部22およびリフレクター(スペーサー)23を介してタングステンからなるフィラメント24が設けてあり、アークチャンバー21の他方の端面には絶縁支持部22を介して対向電極25が設けてある。そして、ガス導入口26からは、オーブンで加熱されて蒸気となったI(沃素)が供給され、フロントプレート27に設けたイオン引き出し口28からイオンが取り出される。
【0041】
本実施形態におけるイオン発生装置では、アークチャンバー21の内壁に沿ってスリット29を設け、このスリット29に3族4族分子を取り出すための材料板30を着脱自在に保持している。
【0042】
そして、材料板30にIのガスを供給し、材料板30をIにより物理的にエッチングし(具体的にはスパッタエッチングし)かつ化学的にエッチングし、材料板30から3族元素および4族元素を含む物質を発生させ、この物質をフィラメント24から放出した熱電によりイオン化する。
【0043】
材料板30は、アークチャンバー内壁上の少なくとも一部に設置されていれば良いが、より好ましくはフィラメント24および対向電極25が取り付けられている一対の対向面、および引き出し口28が設けられたフロントプレート27以外の3面に設置する。
【0044】
また、材料板30の構成材料には、GeBもしくはGeB2 等の3族元素と4族元素からなる化合物、またはGeBもしくはGeB2 を含む有機物等の3族元素および4族元素を含む化合物が用いられる。また、ガス導入口26から導入されるガスは、F(フッ素)、Cl(塩素)、Br(臭素)もしくは1(沃素)等のハロゲン単体のガス、またはハロゲンを含んだガスが用いられる。これらのガスは最初からガス状態もの、ハロゲン単体もしくはハロゲンを含む物質の液体、またはハロゲン単体もしくはハロゲンを含む物質の固体を蒸気させたものが用いられる。
【0045】
以下、材料板30の構成材料にGeB2 を用い、これをアークチャンバー21の内壁面のうち、一対の側壁面および底面の3面に設置した場合について説明する。
【0046】
この場合、ガス導入口26からIをアークチャンバー21内に導入するとともに、フィラメント24から熱電子を放出させると、Iによるスパッタリング効果およびエッチング反応により、材料板30(GeB2 )からGeおよびBの単体と、GeBおよびGeB2 の分子とが導出され、これらは放電によりイオン化される。
【0047】
発生したイオンは、引き出し口28を通して引き出されるが、このうち質量分離磁石によりGeB2 イオンのみを取り出し、試料(Si)へのイオン注入を行った。この場合、加速電圧10keVで約2mAのビーム電流が安定して得られた。
【0048】
また、ガス導入口26から導入するガスとして、沃素と質量数が近い、すなわちスパッタリングイールドがほぼ等しく、かつハロゲンでは無い希ガスであるXe(キセノン)を使用してイオン化を行った。
【0049】
その結果、Ge、Bの単独イオンで数百μA、GeB、GeB2 の3族4族分子イオンで数十μA程度しか得られなかった。これは、材料板30から十分な量の3族4族分子を導出するためには、スパッタリング効果のみならず、ハロゲンによるエッチング反応が必要であることを示してる。
【0050】
一方、図4に示した従来のイオン源アークチャンバーに、ガス導入口56からBF3 、GeF4 ガスをそれぞれ1sccmの流量で導入してイオン化を行った場合には、Ge、Bの単独イオン、およびGeF、GeF2 、BF、BF2 といった分子イオンは得られるものの、GeB、GeB2 といった3族4族分子のイオンの存在は確認できなかった。このようにBF3 、GeF4 ガスを用いてイオン化を行う限り、GeB、GeB2 等のイオンの生成は極めて困難である。
【0051】
これに対して本実施形態のように、材料板30をアークチャンバー内壁面に設置し、ハロゲンガスのスパッタリング効果およびエッチング反応を利用すれば、イオン注入に必要な十分な量の3族元素と4族元素からなる分子イオンを容易に生成することが可能となる。
【0052】
また、GeB、GeB2 等の分子のイオンをn型Si基板等の試料に注入することにより、同じ加速電圧でも、より浅い領域にB等のイオンを導入することが可能になる。
【0053】
例えば、単体Bで1keV相当の注入を行うためには、GeBでは約7.7keV、GeB2 では約8.7keVと、比較的高い加速電圧でイオン注入することができる。
【0054】
また、GeB、GeB2 といった分子を用いた場合、軽元素であるBと同時に重元素であるGeのイオン注入が可能となり、単独のイオン注入でアモルファス層を形成できる。
【0055】
また、イオン種としてGeB2 イオンを使用することにより、Bの単独のイオンを使用する場合に比べて、イオンの輸送量を1/2にでき、注入時間を短くできる。その結果、イオン注入工程のスループットを高めることができる。
【0056】
また、Geで予め基板をアモルファス化した後にBを注入するプリアモルファス化法では、2工程必要であるが、GeB、GeB2 では1回のイオン注入でアモルファス層を形成できるために、1工程に短縮することが可能となる。これもスループットの向上に繋がる。
【0057】
次にフリーマン型イオン源を用いた場合について説明する。基本的な構成は、図5に示した従来型のフリーマン型イオン源アークチャンバーの構成と同様である。すなわち、図3に示すように、アークチャンバー41の対向する面にそれぞれ絶縁支持部42を介してリフレクター43が設けてあり、この対向するリフレクター43間に棒状のフィラメント44が設けてある。そして、ガス導入口45からはBF3 ガスが導入され、フロントスリット46に設けられたイオン引き出し口47からイオンが取り出される。
【0058】
本実施形態におけるイオン発生装置では、図2に示した例と同様、アークチャンバー41の内壁に沿ってスリット48を設け、このスリット48に3族元素と4族元素からなる物質を含む材料板49を着脱自在に保持している。そして、フィラメント44から熱電子を放出させてプラズマを発生させ、ガス導入口45からBF3 ガスを導入し、イオン引き出し口47からイオンを取り出すようにしている。このとき、電磁石50により熱電子とBF3 ガスとの衝突確率を高める。
【0059】
材料板49は、アークチャンバー41の内壁面上の少なくとも一部に設置されていればよいが、より好ましくは一対のリフレクター43が取り付けられている一対の対向面、およびイオン引き出し口47が設けられたフロントスリット46以外の3つの内壁面の少なくとも一つ以上の面上に設置する。
【0060】
また、材料板49の構成材料は、3族元素と4族元素とからなる化合物、または3族元素と4族元素を含んだ化合物が用いられる。
【0061】
以下、材料板49の構成材料にGeB2 を用い、これをモリブデンからなるアークチャンバー41の内壁の一対の側面および底面の3面に設置した場合について説明する。
【0062】
この場合、ガス導入口45からBF3 ガスをアークチャンバー41内に導入するとともに、フィラメント44から熱電子を放出させると、BF3 ガスによるスパッタリング効果およびFガスによるエッチング反応により、材料板49(GeB2 )からGeおよびBの単体、ならびにGeBおよびGeB2 の分子が導出され、これらは放電によりイオン化される。発生したイオンのうち分離電磁石によりBイオンのみを取り出し、加速電圧1keVで試料(Si)へのイオン注入を行った。
【0063】
図5に示した従来のイオン発生装置では、加速電圧1keVにおける単体Bのビーム電流は約200μAであった。
【0064】
これに対して図3に示した本実施形態のイオン発生装置を用いれば、加速電圧1keVにおける単体Bのビーム電流量は約600μAと、従来のビーム電流の3倍近い電流量が得られた。
【0065】
このようにアークチャンバー41の内壁に材料板49を設置することにより、低加速イオン注入に対するイオンビーム電流量を多くすることができ、注入時間(照射時間)を短くできる。その結果、イオン注入工程のスループットを高めることができる。
【0066】
以上説明した本発明のイオン注入装置は、例えばMOSトランジスタのソース・ドレイン拡散層を形成するのに有効である。この場合、Si基板の表面にゲート電極、またはゲート電極およびゲート側壁絶縁膜をマスクにしてBを含んだイオンを本発明のイオン注入装置を用いて導入することにより、低抵抗かつ浅いp型ソース・ドレイン拡散層を形成することができる。特に、Bを含んだイオンとしてGeB2 のような分子のイオンを導入することにより、イオン輸送量(ドーズ)も、単体Bイオン注入時のドーズ量(イオン個数)の半分にすることが可能となり、実効的な注入時間を極めて容易に短縮することが可能となる。
【0067】
以上説明した実施形態では、材料板としてGeB2 を用いて説明したが、その他の3族と4族からなる化合物を用いても良い。
【0068】
また、以上説明した実施形態では、導入するガスとしてI、BF3 を用いて説明したが、その他のハロゲン単体のガス、かつ単体のガスまたは蒸気である必要はなく、ハロゲンを含んだガスまたは蒸気を用いることができる。また、フィラメントやアークチャンバーには、タングステン、モリブデン、グラファイト以外の材料を用いることも可能である。
【0069】
さらに、以上説明した実施形態では、フリーマン型およびバーナス型のイオン源アークチャンバーを用いる方式に本発明を適用する場合について説明したが、その他の方式にも本発明は適用することができる。
【0070】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係るpn接合の形成方法を示す工程断面図である。
【0071】
まず、図7(a)に示すように、n型シリコン基板81の表面に対してGa(p型ドーパント)のイオン注入を行う。図中、82は基板表面のGaが注入されたアモルファス状態の領域(第1の領域)を示している。ここでのイオン注入条件は、加速電圧:1.5KeV、注入ドーズ量:5×1014cm-2である。
