JP4052613B2 - 土壌式空気浄化装置用コンクリートブロックおよびこのコンクリートブロックを用いて土壌式空気浄化装置を施工する方法ならびに汚染空気を浄化する方法 - Google Patents

土壌式空気浄化装置用コンクリートブロックおよびこのコンクリートブロックを用いて土壌式空気浄化装置を施工する方法ならびに汚染空気を浄化する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は土壌式空気浄化装置を短期間で施工する上で有利な土壌式空気浄化装置用コンクリートブロックと、このコンクリートブロックを用いて中央分離帯に土壌式空気浄化装置を短期間で施工する方法と、このコンクリートブロックを用いて高架道路の下方で汚染空気を浄化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
汚染空気を土壌層中に通過させて浄化する土壌式空気浄化装置を施工する場合、土壌を支持する土壌収容部や、汚染空気を吸い込む吸引路、吸い込んだ汚染空気を土壌層の底部に送給する送給路などを設ける必要が有る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、土壌式空気浄化装置の構成如何によっては施工に長期間を要する不具合が生じてしまう。
そして、施工期間が長期にわたると人件費も嵩み、コストダウンを図る上でも不利となる。
特に、土壌式空気浄化装置を、道路の中央の中央分離帯に施工するような場合には、工事の関係上、中央分離帯の両側の一つまたは二つの車線を塞ぐ必要が生じ、施工が長引くと車の渋滞も長引くため、施工期間の大幅な短縮化が望まれている。
また、中央分離帯の一側の道路が渋滞しがちでて、中央分離帯の他側に住宅域があると汚染空気がその住宅域に拡散される不具合を生じる。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、土壌式空気浄化装置を短期間で施工できる土壌式空気浄化装置用コンクリートブロックと、このコンクリートブロックを用いて土壌式空気浄化装置を中央分離帯に短期間で施工する方法ならびに汚染空気が中央分離帯を横切ることを阻止できる汚染空気の浄化方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明は、汚染空気を土壌層中に通過させて浄化する土壌式空気浄化装置に用いられるプレキャストコンクリート製のコンクリートブロックであって、前記コンクリートブロックは、幅と長さを有する平面視矩形の底壁と、底壁から起立する一対の側壁と一対の仕切り壁とを有し、前記一対の側壁は、底壁の前記長さ方向に平行して延在する両側の辺からそれぞれ前記長さ方向の全長にわたって互いに等しい高さで起立して形成され、前記一対の仕切り壁は、各側壁の内側に離れた底壁箇所からそれぞれ側壁よりも低い高さで前記長さ方向の全長にわたって互いに等しい高さで起立して形成され、前記仕切り壁よりも低い各側壁箇所に前記長さ方向に間隔をおいて複数の汚染空気吸引口が貫設されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記仕切り壁の高さが、前記側壁と仕切り壁との高さの差よりも小さい寸法で形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記幅方向における側壁と仕切り壁との間の寸法が、一対の仕切り壁間の寸法よりも小さい寸法で形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記一対の側壁の上部内面から前記長さ方向の全長にわたって互いに等しい高さで中間壁が突出形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記コンクリートブロックが、前記幅方向の中央で2分された2つのコンクリート半体から構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、道路の中央の中央分離帯に汚染空気を土壌層中に通過させて浄化する土壌式空気浄化装置を施工するに際して、複数のコンクリートブロックと複数の支持部材を設け、前記コンクリートブロックはプレキャストコンクリート製で、幅と長さを有する平面視矩形の底壁と、底壁の前記長さ方向に平行して延在する両側の辺からそれぞれ前記長さ方向の全長にわたって互いに等しい高さで立ち上る一対の側壁と、前記各側壁の内側に離れた底壁箇所からそれぞれ前記長さ方向の全長にわたって前記側壁よりも低く互いに等しい高さで立ち上る仕切り壁と、前記仕切り壁よりも低い各側壁箇所に前記長さ方向に間隔をおいて貫設された複数の汚染空気吸引口とを有し、前記支持部材は、前記コンクリートブロックの両仕切り壁の上に載せられた状態で両側壁の間にわたる幅を有すると共に、両仕切り壁の間に臨む箇所に支持部材の厚さ方向に空気の流通を可能とした通気部を有し、前記複数のコンクリートブロックを、前記長さ方向の両端において底壁、側壁、仕切り壁の各端部を当接して並べてコンクリートブロック列を中央分離帯の延在方向に沿って延在形成し、前記各コンクリートブロックの両仕切り壁の上に支持部材を載せると共に前記支持部材上に土壌を載せて土壌層を形成し、前記底壁と支持部材と側壁と仕切り壁とで形成されるコンクリートブロック列の延在方向に延在する空間を汚染空気吸い込み路として用い、前記底壁と支持部材と両仕切り壁とで形成されるコンクリートブロック列の延在方向に延在する空間を汚染空気送給路として用いるようにしたことを特徴とする。
また、本発明は、前記コンクリートブロックが前記幅方向の中央で2分された2つのコンクリートブロック半体から構成され、これらコンクリートブロック半体は現場で合わされ前記コンクリートブロックに形成されることを特徴とする。
また、本発明は、高架道路の下方の中央分離帯で高架道路を支持する橋脚の間に、汚染空気を土壌層中に通過させて浄化する土壌式空気浄化装置を、中央分離帯に沿って延在形成し、前記土壌式空気浄化装置を、中央分離帯の両側の汚染空気を吸い込むと共に土壌層により浄化した清浄な空気を、上方と、土壌式空気浄化装置の延在方向の両端に吹き出させるように構成し、前記橋脚と前記吹き出された清浄な空気とにより高架道路の下方において中央分離帯の両側の車道上の空気が中央分離帯を横切ることを阻止するようにしたことを特徴とする。
【0005】
本発明の土壌式空気浄化装置用コンクリートブロックによれば、複数のコンクリートブロックを並べ、それらの内部に支持部材、土壌を順に載せていくといった簡単な作業により、土壌式空気浄化装置が施工される。
また、本発明の土壌式空気浄化装置用コンクリートブロックを用いて中央分離帯に土壌式空気浄化装置を施工する方法によれば、簡単な作業により短期間で土壌式空気浄化装置を施工することが可能となる。
さらに、本発明の土壌式空気浄化装置用コンクリートブロックを用いて高架道路の下方の中央分離帯に土壌式空気浄化装置を施工すると、高架道路の下方に沿って清浄な空気の流れによるエアーカーテンが形成され、汚染空気が中央分離帯を横切ることが阻止される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、土壌式空気浄化装置を、高架道路の下方における道路の中央の中央分離帯に施工する実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は高架道路の下方の中央分離帯に土壌式空気浄化装置が設置された状態の斜視図、図2(A)は土壌式空気浄化装置の概略平面図、(B)は同概略正面図、図3は土壌式空気浄化装置の概略正面図、図4(A)は支持板の平面図、(B)は同断面正面図を示す。
図1において符号12は高架道路、14は橋脚(脚柱)、16は中央分離帯、18は中央分離帯16の両側の車道を示しており、土壌式空気浄化装置22は高架道路12の下方で橋脚14の間の中央分離帯16に設けられている。
土壌式空気浄化装置22は汚染空気を土壌層中に通過させて浄化するものであり、橋脚14の間にわたり中央分離帯16の長手方向(言い換えると、高架道路12や車道18の延在方向)に沿って延在している。
【0007】
土壌式空気浄化装置22は、図2(A)、(B)に示すように、長手方向の中央に配置された機械室24と、その両側の空気浄化部26から構成されている。
空気浄化部26は、図3に断面正面図に示すように、汚染空気吸引路30、汚染空気送給路32、土壌層34などを備えており、これら汚染空気吸引路30、汚染空気送給路32、土壌層34は、コンクリートブロック36、支持板38などにより構成されている。
また、機械室24には、図2(A)、(B)に示すように、汚染空気吸引路30内の汚染空気を吸い込んで汚染空気送給路32に圧送するファン40などが配設されている。
【0008】
前記コンクリートブロック36はプレキャストコンクリート製で、幅W(図2A参照)と長さL(図2A参照)を有する平面視矩形の底壁3602と、底壁3602から起立する一対の側壁3604と一対の仕切り壁3606とを有している。
前記一対の側壁3604は、底壁3602の前記長さL方向に平行して延在する両側の辺からそれぞれ前記長さL方向の全長にわたって互いに等しい高さで起立して形成されている。
前記一対の仕切り壁3606は、各側壁3604の内側に離れた底壁3602箇所からそれぞれ側壁3604よりも低い高さで前記長さL方向の全長にわたって互いに等しい高さで起立して形成されている。
また、前記仕切り壁3606よりも低い各側壁3604箇所に前記長さL方向に間隔をおいて複数の汚染空気吸引口3608が貫設されている。
【0009】
前記仕切り壁3606の高さは、土壌層34の上下の厚さを確保できるように、前記側壁3604と仕切り壁3606との高さの差よりも小さい寸法で形成されている。
また、前記幅W方向における側壁3604と仕切り壁3606との間の寸法は、汚染空気送給路32の幅を確保して土壌層34の底部全域から汚染空気を供給できるように、一対の仕切り壁3606間の寸法よりも小さい寸法で形成されている。
【0010】
前記複数のコンクリートブロック36は、中央分離帯16の幅方向中央にその幅Wの中心を合わせ、前記長さL方向の両端において底壁3602、側壁3604、仕切り壁3606の各端部を当接して機械室24の両側において直線状に並べられ、これにより機械室24の両側にコンクリートブロック列36Aが構成されている。
そして、コンクリートブロック列36Aの機械室24とは反対側の端部に位置するコンクリートブロック36には、図2(A)、(B)に示すように、側壁3604の長さ方向の端部と仕切り壁3606の長さ方向の端部を接続する端面壁3620が底壁3602から立設されている。
各コンクリートブロック36は、基礎砕石3612、均しコンクリート3614、調整モルタル3616を介して底壁3602が埋設固定されて設置されている。
なお、本実施の形態では、コンクリートブロック36の運搬や取り扱いがより簡易になされるように、コンクリートブロック36は、前記幅W方向の中央で2分された2つのコンクリート半体3650から構成されており、上記のような設置の際にこれらコンクリート半体3650は幅W方向の中央で合わせて用いられる。この場合、合わせ面にモルタルを充填するなど任意である。
【0011】
前記支持板38はプレキャストコンクリート製であり、複数設けられ、各支持板はコンクリートブロック36に等しい長さと、コンクリートブロック36の一対の側壁3604間に対応した幅を有する矩形板状に形成されている。
各支持板38は一対の側壁3604の間で一対の仕切り壁3606の上部に載置されることで配設され、各支持板38の長さ方向の端部を合わせてコンクリートブロック列36A上に並べられている。
図3、図4(A)、(B)に示すように、支持板38には幅方向に延在する長溝3802が長さ方向に間隔をおいて複数形成されている。前記長溝3802は、支持板38が一対の仕切り壁3606の上に載せられた状態で、その両端が一対の仕切り壁3606の内側に位置する長さで形成されている。
【0012】
このように一対の側壁3604の間で一対の仕切り壁3606の上部に支持板38が載置されることで、側壁3604と仕切り壁3606と底壁3602と支持板38とにより前記汚染空気吸引路30がコンクリートブロック列36Aの内部で機械室24に向けて開放状に形成され、また、一対の仕切り壁3606と底壁3602と支持板38とにより前記汚染空気送給路32がコンクリートブロック列36Aの内部で機械室24に向けて開放状に形成される。そして、前記ファン40の吸い込み口と汚染空気吸引路30とが配管により連結され、前記ファン40の吹き出し口と汚染空気送給路32とが配管により連結される。
また、前記各長溝3802の上に臨むように、金網やパンチングメタルなどのような通気性を有する通気性部材42が載せられ、前記土壌層34が一対の側壁3604の間で通気性部材42の上に収容されている。なお、本実施の形態では、支持板38と通気性部材42により特許請求の範囲の支持部材が構成されており、支持部材としては、他に、汚染空気送給路32上に臨む箇所に多数の孔が形成された鋼板などを用いることができる。また、本実施の形態では、空気の流通を可能とした状態で土壌層34を支持する通気部が、長溝3802と通気性部材42により形成されている。