【0072】
次に図7(b)に示すように、n型シリコン基板81の表面に対してBF2 のイオン注入を行う。このときのイオン注入は、同図(b)および図8に示すように、BF2 が注入されたアモルファス状態の第2の領域83内に第1の領域82が含まれ、かつGaの不純物濃度がBF2 の不純物濃度よりも低くなるようにする。これらの要件を満たすために、ここでのイオン注入条件は、イオン種:BF2 、加速電圧:0.9KeV、注入ドーズ量:1×1015cm-2である。なお、BF2 の代わりにBのイオン注入を行っても良い。
【0073】
最後に、図7(c)に示すように、10秒のRTP(Rapid Thermal Process)により、GaおよびBF2 の不純物の活性化を行い、n型シリコン基板81の表面にp型拡散層84を形成し、浅いpn接合が完成する。
【0074】
図9は、p型拡散層84(Ga PAI(Pre-Amorphous Implantation))のシート抵抗の熱処理温度依存性を示す図である。図には、比較例として、第1の領域をGeのイオン注入で形成した場合(Ge PAI)および第2の領域を形成せずに単独のBF2 のイオン注入で形成した場合(No PAI)のそれぞれのp型拡散層のシート抵抗の熱処理温度依存性も示してある。図から、p型拡散層84のシート抵抗はどの熱処理温度でも比較例のそれらよりも低いことが分かる。
【0075】
また、図10は、p型拡散層84のホール移動度の熱処理温度依存性を示す図である。図には、図9の2つの比較例と同様のイオン注入により形成したp型拡散層(Ge PAI、No PAI)のホール移動度の熱処理温度依存性も示してある。図から、Ga PAI(本発明)は、Ge PAIまたはNo PAIの比較例よりも温度依存性が小さく、より低い温度(本実施形態の場合は900℃)でも結晶性の回復が行われていることが分かる。
【0076】
また、図11は、p型拡散層84中の不純物の活性化濃度の熱処理温度依存性を示す図である。図には、図9の2つの比較例と同様のイオン注入により形成したp型拡散層(Ge PAI、No PAI)中の不純物の活性化濃度の熱処理温度依存性も示してある。図から、本発明のp型拡散層84(Ga PAI)は、Ge PAIまたはNo PAIの比較例よりも活性化濃度が高いことが分かる。
【0077】
これらの結果が得られた理由としては次のようなことが考えられる。まず、本発明の場合、第1の領域82が第2の領域83内に含まれるように、GaおよびBF2 のイオン注入を行っているので、従来よりもGa−B結合が多く存在するようになり、その結果としてBの電気的活性化が促進されるとともに、Bの外方拡散を抑制されるからである。また、Si−B結合よりもGa−B結合の方が速やかに行われるために、より低い低温でもp型拡散層の結晶性が改善されるからである。
【0078】
上記結果から、本発明によれば、第1の領域82を形成するためにp型ドーパントであるBF2 を用いても、第1の領域82の深さをBF2 のイオン注入により形成する第2の領域83の深さよりも浅くすることで、p型拡散層84の抵抗が低く、かつ接合深さの浅いpn接合を形成できるようになる。
【0079】
なお、本実施形態では、n型シリコン基板81の表面にpn接合を形成する場合について説明したが、本発明はn型ウェルの表面にpn接合を形成する場合にも適用できる。
【0080】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、アークチャンバー内で発生した複数のイオン種のうち所定のイオン種を選択的に試料に注入するイオン注入装置・注入法を中心にして説明したが、本発明は上記複数のイオン種をまとめて試料に注入するイオン照射装置・照射法にも適用できる。イオン照射装置の基本構成は図1のイオン注入装置から分離電磁石3を省いたものとなる。
【0081】
また、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決できる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施できる。
【0082】
【発明の効果】
以上詳説したように本発明によれば、p型拡散層の抵抗が低く、かつ接合深さの浅いpn接合を形成するために有効なイオン発生装置、イオン照射装置およびイオン発生方法を実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】イオン注入装置の全体構成を示す模式図
【図2】第1の実施形態のバーナス型イオン源アークチャンバーの断面構造を示す図
【図3】第1の実施形態のフリーマン型イオン源アークチャンバーの断面構造を示す図
【図4】従来のバーナス型のイオン源アークチャンバーの断面構造を示す図
【図5】従来のフリーマン型のイオン源アークチャンバーの断面構造を示す図
【図6】従来のマイクロ波型のイオン源アークチャンバーの断面構造を示す図
【図7】本発明の第2の実施形態に係るpn接合の形成方法を示す工程断面図