土壌層34は、通気性部材42の上に載せられる砕石層3402(またはパーライト層など)と、この砕石層3402の上に載せられた土壌3404などから構成されている。なお、土壌層34に植物を植え植栽を行なうなど任意である。
【0013】
上記の構成からなる土壌式浄化装置22のファン40を駆動すると、中央分離帯16の幅方向の両側において、すなわち、中央分離帯16の両側の各車道18上の汚染空気が、各コンクリートブロック列36Aの汚染空気吸引口3608から汚染空気吸引路30に吸い込まれる。
汚染空気吸引路30に吸い込まれた汚染空気は、機械室24の両側の汚染空気送給路32に圧送され、長溝3802、通気性部材42を経て土壌層34の底部に至り、砕石層3402により土壌層34の底部の全域に拡散され、土壌3404中を上方へと通過する。
【0014】
そして、土壌層34を通過する際に、土壌のフィルタとしての物理的な作用により粉塵の捕捉や、メタンなどの炭化水素ガスなどの不純成分の吸着が行われ、また、好気性微生物や嫌気性微生物の菌体内で消費されたり、呼吸で使われるなどすることでメタンガスが二酸化炭素と水に分解され、また、二酸化窒素が硝酸イオンに変化され、汚染物質が除去される。
このように汚染物質が除去された清浄な空気は土壌層34の表面から大気に戻される。
なお、汚染物質の除去をより効率的に行なわせるため、機械室24に給水ポンプを設け、土壌層34に散水パイプ44(図3参照)から定期的に散水するようにしてもよい。
【0015】
本実施の形態によれば、中央分離帯16にコンクリートブロック36を設置してコンクリートブロック列36Aを作り、このコンクリートブロック列36A内に支持板38、通気性部材42を載せ、土壌を入れることで土壌式空気浄化装置22が構築される。
すなわち、各コンクリートブロック36は、汚染空気吸引路30および汚染空気送給路32の一部を構成する底壁3602、側壁3604、仕切り壁3606を有しているので、複数のコンクリートブロック36を並べ、それらの内部に支持板38、通気性部材42、土壌を順に載せていくといった簡単な作業により、中央分離帯16の両側の各車道18上の汚染空気を浄化する土壌式空気浄化装置22が施工され、したがって、施工期間の短縮化を図ることが可能となる。
特に、本実施の形態のように、土壌式空気浄化装置22を中央分離帯16に施工するような場合には、車道18を塞ぐことに起因した車の渋滞期間を大幅に短縮でき好適となる。
【0016】
次に、土壌式空気浄化装置の他の実施の形態について説明する。
図5は他の実施の形態に係る土壌式空気浄化装置の概略正面図を示す。
前記実施の形態と同様な箇所、部材に同一の符号を付して説明すると、土壌式空気浄化装置52では、土壌層34を上下二段にした点が前記実施の形態と異なっている。
すなわち土壌式空気浄化装置52は、長手方向の中央に配置された機械室24と、その両側の空気浄化部56から構成され、橋脚14の間にわたり中央分離帯16の長手方向に沿って延在している。
前記空気浄化部56は、汚染空気吸引路30、汚染空気送給路57、下側の土壌層34と上側の土壌層34、空気通路68などを備えており、これら汚染空気吸引路30、汚染空気送給路57、上下の土壌層34、空気通路68は、コンクリートブロック66、支持板38などにより構成されている。
【0017】
前記コンクリートブロック66はコンクリートブロック36と同様にプレキャストコンクリート製で、幅Wと長さLを有している。
前記コンクリートブロック66は、平面視矩形の底壁6602と、底壁6602から起立する一対の側壁6604と一対の仕切り壁6606と一対の中間壁6607を有している。
前記一対の側壁6604は、底壁6602の前記長さL方向に平行して延在する両側の辺からそれぞれ前記長さL方向の全長にわたって互いに等しい高さで起立して形成されている。
前記一対の中間壁6607は、各側壁6604の上部内面から水平にかつ前記長さL方向の全長にわたって互いに等しい高さで突出形成されている。
前記一対の仕切り壁6606は、各側壁6604の内側に離れた底壁6602箇所からそれぞれ中間壁6607よりも低い高さで前記長さL方向の全長にわたって互いに等しい高さで起立して形成されている。
また、前記仕切り壁6606よりも低い各側壁6604箇所に前記長さL方向に間隔をおいて複数の汚染空気吸引口6608が貫設されている。
【0018】
前記仕切り壁6606の高さは、上下の土壌層34の上下の厚さを確保できるように、前記側壁6604と仕切り壁6606との高さの差よりも十分に小さい寸法で形成されている。
また、前記幅W方向における側壁6604と仕切り壁6606との間の寸法は、空気通路68の幅を確保して下側の土壌層34の全域を利用できるように、一対の仕切り壁6606間の寸法よりも小さい寸法で形成されている。
【0019】
前記複数のコンクリートブロック66は、前記実施の形態と同様に、中央分離帯16の幅方向中央にその幅Wの中心を合わせ、前記長さL方向の両端において底壁6602、側壁6604、仕切り壁6606の各端部を当接して機械室24の両側において直線状に並べられ、これにより機械室24の両側にコンクリートブロック列が構成されている。
そして、コンクリートブロック列の機械室24とは反対側の端部に位置するコンクリートブロック66には、側壁6604の長さ方向の端部と仕切り壁6606および中間壁6607の長さ方向の端部を接続する端面壁6620が底壁6602から立設されている。また、前記コンクリートブロック66の端面壁6620で一対の仕切り壁6606の間に臨む箇所には吹き出し口が設けられている。各コンクリートブロック66は、基礎砕石3612、均しコンクリート3614、調整モルタル3616を介して底壁6602が埋設固定されて設置されている。
なお、コンクリートブロック66の運搬や取り扱いがより簡易になされるように、コンクリートブロック66は、前記幅W方向の中央で2分された2つのコンクリート半体6650から構成されており、上記のような設置の際にこれらコンクリート半体6650は幅W方向の中央で合わせて用いられる。さらに、これらのコンクリート半体6650の各側壁6604を、中間壁6607よりも低くかつ下側の土壌層34よりも高い箇所で分割しておき、設置の際に継手などを用いて分割された側壁6604箇所を連結するようにすると、運搬や取り扱いがより簡易になされる。
【0020】
前記支持板38はプレキャストコンクリート製であり、複数設けられ、各支持板はコンクリートブロック66に等しい長さと、コンクリートブロック66の一対の側壁6604間に対応した幅を有する矩形板状に形成されている。
各支持板38は一対の側壁6604の間で一対の仕切り壁6606の上部に載置されることで配設され、各支持板38の長さ方向の端部を合わせてコンクリートブロック列66A上に並べられている。
前記支持板38には幅方向に延在する長溝3802が長さ方向に間隔をおいて複数形成され、前記長溝3802は、支持板38が一対の仕切り壁6606の上に載せられた状態で、その両端が一対の仕切り壁6606の内側に位置する長さで形成されている。
【0021】
このように一対の側壁6604の間で一対の仕切り壁6606の上部に支持板38が載置されることで、側壁6604と仕切り壁6606と底壁6602と支持板38とにより前記汚染空気吸引路30がコンクリートブロック列66Aの内部で機械室24に向けて開放状に形成される。
そして、各長溝3802の上に臨むように、金網やパンチングメタルなどのような通気性を有する通気性部材42が載せられ、下側の土壌層34が一対の側壁6604の間で通気性部材42の上に収容される。これにより前記空気通路68が一対の仕切り壁6606と底壁6602と下側の土壌層34の下面によりコンクリートブロック列の延在方向の両端に向けて開放状に形成される。なお、前記コンクリートブロック66の端面壁6620の吹き出し口は、空気通路68内を機械室24から吹き出し口に向けて流れる空気が橋脚14に沿って上方に吹き出させるように構成されている。
【0022】
さらに、中間壁6607の上面に通気性部材42が載せられ、上側の土壌層34が一対の側壁6604の間で通気性部材42の上に収容され、この状態で一対の側壁6604の間で下側の土壌層34の上面と、中間壁6607の下面および下側の土壌層34の下面との間に汚染空気送給路57が、前記機械室24側に向けて開放状に形成される。そして、前記ファン40の吸い込み口と汚染空気吸引路30とが配管により連結され、前記ファン40の吹き出し口と汚染空気送給路57とが配管により連結される。