【図8】GaおよびBF2 の基板表面における濃度分布を示す図
【図9】本発明(Ga PAI)および比較例(Ge PAI、No PAI)のp型拡散層のシート抵抗の熱処理温度依存性を示す図
【図10】本発明(Ga PAI)および比較例(Ge PAI、No PAI)のp型拡散層のホール移動度の熱処理温度依存性を示す図
【図11】本発明(Ga PAI)および比較例(Ge PAI、No PAI)のp型拡散層の中の不純物の活性化濃度の熱処理温度依存性を示す図
【図12】従来のプリアモルファス化法により得られたp型拡散層のシート抵抗およびコンタクト抵抗のGeイオンの加速電圧依存性を示す図
【図13】従来のプリアモルファス化法およびBF2 の単独のイオン注入方法にて得られたp型拡散層のそれぞれの不純物の濃度分布を示す図
【図14】従来のプリアモルファス化法の問題点を説明するための図
【符号の説明】
1…イオン源アークチャンバー
2…引き出し電極
3…分離電磁石
4…スリット
5…加速器
6…四極レンズ
7,8…走査電極
9…偏向電極
10…マスク
11…アース
21…アークチャンバー
22…絶縁支持部
23…リフレクター(スペーサー)
24…フィラメント
25…対向電極
26…ガス導入口
27…フロントプレート
28…イオン引き出し口
29…スリット
30…材料板
41…アークチャンバー
42…絶縁支持部
43…リフレクター
44…フィラメント
45…ガス導入口
46…フロントスリット
47…イオン引き出し口
48…スリット
49…材料板
50…電磁石
51…アークチャンバー
52…絶縁支持部
53…リフレクター
54…フィラメント
55…対向電極
56…ガス導入口
57…フロントプレート
58…イオン引き出し口
61…アークチャンバー
62…絶縁支持部
63…リフレクター
64…フィラメント
65…電磁石
66…ガス導入口
67…フロントプレート
68…イオン引き出し口
71…マグネトロン
72…導波管
73…放電箱
74…引き出し電極
81…n型シリコン基板
82…Gaがイオン注入された領域(第1の領域)
83…BF2 がイオン注入された領域(第2の領域)
84…p型拡散層

Claims (8)

  1. 複数の元素で構成された物質を含む材料板を内部に保持できる容器と、
    前記材料板に対して物理的エッチングおよび化学的エッチングの作用を有するガスを前記容器の内部に導入するガス導入手段と、
    前記複数の元素で構成された物質をイオン化するイオン化手段と、
    前記容器内のイオンを前記容器外に導出するイオン導出手段と
    を具備し、前記複数の元素で構成された物質は、p型ドーパントしての3族元素と4族元素との化合物であることを特徴とするイオン発生装置。
  2. 前記物理的エッチングおよび化学的エッチングの作用を有するガスは、ハロゲンを含むことを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
  3. 前記材料板は、前記容器の内壁上の少なくとも一部に保持されていることを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
  4. 前記イオン化手段は、前記容器内にプラズマを発生するプラズマ発生手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
  5. 前記イオン化手段は、前記容器内にプラズマを発生するプラズマ手段として、熱電子を放出するフィラメントを含むことを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
  6. 請求項2に記載された物理的エッチングおよび化学的エッチングの作用を有するガス、請求項3に記載された材料板、請求項4または請求項5に記載されたイオン化手段のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のイオン発生装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のイオン発生装置と、
    このイオン発生装置で発生した複数の元素で構成された物質のイオンを試料に照射する照射手段と
    を具備してなることを特徴とするイオン照射装置。
  8. 複数の元素で構成された物質を含む材料板に対して、物理的エッチングおよび化学的エッチングの作用を有するガスを生成する工程と、
    前記材料板を前記ガスによって物理的および化学的にエッチングし、前記材料板から前記複数の元素で構成された物質を発生させる工程と、
    前記複数の元素で構成された物質をイオン化する工程と
    を有し、前記複数の元素で構成された物質は、p型ドーパントしての3族元素と4族元素との化合物であることを特徴とするイオン発生方法。
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