なお、上下の土壌層34は、通気性部材42の上に載せられる砕石層3402と、この砕石層3402の上に載せられた土壌3404などから構成されている。
【0023】
上記の構成からなる土壌式浄化装置52のファン40を駆動すると、中央分離帯16の幅方向の両側において、すなわち、中央分離帯16の両側の各車道18上の汚染空気が、各コンクリートブロック列の汚染空気吸引口6608から汚染空気吸引路30に吸い込まれる。
汚染空気吸引路30に吸い込まれた汚染空気は、機械室24の両側の汚染空気送給路57に圧送され、その一部は、下側の土壌層34を上から下に通過し、通気性部材42、長溝3802を経て空気通路68に至り、コンクリートブロック列の両端の吹き出し口を経て橋脚14に沿って上方へ吹き出される。また、機械室24から汚染空気送給路57に圧送された汚染空気の一部は、中間壁6607の間から通気性部材42を経て上側の土壌層34を下から上に通過し、土壌層34の表面から上方へ吹き出される。
【0024】
そして、上下の土壌層34を通過する際に、前記実施の形態と同様に、汚染物質が除去され、汚染物質が除去された清浄な空気がコンクリートブロック列の延在方向の両端と上側の土壌層34の表面から大気に戻される。
このような実施の形態によっても、コンクリートブロック66は、汚染空気吸引路30および汚染空気送給路57、空気通路68の一部を構成する底壁6602、側壁6604、仕切り壁6606を有しているので、複数のコンクリートブロック66を並べ、それらの内部に支持板38、通気性部材42、土壌を順に載せていくといった簡単な作業により、中央分離帯16の両側の各車道18上の汚染空気を浄化する土壌式空気浄化装置52が施工され、施工期間の短縮化を図ることが可能となる。
また、本実施の形態では、上下の土壌層34により浄化された清浄な空気が、コンクリートブロック列の両端と上面から吹き出されるので、これら吹き出される清浄な空気により橋脚14の間に連続して延在するエアーカーテンが作られることになり、高架道路12の下方において橋脚14とこれら吹き出される清浄な空気により中央分離帯14の両側の車道18上の空気が中央分離帯14を横切ることが阻止される。したがって、中央分離帯14の一方の車道18側に住宅域が有り、中央分離帯14の他方の車道18上が渋滞し易い場合など、汚染空気の住宅域側への拡散を防止する上で有利となる。
なお、上述の実施の形態では、土壌式空気浄化装置22、52を中央分離帯16に施工した場合について説明したが、コンクリートブロック36、66を用いて土壌式空気浄化装置22、52を施工する箇所は中央分離帯に限定されない。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明の土壌式空気浄化装置用コンクリートブロックによれば、簡単な作業により土壌式空気浄化装置の施工期間の短縮化を図ることが可能となる。
また、本発明のコンクリートブロックを用いて中央分離帯に土壌式空気浄化装置を施工する方法によれば、施工期間の短縮化を図れるので、車の渋滞期間を大幅に短縮する上で極めて有利となる。
また、本発明の土壌式空気浄化装置用コンクリートブロックを用いて高架道路の下方の中央分離帯に土壌式空気浄化装置を施工すると、高架道路の下方に沿って清浄な空気の流れによるエアーカーテンを形成でき、これにより住宅域への汚染空気の拡散を防止する場合などに有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高架道路の下方の中央分離帯に土壌式空気浄化装置が設置された状態の斜視図である。
【図2】(A)は土壌式空気浄化装置の概略平面図、(B)は土壌式空気浄化装置の概略正面図である。
【図3】土壌式空気浄化装置の概略正面図である。
【図4】(A)は支持板の平面図、(B)は支持板の断面正面図である。
【図5】他の実施の形態に係る土壌式空気浄化装置の概略正面図である。
【符号の説明】
12 高架道路
14 橋脚
16 中央分離帯
22、52 土壌式空気浄化装置
24 機械室
30 汚染空気吸引路
32、57 汚染空気送給路
36、66 コンクリートブロック
38 支持板

Claims (8)

  1. 汚染空気を土壌層中に通過させて浄化する土壌式空気浄化装置に用いられるプレキャストコンクリート製のコンクリートブロックであって、
    前記コンクリートブロックは、幅と長さを有する平面視矩形の底壁と、底壁から起立する一対の側壁と一対の仕切り壁とを有し、
    前記一対の側壁は、底壁の前記長さ方向に平行して延在する両側の辺からそれぞれ前記長さ方向の全長にわたって互いに等しい高さで起立して形成され、
    前記一対の仕切り壁は、各側壁の内側に離れた底壁箇所からそれぞれ側壁よりも低い高さで前記長さ方向の全長にわたって互いに等しい高さで起立して形成され、
    前記仕切り壁よりも低い各側壁箇所に前記長さ方向に間隔をおいて複数の汚染空気吸引口が貫設されている、
    ことを特徴とする土壌式空気浄化装置用コンクリートブロック。
  2. 前記仕切り壁の高さは、前記側壁と仕切り壁との高さの差よりも小さい寸法で形成されていることを特徴とする請求項1記載の土壌式空気浄化装置用コンクリートブロック。
  3. 前記幅方向における側壁と仕切り壁との間の寸法は、一対の仕切り壁間の寸法よりも小さい寸法で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の土壌式空気浄化装置用コンクリートブロック。
  4. 前記一対の側壁の上部内面から前記長さ方向の全長にわたって互いに等しい高さで中間壁が突出形成されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の土壌式空気浄化装置用コンクリートブロック。
  5. 前記コンクリートブロックは、前記幅方向の中央で2分された2つのコンクリート半体から構成されていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の土壌式空気浄化装置用コンクリートブロック。
  6. 道路の中央の中央分離帯に汚染空気を土壌層中に通過させて浄化する土壌式空気浄化装置を施工するに際して、
    複数のコンクリートブロックと複数の支持部材を設け、
    前記コンクリートブロックはプレキャストコンクリート製で、幅と長さを有する平面視矩形の底壁と、底壁の前記長さ方向に平行して延在する両側の辺からそれぞれ前記長さ方向の全長にわたって互いに等しい高さで立ち上る一対の側壁と、前記各側壁の内側に離れた底壁箇所からそれぞれ前記長さ方向の全長にわたって前記側壁よりも低く互いに等しい高さで立ち上る仕切り壁と、前記仕切り壁よりも低い各側壁箇所に前記長さ方向に間隔をおいて貫設された複数の汚染空気吸引口とを有し、
    前記支持部材は、前記コンクリートブロックの両仕切り壁の上に載せられた状態で両側壁の間にわたる幅を有すると共に、両仕切り壁の間に臨む箇所に支持部材の厚さ方向に空気の流通を可能とした通気部を有し、
    前記複数のコンクリートブロックを、前記長さ方向の両端において底壁、側壁、仕切り壁の各端部を当接して並べてコンクリートブロック列を中央分離帯の延在方向に沿って延在形成し、
    前記各コンクリートブロックの両仕切り壁の上に支持部材を載せると共に前記支持部材上に土壌を載せて土壌層を形成し、
    前記底壁と支持部材と側壁と仕切り壁とで形成されるコンクリートブロック列の延在方向に延在する空間を汚染空気吸い込み路として用い、
    前記底壁と支持部材と両仕切り壁とで形成されるコンクリートブロック列の延在方向に延在する空間を汚染空気送給路として用いるようにした、
    ことを特徴とする中央分離帯に土壌式空気浄化装置を施工する方法。
  7. 前記コンクリートブロックは、前記幅方向の中央で2分された2つのコンクリートブロック半体から構成され、これらコンクリートブロック半体は現場で合わされ前記コンクリートブロックに形成されることを特徴とする請求項6記載の中央分離帯に土壌式空気浄化装置を施工する方法。
  8. 高架道路の下方の中央分離帯で高架道路を支持する橋脚の間に、汚染空気を土壌層中に通過させて浄化する土壌式空気浄化装置を、中央分離帯に沿って延在形成し、
    前記土壌式空気浄化装置を、中央分離帯の両側の汚染空気を吸い込むと共に土壌層により浄化した清浄な空気を、上方と、土壌式空気浄化装置の延在方向の両端に吹き出させるように構成し、
    前記橋脚と前記吹き出された清浄な空気とにより高架道路の下方において中央分離帯の両側の車道上の空気が中央分離帯を横切ることを阻止するようにした、
    ことを特徴とする高架道路の下方における汚染空気の浄化方法。
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